JP3134493B2 - 有機性排水の高温嫌気性処理方法 - Google Patents

有機性排水の高温嫌気性処理方法

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JP3134493B2 JP12730392A JP12730392A JP3134493B2 JP 3134493 B2 JP3134493 B2 JP 3134493B2 JP 12730392 A JP12730392 A JP 12730392A JP 12730392 A JP12730392 A JP 12730392A JP 3134493 B2 JP3134493 B2 JP 3134493B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の有機性排水の高温嫌気性
処理方法に係り、特に、有機性排水を高温酸生成槽に導
き、有機酸を生成させ、次いで高温酸生成槽の流出水を
高温メタン生成槽に導き、メタンを生成させる有機性排
水の高温嫌気性処理方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機性排水、特に、糖系排水の高
温嫌気性処理において、45℃以上60℃以下の高温領
域においても、メタン発酵工程の前段階で酸生成を行な
うことにより、メタン発酵槽の安定性を増し、槽負荷を
高めることができることが知られている。
【0003】しかして、このような2槽式の嫌気性処理
において、メタン発酵処理水を原水に混合することによ
り、酸生成槽に必要なpH調整剤(アルカリ)の節減を
図る方法が提案されている(特公平3−7439)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、
高温領域における酸生成及びメタン生成の2槽式嫌気性
処理において、酸生成工程、メタン生成工程のいずれに
ついても詳細な検討結果の報告がなされた例は少なく、
その好適な運転条件等については明確にされていないの
が現状である。
【0005】特に、pHの最適条件及び原水濃度に関す
る検討はなされておらず、このことが実装置設計及び運
転方法の確立の障害となっていた。
【0006】本発明は上記従来の実情に鑑みてなされた
ものであって、有機性排水を高温酸生成槽に導き、有機
酸を生成させ、次いで高温酸生成槽の流出水を高温メタ
ン生成槽に導き、メタンを生成させる有機性排水の高温
嫌気性処理方法において、 高温酸生成槽の反応を安定して効率的に進行させる
ための運転条件を明確にし、高温酸生成槽の容積を最小
化することでイニシャルコストを低減し、かつ、安定し
た高負荷運転を可能とする。又は 原水濃度を必要以上に希釈することなく酸生成及び
メタン発酵を効率的に行なう方法を提供し、昇温に必要
なエネルギーを最小限に抑制しつつ、メタン発酵工程を
効率的に行ない、更に、必要とするアルカリ量の低減効
果によりランニングコストを低減する。有機性排水の高
温嫌気性処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の有機性排水の
高温嫌気性処理方法は、有機性排水を高温酸生成槽に導
き、有機酸を生成させ、次いで該高温酸生成槽の流出水
を高温メタン生成槽に導き、メタンを生成させる有機性
排水の高温嫌気性処理方法において、前記高温酸生成槽
内の遊離有機酸濃度を400mg/l(即ち400pp
m)以下に調整することを特徴とする。
【0008】請求項2の有機性排水の高温嫌気性処理方
法は、請求項1の方法において、前記高温メタン生成槽
の流出水の一部を前記高温酸生成槽に循環させることを
特徴とする。
【0009】請求項3の有機性排水の高温嫌気性処理方
法は、有機性排水を高温酸生成槽に導き、有機酸を生成
させ、次いで該高温酸生成槽の流出水を高温メタン生成
槽に導き、メタンを生成させる有機性排水の高温嫌気性
処理方法において、前記高温メタン生成槽内のpHを6
〜7に調整することを特徴とする。
【0010】請求項4の有機性排水の高温嫌気性処理方
法は、有機性排水を高温酸生成槽に導き、有機酸を生成
させ、次いで該高温酸生成槽の流出水を高温メタン生成
槽に導き、メタンを生成させる有機性排水の高温嫌気性
処理方法において、前記高温酸生成槽内の遊離有機酸濃
度を400mg/l以下に調整するとともに、前記高温
メタン生成槽内のpHを6〜7に調整することを特徴と
する。
【0011】即ち、本発明者らは、2槽式の高温嫌気性
処理方法の運転方法及び処理条件を確立させるべく、高
温領域の酸生成特性及びメタン発酵特性について鋭意検
討を重ねた結果、高温酸生成槽においては遊離有機酸濃
度の総量が400mg/lを超える条件では有機酸生成
反応の速度が著しく損なわれ、一方、高温メタン生成槽
ではpHが7を超える環境では酢酸資化性メタン生成活
性が著しく損なわれることを見出し、この知見をもと
に、本発明を完成させた。
【0012】なお、本発明における高温嫌気処理の処理
温度範囲は、通常、45〜60℃の高温領域であり、2
0℃以上45℃未満の一般的な中温領域の嫌気処理に比
べて高い処理温度を採用する。
【0013】また、本発明の方法において、高温酸生成
槽は、懸濁式でも流動床式でも良く、また、UASB
(上向流式スラッジブランケット)式のものであっても
良い。
【0014】一方、高温メタン生成槽は、例えば、特公
平1−59037に開示される流動床式嫌気処理装置で
生成したペレット状の汚泥を高温で馴養して用いたUA
SB装置が好ましい。
【0015】
【作用】本発明者は、有機性排水の高温嫌気性処理方法
における高温領域の酸生成特性、特に反応の結果生成す
る有機酸の影響を明らかにするため、合成糖系排水を用
いた検討を行なった結果、遊離形態の有機酸濃度の総量
が400mg/lを超えるような条件では、高温酸生成
槽(ケモスタット槽)での有機酸生成が24時間を超え
ても充分に進まず、系が不安定で、実用的な運転が難し
くなることを見出した。この条件は20℃以上45℃未
満の中温領域で報告されている有機酸濃度よりも厳し
く、中温領域とは異なった運転方法が要求されることが
明らかになった。
【0016】従って、本発明の請求項1,4の方法で
は、高温酸生成槽において、酸生成が良好に進行する条
件として生成有機酸の遊離態濃度合計の上限を400m
g/lと定め、この条件を基に、この条件を満たすこと
ができるように、原水濃度及び高温酸生成槽のpH範囲
を規定し、安定して効率的な運転を行なう。
【0017】高温酸生成槽内の遊離有機酸濃度は、原水
の濃度及び高温酸生成槽の制御pH値、並びに滞留時間
によって定められるが、これらの制御因子を遊離態有機
酸濃度総量400mg/l以下を指標に制御することに
よって、ケモスタット槽のような比較的単純な装置形態
でも、酸生成反応を安定して維持し、実用に耐える速度
での運転が可能になる。
【0018】実際の装置の制御形態は、原水有機物質の
濃度、生成有機酸成分の種類の検討、及び関連する生物
分解速度の評価をもとに、遊離有機酸濃度を400mg
/lに抑えるような制御条件を予め設定するものであっ
ても、装置を運転しながらオンラインで遊離有機酸濃度
を評価して運転条件を変えるものであっても良く、高温
酸生成槽の遊離有機酸濃度を400mg/l以下とする
ための具体的な手法は問わない。
【0019】また、本発明者らは、有機性排水の高温嫌
気性処理方法における高温メタン生成槽のメタン生成特
性について検討を行なった結果、高温メタン生成槽のp
Hが7を超える高pH領域では、酢酸資化メタン生成活
性が低下し、処理効率が低下することを見出した。
【0020】従って、請求項3,4の方法においては、
高温メタン生成槽のpHは6〜7、好ましくは6.0以
上6.8未満とする。
【0021】なお、本発明において、高温酸生成槽内の
遊離有機酸濃度の測定法としては、次のような方法が挙
げられる。即ち、液体クロマトグラフィーにより、酢
酸、プロピオン酸、酪酸等の濃度を測定し、これらの酸
のpKa値と、酸生成槽のpH値から、遊離有機酸濃度
を求める。
【0022】また、次のような酸、アルカリ滴定を利用
する簡便法も用いることができる。即ち、嫌気性処理で
の酸生成工程のように、解離状態で存在する有機酸の種
類が限定されているような系では、酸滴定及びアルカリ
滴定値を用いておおよその有機酸量を推定できることが
知られている。通常、良好に運転されている酸生成槽で
存在する有機酸は、酪酸、酢酸、プロピオン酸などが主
体となっており、これらの酸のpKa値はいずれも4.
8前後であることを利用する。
【0023】操作は概略以下のような手順に従う。ま
ず、一定量の高温酸生成槽内液に、酸を加え、pHを一
旦所定の値(例えば1.5)にまで低下させる。この時
点で、アルカリ度測定に影響を与える溶存炭酸ガスは除
去される。その後、アルカリ滴定を行ない、pH4.8
前後のアルカリ要求量を滴定曲線から測定する。存在す
る酸のpKaはいずれも4.8前後であることから存在
する有機酸総量がアルカリ要求量から推定することが可
能である。これらの測定は、pH計と連動した自動滴定
装置があれば直ちに可能な操作であり、解析のためのパ
ーソナルコンピュータを付属させればリアルタイムで有
機酸濃度を推定することができる。
【0024】請求項2の方法では、請求項1の方法にお
いて、高温メタン生成槽の流出水の一部を高温酸生成槽
に循環させる。この流出水循環による作用機構は以下の
通りである。
【0025】即ち、前述の如く、酸生成反応において良
好な速度を維持するためには、遊離の有機酸濃度が40
0mg/lを超えることがないように、高温酸生成槽の
原水の濃度をより薄くするか、もしくは、制御pHの値
を高くするか、いずれかの制御が必要となる。
【0026】今、原水中の糖成分としてグルコースやシ
ュークロースなどの生分解が問題とならない物質を仮定
すると、この遊離の有機酸濃度から、酸生成槽のpHに
応じたおおよその許容原水糖濃度を求めることができ
る。例えば、グルコースをモデル基質として実験的に検
討した結果を基に、有機酸を酪酸(pKa=4.90
1)で代表し、糖の有機酸総量への変換率(40.25
%)から逆算すると、高温酸生成槽で酸生成可能なグル
コース濃度は、pH4.5では1400mg/l、pH
5.0では2200mg/l、pH5.5では4900
mg/l、pH6.0では13000mg/l程度とな
る。
【0027】一方、常温排水の高温嫌気処理の場合、当
該処理における原水に含有される有機物質から発生させ
たメタンでの昇温を前提とすると、原水COD濃度は1
0000mg/l以上である必要があるが、この場合、
高温酸生成槽のpHは5.8前後に制御する必要があ
る。なお、高温酸生成槽内部でのメタン発酵を抑制する
ためには、pHを6.0以下にすることが望ましいこと
はよく知られている。
【0028】更に、高温酸生成槽のpHは、後工程の高
温メタン生成槽のpHから規定されることも考慮する必
要がある。一般に、高温メタン生成槽では、高温酸生成
槽における有機酸成分が消費されるため、カウンタイオ
ンであるアルカリ成分が残留しpHは上がる傾向にあ
る。また、原水中のNやSの含有量も多ければpHが上
がる方向に働くため、高温酸生成槽で必要以上にpHを
上げると、高温メタン生成槽でのpH上昇を招き、メタ
ン生成活性に影響を与える。即ち、本発明者らの研究に
より、メタン生成槽は、pH7を超える高pH領域で
は、酢酸資化メタン生成活性が低下することが判明し
た。特に、高温嫌気ではこの問題は重要になる。この意
味では、原水の濃度が低い方が高温酸生成槽でのpH上
昇のために加えるアルカリ量が低下し、結果的に高温メ
タン生成槽でのpH上昇も抑えられるため有利であるこ
とになる。
【0029】以上の知見をまとめると、高温嫌気処理に
おいて、原水の昇温エネルギーを低減すること、及び、
高温酸生成槽での滞留時間をより長く取るという観点か
らは、原水はできるだけ希釈せず高濃度のまま処理を行
なうことが望ましい。反面、高温酸生成槽での菌体当り
の処理速度や高温メタン生成槽でのpHの上昇を抑制す
ることを考慮すると原水の濃度は低い方が良いことにな
る。このような相反する条件に対する一つの解決策とし
て、請求項2の方法では、高温メタン生成槽の流出水を
高温酸生成槽の流入水の希釈水として循環して用いる。
これにより、高温酸生成槽のpH及び高温メタン生成槽
のpHを適切な値に制御するため、原水を過度に希釈す
る必要がなくなり、従って、昇温に要するエネルギーも
最小限に抑えることが可能となる。また、アルカリ消費
量も低減される。
【0030】なお、この場合、更に、原水のNやSの濃
度をも考慮した上で、原水の最適な希釈倍率を決定する
ことが重要である。本発明では、高温酸生成槽の遊離有
機酸量及び高温メタン生成槽のpH(前述の如く、pH
6〜7とする。)をもとに最適な循環比率を定めること
が好ましく、循環比率は以下のような条件を基に定める
のが好適である。
【0031】 高温酸生成槽における原水濃度を10
000mg−COD/l以下にするように、循環水量を
定める。この条件下では、遊離有機酸の合計濃度を40
0mg/l以下に抑えても、pHを5.8以下に抑制で
き、高温酸生成槽内でのメタン発酵を抑制しつつ酸生成
を良好に維持することができる。
【0032】 の条件で酸生成を行なった場合に、
高温メタン発酵槽内のpHが7を超える場合には、更に
循環水量を上げ、高温酸生成槽でのアルカリ添加量を減
少させ、高温メタン発酵槽のpHを低下させる。
【0033】 原水濃度が10000mg−COD/
lよりも低い場合に関しても、高温酸生成槽でのアルカ
リ消費量を低減するために、高温酸生成槽流入水の濃度
を低下させる目的で循環を行なうことが望ましい。この
場合の循環量は、過大な循環による動力エネルギーの増
加や、循環水と原水との合計流速を元にした見かけの滞
留時間の低下による短絡流の防止などの観点から、原水
流量の3倍を限度とするのが適当である。
【0034】また、上記〜の運転条件から、原水濃
度についても次のような条件が定められる。 原水の濃度の上限は40000mg−COD/l程
度と考えられ、それ以上の濃度をもつ原水は40000
mg−COD/l以下になるように希釈を行なう。
【0035】
【実施例】以下に図面を参照して本発明の実施例につい
て詳細に説明する。図1は本発明の一実施方法を示す系
統図である。
【0036】図中、1は高温酸生成槽、2は高温メタン
生成槽であり、原水は、ポンプP1を備える配管11を
経て高温酸生成槽1に導入され、高温酸生成槽1の流出
水はポンプP2 を備える配管12を経て高温メタン生成
槽2に導入され、この高温メタン生成槽2の流出水の一
部はポンプP3 を備える配管13、11を経て高温酸生
成槽1に循環され、残部は処理水として配管14より系
外へ排出される。高温酸生成槽1及び高温メタン生成槽
2には、それぞれ、NaOH貯槽3,4内のNaOH水
溶液がポンプP4 ,P5 を備える配管15,16を経て
供給される。このポンプP4 ,P5 は各々高温酸生成槽
1及び高温メタン生成槽2に設けたpHコントローラ
5,6に連動する構成とされている。
【0037】本実施例においては、原水を配管13を経
て返送される高温メタン生成槽2からの循環水と共に、
高温酸生成槽1に導入し、酸生成させる。
【0038】ここで、原水は、40000mg−COD
/l以下であることが好ましく、原水COD濃度が40
000mg/lを超える場合には、予め希釈を行なう。
【0039】また、高温酸生成槽1への流入水のCOD
濃度は10000mg/lとなるように、循環水量を調
整する。なお、この循環水量は、原水量の3倍以下とす
るのが好ましい。
【0040】高温酸生成槽1においては、原水濃度、循
環水量、流入水濃度、滞留時間及びpHの関係におい
て、遊離有機酸濃度が400mg/l以下となるように
適宜調整を行なう。なお、高温酸生成槽1内のpHは、
前述の如く、メタン発酵の抑制のために6.0以下とす
るのが好ましい。
【0041】高温酸生成槽1の流出水は次いで配管12
より高温メタン生成槽2に導入され、メタン発酵が行な
われる。この高温メタン生成槽2内のpHは、6〜7、
好ましくは6.0以上6.8未満とするように制御す
る。
【0042】しかして、高温メタン生成槽2の流出水の
一部は配管13より循環水として返送すると共に、残部
は配管14より処理水として排出する。
【0043】本実施例の方法によれば、高温酸生成槽に
おける酸生成効率及び高温メタン生成槽におけるメタン
生成効率を共に高く維持して、低コストにて効率的な処
理が行なえる。
【0044】以下に具体的な実験例及び実施例を挙げ
て、本発明をより詳細に説明する。 実験例1 遊離有機酸濃度の高温酸生成への影響をみるために、1
0g/lの濃度のグルコースを単一炭素原とする合成糖
系排水(過剰量のN,P及び微量金属を添加)をモデル
排水として、pHの高温酸生成への影響を検討した。
【0045】酸生成槽として1.05リットル容のケモ
スタット槽を使用し、温度55℃でpHは4.0、4.
5、5.0、5.5、5.8を下限に、1N NaOH
で各々調整を行なった。表1は、各条件での90%の糖
分解率を目安にした最短滞留時間であるが、実用的には
上限と考えられる24時間の滞留時間でも、pH5.0
以下の条件ではpHが5.0以下に下がるにも至らず系
は維持できなかった。pHを5.5に上げた条件でも系
は非常に不安定で、菌体のウオッシュアウトがしばしば
観察された。
【0046】pHを5.8に上げると系を維持すること
が可能になり、この場合最小滞留時間は10時間となっ
た。このpH5.8近傍での酸生成状況の大きな変化
は、遊離有機酸の濃度の影響を示唆しており、この場合
の遊離有機酸濃度の合計は400mg/lであった。
【0047】
【表1】
【0048】実施例1 原水がグルコースやシュークロースなどの易分解性の糖
基質からなっている場合は、400mg/lの遊離有機
酸濃度の上限値から、原水濃度と高温酸生成槽制御pH
の望ましい領域を規定することができる。その領域を図
2に示す。なお、図2は、高温酸生成が良好に行なわれ
る、遊離有機酸濃度400mg/l以下の領域をハッチ
で示す、原水糖濃度とpHとの関係を示すグラフであっ
て、糖当たりの有機酸生成量の割合は、実際の結果から
0.3g−有機酸/g−糖とし、検討時に主な生成有機
酸成分となった酪酸のpKa値4.9を使用して求めた
ものである。本実施例では、この条件をもとに、図1に
示す本発明に従って、高温酸生成槽の運転条件を定め、
易分解性の糖系排水に対して高負荷処理を実施した例を
示す。
【0049】原水COD濃度は平均で7960mg/l
であったが、高温メタン生成槽からの処理水を用いて高
温酸生成槽への流入原水を3倍に希釈した(即ち、循環
水量は原水流量の2倍)。酸生成槽への流入CODは平
均2480mg/lであるので、図2のハッチで示した
領域より、pHは5.1以上に制御した。温度は55℃
とした。
【0050】高温酸生成槽の滞留時間5〜10時間で酸
生成を行ない、高温メタン生成槽への原水としたが、9
5%以上の糖分解率を安定して維持することが可能であ
り、メタン生成槽での汚泥負荷を3.5kg−COD/
kg−VSS/dayに高めることが可能であった。
【0051】別の検討から得られている1槽方式での、
糖基質に対する最大汚泥負荷は0.9kg−COD/k
g−VSS/dayであり、明らかな効果が認められ
た。また、高温酸生成槽の処理水を循環しない場合(原
水COD7960mg/l,pH5.7)に予想された
アルカリ消費量0.2g−NaOH/lは、処理水の循
環により0.1g−NaOH/lに低減されることも確
認された。なお、実施例での各部の平均COD値を表2
に、また、メタン生成槽の最大汚泥活性を1槽方式の場
合と比較して表3に、更に、アルカリ消費量を、処理水
の循環を行なわない場合に比較して表4に、それぞれ示
す。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】実施例2 図1に示す方法において、高温メタン生成槽のpHを表
5及び図3に示す値にそれぞれ制御して、各々のpH値
に対する酢酸資化メタン生成活性を求め結果を表5、図
3に示した。表5、図3より、高温メタン生成槽のpH
を6〜7、特に6.8未満に調整することにより、メタ
ン生成活性が著しく高められることが明らかである。
【0056】
【表5】
【0057】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の有機性排
水の高温嫌気性処理方法によれば、有機性排水を高温酸
生成槽に導き、有機酸を生成させ、次いで高温酸生成槽
の流出水を高温メタン生成槽に導き、メタンを生成させ
る有機性排水の高温嫌気性処理方法において、 高温領域においても、酸生成反応を安定して維持
し、実用的な反応速度を得ることができる。 高負荷な酸生成を安定して維持できるため、糖系排
水でも高負荷なメタン生成反応が実現できる。 ,より、高温酸生成槽の容積を低減することが
でき、イニシャルコストの低減が図れる。
【0058】等の効果が奏される。
【0059】請求項2の有機性排水の高温嫌気性処理方
法によれば、 高温酸生成槽及び高温メタン生成槽のpH制御に必
要なアルカリ消費量の低減が図れる。 原水を必要以上に希釈する必要がなくなり、昇温に
要するエネルギーを最小限に抑えることができる。 等の効果が奏される。
【0060】請求項3の有機性排水の高温嫌気性処理方
法によれば、 高温メタン生成槽のメタン生成活性が大幅に高めら
れ、処理効率が向上する。 等の効果が奏される。
【0061】請求項4の有機性排水の高温嫌気性処理方
法によれば、上記請求項1,3の方法による効果がとも
に奏され、より一層効率的な処理及び安定した高負荷運
転が可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性排水の高温嫌気性処理方法の一
実施方法を示す系統図である。
【図2】原水濃度と高温酸生成槽制御pHとの好適領域
を示すグラフである。
【図3】実施例2の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 高温酸生成槽 2 高温メタン生成槽 3,4 NaOH貯槽 5,6 pHコントローラ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性排水を高温酸生成槽に導き、有機
    酸を生成させ、次いで該高温酸生成槽の流出水を高温メ
    タン生成槽に導き、メタンを生成させる有機性排水の高
    温嫌気性処理方法において、 前記高温酸生成槽内の遊離有機酸濃度を400mg/l
    以下に調整することを特徴とする有機性排水の高温嫌気
    性処理方法。
  2. 【請求項2】 前記高温メタン生成槽の流出水の一部を
    前記高温酸生成槽に循環させることを特徴とする請求項
    1に記載の有機性排水の高温嫌気性処理方法。
  3. 【請求項3】 有機性排水を高温酸生成槽に導き、有機
    酸を生成させ、次いで該高温酸生成槽の流出水を高温メ
    タン生成槽に導き、メタンを生成させる有機性排水の高
    温嫌気性処理方法において、 前記高温メタン生成槽内のpHを6〜7に調整すること
    を特徴とする有機性排水の高温嫌気性処理方法。
  4. 【請求項4】 有機性排水を高温酸生成槽に導き、有機
    酸を生成させ、次いで該高温酸生成槽の流出水を高温メ
    タン生成槽に導き、メタンを生成させる有機性排水の高
    温嫌気性処理方法において、 前記高温酸生成槽内の遊離有機酸濃度を400mg/l
    以下に調整するとともに、前記高温メタン生成槽内のp
    Hを6〜7に調整することを特徴とする有機性排水の高
    温嫌気性処理方法。
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