JP2010125370A - 余剰汚泥減容化処理の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性汚泥混合液の活性とMLSSを測定し、可容化処理量の増減を、混合液の活性とMLSSの両方が設定値以上になったとき可容化処理量を増加し、活性が設定値以上に増大しMLSSが設定値以下に減少したときは可容化処理量を減少し、活性が設定値以下に低下した場合はMLSSの増減にかかわらず、可容化処理量を減少する制御。
【選択図】図1
Description
可溶化処理は、汚泥の細胞膜を破壊し、曝気槽の汚泥が栄養素として取り込めるようにするものである。
この場合、可溶化処理量は汚泥の増殖量により増減するが、処理が多すぎれば曝気槽内の微生物濃度(以下、MLSSという)が過少となって処理水が悪化し、処理が少なすぎればMLSSが増加し系外への余剰汚泥が増加して、本来の目的が達成できなくなる。
このため可溶化処理量の調節が必要であり、その方法としてMLSSを一定にするように制御するのが一般的である。間接的または直接的にMLSSを一定にする制御する方法として、以下の技術が提案されている。
特許文献1には、沈殿槽における汚泥界面を監視し、汚泥界面が一定の範囲に維持されるように、改質処理を行う引抜汚泥量を調整する方法が提案されている。
特許文献2には、曝気槽内の活性汚泥のVSS/SSおよびMLSSを一定量に保つように汚泥の引抜量を制御する方法が提案されている。
たしかに、安定状態においてはMLSSと活性には相関があるとしても、両者の変化速度を考慮すれば、常にこの関係が成立するとはいえない。この点、従来、MLSSと汚泥の活性の変化速度の差を関連づけて解析した例は見当たらない。
本発明者は、この関係を明らかにするため、小型の活性汚泥テストで測定し、結果を解析することにより以下の知見を得た。
たとえば、原水BOD負荷がある値からステップ状に増加する場合の、活性とMLSSの変化は図3のようになる。また、原水BOD負荷がある値からステップ状に負荷0に減少する場合の、活性とMLSSの変化は図4のようになる。図3、図4に示すように、活性は速やかに変化するが、MLSSの変化は遅いため、負荷が変化して数日後(図では72時間経過以降)には、活性とMLSSは相関があるが、変化の初期の段階(図ではスタートから24時間経過まで)では、全く相関性はない。
したがってMLSSを指標として制御すると、制御にハンチングが生じ、可容化処理の過不足が生じる。可溶化処理をしすぎて活性が低下することは、活性汚泥の処理能力不足や処理水質悪化に直結することで、運転管理上極めて不都合である。
好気性微生物を用いた廃水浄化における余剰汚泥の減容化処理プロセスの制御方法であって、活性汚泥混合液の活性とMLSSを測定し、可容化処理量の増減を、混合液の活性とMLSSの両方が設定値以上になったとき可容化処理量を増加し、活性が設定値以上に増大しMLSSが設定値以下に減少したときは可容化処理量を減少し、活性が設定値以下に低下した場合はMLSSの増減にかかわらず、可容化処理量を減少することを特徴とする。
同図において、従来のMLSS一定制御方式と異なるのは、ケース3の場合である。従来方式では、MLSSが設定値以上であるため、可溶化処理量をアップさせることになるが、本方式では、活性が低下しているためダウンさせる。
ケース0は、活性汚泥が標準状態のときである。BOD負荷が適当にあって、増殖が順調に進行しMLSSが通常増加率で増加している状態なので、可溶化処理量を基準量にして安定している。
なお、原水の水質や負荷が平均状態から大きく変化し、且つその状態が継続するなどの原因により、ケース3が常態となる場合があり得るが、その場合は、そのときの状況を判断して、制御のもとになる設定値を更新するなどの処置が必要となる。
より具体的には、特開2001−235462号公報に開示した方法を用いることができる。活性汚泥に阻害性排水が流入した場合の例にすると、阻害性排水流入の影響を処理水水質でみると、曝気槽の滞留時間は6時間から20時間程度で沈殿槽の滞留時間は4時間程度かかり、さらに返送汚泥で約50%が曝気槽に戻ることなどから、沈殿槽からの処理水水質にはっきりと影響が現れるのは、阻害性排水流入から、約1日から数日かかる。その理由は以下による。MLSSの変化については、阻害性廃水が流入すると、まず食物連鎖においてバクテリアや細菌などの最下層の微生物群や酵素が阻害をうけ活性が低下する。その状態が長く続くと、最下層の微生物が増殖しないため、食物連鎖が機能しなくなり、藻類や原生動物などの中間層や後生動物などの最上層の微生物群が衰退し、その結果MLSSが減少していく。最下層の微生物は形状が小さいため、MLSSの測定値への寄与が小さく、明確な減少を検知するまで、1日から数日の遅れが発生する。
図8は、従来方法による、MLSSを指標にして可溶化量をオンオフ制御した場合の、MLSS及び活性の変化を示す図である。
原水BOD負荷一定の状態から、負荷増、負荷減を繰り返すと、MLSSは原水BOD負荷変動から遅れて増減するため、可溶化制御値も遅れて増減する。その結果、原水BOD負荷が減少しているときに、可溶化制御値が増の状態ができ、そのときに活性が通常より大きく減少することになる。原水BOD負荷が増加しているときに活性は回復するが、回復が十分でないまま、再度原水BOD負荷が減少しているときに、可溶化制御値が増の状態ができ、活性がさらに低下する。これを繰り返すと、だんだん右下がりに活性は低下していき、制御しない場合(可溶化処理量一定)の活性変化と較べて、平均的にも活性低下となる。活性低下は、処理水の悪化となる。
図9は、本発明方法による、活性とMLSSを指標にした場合の、同上変化を示す図である。
原水BOD負荷に対し活性は速やかに応答するため、原水BOD負荷が減少する領域で可溶化制御量が増の状態で活性が活性上限以下になると、可溶化処理量を減少させるため、活性の低下が緩和される。活性低下が少ないため、原水BOD負荷が増加している領域で、活性は十分回復し、原水BOD変動が繰り返されても、活性の以上低下はない。可溶化処理量を一定にして制御しない場合の活性変化と較べて、平均的にも活性は同じで、しかも変動の振幅は小さくなる。活性変化の振幅が小さいので、処理水は制御しない場合と較べて、原水BOD変化が大きい場合でも、処理水は良化する。
図5は、本発明の一実施形態に係る汚泥減容化制御装置1の構成を示す図である。図6は、サンプリングした混合液の活性とMLSSを測定する測定装置2の詳細構成を示す図である。図7は、測定中のDO変化曲線を示す図である。
装置内の混合液は、循環ポンプ5により、測定容器4→曝気装置6のアスピレータ→曝気容器3→測定容器4の流れで循環し、曝気装置6のアスピレータで空気を吸引し、曝気容器3で曝気をおこない底部から測定容器4に移液することで気泡を分離し、測定容器4内の入口ノズル近傍に設置した溶存酸素計電極9のセンサー面の流速を確保する。
制御盤2から指令により測定装置のポンプや電磁弁等を制御する。溶存酸素計電極9の測定値を取り込む。また制御盤16には温度コントローラを装備し、ヒータ10を制御することで混合液の温度を一定に保つ。
Step2-2は、曝気装置で曝気を再開する工程である。混合液のDO値は上昇していく。上昇していくDOの変化の、実測値に一致するように曝気装置の酸素供給の物質移動係数(KLa)を決定する。
また、活性の測定方法は、他の方法で測定してもよい。
試験装置として、本発明者が開発した活性測定装置(商品名:TS checker)を用いた。測定手順は、以下のとおりである。最初に、活性汚泥曝気槽出口から採取した混合液を試験装置の曝気装置で曝気する。混合液中の残留BODが処理され、DOが平衡に達した後、曝気を停止する。DO低下後、再度同じ条件で曝気し、上昇するDOの変化に基づいて、曝気装置の酸素の物質移動係数(以下、KLaと称す)を計測する。、その後、中程度の阻害性がある試料(原水に阻害性のある廃水を混入させることにより調製)を繰り返し添加する。図2は、その際のDO変化を示したものである。同図の横軸は、経過時間(分)である。特開2001−235462に記載されているように、DO変化とDOhfに囲まれた面積はBODに相当し、DO変化の大きさは酸素の消費速度で評価した分解速度の大きさを表している。
阻害性がなければ、1回目から5回目の試料が添加されたDOの変化は、ほぼ同じ形状になるはずであるが、同図では添加回数を追うごとに、試料添加のDO変化は明らかに小さくなっている。平均分解速度はBOD/測定時間で計算されるが、試料の平均分解速度は0.87mg/l/min→0.85mg/l/min →0.77mg/l/min→0.71mg/l/min→0.63mg/l/min と低下し、活性が低下していることが定量的にわかる。このように、阻害性排水が流入すると、分単位で活性は影響をうけることが分かる。
3・・・・曝気容器
4・・・・測定容器
5・・・・循環ポンプ
6・・・・曝気装置
7・・・・空気流量計
8・・・・空気電磁弁
9・・・・循環ポンプ
10・・・ヒータ
11・・・冷却用熱交換パイプ
12・・・汚泥揚水ポンプ
13・・・基準液添加ポンプ
14・・・排水電磁弁
15・・・基準液タンク
16・・・測定装置制御部
17・・・MLSS計
Claims (1)
- 好気性微生物を用いた廃水浄化における余剰汚泥の減容化処理プロセスの制御方法であって、
活性汚泥混合液の活性とMLSSを測定して、
混合液の活性とMLSSの両方が設定値以上になったときは、可容化処理量を増やし、
活性が設定値以上に増大し、MLSSが設定値以下に減少したときは、可容化処理量を減らし、
活性が設定値以下に低下したときは、MLSSの増減にかかわらず可容化処理量を減らす、
ことを特徴とする制御方法。
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