JP2008255309A - エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性および電気特性に優れたエポキシ樹脂組成物、特に、耐ハンダクラック性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】フェノール性水酸基を有するフルオレン類(例えば、9,9−ビスクレゾールフルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン)と、エポキシ樹脂(ノボラック型エポキシ樹脂など)とでエポキシ樹脂組成物を構成する。前記樹脂組成物において、フェノール性水酸基を有するフルオレン類の割合は、エポキシ樹脂100重量部に対して20〜100重量部程度であってもよい。このような組成物(又はその硬化物)は、耐ハンダクラック性に優れ、電気材料又は電子材料の封止剤として好適に用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール性水酸基を有するフルオレン類を含むエポキシ樹脂組成物、およびこのエポキシ樹脂組成物が硬化した硬化物に関する。また、本発明は、エポキシ樹脂用硬化剤、およびエポキシ樹脂が硬化した硬化物の耐ハンダクラック性を改善する方法に関する。
エポキシ樹脂は、一般的に種々の硬化剤で硬化させることにより、機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物を形成する。そのため、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来、工業的に最も使用されているエポキシ樹脂として、液状又は固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂がある。このような樹脂は、例えば、半導体封止材などの分野で使用されている(非特許文献1)が、耐熱性及び電気特性が不十分であり、高いレベルの耐熱性や電気特性が要求される分野において適用することは困難である。
また、環境問題に対する高まりから、半導体封止材を形成する過程における鉛フリー対応が課題となってきた。そのため、従来のSn−Pb系ハンダから鉛フリーハンダ(Sn−Ag系ハンダなどの)への切り替えが進んでいるが、鉛フリーハンダは、従来のハンダよりも融点が20℃以上高く、従来のエポキシ樹脂では、耐ハンダクラック性が不十分である。このような問題を解決するために、エポキシ樹脂の原料として一般に使用されているビスフェノールA型エポキシ樹脂に代えて、ビフェニル型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラックエポキシ樹脂などを使用することが提案されている(非特許文献2)が、このようなエポキシ樹脂であっても、現在の要求仕様を満たせていない状況である。
堀内弘ら著「エポキシ樹脂の高性能化と硬化剤の配合技術および評価、応用」、技術情報協会出版、1997年12月初版発行、364〜377頁 柿本雅明、江坂明著「耐熱性高分子電子材料」、シーエムシー出版、2003年5月初版発行、157〜160頁
従って、本発明の目的は、耐熱性および電気特性に優れたエポキシ樹脂組成物およびこのエポキシ樹脂組成物が硬化した硬化物を提供することにある。
本発明の他の目的は、耐ハンダクラック性(ハンダ耐熱性、ハンダに対する耐熱性)に優れたエポキシ樹脂組成物およびこのエポキシ樹脂が硬化した硬化物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、適用範囲が広く、実用性に優れたエポキシ樹脂組成物およびこのエポキシ樹脂が硬化した硬化物を提供することにある。
本発明の別の目的は、エポキシ樹脂の耐熱性や電気特性などの特性を改善又は向上できるエポキシ樹脂用硬化剤を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、エポキシ樹脂の耐ハンダクラック性を改善する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、エポキシ樹脂と、フェノール性水酸基を有するフルオレン類とを組みあわせることにより、エポキシ樹脂の耐熱性および電気特性を向上できること、特に、耐ハンダクラック性を改善できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂とフェノール性水酸基を有するフルオレン類とで構成されている。前記樹脂組成物において、エポキシ樹脂は、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂などのフェノール型エポキシ樹脂であってもよい。
また、前記樹脂組成物において、前記フェノール性水酸基を有するフルオレン類は、例えば、下記式(1)で表される化合物又はその誘導体であってもよい。
Figure 2008255309
(式中、環ZおよびZは芳香族炭化水素環、R1a、R1b、R2aおよびR2bは同一又は異なって置換基を示す。k1およびk2は同一又は異なって0〜4の整数を示し、m1およびm2はそれぞれ0又は1以上の整数、n1およびn2はそれぞれ1以上の整数を示す。m1、m2、k1又はk2が、それぞれ2以上である場合、複数のR1a、R1b、R2aおよびR2bは、それぞれ、同一又は異なっていてもよい。)
前記式(1)において、環Zおよび環Zは、ベンゼン環又はナフタレン環であってもよく、n1およびn2がそれぞれ1〜3であってもよい。代表的には、前記フェノール性水酸基を有するフルオレン類は、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類、および9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類から選択された少なくとも1種であってもよく、特に、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン、および9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンから選択された少なくとも1種であってもよい。
前記樹脂組成物において、フェノール性水酸基を有するフルオレン類の割合は、エポキシ樹脂100重量部に対して、例えば、20〜100重量部程度であってもよい。
前記樹脂組成物は、さらに、硬化促進剤(例えば、アミン類など)を含んでいてもよい。
本発明には、前記樹脂組成物が硬化した硬化物も含まれる。このような硬化物(又は前記樹脂組成物)は、特に、電気材料又は電子材料の封止剤(半導体用封止剤)として好適に用いることができる。
前記フェノール性水酸基を有するフルオレン類は、エポキシ樹脂の硬化剤として作用し、エポキシ樹脂の耐熱性や各種特性(絶縁性)などを向上する。そのため、本発明には、前記フェノール性水酸基を有するフルオレン類で構成されているエポキシ樹脂用硬化剤も含まれる。
また、本発明には、エポキシ樹脂用硬化剤として、フェノール性水酸基を有するフルオレン類を用い、エポキシ樹脂が硬化した硬化物の耐ハンダクラック性を改善する方法も含まれる。
なお、本明細書において、化合物についての「類」とは、「置換基を有さない」場合と「置換基を有する」場合とを含み、「置換基を有していてもよい」ことを意味する場合がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物(又はその硬化物)は、フルオレン骨格を有するフェノール類を硬化剤として含んでいるため、耐熱性および電気特性に優れている。特に、高い耐熱性を有しているため、耐ハンダクラック性に優れている。また、本発明のエポキシ樹脂組成物(又はその硬化物)は、前記のように、耐熱性などの各種特性に優れているため、適用範囲が広く、実用性に優れている。このような本発明のエポキシ樹脂(又はその硬化物、硬化成形体)は、特に、耐ハンダクラック性に優れる。従って、本発明の樹脂組成物又はその硬化物は、電気又は電子材料用封止材(半導体封止材など)、プリント基板、コンデンサ、抵抗器などの電気電子材料、塗料、接着剤などとして好適に用いられる。さらに、本発明では、エポキシ樹脂の耐熱性や電気特性などの特性を改善又は向上できるエポキシ樹脂用硬化剤を提供できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂とフェノール性水酸基を有するフルオレン類とで構成されている。このような樹脂組成物において、フェノール性水酸基を有するフルオレン類は、エポキシ樹脂の硬化剤として作用するようである。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂(又はエポキシ化合物)としては、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂[例えば、エピ・ビス型エポキシ樹脂;フェノール型エポキシ樹脂;臭素化エポキシ樹脂;グリコール型エポキシ樹脂(例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)又はその水添物のアルキレンオキシド付加体とエピクロロヒドリンとの反応物など);脂環族ジオールのジグリシジルエーテル(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルなど)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などの脂環族骨格を有するエポキシ樹脂;ポリ(グリシジルオキシフェニル)アルカン(例えば、1,1,2,2−テトラキス(4−グリシジルオキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(グリシジルオキシフェニル)メタンなどのトリ又はテトラ(グリシジルオキシフェニル)C1−4アルカン);ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(例えば、1,5−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、1,6−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、2,6−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、2,7−ジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、2,7−ジ(2−メチル−2,3−エポキシプロピルオキシ)ナフタレン、2,2’−ジグリシジルオキシビナフタレンなどのジ(グリシジルオキシ)ナフタレン、ビス(2−グリジルオキシナフチル)メタンなどのビス(グリシジルオキシナフチル)C1−6アルカンなどのジグリシジルオキシナフタレン類、これらのジ(グリシジルオキシ)ナフタレン類が直接結合又は連結基(例えば、メチレン基、エチレン基などのアルキレン基又はアルキリデン基など)を介して連結されたテトラグリシジルエーテル(例えば、ビス[2,7−ジ(グリシジルオキシ)ナフチル]メタンなど)、キサンテン骨格を有するエポキシ樹脂(例えば、9−フェニル−2,7−ジグリシジルオキシ−1,3,4,5,6,8−ヘキサメチルキサンテンなど)などの縮合環骨格を有するグリシジルエーテルなど]、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノールなど)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂(例えば、芳香族ジカルボン酸(フタル酸など)又はその水添物(テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸など)とエピクロロヒドリンとの反応物、ダイマー酸グリシジルエステルなど)、含フルオレン型エポキシ化合物(フルオレン系エポキシ樹脂)[例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルなどの前記例示のフェノール性水酸基を有するフルオレン類又はそのアルキレンオキシド付加体のポリグリシジルエーテルなど]、含窒素型エポキシ化合物(例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントイン骨格を有するエポキシ樹脂、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリンなど)、過酢酸酸化型エポキシ化合物、含ケイ素型エポキシ化合物などが挙げられる。
前記エピ・ビス型エポキシ樹脂(又はエピ・ビス型グリシジルエーテル)には、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008255309
(式中、A1およびAは同一又は異なって直接結合又は連結基、R、R、R、およびRは同一又は異なって置換基、a、b、c、およびdは同一又は異なって0〜4の整数、nは0以上の整数を示す。)
上記式(2)において、AおよびAで表される連結基としては、例えば、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基などのC2−10アルキレン基、好ましくはC2−6アルキレン基)、アルキリデン基(例えば、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基又は2,2−プロパンジイル基などのC1−10アルキリデン基、好ましくはC1−6アルキリデン基)、スルホニル基、カルボニル基、オキシカルボニル基(−COO−)、エーテル基、チオエーテル基(−S−)などが挙げられる。また、R〜Rで表される置換基としては、例えば、アルキル基(メチル基などのC1−4アルキル基など)などの炭化水素基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基などのC1−4アルコキシ基)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など)などのアシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)などが挙げられる。なお、置換基数a〜dは、それぞれ、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1である。また、前記式(2)において、nは、例えば、0〜100、好ましくは0〜50、さらに好ましくは0〜30程度であってもよい。
代表的なエピ・ビス型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(前記式(2)において、連結基AおよびAがイソプロピリデン基又は2,2−プロパンジイル基であるエポキシ樹脂など)、下記式(1b)で表されるビスフェノールAD型エポキシ樹脂(前記式(2)において、連結基AおよびAがエチリデン基であるエポキシ樹脂など)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(前記式(2)において、連結基AおよびAがスルホニル基であるエポキシ樹脂など)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(前記式(2)において、連結基AおよびAがメチレン基であるエポキシ樹脂など)、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(前記式(2)において、連結基AおよびAがイソプロピリデン基又は2,2−プロパンジイル基であり、R、R、R、およびRの少なくとも一部又は全部が臭素原子であり、a、b、c、およびdが1であるエポキシ樹脂など)などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂(前記式(2)において、連結基AおよびAが直接結合であるエポキシ樹脂など)などのビスフェノール系エポキシ樹脂が含まれる。
フェノール型エポキシ樹脂(フェノール型グリシジルエーテル)には、例えば、下記式(3)で表されるエポキシ樹脂などが含まれる。
Figure 2008255309
(式中、R、R、およびRは同一又は異なって置換基を示す。nは前記と同じ。)
上記式(3)において、置換基R〜Rとしては、前記置換基R〜Rの項で例示の置換基と同様の置換基[例えば、アルキル基(メチル基などのC1−4アルキル基など)、ハロゲン原子など]の他、ヒドロキシル基などが挙げられる。なお、置換基数e〜gは、それぞれ、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1である。また、前記式(3)において、nは、例えば、0〜100、好ましくは0〜50、さらに好ましくは0〜30程度であってもよい。
代表的なフェノール型エポキシ樹脂には、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、前記式(3)において、置換基数e〜gが0であるエポキシ樹脂など)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、前記式(3)において、R、R、およびRがメチル基であり、置換基数e〜gが1であるエポキシ樹脂など)、臭素化ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、前記式(3)において、R、R、およびRが臭素原子であり、置換基数e〜gが1であるエポキシ樹脂など)などのノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(ジシクロペンタジエン型グリシジルエーテル)としては、例えば、下記式(4)で表されるエポキシ樹脂などが含まれる。
Figure 2008255309
(式中、R、R、およびRは同一又は異なって置換基を示す。nは前記と同じ。)
上記式(4)において、置換基R〜Rとしては、前記置換基R〜Rの項で例示の置換基と同様の置換基[例えば、アルキル基(メチル基などのC1−4アルキル基など)、ハロゲン原子、ヒドロキシル基など]が挙げられる。なお、置換基数h〜jは、それぞれ、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1である。また、前記式(4)において、nは、例えば、0〜100、好ましくは0〜50、さらに好ましくは0〜30程度であってもよい。
これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのエポキシ樹脂は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、半導体封止材などの用途においては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などを好適に使用できる。
なお、本発明で用いるエポキシ樹脂は、公知の方法により調製してもよく、市販品を使用してもよい。
(フェノール性水酸基を有するフルオレン類)
フェノール性水酸基を有するフルオレン類(単に、フルオレン類などということがある)は、フェノール性水酸基およびフルオレン骨格を有している限り、特に限定されないが、通常、下記式(1)で表される化合物又はその誘導体であってもよい。
Figure 2008255309
(式中、環ZおよびZは芳香族炭化水素環、R1a、R1b、R2aおよびR2bは同一又は異なって置換基を示す。k1およびk2は同一又は異なって0〜4の整数を示し、m1およびm2はそれぞれ0又は1以上の整数、n1およびn2はそれぞれ1以上の整数を示す。m1、m2、k1又はk2が、それぞれ2以上である場合、複数のR1a、R1b、R2aおよびR2bは、それぞれ、同一又は異なっていてもよい。)
上記式(1)において、環Zおよび環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式炭化水素環(詳細には、少なくともベンゼン環を含む縮合多環式炭化水素環)などが挙げられる。縮合多環式炭化水素環に対応する縮合多環式炭化水素としては、縮合二環式炭化水素(例えば、インデン、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素)、縮合三環式炭化水素(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)などの縮合2乃至4環式炭化水素などが挙げられる。好ましい縮合多環式炭化水素としては、縮合多環式芳香族炭化水素(ナフタレン、アントラセンなど)が挙げられ、特にナフタレンが好ましい。なお、環ZおよびZは同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
好ましい環ZおよびZには、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれ、特にベンゼン環が好ましい。
基R1aおよびR1bで表される置換基としては、特に限定されず、シアノ基、炭化水素基(例えば、アルキル基など)などであってもよく、通常、アルキル基である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。基R1aおよびR1bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、k1(又はk2)が2以上である場合、基R1a(又はR1b)は、同一の環において、それぞれ、異なっていてもよく、同一であってもよい。
なお、フルオレン骨格を構成するベンゼン環に対する基R1a(又はR1b)の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数k1およびk2は、0又は1、特に0である。なお、置換数k1及びk2は、異なっていてもよいが、通常、同一である。
環Zおよび環Zに置換するヒドロキシル基の置換数n1およびn2は、n1およびn2がそれぞれ1以上を充足する限り特に限定されないが、例えば、1〜4、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2、特に1であってもよい。特に、環Zおよび環Zがベンゼン環である場合、n1およびn2は、それぞれ、1〜2、特に1であってもよい。なお、ヒドロキシル基の置換数n1およびn2は、それぞれの環ZおよびZにおいて、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。
なお、ヒドロキシル基の置換位置は、特に限定されず、環Zおよび環Zの適当な置換位置に置換していればよい。特に、環Zおよび環Zがベンゼン環である場合、ヒドロキシル基は、ベンゼン環がフルオレンに結合した位置に対して3位(又はメタ位)又は4位(又はパラ位)に置換していてもよく、特に4位(パラ位)に少なくとも置換している場合が多い。
環Z及び環Z(以下、これらをまとめて環Zということがある)に置換する置換基R2aおよびR2bとしては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(又はトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基、好ましくはC6−8アリール基、特にフェニル基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−4アルコキシ基など);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子など);ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基;アミノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
好ましい置換基R2aおよびR2bは、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)などの炭化水素基、C1−4アルコキシ基などであり、特に、C1−4アルキル基(特にメチル基)、C6−8アリール基が好ましい。m1又はm2が2以上の場合、置換基R2aおよびR2bは、同一の環(環Z又は環Z)において、単独で又は2種以上組み合わせて置換していてもよい。また、異なる環ZおよびZに置換する置換基R2aおよびR2bは互いに同一又は異なっていてもよく、通常、同一であってもよい。
置換基R2aおよびR2bの置換数m1およびm2は、それぞれ、環Zおよび環Zの種類などに応じて適宜選択でき、特に限定されず、例えば、0〜8、好ましくは0〜6(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0〜4程度であってもよい。特に、環Zおよび環Zが、ベンゼン環である場合には、置換数m1およびm2は、ヒドロキシル基の置換数n1およびn2にもよるが、それぞれ、0〜3、好ましくは0〜2、特に1である。なお、置換数m1およびm2は、それぞれの環ZおよびZにおいて、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。
代表的なフェノール性水酸基を有するフルオレン類には、例えば、(1)9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類、(2)9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類などが含まれる。
(1)9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類
9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類には、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレンなど]が含まれ、通常、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類又は9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、特に9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類を好適に使用できる。
9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスフェノールフルオレン)など]、置換基を有する9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールフルオレン)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(シクロアルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C5−8シクロアルキル−モノヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−8アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アラルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ベンジルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−8アリールC1−2アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルコキシ−ヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルコキシ−ヒドロキシフェニル)フルオレンなど]など}などが挙げられる。
9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、上記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(2,3−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン)、9,9−ビス(3,5−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、置換基を有する9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−8アリール−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルコキシ−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1−4アルコキシ−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]など}などが例示できる。9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類には、上記9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどが含まれる。
なお、ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類は、種々の合成方法、例えば、(a)塩化水素ガス及びメルカプトカルボン酸の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報)、(b)酸触媒(及びアルキルメルカプタン)の存在下、9−フルオレノンとアルキルフェノール類とを反応させる方法(特開2000−26349号公報)、(c)塩酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(特開2002−47227号公報)、(d)硫酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させ、炭化水素類と極性溶媒とで構成された晶析溶媒で晶析させる方法(特開2003−221352号公報)などを利用して製造できる。
また、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシフェニル)フルオレン類は、上記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法において、フェノール類の代わりに、対応する多価アルコール類(ジヒドロキシフェノール類、トリヒドロキシフェノール類)を使用することにより製造できる。これらの方法のうち、特に、塩酸を使用する方法(c)、又は特定の晶析溶媒を使用する方法(d)を応用すると、より高収率でかつ高純度で生成物が得られる場合が多い。
(2)9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類
例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は6,6−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール))、9,9−ビス[1−(6−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は5,5−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール))、9,9−ビス[1−(5−ヒドロキシナフチル)]フルオレン(又は5,5−(9-フルオレニリデン)−ジ(1−ナフトール))、9,9−ビス[1−(6−(2−ヒドロキシナフチル)]フルオレン[又は5,5’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)]など]などの置換基を有していてもよい9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン}、これらの9,9−ビス(モノヒドロキシナフチル)フルオレン類に対応する9,9−ビス(ポリヒドロキシナフチル)フルオレン類(例えば、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシナフチル)フルオレン類)などが挙げられる。
なお、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類は、前記9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法において、フェノール類の代わりに、ヒドロキシナフタレン類(例えば、ナフトール(1−ナフトール、2−ナフトール)などのナフトール類、ジヒドロキシナフタレンなどのポリヒドロキシナフタレン類)を使用することにより製造できる。
これらのフェノール性水酸基を有するフルオレン類は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
好ましいフェノール性水酸基を有するフルオレン類には、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン(例えば、9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン)などの9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類(特に、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類、および9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類から選択された少なくとも1種)が含まれ、特に、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−モノヒドロキシフェニル)フルオレン[特に、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールフルオレン)、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン[特に、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−8アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン]、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、ビスカテコールフルオレンなど]、および9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンから選択された少なくとも1種が好ましい。
特に、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの環Zおよび環Zに炭化水素基を有するフルオレンは、環Zおよび環Zに無置換のフルオレン骨格を有するフルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル])フルオレン]を使用する場合に比べて、耐熱性を向上する点で有利である。また、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンなどの環Zおよび環Zがナフタレン環などの縮合芳香族炭化水素環であるフルオレン類は、耐熱性の向上や屈折率の向上に加えて、さらに熱膨張性の低減を実現でき、寸法精度の向上に有利である。
前記式(1)で表される化合物又はその誘導体の誘導体としては、フェノール性水酸基を有するフルオレン類の縮合物[例えば、フェノール性水酸基を有するフルオレン類をフェノール成分とするフェノール樹脂(例えば、ノボラック樹脂)]などが挙げられる。このようなフェノール樹脂は、フェノール性水酸基を有するフルオレン類のみをフェノール成分とするフェノール樹脂であってもよく、フェノール性水酸基を有するフルオレン類と他のフェノール類(又はフルオレン骨格を有しないフェノール類、例えば、フェノール、クレゾール、ナフトールなどのヒドロキシC6−10アレーンなど)とをフェノール成分とする共縮合物であってもよい。
フェノール性水酸基を有するフルオレン類は、通常、前記式(1)で表される化合物で構成してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂とフェノール性水酸基を有するフルオレン類との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=1/0.01〜1/1、好ましくは1/0.03〜1/0.8、さらに好ましくは1/0.05〜1/0.7程度であってもよい。また、フェノール性水酸基を有するフルオレン類の割合は、エポキシ樹脂100重量部に対して、例えば、1〜200重量部、好ましくは5〜150重量部(例えば、10〜120重量部)、さらに好ましくは20〜100重量部(例えば、20〜80重量部)程度であってもよい。また、フェノール性水酸基を有するフルオレン類とエポキシ樹脂との割合は、通常、エポキシ基がヒドロキシ基に対して過剰になるような割合である場合が多く、例えば、エポキシ樹脂中のエポキシ基(EA)とフルオレン類フェノール中のヒドロキシ基(HB)の当量比〔(EA)/(HB)〕が、1/0.05〜1/0.95、好ましくは1/0.1〜1/0.6、さらに好ましくは1/0.2〜1/0.5程度となるように前記フルオレン類とエポキシ樹脂との割合を調整してもよい。このような割合とすると、エポキシ樹脂の流動性や強度などの特性を調整しながら反応(硬化)させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、硬化剤、硬化促進剤(又は反応促進剤)、反応性希釈剤、添加剤、溶剤などを含んでいてもよい。
硬化剤(又は他の硬化剤又はフルオレン骨格を有するフェノール類以外の硬化剤)としては、例えば、フェノール樹脂系硬化剤(フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂など)などが挙げられる。これらの硬化剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。硬化剤(他の硬化剤)を使用する場合、硬化剤の割合は、フェノール性水酸基を有するフェノール類100重量部に対して、100重量部以下(例えば、0.1〜70重量部)、好ましくは50重量部以下(例えば、0.5〜30重量部)、さらに好ましくは20重量部以下(例えば、1〜10重量部)であってもよい。本発明の樹脂組成物は、通常、実質的に硬化剤を含んでいなくてもよい。
硬化促進剤としては、例えば、アミン類{例えば、アミン[特に第3級アミン類、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−1、イミダゾール類(2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのアルキルイミダゾール;2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールなどのアリールイミダゾールなど]およびその誘導体(例えば、フェノール塩、フェノールノボラック塩、炭酸塩、ギ酸塩などの塩)など}、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシド(ナトリウムエトキシドなどのナトリウムアルコキシドなど)}、ホスフィン類[例えば、エチルホスフィン、プロピレンホスフィン、フェニルホスフィン、トリフェニルホスフイン、トリアルキルホスフィンなどの有機ホスフィン類(第1、第2、および第3ホスフィン類)など]、アミド化合物(ダイマー酸ポリアミドなど)、酸無水物(無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸など)、ルイス酸錯体化合物(3フッ化ホウ素・エチルアミン錯体など)、硫黄化合物[ポリサルファイド、メルカプタン化合物(チオール化合物)など]、ハロゲン化物(クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメタンなどのハロアルカン類など)、ケイ素化合物[1,2−ジシリルエタン、アルキルシリケート、ポリアルコキシシラン類など]、ホウ素化合物(フェニルジクロロボランなど)、縮合性有機金属化合物[有機チタン化合物(テトラアルコキシチタンなど)、有機アルミニウム化合物(トリスメトキシアルミニウムなどのトリアルコキシアルミニウム、トリスフェノキシアルミニウムなどのトリアリールオキシアルミニウムなど)など]などが挙げられる。
これら硬化促進剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
好ましい硬化促進剤には、アミン類(イミダゾール類など)及びその誘導体などが含まれる。
硬化促進剤の割合(添加量)は、エポキシ樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部程度であってもよい。また、硬化促進剤の割合は、フェノール性水酸基を有するフルオレン類100重量部に対して、0.1〜50重量部(例えば、0.2〜30重量部)、好ましくは0.3〜20重量部(例えば、0.4〜15重量部)、さらに好ましくは0.5〜5重量部程度であってもよい。
反応性希釈剤としては、例えば、粘度調整を行うために添加する低粘度なエポキシ化合物、特に二官能以上の低粘度エポキシ化合物を好適に使用することができる。このような反応性希釈剤としては、例えば、ポリグリシジルエーテル類[例えば、ジグリシジルエーテル、ポリオールポリグリシジルエーテル(ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、)、ジグリシジルアニリン、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキレンジグリシジルエーテルなど]、モノグリシジルエーテル類(例えば、フェニルグリシジルエーテル、4−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル)などのグリシジルエーテル類;シクロアルケンオキシド類(例えば、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイドなど)などが挙げられる。これらの反応性希釈剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
添加剤としては、補強剤または充填剤、着色剤、顔料、難燃剤、硬化性の化合物(硬化性モノマー、オリゴマー、または樹脂)などが挙げられる。
補強剤または充填剤としては、粉末状あるいは繊維状の補強剤や充填剤が用いられる。粉末状の補強剤または充填剤としては、例えば、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなど)、金属炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど)、ケイ素化合物(ケイソウ土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカなど)、金属水酸化物(水酸化アルミニウムなど)、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデンなどが挙げられる。繊維状の補強剤または充填剤としては、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などが挙げられる。
また、着色剤、(又は顔料又は難燃剤)としては、例えば、二酸化チタン、鉄黒、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤、三酸化アンチモン、赤燐、ブロム化合物、トリフェニルホスフェートなどが挙げられる。さらに、前記硬化性化合物は、最終的な塗膜、接着層、成形品などにおける樹脂の性質を改善する目的で用いられ、例えば、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの添加剤(硬化性化合物など)は、本発明の樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量で添加してもよい。
これらの添加剤は、いずれも単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤(又は溶媒)としては、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチル−1−アセテートなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;ならびに2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。これらの溶剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明には、前記エポキシ樹脂組成物が硬化(又は架橋)した硬化物(又は成形体)も含まれる。このような硬化物は、前記エポキシ樹脂組成物を反応させる(硬化処理する)ことにより得ることができる。このような硬化処理は、硬化物の形状に応じて、エポキシ樹脂組成物を成形しつつ又は成形(又は予備成形)した後、行ってもよい。なお、硬化物の形状としては、三次元的硬化物、硬化膜や硬化パターンなどの一次元又は二次元的硬化物、点又はドット状硬化物などが挙げられる。具体的には、前記成形体は、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物で形成された所望の形状の製品、基材上に形成された前記エポキシ樹脂組成物の硬化物で形成された硬化膜(塗膜)などであってもよい。例えば、代表的には、前記エポキシ樹脂組成物を、必要に応じて、加熱溶融し、所定の型に流し込んで加熱することにより硬化し、所望の形状の成形体を得ることができる。また、硬化膜は、溶媒を含んでいてもよい液状の前記エポキシ組成物を、基材上に塗布し、乾燥し、次いで加熱することにより、基材上に形成することができる。
成形方法および硬化条件は特に限定されないが、例えば、所定の金型を用いて成形する場合には、加熱加圧による成形法やコールドプレスと呼ばれる低温成形法が用いられる。加熱加圧による方法としては、例えば、ハンドレイアップやスプレーレイアップと呼ばれる方法により常圧で本発明のエポキシ樹脂組成物を金型に充填した後、加熱硬化させる方法;トランスファープレス装置を用いて射出成形により加熱圧縮する方法;および連続積層成形法、プルトルージョンと呼ばれる連続引抜成形法、フィラメントワインディング成形法などの連続成形法が挙げられる。
またこれらの成形方法においては、上記樹脂組成物を補強剤と混合、あるいは補強剤に含浸させることにより中間成形材料を得、これを成形し、硬化させることもできる。補強剤としては、樹脂、ガラスなどで形成された織布、不織布などが挙げられる。このような補強剤を用いた中間成形材料としては、例えば、SMC(シートモールデイングコンパウンド)と呼ばれるシート状の中間成形材料;BMC(ベルクモールデイングコンパウンド)あるいはプレミックスと呼ばれる液状または固形状の中間成形材料;ガラスクロスやマットなどに本発明のエポキシ樹脂組成物を含浸させたプリプレグなどが挙げられる。
硬化処理は、硬化触媒の使用、加熱、光照射(活性エネルギー線照射)などにより行うことができ、これらを組み合わせて行ってもよい。通常、少なくとも加熱により硬化処理を行う場合が多い。なお、硬化処理(又は硬化反応)は、前記フルオレン類の水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基とが反応(付加反応)して進行する。
硬化処理において、加熱温度としては、例えば、50〜250℃、好ましくは70〜220℃、さらに好ましくは80〜200℃(例えば、90〜190℃)程度であってもよい。また、加熱時間は、例えば、10分〜24時間、好ましくは30分〜18時間、さらに好ましくは1〜12時間(例えば、2〜8時間)程度であってもよい。なお、硬化処理は段階的に行ってもよく、例えば、比較的低温(例えば、50〜130℃、好ましくは70〜120℃程度)で加熱処理したのち、比較的高温(例えば、140〜350℃、好ましくは150〜300℃程度)で加熱処理してもよい。
また、硬化物を膜状(フィルム状、薄膜状)に形成する場合には、前記エポキシ樹脂組成物(コーティング組成物)を、基板(又は基体)に塗布することにより形成してもよい。基板は、例えば、樹脂、ガラス、セラミックなどの絶縁性基板、結晶シリコンやアモルファスシリコンなどの半導体基板、金属などの導体基板、これらの基板上に導体層を形成したもの、さらにはこれらを複合したものなどが挙げられる。
基板に塗膜(薄膜)を形成する塗布法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコーティング法、ロールコーティング法、バーコーティング法、スリットコーティング、グラヴィアコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
塗膜の厚みは、硬化物の用途に応じて、例えば、0.01μm〜10mm、0.05μm〜1mm、さらに好ましくは0.1〜100μm程度であってもよい。
基板に塗布した前記樹脂組成物は、必要に応じて、乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理は、公知の方法を用いて行うことができる。乾燥処理は、例えば、常圧下、加圧下または減圧下において行ってもよく、加熱手段(ホットプレート、オーブンなど)により加温して行ってもよい。加温時の温度は、使用する溶媒や乾燥方法によっても異なるが、通常、40〜200℃、好ましくは50〜170℃、さらに好ましくは60〜150℃程度であってもよい。
基板に塗布された塗膜は、上記のように、必要に応じて乾燥処理されたのち、通常、硬化処理される。硬化処理は、水蒸気の存在する気体中又は空気中、通常、空気中において、加熱処理して行うことができる。硬化において、加熱処理温度は、前記と同様の範囲から選択できる。なお、硬化処理は、必要に応じて、加熱とともに光照射して行ってもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、熱により容易に硬化する。このような本発明のエポキシ樹脂組成物は、成形加工性に優れるため、前記のように、金型により所定の形状に成形したり、あるいは基板上に薄膜を形成することが容易である。そして、このようなエポキシ樹脂組成物が硬化した硬化物(又は成形体、硬化膜を含む)は、耐熱性および耐環境性に優れ、曲げ特性などの機械的強度が高く、高い靱性、熱衝撃性、および良好な成形加工性を有する。例えば、前記硬化物のガラス転移温度は、155℃以上(例えば、160〜300℃程度)、好ましくは165〜250℃程度である。
また、前記硬化物(成形体)は、耐熱性などの性質に加え、絶縁性に優れており、硬化収縮が小さく寸法安定性にも優れていることから、本発明のエポキシ樹脂組成物(又はその硬化物)は、電気材料又は電子材料用封止剤(封止材)、プリント基板、コンデンサ、抵抗器などの電気電子材料に有用である。特に、本発明のエポキシ樹脂組成物(又はその硬化物)は、優れた耐熱性と優れた種々の特性(絶縁性、機械的特性)とを両立できるため、耐ハンダクラック性に優れており、電気材料又は電子材料用の封止剤(又は半導体用封止剤)として好適に用いることができる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、耐熱性、接着性、硬化性などに優れていることから、コンデンサーなど各種電子部品のポッティング材、コーティング材などに好適に用いられる。電子絶縁材料用の封止材や、ポッティング剤として使用する場合には、従来から一般に使用されるエポキシ樹脂を用いた封止用樹脂と同様の方法で使用することができる。さらに、硬化物は透明性に優れていることから、光学デバイス用熱硬化性樹脂組成物としても有用である。
そして、このような本発明のエポキシ樹脂組成物(又はその硬化物)では、エポキシ樹脂の硬化剤として前記フェノール性水酸基を有するフルオレン類が作用するため、硬化物中にフルオレン骨格が導入され、硬化物の特性(耐熱性など)を向上させる。そのため、本発明には、前記フェノール性水酸基を有するフルオレン類で構成されているエポキシ樹脂用硬化剤も含まれる。特に、本発明では、前記のように、フルオレン骨格を導入することにより、耐ハンダクラック性を高いレベルで向上できる。そのため、本発明には、エポキシ樹脂用硬化剤として、フェノール性水酸基を有するフルオレン類を用い、エポキシ樹脂が硬化した硬化物の耐ハンダクラック性を改善する方法も含まれる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製)57重量部を、174重量部のフェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、「エピコート152」)に加え、170℃に加熱して溶解した。続いて、70℃まで冷却し、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(東京化成株式会社製)1.7重量部を加え、硬化促進剤が溶解するまで攪拌した。得られた混合物を2500mm×2000mm×厚み3mmのステンレス製金型に流し込み、定温乾燥機(アズワン株式会社製、DO−600FA)にて100℃で1時間、引き続き180℃で4時間加熱して、熱硬化させた。得られた成形体(試験片)を用い、以下の項目について評価を行った。
(1)ガラス転移温度:
DSC(DSC220型 セイコーインスツルメンツ株式会社製)により、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
(2)誘電率および誘電正接:
4294A型インピーダンスアナライザ(アジレントテクノロジー株式会社製)を用い、周波数1MHzにて誘電率および誘電正接を測定した。
(比較例1)
実施例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン57重量部に代えて、ビスフェノールA(キシダ化学製)34重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様に試験片を調製し、評価を行った。
(実施例2)
実施例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン57重量部に代えて、6,6’−(9−フルオレニリデン)−ジ(2−ナフトール)(又は6,6’−(9−フルオレニリデン)−ビス(2−ナフトール)、大阪ガスケミカル株式会社製、「ビスナフトールフルオレン」)83重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様に試験片を調製し、評価を行った。
(実施例3)
実施例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン57重量部に代えて、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製)61重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様に試験片を調製し、評価を行った。
(実施例4)
実施例1において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン57重量部に代えて、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製)53重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様に試験片を調製し、評価を行った。
(実施例5)
実施例1において、「エピコート152」174重量部に代えて、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、「エピコート828」)166重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様に試験片を調製し、評価を行った。
実施例および比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2008255309
表1から明らかなように、硬化剤として、フェノール性水酸基を有するフルオレン類を用いるとビスフェノールAを用いた場合に比較して、Tgが高く、耐熱性に優れたエポキシ樹脂成形体が得られることがわかった。また、誘電率、誘電正接いずれもフェノール性水酸基を有するフルオレン類を用いた方が低く、高性能であることがわかった。

Claims (12)

  1. エポキシ樹脂と、フェノール性水酸基を有するフルオレン類とで構成されているエポキシ樹脂組成物。
  2. エポキシ樹脂がノボラック型エポキシ樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. フェノール性水酸基を有するフルオレン類が、下記式(1)で表される化合物又はその誘導体である請求項1記載の樹脂組成物。
    Figure 2008255309
    (式中、環ZおよびZは芳香族炭化水素環、R1a、R1b、R2aおよびR2bは同一又は異なって置換基を示す。k1およびk2は同一又は異なって0〜4の整数を示し、m1およびm2はそれぞれ0又は1以上の整数、n1およびn2はそれぞれ1以上の整数を示す。m1、m2、k1又はk2が、それぞれ2以上である場合、複数のR1a、R1b、R2aおよびR2bは、それぞれ、同一又は異なっていてもよい。)
  4. 式(1)において、環Zおよび環Zがベンゼン環又はナフタレン環であり、n1およびn2がそれぞれ1〜3である請求項3記載の樹脂組成物。
  5. フェノール性水酸基を有するフルオレン類が、9,9−ビス(モノヒドロキシフェニル)フルオレン類、および9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類から選択された少なくとも1種である請求項1記載の樹脂組成物。
  6. フェノール性水酸基を有するフルオレン類が、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アルキル−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(アリール−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン、および9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレンから選択された少なくとも1種である請求項1記載の樹脂組成物。
  7. フェノール性水酸基を有するフルオレン類の割合が、エポキシ樹脂100重量部に対して20〜100重量部である請求項1記載の樹脂組成物。
  8. さらに、硬化促進剤を含む請求項1記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1記載の樹脂組成物が硬化した硬化物。
  10. 電気材料又は電子材料の封止剤として用いる請求項9記載の硬化物。
  11. フェノール性水酸基を有するフルオレン類で構成されているエポキシ樹脂用硬化剤。
  12. エポキシ樹脂用硬化剤として、フェノール性水酸基を有するフルオレン類を用い、エポキシ樹脂が硬化した硬化物の耐ハンダクラック性を改善する方法。
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