JP2010125702A - ラミネートフィルムの製造方法 - Google Patents

ラミネートフィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010125702A
JP2010125702A JP2008303019A JP2008303019A JP2010125702A JP 2010125702 A JP2010125702 A JP 2010125702A JP 2008303019 A JP2008303019 A JP 2008303019A JP 2008303019 A JP2008303019 A JP 2008303019A JP 2010125702 A JP2010125702 A JP 2010125702A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
wet
gas
pressure
replacement gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008303019A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5051916B2 (ja
Inventor
Kenji Nakahara
健治 中原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2008303019A priority Critical patent/JP5051916B2/ja
Publication of JP2010125702A publication Critical patent/JP2010125702A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5051916B2 publication Critical patent/JP5051916B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】湿潤フィルムにプラスチックフィルムを貼り合わせてラミネートフィルムを製造する方法であって、得られるラミネートフィルムにおける湿潤フィルムとプラスチックフィルムの間に発生する気泡を抑えることができる前記製造方法を提供すること。
【解決手段】水分率10〜60重量%の湿潤フィルムの片面または両面に、水分率0.1〜5重量%のプラスチックフィルムを、当該プラスチックフィルム上に設けた接着剤層を介して、一対の圧着ロールにより貼り合わせるラミネートフィルムの製造方法において、少なくとも、前記一対の圧着ロールによって湿潤フィルムとプラスチックフィルムを貼り合わせるフィルム合流部分から、各圧着ロールにおける各フィルムの導入部分までの各フィルム表面の同伴空気を、水に対する溶解度が0.1cm/cmO(20℃,1atm)以上の置換ガスによってパージして、各フィルム表面が前記置換ガスで置換された状態で、前記貼り合わせを行う。
【選択図】図1A

Description

本発明は、湿潤フィルムの片面または両面に、プラスチックフィルムを接着剤層を介して貼り合わせるラミネートフィルムの製造方法に関する。
本発明の製造方法は、各種ラミネートフィルムの製造に適用できるが、例えば、湿潤フィルムとして偏光子を用い、プラスチックフィルムとして偏光子用の透明保護フィルムを用いて、偏光板を製造する方法において用いることができる。その他、湿潤フィルムとしては、セロファンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルム等を例示でき、本発明の製造方法は、食品、医療機器などの包装に用いられるラミネートフィルムの製造において適用できる。
従来より、湿潤フィルムの片面または両面にプラスチックフィルムを貼り合わせて、ラミネートフィルムを製造するにはあたっては、通常、水系接着剤が用いられている。前記貼り合わせる方法としては、例えば、一対の圧着ロール間に湿潤フィルムを搬送するとともにその両面にプラスチックフィルムを搬送してプラスチックフィルムを同時に貼り合わせる同時ラミネート法、一対の圧着ロール間に湿潤フィルムを搬送するとともにその片面にプラスチックフィルムを搬送して貼り合わせた後、次いで、湿潤フィルムの他の片面にプラスチックフィルムを貼り合わせる逐次ラミネート法が採用されている。
しかし、上記のラミネート法により、湿潤フィルムとプラスチックフィルムの貼り合わせを行うと、得られるラミネートフィルムにおいて湿潤フィルムとプラスチックフィルムの間に、異物の噛み込みや気泡が発生する。特に、貼り合わせ速度の高速化に伴って、気泡の発生が顕著になっている。またシワが発生したり、スジ状の凹凸ムラが生じたりする。
上記シワの発生等に関する課題に対しては、湿潤フィルム(含水率0.1〜20重量%のポリビニルアルコール系フィルム)とプラスチックフィルム(セルロース系フィルム)を所定のニップ圧にて貼り合わせる方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この方法によっても、ラミネートフィルムにおける湿潤フィルムとプラスチックフィルムの間に発生する気泡は十分に抑えることができていない。一方、湿潤フィルムとプラスチックフィルムを貼り合わせる際の、ニップロールの圧力を高めることにより、気泡を低減することはできるが、ニップロールの圧力を高くすると、フィルム蛇行、シワの発生、打痕の発生、キズの発生、ロール(ゴムロール)の早期磨耗等の問題がある。
また、湿潤フィルム以外のフィルムを用いてラミネート物を製造する際にも、圧着時に気泡が発生することから、当該ラミネート物の製造に際しても気泡の発生を抑える方法が提案されている。例えば、支持体と熱可塑性樹脂の樹脂膜とをニップしてラミネート物を製造する製造方法において、ニップ点に同伴される同伴空気を、前記樹脂膜に対して透過性を有するガスを吹付けることにより遮断する方法(特許文献2)、金属帯と樹脂フィルムを圧着ロールで連続ラミネートする際に、圧着直前に樹脂フィルムの表面に気体を吹き付けてラミネート時の気泡巻き込みを低減する方法(特許文献3)、金属帯と樹脂フィルムを連続ラミネートする際に、圧着ロール部において該フィルムと該金属帯により挟まれる空間に加熱気体を吹き付けてラミネートの気泡巻き込みを抑制する方法(特許文献4)、が提案されている。しかし、これら方法によっても、湿潤フィルムとプラスチックフィルムからラミネートフィルムを製造する際の気泡は十分に抑えることができない。
特開平10−166519号公報 特開2002−283452号公報 特開平10−16050号公報 特開平7−125169号公報
本発明は、湿潤フィルムにプラスチックフィルムを貼り合わせてラミネートフィルムを製造する方法であって、得られるラミネートフィルムにおける湿潤フィルムとプラスチックフィルムの間に発生する気泡を抑えることができる前記製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、以下に示すラミネートフィルムの製造方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、水分率10〜60重量%の湿潤フィルムの片面または両面に、水分率0.1〜5重量%のプラスチックフィルムを、当該プラスチックフィルム上に設けた接着剤層を介して、一対の圧着ロールにより貼り合わせるラミネートフィルムの製造方法において、
少なくとも、前記一対の圧着ロールによって湿潤フィルムとプラスチックフィルムを貼り合わせるフィルム合流部分から、各圧着ロールにおける各フィルムの導入部分までの各フィルム表面の同伴空気を、
水に対する溶解度が0.1cm/cmO(20℃,1atm)以上の置換ガスによってパージして、
各フィルム表面が前記置換ガスで置換された状態で、前記貼り合わせを行うことを特徴とするラミネートフィルムの製造方法、に関する。
前記ラミネートフィルムの製造方法において、置換ガスとしては、炭酸ガス、アンモニア、水蒸気またはこれらの混合気体が好適である。
前記ラミネートフィルムの製造方法において、置換ガスによるパージを、置換ガスのレイノルズ数が、3000〜20000の範囲になる条件下で行うことが好ましい。
前記ラミネートフィルムの製造方法は、各フィルムの搬送速度が、2〜50m/minである場合に有効である。
前記ラミネートフィルムの製造方法は、湿潤フィルムが偏光子であり、プラスチックフィルムが偏光子用の透明保護フィルムであり、ラミネートフィルムとして偏光板を製造する場合に好適に適用される。
従来のラミネートフィルムの製造にあたっては、貼り合わせる際に、空気の粘性によってフィルム表層に付着して移動する同伴空気が原因で気泡が発生していた。一方、本発明のラミネートフィルムの製造方法では、貼り合わせ対象の各フィルム表面の同伴空気を、所定溶解度以上の置換ガスによってパージして強制的に置換して、各フィルムを貼り合わせていることで気泡の発生を抑えている。従来のように同伴空気によって貼り合わせ面に気泡が生じると、空気で構成された気泡を消滅させることは困難であるが、本発明では、前記置換ガスとして、水への溶解度が高いものを用いているため、貼り合わせ面に気泡が発生した場合でも、気泡を構成するガス(置換ガス)が速やかに湿潤フィルム中に吸収される。その結果、気泡内は真空化して、真空化した気泡は大気圧によって消滅する。そのため、本発明のラミネートフィルムの製造方法によれば、湿潤フィルムとプラスチックフィルムの間に発生する気泡を抑えたラミネートフィルムを製造することができる。かかる本発明の製造方法によれば、各フィルムの搬送速度(圧着ロールの速度)を高速化した場合にも、気泡を抑えたラミネートフィルムを製造することができ、ラミネートフィルムの製造ラインの高速度化に適用できる。
また、特許文献2乃至4では、フィルム表面に本発明と同様の置換ガスを強く吹き付けることで乱流を発生させて同伴気体のラミネート物への気泡の巻き込みを抑制することが提案されている。しかし、本発明のように湿潤フィルムとプラスチックフィルムによってラミネートフィルムを製造する場合には、湿潤フィルム表面に乱流が発生すると以下の弊害が生じる。例えば、強い乱流が発生すると、湿潤フィルム表面の水分の乾燥が促進され、表面の柔軟性が損なわれて貼り合わせ気泡が増加してしまったり、湿潤フィルム表面へのガス(置換ガス)の吸収が促進されて湿潤フィルム表面に飽和層(ガス吸収に関する)が形成されて貼り合わせ気泡の湿潤フィルムへの吸収が阻害されて増加してしまったりする。一方、ガスの吹き付け量が不足すると湿潤フィルム表面の同伴空気が層流を成して、目的ガス(置換ガス)への十分な置換が行うことが困難である。本発明のラミネートフィルムの製造方法では、貼り合わせ対象の各フィルム表面の同伴空気を、所定溶解度以上の置換ガスによってパージした状態により、各フィルムの貼り合わせを行っているため、湿潤フィルム表面には置換ガスのみが存在し、かつ、湿潤フィルム表面において適度に乱流を生じさせつつ貼り合わせを行うことができ、置換ガスを強く吹き付けることにより生じる問題もない。
本発明の製造方法では、上記のように湿潤フィルム表面において、置換ガスが強い乱流の生じない状態で貼り合わせを行うことが望ましい。一方、置換ガスによる効果を効率よく奏するには、各フィルム表面において置換ガスによる流動をある適度行うことが望まれる。そのため、各フィルム表面を置換ガスによってパージした状態を維持するにあたっては、各フィルム表面における置換ガスの流動状態を弱乱流に設定することが好ましい。かかる観点から、置換ガスによるパージを、置換ガスのレイノルズ数が3000〜20000の範囲になる条件下で行うことがより好ましい。
以下に本発明のラミネートフィルムの製造方法を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のラミネートフィルムの製造方法の一例を示すものであり、図1Aは、断面図、図1Bは斜視図である。図1では、湿潤フィルム1とプラスチックフィルム2を、一対の圧着ロールR1、R2のロール間を通過することにより圧着してラミネートフィルム3を製造している。プラスチックフィルム2上には接着剤層Aが設けられており、当該接着剤層Aを介して、プラスチックフィルム2と湿潤フィルム1は貼り合わされる。
前記貼り合わせは、少なくとも、前記一対の圧着ロールR1、R2によって湿潤フィルム1とプラスチックフィルム2を貼り合わせるフィルム合流部分xから、各圧着ロールR1、R2における各フィルム(湿潤フィルム1、プラスチックフィルム2)の導入部分(フィルムがロールに最初に接触する部分)y1、y2までの各フィルム表面を、置換ガスGによってパージした状態で行う。前記パージした状態は、図1に示すように、例えば、圧着ロールR1、R2において、搬送される各フィルム(湿潤フィルム1、プラスチックフィルム2)の上部に、置換ガスGによりパージされる流路間隙z(z1、z2)を形成するように、パージフードFを設けることで行うことができる。流路間隙zは、通常、1〜10mmであるのが好ましく、さらには1〜5mmであるのが好ましい。
前記パージフードFは、フィルム合流部分xから、フィルムの搬送方向を遡って、搬送される各フィルム(湿潤フィルム1、プラスチックフィルム2)の表面の導入部分y1、y2までを、少なくとも、覆っていればよい。図1では、導入部分y1、y2を十分に覆うことができる余分の大きさを有するパージフードFを用いる場合が示されている。
図1のパージフードFには、置換ガスGの供給口bが、フィルム合流部分xの上方(ラミネートフィルム3の搬送方向の垂直上方)に設けられており、供給口bから導入される置換ガスGによって、前記パージが行われる。置換ガスGは、前記貼り合わせに際して、随時に供給口bから導入され、矢印の方向に従って、圧着ロールR1、R2の回転方向(フィルムの搬送方向)とは逆方向に流れるように流路が形成されている。供給口bから導入された置換ガスGは、各フィルム(湿潤フィルム1、プラスチックフィルム2)とパージフード端a1、a2の流路間隙z1、z2から放出される。パージフード端a1、a2には、吸引手段を設けることもできる。
なお、図1Aでは、圧着ロールR1、R2、湿潤フィルム1、プラスチックフィルム2、ラミネートフィルム3を断面で示してしいるが、パージフードFは、ロールの長手方向において、少なくとも、湿潤フィルム1、プラスチックフィルム2を全幅で覆うことができる大きさのものが用いるのが好ましい。また、図1Aでは示していないが、パージフードFは、圧着ロールR1、R2の側面を覆うように形成したものを用いることができる。圧着ロールR1、R2の側面についても覆うパージフードFによれば、置換ガスGによるパージを効率よく行うことができる。図1Bでは、パージフードFの側面にサイドシールSを有するものを記載している。
また、図1では、パージフードFが、ロールの外形に沿う形状のものを用いた場合を記載しているが、パージフードFの形状は特に制限はない。また、置換ガスGの供給口bについても、パージフードFに設けられており、前記パージを行うことができれば、供給口bが設けられる位置についても特に制限はない。但し、置換ガスGによるパージの効率の点からは、図1に示す構造が好ましい。
図2は、図1とは異なるパージフードF´を用いた場合である。図2のパージフードF´には置換ガスGの供給口bは設けられていない。図2のパージフードF´を用いる場合には、置換ガスGは、いずれかのフィルム(湿潤フィルム1またはプラスチックフィルム2)とパージフード端a1´またはa2´との間隙から導入されて、導入されなかった側のフィルムとパージフード端a1´またはa2´との間隙(z1またはz2)から放出される。放出される側のパージフード端a1´またはa2´には、吸引手段を設けることもできる。図2では、プラスチックフィルム2とパージフード端a2の間隙(z2)から、置換ガスGが導入されているが、置換ガスの導入は、反対側の湿潤フィルム1とパージフード端a1の間隙(z1)から導入することもできる。
なお、図1、2では、湿潤フィルム1の片面に、プラスチックフィルム2を貼り合わせる場合を例示しているが、湿潤フィルム1の他の片面には、逐次にプラスチックフィルム2を貼り合わせることができる。湿潤フィルム1の他の片面への、プラスチックフィルム2の貼り合わせについても上記同様の方法により貼り合わせることができる。
また、湿潤フィルム1の両面に、上記同様の方法により同時にプラスチックフィルム2を貼り合わせることもできる。例えば、図1と同様の圧着ロールR1、R2、パージフードFを用いるとともに、圧着ロールR1、R2には、いずれもプラスチックフィルム2を搬送し、かつ、置換ガスGの供給口bから、置換ガスGとともに湿潤フィルム1を搬送することにより行うことができる。
上記圧着ロールの材質、ロール径、ロール周速度(貼り合わせるときの搬送速度)等は適宜に調整される。
圧着ロールとしては、例えば、金属製の芯部にゴム層または樹脂層でコーティングされた弾性ロールや、鉄、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属ロールを用いることができる。
前記圧着ロールの直径としては、直径が小さいほど湿潤フィルム1とプラスチックフィルム2とが接触する面積が小さくなるため、相対的にフィルム面に加えられる圧力が高くなる。そのため、ロールの直径としては、250mm以下のものを用いることが好ましく、さらには200mm以下のものを用いることがより好ましい。ただし、この直径が小さくなりすぎると、ロールの剛性が弱くなるために、十分な力を加えられなくなるため、50mm以上のロールを用いることが好ましく、100mm以上のロールを用いることがより好ましい。ロール面長(ロールの長手方向の長さ)は、各フィルム(湿潤フィルム1、プラスチックフィルム2)の幅よりも同じ以上であればよい。
また、フィルムの搬送速度(圧着ロールの周速度)は、特に制限されるものではなく、通常、2〜50m/min程度で調整するのが好ましい。フィルムの搬送速度が10m/min以上の場合、さらには30〜50m/minの高速の場合に、従来は気泡等が発生しやすかったため、フィルムの搬送速度がかかる高速度の場合に本発明は特に有効である。
また、貼り合わせるときのロール間のラミネート圧力は、特に制限されず適宜設定される。ラミネート圧力は調整のしやすさやラミネートフィルムの生産性の点から、2MPa以上5MPa以下程度であるのが好ましく、3MPa以上4MPa以下がより好ましい。ラミネート圧力が2MPaより小さいと十分な押圧ができないためフィルム間に気泡が発生する。またラミネート圧力が5MPaより大きいとロールや装置への負荷がかかり過ぎるため破損の原因となる。ラミネート圧力の測定は、富士写真フイルム社製の感圧紙「プレスケール」を用いて、当該感圧紙の色変化をコンピュータ画像処理により二値化し、その発色面積と濃度について、作製された圧力標準線の近似式から求められる。
本発明で同伴空気をパージするために用いる置換ガスとしては、水に対する溶解度が0.1cm/cmO(20℃,1atm)以上のものを用いる。当該置換ガスの前記溶解度は、0.5cm/cmO(20℃,1atm)以上、さらには0.8cm/cmO(20℃,1atm)以上のものが好ましい。置換ガスの前記溶解度が0.1cm/cmO(20℃,1atm)未満では、ラミネートフィルムに発生する気泡を十分に抑制することができない。前記溶解度を満足する置換ガスとしては、例えば、アセチレン(1.03:単位は前記の通り,以下同様)、アンモニア(702)、二酸化硫黄(39)、エチレン(0.122)、塩化水素(442)、塩素(2.30)、炭酸ガス(0.88)、硫化水素(2.58)等があげられる。またこれら置換ガスは、混合気体として用いることができる。前記置換ガスとしては、取り扱い易さ、安全性の点から炭酸ガスが好ましい。前記溶解度は、20℃において、1atm=101325Paの気体が水の1cm中に溶解する時の容積である。具体的には、理科年表2001(物理/化学,物154(578))に記載された測定法により測定した値に基づくものである。
また、置換ガスの導入量は、通常、1〜50リットル/minであるのが好ましく、さらには10〜30リットル/minであるのが好ましい。
上記の置換ガスによるパージは、置換ガスのレイノルズ数(Re数)が、3000〜20000の範囲になる条件下で行うことが好ましい。レイノルズ数(Re数)は、慣性力と粘性力との比で定義される無次元数であり、レイノルズ数(Re数)を前記範囲に制御することにより、湿潤フィルム表面における置換ガスの流動状態を層流から乱流の遷移域に設定することができる。レイノルズ数(Re数)は、5000〜15000であるのがより好ましく、8000〜13000であるのが更に好ましい。
レイノルズ数(Re数)は下記式で表される。
Re=U・L・ρ/μ(無次元数)
U=相対速度(m/s)、である。本発明では、相対速度=ガス流速(m/s)+フィルム搬送速度(ロール周速度)(m/s)で表される。ガス流速(m/s)=ガス導入量(m/s)×(1/ロール面長)×(1/流路間隙)、である。ロール面長(m)は、各フィルムを搬送する圧着ロールの長手方向の長さを示す。流路間隙(m)は、湿潤フィルムとパージフードとの間の空隙を示す(図1のz1、z2)。なお、図1では、供給口bから導入されたガスは、2つの空隙から放出されるため(各放出量が等しいと仮定して)、ガス流速を計算するにあたってのガス導入量は、供給口bから供給されたガス導入量の1/2として計算される。即ち、図1においては、ガス流速=ガス導入量×1/2×(1/ロール面長)×(1/流路間隙)、である。
L=助走区間(m)、である。図1では、フィルム合流部分xから、圧着ロールR1における湿潤フィルム1の導入部分y1(パージ開放部分)までの部分周長であり、L=助走区間は、圧着ロールR1の円周の1/4に相当する。図2では、フィルム合流部分xで流路が急激に屈曲しているために置換ガスの流れが乱れる。そのため、図2では、L=助走区間は、フィルム合流部分xから圧着ロールR1における湿潤フィルム1の導入部分y1(パージ開放部分)までの部分周長と、フィルム合流部分xから圧着ロールR2におけるプラスチックフィルム2の導入部分y2(パージ開放部分)までの部分周長の合計ではなく、フィルム合流部分xから圧着ロールR1における湿潤フィルム1の導入部分y1(パージ開放部分)までの部分周長であり、圧着ロールR1の円周の1/4に相当する。ρ=ガスの密度(kg・m)であり、μ=ガスの粘度(Pa・s)であり、いずれも20℃での測定値である。
本発明のラミネートフィルムの製造方法に用いる、湿潤フィルムは、水分率10〜60重量%のものである。湿潤フィルムの水分率は、15〜50重量%、さらには20〜40重量%の場合に本発明に好適に適用される。一方、プラスチックフィルムの水分率は、0.1〜5重量%である。前記プラスチックフィルムの水分率は、1〜3重量%の場合に本発明に好適に適用される。なお、プラスチックフィルムを湿潤フィルムの両面に貼り合わせる場合、プラスチックフィルムの材料は同じあってもよく、異なっていてもよい。また、水分率も同じあってもよく、異なっていてもよい。なお、ラミネートフィルムの製造方法において、接着剤層を形成する材料は、用いる湿潤フィルム、プラスチックフィルムに応じて適宜に決定される。
以下は、湿潤フィルムとしては、偏光子を用い、プラスチックフィルムとして偏光子用の透明保護フィルムを用いて、接着剤層を介してこれらを貼り合わせて、偏光板を製造する場合について述べる。
前記偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム等のポリマーフィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質で染色して一軸延伸したものが通常用いられる。このような偏光子の厚さは特に限定されるものではないが、5〜80μm程度、好ましくは40μm以下の場合のものが用いられる。
偏光子の光学特性としては、偏光子単体で測定したときの単体透過率が40%以上であることが好ましく、42〜45%の範囲にあることがより好ましい。また、前記偏光子を2枚用意し、2枚の偏光子の吸収軸が互いに90°になるように重ね合わせて測定する直交透過率は、より小さいことが好ましく、実用上、0.00%以上0.050%以下が好ましく、0.030%以下であることがより好ましい。偏光度としては、実用上、99.90%以上100%以下であることが好ましく、99.93%以上100%以下であることが特に好ましい。偏光板として測定した際にもほぼこれと同等の光学特性が得られるものが好ましい。
偏光子を形成するポリマーフィルムとしては、特に限定されることなく各種のものを使用できる。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルムや、これらの部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルムに、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でも、ヨウ素等の二色性物質による染色性に優れることから、PVA系フィルムを用いることが好ましい。
前記ポリマーフィルムの材料であるポリマーの重合度は、一般に500〜10,000であり、1000〜6000の範囲であることが好ましく、1400〜4000の範囲にあることがより好ましい。さらに、ケン化フィルムの場合、そのケン化度は、例えば、水への溶解性の点から、75モル%以上が好ましく、より好ましくは98モル%以上であり、98.3〜99.8モル%の範囲にあることがより好ましい。
前記ポリマーフィルムとしてPVA系フィルムを用いる場合、PVA系フィルムの製法としては、水または有機溶媒に溶解した原液を流延成膜する流延法、キャスト法、押出法等任意の方法で成膜されたものを適宜使用することができる。このときの位相差値は、5nm〜100nmのものが好ましく用いられる。また、面内均一な偏光子を得るために、PVA系フィルム面内の位相差バラツキはできるだけ小さい方が好ましく、PVA系フィルムの面内位相差バラツキは、測定波長1000nmにおいて10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。
偏光子と透明保護フィルムを貼り合わせる際の偏光子の水分率としては、水分率10〜60重量%であれば、特に限定されるものではないが、低すぎると偏光板としたときにスジ状の凹凸ムラや気泡が生じやすく、逆に水分率が高すぎると長時間の乾燥時間を必要とし過大な乾燥設備が必要になる。したがって、偏光子に透明保護フィルムを貼り合わせる時の偏光子の水分率としては、15〜50重量%とすることが好ましく、20〜40重量%とすることがより好ましい。このような偏光子の水分率は、一般に偏光子製造工程中の乾燥処理の条件により調整できるが、必要に応じて別途調湿処理工程を設け、水浴中への浸漬や水滴の噴霧または、再度の加熱乾燥や減圧乾燥を施しても良い。
前記偏光子の製造方法としては、これに限定されるものではないが、一般に乾式延伸法と湿式延伸法に大別できる。湿式延伸法による偏光子の製造工程としては、その条件に応じて適宜な方法を用いることができるが、例えば、前記ポリマーフィルムを、膨潤、染色、架橋、延伸、水洗および、乾燥処理工程からなる一連の製造工程によって製造する方法が一般的である。乾燥処理工程を除くこれら各処理工程では、各種溶液からなる浴中に浸漬しながら各処理を行う。このときの各処理工程における膨潤、染色、架橋、延伸、水洗および乾燥の各処理の順番、回数および実施の有無は特に限定されるものではなく、いくつかの処理を一処理工程中で同時に行っても良く、いくつかの処理を行わなくても良い。例えば、延伸処理は染色処理後に行ってもよいし、膨潤や染色処理と同時に延伸処理してもよく、また延伸処理してから染色処理してもよい。さらに、架橋処理を延伸処理の前後に行うことも好ましく用いられる。また、延伸処理としては、限定されることなく適宜な方法を用いることができるが、例えばロール延伸の場合、ロール間におけるロールの周速差によって延伸を行う方法が用いられる。さらに、各処理には適宜ホウ酸やホウ砂あるいはヨウ化カリウム等の添加剤を加えても良い。したがって、偏光子中には、必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛、ヨウ化カリウム等を含んでいてもよい。さらには、これらのいくつかの処理中で、適宜流れ方向もしくは幅方向に延伸しても良く、各処理ごとに水洗処理を行っても良い。
膨潤処理工程としては、例えば、前記ポリマーフィルムを水で満たした処理浴(膨潤浴)中に浸漬する。これによりポリマーフィルムが水洗され、ポリマーフィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるとともに、ポリマーフィルムを膨潤させることで染色ムラ等の不均一性を防止する効果が期待できる。この膨潤浴中でポリマーフィルムを延伸してもよい。
染色処理工程としては、例えば前記ポリマーフィルムを、ヨウ素や有機染料等の二色性物質を含む処理浴(染色浴)に浸漬することによって染色する方法が挙げられる。染色浴中ではポリマーフィルムを延伸してもよく、前の処理工程における延伸倍率と積算した累積延伸倍率は1.1〜3.5倍程度である。前記二色性物質としてヨウ素を使用する場合、染色効率をより一層向上できることから、染色浴中にさらにヨウ化物を添加することが好ましい。このヨウ化物としては、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。染色処理としては、染色浴に浸漬する方法以外に、例えば、二色性物質を含む水溶液を前記ポリマーフィルムに塗布または噴霧する方法であってもよく、前記ポリマーフィルム製膜時に二色性物質をあらかじめ混ぜておく方法を用いても良い。
架橋処理工程としては、例えば、架橋剤を含む処理浴(架橋浴)中にポリマーフィルムを浸漬して処理する。架橋剤としては、従来公知の物質が使用できる。例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。これらは一種類でも良いし、二種類以上を併用しても良い。前記架橋浴中には、偏光子面内の均一な特性が得られる点から、ヨウ化物を添加してもよい。架橋処理も染色処理と同様に、架橋剤含有溶液を塗布または噴霧する方法を用いても良く、架橋処理と同時に延伸処理を施しても良い。このときの累積延伸倍率は1.1〜3.5倍程度である。
延伸処理工程としては、湿式延伸法の場合、処理浴(延伸浴)中に浸漬した状態で累積延伸倍率が2〜7倍程度になるように延伸する。延伸浴の溶液としては、水、エタノールあるいは各種有機溶媒等の溶媒中に、各種金属塩や、ヨウ素、ホウ素または亜鉛の化合物を添加した溶液が好ましく用いられる。
水洗処理工程としては、例えば、処理浴(水洗浴)中にポリマーフィルムを浸漬することにより、これより前の処理で付着したホウ酸等の不要残存物を洗い流すことができる。上記水溶液には、ヨウ化物を添加してもよく、例えば、ヨウ化ナトリウムやヨウ化カリウムが好ましく用いられる。水洗浴の温度は10〜60℃程度である。この水洗処理の回数は特に限定されることなく複数回実施してもよく、各水洗浴中の添加物の種類や濃度は適宜調整することが好ましい。
なお、ポリマーフィルムを各処理浴から引き上げる際には、液だれの発生を防止するために、従来公知であるピンチロール等の液切れロールを用いても良いし、エアーナイフによって液を削ぎ落とす等の方法により、余分な水分を取り除いても良い。
乾燥処理工程としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥等の従来公知の乾燥方法を用いることができる。例えば加熱乾燥では、加熱温度は20〜80℃程度であり、乾燥時間は1〜10分間程度である。また、この乾燥処理工程においても適宜延伸することができる。
さらに、前記処理工程により得られた偏光子の最終的な延伸倍率(総延伸倍率)としては3〜7倍であることが好ましい。総延伸倍率が3倍未満では、高偏光度の偏光子を得ることが難しく、7倍を超えると、フィルムは破断しやすくなる。
また、偏光子の製造方法は上記製造方法に限定されることなく、水分率10〜60重量%を満足していれば、他の製造方法を用いて偏光子を製造しても良い。例えば、乾式延伸法や、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリマーフィルムに二色性物質を練りこみ、製膜、延伸したようなものでも良いし、一軸方向に配向した液晶をホストとして、そこに二色性染料をゲストにしたようなOタイプのもの(米国特許5,523,863号、特表平3−503322号公報)、二色性のライオトロピック液晶等を用いたEタイプのもの(米国特許6,049,428号)が挙げられる。
前記透明保護フィルムとしては、偏光子の保護を目的とするため、透明性、機械的強度、熱安定性、等方性等に優れるものが好ましい。透明保護フィルムの厚さは一般に1〜300μm程度であり、5〜100μm程度のものがより好ましい。また、偏光特性や耐久性および接着特性向上等の点より、透明保護フィルム表面をコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、ケン化処理により表面改質処理を行ってもよい。これら表面改質処理のなかでも、アルカリなどでケン化処理することが好ましい。このような透明保護フィルムの透湿度は、温度40℃相対湿度90%におけるJIS Z0208(カップ法)に準じた測定によると、0.5〜5000g/m・24h程度である。
透明保護フィルムを形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
また、透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
この保護フィルムを偏光子の両面に貼り合わせる場合、その片面ごとにそれぞれ異なる特性をもつものを用いてもよい。その特性としては、例えば、厚み、材質、光透過率、引張り弾性率あるいは光学機能層の有無等が挙げられる。
本発明の透明保護フィルムとしては、セルロース樹脂(ポリマー)、ポリカーボネート樹脂(ポリマー)、環状ポリオレフィン樹脂(シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン)および(メタ)アクリル樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1つを用いるのが好ましい。特にトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを用いた場合に本発明の効果は顕著である。
セルロース樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としでは、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリプロピオニルセルロース、ジプロピオニルセルロース等があげられる。これらのなかでも、トリアセチルセルロースが特に好ましい。トリアセチルセルロースは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。トリアセチルセルロースの市販品の例としては、富士フイルム社製の商品名「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」や、コニカ社製の「KCシリーズ」等があげられる。一般的にこれらトリアセチルセルロースは、面内位相差(Re)はほぼゼロであるが、厚み方向位相差(Rth)は、〜60nm程度を有している。
なお、厚み方向位相差が小さいセルロース樹脂フィルムは、例えば、上記セルロース樹脂を処理することにより得られる。例えばシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤を塗工したポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ステンレスなどの基材フィルムを、一般的なセルロース系フィルムに貼り合わせ、加熱乾燥(例えば80〜150℃で3〜10分間程度)した後、基材フィルムを剥離する方法;ノルボルネン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などをシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解した溶液を一般的なセルロース樹脂フィルムに塗工し加熱乾燥(例えば80〜150℃で3〜10分間程度)した後、塗工フィルムを剥離する方法などがあげられる。
また、厚み方向位相差が小さいセルロース樹脂フィルムとしては、脂肪置換度を制御した脂肪酸セルロース系樹脂フィルムを用いることができる。一般的に用いられるトリアセチルセルロースでは酢酸置換度が2.8程度であるが、好ましくは酢酸置換度を1.8〜2.7に制御することによってRthを小さくすることができる。上記脂肪酸置換セルロース系樹脂に、ジブチルフタレート、p−トルエンスルホンアニリド、クエン酸アセチルトリエチル等の可塑剤を添加することにより、Rthを小さく制御することができる。可塑剤の添加量は、脂肪酸セルロース系樹脂100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
環状ポリオレフィン樹脂の具体的としては、好ましくはノルボルネン系樹脂である。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂があげられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびに、それらの水素化物などがあげられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーがあげられる。
環状ポリオレフィン樹脂としては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン株式会社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR株式会社製の商品名「アートン」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学株式会社製の商品名「APEL」があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、偏光板の耐久性に優れたものとなりうる。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定きれないが、成形性当の観点から、好ましくは170℃以下である。(メタ)アクリル系樹脂からは、面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)がほぼゼロものフィルムを得ることができる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)があげられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルがあげられる。より好ましくはメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂の具体例として、例えば、三菱レイヨン株式会社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル樹脂系があげられる。
(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることもできる。高い耐熱性、高い透明性、二軸延伸することにより高い機械的強度を有するからである。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂があげられる。
前記透明保護フィルムは、正面位相差が40nm未満、かつ、厚み方向位相差が80nm未満であるものが、通常、用いられる。正面位相差Reは、Re=(nx−ny)×d、で表わされる。厚み方向位相差Rthは、Rth=(nx−nz)×d、で表される。また、Nz係数は、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)、で表される。[ただし、フィルムの遅相軸方向、進相軸方向及び厚さ方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとし、d(nm)はフィルムの厚みとする。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率の最大となる方向とする。]。なお、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、透明保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
一方、前記透明保護フィルムとして、正面位相差が40nm以上および/または、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有する位相差板を用いることができる。正面位相差は、通常、40〜200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80〜300nmの範囲に制御される。透明保護フィルムとして位相差板を用いる場合には、当該位相差板が透明保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって良く、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであっても良い。
透明保護フィルムは、適用される液晶表示装置に応じて適宜に選択できる。例えば、VA(Vertical Alignment,MVA,PVA含む)の場合は、偏光板の少なくとも片方(セル側)の透明保護フィルムが位相差を有している方が望ましい。具体的な位相差として、Re=0〜240nm、Rth=0〜500nmの範囲である事が望ましい。三次元屈折率で言うと、nx>ny=nz、nx>ny>nz、nx>nz>ny、nx=ny>nz(一軸,二軸,Z化,ネガティブC−プレート)の場合が望ましい。液晶セルの上下に偏光板を使用する際、液晶セルの上下共に、位相差を有している、または上下いずれかの透明保護フィルムが位相差を有していてもよい。
例えば、IPS(In−Plane Switing,FFS含む)の場合、偏光板の片方の透明保護フィルムが位相差を有している場合、有していない場合のいずれも使用できる。例えば、位相差を有していない場合は、液晶セルの上下(セル側)ともに位相差を有していない場合が望ましい。位相差を有している場合は、液晶セルの上下ともに位相差を有している場合、上下のいずれかが位相差を有している場合が望ましい(例えば、上側にZ化、下側に位相差なしの場合や、上側にA−プレート、下側にポジティブC−プレートの場合)。位相差を有している場合、Re=−500〜500nm、Rth=−500〜500nmの範囲が望ましい。三次元屈折率で言うと、nx>ny=nz、nx>nz>ny、nz>nx=ny、nz>nx>ny(一軸,Z化,ポジティブC−プレート、ポジティブA−プレート)が望ましい。
なお、前記位相差を有するフィルムは、位相差を有しない透明保護フィルムに、別途、貼り合わせて上記機能を付与することができる。
前記偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせに用いる接着剤層は光学的に透明であれば、特に制限されず水系、溶剤系、ホットメルト系、ラジカル硬化型の各種形態のものが用いられるが、水系接着剤が好適である。
接着剤層を形成する水系接着剤としては特に限定されるものではないが、例えば、ビニルポリマー系、ゼラチン系、ビニル系ラテックス系、ポリウレタン系、イソシアネート系、ポリエステル系、エポキシ系等を例示できる。このような水系接着剤からなる接着剤層は、水溶液の塗布乾燥層などとして形成しうるが、その水溶液の調製に際しては、必要に応じて、架橋剤や他の添加剤、酸等の触媒も配合することができる。前記水系接着剤としては、ビニルポリマーを含有する接着剤などを用いることが好ましく、ビニルポリマーとしては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。またポリビニルアルコール系樹脂には、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などの水溶性架橋剤を含有することができる。特に偏光子としてポリビニルアルコール系のポリマーフィルムを用いる場合には、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する接着剤を用いることが、接着性の点から好ましい。さらには、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤が耐久性を向上させる点からより好ましい。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されるものではないが、接着性の点から平均重合度100〜3000程度、平均ケン化度は85〜100モル%程度が好ましい。また接着剤水溶液の濃度としては、目標とする接着剤層の厚さに応じて適宜決定すればよいため、特に限定されるものではないが、0.1〜15重量%であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましい。この溶液濃度が高すぎると粘度が上がりすぎるため、スジ状の凹凸ムラが発生しやすくなり、溶液濃度が低すぎると塗布性が悪くなりムラになりやすくなる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコール;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールが挙げられる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸およびそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は一種を単独でまたは二種以上を併用することができる。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを公知の方法で反応して得られる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を酢酸等の溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコール系樹脂をジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法等が挙げられる。またポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法が挙げられる。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であれば特に限定されるものではない。0.1モル%未満では、接着剤層の耐水性が不十分であり、不適当である。アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%程度、さらに好ましくは1〜20モル%、特に好ましくは2〜7モル%である。アセトアセチル基変性度が40モル%を超えると架橋剤との反応点が少なくなり、耐水性の向上効果が小さい。このようなアセトアセチル基変性度は核磁気共鳴装置(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)を用いて測定することができる。
架橋剤としては、一般に接着剤に用いられているものを特に限定することなく使用でき、例えば前記のようなポリビニルアルコール系樹脂を用いた接着剤の場合、ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物が好ましく使用できる。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキルジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロールメラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;さらにナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、または三価金属の塩およびその酸化物が挙げられる。これらの中でも、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、特にメチロール基を有するメチロール化合物が好適である。
架橋剤の配合量は、一般に樹脂100重量部に対して0.1〜35重量部程度であり、10〜25重量部のものが好ましく用いられるが、接着剤の耐久性を重視する場合には、接着剤の調製から接着剤層とするまでの時間(可使時間)が短くなることと引き換えに30重量部以上46重量部以下、より好ましくは32重量部以上40重量部以下の架橋剤を配合することも有効である。
また前記接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。金属化合物フィラーにより、接着剤層の流動性を制御することができ、膜厚を安定化して、良好な外観を有し、面内が均一で接着性のバラツキのない偏光板が得られる。
前記接着剤層は、必要であれば適宜添加剤を含むものであっても良い。添加剤の例としては、カルボニル化合物などで代表される電子線による硬化速度や感度を上がる増感剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、エチレンオキシドで代表される接着促進剤、透明保護フィルムとの濡れ性を向上させる添加剤、アクリロキシ基化合物や炭化水素系(天然、合成樹脂)などに代表され、機械的強度や加工性などを向上させる添加剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤(金属化合物フィラー以外)、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止割、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤等の安定剤などがあげられる。
前記偏光子の片面または両面に、透明保護フィルムを接着剤層を介して貼り合わせることで、偏光板が得られる。接着剤層は透明保護フィルムに予め形成されるが、接着剤層と、透明保護フィルムの間には下塗り層や易接着処理層等を設けても良い。前記接着剤層が水系接着剤等により形成される場合には、前記接着剤層の厚みは、30〜300nmであるのが好ましい。前記接着剤層の厚さは、さらに好ましくは60〜250nmである。
前記偏光板は、さらに少なくとも1層の各種光学機能層を積層した光学フィルムとして用いることができる。この光学機能層としては、例えば、ハードコート処理層や反射防止処理層、スティッキング防止処理層や、拡散層またはアンチグレア処理層等の表面処理層や、視角補償や光学補償等を目的とした配向液晶層があげられる。さらに、偏光変換素子、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの画像表示装置等の形成に用いられる光学フィルムを1層または2層以上積層したものもあげられる。特に前記偏光板に、反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、視角補償層または視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましく用いられる。
前記光学機能層を積層する場合には、一般に、前記表面処理層や配向液晶層は偏光板等のフィルム上に直接積層すれば良いが、各種フィルムからなる光学機能層は前記の接着剤層を介して積層する方法が好ましく用いられる。このときの接着剤層としては、特に粘着剤からなる粘着層が好ましく用いられる。
粘着剤からなる粘着層としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。この粘着剤としては、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性等の点により、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましく、さらには、偏光板等の光学特性の変化を防止する点より、硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものであり、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものが好ましい。このような観点より、偏光板や光学フィルムにはアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。また、前記粘着剤には微粒子を添加して光拡散性を示す粘着層などとすることもできる。
前記粘着剤からなる粘着層が表面に露出する場合には、その粘着層を実用に供するまでの間の汚染防止等を目的としてセパレータにて仮着カバーすることが好ましい。セパレータは、前記の保護フィルム等に準じた適宜なフィルムに、必要に応じてシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤による剥離コートを設けたものを用いることが好ましい。
本発明による偏光板は液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)等の画像表示装置の形成に好ましく用いることができる。
偏光板は液晶表示装置の形成などに好ましく用いることができ、例えば、液晶セルの片側あるいは両側に偏光板を配置してなる反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置に用いることができる。液晶セル基板は、プラスチック基板、ガラス基板のいずれでも良い。液晶表示装置を形成する液晶セルは任意であり、例えば薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やスーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のものなど適宜なタイプの液晶セルを用いたものであって良い。
また、液晶セルの両側に偏光板や光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライト等の適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
以下に実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例および比較例によって限定されるものではない。
(偏光子の水分率測定方法)
得られた偏光子から、180mm×500mmのサンプルを切り出し、その初期重量(W(g))を測定した。そのサンプルを120℃の乾燥機内で2時間放置した後、乾燥後重量(D(g))を測定した。これらの測定値より、下記式により水分率を求めた。
水分率(%)={(W−D)/W}×100
(偏光子の作製)
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製:VF−PS7500,幅1000mm)を用いて、30℃の純水中に60秒間浸漬しながら延伸倍率2.5倍まで延伸し、30℃のヨウ素水溶液(重量比:純水/ヨウ素(I)/ヨウ化カリウム(KI)=100/0.01/1)中で45秒間染色し、4重量%ホウ酸水溶液中で延伸倍率が5.8倍になるように延伸し、純水中に10秒間浸漬した後、フィルムの張力を保ったまま40℃で3分間乾燥して偏光子を得た。この偏光子の幅は520mm、厚さは25μm、水分率は30重量%であった。
(接着剤層付の透明保護フィルムの作成)
PVA樹脂(日本合成化学工業(株)製:ゴセノール)100重量部と架橋剤(大日本インキ化学工業(株)製:ウォーターゾール)35重量部を純水3760重量部中に溶解して接着剤を調製した。この接着剤を、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム社製:UZ−80T,水分率1.4重量%)の片面側にスロットダイにて塗布後、85℃で1分間乾燥して、厚さ0.1μmの接着剤層を有する、接着剤層付のTACフィルムを得た。
実施例1
(偏光板の作製)
図1に示す方法にて、偏光板を作製した。湿潤フィルム1には上記偏光子を用い、プラスチックフィルム2には上記接着剤層付のTACフィルムを用いた。
置換ガスとしては、炭酸ガス(水に対する溶解度が0.88cm/cmO(20℃,1atm))を用いた。ガスの密度:ρ=1.842(kg・m)(1atm,20℃)であり、ガスの粘度:μ=0.000015(Pa・s)である。
置換ガスの導入量は、50リットル/minとした。
圧着ロールは、直径200mm、ロール面長(長手方向の長さ)1000mmの金属ロールを用いた。
フィルム搬送速度(ロール周速度)は30m/minである。
パージフードは、ステンレス鋼板製のものを用いた。パージフードは、流路間隙z1、z2が、10mmになるように配置した。
これらから算出した、レイノルズ数(Re)=10700、であった。
上記一対の圧着ロール間に、偏光子と接着剤層付のTACフィルムを搬送して、これらを圧着して、偏光子の片面にTACフィルムを貼り合わせて積層フィルム(図1のラミネートフィルム3)を得た。このとき、前記圧着ロール間のラミネート圧力は0.3MPaであった。得られた偏光板は、貼り合わせ後に、80℃で2分間乾燥した。
実施例2〜3、比較例1〜5
実施例1において、置換ガスの種類、フィルム搬送速度(ロール周速度)およびガスの導入量を表1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。なお、比較例3、4では、置換ガスの供給は行っていなし。比較例5では、置換ガスの代わりに空気を導入した。
実施例および比較例で作製した偏光板について下記評価を行った。結果を表1に示す。
(気泡の確認)
得られた偏光板について、偏光子とTACフィルムの間の気泡の数(個/m)を確認した。
Figure 2010125702
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例によれば、湿潤フィルム(偏光子)とプラスチックフィルム(透明保護フィルム)の間に発生する気泡を抑えて、ラミネートフィルム(偏光板)を製造することができる。
本発明のラミネートフィルムの製造方法の一例を示す概略図の断面図である。 本発明のラミネートフィルムの製造方法の一例を示す概略図の斜視図である。 本発明のラミネートフィルムの製造方法の他の例を示す断面図の概略図である。
符号の説明
1 湿潤フィルム
2 プラスチックフィルム
3 ラミネートフィルム
A 接着剤層
F パージフード
R1、R2 圧着ロール
b 置換ガス供給口
G 置換ガス
z 流路間隙
S サイドシール

Claims (5)

  1. 水分率10〜60重量%の湿潤フィルムの片面または両面に、水分率0.1〜5重量%のプラスチックフィルムを、当該プラスチックフィルム上に設けた接着剤層を介して、一対の圧着ロールにより貼り合わせるラミネートフィルムの製造方法において、
    少なくとも、前記一対の圧着ロールによって湿潤フィルムとプラスチックフィルムを貼り合わせるフィルム合流部分から、各圧着ロールにおける各フィルムの導入部分までの各フィルム表面の同伴空気を、
    水に対する溶解度が0.1cm/cmO(20℃,1atm)以上の置換ガスによってパージして、
    各フィルム表面が前記置換ガスで置換された状態で、前記貼り合わせを行うことを特徴とするラミネートフィルムの製造方法。
  2. 置換ガスが、炭酸ガス、アンモニア、水蒸気またはこれらの混合気体であることを特徴とする請求項1記載のラミネートフィルムの製造方法。
  3. 置換ガスによるパージを、置換ガスのレイノルズ数が、3000〜20000の範囲になる条件下で行うことを特徴とする請求項1または2記載のラミネートフィルムの製造方法。
  4. 各フィルムの搬送速度が、2〜50m/minであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラミネートフィルムの製造方法。
  5. 湿潤フィルムが偏光子であり、プラスチックフィルムが偏光子用の透明保護フィルムであり、ラミネートフィルムが偏光板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のラミネートフィルムの製造方法。
JP2008303019A 2008-11-27 2008-11-27 ラミネートフィルムの製造方法 Expired - Fee Related JP5051916B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008303019A JP5051916B2 (ja) 2008-11-27 2008-11-27 ラミネートフィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008303019A JP5051916B2 (ja) 2008-11-27 2008-11-27 ラミネートフィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010125702A true JP2010125702A (ja) 2010-06-10
JP5051916B2 JP5051916B2 (ja) 2012-10-17

Family

ID=42326415

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008303019A Expired - Fee Related JP5051916B2 (ja) 2008-11-27 2008-11-27 ラミネートフィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5051916B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102632680A (zh) * 2011-02-08 2012-08-15 日东电工株式会社 多层层叠薄膜的制造方法
JP2012230181A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 Nitto Denko Corp 積層フィルムの製造方法
WO2013051596A1 (ja) * 2011-10-07 2013-04-11 住友化学株式会社 偏光板の製造方法
WO2013051598A1 (ja) * 2011-10-07 2013-04-11 住友化学株式会社 偏光板の製造方法
KR20140053773A (ko) 2012-10-26 2014-05-08 닛토덴코 가부시키가이샤 편광판의 제조 방법
JP2014189022A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Nitto Denko Corp 透明導電性積層体の製造方法
CN105824068A (zh) * 2015-01-06 2016-08-03 厦门三德信电子科技有限公司 偏光组件及其制造方法和实施该方法的设备
JP2016186942A (ja) * 2016-06-27 2016-10-27 宇部興産株式会社 電池用セパレータ
CN110014583A (zh) * 2017-08-01 2019-07-16 蒙城县富源有色金属材料有限公司 一种一机多出箱包管条的生产装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1016050A (ja) * 1996-07-08 1998-01-20 Nippon Steel Corp ラミネート時の気泡巻き込みの低減方法
JPH10166519A (ja) * 1996-12-12 1998-06-23 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 積層法
JP2001188130A (ja) * 2000-11-22 2001-07-10 Konica Corp プラスチックフィルム、偏光板用保護フィルム、偏光板
JP2003240953A (ja) * 2002-02-18 2003-08-27 Toray Ind Inc 偏光板
JP2008037092A (ja) * 2006-07-12 2008-02-21 Nitto Denko Corp 多層積層フィルムの製造方法
WO2008129726A1 (ja) * 2007-03-31 2008-10-30 Konica Minolta Opto, Inc. 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板及び表示装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1016050A (ja) * 1996-07-08 1998-01-20 Nippon Steel Corp ラミネート時の気泡巻き込みの低減方法
JPH10166519A (ja) * 1996-12-12 1998-06-23 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 積層法
JP2001188130A (ja) * 2000-11-22 2001-07-10 Konica Corp プラスチックフィルム、偏光板用保護フィルム、偏光板
JP2003240953A (ja) * 2002-02-18 2003-08-27 Toray Ind Inc 偏光板
JP2008037092A (ja) * 2006-07-12 2008-02-21 Nitto Denko Corp 多層積層フィルムの製造方法
WO2008129726A1 (ja) * 2007-03-31 2008-10-30 Konica Minolta Opto, Inc. 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板及び表示装置

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102632680A (zh) * 2011-02-08 2012-08-15 日东电工株式会社 多层层叠薄膜的制造方法
CN102632680B (zh) * 2011-02-08 2016-08-24 日东电工株式会社 多层层叠薄膜的制造方法
JP2012230181A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 Nitto Denko Corp 積層フィルムの製造方法
KR20140088538A (ko) * 2011-10-07 2014-07-10 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 편광판의 제조 방법
JP2013092761A (ja) * 2011-10-07 2013-05-16 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板の製造方法
JP2013092762A (ja) * 2011-10-07 2013-05-16 Sumitomo Chemical Co Ltd 偏光板の製造方法
CN103858030A (zh) * 2011-10-07 2014-06-11 住友化学株式会社 偏振板的制造方法
CN103874942A (zh) * 2011-10-07 2014-06-18 住友化学株式会社 偏振板的制造方法
TWI584003B (zh) * 2011-10-07 2017-05-21 住友化學股份有限公司 偏光板之製造方法
WO2013051598A1 (ja) * 2011-10-07 2013-04-11 住友化学株式会社 偏光板の製造方法
CN103874942B (zh) * 2011-10-07 2016-02-24 住友化学株式会社 偏振板的制造方法
KR101956413B1 (ko) * 2011-10-07 2019-03-08 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 편광판의 제조 방법
WO2013051596A1 (ja) * 2011-10-07 2013-04-11 住友化学株式会社 偏光板の製造方法
KR20140053773A (ko) 2012-10-26 2014-05-08 닛토덴코 가부시키가이샤 편광판의 제조 방법
US9034138B2 (en) 2012-10-26 2015-05-19 Nitto Denko Corporation Method for manufacturing polarizing plate
JP2014189022A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Nitto Denko Corp 透明導電性積層体の製造方法
CN105824068A (zh) * 2015-01-06 2016-08-03 厦门三德信电子科技有限公司 偏光组件及其制造方法和实施该方法的设备
JP2016186942A (ja) * 2016-06-27 2016-10-27 宇部興産株式会社 電池用セパレータ
CN110014583A (zh) * 2017-08-01 2019-07-16 蒙城县富源有色金属材料有限公司 一种一机多出箱包管条的生产装置
CN110014583B (zh) * 2017-08-01 2023-12-12 蒙城县富源金属材料有限公司 一种一机多出箱包管条的生产装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5051916B2 (ja) 2012-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5051916B2 (ja) ラミネートフィルムの製造方法
JP4971022B2 (ja) 多層積層フィルムの製造方法
JP6027850B2 (ja) 偏光板の製造方法
JP6045161B2 (ja) 偏光板の製造方法
JP6000103B2 (ja) 偏光板の製造方法
KR101390545B1 (ko) 편광판용 접착제, 편광판, 그 제조 방법, 광학 필름 및 화상 표시 장치
KR20110088493A (ko) 요오드계 편광 필름 및 그 제조 방법
JP2008203400A (ja) 表面保護フィルム付偏光板、表面保護フィルム付液晶パネル、および画像表示装置
KR20140033111A (ko) 박리성 적층 필름, 박리성 적층 필름 롤, 그들의 제조 방법, 필름, 광학 필름, 편광판, 편광판의 제조 방법, 및 액정 표시 장치
JP5562084B2 (ja) 光学フィルムの製造方法及びその製造装置
JP5975625B2 (ja) 偏光板の製造方法
WO2019188743A1 (ja) 円偏光板
JP5337467B2 (ja) 偏光板の製造方法
JP6006933B2 (ja) 積層フィルムの製造方法
KR101930958B1 (ko) 다층 적층 필름의 제조 방법
TW202108390A (zh) 偏光板及偏光板的製造方法以及使用該偏光板的影像顯示裝置
JP2017009795A (ja) 偏光板及び偏光板の製造方法
JP2012228820A (ja) 積層フィルムの製造方法
JP2012179893A (ja) 多層積層フィルムの製造方法
JP2012022044A (ja) 偏光子保護用光学フィルム、偏光板及び画像表示装置
KR101120282B1 (ko) 요오드계 편광 필름 및 그의 제조 방법
JP2012230181A (ja) 積層フィルムの製造方法
JP7345330B2 (ja) 光学積層体およびそれを用いた表示装置
JP2022178799A (ja) 円偏光板およびそれを用いた画像表示装置
JP2016212430A (ja) 偏光板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120509

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120515

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120625

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120718

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120723

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5051916

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150803

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees