JP2003277616A - 成形性組成物およびパターン形成方法 - Google Patents

成形性組成物およびパターン形成方法

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JP2003277616A
JP2003277616A JP2002079377A JP2002079377A JP2003277616A JP 2003277616 A JP2003277616 A JP 2003277616A JP 2002079377 A JP2002079377 A JP 2002079377A JP 2002079377 A JP2002079377 A JP 2002079377A JP 2003277616 A JP2003277616 A JP 2003277616A
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JP2002079377A
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Kazuyuki Hirao
一之 平尾
Kenei Kyu
建栄 邱
Shinichi Kawasaki
真一 川崎
Hiroyuki Fujimoto
宏之 藤本
Masahiro Yamada
昌宏 山田
Hiroaki Murase
裕明 村瀬
Mitsuaki Yamada
光昭 山田
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ光の照射によりパターンが形成可能な
成形性組成物と、パターン形成方法を提供する。 【解決手段】 フルオレン類で構成された成形性組成物
(又は成形体)に、レーザ光を照射し、表面又は内部に
光学的特性(色彩、透明性、屈折率、反射率、誘電率な
ど)の変化を生じさせ、パターンを形成する。前記前記
フルオレン類は、下記式で表される化合物又はその誘導
体(例えば、前記化合物をジオール成分とするビニルエ
ーテル、(メタ)アクリル酸エステルや樹脂)であって
もよく、樹脂は、 (i)ポリエステル系樹脂、(ii)ポリウ
レタン系樹脂、(iii)ポリカーボネート系樹脂、(iv) エ
ポキシ樹脂、(v)エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸と
の付加体であってもよい。 【化1】 (式中、R1,R2は、アルキル基、アリール基などを示
し、nは0〜4の整数を示す。R3はアルキレン基を示
し、mは0又は1以上の整数を示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フルオレン類で構
成され、かつレーザ光によりパターン形成可能な成形性
組成物(又は樹脂組成物)、この成形性組成物で形成さ
れ、かつレーザ光によりパターンが施された成形体およ
びパターン形成方法(又はマーキング方法)に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信において重要な光部品として、光
分岐結合器(光カプラ)、光合分波器、光導波路などが
知られている。これらの光部品は、通常、ガラスなどで
製造されているが、ガラスの加工には1000℃以上の
高温が必要となり、加工性が劣る。特開平9−1667
98号公報、特開平9−311237号公報には、レー
ザ光の集光照射により、ガラス材の内部に屈折率の変化
部位が連続して形成された光学素子が開示されている。
しかし、ガラスに導波路を形成するため、フレキシビリ
ティーがなく割れやすい。
【0003】そこで、樹脂材料を用いて光導波路を形成
するための検討が数多くなされている。例えば、アクリ
ル樹脂や含フッ素ポリイミド樹脂を用いた光導波路が知
られている。しかし、導波路パターンの形成において、
レジストを用いてパターンを形成した後、エッチング
し、その後レジストを剥離する必要があり、工程数が多
く加工効率を向上させることが困難である。
【0004】また、高機能なカーボン材料として、フラ
ーレンやナノチューブをはじめとする微細に構造が制御
された材料が電子材料として検討されている。しかし、
素子として用いる場合に、基材に対する接合などの加工
が必要であり、より簡便な方法での素子形成が要望され
ている。
【0005】さらに、レーザ光を利用して成形体の表面
に文字記号絵柄などのマーキングを施すことも提案され
ている。例えば、特開平3−24161号公報には、熱
可塑性樹脂に酸化チタンなどを含有させ、レーザ光を照
射することにより黒色にマーキングすることが開示され
ている。特開平9−20855号公報には、ABS樹脂
に複数の金属酸化物を含有させ、レーザ光を照射するこ
とにより黒色にマーキングすることが開示されている。
しかし、これらの方法では、酸化チタンや金属酸化物を
樹脂に添加するため、樹脂組成物やその成形体の機械的
特性や透明性が損なわれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、レーザ光の照射により光学的特性が変化した領域を
効率よく形成できる成形性組成物(又は樹脂組成物)、
この成形性組成物を用いたパターン形成方法(又はマー
キング方法)、並びにパターン又はマーキングが施され
た成形体を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、成形体の内部であっ
ても光学的特性が変化した部位(マーキング部位)を効
率よく形成できる成形性組成物、この成形性組成物を用
いたパターン形成方法(又はマーキング方法)、並びに
成形体を提供することにある。
【0008】本発明のさらに他の目的は、組成物の透明
性を損なうことなく、マーキング部位を形成できる成形
性組成物、この成形性組成物を用いたパターン形成方法
(又はマーキング方法)、並びに成形体を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意検討の結果、フルオレン類を含有す
る成形性組成物にレーザ光を照射すると、照射部位と非
照射部位との間に光学的特性の変化(改質領域)を生じ
させ、成形体の内部であってもパターンを形成可能であ
り、黒色マーキングできることを見いだし、本発明を完
成した。
【0010】すなわち、本発明の成形性組成物(又は樹
脂組成物)は、フルオレン類で構成されており、かつレ
ーザ光の照射により改質領域(光学的特性の変化領域)
を生成可能である。前記光学的特性は、例えば、色彩、
透明性、屈折率、反射率、誘電率などであってもよく、
光学的特性は、単一の特性に限らず複数の特性が変化し
ていてもよい。前記成形性組成物は、レーザ光の照射に
より照射部位でパターン形成可能である。前記フルオレ
ン類は、フルオレン骨格を有する限り特に制限されず、
例えば、下記式で表される化合物又はその誘導体が含ま
れる。
【0011】
【化2】
【0012】(式中、R1,R2は、同一又は異なって、
アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基又はアリ
ール基を示し、nは0〜4の整数を示す。R3はアルキ
レン基を示し、mは0又は1以上の整数を示す) このようなフルオレン類としては、例えば、R1,R
2が、同一又は異なって、C1-4アルキル基であり、nが
0又は1である化合物又はその誘導体などが例示でき
る。より具体的には、例えば、フルオレン類としては、
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(3−C1-2アルキル−4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(ヒドロキシ
2-4アルキルオキシ)フェニル)フルオレン、9,9
−ビス(3−C1-2アルキル−4−(ヒドロキシC2-4
ルキルオキシ)フェニル)フルオレン又はこれらの誘導
体が例示できる。
【0013】さらに、フルオレン類の誘導体としては、
種々の低分子又は高分子化合物が含まれ、ビニルエーテ
ル、前記式で表される化合物(ビスフェノール類)をジ
オール成分とする(メタ)アクリル酸エステル、樹脂
(例えば、(メタ)アクリル酸エステル、前記式で表さ
れる化合物をジオール成分とする樹脂(例えば、(i)ポ
リエステル系樹脂、(ii)ポリウレタン系樹脂、(iii)ポ
リカーボネート系樹脂、(iv) エポキシ樹脂、(v)エポキ
シ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加体など)などが例
示でき、前記ポリエステル系樹脂は、飽和ポリエステル
樹脂であってもよく、不飽和ポリエステル樹脂であって
もよい。本発明の組成物において、フルオレン類の割合
は、樹脂成分全体に対して10〜100重量%程度であ
ってもよい。
【0014】本発明では、形成性組成物(又は樹脂組成
物)としてフルオレン類を用いたり形成性組成物(又は
樹脂組成物)にフルオレン類を含有させることにより、
レーザ光によるパターン形成性(又はマーキング性)を
向上できる。そのため、本発明は、フルオレン類で構成
された成形性組成物の成形体に、レーザ光を照射し、照
射部位の光学的特性を選択的に変化させるパターン形成
方法(又はマーキング方法)も包含する。この方法で
は、パルス幅が1ピコ秒以上のレーザ光を使用してもよ
い。また、レーザ光の周波数は0.1kHz以上であっ
てもよい。このような方法では、成形体の表面に限ら
ず、成形体の適所にパターン域(又はマーキング域)を
形成できる。例えば、内部にパルスレーザ光を集光して
照射することにより、成形体の内部にパターン域を形成
することもできる。パターン形成において、成形体とレ
ーザ光とは、相対的かつ連続的に移動させてパターンを
形成してもよい。
【0015】本発明は、さらに、前記成形性組成物で形
成され、かつレーザ光の照射により光学的特性の変化が
生じた成形体も包含する。この成形体では、内部にパタ
ーン域(又はマーキング部)を形成してもよい。さら
に、成形体は光学用部材(又は光学用素子)であっても
よい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の成形性組成物(又は成形
性組成物)は、フルオレン類で構成されている。前記フ
ルオレン類としては、フルオレン骨格を有する種々の化
合物(低分子量化合物や樹脂などの高分子量化合物)が
使用でき、特に制限されず、例えば、前記式で表される
化合物又はその誘導体が例示できる。
【0017】前記式中、R1,R2で表されるアルキル基
としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプ
ロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル
基などのC1-6アルキル基が例示できる。好ましいアル
キル基は、C1-4アルキル基、特にC1-2アルキル基であ
る。
【0018】アルコキシ基としては、例えば、メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、
s−ブトキシ、t−ブトキシ基などのC1-6アルコキシ
基(好ましくはC1-4アルコキシ基、特にC1-2アルコキ
シ基)が例示できる。
【0019】シクロアルキル基としては、例えば、シク
ロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基などのC
4-8シクロアルキル基(好ましくはC5-6シクロアルキル
基)が例示できる。アリール基としては、フェニル、C
1-4アルキルフェニル基(2−メチルフェニル基、3−
メチルフェニル基、4−メチルフェニル基など)、ナフ
チル基などのC6-12アリール基(特にフェニル基)、ベ
ンジル基、フェネチル基などのアラルキル基(C6-12
リール−C1-4アルキル基、特にベンジル基)などが例
示できる。
【0020】好ましい置換基R1,R2は、同一又は異な
って、アルキル基(例えば、C1-2アルキル基、特にメ
チル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル
基)又はアリール基(例えば、フェニル基、ベンジル
基)である。
【0021】前記式において、nは0〜4の整数、通
常、0〜2の整数、特に0又は1である。
【0022】ベンゼン環に対するヒドロキシル基と置換
基R1,R2の置換位置は、特に制限されず、例えば、ヒ
ドロキシル基は、2−位、3−位、4−位のいずれであ
ってもよい。ヒドロキシル基の好ましい置換位置は4−
位である。置換基R1,R2の置換位置は、nによっても
変動するが、例えば、2−位、3−位、4−位、2,3
−位、2,4−位、3,4−位などが例示できる。置換
基R1,R2の好ましい置換位置は、3−位である。
【0023】前記式において、m=0のフルオレン骨格
を有する化合物(ビスフェノール類)としては、例え
ば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−
エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒド
ロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビ
ス(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレ
ン、9,9−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニ
ル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキルヒドロキ
シフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−
ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル)フ
ルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
−t−ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス
(ジアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9
−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニ
ル)フルオレンなどの9,9−ビス(シクロアルキルヒ
ドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの
9,9−ビス(アリールヒドロキシフェニル)フルオレ
ンなどが挙げられる。
【0024】これらのフルオレン骨格を有するビスフェ
ノール類のうち、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)
フルオレン、9,9−ビス(C1-4アルキルヒドロキシ
フェニル)フルオレン類、9,9−ビス(アリールヒド
ロキシフェニル)フルオレン類が好ましい。特に9,9
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9
−ビス(4−ヒドロキシ−3−C1-2アルキルフェニ
ル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキ
シ−3−メチルフェニル)フルオレン]が好ましい。
【0025】これらのフルオレン骨格を有するビスフェ
ノール類の純度は特に限定されないが、通常、95重量
%以上、好ましくは99重量%以上である。
【0026】なお、前記式において、m=0の化合物
(前記フルオレン骨格を有するビスフェノール類)は、
文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、
特開平6−145087号公報、特開平8−21771
3号公報に記載されている方法に準じて、塩化水素ガス
およびメルカプトプロピオン酸を触媒として用い、フル
オレノンとフェノール類とを縮合させることにより製造
できる。また、前記塩化水素ガスに代えて、塩酸水を用
いると、高純度のビスフェノール類を単純な操作で得る
ことができる。特に、フルオレノンとフェノール類(フ
ェノール、C1-4アルキルフェノールなど)とを、触媒
[例えば、β−メルカプトプロピオン酸などのチオール
類および塩酸(特に硫酸)で構成された触媒系]の存在
下で縮合反応させ、特定の晶析溶媒を用いて、反応混合
物からビスフェノールフルオレン類を晶析させると、不
純物が少なく、環境ホルモン性が極めて低レベルの化合
物を確実に得ることができる。なお、触媒として硫酸を
用いると、不純物の生成を抑制しながら、ビスフェノー
ルフルオレン類を生成できる。
【0027】R3で表されるアルキレン基としては、エ
チレン基、プロピレン基、トリメチレン基、ブチレン基
などのC2-4アルキレン基が例示できる。mが2以上の
整数であるとき、R3で表されるアルキレン基は、mに
よって異なっていてもよい。mは0又は1以上の整数で
あり、通常、0又は1〜100(好ましくは1〜50、
さらに好ましくは1〜12、特に1〜5)程度である。
【0028】mが1以上の整数である化合物(アルキレ
ンオキサイド付加体)としては、例えば、エチレンオキ
サイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドな
どのC2-4アルキレンオキサイドがビスフェノール類の
各ヒドロキシル基に対して1〜100モル(好ましくは
1〜50モル、さらに好ましくは1〜10モル、特に1
〜5モル)程度の割合で付加した付加体が例示できる。
ビスフェノール類に対しては、同一又は異なる複数のア
ルキレンオキサイドを付加させることができる。
【0029】アルキレンオキサイド付加体としては、
9,9−ビス(4−(ヒドロキシC2- 4アルキルオキ
シ)フェニル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス
[4−(2−ヒドロキシC2-4アルコキシ)フェニル]
フルオレン、9,9−ビス[3−(2−ヒドロキシC
2-4アルコキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス
[2−(2−ヒドロキシC2-4アルコキシ)フェニル]
フルオレン;9,9−ビス(3−C1-2アルキル−4−
(ヒドロキシC2-4アルキルオキシ)フェニル)フルオ
レン、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシC2-4
ルコキシ−3−C1-4アルキルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシC2-4アルコキシ−3,
5−ジC1-4アルキルフェニル)フルオレン;9,9−
ビス[4−(ヒドロキシC2-4アルコキシ)−3−アリ
ールフェニル]フルオレン類、例えば、9,9−ビス
[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−アリールフェ
ニル]フルオレン;9,9−ビス[4−(ヒドロキシC
2-4アルコキシ)−3−アラルキルフェニル]フルオレ
ン類、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエ
トキシ)−3−アラルキルフェニル]フルオレン;9,
9−ビス(4−(ヒドロキシポリ(C2-4アルキルオキ
シ))フェニル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス
[4−(2−ヒドロキシジC2-4アルコキシ)フェニ
ル]フルオレン;9,9−ビス(3−C1-2アルキル−
4−(ヒドロキシポリ(C2-4アルキルオキシ))フェ
ニル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス(3−C
1-2アルキル−4−(ヒドロキシジC2-4アルコキシ)フ
ェニル)フルオレンなどが例示できる。
【0030】代表的なアルキレンオキサイド付加体は、
9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシ
プロポキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4
−(2−ヒドロキシジエトキシ)フェニル)フルオレ
ン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシジプロポキ
シ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−
ヒドロキシポリエトキシ)フェニル)フルオレンなどの
2-3アルキレンオキサイド付加体;9,9−ビス(3
−メチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)
フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−(2−ヒ
ドロキシプロポキシ)フェニル)フルオレン、9,9−
ビス(3−メチル−4−(2−ヒドロキシジエトキシ)
フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4
−(2−ヒドロキシジプロポキシ)フェニル)フルオレ
ンなどのクレゾール型フルオレンに対するC2-3アルキ
レンオキサイド付加体などが例示できる。
【0031】前記フルオレン骨格を有するビスフェノー
ル類は誘導体として用いてもよい。前記誘導体として
は、例えば、前記ビスフェノール類をジオール成分とす
る(メタ)アクリル酸エステル、(ポリ)ウレタン(メ
タ)アクリレート、(ポリ)エステル(メタ)アクリレ
ート、ビニルエーテル、前記ビスフェノール類を樹脂成
分(ジオール成分など)とする樹脂などが含まれる。す
なわち、本発明では、前記ビスフェノール類を単一成分
として用いるだけでなく、前記ビスフェノール類をジオ
ール成分又はその誘導体や樹脂の構成成分(ジオール成
分など)として用いてもよい。なお、ジオール成分の前
駆体、樹脂の構成成分として用いる場合、前記ビスフェ
ノール類の含有量は、前駆体や樹脂の種類に応じて、例
えば、20〜95重量%、好ましくは25〜85重量
%、さらに好ましくは30〜75重量%程度の範囲から
選択できる。
【0032】誘導体としての(メタ)アクリル酸エステ
ル(モノマー)には、前記ビスフェノール類(アルキレ
ンオキサイド付加体を含む)と(メタ)アクリル酸又は
その酸ハライドとの反応により得られるエステル(モノ
又はジ(メタ)アクリレート)、例えば、9,9−ビス
((メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン
類、例えば、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイル
オキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(3−C
1-2アルキル−4−(メタ)アクリロイルオキシフェニ
ル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス(3−メチル
−4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレ
ン;9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC2-4
アルコキシ)フェニル)フルオレン類、例えば、9,9
−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキ
シ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−
(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)フ
ルオレン;9,9−ビス(3−C1-2アルキル−4−
((メタ)アクリロイルオキシC2 -4アルコキシ)フェ
ニル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス(3−メチ
ル−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)
フェニル)フルオレン;9,9−ビス((メタ)アクリ
ロイルオキシポリ(C2-4アルコキシ))フェニル)フ
ルオレン類、例えば、9,9−ビス(4−(2−(メ
タ)アクリロイルオキシジエトキシ)フェニル)フルオ
レン、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイル
オキシトリエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−
ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシジプロポ
キシ)フェニル)フルオレン;9,9−ビス(3−C
1-2アルキル−4−((メタ)アクリロイルオキシポリ
(C2-4アルコキシ))フェニル)フルオレン類、例え
ば、9,9−ビス(3−メチル−4−(2−(メタ)ア
クリロイルオキシジエトキシ)フェニル)フルオレン、
9,9−ビス(3−メチル−4−(2−(メタ)アクリ
ロイルオキシトリエトキシ)フェニル)フルオレンなど
が例示できる。
【0033】(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートと
しては、末端イソシアネート基を有するウレタン(メ
タ)アクリレート(例えば、後述するジイソシアネート
化合物とヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレー
トとの反応により得られる遊離のイソシアネート基を有
する化合物)と前記ビスフェノール類(アルキレンオキ
サイド付加体を含む)とのウレタン化反応、前記ビスフ
ェノール類(アルキレンオキサイド付加体を含む)とジ
イソシアネート化合物との反応により生成し、かつ末端
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、ヒ
ドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレートとのウレ
タン化反応により生成する生成物などが例示できる。な
お、ジオール成分として、前記ビスフェノール類は、ポ
リエステルジオール、ポリエーテルジオール、アルキレ
ングリコールなどのジオール成分と併用してもよい。
【0034】(ポリ)エステル(メタ)アクリレートと
しては、前記ビスフェノール類をジオール成分とし、か
つカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基などの反応
性基を有するオリゴエステルと、このオリゴエステルの
反応性基とヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレ
ート及び/又は(メタ)アクリル酸とのエステル化反応
生成物などが例示できる。
【0035】ビニルエーテルとしては、前記ビスフェノ
ール類(アルキレンオキサイド付加体を含む)とアセチ
レンとの反応により得られるエーテル(モノ又はジビニ
ルエーテル)、例えば、9,9−ビス(ビニルオキシフ
ェニル)フルオレン類、例えば、9,9−ビス(4−ビ
ニルオキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(3−
1-2アルキル−4−ビニルオキシフェニル)フルオレ
ン類、例えば、9,9−ビス(3−メチル−4−ビニル
オキシフェニル)フルオレンなどが例示できる。
【0036】ジオール成分の誘導体としては、アルキル
エステル(酢酸エステルなど)、前記式で表される化合
物をジオール成分として用いたポリエステルポリオー
ル、前記式で表される化合物をジオール成分として用い
たポリエーテルポリオールやポリエーテルエステルポリ
オール、前記式で表される化合物をジオール成分として
用いたポリカーボネートポリオールなどが例示できる。
【0037】前記フルオレン骨格を有するビスフェノー
ル類を構成単位として含む樹脂としては、例えば、ポリ
エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネー
ト系樹脂、エポキシ系樹脂などが例示できる。これらの
樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0038】ポリエステル系樹脂(飽和ポリエステル系
樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂)は、少なくとも前記
ビスフェノール類(アルキレンオキサイド付加体を含
む)で構成されたジオール成分とジカルボン酸成分とで
形成される樹脂であればよく、ジオール成分はビスフェ
ノール類と第2のジオールとを組み合わせて構成しても
よい。
【0039】第2のジオールとしては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、トリメチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、ヘキサンジオール、オクタンジオールなどのC2-10
アルキレングリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロ
ピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコー
ルなどのポリオキシC2-4アルキレングリコール、シク
ロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなど
のC5-8シクロアルキレンジオールなどが例示できる。
これらのジオールは単独で又は二種以上組み合わせて使
用できる。これらのジオールのうち、C2-6アルキレン
グリコール(例えば、エチレングリコールなどのC2-4
アルキレングリコール)が好ましい。
【0040】ビスフェノール類(アルキレンオキサイド
付加体を含む)と、第2のジオールとの割合は、例え
ば、前者/後者=10/90〜100/0(モル比)、
好ましくは25/75〜100/0(モル比)、さらに
好ましくは50/50〜100/0(モル比)程度であ
る。また、ジオール成分において前記式で表されるビス
フェノール類の単位の含有量は、例えば、50〜100
重量%、好ましくは70〜100重量%、さらに好まし
くは80〜100重量%程度である。
【0041】ジカルボン酸成分としては、マロン酸、グ
ルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドデカン二酸などのC3-12脂肪族ジカルボ
ン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボ
ン酸、ノルボルナンジカルボン酸、ノルボルネンジカル
ボン酸、アダマンタンジカルボン酸、トリシクロデセン
二カルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;フタル酸、テ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン
酸、2,2′−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジ
カルボン酸などが例示できる。ジカルボン酸成分は、マ
レイン酸、無水マレイン酸、フマル酸などの不飽和ジカ
ルボン酸であってもよい。ジカルボン酸成分は、単独で
又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジカル
ボン酸成分のうち、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジカル
ボン酸(特にアジピン酸、無水マレイン酸など)、芳香
族ジカルボン酸(特にテレフタル酸)、脂環族ジカルボ
ン酸(特にシクロヘキサンジカルボン酸)が好ましい。
【0042】前記ジオール成分と前記ジカルボン酸成分
との割合は、適当に選択でき、例えば、ジオール成分/
ジカルボン酸成分=0.7〜1.5/1(モル比)、
0.8〜1.2/1(モル比)、0.9〜1.1/1
(モル比)程度の範囲から選択できる。なお、反応にお
いて、第2のジオールを用いる場合、第2のジオールは
理論量よりも過剰の割合で使用してもよい。
【0043】ポリエステル系樹脂は、少なくともビスフ
ェノール類(アルキレンオキサイド付加体を含む)をジ
オール成分とし、少なくとも飽和脂肪族ジカルボン酸を
ジカルボン酸成分とする芳香族飽和ポリエステル系樹
脂、少なくともビスフェノール類(アルキレンオキサイ
ド付加体を含む)をジオール成分とし、少なくとも不飽
和脂肪族ジカルボン酸(例えば、無水マレイン酸、フマ
ル酸など)をジカルボン酸成分とする芳香族不飽和ポリ
エステル系樹脂、少なくともビスフェノール類(アルキ
レンオキサイド付加体を含む)をジオール成分とし、芳
香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸など)をジカ
ルボン酸成分とする全芳香族ポリエステル系樹脂(アリ
レート系樹脂など)などであってもよい。
【0044】飽和ポリエステル系樹脂の重量平均分子量
は、例えば、0.5×104〜3×105、好ましくは1
×104〜2×105、さらに好ましくは3×104〜1
×105程度である。また、不飽和ポリエステル系樹脂
の重量平均分子量は、例えば、500〜10000,好
ましくは1000〜7000程度である。
【0045】前記ポリエステル系樹脂は、慣用の方法、
例えば、前記ジオール成分とジカルボン酸成分との直接
重合法や、前記ジオール成分と前記ジカルボン酸のアル
キルエステル(メチルエステルなどのC1-4アルキルエ
ステル)とのエステル交換法などの溶融重合法により製
造できる。なお、不飽和ポリエステル系樹脂は、反応性
稀釈剤(スチレン系単量体、(メタ)アクリル系単量体
など)で稀釈し、重合開始剤(有機過酸化物など)及び
必要により重合促進剤を用いて重合することができる。
【0046】ポリウレタン系樹脂は、少なくとも前記ビ
スフェノール類で構成されたジオール成分とジイソシア
ネート成分との反応により得ることができる。ジオール
成分は、前記ポリエステル系樹脂と同じく、少なくとも
前記ビスフェノール類(アルキレンオキサイド付加体を
含む)で構成すればよく、ビスフェノール類と前記第2
のジオールとを前記と同様の割合で組み合わせて構成し
てもよい。なお、ポリウレタン系樹脂では、第2のジオ
ールとして、ポリエステルジオール(例えば、アジピン
酸などをジカルボン酸成分とする脂肪族ポリエステルジ
オール)、ポリエーテルジオール(ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキサ
イド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポ
リテトラメチレンエーテルグリコールなど)、ポリカー
ボネートジオールなどを利用してもよい。
【0047】ジイソシアネート成分としては、脂肪族ジ
イソシアネート[例えば、トリメチレンジイソシアネー
ト、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシ
アネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチ
レンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイ
ソシアネートなど]、脂環族ジイソシアネート[例え
ば、シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサン
ジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,
5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イ
ソホロンジイソシアネート;IPDI)、ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシ
クロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネート
メチル)シクロヘキサン(水添XDI)など]、芳香族
ジイソシアネート[例えば、フェニレンジイソシアネー
トジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシア
ネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ト
ルイジンジイソシアネート(TODI)、ジフェニルエ
ーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート
(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート
(TMXDI)など]が例示できる。これらのジイソシ
アネート成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用
できる。これらのジイソシアネート成分のうち、脂肪族
ジイソシアネートとしては、HDIなどが繁用され、脂
環族ジイソシアネートとしては、IPDI、水添MD
I、水添XDIなどが繁用され、芳香族ジイソシアネー
トとしては、TDI、MDI、TODIなどが繁用され
る。
【0048】前記ポリウレタン系樹脂は、前記ジオール
成分とジイソシアネート成分に加えて、鎖伸長剤や硬化
剤を用いて調製してもよい。鎖伸長剤としては、前記C
2-6アルキレングリコール、ジ乃至テトラC2-4オキシア
ルキレングリコール、ジアミン類(エチレンジアミン、
プロピレンジアミンなどのアルキレンジアミンなど)な
どが利用できる。硬化剤としては、1分子中に3以上の
活性水素原子を有する化合物、例えば、ポリオール類
(グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロー
ルエタン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン
などのトリオール類、ジグリセリン、ペンタエリスリト
ールなどのテトラオール類、ソルビトールなどのポリオ
ール類)、ポリアミン類(ジエチレントリアミン、ビス
ヘキサメチレントリアミン、トリメチルアミノヘキサン
などのトリアミン類、トリエチレンテトラミン、ヘキサ
メチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの
脂肪族、脂環族又は芳香族ポリアミン類等)、これらの
ポリオール類やポリアミン類にC2-4アルキレンオキシ
ドが付加した付加体などが例示できる。
【0049】ポリウレタン系樹脂は、前記成分をワンシ
ョット法により反応させて調製してもよく、ジオール成
分とジイソシアネート成分とを反応させて末端にイソシ
アネート基を有するプレポリマーを生成させ、このプレ
ポリマーと前記鎖伸長剤や硬化剤とを反応させるプレポ
リマー法により調製してもよい。末端イソシアネート基
を有するプレポリマーの調製において、前記ジオール成
分と前記ジイソシアネート成分との割合(モル比)は、
ジオール成分/ジイソシアネート成分=1/1.5〜1
/2.5、好ましくは1/1.7〜1/2.3、さらに
好ましくは1/1.9〜1/2.1程度である。
【0050】GPC(ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー)による未架橋ポリウレタン系樹脂の重量平均
分子量は、ポリスチレン換算で、0.1×104〜3×
105、好ましくは0.5×104〜2×105、さらに
好ましくは1×104〜1.5×105程度である。
【0051】ポリカーボネート系樹脂は、前記ビスフェ
ノール類(アルキレンオキサイド付加体を含む)とホス
ゲンとを反応させるホスゲン法、前記ビスフェノール類
(アルキレンオキサイド付加体を含む)と炭酸ジエステ
ルとを反応させるエステル交換法などにより得ることが
できる。ポリカーボネート系樹脂の重量平均分子量は、
例えば、1×104〜1×106、好ましくは1.5×1
4〜5×105、好ましくは2×104〜1×105程度
である。
【0052】エポキシ系樹脂は、前記ビスフェノール類
(アルキレンオキサイド付加体を含む)とエピクロルヒ
ドリンとの反応により得ることができ、エピクロルヒド
リンの付加モル数は、ビスフェノール類の各ヒドロキシ
ル基に対して1〜100モル、好ましくは1〜50モ
ル、さらに好ましくは1〜30モル(特に1〜10モ
ル)程度であってもよい。
【0053】なお、エポキシ系樹脂は、慣用の硬化剤、
例えば、アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、
酸又は酸無水物系硬化剤などで硬化させることができ
る。
【0054】樹脂には、オリゴマー、例えば、前記エポ
キシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により生成する
付加体(エポキシ(メタ)アクリレートなど)も含まれ
る。
【0055】なお、モノマーとしての前記(メタ)アク
リル酸エステル誘導体やオリゴマーとしての前記エポキ
シ樹脂と(メタ)アクリル酸との付加体は、必要により
反応性稀釈剤(ビニルピロリドンなどのビニル系単量
体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの
(メタ)アクリル系単量体など)、硬化剤や重合開始剤
などと組合せて、熱硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂
組成物として利用してもよい。
【0056】その他の樹脂としては、前記フルオレン骨
格を有するビスフェノール類を樹脂の構成成分(又は反
応成分)として使用している限り特に制限されず、例え
ば、前記ビスフェノール類をフェノール成分として用い
た共縮合フェノール系樹脂やキシレン系樹脂、ビスフェ
ノール類を共縮合成分として用いたアミノ樹脂(尿素樹
脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂など)などが例示でき
る。
【0057】本発明の成形性組成物は、さらに成膜性又
は成形性成分(例えば、樹脂、無機材料など)と組み合
わせることにより複合体又は複合成形性組成物として利
用してもよい。特に、フルオレン類として低分子量化合
物(例えば、前記式で表される化合物などの非成膜性化
合物や非成形性化合物など)を用いる場合、成膜性又は
成形性成分と組み合わせて用いるのが有利である。上記
複合体は、前記フルオレン類と前記成形性成分とが混練
及び成形などにより全体に亘り一体化した複合体に限ら
ず、樹脂や無機材料などの成形性成分で形成された成形
体又は基材(以下、単に成形体と総称する場合がある)
の表面が、前記フルオレン類含有組成物(又はさらに樹
脂を含む成形性組成物)で被覆された複合体であっても
よい。前記樹脂の種類は特に制限されず、熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などが利用できる。
【0058】熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレ
フィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系
樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(メチルペ
ンテン−1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂、
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体な
ど)、酢酸ビニル系樹脂(酢酸ビニル−塩化ビニル共重
合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸
メチル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エス
テル共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合
体、メタクリル酸メチル−スチレン−(メタ)アクリル
酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドな
ど)、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル
共重合体(AS樹脂)、スチレン−無水マレイン酸共重
合体など)、ハロゲン含有樹脂(塩化ビニル系樹脂、フ
ッ素樹脂など)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテ
レフタレートPET、ポリブチレンテレフタレートPB
T、1,4−シクロへキシルジメチレンテレフタレート
PCT、ポリエチレンナフタレートPENなどのポリア
ルキレンアリレート系樹脂、アルキレンアリレート単位
を主成分として含むコポリエステル、ポリアリレート系
樹脂、液晶性ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂
(ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド6/1
2、芳香族ポリアミド樹脂MXD−6など)、ビスフェ
ノール型ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセター
ル系樹脂(ポリビニルブチラール系樹脂など)、エンジ
ニアリングプラスチックの範疇に属する樹脂(例えば、
PET、PBT、PEN、ポリアミド6、ポリアミド6
6、MXD−6、ビスフェノール型ポリカーボネート系
樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテ
ルスルホンなど)、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポ
リフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルエーテル
ケトン系樹脂、ポリアセタール系樹脂など)、ポリイミ
ン、ポリシラザン、複素環式化合物の重合体(ポリベン
ゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチ
アゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリビニルカルバ
ゾールなど)、ポリシロキサン、ポリノルボルネン、セ
ルロース誘導体などが例示できる。熱可塑性樹脂には、
ABS樹脂などのゴム成分に対して少なくとも芳香族ビ
ニル単量体がグラフト重合したゴム−グラフト共重合体
も含まれる。
【0059】熱可塑性樹脂の分子量は、用途に応じて選
択でき特に制限されないが、通常、数平均分子量0.5
×104〜100×104、好ましくは1×104〜10
0×104程度の範囲から選択できる。
【0060】熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノー
ル系樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂な
ど)、エポキシ系樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹
脂、ノボラック型フェノール樹脂など)、ビニルエステ
ル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹
脂(ポリマレイミド系樹脂など)、シリコーン系樹脂、
シラザン系樹脂などが例示できる。さらに、光硬化性樹
脂としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、
ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メ
タ)アクリレートなどが例示できる。さらに、熱硬化性
樹脂は樹脂の種類に応じて硬化剤や硬化促進剤などを含
有していてもよく、光硬化性樹脂は、光硬化剤や光硬化
促進剤などを含有していてもよい。
【0061】さらに、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂に
は、反応性希釈剤(例えば、スチレン、メタクリル酸メ
チル、ビニルピロリドンなどの重合性単量体、エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレートなどの多価アルコール
(メタ)アクリレートなど)を併用してもよい。
【0062】これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合
わせて使用できる。また、複数の樹脂によりポリマーア
ロイを形成してもよい。
【0063】無機材料としては、成膜性や成形性を有す
る種々の無機物質、例えば、ガラス、セラミックス(例
えば、透明セラミックス)、金属(アルミニウム、金、
銅など)などが例示でき、無機材料はゾルゲル材料であ
ってもよい。前記セラミックスの種類は特に制限され
ず、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシ
アなどの酸化物系セラミックス、炭化ケイ素、窒化ケイ
素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ムライト、チタン
酸アルミニウムなどの非酸化物系セラミックス、チタン
酸カリウム繊維、アルミナ繊維などの繊維状セラミック
ス、チタン酸バリウムなどの誘電性セラミックス、PZ
Tなどの圧電性セラミックス、イオン導電性セラミック
ス、アパタイトなどの生体適合性セラミックスなどが例
示できる。なお、成形体又は基材は、前記樹脂と無機材
料とが複合化した有機/無機複合体であってもよい。
【0064】前記組成物において、フルオレン類の割合
は、レーザ光でのパターン形成に有効量であればよく、
例えば、樹脂成分全体に対して1〜100重量%、好ま
しくは10〜100重量%、さらに好ましくは25〜1
00重量%程度である。また、前記組成物中のフルオレ
ン類の含有量は、フルオレン換算で、例えば、1〜90
重量%、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは
10〜50重量%程度である。
【0065】フルオレン類を含む成形性組成物は、種々
の添加剤、例えば、可塑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外
線吸収剤、熱安定剤など)、補強材(粉粒状補強材、繊
維状補強材など)、充填剤(炭酸カルシウム、タルクな
ど)、着色剤(酸化チタン、カーボンブラックなどの無
彩色着色剤、有彩色着色剤)、帯電防止剤、難燃剤など
を含んでいてもよい。
【0066】前記成形性組成物は、コーティング剤(塗
料などを含む)として使用してもよく、コーティング剤
して使用する場合、成形性組成物は溶媒を含んでいても
よい。溶媒としては、例えば、炭化水素類(ヘキサンな
どの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭
化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類
など)、アルコール類(エタノール、プロパノールな
ど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ランなど)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン
など)、エステル類(酢酸エチルなど)、セロソルブ類
(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、カルビ
トール類(カルビトールなど)などが挙げられる。これ
らの溶媒は単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよ
い。
【0067】成形体又は基材の表面に成形性組成物の被
膜を形成する場合、被膜の厚みは特に制限されず、例え
ば、0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μm
程度であってもよい。
【0068】前記フルオレン誘導体、特にビスフェノー
ル類を用いた樹脂は、高い耐熱性、透明性および高屈折
率という特色を有するため、成形材料としても有用であ
る。なお、前記成形材料は、慣用の成形方法、例えば、
射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空圧空
成形などの方法により種々の成形体に成形できる。ま
た、不飽和ポリエステル系樹脂やエポキシ系樹脂などの
熱硬化性樹脂では、必要により補強繊維などと組み合わ
せて、積層成形などの方法で成形体を形成してもよい。
さらに、成形材料において、前記樹脂は、ポリマーアロ
イとして使用してもよい。
【0069】本発明の組成物は、レーザ光の照射により
光学的特性の変化をもたらし、照射部位でパターンを選
択的に形成可能である。例えば、フルオレン類で構成さ
れた成形性組成物の成形体又は基材に、レーザ光を照射
すると、照射部位で光学的特性を選択的に変化又は改質
させ、鮮明又は明瞭なパターン(又は改質領域)を形成
可能である。さらに、レーザ光の集光部(集光点)に対
応させて、成形体又は基材の表面のみならず成形体の内
部にパターン域(又は改質領域)を形成できる。なお、
光学的特性の変化は、分子構造の変化に起因してもよ
く、レーザ光の照射により集光点及び集光点近傍だけが
改質された領域を形成できる。レーザ光の照射により形
成されたパターンは、視覚的に識別可能なパターン(例
えば、明度、彩度などの変化を伴う色彩パターン、透明
性の変化を伴うパターン、反射率の変化に伴うパター
ン、屈折率の変化に伴うパターンなど)であってもよ
く、視覚的に識別不能なパターン(例えば、屈折率の変
化に伴うパターン、誘電率の変化に伴うパターンなど)
であってもよい。また、光学的特性の変化は、単一の光
学的特性の変化に限らず、複数の特性の変化により生じ
てもよい。
【0070】成形体又は基材の形状は、特に制限され
ず、線状構造(繊維やファイバーなどの線状成形体)で
あってもよく、二次元的構造(フィルム、シート、板状
体、CD(コンパクトディスク)など)又は三次元的構
造体(電子又は電気機器のケーシングやハウジング、キ
ーボードやキーなど)であってもよい。また、成形体や
基材は、レーザ光の照射部位に前記成形性組成物が存在
すればよく、前記成形性組成物を成形材料(押出成形、
射出成形材料など)として用いた成形体に限らず、表面
が前記成形性組成物で被覆した成形体であってもよい。
本発明の成形性組成物は、例えば、レンズ類(メガネレ
ンズ、自動車用ヘッドランプレンズ、ピックアップレン
ズ、フレネルレンズ、レーザープリンター用レンズ、カ
メラレンズ、リアプロジェクションテレビ用投影レンズ
などの光学レンズ)、フィルム又はシート類(位相差フ
ィルム、拡散フィルムなど)、プラスチック光ファイバ
ー、光導波路、光スイッチ、光回折素子などの光学部
品、光ディスク基板などの記録素子、電子又は電気機器
(例えば、パーソナルコンピュータなどを含むコンピュ
ータ、携帯電話、電話機、ファクシミリ、複写機など、
OA(オフィスオートメーション)機器など)のハウジ
ングやケーシング、電子又は電気機器部品、入出力端末
(キーボードなどの操作部の部材)、車ランプカバー、
装飾品などの成形材料として利用できる。
【0071】さらに、パターン又はマーキングの種類は
特に制限されず、例えば、文字、記号、スポット的パタ
ーンなどの他、絵柄(又は図形)などであってもよい。
【0072】前記レーザ光としては、種々のレーザが利
用でき、例えば、YAGレーザ、Ti−Al23レー
ザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−ネ
オンレーザ、エキシマレーザなどが例示できる。レーザ
光としては、通常、パルスレーザが利用される。
【0073】レーザ光のピークパワー強度は、通常、集
光点(焦点)において、104W/cm2以上(例えば、
5×105〜100×105W/cm2、好ましくは10
×105〜100×105W/cm2、さらに好ましくは
25×105〜100×105W/cm2程度)である。
レーザ光の出力は、例えば、平均出力10〜1000m
W、好ましくは20〜800mW程度であってもよい。
なお、レーザ光(パルスレーザ光)の波長は、フルオレ
ン類の吸収波長を含め、成形体又は基材の固有吸収波長
と重ならないのが好ましい。しかし、照射エネルギーの
うち50%以上のエネルギーが集光点で得られると、通
常、集光点でパターン形成又はマーキング可能である。
レーザ光(パルスレーザ光)の波長は、例えば、400
〜1700nm、好ましくは600〜1600nm程度
である。
【0074】レーザ光(パルスレーザ光)のパルス幅
は、1ピコ秒以下(例えば、10〜500フェムト秒、
好ましくは30〜300フェムト秒、さらに好ましくは
50〜200フェムト秒程度)である。また、レーザ光
(パルスレーザ光)の周波数は、例えば、0.1kHz
以上(例えば、0.5〜1000kHz、好ましくは
0.5〜800kHz、さらに好ましくは0.5〜50
0kHz程度)である。
【0075】パターン(又はマーキング)は、レーザ光
の集光位置(焦点深度)を集光レンズで絞ることにより
調整できる。すなわち、成形体又は基材に対するレーザ
光の集光位置(焦点深度)を調整することにより、成形
体の適所(表面や裏面、内部など)に光学的特性の変化
(パターン)が生じた成形体を形成できる。成形体の内
部にパターン域を形成する場合、レーザ光を成形体の内
部で集光させて照射することにより、成形体の表面では
なく、成形体の内部にパターン(又はマーキング部位)
が形成された成形体を得ることができる。このような成
形体は、内部にパターン域が形成されているため、外部
からパターンを有効に保護でき、パターンの耐久性を著
しく向上できる。特に、成形体や基材が、耐熱性などの
特性の高いフルオレン類を含むので、内部のパターンを
より有効に保護できる。さらに、フルオレン類は透明性
が高く、成形体の透明性を損なうことがない。そのた
め、レーザ光の照射により鮮明にマーキングできる。
【0076】なお、集光点におけるレーザ光の電場強度
がフルオレン類などの分子構造乃至光学的特性の変化に
対する閾値を越えると、集光点又は集光域及びその近傍
に存在するフルオレン類の分子構造乃至光学的変化が生
じる。そのため、レーザ光を照射することにより、成形
体の集光域でフルオレン類を選択的かつ効率よく改質し
てパターン又はマークを形成できる。
【0077】パターン形成又はマーキングは、通常、成
形体とレーザ光とは互いに相対的に移動させることによ
り行われ、両者は相対的に連続的に移動させてもよい。
例えば、光学系を操作して、成形体に対して、レーザ光
の集光点をX−Y軸方向に相対的に移動させることによ
り二次元的パターン(又は二次元的改質領域)を形成で
き、レーザ光の集光点をX−Y−Z軸方向に相対的に移
動させることにより三次元的パターン(又は三次元的改
質領域)を形成できる。
【0078】このような方法は、成形体とレーザ光との
相対的な移動という簡便な加工により照射部位と非照射
部位とで光学的特性の異なるパターン(改質領域と非改
質領域によるパターン)を形成できる。また、屈折率、
光の吸収や反射、誘電率などの光学的特性(電気光学的
特性を含む)が微細な領域で変化したパターンを形成で
きるため、パターンが形成された成形体は、光学用部材
又は光学用素子、例えば、各種の光導波路、非線形光学
素子、光メモリ、光スイッチ、光回折素子、発光素子、
増幅素子などとして利用できる。そのため、光学素子材
料や電子材料として有用である。さらに、本発明は、マ
ーキングが施された部材、例えば、前記例示の電子機器
や電気機器の部材などにも適用できる。
【0079】
【発明の効果】本発明では、成形性組成物がフルオレン
類を含むので、レーザ光の照射により光学的特性を変化
させ、効率よくパターンを形成できる。また、成形体の
内部にもパターン域又はマーキング部位を効率よく形成
できる。さらに、フルオレン類を用いるので、成形体の
透明性を損なうことなくマーキングできる。
【0080】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0081】実施例1 フルオレン骨格を有するポリエステル系樹脂(大阪ガス
ケミカル(株)製「OKP4」,重量平均分子量Mw3
7500)を射出成形し、試験成形体(サイズ100×
20×3mm)を作製した。この成形体にパルスレーザ
光をレンズで集光して照射した。パルスレーザ光として
は、アルゴンレーザ励起のTi:Al23レーザから発
振されたパルス幅150フェムト秒、繰返し周波数20
0kHz,波長800nm,平均出力300mWのレー
ザを使用した。パルスレーザ光をレンズ20倍(NA=
0.46)で集光し、フルオレン含有ポリエステル系樹
脂の成形体の内部に集光点が生じるように照射させる
と、成形体の内部に黒色パターン域(又はマーキング
域)を形成できた。また、成形体又は集光部を連続的に
移動させることにより、成形体の内部に直線状の黒色パ
ターン域(又はマーキング域)が形成された。なお、成
形体の表面に集光させてレーザ光を照射したところ、成
形体の表面に鮮明な黒色パターンを形成できた。黒色パ
ターン部の走査型顕微鏡写真を図1に示す。
【0082】実施例2 パルスレーザ光照射として、繰返し周波数1kHz、平
均出力50mW、レンズによる集光10倍(NA=0.
30)とする以外は実施例1と同様にしてレーザ光を照
射したところ、実施例1と同様に成形体の内部および表
面に黒色パターンを形成することができた。
【0083】実施例3 パルスレーザ光の波長を1550nmとする以外、実施
例2と同様にしてレーザ光を照射したところ、実施例2
と同様に成形体の内部および表面に黒色パターンを形成
できた。
【0084】実施例4 フルオレン系エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル(株)製
「BPFG」)100重量部とイミダゾール(和光純薬
(株)製)5重量部とを濃度10重量%でTHFに溶解
し、得られた溶液をガラス基板上にキャストして、50
℃で15分間、80℃で30分間、さらに真空下、12
0℃で1時間加熱することにより、厚さ100μmの透
明なフィルムを得た。得られたフィルムに実施例2と同
様のレーザー光を照射した結果、実施例2と同様に成形
体の内部および表面に黒色パターンを形成することがで
きた。
【0085】実施例5 フルオレン系エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル(株)製
「BPFG」)100重量部とイミダゾール(和光純薬
(株)製)5重量部とフルオレン系アクリレート樹脂
(大阪ガスケミカル(株)製「BPFA」)100重量
部とアクリル酸メチル(関東化学(株)製)10重量部
とジ−t−ブチルパーオキサイド(関東化学(株)製)
0.5重量部とを濃度10重量%でTHFに溶解し、得
られた溶液をガラス基板上にキャストして、真空下、1
20℃で1分間加熱する以外、実施例4と同様した結
果、実施例4と同様に成形体の内部および表面に黒色パ
ターンを形成することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で形成された黒色パターン部を
示す走査型顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川崎 真一 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 (72)発明者 藤本 宏之 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 (72)発明者 山田 昌宏 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 (72)発明者 村瀬 裕明 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 (72)発明者 山田 光昭 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AB14 AC08 AD01 AD03 BC32 BC42 CB06 CB19 4E068 AH00 DB07 4J002 AB011 BB011 BB071 BB081 BB121 BB151 BB171 BB231 BC031 BC061 BC071 BD041 BD081 BD121 BE061 BF021 BG021 BG061 BG131 BK001 CB001 CC031 CC161 CC181 CD201 CF051 CF061 CF071 CF081 CF161 CF211 CG001 CH071 CH091 CK021 CL011 CL031 CM011 CM021 CN011 CN031 CP031 CP211 EJ066

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオレン類で構成されており、かつレ
    ーザ光の照射により改質領域を生成可能な成形性組成
    物。
  2. 【請求項2】 光学的特性が、色彩、透明性、屈折率、
    反射率、誘電率から選択された少なくとも1種である請
    求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 レーザ光の照射によりパターンを形成可
    能である請求項1記載の組成物。
  4. 【請求項4】 フルオレン類が、下記式 【化1】 (式中、R1,R2は、同一又は異なって、アルキル基、
    アルコキシ基、シクロアルキル基又はアリール基を示
    し、nは0〜4の整数を示す。R3はアルキレン基を示
    し、mは0又は1以上の整数を示す)で表される化合物
    又はその誘導体である請求項1記載の成形性組成物。
  5. 【請求項5】 R1,R2が、同一又は異なって、C1-4
    アルキル基であり、nが0又は1である請求項4記載の
    成形性組成物。
  6. 【請求項6】 フルオレン類が、9,9−ビス(4−ヒ
    ドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−C
    1-2アルキル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
    9,9−ビス(4−(ヒドロキシC2-4アルキルオキ
    シ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−C1-2
    アルキル−4−(ヒドロキシC2-4アルキルオキシ)フ
    ェニル)フルオレン又はこれらの誘導体である請求項1
    記載の成形性組成物。
  7. 【請求項7】 フルオレン類の誘導体が、ビニルエーテ
    ル、(メタ)アクリル酸エステル、又は請求項4記載の
    化合物をジオール成分とする樹脂である請求項4記載の
    成形性組成物。
  8. 【請求項8】 樹脂が、(i)ポリエステル系樹脂、(ii)
    ポリウレタン系樹脂、(iii)ポリカーボネート系樹脂、
    (iv) エポキシ樹脂、および(v)エポキシ樹脂と(メタ)
    アクリル酸との付加体から選択された少なくとも一種で
    ある請求項7記載の成形性組成物。
  9. 【請求項9】 フルオレン類の割合が、樹脂成分全体に
    対して10〜100重量%である請求項1記載の組成
    物。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の成形性組成物の成形体
    に、レーザ光を照射し、照射部位の光学的特性を選択的
    に変化させるパターン形成方法。
  11. 【請求項11】 レーザ光のパルス幅が1ピコ秒以上で
    ある請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 レーザ光の周波数が0.1kHz以上
    である請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 成形体の内部にパルスレーザ光を集光
    して照射し、成形体の内部にパターン域を形成する請求
    項10記載の方法。
  14. 【請求項14】 成形体とレーザ光とを相対的かつ連続
    的に移動させてパターン域を形成する請求項10記載の
    方法。
  15. 【請求項15】 請求項1記載の成形性組成物で形成さ
    れ、かつレーザ光の照射により光学的特性の変化が生じ
    ている成形体。
  16. 【請求項16】 内部にパターンが形成されている請求
    項15記載の成形体。
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