JP7426041B2 - セレン含有水の処理方法およびセレン含有水の処理装置 - Google Patents

セレン含有水の処理方法およびセレン含有水の処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、セレン含有水中に含まれるセレン酸イオンおよび亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つを除去する、セレン含有水の処理方法および処理装置に関する。
セレン含有水中において、セレンは、通常、セレン酸イオン(SeO 2-:6価セレン)または亜セレン酸イオン(SeO 2-:4価セレン)の形態で溶存している。なお、これらのイオンがセレン含有水中に単独で存在することもあるが、通常は、両者が共存している場合が多い。
セレン含有水中に含まれるセレン酸イオンおよび亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つ(以下、これらを「溶解性セレン」ということもある)を除去する方法として、従来の物理化学的処理方法の他に、生物学的処理方法が近年知られるようになった。
生物学的処理方法では、通性嫌気条件(溶存酸素が実質的に存在しない条件)および水素供与体としての有機物(例えば、メタノール等)の存在下において、セレン酸イオンおよび亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つの結合酸素(SeO 2-のO、SeO 2-のO)を利用して微生物が呼吸を行うことにより、セレン酸イオンおよび亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つを分子状セレンに還元処理する。セレン含有水中に有機物が含まれている場合は、それを活用し、不足分は外部添加することで補うことが可能である。
例えば、特許文献1には、滞留時間を12時間未満に制御して、セレン含有水を通性嫌気性条件下および有機物の存在下で多孔質の流動担体に保持された生物汚泥と接触させる方法が記載され、セレン含有水中に硝酸性窒素や亜硝酸性窒素が含まれる場合には、セレン処理を行う槽の前段に脱窒槽を設けることが記載されている。しかし、特許文献1の方法では、反応槽が増加してしまう。
また、特許文献2には、脱窒菌を含む生物汚泥を活用し、セレン処理を行う槽の酸化還元電位(ORP)を脱窒等が起こるよりもはるかに強い嫌気度である-50mV以下とすることによってセレン酸イオンおよび亜セレン酸イオンを還元処理する方法が記載されている。酸化還元電位を-50mV以下にする方法としては、例えば、有機物の添加量を多くすることにより、酸化還元電位が低下し、嫌気度が高くなるとされている。しかし、特許文献2の方法では、有機物の添加量が反応当量よりも過剰となることがある。
これらのいずれの方法も、セレンの還元処理では、セレン化合物の還元を阻害しない程度の酸素(分子状酸素ではなく、硝酸、亜硝酸、炭水化物、有機酸、硫酸等の形で含まれる酸化剤となりうる酸素)の混入しか許容できないとされている。
よって、セレン含有水中に硝酸性窒素や亜硝酸性窒素が含まれる場合には、反応槽の増加、硝酸性窒素や亜硝酸性窒素の混入量の制限、水素供与体としての有機物の過剰添加等が課題であり、また、高濃度の硝酸性窒素や亜硝酸性窒素が含有するセレン含有水への上記方法の適用性は明らかにされていない。さらに、同一反応槽でセレンの還元処理と硝酸、亜硝酸の還元処理を実施する場合、どちらの処理も水素供与体が必要であり、水素供与体が不足するとどちらも処理性能が低下してしまい、かつセレンはリアルタイムに測定することができないことからセレンの検知方法が課題である。
特開2015-024360号公報 特開平8-323391号公報
本発明の目的は、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つが含まれるセレン含有水において、水素供与体の過剰添加を抑えつつ、同一反応槽で効率的に硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、およびセレン酸イオン、亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つを還元処理することができる処理方法および処理装置を提供することにある。
本発明は、硝酸性窒素およびセレン酸イオンが含まれる溶解性セレン含有水、または硝酸性窒素亜硝酸性窒素およびセレン酸イオンが含まれる溶解性セレン含有水に対し、同一の反応槽にて水素供与体の存在下で、前記硝酸性窒素を窒素ガスに、または前記硝酸性窒素および前記亜硝酸性窒素を窒素ガスに、前記セレン酸イオンを分子状セレンに還元処理を行う生物反応工程において、処理水中または前記反応槽中の硝酸性窒素の濃度を測定することによって前記処理水中のセレン酸イオン濃度を推定し、かつ前記測定した硝酸性窒素の濃度に基づいて前記セレン含有水への前記水素供与体の添加量を調整する、セレン含有水の処理方法である。
前記セレン含有水の処理方法において、前記セレン含有水中のSe濃度は2mg/L以下であり、硝酸性窒素濃度は150mg/L以下であることが好ましい。
前記セレン含有水の処理方法において、前記処理水中または前記反応槽中の硝酸性窒素の濃度が4mg/L以下となるように前記セレン含有水へ前記水素供与体を添加することが好ましい。
前記セレン含有水の処理方法における前記生物反応工程において、多孔質の流動担体に保持された生物汚泥と前記セレン含有水とを接触させ、前記流動担体は、親水性のポリビニルアルコール担体であることが好ましい。
本発明は、硝酸性窒素およびセレン酸イオンが含まれる溶解性セレン含有水、または硝酸性窒素亜硝酸性窒素およびセレン酸イオンが含まれる溶解性セレン含有水に対し、同一の反応槽にて水素供与体の存在下で、前記硝酸性窒素を窒素ガスに、または前記硝酸性窒素および前記亜硝酸性窒素を窒素ガスに、前記セレン酸イオンを分子状セレンに還元処理を行う生物反応手段と、処理水中または前記反応槽中の硝酸性窒素の濃度を測定する硝酸性窒素測定手段と、前記測定した硝酸性窒素の濃度から前記処理水中のセレン酸イオン濃度を推定するセレン濃度推定手段と、前記測定した硝酸性窒素の濃度に基づいて前記セレン含有水への前記水素供与体の添加量を調整する水素供与体添加量調整手段と、を備える、セレン含有水の処理装置である。
前記セレン含有水の処理装置において、前記セレン含有水中のSe濃度は2mg/L以下であり、硝酸性窒素濃度は150mg/L以下であることが好ましい。
前記セレン含有水の処理装置において、前記水素供与体添加量調整手段は、前記処理水中または前記反応槽中の硝酸性窒素の濃度が4mg/L以下となるように前記セレン含有水へ前記水素供与体を添加するように調整することが好ましい。
前記セレン含有水の処理装置において、前記生物反応手段は、多孔質の流動担体に保持された生物汚泥と前記セレン含有水とを接触させるものであり、前記流動担体は、親水性のポリビニルアルコール担体であることが好ましい。
本発明では、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つが含まれるセレン含有水において、水素供与体の過剰添加を抑えつつ、同一反応槽で効率的に硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、およびセレン酸イオン、亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つを還元処理することができる。
本発明の実施形態に係るセレン含有水の処理装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態に係るセレン含有水の処理装置の他の例を示す概略構成図である。 実施例1~3、比較例1における、処理水硝酸イオン濃度(mg-N/L)とセレン酸イオン濃度(mg-Se/L)の関係を示すグラフである。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係るセレン含有水の処理装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。また、図2に、本実施形態に係るセレン含有水の処理装置の他の例を示す。図2は、担体を利用した処理装置の一例を示す。
図1に示すセレン含有水の処理装置1は、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つが含まれるセレン含有水に対し、同一の反応槽にて水素供与体の存在下で、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つを窒素ガスに、セレン酸イオンおよび亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つを分子状セレンに還元処理を行う生物反応手段として、生物処理槽10と、処理水中または反応槽中の硝酸性窒素の濃度を測定する硝酸性窒素測定手段として、硝酸性窒素測定装置20と、測定した硝酸性窒素の濃度から処理水中のセレン濃度を推定するセレン濃度推定手段として、制御装置14と、を備える。
図1のセレン含有水処理装置1において、生物処理槽10の入口には被処理水配管22が接続され、出口には処理水配管24が接続されている。生物処理槽10には、モータ等の回転駆動手段および撹拌羽根等を有する撹拌手段として撹拌装置18が設置されている。また、生物処理槽10には、硝酸性窒素測定手段として硝酸性窒素測定装置20が設置され、水素供与体供給手段として水素供与体貯槽12がポンプ16を介して水素供与体配管26により接続されている。硝酸性窒素測定装置20は、処理水配管24に設置されていてもよい。硝酸性窒素測定装置20とポンプ16には制御装置14が電気的接続手段等により接続されていてもよい。
図2に示すセレン含有水の処理装置3は、多孔質の担体30が充填された生物処理槽10を備える。生物処理槽10の内部の出口付近には、担体30が出口から処理水配管24へ流出するのを抑制するための流出抑制手段としてスクリーン28が設置されている。
本実施形態に係るセレン含有水の処理方法およびセレン含有水の処理装置1,3の動作について説明する。
セレン含有水の処理装置1において、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つと、セレン酸イオンおよび亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つ(溶解性セレン)とを含む被処理水であるセレン含有水は必要に応じて被処理水槽へ貯留された後、被処理水配管22を通して、生物処理槽10へ供給される。生物処理槽10において、撹拌装置18により内容物が撹拌されながら、水素供与体の存在下で、セレン酸還元菌等の生物汚泥により、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つが窒素ガスに、溶解性セレンが不溶性の分子状セレンに還元される(生物反応工程)。セレン含有水中に水素供与体が所定量含まれていない場合には、生物処理槽10へ水素供与体貯槽12からポンプ16により水素供与体配管26を通して水素供与体が供給される(水素供与体供給工程)。生物処理された生物処理水は、処理水配管24を通して処理水として排出される。ここで、硝酸性窒素測定装置20によって処理水中または生物処理槽10中の硝酸性窒素の濃度が測定され(硝酸性窒素測定工程)、測定された硝酸性窒素の濃度に基づいて処理水中のセレン濃度が推定される(セレン濃度推定工程)。測定された硝酸性窒素の濃度に基づいてポンプ16による水素供与体の添加量が調整されてもよい(水素供与体添加量調整工程)。制御装置14によって、測定された硝酸性窒素の濃度に基づいて処理水中のセレン濃度が推定され、測定された硝酸性窒素の濃度に基づいてポンプ16による水素供与体の添加量が調整されてもよい。
セレン含有水の処理装置3において、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つと、セレン酸イオンおよび亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つ(溶解性セレン)とを含む被処理水であるセレン含有水は必要に応じて被処理水槽へ貯留された後、被処理水配管22を通して、多孔質の担体30が充填された流動床式等の生物処理槽10へ供給される。生物処理槽10において、撹拌装置18により内容物が撹拌されながら、水素供与体の存在下で、多孔質の担体30に付着、保持されたセレン酸還元菌等の生物汚泥により、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つが窒素ガスに、溶解性セレンが不溶性の分子状セレンに還元される(生物反応工程)。セレン含有水中に水素供与体が所定量含まれていない場合には、生物処理槽10へ水素供与体貯槽12からポンプ16により水素供与体配管26を通して水素供与体が供給される(水素供与体供給工程)。生物処理された生物処理水は、処理水配管24を通して処理水として排出される。ここで、硝酸性窒素測定装置20によって処理水中または生物処理槽10中の硝酸性窒素の濃度が測定され(硝酸性窒素測定工程)、測定された硝酸性窒素の濃度に基づいて処理水中のセレン濃度が推定される(セレン濃度推定工程)。測定された硝酸性窒素の濃度に基づいてポンプ16による水素供与体の添加量が調整されてもよい(水素供与体添加量調整工程)。制御装置14によって、測定された硝酸性窒素の濃度に基づいて処理水中のセレン濃度が推定され、測定された硝酸性窒素の濃度に基づいてポンプ16による水素供与体の添加量が調整されてもよい。
生物処理槽10において、図2に示すように、生物処理槽10に担体30を投入し、微生物が流動する担体30上に保持されることで、被処理水と微生物の接触効率が高くなり、高負荷運転可能となるほか、汚泥の管理が容易となる。
セレン含有水の処理装置1,3の例では、制御装置14が、測定した硝酸性窒素の濃度から処理水中のセレン濃度を推定するセレン濃度推定手段、および、測定した硝酸性窒素の濃度に基づいて前記セレン含有水への水素供与体の添加量を調整する水素供与体添加量調整手段として機能する。
本発明者らは、本実施形態により、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つが含まれるセレン含有水において、水素供与体の過剰添加を抑えつつ、同一反応槽で効率的に硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、およびセレン酸イオン、亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つを還元処理することが可能となることを見出した。処理水中の硝酸性窒素の残存濃度から水素供与体の過不足を判断することができ、かつ処理水中の硝酸性窒素の残存濃度がセレンの処理性能と関連することが明らかとなった。
本実施形態に係るセレン含有水の処理方法は、セレン含有水を生物汚泥と接触させることにより、セレン含有水中の溶解性セレンを還元して無害化する。このときSe6+はSe4+を経てSeおよびSe2-のうち少なくとも1つに還元されるものと推定される。
上記の反応では、生物汚泥が分子状酸素ではなくセレン酸イオンまたは亜セレン酸イオンの形で含まれる結合酸素を用いて電子受容体とし、セレン酸イオンまたは亜セレン酸イオンが還元される。基質としては有機物等の水素供与体が用いられ、セレン含有水に含まれていればそのまま利用できるが、所定量含まれていなければ、例えばメタノール等の有機物等の水素供与体が別途添加されてもよい。
処理対象となるセレン含有水としては、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つと、セレン酸イオン(SeO 2-:6価セレン)および亜セレン酸イオン(SeO 2-:4価セレン)のうち少なくとも1つ(溶解性セレン)とを含む排水またはその他の水である。セレン含有水は、溶解性セレンの他に、セレン単体を含んでいてもよい。
セレン含有水としては、例えば、金属精錬工業排水、ガラス工業排水、火力発電所排水、鉱山排水、化学工業排水、および石炭、石油または燃焼排ガス処理プロセスの排水等が挙げられる。本実施形態に係るセレン含有水の処理方法および処理装置は、特に、石炭火力発電所脱硫排水に好適に適用される。これらのセレン含有水中にはセレン化合物や硫酸塩以外に有機物、窒素化合物等が含まれていてもよい。
セレン含有水中のセレン酸イオンの濃度は、特に制限はないが、例えば、0.1~10mg-Se/Lの範囲であり、亜セレン酸イオンの濃度は、例えば、0.1~10mg-Se/Lの範囲であるが、これらの範囲に限定されるものではない。特に、溶解性セレンを全セレンとして例えば2mg-Se/L以下、好ましくは0.1~2mg-Se/Lの範囲の濃度で含むセレン含有水を処理する場合に好適に適用される。
セレン含有水中に含まれる亜硝酸性窒素濃度、硝酸性窒素濃度に特に制限はないが、例えば硝酸性窒素濃度として150mg-N/L以下であり、好ましくは30~150mg-N/Lの範囲、より好ましくは60~150mg-N/Lの範囲で含むセレン含有水を処理する場合に好適に適用される。
水素供与体としては、被処理水中に含まれている有機物等が利用できるが、不足する場合は水素供与体を外部より供給してもよい。亜硝酸性窒素濃度、硝酸性窒素濃度が比較的高い場合は、水素供与体が不足する場合が多いので、水素供与体を外部より供給すればよい。
外部より供給する水素供与体としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸等の有機酸類、水素ガス、アセトン、グルコース、エチルメチルケトン、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等の有機物等のうち1つまたは複数が挙げられるが、これに限定されるものではなく、水素供与体として従来公知のもの全てを使用することができる。臭気や取扱い、価格等の点から、メタノールが好ましい。
セレン含有水中に水素供与体が含まれていない場合の水素供与体の添加量は、例えばメタノールであれば硝酸性窒素量に対して、2.5~4倍程度を添加すればよく、最終的な水素供与体の添加量は処理水の硝酸性窒素および、そこから推定されるセレン濃度に応じて変化する。
測定した硝酸性窒素の濃度に基づいてセレン含有水への水素供与体の添加量を調整することが好ましい。例えば、硝酸性窒素上昇時に水素供与体添加量を増加させ、セレン処理濃度を低下させればよい。例えば、処理水中または生物処理槽10中の硝酸性窒素の濃度が4mg/L以下となるようにセレン含有水へ水素供与体を添加すればよい。被処理水(原水)であるセレン含有水の硝酸性窒素の濃度に基づいて、セレン含有水への水素供与体の添加量を推定することも想定できる。しかし、本発明者らは、反応槽(生物処理槽10)内の硝酸性窒素の管理が重要であることを見出している。これは反応槽内の滞留時間や温度の変化によって、水素供与体が脱窒やセレン処理に利用されず、単なる有機物(水素供与体)分解が生じる量が変化するためと考えている。そのため、反応槽内の硝酸性窒素濃度をモニタリングすることで、硝酸性窒素濃度の上昇、すなわち水素供与体の不足を検知することがより的確で好ましいと考えた。そして、この水素供与体の不足を抑制することがセレン処理に重要である。
硝酸性窒素測定装置20としては、硝酸イオン電極を用いてもよく、全窒素濃度(T-N)計を用いて測定される全窒素(T-N)から硝酸濃度を推定してもよい。硝酸性窒素測定装置20としては、特に硝酸イオン電極を用いることが好ましい、硝酸イオン電極では、濃度がリアルタイムで測定できるため、水質の変化に迅速に対応できる。すなわち、従来困難とされているセレン濃度のモニタリングを間接的に行うことができ、窒素とセレンの処理水管理を同時に行うことができる。
生物処理槽10を上向流式とする場合は、処理水の一部を処理水配管24から被処理水配管22に循環する循環配管を備えてもよく、完全混合式とする場合は、撹拌手段としてモータ等の回転駆動手段および撹拌羽根等を有する撹拌装置を備えてもよい。pHの制御が容易である点を考慮すると、完全混合式の方が好ましい。
生物処理槽10の水温は、例えば、15~40℃の範囲に維持されることが好ましい。
生物処理槽10における還元反応に伴いpHが上昇する場合は、塩酸や硫酸等の酸またはアルカリ剤等を添加し、pH6.0~8.5に維持されることが好ましい。
生物処理槽10における滞留時間は、例えば、1時間~24時間の範囲である。生物処理槽10における滞留時間が1時間未満であると、還元反応が進まない場合があり、24時間を超えると、過剰となる。生物処理槽10における滞留時間の制御は、例えば、生物処理槽10の内容積、生物処理槽10への被処理水の供給量等の調整等によって行われる。
担体30については、従来から嫌気性条件下で使用される担体であれば特に限定されるものではなく、例えば、多孔質のプラスチック製担体、スポンジ状担体、ゲル状担体等が挙げられる。特に、担体30として、ゲル状担体を用いることによって、還元時に発生するガスによる担体の浮上を抑制し、また、撹拌による担体の流動性も高いため、プラスチック製担体、スポンジ状担体と比較して、高負荷処理が可能となる。
ゲル状担体としては、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリウレタン等を含む吸水性高分子ゲル状担体等が挙げられる。
また、担体における汚泥の維持方法として、あらかじめ担体内部に汚泥を包括固定化する方法や、担体と種汚泥を生物処理槽に投入し、担体上に生物膜を形成させる方法等があり、被処理水との接触効率を多くし、活性を高く保つ点で担体上に生物膜を形成させる方法が好ましい。特に多孔質の親水性ポリビニルアルコールは付着量が多く、流動性も良好である。
担体30の形状は、特に限定されるものではないが、1mm~10mm程度の球状または立方体状(キューブ状)、長方体、円筒状等のものが好ましい。特に、3~8mm程度の球状、または円筒状のゲル状担体が好ましい。生物処理槽10の内部で流動状態を形成しやすくするために、担体30の比重は少なくとも1.0より大きく、真比重として、1.1以上、あるいは見かけ比重として1.01以上のものが好ましい。
担体法を用いる場合の撹拌方法として、生物処理槽10の内部に略垂直に設置され、上下が開口したドラフトチューブを設置し、ドラフトチューブ内側に下降流、ドラフトチューブ外側に上向流が形成するよう縦型撹拌機や水中エアレータを用いてもよい。
生物処理槽10への担体30の投入量は、生物処理槽10の容積に対して、10~70%の範囲が好ましい。担体30の投入量が生物処理槽10の容積に対して10%未満であると反応速度が小さくなる場合があり、70%を超えると担体30が流動しにくくなり、長期運転において汚泥による閉塞等で被処理水がショートパスし、処理水質が悪くなる場合がある。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1~3、比較例1>
図2に示すような、担体法による処理装置を用いて模擬排水の連続通水試験を実施した。
<試験条件>
生物処理槽容積:1.4L
微生物保持用担体:多孔質の親水性ポリビニルアルコールゲル状担体
担体充填率:20%(担体のかさ容量/生物処理槽容量)
供試水:純水に硝酸ナトリウムとセレン酸ナトリウムを添加し、その他リン酸および微量元素溶液を添加したものを模擬排水とした。
水素供与体:メタノールを所定の濃度となるように添加
生物処理槽内の水温:30℃
生物処理槽内のpH:7.6
生物処理槽の滞留時間:2.4時間
立ち上げとして、40日間連続通水を行い、担体に微生物を付着させて、表1に示す被処理水条件で通水を行った。処理水の硝酸イオンとセレン酸イオンは、イオンクロマトグラフィー(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社、DIONEX INTEGRION)を用いて測定した。結果を表2に示す。
Figure 0007426041000001
Figure 0007426041000002
比較例1では、処理水のセレン酸イオン濃度は0.18mg-Se/Lと一律排水基準である0.1mg-Se/Lを上回っており、そのときの硝酸イオン濃度は4.7mg-N/Lであった。
比較例1に対し、メタノール濃度を増加させたところ(実施例1)、セレン酸イオン濃度は0.084mg-Se/Lと一律排水基準である0.1mg-Se/Lを下回る水質が得られ、そのときの硝酸イオン濃度は1.0mg-N/Lであった。
被処理水の硝酸イオン濃度をそれぞれ100mg-N/Lと150mg-N/Lに増加させた実施例2,3では、処理水の硝酸イオン濃度がそれぞれ1.7mg-N/L、2.0mg-N/Lであり、セレン酸イオン濃度は一律排水基準である0.1mg-Se/Lを安定して下回る水質が得られた。
図3に処理水中の硝酸イオン濃度(mg-N/L)とセレン酸イオン濃度(mg-Se/L)の関係を示すが、処理水に硝酸イオンが残存している場合はセレン酸イオンも残存しており、硝酸イオン上昇時に実施例1のようにメタノール添加量を増加させることで、セレン酸イオンを安定して処理することが可能となった。また、実施例2,3のように硝酸イオンが低い濃度となるようにメタノールを添加することで、セレン酸イオンを安定して処理することができた。
すなわち同一反応槽で還元処理を行う場合、硝酸性窒素濃度(硝酸イオン濃度)をモニターしておけば、硝酸イオン濃度が上昇しているときはセレン酸イオン濃度も上昇していると推定することが可能となり、かつ硝酸イオン上昇時、すなわちセレン酸イオン上昇時に水素供与体であるメタノール添加量を増加させることでメタノールの過剰添加を抑えつつ硝酸イオン、セレン酸イオンの安定した還元処理が可能となることがわかった。
このように、実施例の方法によって、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素のうち少なくとも1つが含まれるセレン含有水において、水素供与体の過剰添加を抑えつつ、同一反応槽で効率的に硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、およびセレン酸イオン、亜セレン酸イオンのうち少なくとも1つを還元処理することができた。
1,3 処理装置、10 生物処理槽、12 水素供与体貯留槽、14 制御装置、16 ポンプ、18 撹拌装置、20 硝酸性窒素測定装置、22 被処理水配管、24 処理水配管、26 水素供与体配管、28 スクリーン、30 担体。

Claims (8)

  1. 硝酸性窒素およびセレン酸イオンが含まれる溶解性セレン含有水、または硝酸性窒素亜硝酸性窒素およびセレン酸イオンが含まれる溶解性セレン含有水に対し、同一の反応槽にて水素供与体の存在下で、前記硝酸性窒素を窒素ガスに、または前記硝酸性窒素および前記亜硝酸性窒素を窒素ガスに、前記セレン酸イオンを分子状セレンに還元処理を行う生物反応工程において、
    処理水中または前記反応槽中の硝酸性窒素の濃度を測定することによって前記処理水中のセレン酸イオン濃度を推定し、かつ
    前記測定した硝酸性窒素の濃度に基づいて前記セレン含有水への前記水素供与体の添加量を調整することを特徴とする、セレン含有水の処理方法。
  2. 請求項1に記載のセレン含有水の処理方法であって、
    前記セレン含有水中のSe濃度は2mg/L以下であり、硝酸性窒素濃度は150mg/L以下であることを特徴とする、セレン含有水の処理方法。
  3. 請求項1または2に記載のセレン含有水の処理方法であって、
    前記処理水中または前記反応槽中の硝酸性窒素の濃度が4mg/L以下となるように前記セレン含有水へ前記水素供与体を添加することを特徴とする、セレン含有水の処理方法。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載のセレン含有水の処理方法であって、
    前記生物反応工程において、多孔質の流動担体に保持された生物汚泥と前記セレン含有水とを接触させ、前記流動担体は、親水性のポリビニルアルコール担体であることを特徴とする、セレン含有水の処理方法。
  5. 硝酸性窒素およびセレン酸イオンが含まれる溶解性セレン含有水、または硝酸性窒素亜硝酸性窒素およびセレン酸イオンが含まれる溶解性セレン含有水に対し、同一の反応槽にて水素供与体の存在下で、前記硝酸性窒素を窒素ガスに、または前記硝酸性窒素および前記亜硝酸性窒素を窒素ガスに、前記セレン酸イオンを分子状セレンに還元処理を行う生物反応手段と、
    処理水中または前記反応槽中の硝酸性窒素の濃度を測定する硝酸性窒素測定手段と、
    前記測定した硝酸性窒素の濃度から前記処理水中のセレン酸イオン濃度を推定するセレン濃度推定手段と、
    前記測定した硝酸性窒素の濃度に基づいて前記セレン含有水への前記水素供与体の添加量を調整する水素供与体添加量調整手段と、
    を備えることを特徴とする、セレン含有水の処理装置。
  6. 請求項に記載のセレン含有水の処理装置であって、
    前記セレン含有水中のSe濃度は2mg/L以下であり、硝酸性窒素濃度は150mg/L以下であることを特徴とする、セレン含有水の処理装置。
  7. 請求項5または6に記載のセレン含有水の処理装置であって、
    前記水素供与体添加量調整手段は、前記処理水中または前記反応槽中の硝酸性窒素の濃度が4mg/L以下となるように前記セレン含有水へ前記水素供与体を添加するように調整することを特徴とする、セレン含有水の処理装置。
  8. 請求項のいずれか1項に記載のセレン含有水の処理装置であって、
    前記生物反応手段は、多孔質の流動担体に保持された生物汚泥と前記セレン含有水とを接触させるものであり、前記流動担体は、親水性のポリビニルアルコール担体であることを特徴とする、セレン含有水の処理装置。
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