JP2010125511A - コールドピルガー圧延機用ロールダイスおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ピルガーのロールダイスの寿命改善により、生産性向上および製品品質の安定化を図ることが出来る鋼管の冷間圧延に用いられるコールドピルガー圧延機用ロールダイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.30〜0.60%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜1.5%、Cr:1.0〜4.0%、かつMo+1/2W:0.5〜1.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなり鋼を鍛造および圧延における終止温度を900〜1150℃とすることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法。また、上記成分組成に加えて、Ni:0.05〜0.5%、かつV+1/2Nb:0.1〜1.2%からなることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法およびその方法により製造されたコールドピルガー圧延機用ロールダイス。
【選択図】 図2
【解決手段】 質量%で、C:0.30〜0.60%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜1.5%、Cr:1.0〜4.0%、かつMo+1/2W:0.5〜1.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなり鋼を鍛造および圧延における終止温度を900〜1150℃とすることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法。また、上記成分組成に加えて、Ni:0.05〜0.5%、かつV+1/2Nb:0.1〜1.2%からなることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法およびその方法により製造されたコールドピルガー圧延機用ロールダイス。
【選択図】 図2
Description
本発明は、鋼管の冷間圧延に用いられるコールドピルガー圧延機用ロールダイスおよびその製造方法に関するものである。
従来、ピルガーロールダイスは軸受け鋼を、表面硬度を50〜60HRC、芯部は30〜40HRCで傾斜を持たせることで、靱性を確保し大割れを回避している。しかしながら、近年の旺盛な需要に対応するための生産条件の過酷化、また難加工材(2相系ステンレスやニッケル基合金など)の需要への対応から、使用環境は更に厳しくなってきており、使用中の素管との高い面圧や往復運動による繰り返しの衝撃力が働くことで、ロールの強度、靱性の不足により、カリバー底付近での大割れが頻繁に発生して、生産性阻害、品質悪化、不良品流出などの問題が起こっているのが実状である。
その対策として、例えば特開2002−248508号公報(特許文献1)に開示されているように、コールドピルガーミル用ロールダイスの製造方法が提案されている。また、特開2002−1402号公報(特許文献2)に開示されているように、コールドピルガーミルのロールダイスおよびそのの製造方法が提案されている。また、特開平10−85806号公報(特許文献3)に開示されているように、コールドピルガーダイスの割れ防止方法が提案されている。また、特開平10−137819号公報(特許文献4)に開示されているように、コールドピルガー圧延機用ロールダイスが提案されている。
さらに、特開平7−246404号公報(特許文献5)に開示されているように、冷間圧延用ダイスが提案されている。
特開2002−248508号公報
特開2002−1402号公報
特開平10−85806号公報
特開平10−137819号公報
特開平7−246404号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2の場合は、Crが高く靱性の改善が不十分で、かつ焼入温度が高く結晶粒粗大化により靱性低下、さらに焼戻温度が高いためダイスの残留応力が解放されて割れ発生し易くなると共に、残留オーステナイトが低減され過ぎることで靱性が低下し大割れに至る可能性が高いという問題がある。
また、特許文献3および特許文献4の場合は、窒化や浸炭することで、表面は硬化するが、同時に硬化層に炭窒化物や炭化物が生成され、靱性が低下して、割れ発生の原因となる。また、特許文献5の場合は、表面を硬く、内部を柔らかくすることで、より高面圧での圧延を行う際には、ダイスとしての強度不足のため、大割れを起こす可能性が高いという問題がある。
上述したような問題を解消するために、発明者らはピルガーダイスの寿命を向上させるために鋭意検討を進めた結果、耐割れ性に寄与する素材の靱性を高めると共に、加工中の過大な負担に対するダイスの強度を向上させるために、素材の焼入性を改善し、カリバー底部での初き裂発生を抑制するため圧縮の高い残留応力を残存させることにより解決したコールドピルガー圧延機用ロールダイスおよびその製造方法を提供するものである。
その発明の要旨とするところは、
(1)質量%で、C:0.30〜0.60%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜1.5%、Cr:1.0〜4.0%、かつMo+1/2W:0.5〜1.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなり鋼を鍛造および圧延における終止温度を900〜1150℃とすることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法。
(2)前記(1)に記載の成分組成に加えて、Ni:0.05〜0.5%、かつV+1/2Nb:0.1〜1.2%からなることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法。
(1)質量%で、C:0.30〜0.60%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜1.5%、Cr:1.0〜4.0%、かつMo+1/2W:0.5〜1.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなり鋼を鍛造および圧延における終止温度を900〜1150℃とすることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法。
(2)前記(1)に記載の成分組成に加えて、Ni:0.05〜0.5%、かつV+1/2Nb:0.1〜1.2%からなることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法。
(3)質量%で、C:0.30〜0.60%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜1.5%、Cr:1.0〜4.0%、かつMo+1/2W:0.5〜1.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなり鋼を鍛造および圧延後に、焼入温度850〜1050℃、焼入れ時の冷却速度0.05℃/sec以上で焼入れし、その後温度200〜550℃で焼戻しすることにより、残留応力がカリバー底部で300MPa以上の圧縮残留応力、焼入焼戻し硬さ46〜56HRCとすることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法。
(4)質量%で、C:0.30〜0.60%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜1.5%、Cr:1.0〜4.0%、かつMo+1/2W:0.5〜1.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスにある。
以上述べたように、本発明によりピルガーのロールダイスの寿命改善により、生産性向上および製品品質の安定化を図ることが出来る等極めて優れた効果を奏するものである。
以下、本発明に係る成分組成の限定理由を説明する。
C:0.30〜0.60%
Cは、硬さ、耐摩耗性に必要な元素である。しかし、0.30%未満ではその効果が不十分であり、0.60%を超えると靱性を低下させる。したがって、その範囲を0.30〜0.60%とした。好ましくは0.35〜0.55%とする。
C:0.30〜0.60%
Cは、硬さ、耐摩耗性に必要な元素である。しかし、0.30%未満ではその効果が不十分であり、0.60%を超えると靱性を低下させる。したがって、その範囲を0.30〜0.60%とした。好ましくは0.35〜0.55%とする。
Si:0.3〜1.2%
Siは、製鋼時の脱酸剤として必要な元素であり、かつ切削性の確保に必要である。しかし、0.3%未満ではその効果が充分でなく、また、1.2%を超えると溶解凝固時の偏析を助長して靱性を低下させる。したがって、その範囲を0.3〜1.2%とした。好ましくは0.4〜1.0%とする。
Siは、製鋼時の脱酸剤として必要な元素であり、かつ切削性の確保に必要である。しかし、0.3%未満ではその効果が充分でなく、また、1.2%を超えると溶解凝固時の偏析を助長して靱性を低下させる。したがって、その範囲を0.3〜1.2%とした。好ましくは0.4〜1.0%とする。
Mn:0.5〜1.5%
Mnは、焼入れ性の確保(寄与率が大きい上に安価である)、耐摩耗性を向上させる元素である。しかし、0.5%未満ではその効果が充分でなく、また、1.5%を超えると靱性を低下させる。したがって、その範囲を0.5〜1.5%とした。好ましくは0.7〜1.1%とする。
Mnは、焼入れ性の確保(寄与率が大きい上に安価である)、耐摩耗性を向上させる元素である。しかし、0.5%未満ではその効果が充分でなく、また、1.5%を超えると靱性を低下させる。したがって、その範囲を0.5〜1.5%とした。好ましくは0.7〜1.1%とする。
Cr:1.0〜4.0%
Crは、硬さ、耐摩耗性、および焼入れ性に必要な元素である。しかし、1.0%未満ではその効果が充分に得られず、また、4.0%を超えると粗大炭化物を生成し、靱性を低下させる。したがって、その範囲を1.0〜4.0%とした。好ましくは1.4〜3.1%とする。
Crは、硬さ、耐摩耗性、および焼入れ性に必要な元素である。しかし、1.0%未満ではその効果が充分に得られず、また、4.0%を超えると粗大炭化物を生成し、靱性を低下させる。したがって、その範囲を1.0〜4.0%とした。好ましくは1.4〜3.1%とする。
Mo+1/2W:0.5〜1.5%
MoとWは、共に微細な炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性に必要な元素である。この効果はMoの方が大きくWの2倍の影響力をもつ。Moは耐摩耗性とともに焼入性も高く、これらの効果を得るためには、少なくとも0.5%は必要である。しかし、1.5%を超えると靱性、熱間加工性を低下させるとともにコストが高くなる。したがって、その範囲として0.5〜1.5%とした。好ましくは0.8〜1.2%とする。
MoとWは、共に微細な炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性に必要な元素である。この効果はMoの方が大きくWの2倍の影響力をもつ。Moは耐摩耗性とともに焼入性も高く、これらの効果を得るためには、少なくとも0.5%は必要である。しかし、1.5%を超えると靱性、熱間加工性を低下させるとともにコストが高くなる。したがって、その範囲として0.5〜1.5%とした。好ましくは0.8〜1.2%とする。
Ni:0.05〜0.5%
Niは、靱性を向上させる元素である。しかし、0.05%未満ではその効果が充分でなく、また、0.5%を超えると被削性を低下させる。したがって、その範囲をNi:0.05〜0.5%とした。
Niは、靱性を向上させる元素である。しかし、0.05%未満ではその効果が充分でなく、また、0.5%を超えると被削性を低下させる。したがって、その範囲をNi:0.05〜0.5%とした。
V+1/2Nb:0.1〜1.2%
VとNbは、共に耐摩耗性、靱性の向上に必要な元素である。この効果はNbの方が大きくVの2倍の影響力をもつ。これらの効果を得るためには、少なくとも0.1%は必要である。しかし、1.2%を超えると被削性を低下させると共に、コストが高くなる。したがって、その範囲として0.1〜1.2%とした。
VとNbは、共に耐摩耗性、靱性の向上に必要な元素である。この効果はNbの方が大きくVの2倍の影響力をもつ。これらの効果を得るためには、少なくとも0.1%は必要である。しかし、1.2%を超えると被削性を低下させると共に、コストが高くなる。したがって、その範囲として0.1〜1.2%とした。
鍛造および圧延における終止温度を900〜1150℃
鍛造および圧延における終止温度を900〜1150℃とした理由は、熱間加工性の確保に必要である。しかし、900℃未満ではその効果が得られず、また、1150℃を超えると結晶粒が大きくなり靱性を低下させる。したがって、その範囲を900〜1150℃とした。好ましくは1000〜1100℃とする。
鍛造および圧延における終止温度を900〜1150℃とした理由は、熱間加工性の確保に必要である。しかし、900℃未満ではその効果が得られず、また、1150℃を超えると結晶粒が大きくなり靱性を低下させる。したがって、その範囲を900〜1150℃とした。好ましくは1000〜1100℃とする。
熱処理条件としての焼入温度:850〜1050℃
焼入温度が850℃未満では硬さの確保に不十分であり、1050℃を超えると結晶粒が粗大化し、靱性が低下することから、その範囲を850〜1050℃とした。好ましは900〜1000℃とする。
また、焼戻し温度:200〜550℃
焼戻し温度が200℃未満では、靱性の確保が不十分であり、550℃を超えると残留応力を解放させてしまうことから、その範囲を200〜550℃とした。好ましくは300〜500℃とする。
焼入温度が850℃未満では硬さの確保に不十分であり、1050℃を超えると結晶粒が粗大化し、靱性が低下することから、その範囲を850〜1050℃とした。好ましは900〜1000℃とする。
また、焼戻し温度:200〜550℃
焼戻し温度が200℃未満では、靱性の確保が不十分であり、550℃を超えると残留応力を解放させてしまうことから、その範囲を200〜550℃とした。好ましくは300〜500℃とする。
焼入時の冷却速度:0.05℃/sec以上
焼入時の冷却速度は、圧縮残留応力の生成に寄与するが、0.05℃/sec未満では緩冷却により粒界に炭化物が析出し、靱性を低下させることになりその硬化が充分でない。また、好ましくは0.1℃/sec以上で、一定以上の冷却速度で、基地組織はマルテンサイトおよび細かいベイナイトとなり靱性が向上する。
焼入時の冷却速度は、圧縮残留応力の生成に寄与するが、0.05℃/sec未満では緩冷却により粒界に炭化物が析出し、靱性を低下させることになりその硬化が充分でない。また、好ましくは0.1℃/sec以上で、一定以上の冷却速度で、基地組織はマルテンサイトおよび細かいベイナイトとなり靱性が向上する。
残留応力:カリバー底部で300MPa以上の圧縮残留応力
残留応力は、カリバー底部で300MPa以上で使用中の繰り返しの引張り応力を緩和して、割れの発生を抑制するが、しかし、300MPa未満ではその効果が充分でない。したがって、下限を300MPaとした。好ましくは500MPaとする。
残留応力は、カリバー底部で300MPa以上で使用中の繰り返しの引張り応力を緩和して、割れの発生を抑制するが、しかし、300MPa未満ではその効果が充分でない。したがって、下限を300MPaとした。好ましくは500MPaとする。
焼入焼戻し硬さ:46〜56HRC
焼入焼戻し硬さは、強度を確保し割れ発生を抑制する。しかし、46HRC未満ではその効果が充分でなく、また、56HRCを超えると靱性が低下する。したがって、その範囲を46〜56HRCとした。好ましくは48〜53HRCとする。
焼入焼戻し硬さは、強度を確保し割れ発生を抑制する。しかし、46HRC未満ではその効果が充分でなく、また、56HRCを超えると靱性が低下する。したがって、その範囲を46〜56HRCとした。好ましくは48〜53HRCとする。
図1は、ロールダイスを用いて金属管の冷間圧延加工を行うピルガー圧延加工を示す説明図である。この図に示すように、上下一対のロールダイス1、2は、このロールダイス1、2の中心に取り付けられた上下一対のシャフト3、4により、水平に保持され一定の回転数で往復回転させる。一方、マンドレル6は圧延加工すべき金属素管5の内径を決めるための治具で、金属素管5はロールダイス1、2の外周側面中央部の窪み(カリバー部)で挟み込まれ、金属素管5の軸方向に繰り返して往復運動させることにより、圧延加工が施され、所定の外形寸法の金属管7が得られる構成からなる。本発明の使用対象は上記にようなコールドピルガー圧延機用ロールダイスの改良にある。
図2は、本発明に係るピルガー冷間圧延加工用ダイスの断面図である。この図に示すように、カリバーロール8を用い金属素管5をピルガー冷間圧延加工を行った場合、圧延時にカリバーロール8の上部は矢印のようにカリバーを拡げる力が働くことにより、カリバー底部に引張応力が生じることになる。この底部に掛かる引張応力により、カリバー底部の内部に微小なクラックが発生し、この微小クラックが急速に内部に進行し、割れを発生させる原因となる。本発明は、このような割れの発生を防止するために、このロールダイスカリバー底部に300MPa以上の圧縮残留応力を生じさせてカリバー底部の割れを防止することにある。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1に示す化学成分について、電気炉で溶解し、出鋼し、鋼塊を製造し、1000〜1150℃に加熱して表2に示した鍛造終始温度になるまで鍛造し、その後、0.05℃/secにて徐冷にて、径350mm材を作製し、焼なまし温度800〜900℃で5時間保持後徐冷して試験片を加工すると共に、実機ダイスを作製し、ラボ試験、実機評価として、硬さ測定、シャルピー衝撃試験およびピルガー圧延実機評価を行った。硬さ測定としては、鍛伸材の中周部より縦20mm、横20mm、長さ25mmのブロックを割り出し、表2に示した焼入焼戻条件で熱処理を行った後、ロックウエルCスケールで硬さ測定を行った。また、シャルピー衝撃試験は、鍛伸材の中周部L方向から2mmUノッチ試験片(縦10mm、横10mm、長さ55mm)を作製し、熱処理実施後、試験を行った。さらに、ピルガー圧延実機評価として、鍛伸材より作製した実機ダイスの寿命を、外径76mm、肉厚18mmの軸受鋼(SUJ2)の素管を外径40mm、肉厚4mmの製品管に圧延した際の、圧延素管の重量(t)で評価した。その結果を表2に示す。なお、カリバーの残留応力はX線回折法により行い、ダイスの寿命はカリバー部での割れ発生や摩耗により製品管が疵不良や寸法不良で製造不可となった時点での圧延量を示す。
比較例No.8は、成分組成として、C,MnおよびMo+1/2W含有量が低く、かつCr含有量が高く、その熱処理としての条件である焼入れ時の冷却速度が遅いために、硬さが低く、かつ靱性が十分でなく、ダイスの寿命が短く、かつダイスの割れの発生が生じた。比較例No.9は、成分組成として、Si含有量が低く、かつMn、Ni含有量が高く、その熱処理としての条件である焼入温度が低いために、靱性が低く、かつカリバー底での圧縮残留応力が低く、ダイスの寿命が短く、かつダイスの割れの発生が生じた。
比較例No.10は、成分組成として、C、NiおよびMo+1/2W、V+1/2Nbの含有量が高く、かつSi含有量が低く、その処理条件としての鍛造および圧延終止温度が高く、また熱処理としての条件である焼戻温度が低いために、硬さが高く、靱性が低く、ダイスの寿命が短く、かつダイスの割れの発生が生じた。比較例No.11は、成分組成として、C、CrおよびMo+1/2Wの含有量が高く、かつMn含有量が低く、その熱処理としての条件である焼戻温度が高いために、靱性が悪く、カリバー底での圧縮残留応力が低く、ダイスの寿命が短く、かつダイスの割れの発生が生じた。
比較例No.12は、成分組成として、C、およびV+1/2Nbの含有量が低く、かつSi、Cr、Mo+1/2Wの含有量が高く、その熱処理としての条件である焼入温度が低く、冷却速度が遅いために、硬さが低く、靱性が低く、カリバー底での圧縮残留応力が低く、ダイスの寿命が短い。比較例No.13は、成分組成として、Mnの含有量が低く、かつNi、Crの含有量が高く、その処理条件としての鍛造および圧延終止温度が低く、また熱処理としての条件である焼戻温度が低いために、靱性が低く、カリバー底での圧縮残留応力が低く、ダイスの寿命が短く、かつダイスの割れの発生が生じた。
比較例No.14は、成分組成として、C、Crの含有量が高く、かつSi、Mn、Niの含有量が低く、その処理条件としての鍛造および圧延終止温度が高く、硬さが高く、また熱処理としての条件である焼戻温度が低いために、靱性が悪く、ダイスの寿命が極端に短く、かつダイスの割れの発生が生じた。これに対して、本発明例であるNo.1〜7はいずれも本発明の条件を満足していることから、硬さ、靱性、カリバー底での圧縮残留応力が300MPa以上を満足しており、ダイスの寿命も長く、ダイスの割れの発生も見られなかった。
以上のように、成分設定により硬度が46〜56HRC得られ、芯部まで硬さが入る焼入性を確保しつつ、靱性が得られるように、粗大炭化物が形成されないような成分とし、しかも靱性が劣化しないよう焼入温度と冷却速度を規制することで高い圧縮応力を残留させ、カリバー底での引張応力を軽減し、き裂発生を抑制してダイスの寿命延長を図ることを可能とし、生産性向上および製品品質の安定を図ることができる極めて優れた効果を奏するものである。
1、2 上下一対のロールダイス
3、4 上下一対のシャフト
5、7 金属素管
6 マンドレル
8 カリバーロール
特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊
3、4 上下一対のシャフト
5、7 金属素管
6 マンドレル
8 カリバーロール
特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊
Claims (4)
- 質量%で、
C:0.30〜0.60%、
Si:0.3〜1.2%、
Mn:0.5〜1.5%、
Cr:1.0〜4.0%、
かつMo+1/2W:0.5〜1.5%、
残部Feおよび不可避的不純物からなり鋼を鍛造および圧延における終止温度を900〜1150℃とすることを特徴とする、コールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法。 - 請求項1に記載の成分組成に加えて、
Ni:0.05〜0.5%、
かつV+1/2Nb:0.1〜1.2%
からなることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法。 - 質量%で、
C:0.30〜0.60%、
Si:0.3〜1.2%、
Mn:0.5〜1.5%、
Cr:1.0〜4.0%、
かつMo+1/2W:0.5〜1.5%、
残部Feおよび不可避的不純物からなり鋼を鍛造および圧延後に、焼入温度850〜1050℃、焼入れ時の冷却速度0.05℃/sec以上で焼入れし、その後温度200〜550℃で焼戻しすることにより、残留応力がカリバー底部で300MPa以上の圧縮残留応力、焼入焼戻し硬さ46〜56HRCとすることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイスの製造方法。 - 質量%で、
C:0.30〜0.60%、
Si:0.3〜1.2%、
Mn:0.5〜1.5%、
Cr:1.0〜4.0%、
かつMo+1/2W:0.5〜1.5%、
残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とするコールドピルガー圧延機用ロールダイス。
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KR20170125976A (ko) * | 2015-04-21 | 2017-11-15 | 가부시키가이샤 고마쓰 세이사쿠쇼 | 치즐용 강 및 치즐 |
WO2023093119A1 (zh) * | 2021-11-26 | 2023-06-01 | 钢铁研究总院有限公司 | 一种高韧性超高强度钢及其制造方法 |
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