JP2010137434A - 離型フィルム並びにそれを用いた接着方法及び回路基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】離型性、対形追従性及びプレス後の被着体の外観改良に優れた離型フィルム並びにそれを用いた接着方法及び回路基板製造方法を提供する。
【解決手段】離型層(A)とクッション層(B)とを有する離型フィルムであって、前記離型層(A)が、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂を含み、かつ前記離型層(A)の145℃における弾性率(測定条件:JISK7244準拠、引張モード、昇温速度5℃/min、周波数1Hz)が5.0×10Pa以上3.0×10Pa以下である離型フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、離型フィルム並びにそれを用いた接着方法及び回路基板の製造方法に関するものである。
例えばフレキシブルプリント配線基板(以下FPCという)では、ポリイミド樹脂フィルム等絶縁基材の表面に形成された回路を電気的に絶縁化するため、または回路表面を保護のために回路被覆用フィルムが用いられる。前記回路被覆用フィルムは耐熱性樹脂フィルムが主に用いられており、カバーレイ(以下CLという)と呼ばれるものであり、回路表面上にプレスラミネートすることにより使用されている。
一般的にプレスラミネート工程においては、プレス用当板を製品から容易に離型できるようにプレス用当板と製品の間に離型フィルムが用いられる。CLプレスラミネートに用いられる離型フィルムについては、離型性の他、プレスの際回路基板表面に圧力や熱を均等に伝えるためのクッション性、CL端面からの接着剤の染み出しを抑制するための離型フィルム自体の回路基板表面凹凸形状への対形追従性、およびプレス後のFPC表面の外観を改良するため離型フィルム自体のプレス時の伸展性が(以下成形性という)が求められている。
離型フィルムの主な使用目的である離型性を向上させためにシンジオタクチックポリスチレン(以下SPSという)系樹脂を離型層に用いる手段が提案されている。また対形追従性を向上させるためにSPS系樹脂を用いた離型層に対し柔軟性を有するクッション層を設ける手段が講じられている(特許文献1)。しかしながらこのように単に離型フィルムにSPS系樹脂を採用するという手段を講じるだけでは、加熱プレスの際に生じるクッション層の変形により離型層の変形が引き起こされ、FPCを挟み込みように設置されている離型フィルム同士が剥離できないという問題を生じる。以上、FPC製造時の例を挙げたが同様の問題は、他の製品分野、例えばプリプレグと層間接着剤とを接着する場合のような加工工程においても生じるものである。
特開2001−315273号公報
本発明は、離型性、対形追従性および成形性に優れた離型フィルム並びにそれを用いた回路基板の製造方法を提供するものである。
本発明に係る離型フィルムは、離型層(A)とクッション層(B)とを有する離型フィルムであって、前記離型層(A)が、SPS系樹脂を主成分とし、かつ前記離型層(A)の145℃における弾性率(測定条件:JISK7244準拠、引張モード、昇温速度5℃/min、周波数1Hz)が5.0×10Pa以上3.0×10Pa以下である。
本発明に係る離型フィルムは、前記離型層(A)の120℃以上145℃以下の温度域における弾性率(測定条件:JISK7244準拠、引張モード、昇温速度5℃/min、周波数1Hz)が5.0×10Pa以上3.0×10Pa以下であるとすることができる。
本発明における離型フィルムは、前記離型層(A)の145℃における損失係数(tanδ)(測定方法:JISK7244準拠、引張モード、昇温速度5℃/min、周波数10Hz)が0.15以上0.50以下であるとすることができる。
本発明に係る離型フィルムは、前記離型層(A)が更に水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを含むものとすることができる。
本発明に係る離型フィルムは、前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーがスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体であるとすることができる。
本発明に係る離型フィルムは、前記クッション層(B)がα−オレフィン系共重合体を含むものであるとすることができる。
本発明に係る離型フィルムは、前記クッション層(B)に含まれるα−オレフィン系共重合体がエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)およびエチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)の群より選ばれる少なくとも一種の樹脂であるとすることができる。
本発明に係る離型フィルムは、前記クッション層(B)の、前記離型層(A)が設けられた面と反対面の側に更に当て板離型層(C)が設けられたものとすることができる。
本発明に係る離型フィルムは、前記当て板離型層(C)を構成する樹脂組成物がシンジオタクチックポリスチレンまたはポリプロピレンを主成分とするものであるとすることができる。
本発明に係る接着方法は、離型フィルム(F1)、接着体(S)、被着体(H)、離型フィルム(F2)をこの順に積層し、加熱プレスする接着方法であって、前記離型フィルム(F1)または(F2)の少なくとも一方が前記の離型フィルムである接着体の被着体への接着方法である。
本発明に係る回路基板の製造方法は離型フィルム(F1)、オーバーレイフィルム(S1)、プリント配線基板(H1)、離型フィルム(F2)をこの順に積層し、加熱プレスすることによる回路基板の製造方法であって、前記離型フィルム(F1)または(F2)の少なくとも一方が上記のいずれかに記載の離型フィルムである回路基板の製造方法である。
本発明に従うと、離型性、対形追従性および成形性に優れた離型フィルムを提供することができる。また本発明に係る離型フィルムは、例えば、FPCのCLプレスラミネート工程等に用いることができ、これによりプレス後の離型フィルム剥離性およびFPCの外観、CL端面からの接着剤の染み出し並びに後工程におけるFPCへのメッキ加工性を改善することができる。
本発明の離型フィルムは、離型層(A)とクッション層(B)とからなる離型フィルムであり前記離型層(A)が、SPS系樹脂を含み、かつ前記離型層の145℃における弾性率(測定方法:JISK7244準拠、引張モード、昇温速度5℃/min、周波数10Hz)が5.0×10Pa以上3.0×10Pa以下であることを特徴とし、この特徴により本発明は前記発明の効果を奏するものとなる。以下各構成について説明する。
(離型層(A))
本発明に係る離型フィルムの離型層(A)はSPS系樹脂を主成分として含む樹脂、即ちSPSが最も多く配合されている樹脂から構成されることが好ましい。(以下本発明において主成分とは最も多く配合されている成分をいう)。SPSは側鎖が交互に位置する立体規則性を有するシンジオタクチック構造を有するポリスチレンであり離型性に優れるため、離型フィルムの離型層として好適に用いられる。
本発明に係る離型フィルムの離型層(A)は、その145℃における弾性率(測定条件:JISK7244準拠、引張モード、昇温速度5℃/min、周波数10Hz)が5.0×10Pa以上3.0×10Pa以下であることが好ましく、更に好ましくは8.0×10Pa以上2.4×10Pa以下である。弾性率が上記範囲下限値以上であることにより離型性、(特にプレス加工時に生じる離型層同士の融着を抑制することができる点)に優れ、弾性率が上記範囲上限値以下であることにより対形追従性が改善される。
例えばFPC基板のプレスラミネート等に用いられる接着剤には、エポキシ系接着剤等の熱硬化性のものが多く、FPC基板等の被着体とCL等の接着体とを接着するにはプレス温度を常温(25℃程度)から180℃付近にまで昇温することが必要となる。しかしながらこの温度域(特に120℃以上145℃以下の温度域)において、離型フィルムのクッション層として一般的に用いられるオレフィン系樹脂等は、弾性率の著しい低下が進む。この場合、離型層の弾性率が所定の値よりも低いものであれば、クッション層の弾性率低下に伴いフィルムが全体として変形しやすいものとなる。そしてこの変形によりFPC等被着体を挟み込んだ状態で上下に配置された離型フィルム同士が絡み合うこととなり、離型フィルム同士の剥離に問題が生じることがある。これに対し本発明のように離型フィルムの離型層の弾性率を上記範囲とすることによりクッション層変形に伴う離型フィルム全体の変形を抑制し離型性を向上させることが可能となる。また更に120℃以上145℃以下の温度域において離型層(A)の弾性率を5.0×10Pa以上 6.0×10Pa以下、好ましくは8.0×10Pa以上6.0×10Pa以下とすることにより更に離型性と対形追従性を向上させることができる。
離型層(A)は、その損失係数(tanδ)の値を0.15以上0.50以下とすることが好ましく、特に0.15以上0.40以下とすることが好ましい。上記範囲下限値以上とすることにより対形追従性に優れ、上記範囲上限値以下であることにより離型性が改善される。
離型層(A)の弾性率を向上させる方法の例としては、共押出しにより得られた離型フィルムをオーブンや加熱プレスにより140度以上の高温でアニールする方法やインフレーション法のように押出後のフィルムを空気中で徐冷する方が具体的な例として挙げられる。また上記の方法で損失係数を抑制することが可能となる。
(弾性率及び損失係数の測定方法)
本発明において離型層の弾性率は、JISK7244に基づいて、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、DMS6100)を用い、引張りモード、周波数10Hz、昇温速度5℃/min、最小張力/圧縮比49mN、張力/圧縮力ゲイン1.0、力振幅初期値49mNで、25℃から250℃まで測定することにより評価した。また損失係数(tanδ)は、上記方法により、貯蔵剪断弾性率(G’)と損失剪断弾性率(G’’)を測定し、G’’/G’を算出することによりにより評価した。
本発明に係る離型フィルムの離型層(A)としては、SPSを単体として用いても良いが、求められる特性に応じてゴム状弾性体やその他の熱可塑性樹脂を配合したものであってもかまわない。ゴム状弾性体の具体例としては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、またはエチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、直鎖状低密度ポリエチレン系エラストマー等のオレフィン系ゴム、あるいはブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−スチレン−コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(AABS)、ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(SBR)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−シロキサンをはじめとするシロキサン含有コアシェルゴム等のコアシェルタイプの粒子状弾性体、またはこれらを変性したゴム等が挙げられる。また、ゴム状弾性体以外の熱可塑性樹脂としては、直鎖状高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ポリブテン、1,2−ポリブタジエン、4−メチルペンテン、環状ポリオレフィン及びこれらの共重合体に代表されるポリオレフィン系樹脂、アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、HIPS、ABS、AS、スチレンーメタクリル酸共重合体、スチレンーメタクリル酸・アルキルエステル共重合体、スチレンーメタクリル酸・グリシジルエステル共重合体、スチレンーアクリル酸共重合体、スチレンーアクリル酸・アルキルエステル共重合体、スチレンーマレイン酸共重合体、スチレンーフマル酸共重合体に代表されるはじめとするポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートをはじめとするポリエステル系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド6,6をはじめとするポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル、PPS等公知のものから任意に選択して用いることができる。なお、これらの熱可塑性樹脂は一種のみを単独で、または、二種以上を組み合わせて用いることができる。このなかでも、対形追従性の改善という観点からは水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、その中でもスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)または水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)を用いることが特に好ましい。
本発明に係る離型フィルムの離型層(A)の厚みは、10μm以上100μm以下が好ましく、更には15μm以上50μm以下が好ましい。上記範囲下限値以上であれば剥離時の離型層(A)の破損によるFPC等被着体表面の汚染を抑制することができる。また、離型層厚みを上記範囲上限値以下とすることにより好適な対形追従性を得ることができる。
(クッション層(B))
本発明に係る離型フィルムのクッション層(B)には、柔軟性を有する樹脂が用いられることによりフィルム全体としてのクッション性を改善する役割を果たす。これによりプレスラミネート等の接着工程において離型層及びFPC基板等の被着体に対してプレス熱板からの圧力及び熱が均等に伝わり離型フィルムと被着体との密着性や対形追従性が改善される。
クッション層に用いられる樹脂としては、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂と良好な密着性を有すること、また、プレス時に好適なクッション性を付与すると共に積層フィルムの端面からの流出を抑制することかできる樹脂が好ましい。このようなクッション層に用いられる樹脂としてはビカット軟化温度が50度以上160℃以下のもの好ましく。クッション層に用いられる樹脂が上記範囲下限値以上であることにより離型フィルム端面からの樹脂の染み出しが抑制しやすくなり、上記範囲上限値以下とすることにより離型フィルムのFPC等被着体への密着性が好適なものとなる。
クッション層に用いる材料としては、かかる公知の離型フィルムに用いられている樹脂フィルムが何れも採用することができる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィン系重合体;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン等を共重合成分として有するα−オレフィン系共重合体が挙げられ、これらを単独或いは複数併用してもよい。これらのうち好ましいものとしてはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)などのα−オレフィン系共重合体及びそれらの部分イオン架橋物などがCL接着剤染み出し量抑制の観点から好ましい。
本発明に係る離型フィルムのクッション層(B)の厚みは、20μm以上100μm以下とすることが好ましく、更には40μm以上80μm以下とすることが好ましい。上記範囲下限値以上とすることにより、クッション性が好適なものとなり離型フィルムのFPCへの埋め込み性が優れたものとなる。また、上記範囲上限値以下とすることにより フィルム端面への染み出しを抑制するこがと可能となる。
(当て板離型層(C))
本発明に係る離型フィルムの当て板離型層(C)は離型フィルムと当板との離型性を改善させる役割を果たす。当て板離型層(C)に用いられる樹脂は、金属製の当て板からの離型性が良好なものであれば特に限定はしないが、SPSを主成分とする樹脂やポリプロピレン系樹脂等を主成分とする樹脂が挙げられる。
本発明に係る離型フィルムの当て板離型層(C)の厚みは10μm以上100μm以下であることが好ましい。上記範囲下限値以上であれば当板からの好適な離型性が得られるという点で好ましく、上記範囲上限値以下とすることによりプレス時、熱板からの熱がFPCへ伝わりやすくなり密着性が向上する。
本発明に係る離型フィルムの全体としての厚さは離型フィルムの強度や柔軟性、密着性を考慮して70μm以上200μm以下が好ましく、更に好ましくは90μm以上150μm以下である。厚さが上記範囲となることにより離形性と対形追従性が共に好適なものとなる。また、フィルム全体としての好適なクッション性を得るためには、離型層の厚みはクッション層の厚みよりも小さいことが好ましい。
本発明に係る離型フィルムの離型層(A)とクッション層(B)とは、またはクッション層(B)と当て板離型層(C)とは、直接積層することによりフィルム端面からの樹脂の染み出しを抑制することができる。また、これらの層の密着性改善を図るためには接着層を介在させても良い。接着層を介在させる場合に接着層として用いられる樹脂としては、官能基をポリオレフィンに導入して接着性を付与した変性ポリオレフィン等が挙げられ、具体的には変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン、変性EVA等が挙げられる。
(離型フィルムの製造方法)
本発明の離型フィルムの製造方法は、特に限定されるものではなく共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法、インフレーション法等多層フィルムの製造において公知である方法を用いることができる。また上述のようにアニーリング処理や押出時に徐冷を行う等により離型層(A)の弾性率を向上させることができる。
(離型フィルムの使用方法)
本発明に係る離型フィルムは、例えばFPCの製造工程の一であるCLプレスラミネート工程において離型フィルムとして用いられる。例えば、当板/クッション紙/離型フィルム/CL/FPC/離型フィルム/クッション層/当板、という順で配置されプレスラミネート工程に供給される。
以下に本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。実施例及び比較例に使用した原料及びその物性は下記の通りである。
(原料)
(a)離型層
実施例、比較例ともに離型層(A)として
SPS:出光興産株式会社製 ザレックS104 を使用した。
(b)クッション層
実施例、比較例ともにクッション層(B)として
エチレンメチルメタアクリレート樹脂(EMMA):
アクリフト WD105−1(住友化学株式会社製)
(C)当て板離型層
当て板離型層(C)を設ける場合は、
SPS樹脂:出光興産株式会社製 ザレックS104 を使用した。
(離型フィルム作製方法)
実施例1については、2台の押出機に離型層(A)に用いられる樹脂(SPS)及び表1に示す組成からなるクッション層(B)に用いられる樹脂を供給し、二層リングダイにより(285℃)によりインフレーション法により離型フィルムを作成した。その他の実施例及び比較例については、2台の押出機に離型層(A)に用いられる樹脂(SPS)及び表1に示す組成からなるクッション層(B)に用いられる樹脂を供給し、二層ダイスにより(285℃)により共押出して離型フィルムを作成した。実施例4は3台の押出機に上記離型層(A)に用いられる樹脂、クッション層(B)に用いられる樹脂に加え、更に当て板離型層(C)に用いられる樹脂(SPS)を供給し3層ダイスによる共押出によって離型フィルムを作成した。
(アニール処理)
実施例2乃至4、並びに比較例2については共押出により離型フィルムを得た後、 加熱プレス機を用いて表1に記載示す温度及び時間によりアニーリング処理を行った。なお、実施例1および比較例1についてはアニール処理を行っていない。
(弾性率1:145℃)
実施例および比較例の離型フィルムの離型層(A)をクッション層(B)から溶剤処理により剥離し、離型層(A)の145℃における弾性率を前記測定方法により評価し弾性率1とした。結果を表1に示す。
(弾性率2:最小値)
上記弾性率1と同様に、実施例および比較例の離型フィルムの離型層(A)をクッション層(B)から剥離し、離型層(A)の120℃以上145℃以下の温度域における弾性率の最小値を前記測定方法により評価し弾性率2とした。結果を表1に示す。
(弾性率3:最大値)
上記弾性率1と同様に実施例および比較例の離型フィルムの離型層(A)をクッション層(B)から剥離し、離型層(A)の120℃以上145℃以下の温度域における弾性率の最大値を前記測定方法により評価し弾性率3とした。結果を表1に示す。
(損失係数tanδ)
上記弾性率1と同様に実施例および比較例の離型フィルムの離型層(A)をクッション層(B)から剥離し、離型層(A)の145℃おける貯蔵剪断弾性率(G’)と損失剪断弾性率(G’’)を測定し、G’’/G’を算出することによりにより評価した。結果を表1に示す。
(プレス評価方法)
上記作製方法により得られた離型フィルムを用い、当板/クッション紙/離型フィルム/CL/FPC/離型フィルム/クッション紙/当板の順となるようなプレス構成にて、一段型プレス機によりプレスした。プレスにあたっては加圧(5MPa)条件下において昇温速度10℃/分にて170℃まで昇温を行い、ついで30℃分間保持の後常温まで冷却した。その後、プレスサンプルについて以下の項目と基準で評価を行なった。なお、下記評価は、社団法人日本電子回路工業会(以下、JPCAと略す)のJPCA規格(デザインガイドマニュアル 片面及び両面フレキシブルプリント配線版 JPCA−DG02)に準拠し、以下のような項目と基準で行なった。
(評価項目)
離型性1:離型性1は離型フィルムのFPCからの離型性を評価した。具体的には、「JPCA規格 7.5.7.1項表面の付着物」に準拠し、CLプレスラミネート後の離型フィルムのFPCからの剥離状態を目視にて評価した。
評価サンプル数を各n=100として評価を行い、サンプル表面に破れが発生したものの数が評価サンプル数の5%未満のものを合格とした。
○:破れ発生率 3%未満
△:破れ発生率 3%以上5%未満
×:破れ発生率 5%以上
離型性2:離型性2はFPC及びCLを挟むように上下に配置されたプレスワーク外での離型フィルム同士の離型性を評価した。評価サンプル数を各n=100として評価を行い、サンプルに破れが発生したものの数が評価サンプル数の5%未満のものを合格とした。
○:破れ発生率 5%未満
×:破れ発生率 5%以上
CL接着剤の染み出し量:
回路基板にCLの接着剤層の染み出しがあるか否かを「JPCA規格の7.5.3.6項カバーレイの接着剤の流れおよびカバーコートのにじみ」に準拠し、回路端子部への染み出し量を評価した。染み出し量が150μm未満を合格とした。
○:染み出し量 150μm未満
×:染み出し量 150μm以上
成形性:成形性は、「JPCA規格の7.5.3.3項の気泡」に準じて目視にて評価した。各符号は、以下の通りである。評価サンプル数を各n=100として評価を行い、サンプル表面にボイドが確認されたものの数が評価サンプル数の2%未満のものを合格とした。
○:ボイド発生率 2.0%未満
×:ボイド発生率 2.0%以上
上記実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。実施例1〜4は総て離型性,CL接着剤の染み出し量、成形性において良好な結果となった。一方、比較例1および2はCL接着剤の染み出し量および成形性については良好な結果となっているものの、離型性、特に離型フィルム同士の離型性において不良発生率が増加するという結果であった。
Figure 2010137434
本発明に係る離型フィルムは離型性、対形追従性およびプレス後の被着体である製品外観の改良に優れており、例えばFPCのプレスラミネート工程に用いられる離型フィルムとして好適に用いられる。

Claims (11)

  1. 離型層(A)とクッション層(B)とを有する離型フィルムであって、
    前記離型層(A)が、シンジオタクチックポリスチレン系樹脂を主成分とし、
    かつ前記離型層(A)の145℃における弾性率(測定条件:JIS K7244準拠、引張モード、昇温速度5℃/min、周波数1Hz)が5.0×10Pa以上3.0×10Pa以下である離型フィルム。
  2. 前記離型層(A)の120℃以上145℃以下の温度域における弾性率(測定条件:JISK7244準拠、引張モード、昇温速度5℃/min、周波数1Hz)が5.0×10Pa以上6.0×10Paである請求項1記載の離型フィルム。
  3. 前記離型層(A)の145℃における損失係数(tanδ)(測定方法:JISK7244準拠、引張モード、昇温速度5℃/min、周波数10Hz)が0.15以上0.50以下である請求項1記載の離型フィルム。
  4. 前記離型層(A)が更に水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを含む請求項1記載の離型フィルム。
  5. 前記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが、
    スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、または
    スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体である請求項4記載の離型フィルム。
  6. 前記クッション層(B)がα−オレフィン系共重合体を含むものである請求項1記載の離型フィルム。
  7. 前記クッション層(B)に含まれるα−オレフィン系共重合体がエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)およびエチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)の群より選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項6記載の離型フィルム。
  8. 前記クッション層(B)の、前記離型層(A)が設けられた面と反対面の側に更に当て板離型層(C)が設けられた請求項1記載の離型フィルム。
  9. 前記当て板離型層(C)を構成する樹脂組成物がシンジオタクチックポリスチレンまたはポリプロピレンを主成分とするものである請求項6記載の離型フィルム。
  10. 離型フィルム(F1)、接着体(S)、被着体(H)、離型フィルム(F2)をこの順に積層し、加熱プレスする接着方法であって、
    前記離型フィルム(F1)または(F2)の少なくとも一方が請求項1乃至7のいずれか1項に記載の離型フィルムである接着体の被着体への接着方法。
  11. 離型フィルム(F1)、カバーレイフィルム(S1)、プリント配線基板(H1)、離型フィルム(F2)をこの順に積層し、加熱プレスするプリント配線基板のプレスラミネート方法を用いた回路基板の製造方法であって、前記離型フィルム(F1)または(F2)の少なくとも一方が請求項1乃至7のいずれかに記載の離型フィルムである回路基板の製造方法。
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