JP2010126694A - 縮環構造含有フェノキシ樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】縮環構造骨格を有する特定のフェノキシ樹脂が提供される。
【選択図】なし
Description
さらに、特に、難燃剤としての用途においては、近年、環境問題、人体への影響を考慮し、電子部品に対して、有害性が低く、且つ、高い安全性を有する剤を使用することが要求されている。従来から、難燃性樹脂組成物として、ハロゲン元素を含有する樹脂が知られている(例えば、特許文献3)が、良好な難燃性を有するものの、燃焼時に有害なハロゲン化水素ガスを発生することや、ハロゲン化ダイオキシン、フラン類を発生する可能性があるため、ハロゲン元素を含有する樹脂の使用が制限される傾向にある。このような問題を解決するために、ハロゲンフリーの難燃性樹脂の開発が積極的に行われている。ハロゲンフリーの難燃剤の例としては、例えばリン系難燃剤の使用が知られているが、硬化物の耐熱性等が劣るなどの問題点を含んでおり、諸物性に優れる難燃性材料の開発が望まれていた(例えば、特許文献4)。
本発明の縮環構造含有フェノキシ樹脂は、下記一般式(1)で表される:
A. 縮環構造含有フェノキシ樹脂
nは1から1000までの整数であるが、5から800までの整数であることが好ましく、10から700までの整数であることがより好ましい。nが1000を超えると、樹脂の溶融粘度が高くなり、溶媒に対する溶解性が低下し、成形加工性が低下する傾向がある。
R3〜4は炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいフェニル基であるが、耐熱性や難燃性、成形加工性などの点で炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基若しくはアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましい。
これらの中でも、耐熱性、難燃性、成形加工性の点で、炭素数1から10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
溶媒を用いる場合、例えば、次の溶剤が用いられる:水;メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチル−1−アセテートなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;ならびに2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記補強剤または充填剤としては、粉末状あるいは繊維状の補強剤や充填剤が用いられる。粉末状の補強剤または充填剤としては、例えば次の素材でなる材料が挙げられる:酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩;ケイソウ土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカなどのケイ素化合物;水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物;その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデンなど。繊維状の補強剤または充填剤としては、次の材料が挙げられる:ガラス繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維など。
上記着色剤としては、例えば二酸化チタン、鉄黒、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤があり、上記難燃剤としては、アンチモン系難燃剤〔例えば、三酸化アンチモン〕、ハロゲン系難燃剤〔例えば、ブロム化合物〕、無機系難燃剤〔例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス〕、リン系難燃剤〔例えば、赤リン、リン酸アンモニウム類、リン酸アミド、リン酸エステル化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスホラン化合物、窒素含有有機系リン化合物〕、窒素系難燃剤〔例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、フェノチアジン〕、シリコーン系難燃剤〔例えば、シリコーンゴム、シリコーンオイル、シリコーン樹脂〕、有機金属塩系難燃剤〔例えば、フェロセン、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物〕などが挙げられる。尚、これら難燃剤は、難燃助剤として用いることも可能である。
上記固体微粒子としては、有機顔料や無機微粒子などが挙げられ、例えば光学材料、表示素子材料などの用途に好適に用いるために添加され得るものである。上記有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物や、中心金属がCu、Mg、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Ge、Sn等の異種金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。また、上記無機微粒子の具体例としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化錫、酸化タンタル、酸化インジウムスズ、酸化ハフニウム硫酸バリウムなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、塩化金、臭化金、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化パラジウム、塩化白金酸、塩化金酸ナトリウム、硝酸銀、白金アセチルアセトナート、パラジウムアセチルアセトナートなどの金属塩;金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムなどの貴金属類;亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。これら固体微粒子の粒径は、例えば1nm〜5μmである。
尚、上記以外にも、(vi)の添加剤として、用途に応じて、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、可塑剤、耐衝撃改良剤、分散剤、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤(レベリング剤)、密着付与剤、消泡剤などが含有され得る。
上記(vi)の添加剤は、いずれも1種で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(vi)の添加剤は、本発明の樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量で含有され得る。
ここで、放射線とは、可視光線、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線などを総称していう。これらの中で、経済性および効率性の点から、実用的には、紫外線が最も好ましい放射線である。本発明に用いる紫外線としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、アーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプなどのランプから発振される紫外光を好適に使用することができる。紫外線よりも波長の短い上記放射線は、化学反応性が高いため理論的には紫外線より優れているが、経済性の観点から紫外線が実用的である。
更に本発明のプリプレグについて説明する。
またプリプレグの形態としてはヤーンプリプレグ、シートプリプレグが挙げられ、シートプリプレグとしては一方向プリプレグ、二方向プリプレグ、不織布プリプレグが挙げられる。これらの繊維は、用途に応じて選択することができ、例えば、比強度、比弾性率が良好で軽量化を目的とした場合、炭素繊維や黒鉛繊維などが好ましく、さらには、比強度、比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が適しているが、これ以外の形態で強化繊維を用いることも可能である。
(縮環構造含有フェノキシ樹脂の合成、及び成形体の調製)
以下の式(7.a)で示される縮環構造含有エポキシ樹脂(上記一般式(7)において、Zが式(8)を含む二価基であり、q1=0、q2=0、r5=0、r6=0である)50gとビスフェノールA〔2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン〕24gを120℃で加熱溶融させ、さらにトリフェニルホスフィン0.7gを加え、攪拌した。その後、得られたプレ重合物を150mm×150mm、厚み3mmのステンレス製金型に流し込み、120℃のオーブンで1時間、ついで180℃で3時間加熱し、重合を完了させた。冷却後、金型から取り出し、縮環構造含有フェノキシ樹脂(1.a)を成形体(試験片)として得た。ここで、縮環構造含有フェノキシ樹脂(1.a)は、上記一般式(1)において、r1〜4=0、R1〜2は水素原子又はグリシジル基で、Aが以下の式(2.a)〔上記一般式(2)のZが式(8)を含む二価基、q1=0、q2=0で示される部位〕と以下の式(4.a)〔上記一般式(4)において、q5=0、q6=0、Yが一般式(5)においてm2=1、R9=メチル基、R10=メチル基からなる二価基で示される部位〕からなり、式(2.a)と式(4.a)の割合が1:1である。また、縮環構造含有フェノキシ樹脂(1.a)の重量平均分子量と分子量分布は、GPC測定により、Mw=68598、Mw/Mn=4.6であった。
(縮環構造含有フェノキシ樹脂の合成、及び成形体の調製)
以下の式(7.b)で示される縮環構造含有エポキシ樹脂(上記一般式(7)において、Zが式(8)を含む二価基であり、q1=1、R3=tert−ブチル基、q2=0、r5=0、r6=0である)60gとビスフェノールA〔2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン〕25gを120℃で加熱溶融させ、さらにトリフェニルホスフィン0.8gを加え、攪拌した。その後、得られたプレ重合物を150mm×150mm、厚み3mmのステンレス製金型に流し込み、120℃のオーブンで1時間、ついで180℃で3時間加熱し、重合を完了させた。冷却後、金型から取り出し、縮環構造含有フェノキシ樹脂(1.b)を成形体(試験片)として得た。ここで、縮環構造含有フェノキシ樹脂(1.b)は、上記一般式(1)において、r1〜4=0、R1〜2は水素原子又はグリシジル基で、Aが以下の式(2.b)〔上記一般式(2)のZが式(8)を含む二価基、q1=1、R3=tert−ブチル基、q2=0で示される部位〕と上記の式(4.a)〔上記一般式(4)において、q5=0、q6=0、Yが一般式(5)においてm2=1、R9=メチル基、R10=メチル基からなる二価基で示される部位〕からなり、式(2.b)と式(4.a)の割合が1:1である。また、縮環構造含有フェノキシ樹脂(1.b)の重量平均分子量と分子量分布は、GPC測定により、Mw=30328、Mw/Mn=2.7であった。
(ビスフェノールA型フェノキシ樹脂の合成)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔2,2−ビス−(4−グリシジルオキシフェニル)−プロパン〕(旭化成エポキシ社製AER260)50gとビスフェノールA〔2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン〕29gを120℃で加熱溶融させ、さらにトリフェニルホスフィン0.8gを加え、攪拌した。その後、得られたプレ重合物を150mm×150mm、厚み3mmのステンレス製金型に流し込み、120℃のオーブンで1時間、ついで180℃で3時間加熱し、重合を完了させた。冷却後、金型から取り出し、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂を成形体(試験片)として得た。また、上記ビスフェノールA型フェノキシ樹脂の重量平均分子量と分子量分布は、GPC測定により、Mw=35757、Mw/Mn=4.2であった。
(縮環構造含有フェノキシ樹脂の耐熱性、電気特性、及び難燃性)
実施例1にて得られた縮環構造含有フェノキシ樹脂(1.a)の成形体(試験片)を用い、次の項目について評価を行った。
DSC(DSC210型:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)により、Tgの測定を行う。
TG/DTA(TG/DTA 220:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)により、5%重量減少温度の測定を行う。
アジレント・テクノロジー株式会社製 PRECISION LCR METER 4284A型にDIELECTRIC TEST FIXTURE 16451Bを取り付け、1MHzの周波数にて測定する。
酸素指数測定器(AC形キャンドル燃焼試験機:株式会社東洋精機製作所製)を用い、JIS−K−7201に準じて、酸素指数による燃焼性の試験にて評価する。
縮環構造含有フェノキシ樹脂(1.a)の成形体(試験片)を、実施例2にて得た縮環構造含有フェノキシ樹脂(1.b)の成形体(試験片)に変更したこと以外は、実施例3と同様に評価を行った。
縮環構造含有フェノキシ樹脂(1.a)の成形体(試験片)を、比較例1にて得たビスフェノールA型フェノキシ樹脂の成形体(試験片)に変更したこと以外は、実施例4と同様に評価を行った。
Claims (13)
- 下記一般式(1)に示される縮環構造含有フェノキシ樹脂。
- 一般式(1)において、複数個あるAが全て一般式(2)で示される縮環構造を含む二価基である、又は、複数個あるAの一部が一般式(2)で示される二価基であり、残部が下記一般式(3)、および下記一般式(4)から少なくとも一種選ばれる二価基である請求項1に記載の縮環構造含有フェノキシ樹脂。
- 下記一般式(6)に示される多官能水酸基含有縮環構造化合物と二官能エポキシ樹脂とを反応させて得られる請求項1〜2のいずれか一項に記載の縮環構造含有フェノキシ樹脂。
- 下記一般式(7)に示される縮環構造含有エポキシ樹脂とジオール化合物とを反応させて得られる請求項1〜2のいずれか一項に記載の縮環構造含有フェノキシ樹脂。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の縮環構造含有フェノキシ樹脂を含むフェノキシ樹脂組成物。
- 少なくとも1種以上の難燃剤を含有する請求項7に記載のフェノキシ樹脂組成物。
- 請求項7又は8に記載のフェノキシ樹脂組成物を硬化させて得られる成形体。
- 請求項7又は8に記載のフェノキシ樹脂組成物と繊維基材を含むプリプレグ。
- 請求項10記載のプリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料。
- 請求項7又は8に記載のフェノキシ樹脂組成物をフィルム化させて得られてなる絶縁性樹脂フィルム。
- 請求項7又は8に記載のフェノキシ樹脂組成物を金属箔に塗布させて得られてなる樹脂付き金属箔。
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