JP2011005354A - Bodと窒素を同時処理可能な活性汚泥の運転方法 - Google Patents

Bodと窒素を同時処理可能な活性汚泥の運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活性汚泥において、BOD除去と窒素除去を同時に処理可能な運転条件や制御方法を提供する。
【解決手段】曝気槽内のDOを、DO一定制御を行っている状態において、DOの制御値を概ね1mg/l以下のDOcp±0.3mg/lの範囲に制御する。また出口近傍からサンプリングした曝気槽内の混合液及び流入原水を用いて、曝気槽出 口の処理水BODと、処理水BOD予測値と、硝酸イオン濃度と、を評価する測定値を用いて、曝気槽内DOを概ね1mg/l以下のDOcp±0.3mg/lの範囲に制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は廃水浄化装置の運転制御方法に係り、特に好気性微生物を用いた曝気槽内の溶存酸素濃度を制御する方法をもって、廃液中のBODと窒素を同時に処理できる活性汚泥の運転方法に関する。
好気性微生物を利用する工学的分野は多岐に亘っているが、代表的な分野として廃水処理があり、なかでも活性汚泥処理法は最も汎用的な廃水処理法である。活性汚泥法の基本プロセスは、好気性微生物を高濃度に含む活性汚泥混合液に廃水を入れ、空気を曝気することにより混合液中に溶解した溶存酸素を利用して微生物が廃水中の汚濁物を分解浄化するものである。
活性汚泥の処理の主目的は、廃水中のBODの除去であるが、廃水中の全窒素を除去することも、富栄養化対策として重要事項である。
曝気槽には、概ね廃水中の汚濁物を分解する酸素量および微生物が呼吸で消費する酸素量の合計を、曝気ブロアーから曝気槽内に敷設した散気管から曝気槽内の混合液を曝気することにより供給する。酸素量の管理は、曝気槽内の溶存酸素濃度(以下、DOと称す)を測定し、過不足を調整することにより行う。
BODの処理を安全におこなう観点から、活性汚泥が酸素不足にならないように、曝気槽内の混合液のDOを2.0mg/l程度にすることが、通常おこなわれている運転法であるが、この運転法では廃水中の全窒素は、汚泥の増殖にともない取り込まれる分しか除去されないため、全窒素が多い廃水では、窒素除去率は高くないのが現状である。
高度に窒素除去が必要な場合には、活性汚泥でなく、生物脱窒プロセスが用いられる。生物脱窒プロセスは、好気性条件下で、廃液中の窒素を活性汚泥でアンモニア性窒素にかえ、硝化菌により、下記の(1)式および(2)式で、廃水中のアンモニア性窒素を硝酸性窒素に変換し、さらに嫌気性条件下で、脱窒菌の作用により、同(3)式、(4)式で硝酸性窒素を窒素ガスに換えて、廃水から除去する。(3)式、(4)式は炭素源として、メタノールを使用した場合の反応式を示すものである。硝酸性窒素の形態としては、(1)式、(2)式に示すように、亜硝酸イオンや硝酸イオンなどがあり、以下、これらを総評して、硝酸イオンと表記する。
Figure 2011005354
生物学的脱窒法を具体化する装置には、基本形として、硝化槽→嫌気槽→沈殿槽で構成する型式、嫌気槽→硝化槽→沈殿槽で構成する型式(硝化液循環法)、処理槽1槽だけで好気と嫌気を繰り返す回分式、などの型式があるが、いずれも嫌気と好気を組み合わせたものである。そのなかで窒素除去率が高い典型的な装置例は、硝化液循環法である。硝化液循環法は、図4に示すように、嫌気槽→硝化槽→沈殿槽で構成され、嫌気槽では、攪拌のみで曝気はおこなわずに嫌気状態とし、硝化槽では、活性汚泥の曝気槽と同様に曝気をおこない好気状態に保つ。先頭の嫌気槽で、硝化槽からの循環液に含まれる多量の硝酸イオンを、原水中の炭素源を使って、嫌気状態にある脱窒菌の作用により、窒素ガスに還元する。嫌気槽からの流出液はまだBODが高いため、硝化槽でBODを分解するとともに、廃液中の窒素分をアンモニア性窒素に変化し、さらに、硝化槽内の硝化菌の作用により、硝酸イオンにまで変換する。生成した硝酸イオンは、硝化液循環により脱窒槽に戻し脱窒される。硝化槽で処理された混合液は、沈殿槽で固液分離され、上澄み液は処理水となり、沈殿汚泥は、返送汚泥として、先頭の槽に戻されるのは活性汚泥と同じである。
活性汚泥と比較し、嫌気槽と硝化液循環装置が余分に必要であり、また窒素除去率を高くするには、硝化液の循環率を大きくする必要があり、大量の硝化液を循環するため消費エネルギーも大きくなる。このため、同程度のBOD処理能力をもつ活性汚泥装置の1.5倍程度の大きさの装置となり、活性汚泥より高価で消費エネルギーも大きい装置が必要となる。他の生物脱窒プロセスである、硝化槽→嫌気槽→沈殿槽で構成する型式や回分式においても、嫌気槽に相当する分、装置が大きくなり、硝化反応のために多量の酸素を必要とする。
このため、活性汚泥と同等の装置規模とエネルギー使用量で、活性汚泥なみのBOD除去率と生物学的脱窒法なみの窒素除去率を達成できるプロセスが望まれ、既存の生物学的脱窒法を改良する種々の試みがなされている。
たとえば、特許文献1や特許文献2には、1つの処理槽を、上下に固定接触材や浮遊担体を配し中間に曝気槽装置を設ける2槽構造にして効率化を図る方法が開示されている。また、活性汚泥法からのアプローチとして、活性汚泥の曝気槽に浮遊担体をいれ、浮遊担体に付着した微生物相により、曝気槽内で脱窒も同時におこなう方法が、特許文献3などで開示されている。
しかしながら、これらは、窒素除去率は、活性汚泥よりは良いものの、硝化液循環法には及ばず、また、活性汚泥より設備コストが増大するほか、接触材への微生物の詰まりや流動担体の流出などの活性汚泥とは別のトラブルの発生懸念があり、BOD処理と窒素を同時に効率よく処理できているとは言い難いのが現状である。
また、後述するように、本発明者は、活性汚泥混合液を使って、BODや分解速度を計測する技術や処理水BODを予測する技術について、特許文献4や特許文献5や特許文献6に開示している。特許文献4や特許文献5には、曝気槽出口近傍からサンプリングした活性汚泥混合液を計測装置に導入し、計測装置内で曝気して、混合液中のBODを除去する過程のDOの変化データと酸素供給速度を表す物質移動係数から、混合液のBODを計算し、またBODを除去したのちの混合液に原水を添加し、混合液が原水のBODを処理する過程のDOの変化データから、原水のBODやBODの分解速度を計測する。さらに、特許文献6には、原水のBODやBODの分解速度と活性汚泥の曝気槽の容量や原水の処理量から、処理水のBODを予測する計算方法を開示している。
特開平07−171587 特開2002−119993 特開平09−168795 特開2001−235462 特開2006−84240 WO2007/148368
このように、従来の活性汚泥はBOD処理が主目的であり、窒素分はBODに見合った汚泥増殖による除去が可能な程度で、窒素除去率は高くない。一方、高い窒素除去率は生物脱窒装置では可能であるが、活性汚泥と比較して大掛かりな装置が必要となり、消費エネルギーも活性汚泥より多く必要である。 以上のように、BOD処理が高く、かつ、生物脱窒装置並の窒素除去率が得られる活性汚泥は実現できていないのが現状である。
大掛かりな生物脱窒装置を使用せず、活性汚泥装置のまま、運転条件や制御技術だけで、BOD処理能力を低下させず、むしろ増大させながら、生物脱窒装置並みの窒素除去率を達成でき、しかも省エネルギーとなる活性汚泥を提示することにあり、この運転条件や制御技術については、いずれの文献にも開示されていない。
本発明者は鋭意研究の結果、BOD処理と窒素処理を同時、かつ、安全に実現可能な活性汚泥の運転技術を見出し、以下の発明を完成させた。
すなわち、第1の発明は、
曝気槽内の活性汚泥により、BOD処理と脱窒処理を同時に行う廃水浄化装置の運転方法であって、曝気槽内のDO値測定に基づいて酸素供給量を増減することにより、曝気槽内DO真値(DOr)を一定値に制御するものであり、曝気槽の活性汚泥混合液をサンプリングして、混合液のBOD処理速度が最大となるDO値(DOcp)を求め、DO真値(DOr)を、
DOcp−0.3mg/l≦DOr≦DOcp+0.3mg/l ・・・(1)
の範囲の所望の値に制御する、ことを特徴とする。
本発明の作用は以下の通りである。
活性汚泥におけるBODを分解除去する力(以下、汚泥の活性)と、曝気槽DOとの関係を、縦軸を100%を最大値とする相対値で表わし、BOD容積負荷をパラメータとして精査すると、図1のa、b、c(BOD容積負荷はa=0.28 kg/m3・day、b=0.63 kg/m3・day、c=1.20 kg/m3・day)に示すようになる。同図に示すように、曝気槽DOが低いほうが汚泥の活性が大きく、BODの処理能力が高いことが分かる。さらに、曝気槽DO減少に対する活性の変化率は、BOD容積負荷が小さいほうが大きくなることを示している。
一方、原水BOD成分を分解除去する速度と曝気槽DOとの関係は、混合液を曝気してDOが高い状態で曝気を停止し、外部からの溶存酸素の溶け込みがない状態で、DOが減少していく速度を測定することにより求めることができる。図2は、この様子を示す図である。曲線aは、混合液を曝気し、混合液中のBODを除去した状態のDO変化を示すもので、汚泥が呼吸で消費する酸素消費速度のDOによる変化を表すものである。曲線bは、混合液中のBODを除去した状態の混合液にグルコースを添加して、曝気状態のDOからの変化を示すものである。同様に曲線cはメタノールを添加した混合液の変化である。
a、b、cの曲線とも、概ねDOcpまでは、ほぼ直線状に減少していく。すなわち、この範囲ではDOに関係なく、ほぼ一定の酸素消費速度であることを示すものである。
さらに、DOが概ねDOcp以下になると、0mg/lに向かって指数曲線状に低下していく。この範囲では酸素消費速度はDOに依存することを示している。BOD成分を分解に要する酸素消費速度(以下、分解速度)は、曲線b、cで示す全体の酸素消費速度から曲線aで示す呼吸で使用する酸素消費速度を引いたものであるから、分解速度も同様の変化となる。
分解速度の変化をDOを横軸、分解速度を縦軸(最大値を100%とする相対値)にして図示すると、図1のdのようになる。活性汚泥は多様な微生物の集合体であるから、分解速度の変化は階段状に変化するものではなく連続的な変化にあるはずであるから、図1のdの曲線のように、DOcp以上ではわずかな上昇直線であり、DOcp以下では急速に0に向かって小さくなる連続的な曲線となる。
分解速度は、DOの大きさにより、図1のdのように変化するが、同時に、分解速度は汚泥の活性に比例する。汚泥の活性はDOにより図1のa、b、cように変化するから、図1のdの変化と合成すると、汚泥による原水BODの処理速度は、図3のaの曲線のようになり、DOcpで最大値となる。このことから逆に、DOcpをBODの処理速度が最大となる曝気槽DO値、と再定義することができる。
DOcpの値は、BOD容積負荷が0.5kg/m3/day程度で、MLSSが3,000mg/l程度の活性汚泥であれば、概ね0.7mg/l程度である。
図1、図3の関係は、従来は、明確に認識されておらず、DOが高いほうが処理がよく、DOが低いと処理が悪いという定性的な認識が一般的であった。この認識は、DOと汚泥の活性やBODの分解速度の関係が整理されていないことによるものであるが、その原因は、従来、活性汚泥の活性やBODの分解速度を簡便に測定できる計器がなく、定量的な解析がなされていなかったためである。
しかしながら、本発明者が近年開発した計器を使うことにより、活性汚泥の活性やBODの分解速度を簡単に定量化できるようになった。図1や図3のaは、この計器を使って、測定し定量化したものであり、これにより、BODの処理速度にDOの最適値が存在することを見出したものである。
次に、本発明による全窒素の除去の作用について説明する。廃水中の全窒素は、活性汚泥菌によりアンモニア性窒素に変換される。アンモニア性窒素を硝酸性窒素に変換する作用は、活性汚泥中の硝化菌の働きによりなされる。硝化菌の働きの強さ(以下、硝化活性)は、DOが高いほうが大きく、DOが低いと小さくなるとされているが、従来、DOが1mg/lより低い領域での定量的な解析は明確にされていなかった。その理由は、DOと硝化活性の関係は、曝気槽のDOを変えて運転する活性汚泥混合液にアンモニウムイオンを定量添加して、処理後に硝酸イオンの生成量を測定することなどで、定量化できるが、1mg/l以下の低DO領域では、曝気槽内で脱窒が同時に進行するため、表面上、急激に硝酸イオンがの量が低下し、硝化活性が実際より小さい測定値となる。また、低下量は、そのときの脱窒速度により変化し、脱窒速度は、汚泥の活性やフロックの状態によるので、汚泥の状態を管理せずに測定すると、測定するたびに異なる結果がでて、低DO領域では、硝化活性が低下する、という定性的なデータしかならない、ことにある。
本発明者は、BODと窒素同時処理を目的として、特に低DO領域での測定を行い、図3のbのような曲線を得た。同図より、DOの低下とともに硝化活性は減少していくが、その変化はDOcpあたりが一番大きく、また、DOがDOcp−0.3mg/l程度までは小さいながらも硝化活性はあるが、それ以下になると、実質的に硝化活性があるレベルとは言い難くなることが分かる。
脱窒は脱窒菌の作用によりおこなわれる。脱窒菌は通性嫌気性菌であり、好気性条件下では、溶存酸素を使い、嫌気性条件下で、硝酸イオンの酸素を利用する。DOと脱窒速度の関係は、DOが0mg/lの状態または0mg/lに近い条件で作用し、DOが高いと脱窒は起こらないことは既知であるが、特に0mg/lから1mg/lの低DO領域における定量的な関係は、明示されていない。その理由は、低DO領域では、活性汚泥の活性や活性汚泥のフロックの状態で脱窒速度が大きく影響されると思われ、それらを管理しないまま測定するとデータがばらついてしまったり、測定するたびに異なる測定値となってしまう為と思われる
図3のcは、汚泥の活性が良好で、良好なフロックが形成されている汚泥について、曝気槽のDOを変えて運転する活性汚泥に硝酸イオンを定量添加して、処理後に硝酸イオンの減少量を測定することで、定量化したものである。炭素源としてはメタノールを適量添加した。
図3のcに示すように、完全な嫌気状態だけでなく、低DO領域でも、脱窒速度は低下していくものの、DOcp+0.3mg/l程度までは有効な脱窒速度があることがわかる
完全な嫌気状態だけでなく、低DO領域でも十分な脱窒速度を有している理由については、以下のように推定される。
活性汚泥はズーグレアというゼラチン質によりフロックを形成している。このフロックの大きさは、活性汚泥により程度の差はあるが、概ね0.5mmから2mm程度である。活性汚泥における標準的な運転条件であるDOが2mg/l程度においては、フロックの形状が小さいため、内部まで好気状態であるが、低DO領域では、フロックの外側は好気環境でも、内部は嫌気状態になり、全体として脱窒能力をもつことになる。このことは、接触材や浮遊担体を使う方式は、窒素除去率が活性汚泥より高いとされているメカニズムと同じであるが、接触材や浮遊担体では生物膜の厚みは数mmから1cmあるので、DOが数mg/lの高い状態でも、接触材側の微生物相や担体内部の微生物相は嫌気状態になるので、脱窒作用が働く状態になる。
生物膜装置の脱窒作用は、接触材に固着する生物相でおきる反応であり、接触材や浮遊担体の表面積には装置的な限界があるので、接触効率はあまり高くなく、窒素除去率は、活性汚泥より若干高い程度に留まるが、流動槽反応装置である活性汚泥は、廃水との接触効率が、接触材や浮遊担体より格段に大きいので、活性汚泥を低DOで運転すると、多少脱窒速度が低下しても、十分な脱窒速度を有する装置となる。
但し、この作用は正常なフロックが形成されている活性汚泥であることが必要である。フロックが小さくなっている過曝気状態の活性汚泥で脱窒速度を測定すると、図示はしないが、DO=DOcpのときに、フロックが正常な図3のbでは約50%もある脱窒速度が、ほとんど0になってしまうことが測定されている。
図3に示すように、BOD処理能力が大きく、かつ、有効な大きさの硝化活性と脱窒速度をもつ曝気槽DO条件は、DOがDOcpを中心とする概ね1mg/l以下の狭い領域ではあるが、存在することがわかる。すなわち、曝気槽DOを、DOcpを中心とする概ね1mg/l以下の狭い領域に運転制御(以下、低DO運転)できれば、活性汚泥装置のままで、BOD処理とともに高価な生物脱窒装置と同様の窒素除去性能を持たせることができる。
本発明は、上記作用を具体的な装置に適用したものである。DO計を使って曝気槽のDOを一定に制御する技術は、既に実用化されている。本発明は、DO真値を、DOcp±0.3mg/lの範囲の値にすることにより、BODと窒素の同時処理という目的を達成するものである。
この場合、制御目標値として、BOD処理を優先する場合には+(プラス)側、脱窒処理を優先する場合にはー(マイナス)側の値に設定すべきである。
なお、「DO真値」については、校正直後のDO計指示値を以って近似することができる。
第2の発明は、第1の発明において、曝気槽に流入する原水及び曝気槽の出口近傍の混合液をサンプリングし、
(a)曝気槽出口の処理水BODと、
(b)処理水BODに対応する曝気槽出口における処理水BODの予測値と、
(c)曝気槽出口の硝酸イオン濃度と、を求め、
上記(a)乃至(c)の結果を用いて、測定時におけるDO真値(DOr)と、制御目標値(SPr)の大小を判定し、該判定結果に基づいてDO制御値(SPm)を増減することにより、DO真値(DOr)を(1)式の範囲の値に制御する、ことを特徴とする。
現状では、DO計によるDO一定制御は、DOの制御値(SPm)が2mg/l程度では普通に行われているが、1mg/l程度以下の運転は、原水変動のない場合以外は、ほとんどおこなわれていない。
その理由は、図3のaの曲線で表されるように、DOの少しの低下がBOD処理速度の大きな低下となり、BOD処理が不良となる危険性が大きいためである。
したがって、良好な処理を担保しながら、低DO運転を実現するためには、正確にDOを制御できることと、BOD処理の状況を迅速に精度よく把握できることが必要であるが、原水変動が大きい場合は、どちらも簡単なことではなく、安全に操業できる保証が得られないことで、容易に取り組めないためである。
曝気槽のDO管理は、DO計によって行われている。活性汚泥の曝気槽内のDO値を長期間連続的に測定する場合は、DO計の電極液の経時変化に加え、DO計電極隔膜の汚れ程度の変化、電極面への気泡の接触、などのため、DO計の測定値は、真のDO値と誤差が生じる。このため、長期間にわたる測定においては、DO計の電極面を定期的に自動洗浄を行ったりしているが、DO計が真のDO値を指示しているかの信頼性は乏しい。しかし、DO一定制御のSPmが2mg/l付近では、真のDO値と多少の誤差があっても、図3に示すようにBODの処理速度に影響が少ないため、DO計の管理をよくおこなうことで、実用化できている。
しかしながら、低DO運転は、SPmが概ね1mg/l以下のDOcp付近であり、このレベルではDOのわずかの変化で処理速度が大きく変化するため、真のDO値と0.1mg/l程度の誤差しか許容されない。実験室でのDO計であれば、頻度よく校正すれば、このような精度を維持することは可能であるが、曝気槽に浸漬してあるDO計では、現実的には非常に難しい。結果として、いつのまにかDO低下で処理速度が低下し、BOD処理不良の状態になったり、DOが高すぎて窒素除去性能が低下する危険性が大きく、DO計だけを使って、低DO運転を実現することはできないのが現状である。
このことは、今後、性能のよいDO計が開発されても、完全には払拭できないと思われる。そのような宿命のあるDO計であっても、以下の制御法によれば安全に低DO運転を実現可能である。第2の発明はこの趣旨に基づいたものである。
処理水BODと処理水BOD予測値と処理水硝酸イオン濃度の測定値を使って、曝気槽DOを1mg/l以下のDOcpに制御しつつ、安定して処理水のBOD処理と窒素処理をおこなう具体的方法を示すものである。
図5は、原水BOD負荷量や処理速度が変化しても、曝気槽のDOをほぼ一定の制御値(SPm)に維持するフローを表すものである。具体的には、曝気槽のDOをDO計で測定した値とDO計の制御値SPmを比較し、曝気槽のDO計の指示値(DOm)が制御値SPmになるように、インバータでブロアーを制御し、曝気風量を自動調節する。
図6のフローチャートは、第2の発明の方法を説明する図である。スタートは、曝気槽の出口近傍からサンプリングした混合液を使って、混合液中の残留BODを測定する(S201)。ここで測定した残留BODは、曝気槽出口近傍でサンプリングした混合液なので、ほぼ曝気槽出口の処理水BODである。
さらに曝気槽に流入する原水をサンプリングして、原水のBODや処理速度を測定する。このBODや処理速度データは処理水BODの予測値を計算するためのものであるが、この時点ではまだその原水が処理される処理水は発生していないため、コンピュータ内に保存される。処理水BODに対応する処理水BOD予測値は、ほぼ曝気槽での滞留時間の相当する過去に測定されたコンピュータ内に保存されている原水の処理速度データと、過去から現在までの原水処理量のデータを使って、曝気槽での混合などを考慮して計算で求める(S202)。
次に、処理水BODと処理目標値(通常、20−50mg/l)を比較し(S203)、処理目標値内の場合(以下a1)と、処理目標値以上の場合(以下a2)にケース分けをおこなう。
次に、処理水BODと処理水BOD予測値を比較する(S204又はS207)。a1、a2のケースそれぞれについて、処理水BODが処理水BOD予測値内の場合(以下a1_b1、a2_b1)と、処理水BODが処理水BOD予測値以上の場合(以下a1_b2、a2_b2)に、ケース分けをおこなう。
処理水BODと処理目標値の比較と、処理水BODと処理水BOD予測値の比較により、概ね以下のことが分かる。
処理水BODが処理目標値より大きく処理が悪い場合は(S203においてno)、BOD負荷オーバー、分解速度の遅い廃水の流入による処理不良、曝気酸素量不足を含めてDO値が低くてBOD処理能力が低下、阻害性成分の流入やpHなどの処理条件が不適で汚泥の活性が低下、のいずれかの可能性がある。
処理水BOD予測値は、[0034]で記述するように、原水の分解速度を測定し、その分解速度と曝気槽の容量や原水処理量や返送汚泥量などの運転条件から計算する。原水の分解速度は、汚泥の活性が低下したり、分解速度の遅い成分が流入すれば、小さな値として測定される。また、原水処理量も計算要素なので、BOD負荷オーバーなら処理水予測値も大きくなる。但し、原水の分解速度は、DO値が少なくともDOcp以上あるとしたときの値であるので、もし、DO値が低下してBOD処理能力が低下すると、処理水BODは処理水BOD予測値より悪化する。したがって、処理水BODと処理水BOD予測値を比較することにより、以下のように要因を絞ることができる。
例えば、a2_b2のケースは、処理水BODが処理目標値より大きく処理が悪いが、処理水BOD>処理水BOD予測値であることから、DOr<SPrのためにBOD処理速度が低下し、処理が悪化している可能性が強い。
a2_b1のケースは、処理水BODが悪いが、処理水BOD予測値よりも良いので、DOが低下しすぎて分解速度が低下して処理が悪化したのではなく、負荷オーバーで処理が悪化した可能性が強い。
a2_b2のケースは、処理水BODが処理目標値より悪い状態なので、次の比較をするまでもなく、DOを上昇させる(S205)。また、a2_b1のケースは、DOの操作では問題は解決しないため、警報または原水処理量を低下させる処置となる(S206)。
処理水BODが処理目標値より小さく、BOD処理はOKの場合には(S203においてyes)、次に処理水BOD予測値と比較する(S207)。a1_b1のケースの場合(S207においてyes)、DOr≧SPrになる。
a1_b2のケースの場合(S207においてno)、DOが低すぎて処理速度が低下していると思われ、DO<SPrになる。
このように、実績値と予測値とを比較することにより、真のDO(DOr)と、制御したい真のDO制御値(SPr)との大小の判定ができる。
次に、曝気槽出口近傍でサンプリングした混合液中の硝酸イオン濃度を評価できる指標(以下、NO3-N)を測定する(S208又はS209)。a1_b1、a1_b2の各ケースに対し、NO3-Nと設定値を比較し、NO3-N≦設定値の場合(以下a1_b1_c1、a1_b2_c1)と、NO3-N>設定値の場合(以下a1_b1_c2、a1_b2_c2)に、ケース分けを行う。
硝酸イオンが設定値以上に残留する場合は、DOが高くて脱窒速度が遅くなっている可能性が最も大きいが、還元のためのBOD源が不足している可能性や、脱窒菌そのものの活性不良の可能性もあり得る。逆に硝酸イオンが設定値以下の場合は、DOが十分低く脱窒速度が適正にある場合だが、硝化活性が不良の可能性や原水中に窒素が不足してはじめから硝酸イオンがない可能性もあり得る。
a1_b1_c2の場合(S208においてno)、硝酸イオンが残留していることは、脱窒菌の作用が弱くて十分に窒素ガスに還元できなかったことを示す。その原因は、SPmによる制御では、曝気槽内の真のDO(DOr)が、制御したい真のDO値(SPr)より高くなっているためと判断できる。処理水BODと処理水BOD予測値の比較結果も、DOr≧SPrなので、SPmを低下させ、DOを是正する(S210)。
この場合、還元のためのBOD源が不足している可能性や、脱窒菌そのものの活性不良の可能性も否定はできないが、処理水BODが処理水BOD予測値より良いので、DOを低下させる余地があるので、最も可能性のある原因の対策を優先する。
a1_b2_c2の場合は(S209においてno)、硝酸イオンとの比較による判定では、硝酸イオンが残留しているので、DOが高すぎて脱窒速度の低下の可能性があるが、処理水BODと処理水BOD予測値の比較結果では、DOr<SPrの可能性大なので、還元のためのBOD源が不足している可能性や脱窒菌そのものの活性不良の可能性も否定はできず、DOを低下させることは、さらに処理水BODを悪化させる可能性がある。したがって、この段階では、判定不能になり、DOは現状維持で操作は行わずに、脱窒不良の警報発令となる。但し、本ケースの出現は極めてまれであり、このような処置でも、本発明の目的の支障にはならない。もしさらなる原因特定が必要であれば、例えば、原水のBOD負荷量を計算し、著しい低負荷であれば、還元のためのBOD源が不足している可能性が強く、その場合は、DOを低下させることが有効になる。
a1_b2_c1の場合は(S209においてyes)、硝酸イオンが少ないことから脱窒作用が適正におこなわれていることを示し、曝気槽DOは脱窒に必要な十分に低い状態にあることがわかる。しかし、処理水BODが予測値より悪いので(S207より)、SPmによる制御の結果、曝気槽内の真のDO値(DOr)が、制御目標値(SPr)より低下しており、BOD処理速度が低下していると判断できる。従って、SPmを大きくしてDOを上昇させる(S2122)。
a1_b1_c1の場合は(S208においてyes)、全て適正なので、DO=SPrであると判断し、現状を維持する。
DOcp±0.3mg/lの幅は、その時の活性汚泥のニーズにより選択可能である。例えば、元々過剰な窒素が少なく、BOD処理に重点を置く場合は、SPmはDOcpより高めに設定し、DOを高くするほうが安全である。一方、BOD処理には余裕があり、窒素の除去率を優先したい場合は、SPmをDOcpより低めに設定し、DOを低く運転することが有効である。
以上のように、処理水BODと処理水BOD予測とNO3-Nを測定評価することにより、その時点の真の曝気槽DOであるDOrが、BOD処理と窒素除去の同時処理に適した状態であるか否かを判定することができる。そして、DOrが高すぎる状態であれば、制御値SPmをより小さい値に再設定してDOmを低下させる。DOrが低すぎる状態であれば、制御値SPmをより小さい値に再設定してDOmを上昇させる処置をおこなう。図5のSPmが変更されることにより、曝気風量の増減により、曝気槽のDO値はSPmに自動制御される。このSPmは、次の測定サイクルの測定結果がでて、図6の新たなSPmで更新されるまで継続される。この間は、原水の変動などで、必要酸素量が変化しても、DO計によるDO一定制御が継続され、DOmはSPmに維持される。
DO計は、汚れや劣化などで指示値が経時変化するため、特に、DOが概ね1mg/l以下の0.1mg/l程度の変化の測定には信頼性不足である。しかしながら、本発明のような使い方であれば、絶対値としての信頼性は必要としないため、たとえ真の値と多少のズレがあっても相対値としての安定性が担保されれば、制御に使用できる。本発明で想定する制御サイクルは数時間程度と短時間なので、相対値として安定した状態を維持することは十分可能である。例えば、DO計の感度等が変化して、DO指示値が1mg/lを超えているにも関わらず、制御値をさらに上昇させる制御となる場合もありうる。しかし、これは単にDO計の指示に誤差があるためであり、真のDOであるDOrは概ね1mg/l以内の制御目標値SPrに制御されているので問題はない。但し、DO計の指示値が1mg/lを大きく上回ったり、0mg/l近くになっている場合には、DO計の校正が必要である。
<処理水BOD評価>
次に、処理水BODの評価方法について記述する。
公定法のBOD5による測定は、時間が掛かり過ぎるため、実際の制御には使用できない。原水の基質変動の小さい活性汚泥の場合には、BODを測定する代わりにTOCやCODを測定して、相関関係から処理水BODを評価することが可能である。しかしながら、原水の基質変動が大きい活性汚泥の場合、処理水TOCや処理水CODと処理水BODとの間には、必ずしも良い相関があるとは限らない。このようなケースでは、本発明の制御に使用するには精度に難がある。
本発明では、活性汚泥の曝気槽の出口近傍の混合液をサンプリングし、混合液をさらに曝気することにより、混合液中の残留BODを除去し、その過程で消費された全酸素量から、混合液の微生物が呼吸で消費した酸素量を除いて、残留BODを除去するに要した酸素量を計測し、その酸素量を処理水BODとして評価する方法が実際的である。活性汚泥混合液を使って、酸素消費量を計測する方法は、特開2001-235462や特開2006−84240に記述されている方法により可能な手段である。
次に処理水BOD予測を評価できる測定法について記述する。
原水の基質変動のない活性汚泥については、原水のCOD負荷量やTOC負荷量から処理水BOD予測を概略評価することは可能である。しかしながら、原水の基質変動が大きい活性汚泥の場合、分解速度は基質と汚泥の活性により変化するものであるから、原水負荷だけで処理水BODを予測することは不可能である。
本発明では、活性汚泥の曝気槽の出口近傍の混合液をサンプリングし、混合液をさらに曝気することにより、混合液中の残留BODを除去したのちの混合液に、原水を添加し、原水のBOD成分の分解による酸素消費量の変化を計測することにより、原水の分解速度を求める。次に、その分解速度のデータから、曝気槽の容量や原水処理量や返送汚泥量などの数値を用いて滞留時間を計算する。さらに、分解速度と滞留時間から、除去できるBOD量を計算し、処理水BOD予測を計算する。
上記評価方法が、本発明の制御に使用できる精度を有するものである。なお、活性汚泥混合液を使って、添加液の分解速度を解析すること及びこの分解速度データを使って処理水BODを計算する方法は、上述の特許文献6に開示されている。
この方法において、原水の分解速度を測定する際には、混合液のDOはDOcpより十分高い状態で測定されるので、その分解速度データをおこなって計算される処理水BODは、十分なDOがある状態の予測値になる。DOがDOcpの場合は、この分解速度よりやや小さな分解速度になるので、この方法で計算した処理水BOD予測値は、本来の予測値よりやや小さい値になる。この場合は、上記で求めた処理水BOD予測値に、分解速度低下分を上乗せして、比較に使用する処理水BOD予測値とする。
上述の各発明において、好ましくは、DOrが 0.3mg/l乃至1.2mg/l、より好ましくは、DOrが、0.5mg/l乃至1.0mg/l であることを特徴とする(第3、4の発明)。
DOcpの具体的な値は、BOD容積負荷が0.5kg/m3/day程度で、MLSSが3,000mg/l程度の活性汚泥であれば、概ね0.7mg/l程度であるが、活性汚泥が処理する原水の基質や曝気槽のBOD負荷条件やMLSSや温度やpHなどの運転条件により多少変化する。その変化の範囲は、0.5mg/l乃至0.9mg/lであるから、第1、2の発明におけるDOrの具体値は、0.3mg/l乃至1.2mg/lとなる。しかしながら、DOrが1.2mg/lになると、図3のcで示すように脱窒速度がかなり低下し、DOrが0.3mg/lになると、図3のbで示すように硝化活性がかなり低下し、どちらの場合も窒素除去性能が低下するので、過剰な窒素分が概ね10mg/l以下の原水の場合で適用可能である。窒素除去が必要な原水は、通常、過剰な窒素分は10mg/l以上であることを考慮すると、窒素除去性能が高いことが望ましく、0.5mg/l乃至1.0mg/lが適当である。
第5の発明は、第2乃至4の発明において、曝気槽出口の硝酸イオン濃度を評価する方法であって、曝気槽出口近傍の混合液をシリンダー(以下、SV槽)に定量採取し、該混合液に、脱窒反応に要する炭素源を含む添加液を添加して混合した後、SV槽内に静置し、一定時間静置後、SV槽内の汚泥相の浮上位置を検知し、汚泥相の浮上の程度と発生窒素ガス量の相関関係に基づいて、硝酸イオン濃度を評価する、ことを特徴とする。
曝気槽出口の硝酸イオン濃度を評価することができる測定方法として、曝気槽出口近傍の混合液をシリンダー(以下、SV槽)に定量採取し、同混合液に、脱窒反応に要する炭素源を含む添加液を添加して混合後、SV槽内に静置し、一定時間静置後、SV槽内の汚泥相の位置を検知することにより、硝酸イオン濃度を評価することを特徴とする。
処理水中の硝酸イオン濃度の測定は、発色試薬と比色法を自動化した計器を用いることにより可能である。しかしながら、同自動計器は高価であることから、本発明では新たな測定評価装置を提案するものである。
図7は、本発明による処理水中の硝酸イオン濃度評価のための測定装置を示す図である。
曝気槽出口近傍から活性汚泥混合液をサンプリングポンプ1でサンプリングし、SV測定槽2に一定量チャージする。チャージした混合液に、添加液タンク3から添加ポンプ4で一定量を混合液に添加し、攪拌ポンプ5で攪拌混合する。ここに添加液は、硝酸イオンを脱窒菌が還元する際に必要とする炭素源を供給するもので、例えば、メタノール溶液や酢酸溶液などが用いられる。添加液を添加し混合後、混合液はSV槽で1時間程度の予め設定した時間静置する。もし、サンプリングした混合液に硝酸イオンが存在すると、脱窒菌の作用で硝酸イオンが還元され細かい窒素ガスが発生し、その窒素ガスにより汚泥がSV槽の上部に浮上する。もし混合液に硝酸イオンが存在しなければ、窒素ガスは発生せず、混合液は汚泥相と上澄み相に分離し、汚泥相はSV槽の下部に沈殿する。したがって静置後のSV槽の汚泥相の位置や状態を検知することにより、汚泥が正常に沈降したか、浮上したかがわかり、硝酸イオンの有無がわかる。汚泥の浮上の程度は、発生する窒素ガスの量により図8(a)から図8(c)に示すような挙動となるため、窒素ガス発生量を概略把握可能である。窒素ガス発生量は硝酸イオンの量と比例するから、汚泥の浮上挙動により処理水硝酸イオン濃度を評価できることになる。
SV槽の汚泥位置の特定は、MLSS計のセンサーをSV槽の深さ方向に移動させつつ汚泥濃度を測定し、SV槽内の汚泥濃度分布を求めることにより可能である。また、図7の装置のようにSV槽の下部出口に吸光光度計6を設け、排出定量ポンプ7などを使って、SV槽内の汚泥界面が乱れない程度の流速で、吸光光度計のセルの間を排出させつつ、吸光度の変化を測定し、排出流量と吸光度の変化から、汚泥相の位置や、汚泥相の濃度を特定することもできる。図8から図10は、この方法によるSV槽の汚泥の沈降状態と吸光度の変化を表す図である。これら全てのポンプなどの機器の作動や、吸光度の測定データは、コンピュータ8で管理する。
図8(a)は硝酸イオンのない場合で汚泥は浮上せず正常に沈降している状態、図8(b)は硝酸イオンがやや多く存在する場合で汚泥は完全に浮上しないまでも汚泥相のあいだに上澄み相が生成している状態、図8(c)は硝酸イオンが多く存在している場合で汚泥は完全に浮上している状態である。
図9(a)は、図8(a)のSV槽の混合液を排出したときの透過光の強度変化を示す図である。また、図10(a)は、図9(a)の透過光の強度変化の微分をとった図である。同様に図9(b)は図8(b)、図9(c)は図8(c)の透過光の強度変化を示す図であり、図10(b)は図9(b)、図10(c)は図9(c)の透過の強度変化の微分をとった図である。透過光の強度変化の微分をとることにより、汚泥相の位置や状態が特定できる。この方法は、直接硝酸イオンを測定する発色試薬と吸光光度計を使った自動計器と比較し、測定精度は劣るが、簡便で安価であり、活性汚泥運転管理に重要な汚泥の沈降性も評価でき、さらに処理水BODや処理水BOD予測と一連の操作で測定評価できるメリットがある。
本発明によれば、通常の活性汚泥装置の運転条件を変更するだけで、BOD処理とともに、大掛かりな生物脱窒装置の窒素除去率に匹敵する窒素除去性能も同時におこなえるようになる。
しかも、曝気に要するエネルギーは、通常DOを平均2.5mg/lで運転している活性汚泥と比較し、BOD処理に要する酸素量を供給する風量だけでも、約30%節約でき、さらに硝化に要する酸素量は、曝気槽内での脱窒の際のBOD処理に使われることになり、全く無駄にならない。通常の活性汚泥への必要酸素量は、BOD処理に要する酸素量と硝化に要する酸素量の合計になるため、アンモニア性窒素の多い廃水を処理する活性汚泥と比較すると、曝気に要するエネルギーは50%も削減できる可能性もある。
しかも、汚泥の活性は最大に近い状態で運転されるので、活性汚泥の処理能力は、最高に近く、通常のDOで運転している場合より10%から30%程度の処理能力アップとなる。
活性汚泥装置はすでに広く普及している廃水処理装置であり、大きな増設・改造をおこなわなくても、今度な生物脱窒法と同等の窒素除去性能をもつ処理が可能になり、しかも活性汚泥のBOD処理の能力はアップされる。さらに省エネも同時に達成できる。
曝気槽内DOと汚泥の活性の関係を説明する図である。 曝気槽内DOとBOD成分の分解速度の関係を説明する図である。 曝気槽内DOとBODの処理速度、硝化活性、脱窒速度の関係を説明する図である。 硝化液循環方式の生物脱窒プロセスを説明する図である。 本発明の曝気槽DOを一定に制御する部分を説明するフローチャートである。 本発明の曝気槽DOの制御値を求める部分を説明するフローチャートである。 本発明の硝酸イオン濃度を評価するSV測定の詳細構成を示す図である。 硝酸イオンの有無による汚泥の挙動を示す図である。 SV槽の混合液を排出したときの透過光の強度変化を示す図である。 透過光の強度変化の微分をとった図である。 本発明の低DO制御の活性汚泥の構成を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について、さらに詳細に説明する。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
図11を参照して、活性汚泥装置10は、活性汚泥中の好気性微生物により廃水を曝気処理する曝気槽18と、曝気後の廃水を処理水と活性汚泥に分離して活性汚泥を回収するための沈殿槽19と、原水ポンプ11と返送汚泥ポンプ12と曝気槽18中のDOを測定するDO計13と、DOを自動一定制御するためのDO制御盤14と曝気ブロアー15とブロアーを制御するインバータ16と、散気管17と、を主要構成として備えている。
曝気ブロアー15は、DO計13の指示値が制御値になるようにインバータ制御される。ここまでは、従来のDO自動制御付きの活性汚泥装置である。
第1の発明は、DOの制御値SPmをDOcp±0.3mg/lの範囲の数値に設定することで、目的を達成できる。
第2の発明の実施形態は、さらに、一点鎖線の枠内に図示してある、測定評価装置22と、測定評価装置に付随する、曝気槽出口近傍からの混合液のサンプリング装置および曝気槽に流入する原水のサンプリング装置を備えてある。さらに測定評価装置の評価データと現在のDO制御値と原水流量計21の指示値を取り込み、これらのデータから新たなDO制御値を演算するコンピュータ20を備える。新たなDO制御値はコンピュータ20から、ブロアーを制御するインバータ16の制御値を操作する。
表1は、実験室レベルで、曝気槽DOを、通常行われているDOが2.5mg/lで運転した場合と、本発明によるDOが0.7mg/lで運転した場合の、処理結果を示す表である。なお、原水のBOD源はメタノールとペプトンであり、窒素源はペプトンと硫酸アンモニウムである。処理条件も同表内に示す。
Figure 2011005354
本発明は、活性汚泥のみならず、接触酸化法、生物ろ過法などにおいても、実質的に浮遊汚泥の処理効果の大きい好気性生物処理に適用できる。
10・・・活性汚泥装置
11・・・原水ポンプ
12・・・返送汚泥ポンプ
13・・・DO計
14・・・DO制御盤
15・・・曝気ブロアー
16・・・インバータ
17・・・散気管
18・・・曝気槽
19・・・沈殿槽
20・・・コンピュータ
21・・・原水流量計
22・・・測定評価装置

Claims (5)

  1. 曝気槽内の活性汚泥により、BOD処理と脱窒処理を同時に行う廃水浄化装置の運転方法であって、
    曝気槽内のDO値測定に基づいて酸素供給量を増減することにより、曝気槽内DO真値(DOr)を一定値に制御するものであり、曝気槽の活性汚泥混合液をサンプリングして、混合液のBOD処理速度が最大となるDO値(DOcp)を求め、DO真値(DOr)を、
    DOcp−0.3mg/l≦DOr≦DOcp+0.3mg/l ・・・(1)
    の範囲の所望の値に制御する、ことを特徴とする、BOD処理と脱窒処理を同時に行う活性汚泥の運転方法。
  2. 請求項1において、
    曝気槽に流入する原水及び曝気槽の出口近傍の混合液をサンプリングし、
    (a)曝気槽出口の処理水BODと、
    (b)処理水BODに対応する曝気槽出口における処理水BODの予測値と、
    (c)曝気槽出口の硝酸イオン濃度と、を求め、
    上記(a)乃至(c)の結果を用いて、測定時におけるDO真値(DOr)と、制御目標値(SPr)の大小を判定し、
    該判定結果に基づいてDO制御値(SPm)を増減することにより、DO真値(DOr)を(1)式の範囲の値に制御する、
    ことを特徴とするBOD処理と脱窒処理を同時に行う活性汚泥の運転方法。
  3. 請求項1又は2のいずれかにおいて、DOrが、
    0.3mg/l乃至1.2mg/l であることを特徴とするBOD処理と脱窒処理を同時に行う活性汚泥の運転方法。
  4. 請求項1又は2のいずれかにおいて、DOrが、
    0.5mg/l乃至1.0mg/l であることを特徴とするBOD処理と脱窒処理を同時に行う活性汚泥の運転方法。
  5. 請求項2乃至4のいずれかにおいて、曝気槽出口の硝酸イオン濃度を評価する方法であって、
    曝気槽出口近傍の混合液をシリンダー(以下、SV槽)に定量採取し、
    該混合液に、脱窒反応に要する炭素源を含む添加液を添加して混合した後、SV槽内に静置し、
    一定時間静置後、SV槽内の汚泥相の浮上位置を検知し、
    汚泥相の浮上の程度と発生窒素ガス量の相関関係に基づいて、硝酸イオン濃度を評価する、
    ことを特徴とする曝気槽出口の硝酸イオン濃度評価方法。

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