JP2015155112A - 数値シミュレーション方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱間自由鍛造をする際の圧下状況を精度よく予測することのできる数値シミュレーション方法を提供する。【解決手段】本発明の数値シミュレーション方法は、加熱された元材を載置した下金型1と当該下金型1を圧下する上金型2とを用いて、上金型2又は前記下金型1を圧下方向の軸心回りに回転させた後に上金型2を下金型1へ押し付けて元材を凹形状の部材へと鍛造するに際しては、元材の変形をシミュレーション可能とする数値モデルを、元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が上金型2により圧下されてから次に圧下されるまでの間に生じる変形抵抗の時間変化を考慮するように構築しておき、変形抵抗の時間変化が考慮された数値モデルを用いて、鍛造中の圧下状況を予測する。【選択図】図1

Description

本発明は、熱間で鍛造される元材の変形状況を予測する数値シミュレーション方法に関するものである。
近年の原子力発電プラントは、技術の進歩により高出力化されており、その原子力発電プラントに使用される圧力容器(鍛造部材)は、大型化してきている。大型化の鍛造部材としては、例えば、フランジ部とドーム部が一体となった圧力容器のヘッド部材などが挙げられる。
しかしながら、鍛造部材の大型化に伴う圧下荷重の増加により、従来の熱間鍛造方法で大型化の鍛造部材を製造することが不可能となることがあった。その課題を解消する方法として、熱間自由鍛造方法(逐次回転鍛造方法)が用いられるようになった。
熱間自由鍛造方法とは、加熱された円柱状の元材を載置した下金型と当該下金型を圧下する上金型とを用いて、上金型又は下金型を圧下方向の軸心回りに回転させた後に、上金型を下金型へ押し付けて元材を凹形状の鍛造部材に鍛造する方法である。
詳しくは、熱間自由鍛造方法は、加熱された円柱状の元材が載置された下金型、若しくは、当該下金型の上方に配備された上金型を、垂直軸回りに一定の角度(例えば、回転軸心方向右回りに10°)に回転させた後、円柱状の元材に対して上金型を圧下させて変形させ、変形させた後に一度上金型を上方に引き上げて、再度下金型若しくは上金型を、一定の角度に回転させた後、また元材に対して上金型を圧下させて変形させる鍛造方法であり、所望の鍛造部材となるまで、下金型若しく上金型を逐次回転させて鍛造を行う手順を繰り返してゆくものである。
このような、元材を凹形状の鍛造部材に鍛造する技術としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1には、元材を載せた下金型と該下金型を押圧する上金型とを有し、前記上金型又は下金型を押圧方向軸回りに回転させた後に前記上金型を下金型へ押し付けることで、元材を椀形状のプレス成型材へと成型するプレス金型において、前記下金型は、前記椀形状を形成可能な凹状の金型面を有し、前記上金型は立板形状とされていて、当該上金型の下端面は、前記下金型の金型面側に向かって突出する凸状押圧面とされていて、前記凸状押圧面の最も下方に突出した部位には、上方に凹状とされた切り欠き部が形成されているプレス金型が開示されている。
ところで、特許文献1の技術を用いて、大型化の鍛造部材(圧力容器)を製造するにあたっては、元材を所望の鍛造部材の形状となるように熱間鍛造するに際し、予め元材の形状及び鍛造後の形状、並びに上金型の圧下荷重などを数値シミュレーションで予測して、その結果を基に、熱間自由鍛造を行うことが現場では行われる。
このように、熱間自由鍛造をする際の元材の形状、上金型の圧下荷重などを数値シミュレーションで予測する技術としては、例えば、特許文献2に開示されたものがある。
特許文献2には、素材を金型で圧下して鍛造品を成形する際に、成形される鍛造品の形状を、変形解析を用いてコンピュータにより事前に予測する鍛造品の形状予測方法であって、コンピュータが解析モデルとしての素材と金型に関する節点座標を含む変形解析用のデータと、クーロン摩擦係数μ=(素材の形状が摩擦係数に及ぼす影響係数)×(素材の高さと幅の相加平均値)+(金型と素材の接触領域が摩擦係数に及ぼす影響係数)×(金型の圧下量)+(金型の圧下が摩擦係数に及ぼす影響係数)×(素材の送り量)+(材料界面が持っている摩擦係数)の式で定義するクーロン摩擦係数μを含む解析条件に基づく変形解析により鍛造品の断面形状を算出する鍛造品の形状予測方法が開示されている。
特開2012−66291号公報 特許第4813999号公報
特許文献2の数値シミュレーション技術は、熱間自由鍛造をする際の金型と元材との摩擦の影響を考慮して、元材の形状、上金型の圧下荷重など予測するものであるが、金型と元材との摩擦の影響や元材の温度変化などに基づくだけでは、数値シミュレーションで精度よく予測を行うことが、難しいことが明らかとなってきている。
具体的には、上記したように、高出力化された原子力発電プラントなどに用いられる大型化の圧力容器を製造するには、非常に大きな圧下荷重が必要である。このような大きな圧下荷重による鍛造の状況を数値シミュレーションにより求めようとしても、摩擦の影響などを考慮しただけの数値モデル(特許文献2などの従来の数値シミュレーション技術)では、対応しきれなくなってきている。その一方で、大型の部材の鍛造において、精度よく元材の形状、及び上金型の圧下荷重などを予測したいとの要望が現場から上がってきており、予測精度の高い数値シミュレーション技術が熱望されている。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、熱間自由鍛造をする際の圧下状況を精度よく予測することのできる数値シミュレーション方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る数値シミュレーション方法は、加熱された元材を載置した下金型と当該下金型を圧下する上金型とを用いて、前記上金型又は前記下金型を圧下方向の軸心回りに回転させた後に前記上金型を前記下金型へ押し付けて前記元材を凹形状の部材へと鍛造するに際しては、前記元材の変形をシミュレーション可能とする数値モデルを、前記元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの間に生じる変形抵抗の時間変化を考慮するように構築しておき、前記変形抵抗の時間変化が考慮された前記数値モデルを用いて、鍛造中の圧下状況を予測することを特徴とする。
好ましくは、前記変形抵抗の時間変化は、前記元材の回復・再結晶現象に起因するものであるとよい。
好ましくは、前記変形抵抗は、前記圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの時間(s)をパラメータとしているとよい。
好ましくは、前記変形抵抗を下式で算出するとよい。
好ましくは、前記変形抵抗は、前記圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの時間(s)、前記上金型の圧下によって生じたひずみ量(ε)、及び前記元材の温度(T)の少なくとも1つ以上をパラメータとするとよい。
好ましくは、前記変形抵抗を次式で算出するとよい。
より好ましくは、前記変形抵抗を次式で算出するとよい。
好ましくは、前記数値シミュレーションを少なくとも1回の圧下ごとに行うとよい。
本発明に係る数値シミュレーション方法よれば、精度よく圧下状況を予測することができる。
本発明に係る数値シミュレーション方法が適用される熱間自由鍛造方法の概略を模式的に示した図である。 型入れ法における試験元材の変形抵抗のデータを示した図である。 型入れ法における試験元材と金型形状を示した図である。 型入れ法における試験元材を塑性変形解析して得られた上金型のストローク量と圧下荷重との関係を示した図である。 熱間自由鍛造方法で予備実験モデル(小型の鍛造品)を製造する様子を示した図である。 熱間自由鍛造方法で製造された予備実験モデルの形状を示した図である。 縮尺実験モデル(鍛造部材を縮小した鍛造品)を熱間自由鍛造方法で製造する際に用いられる元材を示した図である。 縮尺実験モデルを熱間自由鍛造方法で製造している際の形状を示した図である。 縮尺実験モデルを熱間自由鍛造方法で製造する際に用いられる元材の温度分布を示した図である。 縮尺実験モデルを熱間自由鍛造方法で製造している際の温度分布を示した図である。 縮尺実験モデルの実測値と、その縮尺実験モデルの3次元熱連成塑性変形解析で得られた温度変化を示した図である。 縮尺実験モデルの変形抵抗データを測定するための試験条件を示した図である。 熱間自由鍛造方法において、1回の圧下での変形抵抗データと、複数回圧下させた場合の変形抵抗データを示した図である。 熱間自由鍛造方法における縮尺実験モデルの組織変化を示した図である。 熱間自由鍛造方法において、上金型を複数回圧下させるときの時間間隔を変化させた場合の変形抵抗データを示した図である。 複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。 複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。 複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。 複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。 複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。 複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。 従来の数値シミュレーション方法で、縮尺実験モデルの変形形状を予測した結果を示した図である。 本発明の数値シミュレーション方法で、縮尺実験モデルの変形形状を予測した結果を示した図である。 本発明の数値シミュレーション方法で予測した縮尺実験モデルの変形抵抗のデータと、実測した縮尺実験モデルの変形抵抗のデータを示した図である。 熱間自由鍛造方法で製造された鍛造部材(実部材)の形状を示した図である。 本発明の数値シミュレーション方法で予測した鍛造部材の形状と、実測した鍛造部材の形状を示した図である。
以下、本発明に係る数値シミュレーション方法について、図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る数値シミュレーション方法が適用される熱間自由鍛造方法(以降、逐次回転鍛造方法と呼ぶ。)の概略を模式的に示した図である。
図1に示すように、逐次回転鍛造方法は、加熱された元材を載置した下金型1と当該下金型1を圧下する上金型2とを用いて、上金型2又は下金型1を圧下方向の軸心回りに回転させた後に、上金型2を下金型1へ押し付けて元材を凹形状の鍛造部材へと鍛造するものである(詳細は後述する)。
逐次回転鍛造方法によって製造される鍛造部材は、例えば原子力発電プラントの圧力容器などが挙げられる。特に、近年の圧力容器は、原子力発電プラントの高出力化に伴って、大型化されてきている。原子力発電プラントの圧力容器に用いられる大型の鍛造部材は、耐衝撃破壊性など機械的特性に優れたものであることが必要とされている。
大型の鍛造部材を機械的特性に優れたものとするためには、予め数値シミュレーション(有限要素法による3次元熱連成塑性変形解析手法)で圧延状況(例えば、元材の変形量
、元材に加わる圧下荷重P、圧下途中にある元材の形状、最終製品の形状、上金型2及び下金型1に加わる荷重など)の予測を行って、予測の結果に基づいて逐次鍛造を行うようにしなければならない。
そこで、本願発明者らは、逐次回転鍛造方法に適した数値シミュレーション方法を見出すために、様々な鍛造(実際の鍛造)及び数値シミュレーションを行い、数値シミュレーションで予測した元材の変形状況と、実測した元材の変形状況と比較して鋭意研究を重ねた。
以下に、逐次回転鍛造方法に適した数値シミュレーション方法を見出すための実験過程を示す。
(1)検証実験:試験元材と圧縮試験条件(表2参照)を用いて、型入れ法における鍛造荷重Pの予測を行う実験。
(2)予備実験:検証実験の結果を受けて、実際に、逐次回転鍛造で鉛材を予備実験モデル(直径φ125mm、高さ35mm程度の小型の鍛造品)に鍛造する実験。
(3)縮尺実験:予備実験の結果を受けて、縮尺実験モデル(直径φ2500mm、高さ700mm程度であって、実際の鍛造部材を縮小した鍛造品)を製造する際に生じる縮尺元材の温度変化を予測し、数値シミュレーションに使用する熱伝達係数αを測定する実験。
(4)実機実験:縮尺実験の結果を受けて、実寸法の鍛造部材を製造する際の温度変化と、その温度変化に基づく変形抵抗σを数値シミュレーションで予測し、その予測した変形抵抗σを用いて、実際に逐次回転鍛造で製造した鍛造部材の実測値と形状を比較する実験。
[検証実験]
まず、型入れ法による鍛造荷重Pの予測を従来の数値シミュレーションで行った検証実験について、説明する。
なお、型入れ法(型入れ鍛造方法)とは、ニアネット金型(最終製品に近い形状の金型)を一度に押し込んで最終形状に近い鍛造品を得る鍛造方法である。
検証実験を行ったときの試験元材の材料成分の最大値と最小値を表1に示し、試験元材の変形抵抗σを測定するための圧縮試験条件を表2に示す。
従来の数値シミュレーション方法を用いて、型入れ法における鍛造荷重Pの予測を行った結果を、図2〜図4に示す。
図2は、従来の数値シミュレーション方法を用いて予測した試験元材の変形抵抗σのデータを示した図である。図3は、型入れ法における試験元材と金型形状を示した図である。図4は、従来の数値シミュレーション方法で予測した圧下荷重Pと、上金型2のストローク量との関係を示した図である。
ここで、鍛造する際の鍛造荷重Pを予測する必要性について、説明する。
鍛造荷重Pがプレス力量よりも大きくなると、目標圧下量まで圧下することができなくなり、目標の製品形状を得ることができない(いわゆる欠肉状態)。それゆえ、鍛造する
上で、鍛造荷重Pを高精度に予測プレス荷重と比較することが重要となっている。鍛造荷重Pの算出式を、以下の式(1)に示す。
式(1)に示す拘束係数Q及び接触面積Aは、金型と試験元材との摩擦係数や接触面形状に依存する値である。一方で、変形抵抗σは、試験元材の温度T、鍛造後のひずみε及び、ひずみ速度(ドットε)で大きく変動する値である。言い換えると、変形抵抗σは、試験元材の温度T、鍛造後のひずみε及び、ひずみ速度(ドットε)追従する値である。
それゆえ、鍛造荷重Pを予測するためには、変形抵抗σを高精度に把握しておく必要がある。
この比較例では、試験元材の変形抵抗σのデータを、詳細に把握するために、以下に示すような実験を行った。
表1に示す成分で試験元材を作成し、その試験元材の高さに対して、圧下率70%となるように、1回の圧縮で鍛造する検証実験(圧縮試験)を行った。そして、鍛造後における試験元材の変形抵抗σのデータを取得した。
表2に示すように、試験元材の温度Tを700℃から1200℃までの間で100℃毎に変化させた。また、ひずみ速度(ドットε)ついては、プレスの降下速度を考慮して、0.0002、0.002、0.02、0.2、2と比較的広範囲に亘って取得した。
そして、各温度Tにおける試験元材の変形抵抗σのデータを用いて、温度T、ひずみε、ひずみ速度(ドットε)変形抵抗σを定式化した。その定式化した変形抵抗σを、数値シミュレーション方法(塑性変形解析方法)に適用させた。
次に、型入れ法における鍛造荷重Pの予測を行った。
上記した試験元材、上金型2及び下金型1を設計し、その設計データを数値シミュレーション方法に適用させて、型入れ法における鍛造荷重Pを算出した。なお、数値シミュレーションを行うにあたっては、FORGE2D(TRANSVALOR社の商標)用いた。
また、上記した型入れ法で得られる鍛造品は、側面視で左右対象の形状となるため、図3に示すような試験元材の2次元の塑性変形解析(数値シミュレーション)を行った。ここで、塑性変形解析を行う条件としては、試験元材の温度Tを1200℃とし、圧下速度vを10mm/secと、50mm/secの2条件とした。
図4に示すように、圧下速度vが10mm/secの場合、圧下速度vが50mm/secのときに比べて、鍛造荷重Pは低くなるが、最大鍛造荷重Pmaxはプレス力量の最大値の130MNを超えており、目標の圧下位置まで、圧下することができないことがわかる。
以上の検証実験の結果より、圧力容器などの平面視で円形であり、且つ側断面視で凹形状の鍛造部材を型入れ法で製造するには、上記した鍛造荷重Pを低減させる必要があることがわかった。
鍛造荷重Pを低減させる方法としては、上記した式(1)から「変形抵抗σの値を低くする」、又は「接触面積Aを減らす」、の2種類の対応案が考えられる。有効な対応案として、例えば、試験元材の温度Tを上げて、変形抵抗σを低くする方法がある。
しかしながら、表2からわかるように、現状での試験元材の温度Tは、加熱できる最大値である1200℃を超えているため、これ以上に温度Tを上げることはできない。
以上の研究結果より、型入れ法では、大型で側断面視で凹形状の鍛造部材を製造する際の鍛造荷重Pを低減させることができないことがわかった。
そこで、本願発明者らは、元材(試験元材)と、上金型2及び下金型1との接触面積Aを減らして鍛造荷重Pを低減する方法を研究した。そして、本願発明者らは、鍛造荷重Pを低減するには、元材を熱間で鍛造する逐次回転鍛造方法が最適であることを知見し、次に述べる鉛材を用いた予備実験(小型モデル実験)で実証した。
[予備実験]
次に、予備実験について述べることとする。
予備実験は、上記した検証実験の結果を受けて、実際に、逐次回転鍛造で鉛材を予備実験モデル(直径φ125mm、高さ35mm程度の小型の鍛造品)に鍛造する実験のことである。
まず、予備実験に用いる逐次回転鍛造方法について、図を基に説明する。
図1に示すように、逐次回転鍛造方法は、加熱された円板状の元材(例えば、試験元材、鉛材など)が載置された下金型1、若しくは、当該下金型1の上方に配備された上金型2を、垂直軸回りに一定の角度(例えば、回転軸心方向右回りに10°)に回転させた後、円板状の元材に対して上金型2を圧下させて変形させ、変形させた後に一度上金型2を上方に引き上げて、再度下金型1若しくは上金型2を、一定の角度に回転させた後、また元材に対して上金型2を圧下させて変形させる鍛造方法であり、所望の鍛造部材となるまで、下金型1若しく上金型2を逐次回転させて鍛造を行う手順を繰り返してゆくものである。
なお、元材は、例えば、円板状の板材や、外周囲を縁取るように起立されたリブが形成された皿形状の板材などである。
下金型1は、その上面を下方に窪ませた凹状の金型面3を有していて、上方に向かって開放状に形成されている。この金型面3は、平面視形状が円形で且つ側断面形状が略半円形を呈するようになっている。
上金型2は、油圧や水圧などのプレス装置(図示略)によって昇降可能に設けられており、このプレス装置により、上金型2は下金型1を所定の押圧力(圧下力)で押し付け可能とされている。この上金型2は、下金型1の上部において、元材や凹形状の鍛造部材を出し入れする空間を確保可能とさせる上昇位置と、下金型1を押圧する下降(圧下)位置との上下間を昇降する。
また、図1に示すように、上金型2の上部には、下金型1を押圧する方向に対する軸回りで当該上金型2を所定角度ずつ回転可能にする回転装置(図示略)が設けられている。この上金型2の回転中心は、下金型1を平面視した場合の金型面3中心(円形中心)に合致されている。
そのため、上金型2が上昇位置にあるときにこの回転装置を動作させることにより、プレス時の上金型2の平面視回転角を逐次(毎回)、変位させることが可能である。また回転装置の動作を繰り返すことによって、上金型2の平面視回転角を360°以上にわたって回転させることも可能となっている。
上金型2は、立板形状(垂直方向に起立した板状)とされていて、上部には回転装置及びプレス装置に連結される連結棒5が設けられている。この上金型2の下端面は、下金型1の金型面3側に向かって突出する凸状押圧面4が形成されている。この凸状押圧面4は、金型面3に嵌り込んだときに、金型面3の内周面に沿うような円弧状押圧面とされている。
この上金型2は、凸状押圧面4を有する立板形状に形成されているため、元材と凸状押圧面4との接触面積Aを低減させることができる。
なお、本実施形態の逐次回転鍛造方法については、上金型2を垂直軸回りに回転させた後に、元材に対して上金型2を圧下させて鍛造を行う方法として説明したが、下金型1を回転させた後に、固定された上金型2を圧下させて鍛造を行う方法としてもよい。
このように、逐次回転鍛造方法では、円弧状押圧面を有する立板形状の上金型2を垂直軸回りに回転させた後に、その上金型2による圧下を交互に繰り返すことで、目標圧下位
置まで低荷重で鍛造することが可能である。
一方で、上金型2の1回の圧下量を大きくした場合には、元材に上金型2の押し込み跡が大きくつくこととなり、圧下された箇所と圧下されていない箇所が存在することとなる。それゆえ、圧下箇所と未圧下箇所との間で大きな段差が生じる。このような大きな段差の基で鍛造を繰り返すと、次の圧下で大きな段差部分を押圧するようになるため、折れ込み疵が発生してしまう虞がある。
このような理由から、上金型2の1回あたりの圧下量を比較的小さくすることが圧下の条件となる。上金型2の圧下量を小さくすると軽圧下となるので、元材の変形領域は、元材と下金型1との界面近傍で且つ元材の表層のみとなる。逐次回転鍛造方法での元材の変形領域は、ニアネット金型を一度に押し込む型入れ法に比べて、変形の挙動が大きく異なる。
続いて、逐次回転鍛造方法で製造することのできる鍛造部材の形状について、鉛材を用いた予備実験で実証し、その予備実験の結果について、図を基に説明する。
図5は、逐次回転鍛造方法で予備実験モデルを製造(実鍛造)する様子を示した図であり、図6は、逐次回転鍛造方法で製造された予備実験モデルの形状を示した図である。
図5に示すように、逐次回転鍛造方法は、下金型1の上に鉛材を載置し、上昇位置において上金型2を垂直軸回りに回転させた後に上金型2を下降位置まで圧下させるといった、回転工程〜圧下工程を交互に繰り返して鍛造して、予備実験モデルを得る。
図6からわかるように、逐次回転鍛造方法は、垂直軸に対して左右対象の形状を有する予備実験モデルを鍛造することが可能である。また、本願発明者らは、この予備実験の結果より、鍛造荷重Pが許容範囲内であることを確認した。
予備実験モデルを用いての研究の結果より、側断面視で凹形状の鍛造部材を製造するにあたっては、鍛造荷重Pを低減させることのできる逐次回転鍛造方法を用いることが最適であることを実証した。
ところで、上記した逐次回転鍛造方法の場合、元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が上金型2により圧下されてから次に同一部位が圧下されるまで上金型2が1周(又は半周)する必要があり、圧下間隔sが長くなる。また、鍛造中の元材は大気と上金型2及び下金型1との接触により冷却される。
そのため、元材の組織で回復と再結晶が起こるものの、圧下間隔sにより再結晶が行われる割合が変化するので、変形抵抗σが時間とともに変化する。すなわち、回復した後に再結晶が行われるので、再結晶の割合が変化する。そのため、鍛造部材の形状、鍛造荷重Pを、数値シミュレーション(3次元熱連成塑性変形解析方法)で精度よく予測するためには、変形抵抗σの時間変化を考慮することが必要となる。
[縮尺実験]
次に、縮尺実験について述べることとする。
縮尺実験とは、予備実験の結果を受けて、縮尺実験モデル(直径φ2500mm、高さ700mm程度であって、実際の鍛造部材を縮小した鍛造品)を製造する際に生じる元材(縮尺元材と呼ぶ)の変形抵抗σを数値シミュレーションで予測し、その予測した変形抵抗σを、実際に逐次回転鍛造で製造した縮尺実験モデルの実測値と比較する実験である。
縮尺実験で用いる数値シミュレーション方法、言い換えれば、本発明の数値シミュレーション方法は、元材の変形をシミュレーション可能とする数値モデルを、元材の温度変化と、元材の変形抵抗σの時間変化(変化量)と、を考慮するように構築したものである。ここで、変形抵抗σの時間変化とは、元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が前記上金型2により圧下されてから次に圧下されるまでの間(圧下間隔s)に生じる変形抵抗σの変化量である。
このように変形抵抗σの時間変化が考慮された数値モデルを用いて、鍛造中の元材の変形状況、鍛造荷重Pを予測することとしている。
まず、上記した数値モデルを構築する際に用いられる縮尺元材の温度変化について、述べる。
本発明の数値シミュレーション方法(3次元熱連成塑性変形解析方法)を用いて、縮尺
元材の温度Tを精度よく予測するためには、縮尺元材の熱伝達係数αを同定する必要がある。
まず、縮尺元材の熱伝達係数αを決定するため、実機プレス機にて縮尺元材を縮尺実験モデル(鍛造部材を縮尺した鍛造品)に鍛造する実鍛造実験を行った。実鍛造実験では、鍛造前と鍛造中に、縮尺元材の表面の温度変化を測定した。
なお、縮尺元材の表面温度Tを測定するにあたっては、サーモビュワー(型番TH9100WB、(株)NEC AVIO社製)を用いた。なお、放射率は、別途行った試験にて得られた結果を用いた。
図7Aは、縮尺元材の外観を示した図であり、図7Bは、縮尺元材の鍛造形状の外観を示した図である。また、図8Aは、縮尺元材をサーモビュワーにて測定した表面温度分布を示した図であり、図8Bは、縮尺元材の鍛造形状の外観を、サーモビュワーにて測定した表面温度分布を示した図である。
サーモビュワーにて測定した縮尺元材の温度Tを基に、縮尺元材の上面における時間変化に伴う温度変化と、縮尺元材の側壁面における時間変化に伴う温度変化とが、数値シミュレーション(3次元熱連成塑性変形解析)と一致するように熱伝達係数αを決定した。
縮尺元材の側壁面中央部の熱伝達係数αの一例を、表3に示す。
表3に示す熱伝達係数αを用いて、数値シミュレーションを行い、数値シミュレーションで予測した縮尺元材の温度変化と、縮尺元材の実際の温度変化を比較した。その比較した結果を図9に示す。
図9は、数値シミュレーションで予測した縮尺元材の温度変化と、縮尺元材の実際の温度変化を比較した図である。
図9中の◆印は、縮尺元材の側壁面温度の実測値であり、▲印は縮尺元材の上面温度の実測値である。また、図9中の実線は、数値シミュレーションで予測した縮尺元材の側壁面の温度変化であり、破線は数値シミュレーションで予測した縮尺元材の上面の温度変化である。
図9をみてみると、800秒〜1200秒までの間の縮尺元材の温度Tは、鍛造中に生じた酸化スケールの影響で、縮尺元材の表面温度(特に縮尺元材の上面)が低い状態となっている(▲印)。そして、1200秒以降の縮尺元材の温度Tは、縮尺元材の表面に生じていた酸化スケールが剥離しており、酸化スケール下の縮尺元材が上面に現れるようになっている。そのため、縮尺元材の表面温度は、1200秒以前(800秒〜1200秒までの間)に比べて高くなっている。
なお、図9中の0〜800秒までの間は、縮尺元材が加熱炉から運搬され、下金型1に
載置されるため、縮尺元材の温度Tを測定することができなかったので空欄としている。
図9に示すように、本発明の数値シミュレーション方法で温度変化を予測すると、酸化スケール下の元材が上面に現れるようになる1200秒以降で、温度変化の実測値と一致することが確認できる。この比較結果より、本発明の数値シミュレーション方法は、縮尺元材の温度変化を精度よく予測することができる。
次に、数値モデルを構築する際に考慮する縮尺元材の変形抵抗σの時間変化について、述べる。
逐次回転鍛造方法では、縮尺元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が上金型2により圧下されてから次に圧下されるまでの間(圧下間隔s)に回復・再結晶が行われており、その回復・再結晶に伴って縮尺元材の変形抵抗σが変化する。つまり、複数回圧下する逐次回転鍛造方法では、鍛造する時間が経過するに連れて、縮尺元材の変形抵抗σが変化する。
そこで、本願発明者らは、逐次回転鍛造中の圧下状況(例えば、縮尺元材に加わる圧下荷重P、縮尺実験モデルの形状など)を正確に予測するにあたって、圧下間隔sに伴って変化する縮尺元材の変形抵抗σの時間変化に着目した。そして、本願発明者らは、その変形抵抗σの時間変化を考慮した数値モデルを構築し、数値モデルを用いて数値シミュレーションを行った。
数値シミュレーションで予測した複数回の圧縮における縮尺元材の変形抵抗σの時間変化と、1回の圧縮における縮尺元材の変形抵抗σを採取し、比較した。なお、縮尺元材の変形抵抗σを測定するための試験条件を、表4及び図10に示す。
縮尺元材の変形抵抗σを測定するにあたっては、加工フォーマスタ(熱間鍛造加工再現試験装置)を用い、縮尺元材の高さに対して5%ずつ14回圧縮して、縮尺元材の高さに対して70%圧縮する試験と、1回の圧縮で縮尺元材の高さに対して70%圧縮する試験を行った。
なお、縮尺元材の変形抵抗σを測定するための圧縮試験に関しては、縮尺元材の高さに対して10%ずつ7回圧縮して、縮尺元材の高さに対して70%の圧縮試験を行ってもよい。
また、縮尺元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が上金型2により圧下されてから次に圧下されるまでの時間(圧下間隔s)は、10秒、100秒、1000秒の3つの水準とした。そして、上記した2つの試験条件で行った圧縮試験で得られた縮尺元材の変形抵抗σの時間変化のデータを図11に示す。
図11は、縮尺元材の高さに対して5%ずつ14回の圧縮試験で得られた縮尺元材の変形抵抗σの時間変化と、1回の圧縮試験で得られた縮尺元材の変形抵抗σの時間変化との比較した図である。
図11に示すように、縮尺元材の高さに対して5%ずつ14回繰り返した圧縮試験で得られた変形抵抗σの時間変化は、1回の圧縮試験で得られた変形抵抗σの時間変化に対して、低くなる傾向にあることがわかった。
このように、数値シミュレーションで得られた、複数回圧下を繰り返した圧縮試験の変形抵抗σが、1回の圧縮試験で得られた変形抵抗σに対して低くなる要因としては、逐次
回転鍛造時に発生する縮尺元材の組織変化に基づくものと考えられる。
図12は、逐次回転鍛造時に発生する縮尺元材の組織変化を示す図である。
図12に示すように、逐次回転鍛造を行った場合、鍛造終了後の縮尺元材の組織は、回復してから再結晶が行われる。そして、縮尺元材の組織が再結晶している途中、あるいは、縮尺元材の組織の再結晶が完了した時に、縮尺元材は再度塑性変形を受ける。複数回の圧下を繰り返し行う逐次回転鍛造では、このような縮尺元材の組織の回復・再結晶が、1圧下ごとに繰り返されている。
1圧下ごとに組織の回復・再結晶が繰り返されることで、数回圧下を繰り返した圧縮試験で得られる縮尺元材の変形抵抗σが、1回圧縮試験で得られる縮尺元材の変形抵抗σよりも低くなる(軟化する)と考えられる。また、縮尺元材の組織の再結晶の割合により、組織の軟化の程度が異なると考えられる。
そこで、本願発明者らは、圧下間隔s(所定の箇所において圧下されてから次に圧下されるまでの時間)の差による縮尺元材の変形抵抗σの差を調査した。
図13は、同一温度(縮尺元材の温度:800℃)で、圧下間隔sを変化させた(10秒、100秒、1000秒)場合における縮尺元材の変形抵抗σの時間変化を示す図である。
図13に示すように、圧下間隔sが長くなる(10秒→1000秒)に伴って、変形抵抗σが低下していることがわかる。特に、ひずみεが高い領域(ε=0.6以降)では、変形抵抗σが、ひずみεが低い領域(ε=0.5以前)より、顕著に軟化していることがわかる。
図13からわかるように、逐次回転鍛造で得られる縮尺実験モデルの形状及び鍛造荷重Pを数値シミュレーションで予測する場合には、縮尺元材の変形抵抗σを高精度に予測する必要がある。変形抵抗σを高精度に予測するには、圧下間隔s及びひずみεを考慮する必要がある。以下に、圧下間隔sを考慮した一般的な変形抵抗σの予測式を、式(2)に示す。
しかしながら、式(2)の定数Aは、固定値となっているため、圧下間隔sによる時間変化が反映されていないので、数値シミュレーションで正確に変形抵抗σを予測することができない。
そこで、本願発明者らは、式(2)の定数Aに着目し、定数Aに変形抵抗σの時間変化を付与し、圧下間隔の関数A(s)と、変形抵抗σの時間変化が考慮された変形抵抗σを予測する式を導いた。
すなわち、式(2)に示す縮尺元材(元材)の温度T、ひずみε、ひずみ速度(ドットε)について、1回圧縮時の変形抵抗σの値と比較して、変形抵抗σの低下率を算出するとともに、変形抵抗σの低下率を圧下間隔の関数A(s)で表現した。
以下に、変形抵抗σの低下率A(s)を用いた変形抵抗σの予測式を、式(3)に示す
なお、変形抵抗σの低下率を、圧下間隔sに加えて、ひずみε及び温度Tも考慮した関数A(s,ε,T)で表現すると、より正確な変形抵抗σを求めることが可能となる。
また、変形抵抗σの低下率を、圧下間隔sに加えて、ひずみε、温度T及びひずみ速度(dε/dt、以降、文章中では「ドットε」と表記する)も考慮した関数A(s,ε,T,ドットε)で表現すると、さらに正確な変形抵抗σを求めることが可能となる。
図14Aは、縮尺元材の温度Tが800℃、ひずみ速度(ドットε)が0.002(s)で、複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。図14Bは、縮尺元材の温度Tが1000℃、ひずみ速度(ドットε)が0.002(s)で、複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。
図14Cは、縮尺元材の温度Tが800℃、ひずみ速度(ドットε)が0.02(s)で、複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。図14Dは、縮尺元材の温度Tが800℃、ひずみ速度(ドットε)が0.2(s)で、複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。
図14Eは、縮尺元材の温度Tが1100℃、ひずみ速度(ドットε)が0.02(s)で、複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。図14Fは、縮尺元材の温度Tが1100℃、ひずみ速度(ドットε)が0.2(s)で、複数回圧下して逐次回転鍛造したときの圧下間隔sと、変形抵抗の低下率A(s)との関係を示した図である。
図14Aにおいて圧下間隔sがほぼ0秒の箇所を参照すると、どのひずみεにおいても、変形抵抗σの低下率A(s)が1となっていることがわかる。
図14Aにおいて圧下間隔sが10秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.86〜0.89となっていることがわかる。例えば、ひずみεが0.4のとき、A(s)の値は0.86であることがわかり、またひずみεが0.8のとき、A(s)の値は0.89であることがわかる。
図14Aにおいて圧下間隔sが100秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.83〜0.86となっていることがわかる。例えば、ひずみεが0.4のとき、A(s)の値は0.83であることがわかり、またひずみεが0.2のとき、A(s)の値は0.86であることがわかる。
図14Aにおいて圧下間隔sが1000秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.77〜0.86となっていることがわかる。例えば、ひずみεが0.8のとき、A(s)の値は0.77であることがわかり、またひずみεが0.2のとき、A(s)の値は0.86であることがわかる。
続いて、図14Bにおいて圧下間隔sがほぼ0秒の箇所を参照すると、どのひずみεにおいても、変形抵抗σの低下率A(s)が1となっていることがわかる。
図14Bにおいて圧下間隔sが10秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.97〜0.98となっていることがわかる。例えば、ひずみεが0.6のとき、A(s)の値は0.97であることがわかり、またひずみεが0.8のとき、A(s
)の値は0.98であることがわかる。
図14Bにおいて圧下間隔sが100秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.96〜0.97となっていることがわかる。例えば、ひずみεが0.8のとき、A(s)の値は0.96であることがわかり、またひずみεが0.2のとき、A(s)の値は0.97であることがわかる。
図14Bにおいて圧下間隔sが1000秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.93〜0.96となっていることがわかる。例えば、ひずみεが0.8のとき、A(s)の値は0.93であることがわかり、またひずみεが0.2のとき、A(s)の値は0.96であることがわかる。
図14Cにおいて圧下間隔sがほぼ0秒の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.93〜0.98となっていることがわかり、圧下間隔sが100秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.88〜0.91となっていることがわかり、圧下間隔sが1000秒の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.77〜0.94となっていることがわかる。
すなわち、圧下間隔sが長く、且つひずみεが高いほど、A(s)の値が低くなる傾向であることがわかる。
図14Dにおいて圧下間隔sがほぼ0秒の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.95〜1となっていることがわかり、圧下間隔sが100秒程度の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.9〜0.97となっていることがわかり、圧下間隔sが1000秒の箇所を参照すると、変形抵抗σの低下率A(s)が0.74〜0.97となっていることがわかる。
すなわち、圧下間隔sが長く、且つひずみεが高いほど、A(s)の値が低くなる傾向であることがわかる。
図14E及び図14Fにおいても、図14A〜図14Dと同様に、圧下間隔sが長く、且つひずみεが高いほど、A(s)の値が低くなる傾向であることがわかる。
このように、縮尺元材の温度変化と、縮尺元材の変形抵抗σの時間変化(式(4))とを考慮した本発明の数値シミュレーション方法は、図15Bに示す縮尺元材が金型の接触面近傍において膨らむような形状(逆円錐形状)を予測することとなり、逐次回転鍛造方法で実際に行われた縮尺元材の変形形状とほぼ合致する。
なお、図15Aは、従来の数値シミュレーション方法で縮尺元材の変形形状を予測した結果である。図15Aからわかるように、従来の数値シミュレーション方法で縮尺元材の変形形状を予測すると、縮尺元材の中央部が膨らむ傾向にあり、実際の縮尺元材の変形形状と全く異なる形状となる。
そして、本発明の数値シミュレーション方法で予測した縮尺元材の変形抵抗σと、実測した縮尺元材の変形抵抗σと比較して、予測精度の検証を行った。その予測精度の検証結果を、図16に示す。
図16を見てみると、本発明の数値シミュレーション方法で予測した縮尺元材の変形抵抗σ(●印)は、実測した縮尺元材の変形抵抗σ(実線)とほぼ一致することがわかる。この検証結果より、本願発明者らは、本発明の数値シミュレーション方法で縮尺元材の変形抵抗σを予測すると、10%以下の精度で予測可能であることが知見された。
また、本発明の数値シミュレーション方法(温度Tの時間変化及び変形抵抗σの時間変化を考慮)で縮尺元材の外径寸法(形状)を予測すると、5%以下の精度で予測可能であることも見出した。なお、従来の数値シミュレーション方法(温度Tの時間変化及び変形抵抗σの時間変化を考慮せず)では、12%程度の精度でしか縮尺元材の外径寸法を予測することはできなかった。
[実機実験]
最後に、実機実験について述べることとする。
実機実験は、上記した縮尺実験の結果を受けて、実際に、逐次回転鍛造で元材を鍛造部材(圧力容器など)に鍛造する実験のことである。
縮尺実験で得られた結果を本発明の数値シミュレーション方法に適用させて、鍛造部材
の形状を予測し、その予測結果を基にして実際に鍛造部材の熱間鍛造実験を行った。
図17に示すように、今回製造した鍛造部材は、蒸気発生器に使用されるヘッド部材である。
また、実機実験で作成した鍛造部材の形状を数値モデル化し、本発明の数値シミュレーション方法で形状を予測し、実際の鍛造部材(実機)の形状と比較した。
図18に、本発明の数値シミュレーション方法で予測した鍛造部材の形状と、実際の鍛造部材の形状との比較を示す。
図18中の実線は、本発明の数値シミュレーション方法で予測した鍛造部材の形状であり、破線は実際の鍛造部材の測定結果である。図18からわかるように、寸法差5%以内で精度よく一致しており、目標通りの鍛造部材の形状が得られていることを確認した。
以上の実験結果をまとめると、縮尺実験を行って、熱伝達係数αを決定し、熱伝達係数αを用いて、数値シミュレーション方法で、元材の温度変化を高精度に予測した。そして、元材の温度変化と変形抵抗の時間変化を考慮して、数値モデルを構築し、数値モデルを用いて数値シミュレーションを行って元材の形状を予測し、10%以内の精度で予測できることを確認した。
この予測結果を用いて、実機実験を行った。その結果より、目標の鍛造部材の形状が得られるとともに、本発明の数値シミュレーション方法により、鍛造部材の形状を5%以内の精度で予測可能であることを明らかにした。
以上述べたように、本発明に係る数値シミュレーション方法(変形抵抗の時間変化が考慮された数値モデルを用いた数値シミュレーション方法)によれば、逐次回転鍛造で製造される鍛造部材の圧下状況を精度よく予測することが可能となる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
例えば、本実施形態の逐次回転鍛造方法については、上金型2を回転させた後に、元材に対して上金型2を圧下させて鍛造を行う方法として説明したが、下金型1を回転させた後に、固定された上金型2を圧下させて鍛造を行う方法としてもよい。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 下金型
2 上金型
3 金型面
4 凸状押圧面
5 連結棒

Claims (8)

  1. 加熱された元材を載置した下金型と当該下金型を圧下する上金型とを用いて、前記上金型又は前記下金型を圧下方向の軸心回りに回転させた後に前記上金型を前記下金型へ押し付けて前記元材を凹形状の部材へと鍛造するに際しては、
    前記元材の変形をシミュレーション可能とする数値モデルを、前記元材の所定の圧下箇所において、当該圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの間に生じる変形抵抗の時間変化を考慮するように構築しておき、
    前記変形抵抗の時間変化が考慮された前記数値モデルを用いて、鍛造中の圧下状況を予測することを特徴とする数値シミュレーション方法。
  2. 前記変形抵抗の時間変化は、前記元材の回復・再結晶現象に起因するものであることを特徴とする請求項1に記載の数値シミュレーション方法。
  3. 前記変形抵抗は、前記圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの時間(s)をパラメータとしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の数値シミュレーション方法。
  4. 前記変形抵抗を下式で算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の数値シミュレーション方法。
  5. 前記変形抵抗は、前記圧下箇所が前記上金型により圧下されてから次に圧下されるまでの時間(s)、前記上金型の圧下によって生じたひずみ量(ε)、及び前記元材の温度(T)の少なくとも1つ以上をパラメータとしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の数値シミュレーション方法。
  6. 前記変形抵抗を次式で算出することを特徴とする請求項5に記載の数値シミュレーション方法。
  7. 前記変形抵抗を次式で算出することを特徴とする請求項5に記載の数値シミュレーション方法。
  8. 前記数値シミュレーションを少なくとも1回の圧下ごとに行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の数値シミュレーション方法。
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