JP2017177119A - 数値シミュレーション方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】逐次熱間鍛造又は逐次温間鍛造において元材に生じる変形抵抗を精度良く把握することができる数値シミュレーション方法を提供する。【解決手段】元材を加熱して元材の圧下を間欠的に繰り返す逐次熱間鍛造又は逐次温間鍛造において元材に生じる変形抵抗を下式の数値モデルを用いて同定する。【選択図】なし

Description

本発明は、逐次熱間鍛造又は逐次温間鍛造される元材の変形状況を予測する数値シミュレーション方法に関する。
従来から、元材を加熱して元材の圧下を間欠的に繰り返す逐次熱間鍛造又は逐次温間鍛造を行う場合、作業者は、元材の形状及び鍛造後の形状、並びに上金型の圧下荷重などを予め数値シミュレーションによって予測し、その結果を基に鍛造の条件を定めることがある。また、この数値シミュレーションでは、特許文献1等に記載のように、プレス力量不足による部分的な欠肉が生じないよう鍛造荷重を高精度に予測することが重要であり、鍛造荷重を予測するためには元材に生じる変形抵抗を精度良く把握する必要があることが知られている。
そこで、特許文献1では、数値シミュレーションで用いる変形抵抗の数値モデルとして、従来から一回圧下の熱間鍛造を行う場合等に一般的に用いられている下記の式(A)で表される数値モデルに代えて、下記の式(B)で表される数値モデルを用いることが提案されている。
Figure 2017177119
Figure 2017177119
元材の圧下を間欠的に繰り返す逐次熱間(又は温間)鍛造では、元材が圧下された後、次に圧下されるまで(圧下間隔)の間に元材の組織が回復及び再結晶する。このため、圧下間隔(時間)が長くなるほど、元材の組織が回復及び再結晶する時間が長くなり、元材が軟化する度合いが高まることで、変形抵抗が低くなると考えられる。そこで、特許文献1では、変形抵抗の時間変化を考慮し、式(A)に示す定数Aに代えて、式(B)に示すように変形抵抗の低下率を示す圧下間隔の関数A(s)を適用することが提案されている。
特開2015−155112号公報
しかし、式(B)で表される数値モデルを用いて数値シミュレーションを行うと、変形抵抗は、一回圧下の熱間鍛造における変形抵抗に対して低下率を乗算した値となる。このため、変形抵抗は、最初の圧下時におけるひずみが0のときは0となるが、二回目以降の圧下時に0になることはなく、ひずみの増大に応じて連続的に増大する。一方で、実際の逐次熱間(又は温間)鍛造では、変形抵抗は、ひずみが0でなくても、圧下を行う度に0からひずみの増大に応じて増大する。このように、式(B)で表される数値モデルを用いて数値シミュレーションを行うと、変形抵抗を本来とは異なる値に予測する虞があった。その結果、変形抵抗を精度良く把握できない虞があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされた発明であり、逐次熱間鍛造又は逐次温間鍛造において元材に生じる変形抵抗を精度良く把握することができる数値シミュレーション方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る数値シミュレーション方法は、元材を加熱して前記元材の圧下を間欠的に繰り返す逐次熱間鍛造又は逐次温間鍛造において前記元材に生じる変形抵抗を下式の数値モデルを用いて同定することを特徴とする。
Figure 2017177119
元材の圧下を間欠的に繰り返す逐次熱間(又は温間)鍛造では、元材が圧下された後、次に圧下されるまでの圧下間隔において元材の組織が回復及び再結晶することにより、元材が軟化することが知られている。また、逐次熱間(又は温間)鍛造において元材に生じる変形抵抗は、元材の軟化の度合によって変わり、一般的に、元材の温度、ひずみ速度、及び圧下間隔で変動することが知られている。
これを前提として、本数値シミュレーション方法で用いる上式に示す数値モデルでは、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみから、当該ひずみ、元材の温度、ひずみ速度及び圧下間隔を変数とする関数により得られるひずみのシフト量を減算する。そして、この減算結果を、一回圧下の熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみとして、一回圧下の熱間(又は温間)鍛造における元材の変形状況を予測する数値シミュレーションで一般的に用いられている上記の式(A)に示す数値モデルに適用することで変形抵抗を同定する。
このため、本数値シミュレーション方法によれば、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみ、元材の温度、ひずみ速度及び圧下間隔に応じたひずみのシフト量を、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみから減算することにより、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみから、当該ひずみ、元材の温度、ひずみ速度及び圧下間隔に応じて元材が軟化した影響を適切に排除し、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみを、一回圧下の熱間(又は温間)鍛造における元材が軟化していないときのひずみに精度良く換算することができる。これにより、一回圧下の熱間(又は温間)鍛造における元材の軟化の影響を考慮しない上記の式(A)に示す数値モデルに、当該精度良く換算したひずみを適用して、変形抵抗を精度良く同定することができる。その結果、変形抵抗を精度良く把握することができる。
また、上述の数値シミュレーション方法において、前記数値モデルにおけるひずみのシフト量を示す関数は、下式を満たすことが好ましい。
Figure 2017177119
は下式を満たし、
Figure 2017177119
は下式を満たし、
Figure 2017177119
は下式を満たす。
Figure 2017177119
この場合、元材のひずみの3乗ε、ひずみの2乗ε、ひずみの1乗εと、これらの係数A1、2、(元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを用いて表される28×3個の因子及び3個の定数を用いて構成される係数)と、を考慮して、ひずみのシフト量を精度良く算出することができる。
または、上述の数値シミュレーション方法において、前記数値モデルにおけるひずみのシフト量を示す関数は、下式を満たすことが好ましい。
Figure 2017177119
は下式を満たし、
Figure 2017177119
は下式を満たし、
Figure 2017177119
は下式を満たす。
Figure 2017177119
この場合、元材のひずみの3乗ε、ひずみの2乗ε、ひずみの1乗εと、これらの係数A1、2、(元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを用いて表される(28×2)×3個の因子と2×3個の定数と元材の温度Tのn1、n2、n3(n1、n2、n3≧2)乗、ひずみ速度εドットのn1、n2、n3乗、及び圧下間隔Sのn1、n2、n3乗を用いて表される因子とを用いて表される係数)と、を考慮して、ひずみのシフト量を精度良く算出することができる。
または、上述の数値シミュレーション方法において、前記数値モデルにおけるひずみのシフト量を示す関数は、更に、前記元材を構成する粒子の粒径を変数とし、下式を満たすことが好ましい。
Figure 2017177119
は下式を満たし、
Figure 2017177119
は下式を満たし、
Figure 2017177119
は下式を満たす。
Figure 2017177119
この場合、元材のひずみの3乗ε、ひずみの2乗ε、ひずみの1乗εと、これらの係数A1、2、(元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを用いて表される(28×3)×3個の因子と3×3個の定数と元材を構成する粒子の粒径Gを用いて表される因子とを用いて表される係数)と、を考慮して、ひずみのシフト量を精度良く算出することができる。
または、上述の数値シミュレーション方法において、前記数値モデルにおけるひずみのシフト量を示す関数は、更に、前記元材を構成する粒子の粒径を変数とし、下式を満たすことが好ましい。
Figure 2017177119
は下式を満たし、
Figure 2017177119
は下式を満たし、
Figure 2017177119
は下式を満たす。
Figure 2017177119
この場合、元材のひずみの3乗ε、ひずみの2乗ε、ひずみの1乗εと、これらの係数A1、2、(元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを用いて表される(28×4)×3個の因子と4×3個の定数と元材の温度Tのn1、n2、n3(n1、n2、n3≧2)乗、ひずみ速度εドットのn1、n2、n3乗、及び圧下間隔Sのn1、n2、n3乗を用いて表される因子と元材を構成する粒子の粒径Gを用いて表される因子とを用いて表される係数)と、を考慮して、ひずみのシフト量を精度良く算出することができる。
本発明によれば、逐次熱間鍛造又は逐次温間鍛造において元材に生じる変形抵抗を精度良く把握することができる。
一回圧下の熱間鍛造において元材に生じる変形抵抗とひずみとの関係の一例と、逐次熱間鍛造において元材に生じる変形抵抗とひずみとの関係の一例と、の比較例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る逐次熱間鍛造における元材の変形状況を予測する数値シミュレーションの実行方法を示すフローチャートである。 第一温度及び第一ひずみ速度の組み合わせの一例を示す図である。 第二温度、各圧下時に試験材を圧下する圧下量、圧下間隔及び第二ひずみ速度の組み合わせの一例を示す図である。 各第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみと当該第二ひずみのシフト量との関係の一例を示すグラフである。 各第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみと当該第二ひずみのシフト量との関係の一例を示すグラフである。 図5に示す一のグラフの近似式の一例を示す図である。 各近似式における変数の係数を重回帰分析することにより得た各重回帰式に関する情報の一例を示す図である。 数値シミュレーションの実行により得られたひずみのシフト量の予測値、第一試験及び第二試験の実行により得られた第二ひずみのシフト量の実測値の一例を示す図である。
以下、本発明に係る数値シミュレーション方法の一実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、一回圧下の熱間鍛造において元材に生じる変形抵抗σとひずみεとの関係の一例と、逐次熱間鍛造において元材に生じる変形抵抗σとひずみεとの関係の一例と、の比較例を示す図である。
図1に示すように、本願の発明者は、一回圧下の熱間鍛造の試験を行って取得した元材に生じた変形抵抗σとひずみεとの関係及び逐次熱間鍛造の試験を行って取得した元材に生じた変形抵抗σとひずみεとの関係をグラフG11に示し、比較した。その結果、グラフG12に示すように、逐次熱間鍛造の試験における三回目以降の圧下時に元材が降伏したときの変形抵抗σの変化率(傾き)が、一回圧下の熱間鍛造の試験における、当該降伏したときのひずみε2よりも小さいひずみε1のときの変形抵抗σの変化率と一致することを知見した。
また、本願の発明者は、元材を加熱する温度や圧下条件を変えて同様の試験を行った。その結果、本願の発明者は、上記とは反対に、逐次熱間鍛造の試験における各圧下時に元材が降伏したときの変形抵抗σの変化率が、一回圧下の熱間鍛造の試験における、当該降伏したときのひずみεよりも大きいひずみεのときの変形抵抗σの変化率と一致する場合があることも知見した。
尚、本願の発明者は、一回圧下の温間鍛造の試験を行ったときに元材に生じた変形抵抗σ及び逐次温間鍛造の試験を行ったときに元材に生じた変形抵抗σとひずみεとの関係を比較した結果からも同様の知見を得た。
本願の発明者は、これらの知見に基づき、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみεを所定量シフトする(減少する又は増大する)ことにより、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみεから元材の軟化の影響を排除し、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみεを、一回圧下の熱間(又は温間)鍛造における元材が軟化していないときのひずみに換算できると考えた。
また、本願の発明者は、グラフG13に示すように、逐次熱間鍛造の試験における各圧下時に元材が降伏したときの変形抵抗σの変化率を、それぞれ、一回圧下の熱間鍛造の試験における変形抵抗σの変化率に一致させた。その結果、本願の発明者は、上記換算のためにひずみεをシフトさせる量(以下、ひずみのシフト量)は、ひずみεの大きさに応じて異なることを知見した。また、変形抵抗は、元材の軟化の度合によって変わり、一般的に、元材の温度、ひずみ速度、及び圧下間隔で変動することが知られている。
これらの知見に基づき、本願の発明者は、ひずみのシフト量を、元材のひずみ、元材の温度、ひずみ速度及び圧下間隔を変数とする関数で表すことにした。そして、本願の発明者は、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみεから、当該関数が表すひずみのシフト量を減算した結果を、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみεを一回圧下の熱間(又は温間)鍛造におけるひずみに換算したひずみとした。そして、当該換算したひずみを、従来から一回圧下の熱間(又は温間)鍛造を行う場合に用いられている、下記の式(1)で表される数値モデルに適用した。これにより、本願の発明者は、下記の式(2)で表される変形抵抗σの数値モデルを創案した。
Figure 2017177119
Figure 2017177119
尚、上記式(1)、(2)において、定数A、ひずみ依存性指数n、ひずみ速度依存性指数m、活性化エネルギーQ、ガス定数Rは、元材の素材によって異なる定数である。また、元材の温度Tの単位は、K(ケルビン)である。
例えば、元材の素材が、JIS(Japanese Industrial Standards)規格のSQV2(ASME(American Society for Mechanical Engineers)規格のSA508)であるとする。この場合、定数Aは、元材の温度Tによっても異なり、例えば、当該元材の温度が「1073.15K(=800℃)」の場合は「253」であり、当該元材の温度が「1373.15K(=1100℃)」の場合は「92」である。また、ひずみ依存性指数nは「0.34」、ひずみ速度依存性指数mは「0.09」、活性化エネルギーQは「0.06」、ガス定数Rは「8.314」である。
以下、式(2)で表される変形抵抗の数値モデルを用いて、逐次熱間鍛造又は逐次温間鍛造における元材の変形状況を予測する数値シミュレーションの実行方法について説明する。尚、逐次熱間鍛造及び逐次温間鍛造における元材の変形状況を予測する数値シミュレーションの実行方法は同様であるので、以下では、逐次熱間鍛造における元材の変形状況を予測する数値シミュレーションの実行方法についてのみ説明する。図2は、本実施形態に係る逐次熱間鍛造における元材の変形状況を予測する数値シミュレーションの実行方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、作業者は、先ず、ステップS1〜S10において、式(2)で表される変形抵抗の数値モデルにおける元材のひずみεのシフト量を示す関数を生成する。具体的には、作業者は、ステップS1〜S3において、逐次熱間鍛造を行う対象の元材と同一素材の試験材を所定の温度(以下、第一温度)に加熱し、所定のひずみ速度(以下、第一ひずみ速度)で試験材の圧下を継続する一回圧下の熱間鍛造の試験(以下、第一試験)を行う。そして、作業者は、当該第一試験における試験材のひずみ(以下、第一ひずみ)と試験材に生じた変形抵抗(以下、第一変形抵抗)との関係を示す第一データを取得する。作業者は、この第一試験の実行及び第一データの取得を、第一温度及び第一ひずみ速度のうち少なくとも一方を異ならせて複数回行う。
より具体的には、作業者は、ステップS1において、第一試験の試験条件として、第一温度及び第一ひずみ速度の組み合わせを複数組決定する(S1)。
図3は、第一温度及び第一ひずみ速度の組み合わせC1_1〜C1_5の一例を示す図である。本実施形態では、具体例として、ステップS1において、図3に示す五組の第一温度及び第一ひずみ速度の組み合わせC1_1〜C1_5が決定されたものとして説明する。ただし、ステップS1において決定される第一温度及び第一ひずみ速度の組み合わせは、図3に示す五組の組み合わせC1_1〜C1_5に限らず、他の互いに異なる複数の組み合わせであってもよい。
続いて、作業者は、ステップS2において、ステップS1で定めた組み合わせC1_1〜C1_5のうち、未選択の一の組み合わせを選択する。そして、作業者は、逐次熱間鍛造を行う対象の元材と同一素材の新たな試験材を用意する。その後、作業者は、用意した試験材を当該選択した組み合わせが示す第一温度に加熱し、当該選択した組み合わせが示す第一ひずみ速度で当該試験材の圧下を継続する第一試験を行う。そして、作業者は、当該第一試験における試験材の第一ひずみと試験材に生じた第一変形抵抗との関係を示す第一データを取得する(S2)。
本実施形態では、具体例として、逐次熱間鍛造を行う対象の元材及び試験材を構成する素材が、上述した、JIS規格のSQV2(ASME規格のSA508)であるものして説明する。ただし、元材及び試験材を構成する素材は、これに限らず、他の素材であってもよい。
作業者は、ステップS1で定めた全ての組み合わせC1_1〜C1_5が示す第一温度及び第一ひずみ速度を用いた第一試験の実行及び第一データの取得を完了するまで(S3;NO)、ステップS2を繰り返す。その後、作業者は、ステップS1で定めた全ての組み合わせC1_1〜C1_5が示す第一温度及び第一ひずみ速度を用いた第一試験の実行及び第一データの取得を完了すると(S3;YES)、ステップS4〜S6を行う。
作業者は、ステップS4〜S6において、元材と同一素材の試験材を第一温度と同じ温度(以下、第二温度)に加熱し、第一ひずみ速度と同じひずみ速度(以下、第二ひずみ速度)で試験材を所定の圧下量圧下することを、所定の圧下間隔おきに間欠的に繰り返す逐次熱間鍛造の試験(以下、第二試験)を行う。そして、作業者は、当該第二試験における試験材のひずみ(以下、第二ひずみ)と試験材に生じた変形抵抗(以下、第二変形抵抗)との関係を示す第二データを取得する。作業者は、この第二試験の実行及び第二データの取得を、圧下間隔を異ならせて複数回行う。
より具体的には、作業者は、ステップS4において、第二試験の試験条件として、第二温度、各圧下時に試験材を圧下する圧下量、圧下間隔、及び第二ひずみ速度の組み合わせを複数組決定する(S4)。
図4は、第二温度、各圧下時に試験材を圧下する圧下量、圧下間隔及び第二ひずみ速度の組み合わせC2_1〜C2_14の一例を示す図である。本実施形態では、具体例として、ステップS4において、図3に示す五組の組み合わせC1_1〜C1_5が示す第一温度及び第一ひずみ速度と同じ第二温度及び第二ひずみ速度を用いた、図4に示す十四組の組み合わせC2_1〜C2_14が決定されたものとして説明する。また、圧下量は、試験材の圧下開始前の高さ(元の高さ)に対する試験材を圧下させる量の比率(パーセント)で表すものとする。
ただし、ステップS4で決定する組み合わせは、図4に示す十四組の組み合わせC2_1〜C2_14に限らず、第一温度及び第一ひずみ速度と同じ第二温度及び第二ひずみ速度を含んだ、他の互いに異なる複数の組み合わせであってよい。
続いて、作業者は、ステップS5において、ステップS2で定めた組み合わせC2_1〜C2_14のうち、未選択の一の組み合わせを選択する。そして、作業者は、逐次熱間鍛造を行う対象の元材と同一素材の新たな試験材を用意する。その後、作業者は、当該選択した組み合わせが示す第二温度、圧下量、圧下間隔及び第二ひずみ速度を把握する。そして、作業者は、試験材を当該第二温度に加熱し、当該第二ひずみ速度で当該試験材を当該圧下量圧下することを当該圧下間隔おきに間欠的に繰り返す第二試験を行う。そして、作業者は、当該第二試験における試験材の第二ひずみと試験材に生じた第二変形抵抗との関係を示す第二データを取得する(S5)。
作業者は、ステップS4で定めた全ての組み合わせC2_1〜C2_14が示す第二温度、圧下量、圧下間隔、及び第二ひずみ速度を用いた第二試験の実行及び第二データの取得を完了するまで(S6;NO)、ステップS5を繰り返す。その後、作業者は、ステップS4で定めた全ての組み合わせC2_1〜C2_14が示す第二温度、圧下量、圧下間隔、及び第二ひずみ速度を用いた第二試験の実行及び第二データの取得を完了すると(S6;YES)、ステップS7を行う。
ステップS7において、作業者は、ステップS5で取得した各第二データと、当該第二データの取得に用いた第二温度及び第二ひずみ速度と同じ第一温度及び第一ひずみ速度で取得した第一データと、を比較する。そして、作業者は、第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみと当該第二ひずみのシフト量との関係を示すデータを取得し、グラフ化する(S7)。
より具体的には、ステップS7において、作業者は、図1のグラフG12に示すように、第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二変形抵抗の変化率(太字実線部)と一致する第一変形抵抗の変化率(太字破線部)を示すときの第一ひずみε1を、当該降伏したときの第二ひずみε2から減算する。作業者は、当該減算の結果εa(=ε2−ε1)を当該第二ひずみε2のシフト量εaとして取得する。そして、作業者は、第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみε2と当該第二ひずみε2のシフト量εaとの関係を示すデータをグラフ化する。
図5及び図6は、各第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみε2と当該第二ひずみε2のシフト量εaとの関係の一例を示すグラフである。例えば、ステップS7において、作業者は、第二試験を行って取得した第二データと、第一試験を行って取得した第一データと、を比較する。具体例として、当該第二試験は、図4に示す組み合わせC2_1が示す、第二温度「800(℃)」、圧下量「5(%)」、圧下間隔「100(s)」及び第二ひずみ速度「0.002」を用いて行ったものとする。当該第一試験は、図3に示す組み合わせC1_1が示す、第二温度「800(℃)」及び第二ひずみ速度「0.002」と同じ第一温度「800(℃)」及び第一ひずみ速度「0.002」を用いて行ったものとする。そして、作業者は、当該第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみε2のシフト量εaを算出する。その後、作業者は、図5に示すように、当該第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみε2と当該算出した第二ひずみε2のシフト量εaとの関係を示すグラフG511を生成する。
同様にして、作業者は、ステップS7において、図4に示す組み合わせC2_2を用いた第二試験を行って取得した第二データと、図3に示す組み合わせC1_1を用いた第一試験を行って取得した第一データと、の比較結果に基づき、グラフG512を生成する。作業者は、ステップS7において、図4に示す組み合わせC2_3〜C2_5を用いた第二試験を行って取得した各第二データと、図3に示す組み合わせC1_2を用いた第一試験を行って取得した第一データと、の比較結果に基づき、グラフG521〜G523を生成する。作業者は、ステップS7において、図4に示す組み合わせC2_6〜C2_8を用いた第二試験を行って取得した各第二データと、図3に示す組み合わせC1_3を用いた第一試験を行って取得した第一データと、の比較結果に基づき、グラフG531〜G533を生成する。
同様にして、作業者は、ステップS7において、図4に示す組み合わせC2_9〜C2_11を用いた第二試験を行って取得した各第二データと、図3に示す組み合わせC1_4を用いた第一試験を行って取得した第一データと、の比較結果に基づき、図6に示すグラフG641〜G643を生成する。また、作業者は、ステップS7において、図4に示す組み合わせC2_12〜C2_14を用いた第二試験を行って取得した各第二データと、図3に示す組み合わせC1_5を用いた第一試験を行って取得した第一データと、の比較結果に基づき、図6に示すグラフG651〜G653を生成する。
図2に参照を戻す。続いて、作業者は、ステップS8において、各第二データが示す第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみε2と当該第二ひずみε2のシフト量εaとに基づき、当該第二ひずみε2を変数として当該第二ひずみε2のシフト量εaの近似値を算出する近似式を生成する。
より具体的には、作業者は、ステップS8において、ステップS7で生成した各グラフG511〜G653が示す、第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみε2と当該第二ひずみε2のシフト量εaとの関係を示すデータを用いて、切片を0とし、且つ、第二ひずみε2の3乗、第二ひずみε2の2乗及び第二ひずみε2の1乗をそれぞれ変数X、X、Xとして、当該第二ひずみε2のシフト量εaの近似値Yを算出する三次の多項式近似を行う。これにより、作業者は、各グラフG511〜G653に近似するグラフによって表される、切片を0とし、且つ、第二ひずみε2の3乗、第二ひずみε2の2乗及び第二ひずみε2の1乗を変数X、X、Xとして、当該第二ひずみε2のシフト量εaの近似値Yを算出する三次多項式を生成する。
図7は、図5に示す一のグラフG511の近似式の一例を示す図である。例えば、作業者は、ステップS8において、ステップS7で生成した図5に示すグラフG511が示すデータを用いて上記の三次の多項式近似を行う。これにより、作業者は、図7に示すように、グラフG511に近似するグラフG711によって表される三次多項式の近似式を生成する。同様にして、作業者は、ステップS8において、ステップS7で生成した図5に示す各グラフG512〜G653が示すデータを用いて、各グラフG512〜G653に近似するグラフによって表される三次多項式の近似式をそれぞれ生成する。
図2に参照を戻す。続いて、作業者は、ステップS9において、ステップS8で生成した各近似式における各変数の係数をそれぞれ目的変数とし、各近似式を生成する場合に用いた第二データの取得に用いた第二温度、第二ひずみ速度及び圧下間隔に関する複数の因子を説明変数としてそれぞれ重回帰分析する(S9)。
ここで、第二温度、第二ひずみ速度及び圧下間隔に関する複数の因子とは、第二温度、第二ひずみ速度、圧下間隔を用いて表すことができる因子を示す。具体的には、当該複数の因子には、第二温度、第二ひずみ速度、圧下間隔、第二温度の逆数、第二ひずみ速度の逆数及び圧下間隔の逆数や、第二温度、第二ひずみ速度、圧下間隔、第二温度の逆数、第二ひずみ速度の逆数及び圧下間隔の逆数のうちの何れか二以上の積等が含まれる。
そして、作業者は、ステップS10において、ステップS9の各重回帰分析により導出した各重回帰式によって各変数の係数を表した式において、変数X、X、Xを、それぞれ元材のひずみの3乗、当該ひずみの2乗及び当該ひずみの1乗を示す変数ε、ε、εとし、上記複数の因子が示す第二温度、圧下間隔及び第二ひずみ速度を、それぞれ、逐次熱間鍛造における元材の温度T、圧下間隔S及びひずみ速度εドットとしたものを、式(2)で表される変形抵抗の数値モデルに含まれるひずみεのシフト量εaを示す関数として生成する(S10)。
より具体的には、作業者は、ステップS9において、ステップS8で生成した各近似式の変数Xの係数を目的変数Aとし、各近似式を生成する場合に用いた第二データの取得に用いた、第二温度、圧下間隔及び第二ひずみ速度に関する以下の式(3)に示す28個の因子「T、S、εドット、T・S、・・・、exp(−S)」を説明変数として重回帰分析する。これにより、作業者は、以下の式(3)に示す重回帰式を得る。尚、式(3)、後述する式(4)及び式(5)では、説明の便宜上、第二温度をT、圧下間隔をS、第二ひずみ速度をεドットと示している。
Figure 2017177119
同様にして、作業者は、ステップS9において、ステップS8で生成した各近似式の変数Xの係数を目的変数Aとし、上記28個の因子「T、S、εドット、T・S、・・・、exp(−S)」を説明変数として重回帰分析することにより、以下の式(4)に示す重回帰式を得る。
Figure 2017177119
同様にして、作業者は、ステップS9において、ステップS8で生成した各近似式の変数Xの係数を目的変数Aとし、上記28個の因子「T、S、εドット、T・S、・・・、exp(−S)」を説明変数として重回帰分析することにより、以下の式(5)に示す重回帰式を得る。
Figure 2017177119
図8は、各近似式における変数X、X、Xの係数を重回帰分析することにより得た各重回帰式に関する情報の一例を示す図である。図8の因子欄は、ステップS9における重回帰分析において説明変数とした28個の因子を示している。図8のXの係数A1欄は、式(3)の重回帰式における切片b及び各因子の係数a101〜a128を示している。図8のXの係数A2欄は、式(4)の重回帰式における切片b及び各因子の係数a201〜a228を示している。図8のXの係数A3欄は、式(5)の重回帰式における切片b及び各因子の係数a301〜a328を示している。切片b、各因子の係数ak01〜ak28(k=1、2、3)は、元材の素材によって異なる材料定数となる。
そして、作業者は、ステップS10において、ステップS9の各重回帰分析により導出した式(3)〜式(5)の各重回帰式によって、各変数X、X、Xの係数を表した式を生成する。そして、作業者は、当該生成した式における各変数X、X、Xをそれぞれ元材のひずみεの3乗、元材のひずみεの2乗及び元材のひずみεの1乗を示す変数ε、ε、εとする。また、作業者は、当該生成した式における28個の因子が示す第二温度、第二ひずみ速度及び圧下間隔を、それぞれ、逐次熱間鍛造における元材の温度T、元材のひずみ速度εドット及び圧下間隔Sとする。
これにより、作業者は、変数ε、ε、ε、逐次熱間鍛造における元材の温度T、元材のひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを用いて表される29×3個の因子を用いた下記の式(6)を生成する。そして、作業者は、当該生成した式(6)を、式(2)で表される変形抵抗の数値モデルにおけるひずみεのシフト量を示す関数として生成する。
Figure 2017177119
図2に参照を戻す。そして、作業者は、ステップS11において、逐次熱間鍛造において元材に生じる変形抵抗を、ステップS10で生成した式(6)で表される関数を式(2)に適用した数値モデルを用いて同定した数値シミュレーションを実行する(S11)。尚、作業者は、ステップS11において、例えば、FORGE2D、3D(TRANSVALOR社の商標)、DEFORM−2D、3D(SFT社の商標)、NASKA2D、3D(自社開発ソフト)等の数値シミュレーションソフトを用いて数値シミュレーションを実行する。
より具体的には、作業者は、ステップS11において、ステップS10で生成した式(6)で表される関数を式(2)に適用することで、逐次熱間鍛造において元材に生じる変形抵抗の数値モデルを作成する。そして、作業者は、数値シミュレーションに必要な各種データを数値シミュレーション用に変換後、数値シミュレーションソフトに入力する。その後、作業者は、変形解析に必要な全ての数値モデルを作成後、境界条件等の各種設定を行って数値シミュレーションを実行する。
次に、逐次熱間鍛造において元材に生じる変形抵抗を、式(6)で表される関数を式(2)に適用した数値モデルを用いて同定した数値シミュレーションの実行結果について説明する。
発明者は、ステップS1〜S3で行った複数回の第一試験の実行及び第一データの取得に相当する処理を、一回圧下の熱間鍛造における元材の変形状況を予測する数値シミュレーション(以下、第一シミュレーション)を複数回実行することによって行った。尚、発明者は、第一シミュレーションを実行する場合、式(1)によって表される変形抵抗σの数値モデルを用いた。また、発明者は、例えば、NASKA2D、3D(自社開発ソフト)等の数値シミュレーションソフトを用いて、第一シミュレーションを実行した。
次に、発明者は、ステップS4〜S6で行った複数回の第二試験の実行及び各第二データの取得に相当する処理を、逐次熱間鍛造における元材の変形状況を予測する数値シミュレーション(以下、第二シミュレーション)を複数回実行することによって行った。尚、発明者は、第二シミュレーションを実行する場合、ステップS10で生成した式(6)によって表される関数を適用した式(2)によって表される変形抵抗σの数値モデルを用いた。また、発明者は、例えば、NASKA2D、3D(自社開発ソフト)等の数値シミュレーションソフトを用いて、第二シミュレーションを実行した。
そして、発明者は、ステップS7と同様にして、複数回の第一シミュレーションの実行により得られた各第一データに相当するデータ(以下、第一予測データ)と、複数回の第二シミュレーションの実行により得られた各第二データに相当するデータ(以下、第二予測データ)とを比較した。そして、発明者は、ステップS7と同様にして、当該比較結果に基づき、各第二シミュレーションにおける各圧下時に元材が降伏したときのひずみεのシフト量εaを算出した。その後、発明者は、当該第二シミュレーションにおける各圧下時に元材が降伏したときのひずみεと当該ひずみεのシフト量εaとの関係を示すグラフを生成した。
そして、発明者は、当該生成した各グラフが示す、元材のひずみεのシフト量εaの予測値と、ステップS7において生成した各グラフが示す試験材の第二ひずみεのシフト量εaの実測値と、を対比した。図9は、数値シミュレーションの実行により得られたひずみεのシフト量εaの予測値、第一試験及び第二試験の実行により得られた第二ひずみε2のシフト量εaの実測値の一例を示す図である。
例えば、図9に示すグラフG22は、元材の温度T「1073.15(K)」、ひずみ速度εドット「0.02(1/s)」、及び圧下間隔S「100(s)」を用いた第二シミュレーションの実行により取得した第二予測データを用いて生成した、ひずみεのシフト量εaの予測値を示すグラフである。図9に示すグラフG522は、ステップS7において第二温度「1073.15(K)」、圧下間隔「100(s)」及び第二ひずみ速度「0.02(1/s)」を用いた第二試験の実行により取得した第二データを用いて生成した、図5のグラフG522が示すデータのみを示すグラフである。
図9に示すように、グラフG22とグラフG522とを対比した結果、グラフG22とグラフG522とが略同じ曲線上に存在していることがわかった。これにより、ステップS10で生成した式(6)によって表される関数の精度が良いことがわかった。
図9に示すグラフG42は、元材の温度T「1373.15(K)」、ひずみ速度εドット「0.02(1/s)」、及び圧下間隔S「100(s)」を用いた第二シミュレーションの実行により取得した第二予測データを用いて生成した、ひずみεのシフト量εaの予測値を示すグラフである。図9に示すグラフG642は、ステップS7において第二温度「1373.15(K)」、圧下間隔「100(s)」及び第二ひずみ速度「0.02(1/s)」を用いた第二試験の実行により取得した第二データを用いて生成した、図5に示すグラフG642が示すデータのみを示すグラフである。
図9に示すように、グラフG42とグラフG642とを対比した結果、グラフG42とグラフG642とが略同じ曲線上に存在していることがわかった。このことからも、ステップS10で生成した式(6)によって表される関数の精度が良いことがわかった。
尚、対比した2つのグラフが同じ曲線上に存在しているとは考えられず、式(6)によって表される関数の精度が良くない場合がある。この場合、作業者は、再びステップS1〜ステップS10を行って式(6)によって表される関数を生成し直せばよい。そして、作業者は、この場合のステップS1において決定する第一試験の試験条件(第一温度及び第一ひずみ速度の組み合わせ)と、この場合のステップS4において決定する第二試験の試験条件(第二温度、各圧下時に試験材を圧下する圧下量、圧下間隔、及び第二ひずみ速度の組み合わせ)と、をそれぞれ、これまでに決定したものとは異なる試験条件に決定すればよい。
元材の圧下を間欠的に繰り返す逐次熱間(又は温間)鍛造では、元材が圧下された後、次に圧下されるまでの圧下間隔Sにおいて元材の組織が回復及び再結晶することにより、元材が軟化することが知られている。また、逐次熱間(又は温間)鍛造において元材に生じる変形抵抗σは、元材の軟化の度合によって変わり、一般的に、元材の温度T、ひずみ速度εドット、及び圧下間隔Sで変動することが知られている。
これを前提として、式(6)によって表される関数を適用した式(2)によって表される数値モデルでは、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみεから、当該ひずみε、元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを変数とする関数により得られるひずみεのシフト量εaを減算する。そして、この減算結果を、一回圧下の熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみとして、一回圧下の熱間(又は温間)鍛造における元材の変形状況を予測する数値シミュレーションで一般的に用いられている上記の式(A)に示す数値モデルに適用することで変形抵抗σを同定する。
尚、式(6)によって表される関数によれば、元材のひずみの3乗ε、ひずみの2乗ε、ひずみの1乗εと、これらの係数A1、2、(元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを用いて表される28×3個の因子及び3個の定数を用いて構成される係数)と、を考慮して、ひずみのシフト量を精度良く算出することができる。
このため、本実施形態で説明したステップS11の数値シミュレーションによれば、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみε、元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sに応じたひずみのシフト量εaを、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみεから減算することにより、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみεから、当該ひずみε、元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sに応じて元材が軟化した影響を適切に排除し、逐次熱間(又は温間)鍛造における元材のひずみεを、一回圧下の熱間(又は温間)鍛造における元材が軟化していないときのひずみに精度良く換算することができる。これにより、一回圧下の熱間(又は温間)鍛造における元材の軟化の影響を考慮しない上記の式(A)に示す数値モデルに、当該精度良く換算したひずみを適用して、変形抵抗σを精度良く同定することができる。その結果、変形抵抗σを精度良く把握することができる。
尚、ステップS1において、第一試験の試験条件として、第一温度及び第一ひずみ速度の組み合わせを一組だけ設定し、当該設定した一の試験条件で、第一試験の実行及び第一データの取得を一回以上行うようにしてもよい。これに合わせて、ステップS4においても、第二試験の試験条件として、第二温度、各圧下時に試験材を圧下する圧下量、圧下間隔、及び第二ひずみ速度の組み合わせを一組だけ設定し、当該設定した一の試験条件で、第二試験の実行及び第二データの取得を一回以上行うようにしてもよい。
また、ステップS8〜S10に代えて、ステップS7で生成した各グラフが示す、第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみε2と当該第二ひずみε2のシフト量εaとの関係を示すデータと、ステップS7において各グラフを生成するために用いた第二データの取得に用いた第二温度、第二ひずみ速度及び圧下間隔と、に基づき、式(2)によって表される変形抵抗σの数値モデルにおける、ひずみεのシフト量εaを示す関数を生成してもよい。
例えば、ステップS7で生成した各グラフが示す、第二試験における各圧下時に試験材が降伏したときの第二ひずみε2と当該第二ひずみε2のシフト量εaとの関係を示すデータと、ステップS7において各グラフを生成するために用いた第二データの取得に用いた第二温度、第二ひずみ速度及び圧下間隔と、の関係を機械学習するようにしてもよい。
そして、学習結果によって、第二ひずみ、第二温度、第二ひずみ速度及び圧下間隔を変数として、第二ひずみε2のシフト量εaを算出する最適な関数を導出するようしてもよい。そして、当該関数における第二ひずみ、第二温度、第二ひずみ速度及び圧下間隔を示す変数を、それぞれ、逐次熱間鍛造又は逐次温間鍛造における元材のひずみε、温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを示す変数に代えた関数を、式(2)によって表される変形抵抗σの数値モデルにおける、ひずみεのシフト量εaを示す関数としてもよい。
また、ひずみεのシフト量εaを示す関数を、式(6)によって表される関数に代えて、変数ε、ε、εの係数A、A、Aをそれぞれ下記の式(7)、(8)、(9)を満たすようにした関数にしてもよい。
Figure 2017177119
Figure 2017177119
Figure 2017177119
この場合、元材のひずみの3乗ε、ひずみの2乗ε、ひずみの1乗εと、これらの係数A1、2、(元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを用いて表される(28×2)×3個の因子と2×3個の定数と元材の温度Tのn1、n2、n3(n1、n2、n3≧2)乗、ひずみ速度εドットのn1、n2、n3乗、及び圧下間隔Sのn1、n2、n3乗を用いて表される因子とを用いて表される係数)と、を考慮して、ひずみのシフト量を精度良く算出することができる。
例えば、元材の素材が上述したJIS規格のSQV2(ASME規格のSA508)であるとする。この場合、式(7)〜(9)における材料定数bk、k01〜ak28(k=1、2、3)を図8に示したものと同じ値にし、材料定数bkn、k01n〜ak28n(k=1、2、3)を全て0としてもよい。
または、式(2)によって表される変形抵抗σの数値モデルにおけるひずみεのシフト量εaを示す関数を、更に、元材を構成する粒子の粒径Gを変数とする下記の式(10)を満たす関数としてもよい。
Figure 2017177119
式(10)によって表される関数における変数ε、ε、εの係数A、A、Aはそれぞれ下記の式(11)、(12)、(13)を満たす。
Figure 2017177119
Figure 2017177119
Figure 2017177119
この場合、元材のひずみの3乗ε、ひずみの2乗ε、ひずみの1乗εと、これらの係数A1、2、(元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを用いて表される(28×3)×3個の因子と3×3個の定数と元材を構成する粒子の粒径Gを用いて表される因子とを用いて表される係数)と、を考慮して、ひずみのシフト量を精度良く算出することができる。
例えば、元材の素材が、上述したJIS規格のSQV2(ASME規格のSA508)であるとする。この場合、式(11)〜(13)における材料定数bk、k01〜ak28(k=1、2、3)を、図8に示したものと同じ値にし、材料定数bGk、Gk01〜aGk28、kG、k01G〜ak28G(k=1、2、3)を全て0としてもよい。
または、式(10)によって表される関数における変数ε、ε、εの係数A、A、Aが、それぞれ下記の式(14)、(15)、(16)を満たすようにしてもよい。
Figure 2017177119
Figure 2017177119
Figure 2017177119
この場合、元材のひずみの3乗ε、ひずみの2乗ε、ひずみの1乗εと、これらの係数A1、2、(元材の温度T、ひずみ速度εドット及び圧下間隔Sを用いて表される(28×4)×3個の因子と4×3個の定数と元材の温度Tのn1、n2、n3(n1、n2、n3≧2)乗、ひずみ速度εドットのn1、n2、n3乗、及び圧下間隔Sのn1、n2、n3乗を用いて表される因子と元材を構成する粒子の粒径Gを用いて表される因子とを用いて表される係数)と、を考慮して、ひずみのシフト量を精度良く算出することができる。
例えば、元材の素材が、上述したJIS規格のSQV2(ASME規格のSA508)であるとする。この場合、式(11)〜(13)における材料定数bk、k01〜ak28(k=1、2、3)を、図8に示したものと同じ値にし、材料定数bGk、Gk01〜aGk28、kG、k01G〜ak28G、kn、k01n〜ak28n(k=1、2、3)を全て0としてもよい。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
G 粒径
S 圧下間隔
T 元材の温度
ε ひずみ
εドット ひずみ速度
εa ひずみのシフト量
σ 変形抵抗

Claims (5)

  1. 元材を加熱して前記元材の圧下を間欠的に繰り返す逐次熱間鍛造又は逐次温間鍛造において前記元材に生じる変形抵抗を下式の数値モデルを用いて同定することを特徴とする数値シミュレーション方法。
    Figure 2017177119
  2. 前記数値モデルにおけるひずみのシフト量を示す関数は、下式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の数値シミュレーション方法。
    Figure 2017177119
    は下式を満たし、
    Figure 2017177119
    は下式を満たし、
    Figure 2017177119
    は下式を満たす。
    Figure 2017177119
  3. 前記数値モデルにおけるひずみのシフト量を示す関数は、下式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の数値シミュレーション方法。
    Figure 2017177119
    は下式を満たし、
    Figure 2017177119
    は下式を満たし、
    Figure 2017177119
    は下式を満たす。
    Figure 2017177119
  4. 前記数値モデルにおけるひずみのシフト量を示す関数は、更に、前記元材を構成する粒子の粒径を変数とし、下式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の数値シミュレーション方法。
    Figure 2017177119
    は下式を満たし、
    Figure 2017177119
    は下式を満たし、
    Figure 2017177119
    は下式を満たす。
    Figure 2017177119
  5. 前記数値モデルにおけるひずみのシフト量を示す関数は、更に、前記元材を構成する粒子の粒径を変数とし、下式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の数値シミュレーション方法。
    Figure 2017177119
    は下式を満たし、
    Figure 2017177119
    は下式を満たし、
    Figure 2017177119
    は下式を満たす。
    Figure 2017177119
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