JP2010131621A - 鍛造割れ発生予測方法と鍛造方法 - Google Patents

鍛造割れ発生予測方法と鍛造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱間自由鍛造プレスを用いて軸材などの鍛造品を製造する場合に、被鍛造材の表面割れ発生の有無を予測する簡便な方法を確立して、表面割れ発生を防止できる鍛造制御方法を提供することである。
【解決手段】熱間自由鍛造における鍛造割れ発生予測を、熱間試験により被鍛造材の破壊データを採取するステップS1と、前記熱間試験の試験片の変形解析により破壊データと同じ値を示すときの応力を求め、破壊条件式を用いて被鍛造材の破壊閾値を同定するステップS2と、熱間自由鍛造における被鍛造材の熱連成変形解析により求めた被鍛造材の応力を破壊条件式に代入して被鍛造材の破壊パラメータを算出するステップS3を備えた鍛造割れ予測方法を用いて、破壊パラメータが破壊閾値以上になった場合に、プレス速度を制御して鍛造割れを防止するようにした。
【選択図】図3

Description

この発明は、自由鍛造プレスを用いて加熱した鋼塊を金敷で圧下して、軸材などの鍛造品を製造する場合に発生し得る表面割れを予測する方法とこの予測方法を用いて表面割れ発生を防止する鍛造方法に関する。
熱間自由鍛造により、例えば軸材を製造する場合、通常、鋼塊を所要の温度にまで加熱後、まず、平工具(平金敷)により鋼塊の軸方向に据え込み鍛造を行ない、その後に、この軸と直角方向に、前記平工具による圧下とマニピュレータによる送りを繰り返して鍛錬をしながら、仕上げ形状まで鍛伸されて、軸材に仕上げられる。この鍛伸工程の過程で、圧下量が不適切な場合などに、被鍛造材の表面に割れが発生して、後工程で疵取り作業が必要となる場合がある。従来から、この表面割れは、平工具で圧下した際の、被鍛造材の軸方向に発生する引張り応力に起因することが、変形解析により明らかにされている。しかし、被鍛造材の材質が異なると、同一鍛造条件でも表面割れが発生しない場合もあるため、この表面割れ発生の有無については、被鍛造材の材質の影響を考慮する必要がある。
従来、例えば、特許文献1では、このような表面疵の発生を防止し、また内部の結晶粒を微細化して、表面品質および内部品質に優れた鍛造品を得るために、被鍛造材のパスサイズに対応した1パスあたりのサイズ変化量および/または送り速度を設定することにより、被鍛造材の加工発熱量を調整し、この被鍛造材に適した加工温度にして鍛造を行なう方法が開示されている。また、特許文献2では、一方から加熱した成形用材料を送り込み、幾つかの段階的な加圧変形を加えて行き他方から成形完了品が送り出される連続的な自動鍛造プレスにおいて、運転開始時および運転終了時、または成形用材料の加熱供給装置に不具合が発生した場合などで、全工程の型内には成形用材料を送り込むことばできない場合に、少数の成形用材料に大きなプレス荷重が加わって成形品厚みの減少等の不良品の発生を防止して、均一な形状寸法の成形品を得るために、スライドの下死点の位置を移動させてプレス荷重を調整するプレス荷重制御装置が開示されている。
特開平1−284449号公報 特開平2−75500号公報
しかし、特許文献1に開示された鍛造方法では、被鍛造材の材質が異なる場合には、予め、その都度加工発熱量を実験または解析により求めて、適切な加工温度となるように、1パスあたりのサイズ変化量および/または送り速度を設定する必要があるため、煩雑である。また、特許文献2では、連続的な自動鍛造プレスにおいて、成形品厚みの減少等の不良品の発生を防止して均一な形状寸法の成形品を得るために、プレス荷重の鍛造因子を制御することは開示されているが、被鍛造材の表面割れを防止するための鍛造因子の制御については何も記載されていない。
そこで、この発明の課題は、熱間自由鍛造で軸材などの鍛造品を製造する場合に、被鍛造材の表面割れ発生の有無を予測する簡便な方法を確立して、表面割れ発生を防止できる鍛造制御方法を提供することである。
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
請求項1に係る鍛造割れ発生予測方法は、加熱した被鍛造材を鍛造プレスに取り付けた上下の金敷で加圧する熱間自由鍛造における鍛造割れ発生予測方法であって、この予測方法が、熱間試験により被鍛造材の破壊データを採取するステップS1と、前記熱間試験の試験片についての変形解析により前記破壊データと同じ値を示すときの応力およびひずみを求め、破壊条件式を用いて被鍛造材の破壊閾値を同定するステップS2と、熱間自由鍛造における被鍛造材の熱連成変形解析により被鍛造材の応力およびひずみを求め、前記破壊条件式を用いて、被鍛造材の破壊パラメータを算出するステップS3を備え、この破壊パラメータと前記破壊閾値を比較することにより、被鍛造材の鍛造割れ発生を予測することを特徴とする。
請求項2に係る鍛造割れ発生予測方法は、前記熱間試験が高温引張り試験であり、前記被鍛造材の破壊データが、試験温度および引張り速度をそれぞれ変化させて採取した破断時の伸びまたは絞りであることを特徴とする。
請求項3に係る鍛造割れ発生予測方法は、前記破壊閾値を、温度およびひずみ速度ごとに同定するようにしたことを特徴とする。
請求項4に係る鍛造割れ発生予測方法は、前記破壊条件式が式(1)若しくは式(2)に示すコックロフトの式、または式(3)に示す大矢根の式であることを特徴とする。
コックロフトの式:C=∫σmaxdε--(1) C=∫σmax/σeqdε--(2)
大矢根の式:C=∫(a+(1/b)×(σ/σeq))dε---------(3)
ここで、σmax:最大主応力、σeq:相当応力、σ:静水圧応力、a,b:材料定数である。
請求項5に係る鍛造制御方法は、鍛造プレスに取り付けた上下の金敷で、加熱した被鍛造材を、その軸方向に対して垂直方向に圧下する動作と軸方向への送り動作を交互に繰り返し、同一方向への軸方向の送り動作を1パスとして、前記圧下動作と送り動作を複数パスにわたり行なって軸材に仕上げる熱間自由鍛造における鍛造制御方法であって、この鍛造制御方法が、被鍛造材の前記1パスにおける圧下量およびプレス速度からひずみ速度を算出するステップSaと、被鍛造材の温度を測定するステップSbと、請求項1から4のいずれかの鍛造割れ発生予測方法において同定した被鍛造材の破壊閾値を用いて、または鍛造実績から作成した被鍛造材の破壊閾値データベースを用いて、前記算出したひずみ速度と測定した温度に対応する被鍛造材の破壊閾値を求めるステップScと、被鍛造材の変形解析を行ない、被鍛造材の応力およびひずみを求め、請求項4に記載した式(1)から式(3)のいずれかの破壊条件式を用いて被鍛造材の破壊パラメータを求めるステップSdを備え、この破壊パラメータが前記破壊閾値を超え、かつ圧下量が目標圧下量に到達していないときにプレス速度を制御することを特徴とする。
請求項6に係る鍛造制御方法は、鍛造プレスに取り付けた上下の金敷で、加熱した被鍛造材を、その軸方向に対して垂直方向に圧下する動作と軸方向への送り動作を交互に繰り返し、同一方向への軸方向の送り動作を1パスとして、前記圧下動作と送り動作を複数パスにわたり行なって軸材に仕上げる熱間自由鍛造における鍛造制御方法であって、この鍛造制御方法が、被鍛造材の前記1パスあたりの圧下量およびプレス速度からひずみ速度を算出するステップSaと、被鍛造材の温度を測定するステップSbと、請求項1から4のいずれかの鍛造割れ発生予測方法において同定した被鍛造材の破壊閾値を用いて、または鍛造実績から作成した被鍛造材の破壊閾値データベースを用いて、前記算出したひずみ速度と測定した温度に対応する被鍛造材の破壊閾値を求めるステップScと、被鍛造材の変形解析を行ない、被鍛造材の応力およびひずみを求め、請求項4に記載した式(1)から式(3)のいずれかの破壊条件式を用いて被鍛造材の破壊パラメータを求めるステップSdを備え、この破壊パラメータが前記破壊閾値を超え、かつ圧下量が目標圧下量に到達しているとき、当該圧下が前記1パスにおける最終圧下でない場合に、噛み込み量を制御することを特徴とする。
請求項7に係る鍛造制御方法は、前記被鍛造材の変形解析が、被鍛造材と金敷間の熱伝導、被鍛造材から鍛造雰囲気への熱伝達、および被鍛造材の加工発熱を考慮した熱連成変形解析であることを特徴とする。
この発明では、高温引張り試験などの熱間試験により求めた伸び・絞りなどの破壊時における材料データと熱間試験片の変形解析および破壊条件式を用いて被鍛造材の破壊閾値を同定し、熱間自由鍛造における被鍛造材の熱連成変形解析と破壊条件式を用いて算出した破壊パラメータを破壊閾値と比較するようにしたので、鍛造割れ発生を簡便かつ精度よく予測することができる。また、被鍛造材の温度およびひずみ速度に対応付けた、鍛造割れ発生予測方法における破壊閾値と、被鍛造材の実測温度および熱連成変形解析と破壊条件式を用いて算出した破壊値とを比較し、破壊値≧破壊閾値の場合に、熱間自由鍛造工程においてプレス速度を制御するようにしたので、オンラインで鍛造割れ発生を抑制することができる。
以下に、この発明の実施形態を添付の図1〜図9に基づいて説明する。
図1は、熱間自由鍛造により、鋼などの素材(被鍛造材)を軸材に鍛伸成形する鍛造工程における被鍛造材の断面形状が四角形の場合の鍛造を模式的に示したものである。素材(被鍛造材)1は、鍛造プレス(図示省略)に取り付けた上下の平工具2、2aにより、高さH(圧下方向の寸法)×幅Wの被鍛造材の軸方向に対して垂直方向の、対向する2方向から圧下する動作とマニュピレータ(図示省略)による軸方向への送り動作を交互に繰り返し、通常、1回(第1パス)の軸方向の送りが終了するごとに、図2に被鍛造材1の断面寸法形状を示すように、第2パスでは、被鍛造材1bを90度回転させ、送り方向を反転させて、前パス(第1パス)の被圧下面1s(側面)を対向する2方向から圧下し、断面寸法を減少させ、このようなパスを必要に応じて、第3パス以降繰り返し、目標寸法に鍛伸される。この鍛造工程で、圧下量ΔHは、第1パスではΔH=H0−H1、第2パスではΔH=W1−W2となる。
図3は、実施形態の鍛造割れ発生予測方法およびこの予測方法を用いた鍛造制御方法の流れを示したものである。まず、素材の材質(例えば、鋼種または化学成分)をインプットし、併せて目標圧下量ΔHa、目標噛み込み量Ba、初期プレス速度Fs0およびパス数Npをインプットした後(S10)、過去の熱間試験データがあるかどうかを確認する(S20)。熱間試験データがない場合、素材から、例えば、図4に示すような引張り試験片(JIS14号(A)試験片)を作製して、高温引張り試験を実施し、試験温度および引張り速度(ひずみ速度)をそれぞれ変化させて、破壊データ(伸びまたは絞り)を採取する(S30、ステップ1に対応する)。そして、例えば、剛塑性有限要素法などの解析手段を用いて、この高温引張り試験時の試験片の変形解析を行い、前記破壊データと同じ値を示すときの、破壊(破断)部位の応力を求め、この変形解析応力値を用いて、前記の破壊条件式(コックロフトの式(1)、(2)または大矢根の式(3))により、被鍛造材の破壊閾値を同定し、例えば、表1に示すような材料データベースを作成する(S40、ステップ2に対応する)。
Figure 2010131621
上記表1で、ひずみ速度Er、変形温度Tn、破壊閾値CLの各添字nは、データ数を示す。すなわち、1水準のひずみ速度、例えばEr1に対して、n水準の変形温度(高温引張り試験温度)Tおよび破壊閾値CLをデータベースに収納していることを意味する。
次に、熱間自由鍛造(鍛伸加工)を行なうあたり、被鍛造材の形状(幅Wおよび高さH)を、例えば、2次元CCD撮像素子を備え、赤外線(波長650nm以上)透過フィルタを装着したカメラで、温度を放射温度計によりそれぞれ測定する(S50、ステップSbに対応する)。そして、前記の第1パスにおける、鍛造前後の被鍛造材の高さHの実測値から圧下量ΔHを算出し、上下の平工具2、2a(図1参照)が被鍛造材1を圧下している時間Tを実測して(具体的実測方法)、プレス速度Psを算出し(Ps=ΔH/T、S60)、ひずみEsを、Es=ln(ΔH/H)により、ひずみ速度Erを、Er=Es/Tにより算出する(S70、ステップSaに対応する)。
次に、鍛造中の実績データの有無を確認する(S80)。(a)実績データがない場合、被鍛造材の温度(S50)およびひずみ速度Er(S70)から、材料データベース(S40、表1)を用いて破壊値を求め、この破壊値を破壊閾値CLとする。被鍛造材の温度(変形温度T)およびひずみ速度Erが、表1の材料データベースにない場合には、線形補間または回帰式により、これらの値T、Erに対応する破壊閾値CLを算出することができる。並行して、被鍛造材の変形解析を行い、通常、割れが発生する部位である被鍛造材の自由表面について、前記破壊条件式を用いて破壊値(破壊パラメータ)Cを算出する(S90、ステップ3、ステップScおよびSdに対応する)。(b)実績データがある場合、前記材料データベース(S40、表1)の代わりに、例えば、表2に示すように、鍛造実績に基づいた材料データベース、すなわち実機での鍛造中に、割れが発生した部位の応力状態を変形解析により求め、この解析応力から前記破壊条件式を用いて破壊値(破壊パラメータ)すなわち割れ発生の限界破壊値である破壊閾値CLを算出し、プレス速度Ps(ひずみ速度に対応する)、鍛造温度Tおよび噛み込み量Bと破壊閾値CLを対応付けた実機材料データベースを用いる。そして、並行して行なう被鍛造材の鍛造条件変形解析結果を用いて、破壊値(破壊パラメータ)Cを算出する(S100、ステップ3、ステップScおよびSdに対応する)。
Figure 2010131621
上記表2で、kおよびnは、データ数を示しており、1水準の被鍛造材(材質、断面形状、寸法)に対して、k水準の噛み込み量Bのデータ、n水準のプレス速度、鍛造温度および破壊閾値CLがデータベースに収納されていることを示す。ここで、データ数k<nであり、1水準の噛み込み量Bに対して、複数のプレス速度Ps、鍛造温度Tおよび破壊閾値CLのデータが収納されている。実機での鍛造条件(B、Ps、T)が表2の実機材料データベースにない場合には、補間または回帰式により、実機での鍛造条件(B、Ps、T)に対応する破壊閾値CLを算出することができる。
次に、上記S90またはS100で求めた破壊値Cと破壊閾値CLとを比較する(S110)。
(1)破壊値C<破壊閾値CLの場合、実機圧下量ΔHと目標圧下量ΔHaとが等しいかどうかを比較する(S120)。(a)ΔH≠ΔHaの場合、すなわちΔH<ΔHaの場合、S50〜S120を繰り返して、圧下量ΔHが目標圧下量ΔHaとなるまで圧下を継続する。(b)ΔH=ΔHaの場合、当該圧下が、当該パスの最終圧下かどうかを確認する(S140)。
(2)破壊値C≧破壊閾値CLの場合も実機圧下量ΔHと目標圧下量ΔHaとが等しいかどうかを比較する(S120a)。a)ΔH≠ΔHaの場合、すなわちΔH<ΔHaの場合、まずプレス速度Fsを、以下に示す式(4)により算出される速度増加分ΔFsだけ上昇させた後(S150)、S50〜S110を繰り返して圧下を継続する。
ΔFs=ln(ΔH/H)/(P/(Q・K・A))1/m −Fs0
--------(4)
ここで、Fs0:設定プレス速度、H:素材(被加工材)高さ、ΔH:圧下量、P:プレス荷重、Q:拘束係数、K:材料定数(変形抵抗)、A:金型との接触面積、m:ひずみ速度依存指数、である。
(b)ΔH=ΔHaの場合、当該圧下が当該パスの最終圧下かどうかを確認する(S140a)。
前記S140により、(1)当該圧下が当該パスにおける最終圧下である場合、当該パスが最終パスであるかどうかを確認する(S170)。(a)当該パスが最終パスであれば、割れ発生予測方法を用いた鍛造制御を終了する。(b)当該パスが最終パスでない場合、次パスの最初の圧下に対して、S50以下を実行する。(2)当該圧下が当該パスにおける最終圧下でない場合、次圧下に対して、S50以下を実行する。
前記S140aにより、(1)当該圧下が当該パスにおける最終圧下である場合、当該パスが最終パスであるかどうかを確認する(S170)。(a)当該パスが最終パスであれば、割れ発生予測方法を用いた鍛造制御を終了する。(b)当該パスが最終パスでない場合、次パスの最初の圧下に対して、S50以下を実行する。(2)当該圧下が当該パスにおける最終圧下でない場合、表2に示した鍛造実績に基づいた材料データベースから適正噛み込み量(適正送り量)を算出して、噛み込み量(送り量)Bを変更する(S150)。変更前の噛み込み量B1と変更後の噛み込み量B2とは下記の式(5)の関係で表せるため、式(5)から、噛み込み量変更後のひずみ速度Er2を逆算することができる。
B2=B1×((Er1)m1/(Er2)m2)------------------(5)
ここで、B2:変更後の噛み込み量、B1:変更前の噛み込み量、Er2:変更後の予測ひずみ速度、Er1:変更前のひずみ速度、m1、m2:ひずみ速度依存性指数
なお、上記(2)当該圧下が当該パスにおける最終圧下でない場合に噛み込み量(送り量)Bを変更するのは、当該圧下では目標圧下量に到達しているため、次圧下に対しては、プレス速度を変更するよりも、噛み込み量(送り量)Bを変更する方が、操業上容易なことによる。
前記噛み込み量変更後のひずみ速度Er2と被鍛造材の温度から、鍛造実績に基づいた材料データベース(表2)または材料データベース(S40)を用いて破壊閾値を算出し、この破壊閾値と当該圧下での、破壊閾値を超えた破壊値と比較し、変更後の破壊閾値>当該圧下の破壊値であれば、変更後の噛み込み量B2を目標噛み込み量として設定し、変更後の破壊閾値<当該圧下の破壊値であれば、変更後の噛み込み量B2をさらに小さくして、変更後の破壊閾値>当該圧下の破壊値となるように噛み込み量B2を設定し(S160)、S50以下を実行する。以下、実施例について記載する。
小型真空溶解炉で溶製した、表1に示す化学成分の鋳塊(寸法)を、鍛錬比3で鍛錬した後、図4に示す高温引張り試験片(JIS試験片)を切り出した。図5に示すように、真空中または窒素などの不活性ガス雰囲気中において、5℃/sの加熱速度で1230℃まで昇温させた後、2℃/sで引張り試験温度T℃まで降温させた。引張り試験は、ひずみ速度を2水準変化させて実施し、破壊データ(伸びおよび絞り)を採取した。引張り試験条件を表3に示す。なお、ひずみ速度は、実機のプレスデータに基づいて決定したものである。なお、実機鍛造の場合と同様の加熱条件になるように、引張り試験片を、酸化性雰囲気中で加熱して酸化させて、引張り試験を実施してもよい。
Figure 2010131621
Figure 2010131621
図6は、加工温度(引張り試験温度)と絞りの関係を示したものである。同一の加工温度において、ひずみ速度が低いと絞りも低くなっており、ひずみ速度の差が絞り値に顕著に現れることがわかる。一方、加工温度と伸びの関係(図示省略)においては、ひずみ速度が変化してもほぼ同一の伸びを示すことが認められた。図7は、表1に示した供試材の材料特性(変形抵抗)を考慮して、前記高温引張り試験における試験片の変形解析を、汎用の有限要素法のプログラム( )を用いて行い、絞りが図6に示した値と同じ値となるときの応力値を用いて、
前記コックロフトの式(2)により、破壊値(破壊パラメータ)Cすなわち破壊閾値CLを求めた。図7は、この破壊閾値CLを、それぞれのひずみ速度の場合について、加工温度に対してプロットしたものである。図中の破壊閾値CLを超えると、割れが発生すると判定することができ、熱間自由鍛造時の表面割れを予測することが可能である。
素材(鋼塊)から軸材に鍛伸成形する鍛造工程における、表1に示した化学成分の、断面形状が図8に示す略正八角形の被鍛造材(対辺寸法S1=800mm、化学成分:表1)を、鍛造開始時(1パス目)の温度は、表層部650℃、中心部850℃で、自由鍛造プレスに取り付けた上下の平金型により、1パスあたりの圧下量(ΔH)がそれぞれ150mmで、上下方向に圧下する鍛造を2パス実施して、対辺寸法S2(S2=650mm)の八角形に減面した。第2パスでは第1パスとは90°異なる(回転させた)方向から圧下する。本実施例2では、破壊閾値CLとして、上記の高温引張り試験で採取した破壊データ(絞り)から、上記式(3)(大矢根の式)を用いて、a=0、1/b=3として算出した破壊値(破壊パラメータ)を用いた。この破壊閾値CLを図9に示す。なお、係数1/bは、同一試験温度および同一ひずみ速度における破壊データ(絞りおよび伸び)を用いて決定することができる。
表5は、2パス鍛造後の被鍛造材の表面割れの発生の有無を目視にて判定した結果を示したものである。図3に示した鍛造制御方法を用いてプレス速度を制御した実施例では、2パス鍛造後に被鍛造材の表面に割れの発生は認められなかった。一方、本願の鍛造制御方法を用いず、プレス速度を初期設定速度から制御しなかった比較例では、2パス鍛造後に被鍛造材の表面に割れの発生が認められた。
Figure 2010131621
軸材へ鍛伸成形する鍛造の1工程を模式的に示す説明図である。 図1の鍛造工程における被鍛造材の断面形状を示す説明図である。 実施形態の割れ予測方法を用いた鍛造制御方法の流れを示す説明図である。 高温引張り試験の試験片形状を示す説明図である。 高温引張り試験の温度パターンを示す説明図である。 高温引張り試験における加工温度と絞りとの関係を示す説明図である。 高温引張り試験による加工温度とコックロフトの式による破壊値(破壊閾値)との関係を示す説明図である。 軸材へ鍛伸成形する鍛造の他の1工程を模式的に示す説明図である。 高温引張り試験による加工温度と大矢根の式による破壊値(破壊閾値)との関係を示す説明図である。
符号の説明
1、1a、1b、1c:被鍛造材 1s:側面(自由表面) 2、2a:平金型

Claims (7)

  1. 加熱した被鍛造材を、鍛造プレスに取り付けた上下の金敷で加圧する熱間自由鍛造における鍛造割れ発生予測方法であって、この予測方法が、熱間試験により被鍛造材の破壊データを採取するステップS1と、前記熱間試験の試験片についての変形解析により前記破壊データと同じ値を示すときの応力およびひずみを求め、破壊条件式を用いて被鍛造材の破壊閾値を同定するステップS2と、熱間自由鍛造における被鍛造材の熱連成変形解析により被鍛造材の応力およびひずみを求め、前記破壊条件式を用いて、被鍛造材の破壊パラメータを算出するステップS3を備え、この破壊パラメータと前記破壊閾値を比較することにより、被鍛造材の鍛造割れ発生を予測することを特徴とする鍛造割れ発生予測方法。
  2. 前記熱間試験が高温引張り試験であり、前記被鍛造材の破壊データが、試験温度および引張り速度をそれぞれ変化させて採取した破断時の伸びまたは絞りであることを特徴とする請求項1に記載の鍛造割れ発生予測方法。
  3. 前記破壊閾値を、温度およびひずみ速度ごとに同定するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の鍛造割れ発生予測方法。
  4. 前記破壊条件式が式(1)若しくは式(2)に示すコックロフトの式、または式(3)に示す大矢根の式であることを特徴とする請求項1または2に記載の鍛造割れ発生予測方法。
    コックロフトの式:C=∫σmaxdε--(1) C=∫σmax/σeqdε--(2)
    大矢根の式:C=∫(a+(1/b)×(σ/σeq))dε---------(3)
    ここで、σmax:最大主応力、σeq:相当応力、σ:静水圧応力、a,b:材料定数である。
  5. 鍛造プレスに取り付けた上下の金敷で、加熱した被鍛造材を、その軸方向に対して垂直方向に圧下する動作と軸方向への送り動作を交互に繰り返し、同一方向への軸方向の送り動作を1パスとして、前記圧下動作と送り動作を複数パスにわたり行なって軸材に仕上げる熱間自由鍛造における鍛造制御方法であって、この鍛造制御方法が、被鍛造材の前記1パスにおける圧下量およびプレス速度からひずみ速度を算出するステップSaと、被鍛造材の温度を測定するステップSbと、請求項1から4のいずれかの鍛造割れ発生予測方法において同定した被鍛造材の破壊閾値を用いて、または鍛造実績から作成した被鍛造材の破壊閾値データベースを用いて、前記算出したひずみ速度と測定した温度に対応する被鍛造材の破壊閾値を求めるステップScと、被鍛造材の変形解析を行ない、被鍛造材の応力およびひずみを求め、請求項4に記載した式(1)から式(3)のいずれかの破壊条件式を用いて被鍛造材の破壊パラメータを求めるステップSdを備え、この破壊パラメータが前記破壊閾値を超え、かつ圧下量が目標圧下量に到達していないときにプレス速度を制御することを特徴とする鍛造制御方法。
  6. 鍛造プレスに取り付けた上下の金敷で、加熱した被鍛造材を、その軸方向に対して垂直方向に圧下する動作と軸方向への送り動作を交互に繰り返し、同一方向への軸方向の送り動作を1パスとして、前記圧下動作と送り動作を複数パスにわたり行なって軸材に仕上げる熱間自由鍛造における鍛造制御方法であって、この鍛造制御方法が、被鍛造材の前記1パスあたりの圧下量およびプレス速度からひずみ速度を算出するステップSaと、被鍛造材の温度を測定するステップSbと、請求項1から4のいずれかの鍛造割れ発生予測方法において同定した被鍛造材の破壊閾値を用いて、または鍛造実績から作成した被鍛造材の破壊閾値データベースを用いて、前記算出したひずみ速度と測定した温度に対応する被鍛造材の破壊閾値を求めるステップScと、被鍛造材の変形解析を行ない、被鍛造材の応力およびひずみを求め、請求項4に記載した式(1)から式(3)のいずれかの破壊条件式を用いて被鍛造材の破壊パラメータを求めるステップSdを備え、この破壊パラメータが前記破壊閾値を超え、かつ圧下量が目標圧下量に到達しているとき、当該圧下が前記1パスにおける最終圧下でない場合に、噛み込み量を制御することを特徴とする鍛造制御方法。
  7. 前記被鍛造材の変形解析が、被鍛造材と金敷間の熱伝導、被鍛造材から鍛造雰囲気への熱伝達、および被鍛造材の加工発熱を考慮した熱連成変形解析であることを特徴とする請求項5または6に記載の鍛造制御方法。
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