JP2015155112A - 数値シミュレーション方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、鍛造部材の大型化に伴う圧下荷重の増加により、従来の熱間鍛造方法で大型化の鍛造部材を製造することが不可能となることがあった。その課題を解消する方法として、熱間自由鍛造方法(逐次回転鍛造方法)が用いられるようになった。
詳しくは、熱間自由鍛造方法は、加熱された円柱状の元材が載置された下金型、若しくは、当該下金型の上方に配備された上金型を、垂直軸回りに一定の角度(例えば、回転軸心方向右回りに10°)に回転させた後、円柱状の元材に対して上金型を圧下させて変形させ、変形させた後に一度上金型を上方に引き上げて、再度下金型若しくは上金型を、一定の角度に回転させた後、また元材に対して上金型を圧下させて変形させる鍛造方法であり、所望の鍛造部材となるまで、下金型若しく上金型を逐次回転させて鍛造を行う手順を繰り返してゆくものである。
特許文献1には、元材を載せた下金型と該下金型を押圧する上金型とを有し、前記上金型又は下金型を押圧方向軸回りに回転させた後に前記上金型を下金型へ押し付けることで、元材を椀形状のプレス成型材へと成型するプレス金型において、前記下金型は、前記椀形状を形成可能な凹状の金型面を有し、前記上金型は立板形状とされていて、当該上金型の下端面は、前記下金型の金型面側に向かって突出する凸状押圧面とされていて、前記凸状押圧面の最も下方に突出した部位には、上方に凹状とされた切り欠き部が形成されているプレス金型が開示されている。
このように、熱間自由鍛造をする際の元材の形状、上金型の圧下荷重などを数値シミュレーションで予測する技術としては、例えば、特許文献2に開示されたものがある。
具体的には、上記したように、高出力化された原子力発電プラントなどに用いられる大型化の圧力容器を製造するには、非常に大きな圧下荷重が必要である。このような大きな圧下荷重による鍛造の状況を数値シミュレーションにより求めようとしても、摩擦の影響などを考慮しただけの数値モデル(特許文献2などの従来の数値シミュレーション技術)では、対応しきれなくなってきている。その一方で、大型の部材の鍛造において、精度よく元材の形状、及び上金型の圧下荷重などを予測したいとの要望が現場から上がってきており、予測精度の高い数値シミュレーション技術が熱望されている。
本発明に係る数値シミュレーション方法は、加熱された元材を載置した下金型と当該下金型を圧下する上金型とを用いて、前記上金型又は前記下金型を圧下方向の軸心回りに回転させた後に前記上金型を前記下金型へ押し付けて前記元材を凹形状の部材へと鍛造するに際しては、前記元材の変形をシミュレーション可能とする数値モデルを、前記元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの間に生じる変形抵抗の時間変化を考慮するように構築しておき、前記変形抵抗の時間変化が考慮された前記数値モデルを用いて、鍛造中の圧下状況を予測することを特徴とする。
好ましくは、前記変形抵抗は、前記圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの時間(s)をパラメータとしているとよい。
好ましくは、前記変形抵抗を下式で算出するとよい。
好ましくは、前記変形抵抗を次式で算出するとよい。
図1は、本発明に係る数値シミュレーション方法が適用される熱間自由鍛造方法(以降、逐次回転鍛造方法と呼ぶ。)の概略を模式的に示した図である。
図1に示すように、逐次回転鍛造方法は、加熱された元材を載置した下金型1と当該下金型1を圧下する上金型2とを用いて、上金型2又は下金型1を圧下方向の軸心回りに回転させた後に、上金型2を下金型1へ押し付けて元材を凹形状の鍛造部材へと鍛造するものである(詳細は後述する)。
大型の鍛造部材を機械的特性に優れたものとするためには、予め数値シミュレーション(有限要素法による3次元熱連成塑性変形解析手法)で圧延状況(例えば、元材の変形量
、元材に加わる圧下荷重P、圧下途中にある元材の形状、最終製品の形状、上金型2及び下金型1に加わる荷重など)の予測を行って、予測の結果に基づいて逐次鍛造を行うようにしなければならない。
以下に、逐次回転鍛造方法に適した数値シミュレーション方法を見出すための実験過程を示す。
(2)予備実験:検証実験の結果を受けて、実際に、逐次回転鍛造で鉛材を予備実験モデル(直径φ125mm、高さ35mm程度の小型の鍛造品)に鍛造する実験。
(3)縮尺実験:予備実験の結果を受けて、縮尺実験モデル(直径φ2500mm、高さ700mm程度であって、実際の鍛造部材を縮小した鍛造品)を製造する際に生じる縮尺元材の温度変化を予測し、数値シミュレーションに使用する熱伝達係数αを測定する実験。
[検証実験]
まず、型入れ法による鍛造荷重Pの予測を従来の数値シミュレーションで行った検証実験について、説明する。
検証実験を行ったときの試験元材の材料成分の最大値と最小値を表1に示し、試験元材の変形抵抗σを測定するための圧縮試験条件を表2に示す。
図2は、従来の数値シミュレーション方法を用いて予測した試験元材の変形抵抗σのデータを示した図である。図3は、型入れ法における試験元材と金型形状を示した図である。図4は、従来の数値シミュレーション方法で予測した圧下荷重Pと、上金型2のストローク量との関係を示した図である。
鍛造荷重Pがプレス力量よりも大きくなると、目標圧下量まで圧下することができなくなり、目標の製品形状を得ることができない(いわゆる欠肉状態)。それゆえ、鍛造する
上で、鍛造荷重Pを高精度に予測プレス荷重と比較することが重要となっている。鍛造荷重Pの算出式を、以下の式(1)に示す。
それゆえ、鍛造荷重Pを予測するためには、変形抵抗σを高精度に把握しておく必要がある。
表1に示す成分で試験元材を作成し、その試験元材の高さに対して、圧下率70%となるように、1回の圧縮で鍛造する検証実験(圧縮試験)を行った。そして、鍛造後における試験元材の変形抵抗σのデータを取得した。
そして、各温度Tにおける試験元材の変形抵抗σのデータを用いて、温度T、ひずみε、ひずみ速度(ドットε)変形抵抗σを定式化した。その定式化した変形抵抗σを、数値シミュレーション方法(塑性変形解析方法)に適用させた。
上記した試験元材、上金型2及び下金型1を設計し、その設計データを数値シミュレーション方法に適用させて、型入れ法における鍛造荷重Pを算出した。なお、数値シミュレーションを行うにあたっては、FORGE2D(TRANSVALOR社の商標)用いた。
図4に示すように、圧下速度vが10mm/secの場合、圧下速度vが50mm/secのときに比べて、鍛造荷重Pは低くなるが、最大鍛造荷重Pmaxはプレス力量の最大値の130MNを超えており、目標の圧下位置まで、圧下することができないことがわかる。
鍛造荷重Pを低減させる方法としては、上記した式(1)から「変形抵抗σの値を低くする」、又は「接触面積Aを減らす」、の2種類の対応案が考えられる。有効な対応案として、例えば、試験元材の温度Tを上げて、変形抵抗σを低くする方法がある。
以上の研究結果より、型入れ法では、大型で側断面視で凹形状の鍛造部材を製造する際の鍛造荷重Pを低減させることができないことがわかった。
そこで、本願発明者らは、元材(試験元材)と、上金型2及び下金型1との接触面積Aを減らして鍛造荷重Pを低減する方法を研究した。そして、本願発明者らは、鍛造荷重Pを低減するには、元材を熱間で鍛造する逐次回転鍛造方法が最適であることを知見し、次に述べる鉛材を用いた予備実験(小型モデル実験)で実証した。
[予備実験]
次に、予備実験について述べることとする。
まず、予備実験に用いる逐次回転鍛造方法について、図を基に説明する。
図1に示すように、逐次回転鍛造方法は、加熱された円板状の元材(例えば、試験元材、鉛材など)が載置された下金型1、若しくは、当該下金型1の上方に配備された上金型2を、垂直軸回りに一定の角度(例えば、回転軸心方向右回りに10°)に回転させた後、円板状の元材に対して上金型2を圧下させて変形させ、変形させた後に一度上金型2を上方に引き上げて、再度下金型1若しくは上金型2を、一定の角度に回転させた後、また元材に対して上金型2を圧下させて変形させる鍛造方法であり、所望の鍛造部材となるまで、下金型1若しく上金型2を逐次回転させて鍛造を行う手順を繰り返してゆくものである。
下金型1は、その上面を下方に窪ませた凹状の金型面3を有していて、上方に向かって開放状に形成されている。この金型面3は、平面視形状が円形で且つ側断面形状が略半円形を呈するようになっている。
そのため、上金型2が上昇位置にあるときにこの回転装置を動作させることにより、プレス時の上金型2の平面視回転角を逐次(毎回)、変位させることが可能である。また回転装置の動作を繰り返すことによって、上金型2の平面視回転角を360°以上にわたって回転させることも可能となっている。
なお、本実施形態の逐次回転鍛造方法については、上金型2を垂直軸回りに回転させた後に、元材に対して上金型2を圧下させて鍛造を行う方法として説明したが、下金型1を回転させた後に、固定された上金型2を圧下させて鍛造を行う方法としてもよい。
置まで低荷重で鍛造することが可能である。
一方で、上金型2の1回の圧下量を大きくした場合には、元材に上金型2の押し込み跡が大きくつくこととなり、圧下された箇所と圧下されていない箇所が存在することとなる。それゆえ、圧下箇所と未圧下箇所との間で大きな段差が生じる。このような大きな段差の基で鍛造を繰り返すと、次の圧下で大きな段差部分を押圧するようになるため、折れ込み疵が発生してしまう虞がある。
図5は、逐次回転鍛造方法で予備実験モデルを製造(実鍛造)する様子を示した図であり、図6は、逐次回転鍛造方法で製造された予備実験モデルの形状を示した図である。
図5に示すように、逐次回転鍛造方法は、下金型1の上に鉛材を載置し、上昇位置において上金型2を垂直軸回りに回転させた後に上金型2を下降位置まで圧下させるといった、回転工程〜圧下工程を交互に繰り返して鍛造して、予備実験モデルを得る。
予備実験モデルを用いての研究の結果より、側断面視で凹形状の鍛造部材を製造するにあたっては、鍛造荷重Pを低減させることのできる逐次回転鍛造方法を用いることが最適であることを実証した。
そのため、元材の組織で回復と再結晶が起こるものの、圧下間隔sにより再結晶が行われる割合が変化するので、変形抵抗σが時間とともに変化する。すなわち、回復した後に再結晶が行われるので、再結晶の割合が変化する。そのため、鍛造部材の形状、鍛造荷重Pを、数値シミュレーション(3次元熱連成塑性変形解析方法)で精度よく予測するためには、変形抵抗σの時間変化を考慮することが必要となる。
[縮尺実験]
次に、縮尺実験について述べることとする。
縮尺実験で用いる数値シミュレーション方法、言い換えれば、本発明の数値シミュレーション方法は、元材の変形をシミュレーション可能とする数値モデルを、元材の温度変化と、元材の変形抵抗σの時間変化(変化量)と、を考慮するように構築したものである。ここで、変形抵抗σの時間変化とは、元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が前記上金型2により圧下されてから次に圧下されるまでの間(圧下間隔s)に生じる変形抵抗σの変化量である。
まず、上記した数値モデルを構築する際に用いられる縮尺元材の温度変化について、述べる。
本発明の数値シミュレーション方法(3次元熱連成塑性変形解析方法)を用いて、縮尺
元材の温度Tを精度よく予測するためには、縮尺元材の熱伝達係数αを同定する必要がある。
なお、縮尺元材の表面温度Tを測定するにあたっては、サーモビュワー(型番TH9100WB、(株)NEC AVIO社製)を用いた。なお、放射率は、別途行った試験にて得られた結果を用いた。
サーモビュワーにて測定した縮尺元材の温度Tを基に、縮尺元材の上面における時間変化に伴う温度変化と、縮尺元材の側壁面における時間変化に伴う温度変化とが、数値シミュレーション(3次元熱連成塑性変形解析)と一致するように熱伝達係数αを決定した。
図9は、数値シミュレーションで予測した縮尺元材の温度変化と、縮尺元材の実際の温度変化を比較した図である。
図9をみてみると、800秒〜1200秒までの間の縮尺元材の温度Tは、鍛造中に生じた酸化スケールの影響で、縮尺元材の表面温度(特に縮尺元材の上面)が低い状態となっている(▲印)。そして、1200秒以降の縮尺元材の温度Tは、縮尺元材の表面に生じていた酸化スケールが剥離しており、酸化スケール下の縮尺元材が上面に現れるようになっている。そのため、縮尺元材の表面温度は、1200秒以前(800秒〜1200秒までの間)に比べて高くなっている。
載置されるため、縮尺元材の温度Tを測定することができなかったので空欄としている。
図9に示すように、本発明の数値シミュレーション方法で温度変化を予測すると、酸化スケール下の元材が上面に現れるようになる1200秒以降で、温度変化の実測値と一致することが確認できる。この比較結果より、本発明の数値シミュレーション方法は、縮尺元材の温度変化を精度よく予測することができる。
逐次回転鍛造方法では、縮尺元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が上金型2により圧下されてから次に圧下されるまでの間(圧下間隔s)に回復・再結晶が行われており、その回復・再結晶に伴って縮尺元材の変形抵抗σが変化する。つまり、複数回圧下する逐次回転鍛造方法では、鍛造する時間が経過するに連れて、縮尺元材の変形抵抗σが変化する。
なお、縮尺元材の変形抵抗σを測定するための圧縮試験に関しては、縮尺元材の高さに対して10%ずつ7回圧縮して、縮尺元材の高さに対して70%の圧縮試験を行ってもよい。
図11は、縮尺元材の高さに対して5%ずつ14回の圧縮試験で得られた縮尺元材の変形抵抗σの時間変化と、1回の圧縮試験で得られた縮尺元材の変形抵抗σの時間変化との比較した図である。
このように、数値シミュレーションで得られた、複数回圧下を繰り返した圧縮試験の変形抵抗σが、1回の圧縮試験で得られた変形抵抗σに対して低くなる要因としては、逐次
回転鍛造時に発生する縮尺元材の組織変化に基づくものと考えられる。
図12に示すように、逐次回転鍛造を行った場合、鍛造終了後の縮尺元材の組織は、回復してから再結晶が行われる。そして、縮尺元材の組織が再結晶している途中、あるいは、縮尺元材の組織の再結晶が完了した時に、縮尺元材は再度塑性変形を受ける。複数回の圧下を繰り返し行う逐次回転鍛造では、このような縮尺元材の組織の回復・再結晶が、1圧下ごとに繰り返されている。
そこで、本願発明者らは、圧下間隔s(所定の箇所において圧下されてから次に圧下されるまでの時間)の差による縮尺元材の変形抵抗σの差を調査した。
図13に示すように、圧下間隔sが長くなる(10秒→1000秒)に伴って、変形抵抗σが低下していることがわかる。特に、ひずみεが高い領域(ε=0.6以降)では、変形抵抗σが、ひずみεが低い領域(ε=0.5以前)より、顕著に軟化していることがわかる。
そこで、本願発明者らは、式(2)の定数Aに着目し、定数Aに変形抵抗σの時間変化を付与し、圧下間隔の関数A(s)と、変形抵抗σの時間変化が考慮された変形抵抗σを予測する式を導いた。
以下に、変形抵抗σの低下率A(s)を用いた変形抵抗σの予測式を、式(3)に示す
。
図14Aにおいて圧下間隔sが10秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.86〜0.89となっていることがわかる。例えば、ひずみεが0.4のとき、A(s)の値は0.86であることがわかり、またひずみεが0.8のとき、A(s)の値は0.89であることがわかる。
図14Aにおいて圧下間隔sが1000秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.77〜0.86となっていることがわかる。例えば、ひずみεが0.8のとき、A(s)の値は0.77であることがわかり、またひずみεが0.2のとき、A(s)の値は0.86であることがわかる。
図14Bにおいて圧下間隔sが10秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.97〜0.98となっていることがわかる。例えば、ひずみεが0.6のとき、A(s)の値は0.97であることがわかり、またひずみεが0.8のとき、A(s
)の値は0.98であることがわかる。
図14Bにおいて圧下間隔sが1000秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.93〜0.96となっていることがわかる。例えば、ひずみεが0.8のとき、A(s)の値は0.93であることがわかり、またひずみεが0.2のとき、A(s)の値は0.96であることがわかる。
図14Dにおいて圧下間隔sがほぼ0秒の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.95〜1となっていることがわかり、圧下間隔sが100秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.9〜0.97となっていることがわかり、圧下間隔sが1000秒の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.74〜0.97となっていることがわかる。
図14E及び図14Fにおいても、図14A〜図14Dと同様に、圧下間隔sが長く、且つひずみεが高いほど、A(s)の値が低くなる傾向であることがわかる。
このように、縮尺元材の温度変化と、縮尺元材の変形抵抗σの時間変化(式(4))とを考慮した本発明の数値シミュレーション方法は、図15Bに示す縮尺元材が金型の接触面近傍において膨らむような形状(逆円錐形状)を予測することとなり、逐次回転鍛造方法で実際に行われた縮尺元材の変形形状とほぼ合致する。
そして、本発明の数値シミュレーション方法で予測した縮尺元材の変形抵抗σと、実測した縮尺元材の変形抵抗σと比較して、予測精度の検証を行った。その予測精度の検証結果を、図16に示す。
また、本発明の数値シミュレーション方法(温度Tの時間変化及び変形抵抗σの時間変化を考慮)で縮尺元材の外径寸法(形状)を予測すると、5%以下の精度で予測可能であることも見出した。なお、従来の数値シミュレーション方法(温度Tの時間変化及び変形抵抗σの時間変化を考慮せず)では、12%程度の精度でしか縮尺元材の外径寸法を予測することはできなかった。
[実機実験]
最後に、実機実験について述べることとする。
縮尺実験で得られた結果を本発明の数値シミュレーション方法に適用させて、鍛造部材
の形状を予測し、その予測結果を基にして実際に鍛造部材の熱間鍛造実験を行った。
図17に示すように、今回製造した鍛造部材は、蒸気発生器に使用されるヘッド部材である。
図18に、本発明の数値シミュレーション方法で予測した鍛造部材の形状と、実際の鍛造部材の形状との比較を示す。
図18中の実線は、本発明の数値シミュレーション方法で予測した鍛造部材の形状であり、破線は実際の鍛造部材の測定結果である。図18からわかるように、寸法差5%以内で精度よく一致しており、目標通りの鍛造部材の形状が得られていることを確認した。
以上述べたように、本発明に係る数値シミュレーション方法(変形抵抗の時間変化が考慮された数値モデルを用いた数値シミュレーション方法)によれば、逐次回転鍛造で製造される鍛造部材の圧下状況を精度よく予測することが可能となる。
例えば、本実施形態の逐次回転鍛造方法については、上金型2を回転させた後に、元材に対して上金型2を圧下させて鍛造を行う方法として説明したが、下金型1を回転させた後に、固定された上金型2を圧下させて鍛造を行う方法としてもよい。
2 上金型
3 金型面
4 凸状押圧面
5 連結棒
Claims (8)
- 加熱された元材を載置した下金型と当該下金型を圧下する上金型とを用いて、前記上金型又は前記下金型を圧下方向の軸心回りに回転させた後に前記上金型を前記下金型へ押し付けて前記元材を凹形状の部材へと鍛造するに際しては、
前記元材の変形をシミュレーション可能とする数値モデルを、前記元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの間に生じる変形抵抗の時間変化を考慮するように構築しておき、
前記変形抵抗の時間変化が考慮された前記数値モデルを用いて、鍛造中の圧下状況を予測することを特徴とする数値シミュレーション方法。 - 前記変形抵抗の時間変化は、前記元材の回復・再結晶現象に起因するものであることを特徴とする請求項1に記載の数値シミュレーション方法。
- 前記変形抵抗は、前記圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの時間(s)をパラメータとしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の数値シミュレーション方法。
- 前記変形抵抗を下式で算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の数値シミュレーション方法。
- 前記変形抵抗は、前記圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの時間(s)、前記上金型の圧下によって生じたひずみ量(ε)、及び前記元材の温度(T)の少なくとも1つ以上をパラメータとしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の数値シミュレーション方法。
- 前記変形抵抗を次式で算出することを特徴とする請求項5に記載の数値シミュレーション方法。
- 前記変形抵抗を次式で算出することを特徴とする請求項5に記載の数値シミュレーション方法。
- 前記数値シミュレーションを少なくとも1回の圧下ごとに行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の数値シミュレーション方法。
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