JP5463680B2 - 透明導電性フィルム - Google Patents

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本発明は、液晶ディスプレイ等の表示素子、タッチパネル等の表示入出力装置、太陽電池変換素子等に使用される透明導電性フィルムに関する。
近年、ディスプレイ画面を指で触れたり、ペンで押圧するだけで入力できる透明タッチパネルが普及している。このタッチパネルの電極として使用される透明導電性基材は基本的にガラスもしくは高分子フィルムに導電膜を積層した構成を有している。
特に近年では可撓性、加工性に優れ、軽量である等の点からポリエチレンテレフタレートをはじめとする高分子フィルムを使用した透明導電性フィルムが使用されている。
ところで、透明導電性フィルムの透過率や透過光のa*、b*等の光学的特性は、主として透明導電膜、透明導電膜を形成する基材や透明導電膜に付加的に設けられる機能層の屈折率や吸収率に支配される。ただし、基材については当該透明導電性フィルムの用途に応じて定まるので、これらの構成素材を光学特性制御のために変更することは困難である。そこで、透明導電膜や機能層の膜厚、材料について光学設計により構成を検討する試みがなされている。そして、透明導電膜が光学的設計に基づく所定の屈折率や吸収特性となるように、透明導電膜の成膜時の条件を変えることがなされている。
また、透明導電性フィルムを使用したタッチパネルには抵抗膜式や静電容量結合方式等の多くの方式が存在する。特に多いのが抵抗膜式であり、上下の電極が接触することでタッチ位置を特定するものである。ペン入力が可能であり、比較的安価であることから、携帯用端末、携帯ゲーム機等幅広く利用されている。この方式は動作原理上導電膜同士の接触がさけられず、そのため、タッチパネルの打点寿命を延ばすため、耐筆記性などの耐久性の高い透明導電性フィルムの開発が進められてきている。
以下に上記背景技術に関する文献を示す。
国際公開WO00/063924号パンフレット 特開平11−48387号公報 特開平11−110110号公報 特許第2509215号公報 特許第3972418号公報
従来の透明導電性基材には、基本的にガラスもしくは高分子フィルムを用いその上に導電膜層(主にITO膜)を積層する。ガラス基材を用いる場合は、基材を高温に加熱した状態での成膜が可能であり、透明性、高透過率、高耐筆記性を有する透明導電膜を作製することが可能であるが、割れる、重い、厚いといった問題がある。一方、高分子フィルム基材を用いる場合は、透明導電膜層を形成する際に基材にかけられる温度は高分子フィルム基材の耐熱温度に制限され、また、基材からガス(水分等)が膜質(結晶性等)に影響を与える等の影響もあり、成膜温度を下げざるを得ない。
そのため、高分子フィルム基材上に、耐筆記性および密着性に優れた透明導電膜層を形成するのは容易でない。さらに、近年の傾向としては全光線透過率が88%以上である高透過率高耐久導電性フィルムが求められている。そこで、本発明では耐筆記性などの耐久性を向上させ、且つ、高透過率な透明導電性フィルムを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、透明なプラスチックフィルムからなる基材(A)上の一方の面にハードコート層(H)、反対の面には真空成膜装置内において、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)を蒸発源に滴下して気化させて形成され、紫外線または電子線を照射することで硬化した被膜層(B)、その被膜層(B)上に透明導電膜層(C)が積層されてなり、前記被膜層(B)を形成する前記重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)の硬化収縮率が0.2%以上10%以下である透明導電性フィルムであって、前記基材(A)と前記透明導電膜層(C)の間に、無機物薄膜層(D)と前記被膜層(B)が交互に積層され、「C/(B/D)×2/A」という構成になっていることを特徴とする透明導電性フィルムである。
請求項に記載の発明は、前記透明導電性フィルムにおいて、透過光をL*a*b*表色系で表した時の色座標b*が−2以上2以下かつa*が−3以上3以下であることを特徴とする請求項に記載の透明導電性フィルムである。
請求項に記載の発明は、前記無機物薄膜層(D)が、酸化珪素(SiOx)からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の透明導電性積層フィルムである。
請求項に記載の発明は、透明なプラスチックフィルムからなる基材(A)上の一方の面にハードコート層(H)を設ける工程と、前記基材(A)の反対の面に、真空成膜装置内において、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)を蒸発源に滴下して気化させ、紫外線または電子線を照射することで硬化した被膜層(B)を設ける工程と、前記被膜層(B)上に透明導電膜層(C)を積層する工程とを有し、前記被膜層(B)を形成する前記重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)の硬化収縮率が0.2%以上10%以下である透明導電性フィルムの製造方法であって、前記基材(A)と前記透明導電膜層(C)の間に、無機物薄膜層(D)と前記被膜層(B)が交互に積層され、「C/(B/D)×2/A」という構成になっていることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法である。
本発明において、透明なプラスチックフィルムからなる基材(A)上の一方の面にハードコート層(H)、反対の面に被膜層(B)を形成することにより、引張りなどの外部応力に対して耐久性を上げることができる。例えば、ペンを用いて、耐筆記性試験を実施した後のフィルムの電気的特性(表面抵抗値、リニアリティ)の変動を少なくすることができる。
とくに、前記被膜層(B)が、真空成膜装置内において、前記重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)を蒸発源に滴下して気化させて形成され、紫外線または電子線を照射することで硬化されていることで、真空成膜装置内での効率的な連続生産が可能となり、生産コストを低減できる効果がある。
また、ハードコート層(H)と被膜層(B)を形成することにより、タッチパネル製造工程時に加わる熱による高分子フィルム基材内部からのオリゴマー析出を防止し、フィルムの透過率低下を防ぐことができる。
また、透明導電膜層(C)の基材(A)側の面と隣接して薄膜積層体(E)を付加することで、透過光の色座標b*を−2以上2以下に、a*を−3以上3以下に調整することができ、無彩色に近く、全光線透過率が88%以上の高透過率を有する透明導電性フィルムを作成することが可能となる。
本発明にかかる、透明導電性フィルムの断面図である。 本発明にかかる、透明導電性フィルムの断面図である。 本発明にかかる、透明導電性フィルムの断面図である。 耐筆記性試験をする状態を示す模式的断面図である。
以下、本発明の透明導電性フィルムを実施するための最良の形態を、図面に沿って説明する。図1は、本発明の透明導電性フィルムの断面図である。
本発明の透明導電性フィルム1は、 基材(A)11の一方の面にハードコート層(H)15、反対の面に、被膜層(B)12、透明導電膜層(C)13が順次積層されている。
本発明の透明導電性フィルムにおいて、基材(A)は透明なプラスチックフィルムからなっている。透明なプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸などの生分解性プラスチックフィルムがある。その他ホモポリマーとして、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリサルフォン等、およびこれら樹脂のモノマーと共重合可能なモノマーとのコポリマー等からなるプラスチックフィルムなどがある。
これらの透明なプラスチックフィルムは、延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械的強度や寸法安定性などが優れたものが好ましい。特に、耐熱性や寸法安定性などの面から、二軸方向に延伸したポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。また、透明なプラスチックフィルムの内部もしくは表面上に、帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等、硬化剤、ハードコート剤、防湿コート剤、ガスバリアコート剤、腐食剤などを添加もしくは積層してもよい。また、反射防止層をさらに積層しても良い。さらに、透明なプラスチックフィルムにおいて、他の層を積層する側の表面には、密着性をよくするために、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理など、または、アンカーコートなどの公知の表面処理を施してもよい。基材(A)の厚みに特に制限は無いが、タッチパネル用途を考慮した場合、10〜250μm程度が好ましい。
ハードコート層(H)は、透明性を有し、適度な硬度があれば特に限定はされない。電離放射線や紫外線照射による硬化型樹脂や熱硬化性の樹脂が使用できる。硬化型樹脂は、加工速度の速さ、支持体への熱のダメージの少なさから、特に活性エネルギー線(紫外線や電子線)硬化型樹脂を用いることが好ましい。このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成されるような多官能性ウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。さらに、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も必要に応じて好適に使用することができる。
また、上記樹脂の反応性希釈剤としては、比較的低粘度であるヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマー及びオリゴマー並びに単官能モノマー、例えばN−ビニルピロリドン、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びそのカプロラクトン変性物等の誘導体、あるいは、スチレン、α―メチルスチレン、アクリル酸等及びそれらの混合物、等を使用することができる。
上記樹脂を硬化する活性エネルギー線が紫外線である場合には、光増感剤(ラジカル重合開始剤)を添加する必要があり、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタールなどのベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類及びアゾ化合物等が有る。これらは単独または2種以上の混合物として使用でき、さらにはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体などの光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。
上記の光増感剤(ラジカル重合開始剤)や光開始助剤の使用量は、重合性成分100重量部に対して0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。
また、ハードコーコート層(H)には、必要に応じて公知の一般的な塗料添加剤を配合することができる。例えばレベリング、表面スリップ性等を付与するシリコーン系、フッ素系の添加剤は硬化膜表面の傷つき防止性に効果があることに加えて、活性エネルギー線として紫外線を利用する場合は前記添加剤の空気界面へのブリードによって、酸素による樹脂の硬化阻害を低下させることができ、低照射強度条件下に於いても有効な硬度度合を得ることができる。上記塗料添加剤の添加量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対し0.01〜0.5重量部が適当である。
ハードコート層(H)を形成する方法は、特に限定されるものではないが、実用的には、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター等による塗工方法が、一般的である。
また、前記のハードコート層(H)に平均粒子径0.01〜3μmの透明な無機或いは有機の超微粒子を混合分散させことにより、一般にアンチグレアと呼ばれる光拡散性の処理を施すことができる。これらの超微粒子は、透明であれば特に限定されるものではないが、低屈折率材料が好ましく、無機の酸化珪素、弗化マグネシウムが安定性、耐熱性等で好適である。これらのハードコート層(H)は平滑に且つ均一に塗布されるものであり、塗布方法はいかなる方法でも構わない。
被膜層(B)は、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)を硬化させて形成する。後述する透明導電膜層(C)の耐久性向上のためには、硬化収縮率が0.2%以上10%以下であればよい。
硬化収縮率は、{(硬化後の密度−硬化前の密度)/硬化後の密度}×100により測定する。
真空成膜装置内において、高温の蒸発源の中に挿入したノズルなどから、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)を滴下して気化させる手法(フラッシュ蒸着法)を用いて、未硬化の被膜層として基材(A)上に積層し、紫外線または電子線を照射して硬化すれば、真空成膜装置内で真空中において、基材(A)上に連続して、被膜層(B)と透明導電膜層(C)または後述する無機物薄膜層(D)を積層することができ、効率的で生産コストの低減が可能であるため、現時点では上記手法を用いることが望ましい。
本発明の透明導電性フィルムにおける被膜層(B)の役割は、隣接する透明導電膜層(C)、無機物薄膜層(D)、薄膜積層体(E)に対して、折り曲げや引っ張りなどの外部応力が加わった場合の保護機能である。これにより、耐筆記性などの耐久性が向上する。
また、タッチパネル製造工程時に加わる熱による高分子フィルム基材内部からのオリゴマー析出防止機能もあり、フィルムの透過率低下を防ぐことができる。
とくに、被膜層(B)に隣接して、ガスバリア性のある無機物薄膜層(D)がある場合、被膜層(B)の形成時の硬化収縮による内部応力によりガスバリア性が向上する。これにより透明導電膜層(C)成膜時に基材からの膜質へ影響を及ぼすガス成分(水分やアセチレン等)の発生を抑制し、透明導電膜層(C)の膜質変化を防ぐことができ、耐筆記性などの耐久性が向上する。上記被膜層(B)を形成する重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)の硬化収縮率は0.2%以上10%以下であることが好ましく、硬化収縮率が0.2%未満であると被膜層(B)形成時の硬化収縮による内部応力が僅かに生じるだけで、十分な保護機能は得られない。また、硬化収縮率が10%を超えると被膜層(B)形成時の硬化収縮による内部応力が過度に働き、隣接する層との密着性が低下する可能性が高くなる。
被膜層(B)の厚さは、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。膜厚が0.1μm未満であると、均一な被膜層を形成することは難しく、被膜層(B)形成時の硬化収縮による内部応力が僅かに生じるだけで、十分な保護機能が発揮できない。また、膜厚が20μmを超えると被膜層(B)形成時の硬化収縮による内部応力が過度に働き、隣接する層との密着性が低下する可能性が高くなる。
本発明の透明導電性フィルムにおいて、被膜層(B)の原材料である、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)は、モノアクリレート、ジアクリレートのうちの少なくとも1つを含有し、上記モノアクリレートと上記ジアクリレートを合わせた含有率が50重量%以上であることが好ましい。すなわち、3官能以上のアクリロイル基を有するアクリレートを合わせた含有率が50重量%以上であると、被膜層(B)形成時の硬化収縮率を10%以下に抑えることが難しく、硬化収縮による内部応力が過度に働き、隣接する層と被膜層(B)との密着性が低下する可能性が高くなるためである。但し、3官能以上のアクリロイル基を有するアクリレートは架橋度を向上させる効果があるため、強固な被膜層(B)を形成する際には少量使用することが好ましく、例えばトリアクリレートを混合する場合であれば10重量%程度が望ましい。
これらのアクリレートとしては、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリアセタールアクリレート、ポリブタジエン系アクリレート、メラミンアクリレートなどの重合性が高いアクリル系のモノマーまたはオリゴマーを、適宜選定して用いることができる。
モノアクリレート、ジアクリレートおよびトリアクリレートには様々な種類があり、特に限定されないが、透明導電膜層(A)や無機物薄膜層(D)との密着性が良好であって、効率良く未硬化の蒸着被膜層が形成できる事が好ましい。必要に応じ、衛生性に優れたものを選択することが好ましい。具体的には、モノアクリレートとしては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレートなどが挙げられる。ジアクリレートとしては、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートなどが挙げられる。トリアクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートなどが挙げられる。これらの比率は、たとえば、モノアクリレート/ジアクリレート/トリアクリレート=60/30/10(重量%)に設定することが望ましい。
重合可能なアクリル系のモノマーまたはこのモノマーとオリゴマーとの混合物(b)の粘度は、200mPa・s/25℃以下、より好ましくは100mPa・s/25℃以下であることが望ましい。これは、真空成膜装置内で、高温の蒸発源の中に挿入したノズルなどから、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)を滴下して、瞬間的に気化させて、未硬化の蒸着被膜層を形成する際に、その粘度が高すぎると、高温の蒸発源の中に挿入したノズルなどから少量ずつ一定速度で滴下させることが困難になるためである。
本発明の透明導電性フィルムにおいては、被膜層(B)の表面を、コロナ放電やグロー放電を始めとするプラズマ処理することが望ましい。そうする事で、隣接する層との密着性を向上させる事が出来る。また、原材料として使用した重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)の未硬化成分を除去して、その硬化度を向上させる為でもある。この被膜層(B)をプラズマ処理する際に、DC電源またはRF電源を用いて、プラズマを連続的に安定して発生させ、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)の未硬化成分を効率よく除去するためには、水素、酸素、窒素、二酸化炭素などの通常のガスと、ヘリウム、アルゴンなどの少なくとも1種類の不活性ガスとを含むプラズマ処理用の混合ガスを使用することが望ましい。
透明導電膜層(C)を形成する透明導電性材料としては、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等の酸化物あるいはその混合酸化物等をあげることができる。特に酸化インジウムと酸化錫の混合酸化物(ITO)が好適に用いられる。
酸化インジウムを使用する場合、比抵抗や可視光線透過率を考慮すると、錫の含有率は2〜50重量%が好ましい。その厚みは、表面抵抗および光線透過率に影響するので、要求される表面抵抗と光線透過率によって厚みを適宜決定すれば良い。通常は、10〜50nm程度が好ましい。
また、この透明導電性材料には、必要に応じて、Al、Zr、Ga、Si、W等の添加物を含有させることができる。 また、透明導電膜層(C)の表面抵抗値は通常、100〜1500Ω/□の範囲内とすることが好ましい。
透明導電膜層(C)の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法といった従来の公知技術の何れも採用できる。スパッタリング法においては、ターゲットに金属酸化物ターゲットを使用しても、金属ターゲットを使用しても良い。
本発明の透明導電性フィルムにおいて、基材(A)と透明導電膜層(C)の間に、無機物薄膜層(D)と被膜層(B)が交互に積層されている、すなわち図2のように「C/(B/D)×n/B/A」または「C/(B/D)×n/A」または「C/(D/B)×n/D/A」もしくは「C/(D/B)×n/A」(nは1以上の整数)という構成にすると、透明導電性フィルムのガスバリア性が向上し、それに伴い耐久性も向上するので好ましい。
無機物薄膜層(D)には、酸化珪素(SiOx)薄膜(xは2に近いほど好ましい)、酸化アルミニウム(AlOx)薄膜、酸化マグネシウム(MgO)薄膜などが用いられる。中でも、透明性、酸素や水蒸気を遮断するガスバリア性、およびそれに伴う耐久性向上の点から、酸化珪素(SiOx)が好ましい。
無機物薄膜層(D)の形成方法は特に限定されるものではないが、基材(A)の表面に、酸化珪素(SiOx)薄膜をより速い速度で積層する場合には、現時点では真空蒸着法が最も優れている。現時点の真空蒸着法において、真空成膜装置内での蒸発源材料の加熱手段としては、電子線加熱方式や抵抗加熱方式や誘導加熱方式などが好ましい。また基材(A)や被膜層(B)との密着性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法などを用いることも可能である。さらに、蒸着薄膜層の透明性を上げるために、酸素ガスなどを導入し反応性蒸着を行ってもよい。
本発明の透明導電性フィルムにおいて、無機物薄膜層(D)は、透明であり、かつ酸素、水蒸気などの収容物を変質させる気体を遮断する優れたガスバリア性を有するようにする事が出来る。この無機物薄膜層(D)の厚さは、通常5〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。ここで、膜厚が5nm未満であると、均一な薄膜層が得られないことがあり、ガスバリア性が出ず、耐久性向上の機能を十分に果たすことができない。一方、膜厚が200nmを越えると、薄膜層に折り曲げや引っ張りなどの外部応力が加わると、蒸着薄膜層に亀裂を生じ、耐久性が悪化するおそれがある。
本発明の透明導電性フィルムにおいて、透明導電膜層(C)の基材(A)側の面に隣接して、高屈折率薄膜層単層、または、低屈折率薄膜層単層、または、高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層とを各1層以上交互に積層した薄膜積層体(E)を備える形態が好ましい。図3にその一例を示す。図3の形態において、透明導電膜層(C)13の基材(A)11側の面に隣接して、高屈折率薄膜層18と低屈折率薄膜層17とが、低屈折率薄膜層17が透明導電膜層(C)13と接するように、交互に積層され、薄膜積層体(E)16を形成している。薄膜積層体(E)を積層構造とし、各層の膜厚を調整することにより、透明導電性フィルムの全光線透過率、a*、b*を調整することができる。本発明の透明導電性フィルムは、全光線透過率が88%以上、透過光をL*a*b*表色系で表した時の色座標b*が−2以上2以下かつa*が−3以上3以下であることが好ましい。
本発明の薄膜積層体(E)における高屈折率薄膜層とは、光の波長550nmでの屈折率が1.75以上2.4以下であり、消衰係数が0.5以下の層とすることが好ましい。
高屈折率薄膜層形成材料としては、例えば、インジウム、錫、チタン、珪素、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、マグネシウム、ビスマス、セリウム、クロム、白金、炭素、タンタル、アルミニウム、ゲルマニウム、ガリウム、アンチモン、ネオジウム、ランタン、トリウム、ハフニウム、イットリウム、ロジウム、セレニウム、ユーロピウム、イッテルビウム、スカンジウム、プラセオジウム、サマリウム等の元素、または、これらの元素の酸化物、弗化物、硫化物、窒化物、または、酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の混合物等が挙げられる。酸化物、弗化物、硫化物、窒化物の化学組成は、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。なお、高屈折率薄膜層を複数層設ける場合、高屈折率薄膜層形成材料は同一であってもよいし、異なっていても構わない。
本発明の薄膜積層体(E)における低屈折率薄膜層とは、光の波長550nmでの屈折率が1.3以上1.75未満、消衰係数が0.5以下の層とすることが好ましい。
低屈折率薄膜層形成材料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化チタン、弗化マグネシウム、弗化バリウム、弗化カルシウム、弗化ハフニウム、弗化ランタン、弗化ナトリウム、弗化アルミニウム、弗化炭素、弗化鉛、弗化ストロンチウム、弗化イッテルビウム、弗化ネオジウム、弗化リチウム、弗化サマリウム等の化合物、または、これら化合物の混合物等が挙げられる。これら化合物の化学組成は、化学量論的な組成と一致しなくてもよい。なお、低屈折率薄膜層を複数層設ける場合、低屈折率薄膜層形成材料は同一であってもよいし、異なっていても構わない。
本発明における高屈折率薄膜層および低屈折率薄膜層は、蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等の真空成膜法により形成されることが好ましい。
また高屈折率薄膜層及び低屈折率薄膜層の屈折率および消衰係数の光学定数に関しては、分光エリプソメトリー法を用いて、薄膜積層体の表面から反射してくる光の偏光状態の変化を測定することで求めることが可能である。消衰係数に関しては、0.5より大きくなると光の吸収が大きくなるため、本発明の光反射性能を有するような高屈折率薄膜層および低屈折率薄膜層の形成材料として好ましくない。
<実施例1>
基材(A)として厚さ188μmのニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、ハードコート層(H)を形成する材料として、商品名 ライトアクリレートDPE−6A(共栄社製、アクリル6官能)80重量部と、商品名 エポリード302(ダイセル化学社製、エポキシ3官能)を20重量部と、商品名 サイクロマーM−100(ダイセル化学社製)5重量部と、商品名 イルガキュア907 (チバガイギー社製)を2重量部と、商品名 アデカオプトマーSP−150(旭電化社製)を3重量部を用い、メチルエチルケトン中に混合溶解し、ロールコータにてPETフィルム上に7μmの厚さに塗布し、オーブンにて溶媒除去後紫外線照射により硬化させ、ハードコート層(H)膜を得た。ハードコート層(H)を形成した面と反対側に、フラッシュ蒸着法により、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートとエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートとの60/30/10(重量%)の混合物(b)(硬化収縮率:6.3%)を、高温の蒸発源に滴下して気化させ、未硬化の蒸着被膜層を積層した。この蒸着被膜層に電子線を照射して硬化させ、厚さ2μmの被膜層(B)を形成した。その後、真空成膜装置内で、DCマグネトロンスパッタリング法により、酸化インジウム錫(ITO)を表面抵抗値が400Ω/□になる膜厚(約20nm)を成膜し、透明導電膜層(C)を形成した。
<実施例2>
実施例1と同様にして、ハードコート層(H)を形成した基材(A)を用意し、ハードコート層(H)を形成した面の反対側に、実施例1と同様にして、被膜層(B)膜厚2μmを形成した。次に以下に示すように被膜層(B)の上に薄膜積層体(E)及び透明導電膜層(C)の順に形成した。
低屈折率薄膜層として物理膜厚3nmの酸化珪素(SiO)からなる低屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。
次に、低屈折率薄膜層上に高屈折率薄膜層として物理膜厚15nmの五酸化ニオブ(Nb)からなる高屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率2.27、消衰係数0)を形成した。
次に、高屈折率薄膜層上に低屈折率薄膜層として物理膜厚64nmの二酸化珪素(SiO)からなる低屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。
さらに、低屈折率薄膜層上に透明導電層形成材料として酸化インジウムと酸化錫の混合酸化物であるITOを用い、透明導電層を形成した。このとき、透明導電層の膜厚は20nm、表面抵抗値400Ω/□とした。
<実施例3>
実施例1と同様にして、ハードコート層(H)を形成した基材(A)を用意し、ハードコート層(H)と反対の面に蒸着法により基材(A)上に厚さ20nmの酸化珪素(SiOx)蒸着薄膜からなる無機物薄膜層(D)を積層した。その後、実施例1と同様に被膜層(B)を形成し、その上に以下に示すように薄膜積層体(E)、透明導電膜層(C)の順に形成した。
低屈折率薄膜層として物理膜厚3nmの酸化珪素(SiO)からなる低屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。
次に、低屈折率薄膜層上に高屈折率薄膜層として物理膜厚17nmの五酸化ニオブ(Nb)からなる高屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率2.27、消衰係数0)を形成した。
次に、高屈折率薄膜層上に低屈折率薄膜層として物理膜厚66nmの二酸化珪素(SiO)からなる低屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。
さらに、低屈折率薄膜層上に透明導電層形成材料として酸化インジウムと酸化錫の混合酸化物であるITOを用い、透明導電層を形成した。このとき、透明導電層の膜厚は20nm、表面抵抗値400Ω/□とした。
<実施例4>
実施例1と同様にして、ハードコート層(H)を形成した基材(A)を用意し、次にハードコート層(H)を形成した面の反対側に、実施例1と同様にして、被膜層(B)膜厚2μmを形成した。次に被膜層(B)上に実施例1と同様にして、厚さ20nmの酸化珪素(SiOx)蒸着薄膜からなる無機物薄膜層(D)、及び被膜層(B)の順に積層した。その上に以下に示すように薄膜積層体(E)、透明導電膜層(C)の順に積層した。
低屈折率薄膜層として物理膜厚3nmの酸化珪素(SiO)からなる低屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。
次に、低屈折率薄膜層上に高屈折率薄膜層として物理膜厚16nmの五酸化ニオブ(Nb)からなる高屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率2.27、消衰係数0)を形成した。
次に、高屈折率薄膜層上に低屈折率薄膜層として物理膜厚65nmの二酸化珪素(SiO)からなる低屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。
さらに、低屈折率薄膜層上に透明導電層形成材料として酸化インジウムと酸化錫の混合酸化物であるITOを用い、透明導電層を形成した。このとき、透明導電層の膜厚は20nm、表面抵抗値400Ω/□とした。
<実施例5>
実施例1と同様にして、ハードコート層(H)を形成した基材(A)を用意し、ハードコート層(H)と反対の面に蒸着法により厚さ20nmの酸化珪素(SiOx)蒸着薄膜からなる無機物薄膜層(D)を積層した。その後、実施例1と同様に被膜層(B)、無機物薄膜層(D)、被膜層(B)の順に積層した。その上に以下に示すように薄膜積層体(E)、透明導電膜層(C)の順に積層した。
低屈折率薄膜層として物理膜厚3nmの酸化珪素(SiO)からなる低屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。
次に、低屈折率薄膜層上に高屈折率薄膜層として物理膜厚17nmの五酸化ニオブ(Nb)からなる高屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率2.27、消衰係数0)を形成した。
次に、高屈折率薄膜層上に低屈折率薄膜層として物理膜厚65nmの二酸化珪素(SiO)からなる低屈折率薄膜層(波長550nmの光の屈折率1.46、消衰係数0)を形成した。
さらに、低屈折率薄膜層上に透明導電層形成材料として酸化インジウムと酸化錫の混合酸化物であるITOを用い、透明導電層を形成した。このとき、透明導電層の膜厚は20nm、表面抵抗値400Ω/□とした。
<比較例1>
基材(A)の一方の面に透明導電膜層(C)を形成した。このとき、透明導電層の膜厚は20nm、表面抵抗値400Ω/□とした。
<比較例2>
実施例1の透明導電性フィルムにおいて、基材(A)上に、被膜層(B)は積層せず、透明導電膜層(C)を形成した。このとき、透明導電層の膜厚は20nm、表面抵抗値400Ω/□とした。
<比較例3>
実施例1の透明導電性フィルムにおいて、ハードコート層(H)を形成しなかった。その他の条件は、実施例1と同様とした。
<比較評価>
1.光学特性(全光線透過率、a*、b*)
実施例1〜5及び比較例1〜3で作製した透明導電性フィルムの全光線透過率をNDH−2000(日本電色製)を用いてJIS7105に準じて)測定した。また、透過光の色座標a*、b*を、分光光度計U−4000(日立製作所製)を用いて、入射角5°、D65光源、2°視野の測定条件で測定を行った。
2.耐筆記性試験(リニアリティ評価)
実施例1〜5、および比較例1〜3で作製した透明導電性フィルムの透明導電膜層(C)面の両端に幅6mmの銀ペーストを塗布し電極を作製し、図4に示すような擬似的なタッチパネルを作製した。次に、ペン先の直径0.8mmのポリアセタールペン3を用いて透明導電膜層(C)13が成膜された反対の面を摺動距離40mm、荷重250g、10万往復の条件で筆記摺動耐久性試験を実施した後、透明導電性フィルム1のリニアリティ測定を行うことにより各透明導電性フィルム1の耐久性を評価した。
このタッチパネルの構成としては、透明導電性膜としてITO膜13が成膜されたガラスにドットスペーサー21が印刷されたITOガラス2を下部電極とし、実施例1〜5及び比較例1、2で作製した透明導電性フィルム1の透明導電膜層(C)13を上部電極としてITOガラス2のITO成膜面と対向して貼り合せたものである。
リニアリティ測定は透明導電性フィルムに5Vの電圧を印加し、10mm間隔で電圧を測定し、各電圧測定点での理論電圧の差を用いて算出したものである。また、リニアリティ値[%]は、1.0未満を○、1.0〜1.5を△、1.5超を×とした。
ポリアセタールペン3での摺動を10万往復する前の状態では、各サンプルともリニアリティは1.0%以下であった。
これらの測定結果を表1に示す。なお、実施例1〜4は参考例である。
Figure 0005463680
この結果より、本発明によれば、耐筆記性に優れ、高透過率な透明導電性フィルムを提供することができる。とくに、被膜層(B)及び無機物薄膜層(D)を積層する形態では、耐筆記性がさらに優れ、また、薄膜積層体を積層する形態では、さらに高透過率な透明導電性フィルムを提供することができる。
1 ・・・透明導電性フィルム
11・・・基材
12・・・被膜層
13・・・透明導電膜層
14・・・無機物薄膜層
15・・・ハードコート層
16・・・薄膜積層体
17・・・低屈折率薄膜層
18・・・高屈折率薄膜層
2 ・・・ITOガラス
21・・・ドットスペーサー
3 ・・・ポリアセタールペン

Claims (4)

  1. 透明なプラスチックフィルムからなる基材(A)上の一方の面にハードコート層(H)、反対の面には真空成膜装置内において、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)を蒸発源に滴下して気化させて形成され、紫外線または電子線を照射することで硬化した被膜層(B)、その被膜層(B)上に透明導電膜層(C)が積層されてなり、前記被膜層(B)を形成する前記重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)の硬化収縮率が0.2%以上10%以下である透明導電性フィルムであって、
    前記基材(A)と前記透明導電膜層(C)の間に、無機物薄膜層(D)と前記被膜層(B)が交互に積層され、「C/(B/D)×2/A」という構成になっていることを特徴とする透明導電性フィルム
  2. 前記透明導電性フィルムにおいて、透過光をL*a*b*表色系で表した時の色座標b*が−2以上2以下かつa*が−3以上3以下であることを特徴とする請求項に記載の透明導電性フィルム。
  3. 前記無機物薄膜層(D)が、酸化珪素(SiOx)からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の透明導電性積層フィルム。
  4. 透明なプラスチックフィルムからなる基材(A)上の一方の面にハードコート層(H)を設ける工程と、前記基材(A)の反対の面に、真空成膜装置内において、重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)を蒸発源に滴下して気化させ、紫外線または電子線を照射することで硬化した被膜層(B)を設ける工程と、前記被膜層(B)上に透明導電膜層(C)を積層する工程とを有し、前記被膜層(B)を形成する前記重合可能なアクリル系のモノマーまたはモノマーとオリゴマーとの混合物(b)の硬化収縮率が0.2%以上10%以下である透明導電性フィルムの製造方法であって、
    前記基材(A)と前記透明導電膜層(C)の間に、無機物薄膜層(D)と前記被膜層(B)が交互に積層され、「C/(B/D)×2/A」という構成になっていることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法
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