JP2010129872A - 太陽電池素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電効率の優れたバックコンタクト型の太陽電池素子を提供する。
【解決手段】第1の面1aと第2の面1bとを含み、第1の導電型を有する半導体基板1と、第1の導電型に寄与するドーパントを半導体基板1よりも高い濃度で含有し、半導体基板1の第1の面1aの第1領域に設けられたドープ層3と、半導体基板1のドープ層3上に設けられた第1の部分5aと、半導体基板1の第1の面1aの第2領域に設けられた第2の部分5bと、を含む真性半導体層5と、第2の導電型を有し、真性半導体層5の第2の部分5b上に設けられた第2の導電型の層と、を有し、真性半導体層5の第1の部分5aは、第2の部分5bより薄いことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体接合を用いた太陽電池素子、特に、裏面側にp型電極とn型電極とが設けられてなる太陽電池素子に関する。
従来より、受光面側における電極の面積を小さくさせた太陽電池素子が広く知られている。例えば、非受光面側にn型電極およびp型電極を形成した上で、n型あるいはp型電極の一方と受光面側に設けられた受光面電極(フィンガー電極)とを半導体基板に設けた貫通導体により電気的に接続してなるバックコンタクト型の太陽電池素子などが、その一例である。
また、近年、裏面側にのみ電極を設け、受光面側には電極を設けないバックコンタクト型の太陽電池素子の開発が盛んになってきている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−101240号公報
特許文献1には、n型単結晶シリコン基板の非受光面側に正極および負極が設けられた太陽電池素子が開示されている。しかしながら、特許文献1には、正極側、負極側双方のi型アモルファスシリコン膜が同一の厚みで形成されることが開示されているのみであり、i型アモルファスシリコン膜の形成態様が発電効率に与える影響については何ら考慮されていない。
また、特許文献1には、n型単結晶シリコン基板の非受光面の一部の領域に高濃度n型ドープ層が形成され、さらに、該高濃度n型ドープ層に負極が隣接形成されてなる太陽電池素子も開示されている。係る構成の太陽電池素子では、高濃度n型ドープ層と負極との界面の欠陥密度が大きいため、該界面においてキャリアの再結合損失が生じやすくなっており、このことが発電効率低下の一因となっている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、発電効率の優れたバックコンタクト型の太陽電池素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、第1の面と第2の面とを含み、第1の導電型を有する半導体基板と、前記第1の導電型に寄与するドーパントを前記半導体基板よりも高い濃度で含有し、前記半導体基板の前記第1の面の第1領域に設けられた第1ドープ層と、前記半導体基板の前記第1ドープ層上に設けられた第1の部分と、前記半導体基板の前記第1の面の第2領域に設けられた第2の部分と、を含む真性半導体層と、第2の導電型を有し、前記真性半導体層の前記第2の部分上に設けられた第2の導電型の層と、を有し、前記真性半導体層の前記第1の部分は、前記第2の部分より薄いことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の太陽電池素子において、前記第1ドープ層は、前記半導体基板内に設けられていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の太陽電池素子において、前記真性半導体層の前記第1の部分の厚みが3nm以上5nm以下であり、前記第2の部分の厚みが6nm以上10nm以下である、ことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の太陽電池素子において、前記第2領域の面積が前記第1領域の面積よりも大きいことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の太陽電池素子において、前記真性半導体層の前記第1の部分に設けられた第1電極と、前記第2の導電型層上に設けられた第2電極と、をさらに備え、前記第1電極と前記第2電極との電気抵抗値が等しいことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の太陽電池素子において、前記半導体基板の前記第2の面側に、前記第1の導電型に寄与するドーパントを前記半導体基板よりも高い濃度で含有する第2ドープ層をさらに有する、ことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6に記載の太陽電池素子において、前記第1および第2ドープ層が、前記半導体基板の外縁部に熱拡散層として設けられてなる、ことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の太陽電池素子において、前記半導体基板の前記第2の面上に反射防止層をさらに備える、ことを特徴とする。
請求項9の発明は、第1の面と第2の面とを含み、第1の導電型を有する半導体基板と、前記半導体基板の第1の面に接して設けられており、第1の部分と第2の部分とを含む真性半導体層と、前記第1の導電型に寄与するドーパントを含有し、前記真性半導体層の前記第1の部分に設けられた第1ドープ層と、第2の導電型を有し、前記真性半導体層の前記第2の部分上に設けられた第2の導電型の層と、を有し、前記真性半導体層の前記第1の部分は、前記第2の部分より薄いことを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項9に記載の太陽電池素子において、前記第1ドープ層は、前記第1の導電型に寄与するドーパントを前記半導体基板よりも高い濃度で含有する、ことを特徴とする。
請求項1ないし請求項10の発明によれば、真性半導体層の第1の部分の厚みを第2の部分の厚みより小さくすることで、発電効率の優れた太陽電池素子を得ることができる。
<第1の実施の形態>
<太陽電池素子の構造>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る太陽電池素子100Aの断面構造を示す図である。図2は、太陽電池素子100Aの裏面図である。
第1の実施の形態に係る太陽電池素子100Aは、第1の面1aと第2の面1bとを含み、n型(第1の導電型)のドーパント(例えばP(リン))がドープされてなることでn型の導電型を呈するn型半導体領域2を有する半導体基板1と、n型半導体領域2よりもn型のドーパント(例えばP)を高濃度に含有するドープ層3と、ノンドープのアモルファスシリコンからなるi型半導体層5と、アモルファスシリコンからなり、p型のドーパント(例えばB(ボロン))がドープされてなることでp型の導電型を呈するp型半導体層6(第2導電型層)と、n型電極7と、p型電極10と、反射防止層4とを主として備えている。
係る太陽電池素子100Aは、半導体基板1のn型半導体領域2とp型半導体層6とがi型半導体層5を間に挟み込んだpin接合を有する。なお、係る太陽電池素子100Aにおける表面側とは受光面側(図1においては図面視上側)を示し、裏面側とは表面の裏側の面(図1においては図面視下側)を示すものとする。
n型電極7およびp型電極10は、発電された電力を外部に取り出す電極である。図2に示すように、n型電極7およびp型電極10はいずれも、太陽電池素子100Aの裏面側に形成された、複数の電極指を有する櫛歯状電極である。裏面側において、両者の電極指は交互に並んでいる(ただし、図1においては、図示の都合上、両電極の電極指を1つずつのみ示している)。すなわち、太陽電池素子100Aは、n型電極7およびp型電極10が、太陽電池素子100Aの裏面側にのみ配されたバックコンタクト型の構造を有してなる。これにより、太陽電池素子100Aにおいては、受光面全面での受光が可能となっている。係る構成によって、変換効率の向上が図られているとともに、受光面側において電極が凸部となって存在することがないので、美観の向上も実現されている。
半導体基板1は、例えば、n型の導電性を呈する多結晶シリコン基板である。導電型決定元素としてPを含有するn型の多結晶シリコンインゴットを鋳造法等によって形成した後、所定の大きさおよび厚みに切断することで作製される。半導体基板1の寸法例としては、大きさが10cm×10cm〜21cm×21cm程度、厚みが300μm以下であることがその好適な一例であり、さらに、厚みに関しては、200μm以下であることがより好ましい。また、半導体基板1の抵抗率は0.3〜5Ω・cm程度であるのが好ましい。
また、好ましくは、半導体基板1の表面1b側にはドープ層3の形成に先立ってあらかじめ、粗面化処理を施すことによって、微細な凹凸構造(テクスチャ構造)が形成される(図8(a)参照)。半導体基板1がこのような表面凹凸構造を有することにより、太陽電池素子100Aの受光面における光の反射損失が低減される。
ドープ層3は、半導体基板1の第1の面1aの第1領域1aaに設けられた裏面側ドープ層(第1ドープ層)3aと、半導体基板1の第2の面1bに設けられた表面側ドープ層(第2ドープ層)3bとを有する。半導体基板1の第1の面1aにおいて、ドープ層3は、pin接合が形成された領域を除いた領域に形成されている。すなわち、i型半導体層5を挟んでp型半導体層6と対向する半導体基板1の裏面の領域を除いた領域に形成される。ここで、「第2の面1bに設けられた」「第1の面1aの第1領域1aaに設けられた」とは、半導体基板1の第1(第2)の面上に形成される場合と、半導体基板1内に形成される場合とを含む。このようなドープ層3は、20nm〜5μm程度の厚みを有する。好ましくは、n型半導体領域2は、1×1015〜1×1017(cm-3)程度の濃度でn型のドーパントを含有し、ドープ層3は、1×1016〜1×1020(cm-3)程度の濃度でn型のドーパントを含有する。半導体基板1にこのような態様にてドープ層3を形成することで得られる効果については、後述する。なお、半導体基板1の裏面1a側のうち、pin接合形成領域を第2領域1abとも称する。
i型半導体層5は、半導体基板1の裏面の略全面に設けられた真性半導体層である。i型半導体層5は、第1領域1aa上に設けられた部分の厚みt1が、第2領域1ab上に設けられた部分の厚みt2よりも小さい。
以下の説明においては、i型半導体層5のうち、第1領域1aa上に設けられた部分を第1の部分5aと称し、半導体基板1とp型半導体層6とに挟まれた領域を第2の部分5bと称する。また、本実施の形態においては、i型半導体層5のうち、第1の部分5aと第2の部分5bとの間の領域のi型半導体層5も、厚みt2で形成されているものとする。
p型半導体層6は、i型半導体層5のうち、半導体基板1の裏面1aであって裏面側ドープ層3aの形成領域を除いた領域上に形成される。また、p型半導体層6は3nm〜20nm程度の厚みを有するように形成される。
n型電極7は、第1シード層8と第1裏面電極9とを有する。第1シード層8と第1裏面電極9とは、i型半導体層5を挟んで裏面側ドープ層3aと対向する位置に、順に形成されてなる。
p型電極10は、第2シード層11と第2裏面電極12とを有する。第2シード層11と第2裏面電極12とは、p型半導体層6の、i型半導体層5と接続していない側の面(図1の場合は下面)に、順に形成されている。
第1シード層8および第2シード層11は、n型電極7およびp型電極10における集電部として機能するほか、第1裏面電極9および第2裏面電極12をメッキ形成する際の下地層としての役割も果たす。第1シード層8および第2シード層11は、数百nm〜数μm程度の厚みに形成される。第1シード層8および第2シード層11は、例えば、Ni(ニッケル)、W(タングステン)、Co(コバルト)、およびこれらの合金、あるいは、Ni、W、CoとP、Bとの合金などの、導電性材料により形成される。また、ITO(酸化インジウム錫)やAg(銀)等の高反射率材料を用いて第1シード層8および第2シード層11を形成する態様であってもよい。この場合、受光面側から入射した光が第1シード層8および第2シード層11にて反射されるので、入射光の透過損失やシード層での吸収損失が低減される。
第1裏面電極9および第2裏面電極12は、太陽電池素子100Aにて発生した電力の外部取出電極である。第1裏面電極9および第2裏面電極12は、数μ程度の厚みに形成される。第1裏面電極および第2裏面電極12は、Cuにて形成されるが好適な一例である。あるいは、Ag、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)、Ti(チタン)、W、Mo(モリブデン)、Ta(タンタル)、Pt(白金)、Au(金)、Ni、Coや、これらの合金など、一般的な電極材料を用いてもよい。なお、第1シード層8および第2シード層11を設けることなく、第1裏面電極9および第2裏面電極12を形成することも可能である。
なお、太陽電池素子100Aの発電効率を向上させるうえでは、図2のように太陽電池素子100Aを裏面側から見たときのp型電極10の平面占有面積が、n型電極7の平面占有面積よりも大きくなるように、n型電極7とp型電極10とを形成するのが好適である。この場合、裏面側ドープ層3aも、n型電極7の形成範囲に対応する領域にのみ形成するようにする。例えば、n型電極7とp型電極10との平面占有面積の比が1:9〜4:6の範囲に形成するのが好ましく、特に、3:7程度とするのが好ましい。
さらに、n型電極7およびp型電極10は、両者の電気抵抗値が等しくなるように、各々の厚みが定められるのが好ましい。図1に示すように、n型電極7の厚みt3は、第1シード層8の厚みと第1裏面電極9の厚みとの総和であり、p型電極10の厚みt4は、第2シード層11の厚みと第2裏面電極12の厚みとの総和である。例えば、上述のように、n型電極7とp型電極10との平面占有面積の比を3:7としたときは、t3:t4=7:3程度とするのがよい。
反射防止層4は、受光面側から太陽電池素子100Aに入射する光の反射損失の低減を目的として設けられる層である。また、反射防止層4は、半導体基板1の保護層としての役割も有する。反射防止層4は、表面側ドープ層3bを被覆するように形成されている。このように反射防止層4を形成することで、半導体基板1へのバルクおよび表面へのパッシベーション効果が増大し、開放電圧や短絡電流密度が向上するという効果が得られる。
反射防止層4の構成材料や厚みは、半導体基板1との屈折率の差などを考慮して定められる。反射防止層4は、屈折率2程度の材料であるSiO2(酸化シリコン)、SiN(窒化シリコン)、TiO2(酸化チタン)、あるいはMgF2(フッ化マグネシウム)等により、厚みが50〜200nm程度となるように、形成されるのがその好適な一例である。
<ドープ層形成の効果>
次に、太陽電池素子100Aに上述のような形態にてドープ層3を設けることで得られる効果について説明する。
まず、ドープ層3のうち、表面側ドープ層3bは、半導体基板1の表面側の界面付近におけるキャリアの再結合損失を低減する効果(表面電界効果)を有する、FSF層(表面電界層)として機能する。一方、裏面側ドープ層3aは、半導体基板1の裏面側の界面付近におけるキャリアの再結合損失を低減する効果(裏面電界効果)を有する、BSF層(裏面電界層)として機能する。すなわち、半導体基板1の両面にドープ層3を備えることは、太陽電池素子100Aにおける発電効率を向上させる効果を有する。
好ましくは、ドープ層3は、P等のn型ドーパント原子が存在する雰囲気下で半導体基板1を900℃程度の温度に加熱し、該n型ドーパント原子を半導体基板1の内部に拡散させる熱拡散法によって形成される熱拡散層である(詳細は後述)。係る加熱の際には、半導体基板1中に(n型半導体領域2中に)含まれている金属不純物(例えば、Fe、Cu、Alなど)がドープ層3側へと拡散して移動し、n型半導体領域2におけるこれら金属不純物の濃度が低減する、金属ゲッタリング効果が得られる。これにより、n型半導体領域2内における不純物原子の存在に起因したキャリアの再結合が低減されるので、太陽電池素子における発電効率がさらに向上する。
特に、ホールに対して比較的大きな捕獲断面積を有するFe不純物が低減することは、多結晶シリコンからなる半導体基板1のライフタイムを向上させる効果もある。なお、FSF層やBSF層としての機能を持たせることが目的であれば、上述のように熱拡散層として形成する態様に代えて、半導体基板1の表面にアモルファスシリコンからなるドープ層3を積層形成する態様であってもよい。
n型半導体領域2における不純物濃度が低減されれば、n型半導体領域2内における不純物原子の存在に起因したキャリアの再結合が低減されるので、上述のようにドープ層3を形成してなる太陽電池素子100Aは、品質を改善させて発電効率を向上させたものであるといえる。
一方で、ドープ層3は、太陽電池素子100Aのpin接合が形成された第2領域1abに形成されていない。これにより、太陽電池素子100Aにおいては、pin接合界面における欠陥密度は低く保たれており、該界面におけるキャリアの再結合損失は低減されてなる。
<i型半導体層の厚みと発電効率との関係>
次に、i型半導体層5の厚み(i型半導体層5の第1の部分5aの厚みt1および第2の部分5bの厚みt2)と、素子の発電効率との関係について説明する。
本実施の形態に係る太陽電池素子100Aでは、n型半導体領域2とp型半導体層6との間にi型半導体層5が形成されている。このi型半導体層5の存在によって、n型半導体領域2とp型半導体層6との間の領域におけるキャリアの再結合損失が低減されている。
一般に、n型半導体層とp型半導体層とが直接に接合されたpn接合を備える太陽電池素子においては、n型半導体層とp型半導体層との固有の欠陥に起因して、接合界面に多数の界面準位が存在するため、空乏層領域におけるキャリアの再結合損失が増大し、素子発電効率の低下を招く。
これに対して、太陽電池素子100Aのように、n型半導体層とp型半導体層との間にi型半導体層を挟んでpin接合を形成した太陽電池素子においては、pn接合を有する太陽電池素子と比較して、より階段型接合に近似した接合が形成され、空乏層領域における欠陥密度が小さくなるので、キャリアの再結合は低減される。
また、太陽電池素子100Aの場合、裏面側ドープ層3aと第1シード層8との間にもi型半導体層5が形成されている。これにより、欠陥密度が大きい裏面側ドープ層3aと第1シード層8とが直接、接する場合よりも、キャリアの再結合損失が低減される。
これらのキャリアの再結合損失の低減効果は、i型半導体層5の厚みが大きいほど顕著となる。
一方、太陽電池素子100Aにおいては、i型半導体5の第1の部分5aをトンネリングした多数キャリアがn型電極7へ達し、i型半導体5の第2の部分5bをトンネリングした少数キャリアがp型電極10に達することによって、電流が流れる。よって、キャリアのトンネリング確率が大きいほど、太陽電池素子100Aの発電効率は向上することになる。i型半導体層5が薄いほどキャリアのトンネリング確率は増大するので、i型半導体層5を厚くすることは、キャリアのトンネリング確率を低下させ、発電効率を低下させることにつながる。
従って、発電効率の向上に最適なi型半導体層5の厚みは、これを大きくすることによるキャリアの再結合低減効果と、小さくすることによるトンネリング確率増大の効果とのバランスで定まることになる。
ここで、太陽電池素子100Aの場合、裏面側ドープ層3aのフェルミ準位とn型電極7の仕事関数の差は、p型半導体層6とn型半導体領域2とのフェルミ準位の差と比較して非常に小さい。従って、i型半導体領域の第1の部分5aの方が、第2の部分5bよりも、トンネリング確率を確保するために薄くすることの必要性が大きいといえる。
そこで、太陽電池素子100Aにおいては、i型半導体層5を均一な厚みで形成するのではなく、i型半導体5の第1の部分5aの厚みt1が第2の部分5bの厚みt2よりも小さくなるように、i型半導体層5を形成している。
具体的には、厚みt1が3nm以上5nm以下であり、厚みt2が6nm以上10nm以下である場合に、高い発電効率が得られる。係る範囲は、厚みt1および厚みt2を(t1≧t2の場合も含めて)種々の値に設定した太陽電池素子について発電効率を求めることにより定められる。
厚みt1が3nm以下であれば、裏面側ドープ層3a下面の界面準位密度の増大により開放電圧が減少し、5nm以上であれば電子のトンネリング確率の減少により曲線因子(Fill Factor)が小さくなる。また、厚みt2が6nm以下であれば、pn接合部での欠陥密度の増大により開放電圧が減少し、10nm以上であれば少数キャリアのトンネリング確率の減少により曲線因子が小さくなる。
なお、さらに曲線因子を向上させる目的で、i型半導体5の第1の部分5aにコンタクトホールを形成してもよい。ただし、裏面側ドープ層3aと第1シード層8との界面での再結合損失を極力低減するため、コンタクトホールの形成領域はi型半導体5の第1の部分5aの面積の1%以下に抑えることが好ましい。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、i型半導体5の第1の部分5aと第2の部分5bの厚みを最適化しているので、高い発電効率を有する太陽電池素子を得ることができる。
<太陽電池素子の製造方法>
次に、第1の実施の形態に係る太陽電池素子100Aの製造方法について説明する。以降の説明においては、n型のドーパントとしてPが用いられ、半導体基板が表面凹凸構造を有する太陽電池素子100Aを製造する場合を例として説明する。図3は、太陽電池素子100Aの製造工程の流れを示す図である。図4ないし図6は、製造工程の途中段階における素子の構造を模式的に示す図である。
まず、P等のn型ドーパント原子を所定の濃度で含有するn型の多結晶シリコンインゴットが、鋳造法等により形成され、所定の大きさおよび厚みに切断されることによって、n型の多結晶シリコン基板(半導体基板1)が得られる(ステップS1)。得られた半導体基板1のスライス面を清浄化するために、NaOH(水酸化ナトリウム)やKOH(水酸化カリウム)等のアルカリ溶液、フッ酸、あるいはフッ酸と硝酸との混合溶液等でごくわずかにエッチングする。
続いて、半導体基板1の表面(すなわち受光面側となる面)を、ドライエッチングや、ウェットエッチングによって粗面化することで、該半導体基板1の表面に、光反射率の低減機能を有する凹凸構造を形成する。
反応性イオンエッチングにより表面凹凸構造を形成した後には、例えば、超音波洗浄などの手法によって半導体基板1の表面(凹凸構造形成面)に残ったエッチング残渣の除去を行う。
次に、図4(a)に示すように、半導体基板1の裏面側において、裏面側3aの形成が予定される領域を除いた領域に、マスク20を形成する(ステップS2)。つまり、半導体基板1の裏面においてpin接合の形成が予定される領域(第2領域)は、少なくともマスク20によって被覆されることになる。マスク20は、液体材料の塗布および焼成などによるいわゆる塗布法によって厚膜として形成する態様であってもよいし、CVD法やスパッタリング法の薄膜形成手法によって薄膜として形成する態様であってもよい。
続いて、図4(b)に示すように、ドープ層3を形成する(ステップS3)。ドープ層3の形成には、マスク20の形成後の半導体基板1の表面および裏面全面にペースト状のP25(五酸化二リン)を塗布して熱拡散させる塗布熱拡散方法を用いることができる。あるいは、半導体基板1の側面についてもマスク20を形成したうえで、ガス状態にしたPOCl3(オキシ塩化リン)を拡散源として熱拡散させる気相熱拡散方法や、P+イオンを直接拡散させるイオン打ち込み法等の方法を用いる態様であってもよい。これらの手法においては、半導体基板1を500℃〜950℃程度に加熱する。このような処理により、マスク20の形成領域を除いて、半導体基板1の表面および裏面にドープ層3が形成される。なお、ドープ層3は、半導体基板1の側面にも形成される態様であってもよい。
マスク20は、ドープ層3の形成後にフッ酸等でエッチング除去される。図4(c)には、ドープ層3を形成し、マスク20を除去した後の半導体基板1を示している。
なお、マスク20を用いる代わりに、いったん半導体基板1の全面に熱拡散法により高濃度のn型ドープ層を形成し、その後、ドープ層3として残存させる必要のない部分をエッチング除去するといった方法を用いてもよい。具体的には、高濃度のn型ドープ層を半導体基板1の全面に形成した後、該ドープ層をドープ層3として残存させる領域にレジストを塗布したうえで、フッ酸あるいはフッ酸と硝酸との混合液を用いてエッチングを行い、最後にレジスト膜を除去すればよい。係る場合においては、エッチングは、レーザスクライブ処理やサンドブラスト処理などの手法で行ってもよい。
また、ドープ層3の表層のドーパント濃度が高い場合には、フッ酸と硝酸との混合溶液等でエッチングして、ドーピングプロファイルを制御することが好ましい。
続いて、ドープ層3が形成された半導体基板1を洗浄する(ステップS4)。半導体基板1の洗浄は、RCA洗浄、SPM洗浄、水素水洗浄、およびオゾン水洗浄等のウェット洗浄や、アッシングやUV洗浄等のドライ洗浄によって行う。また、酸化膜を除去するために、半導体基板1をフッ酸やNH4F(フッ化アンモニウム)溶液等に浸漬し、その後水洗する。
上述の洗浄後、図4(d)および図5(a)に示すように、i型半導体層5を形成する(ステップS5、S6)。まず、図4(d)に示すように、半導体基板1の裏面においてpin接合の形成予定領域(第2領域)に、i型のアモルファスシリコン膜21を形成する(ステップS5)。i型のアモルファスシリコン膜21の形成には、PECVD法、光CVD法、CatCVD法、蒸着法、またはスパッタ法等を用いることができる。PECVD法を用いる場合であれば、水素とシランとを原料ガスとし、PECVD装置のチャンバ内のガス圧を0.1〜5Torr、基板温度を100〜200℃という成長条件で形成するのが好適な一例である。なお、半導体基板1裏面の所望の領域にのみアモルファスシリコン膜21を形成するには、CVD法による成膜時にメタルマスク等で非成膜領域をマスクするか、あるいは、フォトリソグラフィー法等を用いればよい。
続いて、図5(a)に示すように、半導体基板1の裏面側全体に、i型のアモルファスシリコン膜22を形成する(ステップS6)。具体的には、半導体基板1の裏面側において、アモルファスシリコン膜21が形成されている領域においてはその下側に、形成されていない領域においては半導体基板1の裏面に直接に、アモルファスシリコン膜22が形成される。該アモルファスシリコン膜22を形成には、ステップS5と同様の手法が用いられる。
ステップS5およびステップS6の工程を経て、アモルファスシリコン膜21および22からなるより厚みの大きい領域と、アモルファスシリコン膜22のみからなるより厚みの小さい領域と、を有するi型半導体層5が形成される。
i型半導体層5において、i型半導体5の第1の部分5aは、アモルファスシリコン膜21のみからなる領域の所定部分(第1領域に隣接形成されてなる部分)であり、その厚みt1はアモルファスシリコン膜21の膜厚と等しくなる。また、i型半導体5の第2の部分5bは、アモルファスシリコン膜21およびアモルファスシリコン膜22により形成される領域であり、その厚みt2は、アモルファスシリコン膜21および22の厚みの総和となる。両領域の厚みt1および厚みt2を所望の厚みとするには、i型アモルファスシリコン膜21および22の膜厚を調整して、i型半導体層5を形成すればよい。
なお、i型半導体層5の形成には、ステップS5およびステップS6における処理に代わり、以下の方法を用いてもよい。まず、半導体基板1の裏面全面にi型のアモルファスシリコン膜を所望の厚みで形成する。続いて、該アモルファスシリコン膜を介して第2領域(pin接合形成領域)と対向する領域に、さらにi型のアモルファスシリコン膜を所望の厚みで形成し、i型半導体層5を形成する態様であってもよい。この場合においても、i型半導体5の第1の部分5aおよび第2の部分5bを所望の厚みで形成することが可能である。
i型半導体層5が形成されると、図5(b)に示すように、p型半導体層6を形成する(ステップS7)。p型半導体層6は、非形成領域(i型半導体5の第2の部分5bを挟んで、半導体基板1と対向する領域を除いた領域)にマスクを行ったうえで、i型半導体層5の表面に、3〜20nmの厚みに形成する。PECVD法を用いる場合であれば、水素とシランとジボランとを原料ガスとし、PECVD装置のチャンバ内のガス圧を0.1〜5Torr、基板温度を100〜200℃という成長条件でBがドープされたアモルファスシリコン層を形成するのが好適な一例である。あるいは、フォトリソグラフィー法等によって非形成領域以外にp型半導体層6を形成するようにしてもよい。
次に、図5(c)に示すように、反射防止層4を形成する(ステップS8)。反射防止層4の形成は、PECVD法、CatCVD法、スパッタリング法、蒸着法等により行うことができる。
次に、図6(a)に示すように、第1シード層8および第2シード層11を形成する(ステップS9)。第1シード層8および第2シード層11は、Ni、W、Coおよびこれらの合金や、Ni、W、CoとP、Bとの合金などによって形成される。第1シード層8および第2シード層11は、無電解メッキによって形成することができる。この場合、薬液温度を150℃以下とし、厚さが1μm以下となるように形成するのが好ましい。第1シード層8および第2シード層11は、後に第1裏面電極9および第2裏面電極12を形成する際の下地層としての機能することになる。
なお、n型電極7を構成する第1シード層8とp型電極10を構成する第2シード層11とは、両者が連続しないように(互いに絶縁されるように)形成する必要がある。これは、それぞれを形成するための無電解メッキを行うに際して、その形成対象領域(第1シード層8の場合はi型半導体層5の表面、第2シード層11の場合はp型半導体層6の表面)のみを選択的に活性化させるようにすることで実現される。あるいは、第1シード層8および第2シード層11を構成することになる金属層を無電解メッキによって半導体基板1の裏面側全体に形成した後に、レーザを用いて不要部分を除去するようにしてもよい。なお、レーザによる除去に代わり、不要部分以外をレジスト膜等で被覆し、当該不要部分をエッチング除去する方法を用いることもできる。この場合、エッチング除去後にレジスト膜をウェットエッチング等によって除去し、さらに、有機残存成分をUV洗浄等によって除去する処理を行うようにする。
最後に、図6(b)に示すように、第1裏面電極9および第2裏面電極12を形成する(ステップS10)。第1裏面電極9および第2裏面電極12としては、電解メッキによりCuを形成材料として形成するのが好適である。なお、無電解メッキを行った後には、接着強度向上のため50〜350℃の温度で乾燥処理を行う。
なお、第1裏面電極9および第2裏面電極12の形成は、無電解メッキによる他、光メッキ、スクリーン印刷、ドクターブレード法、あるいはディスペンサー塗布法などの種々の塗布法によって導電性ペーストを塗布してこれを焼成する方法や、スパッタリング法や蒸着法などの種々の真空成膜手法を用いることもできる。裏面電極の形成材料としては、製法に合わせて、Ag、Al、Cr、Ti、W、Mo、Ta、Pt、Au、Ni、Coおよびこれらの合金を用いることができる。
以上の工程を経ることで、第1の実施の形態に係る太陽電池素子100Aが完成する。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る太陽電池素子100Bについて説明する。図7は、第2の実施の形態に係る太陽電池素子100Bの断面構造を示す図である。なお、第1の実施の形態に係る太陽電池素子100Aと同様の作用効果を奏する構成要素については、同一の符号を付し、以下ではその説明を省略する。
本実施の形態に係る太陽電池素子100Bは、第1の実施の形態に係る太陽電池素子100Aと類似の構成を有するが、n型電極7側の構成が異なる。具体的には、太陽電池素子100Bにおいては、太陽電池素子100Aにおける裏面側ドープ層3aに相当する層が形成されておらず、i型半導体層5と第1シード層8との間にn型アモルファスシリコン膜13が形成されている。このn型アモルファスシリコン膜13は、BSF層としての機能を有する。
なお、太陽電池素子100Bにおいても、半導体基板1の裏面側に第1領域と第2領域とが定義される。ただし、太陽電池素子100Bにおいて第1領域とは、i型半導体層5を介してn型アモルファスシリコン膜13と対向する領域を示す。第2領域は、太陽電池素子100Aと同様に、半導体基板1におけるpin接合形成領域を示す。そして、太陽電池素子100Bにおいても、i型半導体層5のうち第1領域とn型アモルファスシリコン膜13に挟まれた領域を第1の部分5aとし、i型半導体層5のうちpin接合を形成する領域を第2の部分5bとする。
係る太陽電池素子100Bの場合も、n型アモルファスシリコン膜13とn型半導体領域2とのフェルミ準位の差が、p型半導体層6とn型半導体領域2とのフェルミ準位の差と比較して非常に小さいことから、太陽電池素子100Aと同様に、i型半導体5の第1の部分5aの厚みt1が、第2の部分5bの厚みt2より小さくなるようにi型半導体層5が形成されてなる。これにより発電効率の向上が実現される。
特に、厚みt1が3nm以上5nm以下であり、厚みt2が6nm以上10nm以下である場合に、高い発電効率が実現される。
また、太陽電池素子100Bを裏面側から見たときのp型電極10の平面占有面積が、n型電極7の平面占有面積よりも大きくなるように、n型電極7とp型電極10とを形成することで、太陽電池素子100Bの発電効率をさらに向上できる。この場合、裏面側ドープ層3aも、n型電極7の形成範囲に対応する領域にのみ形成するようにする。
また、n型電極7およびp型電極10は、両者の電気抵抗値が等しくなるように、各々の厚みが定められるのが好ましい。
なお、太陽電池素子100Bにおいては、欠陥密度の大きいドープ層が半導体基板1の裏面側には形成されていないので、裏面側ドープ層3aに由来したキャリアの再結合、および該再結合に起因した発電効率の低下が改善される。
係る太陽電池素子100Bを製造するには、太陽電池素子100Aの製造工程のステップS2におけるマスク20の形成の際に、該マスク20を半導体基板1の裏面全体に形成したうえで、ステップS3のドープ層3の形成を行うようにし、さらに、ステップS7を行った後ステップS8を行う前に、i型半導体層5の所定の領域にステップS7と同様の手法でn型アモルファスシリコン膜13を成膜形成すればよい。
なお、n型アモルファスシリコン膜13において、n型のドーパントを高濃度に含有させることで、半導体基板1との間のフェルミ準位の差が大きくできるとともに、第1シード層8との接触抵抗が減少しオーミック性が向上する。これによって、曲線因子が増大する。
<変形例>
また、上述の説明においては、n型の導電型を呈するn型半導体領域2を有する半導体基板1を使用した場合について説明したが、半導体基板はn型に限定されることなくp型に対しても適用できる。例えば、p型の導電型を呈するp型半導体領域2を有する半導体基板1を準備した場合(この場合、ドープ層3はp+)、i型半導体層5の第1の部分5a(p側)の方を、第2の部分5b(n側)よりも、薄くする方がよい。
また、図1において、第1の部分5aと第2の部分5bとの間に隙間Dがあるが、図1に示すように半導体基板の隙間D上のi型半導体5の厚みを、第1の部分5aの厚みt1よりも厚くすることで、n型半導体領域2表面の欠陥準位密度をより効果的に低減できる。ただし、隙間D上のi型半導体が第1シード層8を介して、pn電極間のリークパスとして機能する場合は、隙間D上のi型半導体5の厚みを適宜薄くする方が好ましい。
また、上述の説明においては、半導体基板1の受光面側全面に、表面側ドープ層3bを形成する態様について説明したが、表面側ドープ層3bの代わりに、i型のアモルファスシリコン層や絶縁層を形成してもよい。なお、この場合は、表面側ドープ層3の形成に伴う、n型半導体領域2中の不純物濃度低下の効果は得られない。
また、上述の説明においては、i型半導体5の第1の部分5aと第2の部分5bとに挟まれた領域について、厚みt2である場合について説明したが、当該領域については、真性半導体層が形成されず、半導体基板1の裏面側の当該領域が露出している態様(すなわち、i型半導体5の第1の部分5aと第2の部分5bとが完全に分離して形成されてなる態様)であってもよい。また、拡散層のような電界効果を有する層や絶縁層のような固定電荷層を設ける態様であってもよい。
図8は、半導体基板1の受光面側の構造および反射防止層4の形成態様を示す断面模式図である。図8(a)は、第1の実施の形態に係る太陽電池素子100Aが備える構造を示している。すなわち、半導体基板1の受光面自体が凹凸構造を有してなり、その上に形成された反射防止層4についても、係る凹凸構造を引き継ぐ態様にて形成されてなる。
これに代わり、図8(b)に示すように、半導体基板1の受光面には凹凸構造を形成せず、その上に設けた反射防止層4の表面に凹凸構造を形成するようにしてもよい。係る構造をとる太陽電池素子においても、光の反射損失を低減させる効果が得られる。
なお、このように表面に凹凸構造を有する反射防止層4の形成は、例えば、表面が平坦な半導体基板1の受光面側にいったん同じく平坦な表面を有するように反射防止層4を形成した上で、エッチング等の処理を施すことによって行うようにしてもよいし、あるいは、膜成長過程において自生的に凹凸構造が形成されるように、反射防止層4の形成条件を適宜に調整することによって行うようにしてもよい。
(実施例)
実施例として、第1の実施の形態に係る太陽電池素子100Aについて、厚みt1および厚みt2を(t1>t2の場合を含めて)種々の値とした12種類の太陽電池素子を作成した。12種類の太陽電池素子は互いに、厚みt1および厚みt2の少なくとも一方の大きさが異なるものである。
半導体基板1としては、大きさが10cm×10cmで、厚みが200μmで、n型のドーパントとしてPが1×1016(cm-3)の濃度でドープされた多結晶シリコン基板を用意した。係る半導体基板の抵抗率は、0.5Ω・cmであった。
係る半導体基板1の表面を、反応性イオンエッチング法により粗面化した。粗面化は、RIE装置内にて、CHF3を12sccm、Cl2を72sccm、O2を9sccm、およびSF6を65sccmの流量で流し、反応圧力を50mTorrとし、RFパワーを500Wとし、3分間行った。その後、超音波洗浄を行ってエッチング残渣を除去した。
ドープ層3の形成は、熱拡散法を用いた。その際の半導体基板1の加熱温度は800℃とした。なお、マスク20としてはSiO2塗布法により形成した。得られたドープ層3のドーパント濃度は2×1017(cm-3)であった。
i型半導体層5とp型半導体層6とは、PECVD装置を用いて形成した。PECVD装置のチャンバ内のガス圧は、いずれも0.5〜1.5Torr、基板温度はいずれも、130〜170とした。また、原料ガスとしては、i型半導体層5を形成する際には水素とシランとを用い、p型半導体層6を形成する際には、水素とシランとジボランとを用いた。i型半導体層5は、i型半導体5の第1の部分5aの厚みt1を2nm〜10nmの範囲から選択し、かつ、第2の部分5bの厚みt2を2nm〜15nmの範囲から選択して形成した。また、p型半導体層6は、10〜15nmの厚みに形成した。
反射防止層4としては、SiN層を100nmの厚みに形成した。SiN層は、PECVD法により、アンモニアと水素とシランとを原料ガスとして形成した。
第1シード層8および第2シード層11としては、Ni層を0.3μmの厚みに形成した。Ni層は無電解メッキにより形成した。メッキ用の薬液としては、次亜リン酸Niを用い、薬液温度は、90℃以下とした。
第1裏面電極9および第2裏面電極12としては、Cu電極を80μmの厚みに形成した。Cu電極の形成は、電解メッキにより行った。なお、電解メッキ形成後、接着強度向上のため150℃の温度で乾燥処理を行った。
このようにして作製した12種類の太陽電池素子について、光照射時の電流−電圧特性を測定し、短絡電流Isc、開放電圧Voc、曲線因子FF、および変換効率ηを求めた。
上述のようにして得られた、12種類の実施例に係る太陽電池素子についての評価結果を表1に示す。表1においては、12種類の太陽電池素子の各々を番号1〜12で示している。なお、表1に示す値のうち短絡電流Isc、開放電圧Voc、曲線因子FF、および変換効率ηは、番号5の太陽電池素子について得られた値を1として、規格化したものである。
Figure 2010129872
表1によれば、番号1〜4の太陽電池素子のいずれにおいても、番号5〜12の太陽電池素子よりも高い変換効率ηが得られたことを示している。すなわち、i型半導体5の第2の部分5bの厚みt2が6nm〜10nmであり、i型半導体5の第1の部分5aの厚みt1が3nm〜5nmであるとき、高い発電効率が得られるといえる。
太陽電池素子100Aの断面構造を示す図である。 太陽電池素子100Aの裏面図である。 太陽電池素子100Aの製造工程を示す図である。 太陽電池素子100Aの製造方法を説明するための工程図である。 太陽電池素子100Aの製造方法を説明するための工程図である。 太陽電池素子100Aの製造方法を説明するための工程図である。 太陽電池素子100Bの断面構造を示す図である。 半導体基板1の受光面側の構造および反射防止層4の形成態様を示す断面模式図である。
符号の説明
1 半導体基板
2 n型半導体領域
3 ドープ層
5 i型半導体層
5a i型半導体5の第1の部分
5b i型半導体5の第2の部分
6 p型半導体層
7 n型電極
8 第1シード層
100A〜B 太陽電池素子

Claims (10)

  1. 第1の面と第2の面とを含み、第1の導電型を有する半導体基板と、
    前記第1の導電型に寄与するドーパントを前記半導体基板よりも高い濃度で含有し、前記半導体基板の前記第1の面の第1領域に設けられた第1ドープ層と、
    前記半導体基板の前記第1ドープ層上に設けられた第1の部分と、前記半導体基板の前記第1の面の第2領域に設けられた第2の部分と、を含む真性半導体層と、
    第2の導電型を有し、前記真性半導体層の前記第2の部分上に設けられた第2の導電型の層と、
    を有し、
    前記真性半導体層の前記第1の部分は、前記第2の部分より薄いことを特徴とする太陽電池素子。
  2. 請求項1に記載の太陽電池素子において、
    前記第1ドープ層は、前記半導体基板内に設けられていることを特徴とする太陽電池素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載の太陽電池素子において、
    前記真性半導体層の前記第1の部分の厚みが3nm以上5nm以下であり、前記第2の部分の厚みが6nm以上10nm以下である、ことを特徴とする太陽電池素子。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の太陽電池素子において、
    前記第2領域の面積が前記第1領域の面積よりも大きいことを特徴とする太陽電池素子。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の太陽電池素子において、
    前記真性半導体層の前記第1の部分に設けられた第1電極と、
    前記第2の導電型層上に設けられた第2電極と、
    をさらに備え、
    前記第1電極と前記第2電極との電気抵抗値が等しいことを特徴とする太陽電池素子。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の太陽電池素子において、
    前記半導体基板の前記第2の面側に、前記第1の導電型に寄与するドーパントを前記半導体基板よりも高い濃度で含有する第2ドープ層をさらに有する、ことを特徴とする太陽電池素子。
  7. 請求項6に記載の太陽電池素子において、
    前記第1および第2ドープ層が、前記半導体基板の外縁部に熱拡散層として設けられてなる、ことを特徴とする太陽電池素子。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の太陽電池素子において、
    前記半導体基板の前記第2の面上に反射防止層をさらに備える、ことを特徴とする太陽電池素子。
  9. 第1の面と第2の面とを含み、第1の導電型を有する半導体基板と、
    前記半導体基板の第1の面に接して設けられており、第1の部分と第2の部分とを含む真性半導体層と、
    前記第1の導電型に寄与するドーパントを含有し、前記真性半導体層の前記第1の部分に設けられた第1ドープ層と、
    第2の導電型を有し、前記真性半導体層の前記第2の部分上に設けられた第2の導電型の層と、
    を有し、
    前記真性半導体層の前記第1の部分は、前記第2の部分より薄いことを特徴とする太陽電池素子。
  10. 請求項9に記載の太陽電池素子において、
    前記第1ドープ層は、前記第1の導電型に寄与するドーパントを前記半導体基板よりも高い濃度で含有する、ことを特徴とする太陽電池素子。
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