JP4355560B2 - 有害物質のモニタリング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、河川水や湖沼等の環境水、及び上下水道の各プロセスの水等を対象とした、微生物センサを用いた水中の有害化学物質のモニタリング方法に関する。
バイオセンサは、試料水中の測定対象化学物質を認識する分子識別素子として、酵素や抗体等の生体機能性材料や微生物、細胞等の生体そのものを利用し、これらの生物材料を多孔性高分子膜に化学的に包括又は共有結合させることにより固定化した膜と、電気化学的検出器等のトランスデューサと組み合せて前記生物材料の分子識別信号を電気信号に変換して試料水中の化学物質の測定を行うセンサである。
バイオセンサは、試料水を上記生体材料の固定化膜に接触させ、これによって生ずる生化学反応により生成又は消費される物質の濃度変化を検出器で電流や電圧等の電気的な出力(本発明において、センサ出力という)の変化に変換して測定する。
通常、微生物を使用したバイオセンサ(本発明においては、微生物センサという)応用水質計測器では、固定化膜内の微生物の酸素の消費状態を溶存酸素電極で測定することにより、検水中の有害物質を検知しているので、固定化膜内の微生物の数や活性(以下、これらを活性度という)をできるだけ長い期間安定に維持するために、微生物の至適温度条件、至適pH条件を維持し、生育に必要な基質及び微量栄養成分を含む緩衝液を用いて測定を行っている。
例えば、下記の特許文献1には、a.アンモニア酸化細菌を固定した固定化微生物膜を保持しこの固定化微生物膜の各々の面に接する二つの液流路を設けたフローセルと、前記固定化微生物膜の一方の面にガス透過膜を介して接触させた溶存酸素電極とを組み合わせた微生物センサ,b.前記固定化微生物膜の前記一方の面に前記アンモニア酸化細菌の基質となるアンモニア態窒素を所定の濃度で含む緩衝溶液を循環させる循環系統,c.試料水と前記微生物センサ校正用の標準溶液と洗浄水とを切り替え、前記試料水と前記標準溶液との溶存酸素量を飽和させて前記固定化微生物膜の他方の面に送液する送液系統,d.前記微生物センサの出力信号を演算処理し運転を制御する演算・制御回路を備える毒物検知装置が開示されている。
また、下記の特許文献2には、上記のような微生物センサの有害物質に対する検出感度の低下を解決するために、微生物を固定化した膜と溶存酸素電極とから構成される微生物センサを用い、環境水中の有害物質を検出する方法において、微生物センサの電気的出力の値によって、微生物センサの設定温度を制御する方法が開示されている。
一方、下記の特許文献3、4には、有機性廃棄物処理において、栄養源となる微量金属を被処理物に添加して菌の活性を向上させることや、処理汚水中の酸素消費量を測定し、これに基づいて投入する有機性廃棄物の負荷量を調整することが開示されている。
特公平7−85072号公報 特開2001−165893号公報 特開2002−282897号公報 特開平9−314158号公報
上記の特許文献1の毒物検知装置によれば、有害物質にきわめて弱い微生物であるアンモニア酸化細菌を生きたまま固定化して高分子多孔膜で封じ込めた固定化微生物膜と検出器として溶存酸素電極とを組み合わせた微生物センサを構成し、これにアンモニア酸化細菌の基質となるアンモニア性窒素と鉄やマグネシウム等の微量成分を一定濃度含む緩衝溶液と試料水を所定の比率となるように混合して連続的に流すことにより、試料水中にアンモニア酸化細菌の呼吸を阻害するような有害物質が存在した場合、アンモニア酸化細菌の呼吸活性が阻害されて酸素電極出力が増加するので、このセンサ出力の変化から試料水中の有害物質の存在を検知することができる。
しかし、特許文献1の毒物検知装置には以下のような問題があった。すなわち、通常、上記のアンモニア酸化細菌等の硝化細菌を使用するバイオセンサ応用計測器では、硝化細菌の至適温度、pH条件等を維持し、成育に必要な微量栄養成分を含む緩衝溶液を用いて測定を行っても、試料水の水質や微生物膜内での硝化細菌の増殖サイクルに伴い、固定化膜内の微生物の活性度が変動する。
例えば、地下水のように試料水が貧栄養な場合には、活性度が徐々に低下し、センサの酸素消費率が約30%程度まで低下すると、有害物質によるセンサ応答と溶存酸素電極のノイズ等の外乱との判別が困難になる。したがって、通常1ヶ月に1回程度の固定化膜の交換が必要となる。
一方、河川の下流域で都市の下排水が混入している地域のように、試料水が富栄養な場合には固定化膜の活性が過剰に高い状態となり、センサの酸素消費率が見かけ上100%以上となってしまい、センサとしては有害物質に対する感度が低下するという問題点がある。例えば、センサの見かけの酸素消費率が110%となった場合には、酸素消費率を10%低下させるような有害物質を含む試料水であっても、実際のセンサ出力は100%となるので変動が見られず検出不可能となる。
一方、特許文献2の方法によれば、センサ出力値に、出力の減少側と増加側とに2つのしきい値を設定し、微生物センサが設置される恒温槽に、至適温度と高温側温度の2つの温度を設定し、センサ出力値がしきい値に達する毎に、恒温槽の温度を変える制御を行うことで、微生物の活性度を制御して有害物質に対する検出感度を調整できる。しかしながら、この方法においては、固定化膜に過大な温度負荷をかけると微生物の活性度が回復するのに長時間を要してしまうことから段階的な温度負荷制御を行う必要がある。したがって、微生物の活性度を適正な状態に制御するのに数日間を要する場合があり、制御の応答性が悪いという問題があった。
また、特許文献3、4には、基質となる微量金属の添加や、酸素消費量の測定について開示されているものの、その対象はメタン発酵等の有機性廃棄物の処理であり、上記のような微生物センサにおける制御する点については開示されていない。
したがって、本発明の目的は、微生物センサを用いて環境水中の有害物質を検出する際に、固定化膜における微生物の活性度を調整することで有害物質に対する検出感度の調整を可能とし、また、従来より短時間で微生物の活性度の調整が可能となる方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の有害物質のモニタリング方法は、微生物を固定化した膜と、溶存酸素電極とから構成される微生物センサを用い、前記微生物の基質を含む緩衝溶液と試料溶液とを混合した測定溶液を前記膜に接触させるように連続的に流し、前記溶存酸素電極からの出力の変化によって、前記試料溶液中の有害物質を検知する有害物質のモニタリング方法において、
以下の(I)式で定義される酸素消費率を所定の範囲内に維持するように、前記測定溶液中の前記基質の濃度を制御することを特徴とする。
酸素消費率(%)={(V−V)/V}×100 …(I)
(上記(I)式において、Vは、有害物質及び基質を含まない緩衝溶液と純水とを流した際の微生物センサの電気的出力、Vは測定溶液を流した際の微生物センサの電気的出力を表す。)
本発明の有害物質のモニタリング方法によれば、上記の酸素消費率を指標として基質濃度を制御することによって、試料溶液の栄養状態が異なる様々な水質においても、固定化膜の微生物の活性度を常に最適な感度状態に調整できる。すなわち、低過ぎる酸素消費率(固定化膜の微生物の活性度低下)によって生じる、溶存酸素電極のノイズ等の外乱による誤警報の発生や、高過ぎる酸素消費率(固定化膜の微生物の活性度が過剰に高い場合)によって生じる感度低下や感度のバラツキを防止できる。その結果、様々な水質の試料溶液に対しても有害物質に対する検出感度を低下させることなく、長期にわたって安定して有害物質をモニタリングすることができる。また、基質濃度を変動させて、微生物の基質酸化反応速度を化学的に調整することから、温度制御に比べて短時間で活性度の調整が可能である。
本発明においては、前記酸素消費率が50〜90%となるように、前記試験液中の前記基質の濃度を制御することが好ましい。酸素消費率を50%以上とすることで、溶存酸素電極のノイズ等の外乱による誤警報の発生を有効に防止できる。また、酸素消費率を90%以下とすることで、微生物膜の活性が過大となることによる感度低下や感度のバラツキを有効に防止できる。したがって、有害物質に対する感度と安定したセンサ運転状態とを常時維持することができる。
また、本発明においては、前記モニタリング中に、前記有害物質を含まない前記測定溶液を前記膜に接触させるように連続的に流す校正を行い、この校正時に前記基質の濃度の制御を行うことが好ましい。この態様によれば、有害物質のモニタリング中に酸素消費量の測定を行い、この酸素消費率が50〜90%の範囲外となったとき、あるいは定期的にモニタリングを一旦中断して校正を行う。そして、この校正時に試料溶液の代わりに純水を用い、有害物質を含まない状態で上記の基質の濃度の制御を行い、酸素消費率が50〜90%となるようにする。そして、その後に再び有害物質のモニタリングを開始する。これによって、試料溶液中の有害物質の存在による酸素消費率の見かけの低下を防止できるので、より正確な制御を行うことができる。
本発明によれば、微生物センサを用いて環境水中の有害物質を検出する際に、固定化膜の微生物の活性度を調整することで有害物質に対する検出感度の調整を可能とし、これによって、様々な水質の検水に対しても有害物質に対する検出感度を低下させることなく、長期にわたって安定して有害物質をモニタリングすることができる。また、短時間で微生物の活性度を調整できる。
本発明において、微生物を固定化した膜(以下、固定化微生物膜という)と溶存酸素電極とから構成される微生物センサとしては、例えば、図1に示すような構成のものを用いることができる。
図1に示すように、この微生物センサ6は、試料流路5を有するフローセル4と、固定化微生物膜1と、測定溶液中の溶存酸素量を測定する溶存酸素電極2とから構成されている。
固定化微生物膜1は、試料流路5内を流れる測定溶液と接触できるように構成されており、溶存酸素電極2は、固定化微生物膜1の上に密着するように取付けられている。溶存酸素電極2内は電解液で満たされており、図示しない電極が設置されている。そして、電極に接続されるリード線3から、溶存酸素濃度に応じた電圧値又は電流値(以下、センサ出力値ともいう)が出力されるようになっている。このような溶存酸素電極としては従来公知のものが使用可能であり特に限定されない。
固定化微生物膜1に使用される微生物としては、硝化細菌が好ましく、特にアンモニア酸化細菌が好ましい。アンモニア酸化細菌としては、ニトロソモナス ユーロピア(Nitrosomonas europaea ATCC25978)が例示できる。この固定化微生物膜1は、公知の方法にしたがって作製することができ、例えば、硝化細菌をアルギン酸ナトリウム水溶液に懸濁し、この懸濁液を多孔質のセルロース膜上に滴下してからもう1枚のセルロース膜で挟み、塩化カルシウム水溶液でアルギン酸ナトリウムをゲル化させて菌体を固定化することにより作製できる。
図2には、上記の微生物センサ6を用いた、本発明のモニタリング方法を実施するための微生物センサ応用水質計測器の一例を示すフロー図が示されている。
図2に示すように、この微生物センサ応用水質計測器には、送液部として、酸洗浄水、純水、試料水、緩衝溶液、基質溶液の5種類の溶液タンクが設けられ、それぞれ、必要に応じて混合して送液可能なように配管が接続されている。そして、混合後の配管は、微生物センサ6を含む測定部14に接続されるように構成されている。
上記の送液部のうち、酸洗浄水、純水、試料水、緩衝溶液の4種類は、定流量ポンプ12によって送液可能となっており、また、基質溶液は、流量可変ポンプ11によって送液可能となっている。なお、酸洗浄水、純水、試料水、基質溶液のそれぞれの送液路には、それぞれの流路を制御するための電磁弁13a、13b、13c、13dが設けられている。
これらの送液部からの配管は、エアポンプ10を介して、微生物センサ6を備える測定部14に接続されている。測定部14は、熱交換器8と微生物センサ6と恒温槽7とからなり、送液部からの測定溶液は、エアポンプ10でエアレーションされた後、熱交換器8を介して温度調整された後、恒温槽7中の微生物センサ6内を通過して排水されるようになっている。なお、恒温槽7は、通常、微生物センサの微生物の生育至適温度に調整されている。また、微生物センサ6には、そのセンサ出力から後述する酸素消費率を求め、この値に応じて基質濃度を制御するための制御部9が接続されており、電磁弁13dにより基質溶液の流入制御が可能となっている。
次に、この微生物センサ応用水質計測器を用いた、本発明の有害物質のモニタリング方法について説明する。
まず最初に、固定化微生物膜1内の微生物は基質を与えないと活動できず、溶存酸素が消費されないという点を利用して、電磁弁13a、13c、13dを閉じて、酸洗浄水、試料水、基質溶液の送液を止めてから、電磁弁13bを開けて、有害物質及び基質を含まない緩衝溶液と純水とを、それぞれ定流量ポンプ12により送液し、微生物センサ6の安定化したセンサ出力値Vを得る。このセンサ出力値Vは制御部9に記憶されてゼロ点校正値となる。このセンサ出力値Vは水中の溶存酸素濃度に対応した値であり、後述する酸素消費量(%)はこのとき0%である。なお、センサ出力値は例えばmV単位等で出力される電圧値又は電流値である。
なお、緩衝溶液としては、微生物センサ6の微生物が安定して機能するpH付近に緩衝能を有する緩衝液が用いられ、例えば、アンモニア酸化細菌を使用した微生物センサの場合は、pH8〜9付近に緩衝能を有するホウ酸緩衝溶液等を用いることができる。
次に、この状態で電磁弁13dを開いて基質溶液を流し、緩衝溶液、純水、基質溶液とからなる測定溶液を送液し、微生物センサ6のセンサ出力値Vを得る。このセンサ出力値Vは、後述する微生物センサの検出感度である阻害率(%)を計算するために必要なものである。
なお、本発明における基質は、微生物が栄養源として利用し、酸素を消費する物質であればよい。基質としては微生物の種類に応じて適宜選択可能であり、例えば、アンモニア酸化細菌を使用した固定化微生物膜を用いた微生物センサの場合は、基質としてアンモニア性窒素が好適に用いられる。
次に、更に電磁弁13bを閉じて電磁弁13cを開いて、純水の代わりに試料水を流し、緩衝溶液、試料水、基質溶液とからなる測定溶液を送液し、微生物センサ6のセンサ出力値Vを得る。このセンサ出力値Vは、微生物センサの微生物の活動によって消費され、残った溶存酸素濃度に対応した値である。
このセンサ出力値Vはやはり制御部9に記憶され、以下の(I)式によって酸素消費率(%)が演算される。
酸素消費率(%)={(V−V)/V}×100 …(I)
すなわち、酸素消費率は、固定化微生物膜1に担持された微生物の活性度を示し、微生物の呼吸量の最大値に対する比率である。そして、本発明においては、この酸素消費率を所定の範囲内に維持するように、測定溶液中の基質の濃度を制御することを特徴としている。
具体的には、制御部9によってポンプ11を制御して基質溶液の量を調整し、酸素消費量の上限値を超えた場合には、基質溶液の供給量を低下させ、酸素消費量の下限値を超えた場合には、基質溶液の供給量を増加させるようにポンプ11を制御する。
図3には、基質溶液としてアンモニア性窒素を用いた場合の、基質濃度と、酸素消費率及び阻害率との関係について測定した例が示されている。図3からわかるように、基質濃度(横軸)と酸素消費率(縦軸の右側)との関係は、基質濃度が0〜4mg/Lの範囲では基質濃度律速となり、基質濃度に応じて酸素消費率が増加する関係が認められる。また、基質濃度が4mg/Lを超えると、微生物膜の拡散律速が優位になるため、基質濃度依存性が小さくなる。
一方、有害物質に対する感度を表す阻害率(縦軸の左側)は、上記の基質濃度が0〜4mg/Lの範囲でやはり基質濃度律速となり、基質濃度の上昇に応じて阻害率が低下する基質濃度依存性が認められる。なお、図3は、有害物質として0.3%(V/V)、0.5%(V/V)の2種類の濃度のアセトンを用いた場合の測定例である。
ここで、阻害率(呼吸阻害率)は、上記のセンサ出力値V、V、Vを用いて、以下の(II)式で定義される値である。
阻害率(%)={(V−V)/(V−V)}×100 …(II)
すなわち、試料水中に微生物の呼吸を阻害するような有害物質が存在すると、測定溶液中の溶存酸素濃度が上昇して(センサ出力値Vが増加して)、阻害率が上昇する。そして、上記の微生物センサにおいて設定した阻害率の閾値を超えた場合に、試料水中の有害物質検知の警報を出力する。通常、この阻害率が10%以上であれば、検出可能レベルであると判断される。
上記の図3における、微生物センサ6内の基質濃度と、酸素消費率及び阻害率との関係により、センサの酸素消費率が基質濃度依存性を持つ範囲内でセンサ内の基質濃度を調整することにより、微生物膜の活性度の調整が可能となり、同時に有害物質に対する感度である阻害率の調整が可能となる。また、この方法は、基質濃度を変動させて、微生物の基質酸化反応速度を化学的に調整することから、微生物膜の活性がどのような状態でも短時間で活性度の調整を行うことができる。なお、本発明における基質濃度とは、添加する基質溶液と、試料水中に含まれる基質との総量である。
図4には、微生物センサの酸素消費率と阻害率との関係について測定したグラフが示されている。なお、図4は、有害物質として0.3%(V/V)、0.5%(V/V)、0.8%(V/V)の3種類の濃度のアセトンを用いた場合の測定例である。
図4によれば、酸素消費率が90〜100%の範囲では微生物の活性度が過大となり、感度が低下するため、感度のバラツキが大きい。一方、酸素消費率が50〜90%の場合には感度の高い状態で安定している。また、酸素消費率が50%未満になると、溶存酸素電極のノイズ等の外乱により、誤警報を発生する可能性がある。したがって、上記の酸素消費率は50〜90%となるように基質濃度を制御することが好ましい。これによって、有害物質に対する感度と安定したセンサ運転状態とを維持することが可能となる。この場合、基質濃度は、通常2〜4mg/Lの範囲に調整される。
なお、測定中は、試料水中の有害物質の存在による酸素消費率の変動で制御範囲を逸脱することがあるため、上記の基質濃度の調整は、試料水の代わりに純水を流した状態、すなわち、校正時に実施することが好ましい。実施頻度は特に限定させず、試料水の状況に応じて適宜行なってもよく、定期的に実施してもよいが、微生物膜の活性は、センサの正常運転中においても緩やかに変動するので、モニタリング中、少なくとも1週間に1回以上(通常1〜3日に1回程度)行うことが好ましい。
図1、2に示す構成の微生物センサ及び微生物センサ応用水質計測器を用いて以下の実験を行った。なお、微生物センサの固定化微生物膜としては、ニトロソモナス ユーロピア(Nitrosomonas europaea ATCC25978)を固定化した固定化微生物膜を用いた。
まず、固定化微生物膜をフローセル内に入れ、その上に溶存酸素電極を取り付けて微生物膜と密着させ、有害物質検出用バイオセンサを構成し、これを図2に示すように30℃に設定された恒温槽に取り付けた。
まず、図2において、電磁弁13a、13c、13dを閉じた状態で電磁弁13bを開け、ゼロ点校正のための緩衝溶液(ホウ酸緩衝溶液:pH8〜9)と純水とを流し、微生物センサ6からのセンサ出力値Vを記憶した。
次に、電磁弁13dを開けて、フローセル内の基質(アンモニア性窒素)濃度が10mg/Lとなるように、緩衝溶液、純水、および基質溶液を流し、微生物センサ6からのセンサ出力値Vを記憶し、上記の(I)式を用いて酸素消費率を求め、冷蔵保存により低下した活性を酸素消費率が90〜100%まで早期回復させた。
次に、ポンプ11を制御して、酸素消費率が90%以下(フローセル内の基質濃度が4mg/L以下)となるように、基質溶液の流量を調整した。なお、固定化微生物膜の活性度の変動により、酸素消費率が50%以下になった場合は基質溶液の流量を上げて活性を上昇させ、酸素消費率が90%以上になった場合は基質溶液の流量を下げて活性を低下させた。また、溶存酸素電極の機能確認のため1回/1〜2日の頻度でゼロ校正を行った。
次に、電磁弁13bを閉じて電磁弁13cを開き、純水を試料水に替えて測定を開始した。なお、試料水としては、通常、脱塩素水道水を用い、感度試験時は、有害物質であるアセトン溶液(0.3%(V/V)、0.5%(V/V)、0.8%(V/V)の3種類)を用いた。
そして、このときのセンサ出力値Vより上記の(I)式及び(II)式を用いて酸素消費率及び阻害率を求めた。このときの酸素消費率及び阻害率を測定した結果を図5、表1に示す。
Figure 0004355560
なお、この実験は、有害物質の一例としてアセトンを用いたときの、アセトン濃度に対する特性試験である。また、併せて、酸素消費率が高く(ほぼ100%)、感度が下がっている状態から、基質濃度を下げて酸素消費率を低下(約90%)させることで、感度が回復することの確認も行っているモデル実験である。すなわち、通常の基質濃度は10mg/Lであるが、酸素消費率が100%近くまで上昇することで測定感度が低下した場合、基質濃度を3〜4mg/Lまで下げて酸素消費率を低下させる実験を行った。
図5、表1に示すように、上記の制御手法を実施する前(基質濃度10mg/L、酸素消費率100%)の有害物質アセトンに対する微生物センサの感度は、0.3%(V/V)、0.5%(V/V)の試料水における阻害率が警報発生レベル(阻害率約10%以上)以下であったのに対し、フローセル内の基質濃度を10mg/Lから3mg/Lに低下させ、酸素消費率を100%から90%程度に低下させることで、0.5%(V/V)の試料水では1時間程度、0.3%(V/V)の試料水でも12時間程度の短時間で、阻害率が警報発生レベルに到達し、感度を回復させることができた。
また、その後、フローセル内基質濃度を10mg/Lに戻した場合、酸素消費率は100%に再び上昇し、0.3%(V/V)、0.5%(V/V)の試料水の阻害率は警報発生レベル以下に再び低下したことから、微生物膜の活性および有害物質に対する感度を基質濃度により制御することが可能であった。
本発明の方法は、試料溶液の水質によらず微生物センサの有害物質に対する検出感度を短時間で最適に維持することができるので、例えば、微生物センサに使用している微生物の活性度が増大して、短期間で有害化学物質に対する検出感度の低下が起こりやすい大都市の汚濁河川水等の栄養成分が豊富な水を対象とした有害物質のモニタリングに好適に適用することができる。
本発明の方法に使用できる微生物センサの構成の一例を示す模式図である。 本発明の方法に使用できる微生物センサ応用水質計測器の構成の一例を示すフロー図である。 微生物センサの基質濃度と、酸素消費率及び阻害率との関係について測定した図である。 微生物センサの酸素消費率と阻害率との関係について測定した図である。 実施例における経過時間毎の酸素消費率及び阻害率を測定した図である。
符号の説明
1 固定化微生物膜
2 溶存酸素電極
3 リード線
4 フローセル
5 試料流路
6 微生物センサ
7 恒温槽
8 熱交換器
9 制御部
10 エアポンプ
11 流量可変ポンプ
12 定流量ポンプ
13a、13b、13c、13d 電磁弁
14 測定部

Claims (3)

  1. 微生物を固定化した膜と、溶存酸素電極とから構成される微生物センサを用い、前記微生物の基質を含む緩衝溶液と試料溶液とを混合した測定溶液を前記膜に接触させるように連続的に流し、前記溶存酸素電極からの出力の変化によって、前記試料溶液中の有害物質を検知する有害物質のモニタリング方法において、
    以下の(I)式で定義される酸素消費率を所定の範囲内に維持するように、前記測定溶液中の前記基質の濃度を制御することを特徴とする有害物質のモニタリング方法。
    酸素消費率(%)={(V−V)/V}×100 …(I)
    (上記(I)式において、Vは、有害物質及び基質を含まない緩衝溶液と純水とを流した際の微生物センサの電気的出力、Vは測定溶液を流した際の微生物センサの電気的出力を表す。)
  2. 前記酸素消費率が50〜90%となるように、前記測定溶液中の前記基質の濃度を制御する請求項1に記載の有害物質のモニタリング方法。
  3. 前記モニタリング中に、前記有害物質を含まない前記測定溶液を前記膜に接触させるように連続的に流す校正を行い、この校正時に前記基質の濃度の制御を行う請求項1又は2に記載の有害物質のモニタリング方法。
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