JP2012011376A - 汚水処理方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】し尿や浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的硝化脱窒法によって浄化する汚水処理方法において、処理水質の悪化を招くことなく、メタノール等の水素供与体の使用量を低減する。
【解決手段】し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化手段13および脱窒手段12を有する汚水処理装置1において、硝化脱窒処理に送られる前の前記汚水の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤24を添加するアルカリ処理手段18、19、20、25、26、27を設けるとともに、このアルカリ剤24が添加された汚水(アルカリ処理液)4を滞留させる滞留槽21と、この滞留後のアルカリ処理液4を脱窒手段12に供給する手段22、23を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、し尿や浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的硝化脱窒法によって浄化する汚水処理方法、その中でも特に、硝化脱窒の安定化を図った汚水処理方法に関するものである。
また本発明は、そのような汚水処理方法を実施する汚水処理装置に関するものである。
従来、例えば非特許文献1および2に示されているように、し尿や浄化槽汚泥、あるいはそれを含む汚水を生物学的硝化脱窒法によって浄化する汚水処理方法が公知となっている。この種の汚水処理方法においては、硝化工程では好気的にアンモニア性窒素の硝化やBOD成分の酸化を行い、脱窒工程では汚水中の有機物あるいは外添するメタノール等の水素供与体を利用することによって、無酸素かそれに近い状態で嫌気的に窒素ガス発生までの窒素除去を行っている。
なお、硝化脱窒法によって処理する汚水中の有機物濃度と窒素濃度の比率が高い、つまり有機物が多ければ、その有機物のみを利用して脱窒可能で、窒素除去を完結することができる。しかし有機物の比率が低い場合や、窒素や有機物などの全体的な濃度が設計値よりも大幅に低下した場合は、上述したように脱窒工程にメタノール等の水素供与体を添加して、脱窒反応を補助する必要がある。非特許文献1および2には、脱窒工程におけるこのメタノールの添加についても説明がなされている。
上述したメタノール等の水素供与体の使用は、汚水処理施設の薬品コストを上げ、また汚泥発生量を増加させて汚泥処分コストも上げてしまうので、その使用量を低減することが望まれている。そのような観点から、一例として特許文献1や特許文献2には、硝化脱窒後の汚水の固液分離を行う固液分離槽(沈殿槽)で発生した汚泥にアルカリ剤を添加し、それを硝化脱窒工程に戻すようにした汚水処理方法が提案されている。この方法によれば、固液分離槽で発生した汚泥を水素供与体として利用できるので、メタノール等の薬剤の使用量を低減可能となる。
特開2007−98279号公報 特許第4627403号公報
し尿処理ガイドブック、pp240-253、環境技術研究会(1980) 本田一好他、「酸素曝気し尿脱窒処理について」、pp35-38、第4回全国都市清掃研究発表会講演論文集、社団法人全国都市清掃会議(1983)
しかし、上記特許文献1に記載された方法は、汚泥にアルカリ剤を添加する際の条件を明示するものではない。通常、脱窒の水素供与体として有機物を利用する場合、そのBOD成分が窒素に対し3倍程度有ることが、必要な有機物量を確保する上での指標とされている。また有機性汚泥をアルカリ条件とした場合は、比較的容易に溶解性のBOD濃度を上昇させることができる。しかし汚泥のアルカリ処理液のBOD成分には、速やかに脱窒の水素供与体として働くことができる成分以外も含まれることから、BOD濃度と脱窒用水素供与体としての効果は一致しないため、十分な量のBOD成分を添加しても脱窒に対しては効果が出ないこともある。このため、脱窒炭素源生成のためにpH範囲や処理時間などを最適条件に設定して、水素供与体としての組成としなければ効果がないか非常に小さくなる。
さらに、硝化脱窒工程後の固液分離で発生した汚泥をアルカリ処理する場合は、最適な条件でアルカリ可溶化処理を行わない限り、有機物以外に汚泥中の窒素もアンモニア性窒素として溶出するため、全体として窒素負荷が増加してしまうという問題がある。
一方、特許文献2に記載された方法においては、pH条件および、アルカリ剤添加後の汚泥の滞留時間についても例示がなされているが、それらの条件は余剰汚泥の発生量を削減するための条件であって、ここに示された条件、特にその滞留時間では水素供与体としての効果は全く発揮することができない。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、し尿や浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的硝化脱窒法によって浄化する汚水処理方法において、処理水質の悪化を招くことなく、メタノール等の水素供与体の使用量を低減することを目的とするものである。
また本発明は、そのような汚水処理方法を実施することができる汚水処理装置を提供することを目的とする。
本発明の汚水処理方法は、硝化脱窒処理に送られる前の汚水中のし尿あるいは浄化槽汚泥、さらには返送汚泥から溶出する成分を水素供与体として利用し、それにより、外添するメタノール等の水素供与体の使用量を低減し、あるいはゼロに抑えられるようにしたものである。
すなわち、具体的に本発明による第1の汚水処理方法は、
し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化工程および脱窒工程からなる汚水処理方法において、
硝化脱窒処理に送られる前の前記汚水の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤を添加するアルカリ処理工程と、
このアルカリ剤が添加された汚水(以下、この汚水を「アルカリ処理液」という)を滞留させる滞留工程と、
この滞留工程後の汚水を前記脱窒工程に供給する工程とを備え、
前記アルカリ処理工程において、アルカリ剤添加後の汚水のpHが11.6以上12.5以下とされ、
前記アルカリ処理工程における汚水の滞留時間が0.5時間以上2時間以下であり、
前記滞留工程における汚水の滞留時間が12時間以上48時間以下であることを特徴とするものである。
なお、上記の「し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水」とは、し尿および/または浄化槽汚泥のみ、さらにはこれらを元に濃縮等の前処理をして得られた汚水・汚泥も含むものとする。
また、本発明による第2の汚水処理方法は、
し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化工程および脱窒工程、並びに、前記硝化脱窒処理後の汚水を固液分離して得られた汚泥を前記硝化工程および脱窒工程の前に返送する工程からなる汚水処理方法において、
前記汚泥の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤を添加するアルカリ処理工程と、
このアルカリ剤が添加された汚泥(以下、これも「アルカリ処理液」という)を滞留させる滞留工程と、
この滞留工程後の汚水を前記脱窒工程に供給する工程とを備え、
前記アルカリ処理工程において、アルカリ剤添加後の汚水のpHが11.6以上12.5以下とされ、
前記アルカリ処理工程における汚水の滞留時間が0.5時間以上2時間以下であり、
前記滞留工程における汚水の滞留時間が12時間以上48時間以下であることを特徴とするものである。
なお、本発明の汚水処理方法においては、前記滞留工程における汚水のpHが9未満となった場合、この汚水に次亜塩素酸ソーダを添加することが望ましい。
また、本発明の汚水処理方法においては、前記滞留工程に、汚水中の固形物濃度を部分的に高める工程を含めた上で、この固形物濃度が高められた汚水を前記アルカリ処理工程に返送し、残余の汚水を前記脱窒工程に供給することが望ましい。
さらに、本発明の汚水処理方法が、汚水の雰囲気をアルカリ洗浄によって脱臭する脱臭工程を含んでいる場合は、この脱臭工程で生じたアルカリ性排水を、前記アルカリ剤と共に前記アルカリ処理工程に用いることが好ましい。
また、本発明の汚水処理方法においては、前記滞留工程よりも後段において、汚水中の固形分を分離する工程と、この固形分が分離された後の汚水にカルシウム剤を添加して汚水中のリンを回収する晶析脱リン工程とがさら設けられることが望ましい。なお、上記の「滞留工程よりも後段」とは、滞留工程の直ぐ後段であることは勿論のこと、その他の工程、例えば汚水の硝化脱窒工程を間に含んでその後段であることも含むものとする。
また、本発明の汚水処理方法においては、
前記アルカリ処理工程において、アルカリ剤が添加された汚水を連続的に撹拌し、
そして前記滞留工程において、間欠的に汚水を撹拌することが望ましい。
他方、本発明による第1の汚水処理装置は、
し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化手段および脱窒手段を有する汚水処理装置において、
硝化脱窒処理に送られる前の前記汚水の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤を添加するアルカリ処理手段と、
このアルカリ剤が添加された汚水を滞留させる滞留槽と、
この滞留後の汚水を前記脱窒手段に供給する手段とを備え
前記アルカリ処理手段が、前記汚水を滞留させるアルカリ処理槽を備えた上で、このアルカリ処理槽内の汚水に、添加後の汚水のpHが11.6以上12.5以下となる量のアルカリ剤を添加するものとされ、
前記アルカリ処理槽が、それにおける汚水の滞留時間が0.5時間以上2時間以下となる実効容積を有し、
前記滞留槽が、それにおける汚水の滞留時間が12時間以上48時間以下となる実効容積を有していることを特徴とするものである。
また、本発明による第2の汚水処理装置は、
し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化手段および脱窒手段と、前記硝化脱窒処理後の汚水を固液分離する手段と、この固液分離によって得られた汚泥を前記硝化手段および脱窒手段の前に返送する汚泥返送手段とを有する汚水処理装置において、
返送される前記汚泥の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤を添加するアルカリ処理手段と、
前記汚泥にアルカリ剤が添加されてなる汚水を滞留させる滞留槽と、
この滞留後の汚水を前記脱窒手段に供給する手段とを備え、
前記アルカリ処理手段が、前記汚水を滞留させるアルカリ処理槽を備えた上で、このアルカリ処理槽内の汚水に、添加後の汚水のpHが11.6以上12.5以下となる量のアルカリ剤を添加するものとされ、
前記アルカリ処理槽が、それにおける汚水の滞留時間が0.5時間以上2時間以下となる実効容積を有し、
前記滞留槽が、それにおける汚水の滞留時間が12時間以上48時間以下となる実効容積を有していることを特徴とするものである。
ここで、本発明の汚水処理装置においては、前記滞留槽内に滞留する汚水のpHを検出する手段と、この手段が検出したpHが9未満となった場合、この汚水に次亜塩素酸ソーダを添加する手段とが設けられることが望ましい。
また、本発明の汚水処理装置においては、
前記滞留槽内に配置されて、汚水中の固形物濃度を部分的に高める手段と、
この固形物濃度が高められた汚水を滞留槽から前記アルカリ処理手段に返送する手段とが設けられ、
前記固形物濃度が高められた汚水以外の汚水が滞留槽から脱窒手段に供給されるように構成されていることが望ましい。
また、本発明の汚水処理装置において、汚水の雰囲気をアルカリ洗浄によって脱臭する脱臭手段が設けられる場合は、この脱臭手段において生じたアルカリ性排水を、前記アルカリ処理手段に供給する手段が設けられることが望ましい。
さらに、本発明の汚水処理装置においては、前記滞留槽よりも後段において、汚水中の固形分を分離する手段と、この固形分が分離された後の汚水にカルシウム剤を添加して汚水中のリンを回収する晶析脱リン手段とがさらに設けられていることが望ましい。
また、本発明の汚水処理装置においては、
前記アルカリ処理手段が、アルカリ剤が添加された汚水を連続的に撹拌する撹拌手段を含んで構成される一方、
前記滞留槽に、間欠的に汚水を撹拌する撹拌手段が設けられていることが望ましい。
本発明の汚水処理方法においては、硝化脱窒処理に送られる前のし尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水の一部、あるいは固液分離で得られた返送汚泥の一部にアルカリ剤を添加した上で、その汚水(アルカリ処理液)を脱窒工程に供給するようにしたので、し尿および/または浄化槽汚泥、あるいは返送汚泥から溶出した有機物を水素供与体として利用可能となる。
また、上記アルカリ剤の添加を行って、脱窒工程に供給する汚水のpHを、返送必要な時間に亘って高く維持していることにより(その好ましい範囲については後述する)、し尿および/または浄化槽汚泥、あるいは返送汚泥中の溶解性有機物のうち脱窒用炭素源として速やかに利用される成分をより多く溶出させることができるので、該有機物を水素供与体としてより有効に利用可能となっている。そこで本発明の汚水処理方法によれば、メタノール等の水素供与体の使用量を著しく少ない量に、あるいはゼロまで低減可能となり、そこで汚水処理施設の薬品コストを著しく低減し、さらには、外添する水素供与体による汚泥発生量の増加を抑えて汚泥処分コストも低減できるようになる。
そして本発明の汚水処理方法においては、特許文献1や2に示された方法のように、硝化脱窒工程後の固液分離で発生した汚泥をアルカリ処理して硝化脱窒工程に戻しているものの、それらの従来技術とは異なって、pHの維持時間やアルカリ処理液の滞留時間といった処理条件を最適化しているので、汚泥から脱窒用炭素源としての有機物および窒素リン成分を脱窒用炭素源として適正な比率で溶出させることができる。そこで、本発明の汚水処理方法によれば、上記の再び溶出した有機物を硝化脱窒工程に返送するために処理水質が悪化する、という問題を招くことも防止される。
他方、本発明による第1の汚水処理装置は、
し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化手段および脱窒手段を有する汚水処理装置において、
硝化脱窒処理に送られる前の前記汚水の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤を添加するアルカリ処理手段と、
このアルカリ剤が添加された汚水を滞留させる滞留槽と、
この滞留後の汚水を前記脱窒手段に供給する手段とを備えた上で、
前記アルカリ処理手段が、前記汚水を滞留させるアルカリ処理槽を備えた上で、このアルカリ処理槽内の汚水に、添加後の汚水のpHが11.6以上12.5以下となる量のアルカリ剤を添加するものとされ、
前記アルカリ処理槽が、それにおける汚水の滞留時間が0.5時間以上2時間以下となる実効容積を有し、
前記滞留槽が、それにおける汚水の滞留時間が12時間以上48時間以下となる実効容積を有しているので、上述した本発明による第1の汚水処理方法を実施することができる。
また、本発明による第2の汚水処理装置は、
し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化手段および脱窒手段と、前記硝化脱窒処理後の汚水を固液分離する例えば重力沈殿池や膜分離装置等の手段と、この固液分離によって得られた汚泥を前記硝化手段および脱窒手段の前に返送する汚泥返送手段とを有する汚水処理装置において、
返送される前記汚泥の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤を添加するアルカリ処理手段と、
前記汚泥にアルカリ剤が添加されてなる汚水を滞留させる滞留槽と、
この滞留後の汚水を前記脱窒手段に供給する手段とを備えた上で、
前記アルカリ処理手段が、前記汚水を滞留させるアルカリ処理槽を備えた上で、このアルカリ処理槽内の汚水に、添加後の汚水のpHが11.6以上12.5以下となる量のアルカリ剤を添加するものとされ、
前記アルカリ処理槽が、それにおける汚水の滞留時間が0.5時間以上2時間以下となる実効容積を有し、
前記滞留槽が、それにおける汚水の滞留時間が12時間以上48時間以下となる実効容積を有しているので、上述した本発明による第2の汚水処理方法を実施することができる。
以下、上記アルカリ剤の好ましい添加量について説明する。脱窒工程に供給するアルカリ処理液は、pHが高いほど水素供与体としての溶解性有機物をより多く溶出させることが期待できるが、そうするためにアルカリ剤を大量に使用すると、薬品コストの増加や、硝化脱窒工程でのpH上昇といった処理への悪影響が生じる。本発明者は何種類かのし尿および浄化槽汚泥を用いてこのアルカリ処理の条件について検討したが、その結果、アルカリ剤による処理において後述するpHや処理時間が一定条件以上であれば溶解性BOD濃度が増大し、このことから脱窒速度を向上させ得ることを確認した。
最も費用対効果のある処理条件を探索するために、表1に「供試汚泥」として示す浄化槽汚泥に対して、アルカリ剤添加による処理試験と、そのアルカリ処理液を用いた脱窒速度試験を行った。なおこの試験は、ビーカー内に供試汚泥を入れ、そこにアルカリ剤を添加して行うモデル試験である。浄化槽汚泥は一般に性状範囲が広く、この試験では各種濃度が中間程度の浄化槽汚泥を用いた。なお、国内各地の浄化槽汚泥について分析したところ表1に示す平均値と範囲を有することが分かったので、実際の処理施設では、SSやBODが、本試験で用いた供試汚泥の50〜200%程度の範囲にある汚水が処理対象になると考えられる。
Figure 2012011376
上記供試汚泥にアルカリ剤を所定量ずつ添加してpHを4条件(条件1,2,3,4)とした後、常温で24時間貯留して、模擬的に本発明に使用されるアルカリ処理液を作成した。これら4種類のアルカリ処理液を用いて、硝酸溶液の連続処理により脱窒活性を一定に保った活性汚泥を種汚泥とした脱窒速度試験を行った。アルカリ処理液添加量は種汚泥量の10%、種汚泥のMLSSは6,320mg/l(リットル)である。この試験で求められた脱窒速度を、各条件毎に表2に示す。
Figure 2012011376
アルカリ処理液を添加しない場合の種汚泥の脱窒速度は、0.73mg-N/g-SS/hであった。それに対して、種汚泥にアルカリ処理液を添加した場合、アルカリ剤添加量が少ないか中程度の場合(条件1,2)の脱窒速度は1.1〜1.2 mg-N/g-SS/h程度で若干上昇した程度であったが、添加量が多い条件3では、無添加の場合の4倍以上である3.13mg-N/g-SS/hまで増加した。さらに添加量が多くpHの高い条件4では、脱窒速度は上記よりも若干上昇して3.34mg-N/g-SS/hとなったが、アルカリ剤の使用量が多い割に脱窒速度の向上が条件3の場合に比べて10%未満に留まるので、これ以上は過剰な薬品使用量であることになる。また、返送汚泥について条件3と同じ条件で脱窒速度を測定した条件5でも、同様に脱窒速度が増大し、返送汚泥も脱窒素炭素源として有効に働くことが確認できた。
汚泥のpHは、アルカリ剤の添加量によって大きく左右される。このpHに着目すると、薬品使用量も考慮した上で脱窒速度に対して最も効果的であった条件3の場合、添加直後のpHは11.63であり、その後時間と共にpHは低下する。添加して1時間後のpHは10.24であった。添加量が少ない条件1および条件2の場合、アルカリ剤添加直後のpHは9.4〜10.5、1時間後のpHは8.8〜9.7である。このことから、アルカリ処理によって制御するpHは、少なくとも条件2の添加直後のpH10.5よりは上、好ましくは条件3の添加直後のpHと同程度の11.6以上で、条件4のアルカリ剤添加後1時間のpH12.5以下である。つまり本発明の汚水処理方法においては、薬品使用量も考慮した上で脱窒速度を最も効果的に向上させるには、アルカリ処理工程におけるアルカリ剤添加量を、添加後の汚水のpHを11.6以上12.5以下とする量にすることが望ましいと言える。
また、同様の脱窒速度試験を、脱窒炭素源として従来一般的に使用されているメタノールを用いて行ったところ、添加量を多くしても脱窒速度はあまり向上せず、最大600mg/l添加してBOD/NO3-N比を10倍以上としても、脱窒速度は2.13mg-N/g-SS/hであった。このことから、本発明によれば、メタノールを利用するよりも脱窒処理速度が向上することが推測できる。
また、条件3の場合に関して、アルカリ剤添加後の処理時間つまりアルカリ処理液の滞留時間に対するpHおよび脱窒速度の関係について、同じ浄化槽汚泥を用いて検討した。その検討結果を図3に示す。
この図3の関係に着目すると、アルカリ処理液の添加後1時間でpHは11.63から急激に低下するが、1時間経過で10.2まで低下して、それ以後は緩やかに低下して行く。脱窒速度は24時間でほぼ最大となり、それ以上滞留させても向上しなかった。このためアルカリ処理液の滞留時間は好ましくは24時間であり、前述した浄化槽汚泥の性状範囲(SSやBODが、本試験で用いた供試汚泥の50〜200%程度)を考慮に入れると、12〜48時間であると言える。
また、上記試験は回分試験であるためアルカリ剤添加直後が最もpHが高く、以後反応が進むに従って低下していくが、実際の処理に当たっては汚水を連続的に供給し、槽内は完全混合に近い状態であるために、汚水の滞留時間と同じ時間回分処理を行った状態と同じpH条件で安定する。そこで条件3と同じアルカリ剤使用量とし、汚水pHが10.5を超えないようにアルカリ剤を少量ずつ添加した場合のpH変化と脱窒速度の例を表3に示し、それらの点をグラフ化したものを図10に示す(表3における脱窒速度の単位は図10と同じで、[mg-N/g-SS/h]である)。
Figure 2012011376
このときアルカリ剤は9時間かけて添加し、最も高いpHは添加開始後9時間の10.4で、他はそれ以下に抑えられた。このときの脱窒速度は、最大でも1.18[mg-N/g-SS/h]までしか上昇しなかった。もしアルカリ処理槽の滞留日数を2日として滞留槽を設けずに条件3のアルカリ剤使用量として連続運転した場合、アルカリ処理槽は表3の47時間後のpHからpH9を下回る状態で安定するとみられるため、汚水は一度も高いpH条件にさらされることがなく、この処理で得られた脱窒速度の最大1.18[mg-N/g-SS/h]よりも低い脱窒速度しか実現できないことが予想される。以上のことから、アルカリ処理液のpHを10.5以上、好ましくは11.6〜12.5とするのに必要な汚水とアルカリ剤との反応時間(通常は、アルカリ反応槽における滞留時間となる)は、上記pH低下速度が速く反応が進んでいるとみなせる1時間が必要であると考えられる。そこで、ここでも上述した浄化槽汚泥の性状範囲と、図3に示すアルカリ添加後1時間後以降の脱窒速度が24時間で最大となることを考慮に入れると、アルカリ反応槽における汚水とアルカリ剤との反応時間は0.5時間(30分)〜2時間の範囲として、それ以降のアルカリ処理液の滞留槽における滞留時間は、上記12〜48時間からこの反応時間を引いた時間に設定することが、脱窒工程における脱窒速度を最も高くする上で望ましいと言える。
アルカリ処理を受けた浄化槽汚泥(アルカリ処理液)は一時的に非常に高いpH条件にさらされるため、そこでの微生物の活性は大きく低下するが、pHの低下と時間の経過によって活性は徐々に回復する。条件3の場合のアルカリ処理液添加後の経過時間と該処理液自体の硝化速度を、アルカリ処理前の硝化速度との比として、図4に示す。
同図に示されるように、アルカリ剤添加直後は硝化速度比が10%以下で硝化活性がほとんど失われているが、時間の経過と共に回復して48時間後には未処理の浄化槽汚泥と同程度まで回復する。つまりアルカリ剤添加後のアルカリ処理液の滞留時間が長くなる場合には、これらの活性を抑制しなければ、溶出した溶解性BOD成分の分解活性も回復してしまい、増加した溶解性BOD成分が分解されて脱窒への効果が無くなって行くことになる。
この活性回復の程度を示すものとして、pH条件毎の溶解性BODの増減を調べた結果を図5に示す。ここに示される通り、アルカリ条件下では溶解性BODが増加するが、pHが低下するに従って増減が無くなり、ある程度のpH以下になって微生物の活性が戻ると溶解性BOD成分は分解されて行く。すなわち、pH9前後から溶解性BODの増減が無くなり、pH8以下では溶解性BOD成分の分解が生じていることが確認できる。
したがって、アルカリ処理液のpHを少なくとも8以上、好ましくは9以上に維持した状態で有れば、増加した溶解性BOD成分の濃度が低下することなく脱窒工程に利用できる。pH9以上を目安にアルカリ剤を追加添加することもできるが、アルカリ剤の過剰添加が脱窒工程以降の処理効率に影響を与える可能性がある場合には、アルカリ処理液に次亜塩素酸ソーダを添加することで溶解性BODの低下を抑制することができる。以上より、アルカリ処理液のpHが9未満になった場合は、そこに次亜塩素酸ソーダを添加してこのpHを9以上に維持するのが望ましい。
ここで、アルカリ剤添加後の処理液として、溶解性BODが550mg/lである浄化槽汚泥を模擬的に用いて、これに次亜塩素酸ソーダを添加した時の添加率と、常温で2日経過後の溶解性BODの増減を図6に示す。
ここに示される通り溶解性BOD成分は、次亜塩素酸ソーダを添加しなければ300mg/l以上分解されて、溶解性BODが低下するが、次亜塩素酸ソーダを有効塩素濃度60mg/lで添加した条件では溶解性BOD成分は減少せず、125〜375mg/lの範囲では更に増加する傾向にあった。使用した次亜塩素酸ソーダはアルカリ性ではあるが、この試験範囲では添加後のアルカリ処理液のpHは8以下であり、次亜塩素酸の酸化力によって生物分解が抑制されると共に、汚泥が可溶化して溶解性BOD成分が増加したものと思われる。
なお、アルカリ処理液の滞留槽ではpH低下によって生物分解が始まるため、これを抑制する上でも、次亜塩素酸ソーダを添加することが好ましいと言える。
また、浄化槽汚泥をアルカリ処理することにより、汚泥からリン酸態リンも溶出させることができる。表1の浄化槽汚泥をアルカリ処理した場合、リン酸態リン濃度は一例として10.9mg/lから48.7mg/lと約4.5倍に増加することが確認された。より具体的に、アルカリ剤添加量を表2の条件2と3の間として添加直後のpHを11.0とした場合と、アルカリ剤添加量を表2の条件3と4の間として添加直後のpHを12.5とした場合とについて、リン酸態リン(PO4-P)の濃度を測定した結果を図11に示す。この図11において、「blank」で示すものはアルカリ剤を添加しなかったときの結果で、その場合のリン酸態リン濃度は50 mg/lである。それに対して、上記のようにpHを11.0とした場合、12.5とした場合の各リン酸態リン濃度は108.8 mg/l、341.8 mg/lであって、アルカリ剤添加によりリン溶出を著しく増大可能であり、特に後者の場合は汚泥中のリンのほとんどを溶出させることもできる。リンは資源枯渇が懸念される元素で、近年し尿処理場におけるリンの資源回収施設が稼働を始めているが、現在適用されている晶析脱リン法はリン酸態リンを回収対象としており、固形物に含まれるリンは回収できない。アルカリ処理は汚泥中のリンを溶出させる効果があるので、晶析脱リン法を組み合わせることで、晶析脱リン法の回収対象となるリンの量を増やすことができる。
また、アルカリ処理液の脱窒速度に対する効果については、処理液全量と遠心上澄のみを用いた脱窒速度試験を行って比較したところ、遠心上澄のみの添加でも処理液全体を添加したときの脱窒速度の97.8%まで確保できることが分かった。またアルカリ処理液後のSS(浮遊固形物)は処理前より約20%減少していたが、80%は依然として残留しており、これに対し再びアルカリ剤を添加することで更なる溶解性BOD成分の溶出を図ることができる。そこで、アルカリ処理液の滞留工程に固形物濃度を部分的に高める工程を設け、SSが少ないアルカリ処理液は脱窒工程に投入する一方、SSを多く含むアルカリ処理液をアルカリ処理工程に返送することで、溶解性BOD成分の再溶出、および残留アルカリ剤返送によるアルカリ剤使用量の削減を実現できる。
これは同時に、本発明の汚水処理方法において浄化槽汚泥を処理対象とする場合は、処理の安定化に寄与することにもなる。以下、その点について詳しく説明する。余剰汚泥や返送汚泥などと比較して浄化槽汚泥は、固形物量や溶解性成分、pHに対する応答性などの変動幅が非常に大きい。このため単純なアルカリ剤の添加率設定やpH制御程度ではその変動に対応できず、処理の過不足や生物処理への悪影響が生じる恐れがある。そこで、堰を利用した重力沈降などにより、アルカリ処理液のうち固形分を多く含む処理液を得て、それをアルカリ処理工程に返送すれば、アルカリ処理槽内の汚泥濃度を一定に保って浄化槽汚泥の性状変化を軽減するとともに、未反応の有機物を再度溶出させる効果が得られる。
なお本発明の汚水処理方法においては、排水処理後の汚水や汚泥の循環がないため、効率低下の懸念がない。またアルカリ剤投入後に適切な滞留時間を取ることによって残存アルカリ剤が消費されるので、生物処理への投入において中和の必要性が無い。また、汚水のアルカリ処理によって有機物は可溶化するが、元々汚水処理の滞留時間で十分に分解できた負荷量の範囲内で、より早く生物処理されやすくなっただけであり、なおかつ有機物は脱窒工程に投入することで先ず水素供与体として利用されるため、酸素必要量も増加せず、処理水の水質にも影響しない。
また本発明の汚水処理方法において返送汚泥を処理対象とする場合は、余剰汚泥量を上回らない程度の固形物量をアルカリ処理するように限定し、汚泥の循環処理による効率低下を防止するとともに、硝化活性や汚泥の脱水特性などへの影響を軽微に抑えることができる。
本発明の汚水処理方法においては、処理対象がし尿と浄化槽汚泥の双方である場合は、浄化槽汚泥のみをアルカリ剤の投入対象とすると共に、その処理量も全体に対して一定の割合に止めることで、生物処理に対するアルカリ剤の影響を最小限に抑えることができる。ただし、し尿と浄化槽汚泥が混合された状態で搬入される施設や、し尿と浄化槽汚泥の貯留槽が共通の施設もあり、このような施設に対しては、それらの混合液に対してもアルカリ処理を適用することができる。
本発明の第1の実施形態による汚水処理装置を示す概略構成図 本発明の効果を調べるための装置を示す概略構成図 アルカリ処理液の滞留時間と脱窒速度との関係を示すグラフ アルカリ剤添加後の経過時間と、硝化速度との関係を示すグラフ アルカリ処理液のpHと、溶解性BODの増減との関係を示すグラフ アルカリ処理液への次亜塩素酸ソーダ添加量と、溶解性BODの増減との関係を示すグラフ 本発明の第2の実施形態による汚水処理装置を示す概略構成図 本発明の第3の実施形態による汚水処理装置を示す概略構成図 本発明の第4の実施形態による汚水処理装置を示す概略構成図 アルカリ処理液の滞留時間に対する、脱窒速度およびpHの関係を示すグラフ アルカリ処理液のpHと、リン酸態リン(PO4-P)の濃度との関係を示すグラフ
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態による汚水処理装置1を示す概略構成図である。この汚水処理装置1は、し尿投入路10および浄化槽汚泥投入路11が接続された脱窒槽12と、この脱窒槽12において脱窒処理を受けた汚水が供給される硝化槽13と、この硝化槽13において硝化処理を受けた汚水が供給される沈殿槽14と、この沈殿槽14から脱窒槽12に汚泥を返送する汚泥返送路15とを有している。上記硝化槽13内には散気パネルや散気管等からなる散気装置16が配設され、その散気装置16にはブロワ17から曝気用の空気が供給されるようになっている。
またこの汚水処理装置1は、上記浄化槽汚泥投入路11から分岐された浄化槽汚泥管18と、この浄化槽汚泥管18に介設された汚泥ポンプ19と、このポンプ19によって送られた浄化槽汚泥を受け入れるアルカリ処理槽20と、このアルカリ処理槽20において後述するアルカリ処理を受けた汚水(アルカリ処理液)4が供給される滞留槽21と、この滞留槽21において所定時間滞留したアルカリ処理液4を上記脱窒槽12に供給するための配管22と、この配管22に介設されたアルカリ処理液供給ポンプ23とを有している。
さらにこの汚水処理装置1は、アルカリ剤24を貯留するアルカリ剤貯槽25と、このアルカリ剤24を上記アルカリ処理槽20内に供給するアルカリ剤供給ポンプ26並びに配管27と、次亜塩素酸ソーダ28を貯留する次亜塩素酸ソーダ貯槽29と、この次亜塩素酸ソーダ28を上記滞留槽21内に供給する次亜塩素酸ソーダ供給ポンプ30並びに配管31とを有している。
上記アルカリ処理槽20には、アルカリ処理液4を撹拌する撹拌機32と、このアルカリ処理液4のpHを計測するpH計33とが設けられている。また滞留槽21にも、そこに滞留しているアルカリ処理液4を撹拌する撹拌機34と、このアルカリ処理液4のpHを計測するpH計35とが設けられている。なお滞留槽21内には堰36が設けられ、この堰36よりも上流側において滞留槽21の底部近傍には汚水返送管37の一端が接続され、その他端はアルカリ処理槽20に接続されている。そしてこの汚水返送管37の途中には汚水返送ポンプ38が介設されている。
以下、この汚水処理装置1の作用について説明する。この汚水処理装置1において脱窒槽12には、し尿投入路10から投入されたし尿および、浄化槽汚泥投入路11から投入された浄化槽汚泥が供給される。これらのし尿および浄化槽汚泥を含む汚水(これは、し尿および/または浄化槽汚泥のみであってもよい)2は、脱窒槽12において脱窒工程を受ける。つまりここでは、汚水2中の有機物を水素供与体として、無酸素かそれに近い状態で嫌気的に窒素ガス発生までの窒素除去が行われる。
脱窒工程を経た汚水2は、次に硝化槽13において硝化工程を受ける。つまりここでは曝気がなされて、好気的にアンモニア性窒素の硝化やBOD成分の酸化が行われる。
以上の硝化脱窒工程を経た汚水2は次に沈殿槽14に送られ、そこで該汚水2中の固形物成分が沈殿され、上澄液が放流される。沈殿槽14で沈殿した汚泥(固形物成分)は回収され、一部は汚泥返送路15を通して脱窒槽12に返送される。
以上は、従来公知の生物学的硝化脱窒法による汚水処理方法における各工程と同じである。次に、本発明による脱窒反応の補助について説明する。浄化槽汚泥投入路11から投入された浄化槽汚泥の一部は、浄化槽汚泥管18を通して汚泥ポンプ19によりアルカリ処理槽20に供給される。またこのアルカリ処理槽20には、アルカリ剤貯槽25に貯留されたアルカリ剤24が、配管27を通してアルカリ剤供給ポンプ26により供給される。それにより、上記浄化槽汚泥にアルカリ剤24が添加されてなるアルカリ処理液4が得られる。
なおアルカリ処理槽20の有効容積は、アルカリ処理液4の滞留時間が前述した30分〜2時間の範囲になる値とされる。またアルカリ剤24を添加する汚水の量は、処理対象である全体の汚水量の5〜30%程度であることが望ましい。
このとき撹拌機32が連続的に運転され、アルカリ剤24の均一添加が図られる。また、pH計33によりアルカリ処理液4のpHが計測され、このpHが前述のように11.6以上12.5以下の範囲に収まるように、アルカリ剤供給ポンプ26によるアルカリ剤24の添加量が制御される。なおこの制御は、従来公知の手段を適宜利用して行えばよい。
アルカリ処理液4は次に滞留槽21に送られ、そこで所定時間滞留される。滞留槽21の有効容積は、ここでの滞留時間が前述した通り12〜48時間からアルカリ処理槽20での滞留時間を引いた時間となる値に設定されている。換言すれば、アルカリ処理槽20および滞留槽21の有効容積が、それらにおけるアルカリ処理液4の滞留時間が12〜48時間となる値に設定される。なお、アルカリ処理槽20および滞留槽21は、共通の1つの槽から構成されてもよい。
滞留槽21で滞留したアルカリ処理液4は、配管22を通してアルカリ処理液供給ポンプ23により、脱窒槽12に供給される。こうすることにより、浄化槽汚泥から溶出した有機物を脱窒工程で水素供与体として利用可能となる。さらに、アルカリ剤24の添加を行ってアルカリ処理液4のpHを高めていることにより、浄化槽汚泥中の溶解性有機物をより多く溶出させることができるので、該有機物を水素供与体としてより有効に利用可能となっている。そこでこの汚水処理装置1においては、メタノール等の水素供与体を全く使用しないで済んでおり、そこで、汚水処理施設の薬品コストを著しく低減し、さらには、外添する水素供与体による汚泥発生量の増加を抑えて汚泥処分コストも低減できるようになる。
そしてこの汚水処理装置1においては、硝化脱窒工程後の固液分離で発生した汚泥をアルカリ処理して硝化脱窒工程に戻すことはしていないので、硝化脱窒工程を経て安定化した有機物を再び溶出させてしまうことがない。そこで、本実施形態の汚水処理装置1によれば、上記の再び溶出した有機物を硝化脱窒工程に返送するために処理水質が悪化する、という問題を招くことも防止される。
なお滞留槽21内に設けられた堰36は、その上流側において部分的にアルカリ処理液4の固形物濃度を高める作用を果たす。こうして固形物濃度が高められた一部のアルカリ処理液4は、汚水返送管37を通して汚水返送ポンプ38によりアルカリ処理槽20に返送される。このアルカリ処理液4の返送を行うことにより、アルカリ処理槽20内の汚泥濃度を一定に保って浄化槽汚泥の性状変化を軽減するとともに、未反応の有機物を再度溶出させる効果が得られる。以上の効果を生む堰36の固液分離作用をより確実に得るために、滞留槽21の撹拌機34は間欠的に運転させるのが望ましい。
また本実施形態では、滞留槽21内のアルカリ処理液4のpHがpH計35によって計測され、このpHが9未満となった場合、次亜塩素酸ソーダ供給ポンプ30が運転されて、アルカリ処理液4に次亜塩素酸ソーダ28が添加される。それにより、前述した通り、溶解性BODの低下を抑制することができる。またアルカリ処理液4の滞留槽21ではpH低下によって生物分解が始まるため、これを抑制する上でも、次亜塩素酸ソーダ28を添加することが望ましい。なおpH計35のpH計測値は、間欠的に運転される撹拌機34が運転されていて、アルカリ処理液4が均一化されているときの値を採用することが好ましい。また、次亜塩素酸ソーダ供給ポンプ30の運転制御は、従来公知の手段を適宜利用して行えばよい。
次に本発明の第2の実施形態による汚水処理装置について、その概略構成を示す図7を参照して説明する。なおこの図7において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要のない限り省略する(以下、同様)。
本実施形態の汚水処理装置100は、図1に示した汚水処理装置1と比べると基本的に、汚水2の雰囲気を脱臭する手段が設けられ、そこで発生したアルカリ性排水をアルカリ剤24と共にアルカリ処理に利用すれようにしている点が異なるものである。すなわち本装置においては、一例として硝化槽13内の汚水2に接している空気がファン101によって吸引され、ダクト102を通してまず酸洗浄塔103に送られて酸洗浄による脱臭処理を受けた後、ダクト104を介してさらにアルカリ洗浄塔105に送られ、そこでアルカリ洗浄による脱臭処理を受けた後に、ダクト106から大気に放出されるようになっている。
上記酸洗浄塔103には、洗浄液貯槽107に貯留された例えば硫酸や塩酸等の洗浄液108が、洗浄液供給ポンプ109により配管110を通して供給される。ダクト102を通して酸洗浄塔103に送られた上記空気は、酸洗浄塔103内を流下する洗浄液108と接触する。そこで、この空気に含まれるアンモニア、トリメチルアミン等の臭気成分が中和して、脱臭される。酸洗浄塔103の底部まで流下した洗浄液108は、洗浄液循環ポンプ111により配管112を通して酸洗浄塔103の上流側に戻され、循環再使用される。
また上記アルカリ洗浄塔105には、洗浄液貯槽117に貯留された例えば水酸化ナトリウム水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等のアルカリ性の洗浄液118が、洗浄液供給ポンプ119により配管120を通して供給される。酸洗浄を受けた後にダクト104を通してアルカリ洗浄塔105に送られた上記空気は、このアルカリ洗浄塔105内を流下する洗浄液118と接触する。そこで、この空気に含まれる硫化水素、メチルカプタン等の臭気成分が中和して、脱臭される。アルカリ洗浄塔105の底部まで流下した洗浄液118は、洗浄液循環ポンプ121により配管122を通してアルカリ洗浄塔105の上流側に戻され、循環再使用される。
なお、アルカリ洗浄塔105の底部まで流下したアルカリ性の洗浄液118は洗浄塔底部や洗浄液循環ラインから一部排水とされるが、このアルカリ性の排水は配管123を通してアルカリ処理槽20に供給され、アルカリ剤24と共に前述のアルカリ処理に利用される。洗浄液118は上述した通り硫化水素、メチルカプタン等の中和に利用されるが、通常、該洗浄液118が全て完全に中和することはないので、上記排水にはアルカリ成分が残存している。このようなアルカリ性排水をアルカリ剤24と共にアルカリ処理に利用すれば、アルカリ剤24の使用量を少なく抑えることができて経済的である。
次に本発明の第3の実施形態による汚水処理装置について、その概略構成を示す図8を参照して説明する。本実施形態の汚水処理装置200は、図1に示した汚水処理装置1と比べると基本的に、浄化槽汚泥中のリンを回収する手段が設けられている点が異なるものである。すなわち本装置においては、滞留槽21で所定時間滞留した後のアルカリ処理液4が次に膜分離槽(固液分離槽)201に送られ、該アルカリ処理液4はこの膜分離槽201の分離膜202を介してポンプ205により吸引され、分離膜202を透過して固形物成分が除去されたアルカリ処理液4が配管206を通して晶析脱リン槽209に送られる。
なお膜分離槽201の底部には、散気パネルや散気管等からなる散気装置203が配設され、さらに、その散気装置203に分離膜202の目詰まり防止用の空気を供給するブロワ204が設けられている。この膜分離槽201の分離膜202を透過しなかったアルカリ処理液4は、ポンプ207により配管208を通して脱窒槽12に送られる。こうして送られたアルカリ処理液4による作用は、既述の実施形態におけるのと同様である。
晶析脱リン槽209に送られたアルカリ処理液4は、そこで、リン回収のために供される。すなわちこの晶析脱リン槽209には、カルシウム剤貯槽213に貯留されたカルシウム剤212が、カルシウム剤供給ポンプ214により配管215を通して投入される。それにより、アルカリ処理液4中に存在していた、つまりは浄化槽汚泥中に存在していたリンがリン酸カルシウムの形態で析出し、回収可能となる。
なお、晶析脱リン槽209内においてアルカリ処理液4およびカルシウム剤212は、バッフルプレート210によって液流が制御されつつ撹拌機211により撹拌される。またリン回収処理を受けた後のアルカリ処理液4は、配管216を介して前述の配管208に送られ、膜分離槽201からのアルカリ処理液4と共に脱窒槽12に送られる。
以上の通りにして、浄化槽汚泥中に存在していたリンを回収できれば、それを再資源として有効利用可能となる。また本実施形態では、浄化槽汚泥をそのままリン回収工程に送るのではなく、リン溶出効果の有るアルカリ処理を受けた後の浄化槽汚泥(アルカリ処理液4)をリン回収に供しているので、高いリン回収効率が得られるようになる。
次に本発明の第4の実施形態による汚水処理装置300について、その概略構成を示す図9を参照して説明する。先に説明した第1〜3の実施形態では、脱窒槽12に投入される前の浄化槽汚泥の一部を分岐させてそこにアルカリ剤を添加し、それを滞留後に脱窒処理に供給するようにしているが、本実施形態では上記浄化槽汚泥の代わりに、硝化脱窒処理の汚水を固液分離して得られた返送汚泥を利用する構成としており、その点で基本的に第1〜3の実施形態と相違している。
すなわち本実施形態では図9に示される通り、図1、7および8に示されたものと同様の汚泥返送路15の一部が分岐され、その分岐された汚泥返送路15が汚泥ポンプ19を介してアルカリ処理槽20に接続されている。このアルカリ処理槽20およびその後段の滞留槽21、並びに該滞留槽21からアルカリ処理液4を脱窒槽12に供給する構成は、第1〜3の実施形態におけるものと基本的に同様である。
したがってこの構成においては、返送汚泥から溶出した有機物を脱窒工程で水素供与体として利用可能となる。さらに、アルカリ剤24の添加を行ってアルカリ処理液4のpHを高めていることにより、返送汚泥中の溶解性有機物をより多く溶出させることができるので、該有機物を水素供与体としてより有効に利用可能となっている。そこでこの汚水処理装置300においても、メタノール等の水素供与体を全く使用しないで、汚水処理用の薬品コストを低減し、さらには、外添する水素供与体による汚泥発生量の増加を抑えて汚泥処分コストを低減可能となる。
なお本実施形態でも、第3の実施形態におけるのと同様に、浄化槽汚泥等の中に存在していたリンを回収するようにしているが、そのための構成は第3の実施形態における構成とは相違している。以下、その点について説明する。
すなわち本実施形態では、図8中のものと同様の分離膜202が硝化槽13内に配設され、硝化槽13内の汚水がこの分離膜202を介してポンプ205により吸引され、配管206を通して晶析脱リン槽209に送られるようになっている。そこでこの構成においては、分離膜202を透過して固形物成分が除去された汚水から、つまりは浄化槽汚泥や屎尿から、晶析脱リン槽209によってリンが析出、回収される。なお、このリン析出および回収のための構成は図8におけるものと同様である。つまり、カルシウム剤貯槽213に貯留されたカルシウム剤212が、晶析脱リン槽209に投入されることにより、リンはリン酸カルシウムの形態で析出し、回収される。
ここで、硝化槽13内の汚水のpHは、脱窒槽12に供給されるアルカリ処理液4のpHや量等の条件に応じて変わるものであるが、この条件次第で、上記汚水中のリンの大部分を溶出させることも可能である。そのようにすれば、晶析脱リン槽209に送られる汚水中のリン濃度を十分に高くして、該晶析脱リン槽209によるリン回収量を極めて多くすることが可能になる。
次に、本発明の実施例として、連続脱窒装置にアルカリ処理液を投入した処理実験を行った結果について説明する。図2は、本実験に用いた汚水処理装置50を示す概略構成図である。この汚水処理装置50は、脱窒槽51と、この脱窒槽51において脱窒処理を受けた汚水が供給される膜分離槽52と、この膜分離槽52に接続された配管53と、この配管53に介設されて膜分離槽52内の汚水を分離膜54を通して吸引するポンプ55とを有している。
上記脱窒槽51には、そこに滞留している汚水を撹拌する撹拌機56が設けられている。他方、膜分離槽52の底部には、散気パネルや散気管等からなる散気装置57が配設され、さらに、その散気装置57に分離膜54の目詰まり防止用の空気を供給するブロワ58が設けられている。また膜分離槽52には汚泥返送管59の一端が接続され、その他端は脱窒槽51に接続されている。そしてこの汚泥返送管59の途中には、汚泥返送ポンプ60が介設されている。
さらにこの汚水処理装置50は、硝酸塩溶液61を貯留する硝酸塩溶液貯槽62と、この硝酸塩溶液61を上記脱窒槽51内に供給する硝酸塩溶液供給ポンプ63並びに配管64と、アルカリ処理液65を貯留するアルカリ処理液貯槽66と、このアルカリ処理液65を上記脱窒槽51内に供給するアルカリ処理液供給ポンプ67並びに配管68とを有している。
この汚水処理装置50において、処理対象としての硝酸塩溶液61は脱窒槽51において脱窒処理を受けた後、膜分離槽52の分離膜54により固液分離され、処理水がポンプ55によって吸引、排出される。膜分離槽52で分離された汚泥(固形物成分)は、汚泥返送管59を通して汚泥返送ポンプ60により脱窒槽51に返送される。
アルカリ処理液65は、表1に示した浄化槽汚泥を対象として回分処理で作成した。汚泥量に対するアルカリ剤添加率は7.2g/lで、アルカリ剤添加後1時間はpHが11.6以上になるように維持し、その後23時間はアルカリ処理液65を室温条件で放置した。このときpHは10程度であったため、次亜塩素酸ソーダは添加していない。このアルカリ処理液65を図2のアルカリ処理液貯槽66に入れ、連続脱窒による脱窒効果の評価を行った。
この汚水処理装置50は、N成分が100mg-N/lである硝酸塩溶液61を脱窒槽51に連続注入し、膜分離槽52との間で循環させながら分離膜54で固液分離して処理水を得る構成になっており、これにより、本発明で実現できる脱窒反応への効果を確認することができる。種汚泥には浄化槽汚泥を用い、アルカリ処理液65の代わりにメタノールを投入して数ヶ月運転し、馴養してからアルカリ処理液投入の場合のデータを採取した。
脱窒槽51は容量3l(リットル)、膜分離槽52は容量0.8lで、硝酸塩溶液61を約5.5l/日処理する。そして、脱窒炭素源としてメタノールあるいはアルカリ処理液65を、約0.8l/日の割合で脱窒槽51に添加した。膜分離槽52から脱窒槽51への返送量は、処理水量に対して約6倍に設定した。メタノールを利用したRUN1と、アルカリ処理液65を利用したRUN2について表4に結果を示す。
Figure 2012011376
メタノールを利用したRUN1では、BOD/NO3-N比が9.0と十分高いにもかかわらず、硝酸性窒素の除去率は45%にとどまった。一方アルカリ処理液65を利用したRUN2では、BOD/NO3-N比が3.5とメタノールより低いにもかかわらず、硝酸性窒素除去率は75%と良好な脱窒効果が得られた。
以上のことから、本発明により浄化槽汚泥あるいは返送汚泥のアルカリ処理液を利用すれば、硝化脱窒処理におけるメタノール使用量を低減でき、安定した窒素除去を実現可能であることが確認された。
生物学的硝化脱窒法は、し尿処理はもちろん、下水・産業排水の処理法として広く普及している。処理対象のBOD成分と窒素成分の比率が高ければ脱窒炭素源を添加する必要はないが、BODの割合が低い場合はメタノールなどの脱窒炭素源を添加することが一般的になっている。本発明は、これらメタノールを利用している処理施設において適用することができる。
1、50、100、200、300 汚水処理装置
4、65 アルカリ処理液
10 し尿投入路
11 浄化槽汚泥投入路
12、51 脱窒槽
13 硝化槽
14 沈殿槽
15 汚泥返送路
18 浄化槽汚泥管
19 汚泥ポンプ
20 アルカリ処理槽
21 滞留槽
22、27、31、68 配管
23 アルカリ処理液供給ポンプ
24 アルカリ剤
25 アルカリ剤貯槽
26 アルカリ剤供給ポンプ
28 次亜塩素酸ソーダ
29 次亜塩素酸ソーダ貯槽
30 次亜塩素酸ソーダ供給ポンプ
32、34 撹拌機
33、35 pH計
36 堰
37 汚水返送管
38 汚水返送ポンプ
61 硝酸塩溶液
62 硝酸塩溶液貯槽
66 アルカリ処理液貯槽
67 アルカリ処理液供給ポンプ
105 アルカリ洗浄塔
117 洗浄液貯槽
118 アルカリ性洗浄液
119 洗浄液供給ポンプ
209 晶析脱リン槽
212 カルシウム剤
213 カルシウム剤貯槽
214 カルシウム剤供給ポンプ

Claims (12)

  1. し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化工程および脱窒工程からなる汚水処理方法において、
    硝化脱窒処理に送られる前の前記汚水の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤を添加するアルカリ処理工程と、
    このアルカリ剤が添加された汚水を滞留させる滞留工程と、
    この滞留工程後の汚水を前記脱窒工程に供給する工程とを備え、
    前記アルカリ処理工程において、アルカリ剤添加後の汚水のpHが11.6以上12.5以下とされ、
    前記アルカリ処理工程における汚水の滞留時間が0.5時間以上2時間以下であり、
    前記滞留工程における汚水の滞留時間が12時間以上48時間以下であることを特徴とする汚水処理方法。
  2. し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化工程および脱窒工程、並びに、前記硝化脱窒処理後の汚水を固液分離して得られた汚泥を前記硝化工程および脱窒工程の前に返送する工程からなる汚水処理方法において、
    前記汚泥の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤を添加するアルカリ処理工程と、
    前記汚泥に前記アルカリ剤が添加されてなる汚水を滞留させる滞留工程と、
    この滞留工程後の汚水を前記脱窒工程に供給する工程とを備え、
    前記アルカリ処理工程において、アルカリ剤添加後の汚水のpHが11.6以上12.5以下とされ、
    前記アルカリ処理工程における汚水の滞留時間が0.5時間以上2時間以下であり、
    前記滞留工程における汚水の滞留時間が12時間以上48時間以下であることを特徴とする汚水処理方法。
  3. 前記滞留工程における汚水のpHが9未満となった場合、この汚水に次亜塩素酸ソーダを添加することを特徴とする請求項1または2記載の汚水処理方法。
  4. 汚水の雰囲気をアルカリ洗浄によって脱臭する脱臭工程を有し、
    この脱臭工程で生じたアルカリ性排水を、前記アルカリ剤と共に前記アルカリ処理工程に用いることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の汚水処理方法。
  5. 前記滞留工程よりも後段において、汚水中の固形分を分離する工程と、
    この固形分が分離された後の汚水にカルシウム剤を添加して汚水中のリンを回収する晶析脱リン工程とをさらに有することを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の汚水処理方法。
  6. 前記アルカリ処理工程において、アルカリ剤が添加された汚水を連続的に撹拌し、
    前記滞留工程において、間欠的に汚水を撹拌することを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の汚水処理方法。
  7. し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化手段および脱窒手段を有する汚水処理装置において、
    硝化脱窒処理に送られる前の前記汚水の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤を添加するアルカリ処理手段と、
    このアルカリ剤が添加された汚水を滞留させる滞留槽と、
    この滞留後の汚水を前記脱窒手段に供給する手段とを備え、
    前記アルカリ処理手段が、前記汚水を滞留させるアルカリ処理槽を備えた上で、このアルカリ処理槽内の汚水に、添加後の汚水のpHが11.6以上12.5以下となる量のアルカリ剤を添加するものとされ、
    前記アルカリ処理槽が、それにおける汚水の滞留時間が0.5時間以上2時間以下となる実効容積を有し、
    前記滞留槽が、それにおける汚水の滞留時間が12時間以上48時間以下となる実効容積を有していることを特徴とする汚水処理装置。
  8. し尿および/または浄化槽汚泥を含む汚水を生物学的に硝化脱窒処理する硝化手段および脱窒手段と、前記硝化脱窒処理後の汚水を固液分離する手段と、この固液分離によって得られた汚泥を前記硝化手段および脱窒手段の前に返送する汚泥返送手段とを有する汚水処理装置において、
    返送される前記汚泥の一部を分岐させて、そこにアルカリ剤を添加するアルカリ処理手段と、
    前記汚泥にアルカリ剤が添加されてなる汚水を滞留させる滞留槽と、
    この滞留後の汚水を前記脱窒手段に供給する手段とを備え、
    前記アルカリ処理手段が、前記汚水を滞留させるアルカリ処理槽を備えた上で、このアルカリ処理槽内の汚水に、添加後の汚水のpHが11.6以上12.5以下となる量のアルカリ剤を添加するものとされ、
    前記アルカリ処理槽が、それにおける汚水の滞留時間が0.5時間以上2時間以下となる実効容積を有し、
    前記滞留槽が、それにおける汚水の滞留時間が12時間以上48時間以下となる実効容積を有していることを特徴とする汚水処理装置。
  9. 前記滞留槽内に滞留する汚水のpHを検出する手段と、
    この手段が検出したpHが9未満となった場合、この汚水に次亜塩素酸ソーダを添加する手段とが設けられたことを特徴とする請求項8または9記載の汚水処理装置。
  10. 汚水の雰囲気をアルカリ洗浄によって脱臭する脱臭手段と、
    この脱臭手段において生じたアルカリ性排水を、前記アルカリ処理手段に供給する手段とが設けられたことを特徴とする請求項7から9いずれか1項記載の汚水処理装置。
  11. 前記滞留槽よりも後段において、汚水中の固形分を分離する手段と、
    この固形分が分離された後の汚水にカルシウム剤を添加して汚水中のリンを回収する晶析脱リン手段とをさらに有することを特徴とする請求項7から10いずれか1項記載の汚水処理装置。
  12. 前記アルカリ処理手段が、アルカリ剤が添加された汚水を連続的に撹拌する撹拌手段を含んでおり、
    前記滞留槽に、間欠的に汚水を撹拌する撹拌手段が設けられていることを特徴とする請求項7から11いずれか1項記載の汚水処理装置。
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