JP2004141859A - 排水処理装置及び排水処理方法 - Google Patents

排水処理装置及び排水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】余剰汚泥の発生を防止でき、且つ、エネルギー消費量の増大を抑制できる排水処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】排水処理装置10は、原水Wが供給される生物処理槽1と固液分離槽2とを備えており、この固液分離槽2に汚泥減容装置3が接続されたものである。汚泥減容装置3は、処理タンク31内に、シャフト35によって一定間隔で配置された複数の多孔板33が設けられたものであり、ガス供給源11から空気等のガスGoが供給される。固液分離槽2から引き抜かれた活性汚泥Sは、汚泥減容装置3内において多孔板33の上下動によって攪拌・混合される。これにより、酸素等の溶解速度が高められ、菌体の酸化分解反応が促進される。その結果、活性汚泥の可溶化が促進され、余剰汚泥の発生を防止できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機性排水等を生物処理するための排水処理装置及び排水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水、産業廃水等の有機性排水(排水、汚水)の処理には、活性汚泥法が代表的な方法として用いられている。このような方法を用いた生物処理においては、排水中の有機物の処理に伴って余剰汚泥が大量に発生する傾向にある。通常、この余剰汚泥は、脱水された後、そのままの状態で投棄・廃棄処分されるか、焼却処分されている。しかし、近年、廃棄物処分場不足、燃焼に伴うダイオキシン等の有害な有機性塩素化合物の発生等が大きな問題となっており、余剰汚泥の排出量が少ない排水処理技術が切望されている。
【0003】
このような要求に応えるべく、(1)嫌気性微生物によって汚泥を可溶化するいわゆる嫌気性消化を用いた方法、(2)汚泥に酸やアルカリ等を添加して可溶化する方法、(3)汚泥をオゾン酸化によって可溶化する方法、(4)好気性微生物が有する溶菌作用を用いて汚泥を分解・可溶化する方法といった余剰汚泥の減容化方法を組み合わせた排水処理方法が採用又は提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−327998号公報(段落0023〜0029、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら従来の各方法を用いた排水処理においては、以下に示すような問題点がある。すなわち、汚泥減容化方法として上記(1)の嫌気性消化を用いた排水処理方法は、エネルギー消費を抑えてメタンガスのような有用な副生物を産出する点で有利ではあるが、消化反応の反応速度が遅いため、余剰汚泥の処理効率が極めて悪くなる傾向にある。また、この場合、大型の反応槽を用いて汚泥の滞留時間を非常に長くする必要があり、装置設備の大型化に加え、結局のところ経済性が悪化してしまうおそれがある。また、上記(2)の酸又はアルカリ等を用いる方法では、大量の薬剤及びそれらの供給系が必要であり、経済性が必ずしも十分ではない。
【0006】
一方、上記(3)のオゾン酸化を用いる方法は、大量の薬剤や熱源等が不要である。しかし、一般的なオゾン酸化槽は、水槽にオゾンを単に吹き込む簡略な装置であり、オゾンの利用効率が高いとは言い難い。これを改善すべく、散気板等を用いてオゾンの微細気泡を供給する手法が考えられるものの、この場合には散気板の目詰まりが生じ易く、よって頻繁な保守(メンテナンス)が必要となる傾向にある。
【0007】
他方、上記(4)の好気性微生物を用いる方法は、大量の薬剤やオゾンガスを用いない反面、大型の処理槽が必要となる傾向にあり、その結果、排水処理装置又は設備全体が大規模となってしまう。また、微生物として好熱性菌体を使用して加温状態(例えば50〜70℃)で処理すれば、その溶菌作用によって汚泥の可溶化効率を高め、且つ、加熱による汚泥の熱変性効果が期待され得るが、温度の上昇に伴って酸素の溶解効率が更に低下してしまい、上記の有用な効果が相殺されてしまうおそれがある。また、このような溶解効率の低下を防止すべく大量のガス(空気)を曝気すると、外部への放熱量が増大してしまい、加温及び保温のための熱エネルギーを浪費してしまうといった不都合がある。
【0008】
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、有機性排水の処理に際し、エネルギー消費量の増大といった従来の不都合を解消しつつ、余剰汚泥の発生を防止することができる排水処理装置及び排水処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明による排水処理装置は、有機性排水が供給されその有機性排水が活性汚泥により生物処理される生物処理部と、生物処理部に接続されておりその生物処理部で得られた処理済水と活性汚泥とが分離される固液分離部とを備えるものであって、固液分離部に接続されており且つ活性汚泥の少なくとも一部が供給される汚泥処理槽、汚泥処理槽に接続されており且つ酸素(O)、オゾン(O)、又は過酸化水素(H)を有する供給部、及び、汚泥処理槽内に設けられており厚み方向に貫通する複数の孔を有する複数の多孔板とを有する汚泥処理部を更に備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成の排水処理装置では、原水である有機性排水が生物処理部で活性汚泥によって生物処理され、清澄水としての処理済水が得られると共に、有機性排水中の有機物を食餌(栄養分)として活性汚泥が増殖する。この処理済水と活性汚泥とは、固液分離部で互いに分離され、処理済水は系外へ排出される。一方、活性汚泥の一部は、通常、生物処理部へ返送され、有機性排水の生物処理に循環使用される。他方、活性汚泥の残部が、余剰汚泥として汚泥処理部に供給(導入)される。
【0011】
汚泥処理部に導入された活性汚泥(余剰汚泥)は、汚泥処理槽内に滞留し、その槽内に酸素又はオゾンを含むガス或いは過酸化水素(過酸化水素水)が供給部から供給される。また、余剰汚泥は、汚泥処理部内に設置された複数の多孔板間を流動又は流通することにより攪拌され、酸素、オゾン又は過酸化水素と混合される。これにより、汚泥を構成する微生物菌体が酸化分解されて汚泥が可溶化される。
【0012】
このとき、汚泥処理部が、余剰汚泥が多孔板に対して一方向、好ましくは複数方向、特に好ましくは複数方向に交互に繰り返して流動するように構成されると好適である。このような構成としては、例えば、多孔板が所定の周期で揺動(上下動等)するように設けられると好ましい。より具体的には、多孔板が往復駆動する駆動軸(シャフト)等に接続された構成が挙げられる。或いは、多孔板が固定され且つ汚泥処理部の筐体容器が揺動(上下動等)するような構成のほか、多孔板も汚泥処理部の筐体容器も固定され且つ余剰汚泥の流動方向が周期的又は非周期的に変動するような構成が挙げられる。いずれの場合も、余剰汚泥の攪拌・混合が促進される。
【0013】
さらに、複数の多孔板の周囲を覆うように配置された筒状部を有すると、攪拌された余剰汚泥が多孔板の径方向へ拡散することが妨げられる。よって、余剰汚泥と、酸素、オゾン又は過酸化水素とが一層強力に攪拌・混合されるので、汚泥を構成する微生物菌体の酸化分解が促進される。
【0014】
またさらに、複数の多孔板は、それらのうち少なくとも一つの多孔板に形成された複数の孔のうち少なくとも一つの第1の孔が、その多孔板に隣設するように配置された他の多孔板に形成されており且つ第1の孔から最短距離に位置する第2の孔と非同軸状に設けられたものであると一層好適である。
【0015】
このような構成においては、互いに隣り合う多孔板にそれぞれ設けられた第1の孔及び第2の孔が、互いの中心(軸)位置が交互に異なるように配列される。通常、多孔板における孔位置及びその近傍は、孔が設けられていない部位に比して流体流動に対して圧力損失が小さいため、多孔板間を流動する余剰汚泥は、互いに非同軸状に形成された第1の孔から第2の孔の位置を通るように蛇行する。こうなると、渦流や乱流が生じて、余剰汚泥の攪拌が格段に助長される。また、このように、渦流や乱流が生じるので、多孔板に対する余剰汚泥の流動を一方向に限っても、十分な攪拌が実現される。
【0016】
より好ましくは、複数の多孔板のうち互いに隣設配置された二つの多孔板に形成された複数の孔同士が、千鳥格子状(千鳥模様状、千鳥足状)に、つまり中心軸位置が所定間隔で交互にずれて配置されるように構成される。
【0017】
すなわち、一方の多孔板に形成された複数の上記第1の孔と、それに隣設する他方の多孔板に形成された複数の上記第2の孔とが、すべて非同軸状に配置されたものであると好ましい。例えば、孔の穿設位置が多孔板毎に異なる場合には、多孔板を同軸状に配置すればよく、或いは、孔の穿設位置が多孔板同士で同じ場合には、多孔板を非同軸状に配置すればよい。また、多孔板内又は多孔板間で全ての孔径が同一であってもよいが、それらの一部又は全部が異なっていても構わない。このようにすれば、余剰汚泥が流動するときに、多孔板の全体にわたって渦流や乱流が発生し易くなり、攪拌・混合効率がより向上される。
【0018】
また、本発明の排水処理方法は、本発明の排水処理装置を用いた場合に特に有用な方法であり、有機性排水を活性汚泥により生物処理する生物処理工程と、その有機性排水の生物処理で得られた処理済水と活性汚泥とを分離する固液分離工程とを備える方法であって、活性汚泥の少なくとも一部に酸素(O)、オゾン(O)、又は過酸化水素(H)を供給し、この活性汚泥の少なくとも一部を、厚み方向に貫通する複数の孔を有する複数の多孔板に対して相対的に流動させる汚泥処理工程を更に備えることを特徴とする。このように、多孔板に対して活性汚泥の少なくとも一部つまり余剰汚泥を相対的に流動させることにより、余剰汚泥の攪拌・混合が十分に促進される。なお、活性汚泥への酸素(O)、オゾン(O)、又は過酸化水素(H)の供給は、これらを直接、活性汚泥と接触させてもよいし、例えばこれらの溶解液(水)や混合液(水)と活性汚泥を混合する等、間接的に行ってもよい。
【0019】
さらに、汚泥処理工程においては、少なくとも、当該汚泥処理工程における活性汚泥の可溶化量と、生物処理工程に供給される有機性排水中の有機物量と、有機性排水中に含まれる有機物の活性汚泥への転換率とに基づいて、汚泥処理工程に供給される活性汚泥量と汚泥処理工程において可溶化される活性汚泥量とが実質的に等しくなるように、汚泥処理工程に供給する活性汚泥の供給量(投入量)、及び/又は、酸素(O)、オゾン(O)、又は過酸化水素(H)の供給量を調整すると好ましい。また、このような排水処理方法は、生物処理工程における活性汚泥中の菌体濃度、具体的にはMLVSS(Mixed Liquor Volatile Suspended Solid)濃度が略一定に保持される生物処理の場合に特に有効である。
【0020】
このような排水処理方法を用いれば、汚泥処理工程からの余剰汚泥の排出量を実質的にゼロとし得る。殊に、本方法によれば、汚泥処理工程における活性汚泥の可溶化量と、生物処理工程に供給される有機性排水中の有機物量と、その有機物の活性汚泥への転換率とに基づいて、汚泥処理工程における余剰汚泥の物質収支(マスバランス)を簡易且つ確実に制御又は把握することが可能となり、これにより、工程制御を容易ならしめ、余剰汚泥の処理性が向上される。
【0021】
より好ましくは、汚泥処理工程においては、下記式(1);
E=Sin+E(1−α)a×b−βΧ …(1)
で表される関係を満たすように活性汚泥を可溶化処理すると好適である。ここで、式中、Eは汚泥処理工程における活性汚泥の可溶化量を、Sinは生物処理工程に供給される有機性排水中の有機物量を、αは汚泥処理工程に供給された活性汚泥のうち完全酸化される活性汚泥の割合を、aは生物処理工程へ活性汚泥の一部を返送する場合に、返送された活性汚泥の有機物への換算係数を、bは、有機性排水中に含まれる有機物の活性汚泥への変換率を、bは、当該汚泥処理工程において可溶化し、可溶化処理液中に溶出した有機物の活性汚泥への転換率を、βは、汚泥の自己分解係数を、Χは、生物処理工程中の汚泥量をそれぞれ示している。なお、E及びSinの単位としては、例えばkg/dayといった時間負荷を用いることができる。
【0022】
こうすることにより、汚泥処理工程における活性汚泥の可溶化量を、汚泥処理工程に余剰汚泥として供給される活性汚泥量と相等しくできるので、余剰汚泥の発生が実質的になくなる。また、前述したように、通常、生物処理工程では活性汚泥が循環使用されるのに対し、上記式(1)においては、処理済水と分離されて生物処理工程へ返送された活性汚泥中の有機物への変換分を考慮するので、汚泥処理工程における活性汚泥のマスバランスの調節をより確実ならしめ得る。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
【0024】
図1は、本発明による排水処理装置の第1実施形態を模式的に示す構成図である。排水処理装置10は、有機性排水としての原水Wが配管ライン(以下、ラインという)L1を介して供給される生物処理槽1(生物処理部)と、この生物処理槽1にラインL2を介して接続された固液分離槽2(固液分離部)とを備えるものである。この生物処理槽1は、活性汚泥を含んでおり、ブロアVに接続された散気管等の曝気機1aが内部に設けられている。ブロアVからは空気等の酸素ガスを含むガスが曝気機1aを通して生物処理槽1内に供給されるようになっている。さらに、生物処理槽1と固液分離槽2とは、ラインL4によっても接続されている。
【0025】
また、固液分離槽2には、空気等の酸素ガスを含むガス又はオゾンを含むガスGoを貯留又は発生させるガス供給源11(ガス供給部)が接続された汚泥減容装置3(汚泥処理部)が、ラインL5を介して接続されている。この汚泥減容装置3は、両端部が略気密に閉止されて成る略円筒形状の処理タンク31(汚泥処理槽)内に、複数の多孔板33が一定の間隔で配設されたものである。各多孔板33は、ディスク状を成しており、その厚み方向に貫通する複数の孔が穿設されている。
【0026】
これらの複数の多孔板33は、互いに隣設する一方の多孔板33に設けられた複数の孔(第1の孔)と他方の多孔板33に設けられた複数の孔(第2の孔)とが、互いに平面位置が異なって配置されるように設けられている。すなわち、隣設する多孔板毎に、孔の中心(軸)位置が交互に異なるように千鳥格子状(千鳥模様状、千鳥足状)に配列されている。さらに換言すれば、複数の多孔板33のうち、任意に選択される隣設配置された二つの多孔板のうち一方の多孔板33に形成された孔(第1の孔)と、他方の多孔板33に形成された孔のうちその第1の孔と最短距離に位置する孔(第2の孔)とが、非同軸状(孔が円形孔であれば、非同心状)に設けられている。
【0027】
なお、これらの孔の配列間隔(設置間隔)は、全ての孔に対して一定の間隔としてもよく、或いは、多孔板33における孔位置によって適宜且つ任意に調整してもよい。また、多孔板33の材質、孔径、孔数量、孔配置等は特に限定されない。
【0028】
また、これらの多孔板33は、処理タンク31外に設けられた駆動装置M(駆動部)に結合されたシャフト35によって同軸状に貫通固定されており、これにより、多孔板33間の間隔が保持されると共に、上下に駆動(往復運動)されるようになっている。またさらに、汚泥減容装置3は、ラインL10を介して生物処理槽1に接続されている。
【0029】
このように構成された排水処理装置10を用いた本発明の排水処理方法の一実施形態について以下に説明する。まず、生物処理槽1にラインL1を通して有機性排水の原水Wを供給すると共に、ブロアVを運転して生物処理槽1内に空気等を供給し、原水Wと活性汚泥との混合液である被処理水Wkを攪拌曝気しながら好気性処理する(生物処理工程)。
【0030】
次に、被処理水Wkを、ラインL2を通して固液分離槽2へ移送し、液分である処理済水Wsと、固形分としての活性汚泥Sとに分離する(固液分離工程)。この処理済水Wsは、清澄水としてラインL3を通して外部へ取り出す。一方、処理済水Wsと分離した活性汚泥Sを、固液分離槽2の底部から引き抜き、その一部を返送汚泥としてラインL4を通して生物処理槽1へ返送する。
【0031】
他方、固液分離槽2で分離された活性汚泥Sの残部を濃縮された余剰汚泥として、ラインL5を通して汚泥減容装置3における例えば処理タンク31の下部へ供給(導入)する。それから、活性汚泥Sが滞留する処理タンク31内の例えば下部に、ガス供給源11からガスGoを供給する。また、駆動装置Mを運転し、シャフト35を上下に駆動することにより、複数の多孔板33を上下に往復運動させる。このときの駆動周期及び駆動ストロークは特に制限されず、例えば、それぞれ数rpm〜数百rpm、及び、数cm〜数十cmとすることができる。
【0032】
このような多孔板33の上下運動により、多孔板33間にはガスGoを含む混相状態の渦流が絶え間なく形成される。また、多孔板33に設けられた孔を通過する流速が極めて大きなジェット流のような高速流が発生し得る。そして、このような流れを引き起こす多孔板33が所定間隔で多数配置されているので、処理タンク31内では、激流による混合状態とも言うべき略完全な攪拌状態が実現される。これにより、活性汚泥S及びガスGoの気泡は極めて微細化されると共に、これらが強力に攪拌・混合される。
【0033】
その結果、気泡から液相へ、また、液相から活性汚泥Sへの酸素又はオゾンの移動速度(効率)が劇的に増大する。具体例を挙げれば、このときの酸素移動容量係数KLaは、400h−1にも達する。これに対し、従来から用いられている通常の曝気槽では、一般にKLaが10h−1に満たない程度である。すなわち、ガスGoに含まれる酸素又はオゾンの液相への溶解効率が、従来に比して格段に高められ、極めて高いBOD負荷が実現される。よって、活性汚泥Sを構成する微生物菌体の酸化分解反応の効率が飛躍的に向上され、活性汚泥Sを高効率で可溶化できる(汚泥処理工程)。
【0034】
また、本発明者らの知見によれば、このような汚泥減容装置3内における酸素又はオゾンの高移動効率は、低温域から高温域にわたる広い温度領域で発現されるため、温度条件に左右されずに、ガスGoの処理タンク31への供給量(曝気量)が少なくても活性汚泥Sの可溶化率の低下が抑止される。よって、ガスGoの供給量を低減できるため、ガスGoによって汚泥減容装置3の外部へ放出されてしまう熱量、つまり放熱量を軽減できる。その結果、汚泥減容装置3に熱源を設けて処理タンク31内の活性汚泥Sを加温又は加熱する場合に、熱エネルギーの消費量を低下させて省力化を図り得る。
【0035】
さらに、汚泥減容装置3内で、活性汚泥SとガスGoとの十分な攪拌・混合が行われるため、溶解した酸素又はオゾンと活性汚泥Sを構成する微生物菌体との接触頻度(確率)、接触時間、接触量等が格別に増大される。しかも、多孔板33間の強高速流によるせん断力、多孔板33間で生じる圧縮及び膨張の繰返しによるキャビテーション効果によって微生物菌体の細胞を機械的に破砕する効果も奏される。したがって、これらにより、微生物菌体の酸化分解反応が更に促進され、活性汚泥Sの可溶化が殊更に増進される。
【0036】
また、処理タンク31内壁によって多孔板33の周囲が覆われているので、上述したような気液及び固液混相流が多孔板33の径方向(外周へ向かう方向)へ拡散又は放散することが強制的に妨げられる。よって、混相流の流圧の低下が抑止されるどころか更に高められ、活性汚泥SとガスGoとが一層強力に攪拌・混合される。よって、活性汚泥Sの可溶化が更に一層増強される利点がある。
【0037】
このような汚泥減容装置3内での活性汚泥Sの十分な可溶化に伴い、微生物菌体は、水、二酸化炭素、その他の低級炭水化物、有機酸等へと変換され、これらを含む液分(溶液)を、ラインL10を通して生物処理槽1へ移送する。これらの有機分、特にBOD成分は、生物処理槽1における汚泥処理における栄養分となり、生物処理に循環使用される。
【0038】
ここで、汚泥減容装置3内での汚泥処理工程においては、下記式(1);
E=Sin+E(1−α)a×b−βΧ …(1)
で表される関係を満たすように活性汚泥Sを処理すると好適である。ここで、Eは汚泥減容装置3内における活性汚泥Sの可溶化量を、Sinは生物処理槽1に供給される原水W中の有機物量を、αは汚泥減容装置3に供給された活性汚泥Sのうち完全酸化される活性汚泥Sの割合を、aは生物処理槽1へ返送された活性汚泥Sの有機物への換算係数を、bは原水W中に含まれる有機物の活性汚泥Sへの変換率を、bは汚泥処理工程において可溶化し、可溶下処理液中に溶出した有機物の活性汚泥Sへの変換率を、βは汚泥の自己分解係数を、Χは、生物処理部1中の汚泥量をそれぞれ示している。なお、βの値が小さいときは、βΧの項を無視してもよい。
【0039】
余剰汚泥の系外への排出量に対しては、極力少量とすることが要求され、排出が全くないことが理想的である。そこで、このような理想的な条件を仮定すると、活性汚泥S中の菌体濃度(ここでは、MLVSS濃度とする。)の物質収支に関して下記式(2);
V・dx/dt=V・(dx/dt)−E …(2)、
で表される関係が満たされる。式中、Vは生物処理槽1の有効容積を示し、dx/dtはMLVSS濃度の変化速度を示し、(dx/dt)はMLVSSの増殖速度を示し、Eは汚泥減容装置3内での活性汚泥の可溶化量(単位は、例えばkg/day)を示す。
【0040】
また、生物処理槽1内で定常的な生物処理が行われ、生物処理槽1内のMLVSS濃度が略一定に保持されている状態(定常状態)では、式(1)の左辺におけるMLVSS濃度の変化速度dx/dtは実質的にゼロとなる。よって、この場合、下記式(3);
V・(dx/dt)−βΧ=E …(3)、
で表される関係が成立する。
【0041】
つまり、定常的な生物処理を実施している状態で、汚泥減容装置3における活性汚泥Sの可溶化量が、活性汚泥Sの発生量と等価となるようにすれば、余剰汚泥の系外への排出量を可及的少量に、ひいては排出量をゼロとすることが可能となる。より具体的には、活性汚泥Sの削減は、可溶化と無機化(水、炭酸ガスへの変換)によって達成される。
【0042】
ここで、一例を述べると、汚泥減容装置3に投入される活性汚泥Sの量をSG(kg/day)とし、汚泥減容装置3での単一サイクル処理における減容化率を35%とすると、活性汚泥Sの可溶化量Eは、下記式(4);
E=SG×0.35 …(4)、
で表される。このうち、酸化されてガス化される活性汚泥Sの割合、つまり式(1)におけるαを0.2(20%)とすれば、ガス化されない残りの80%(つまり、SG×0.28)が次の処理サイクルに追加される有機物(特にCOD成分)となる。
【0043】
また、aを0.6、bを0.3、bを0.1とし、βが十分小さいとして第3項を無視すると、式(1)から下記式(5);
E=Sin×0.3+E×(1−0.2)×0.6×0.1 …(5)、
に示す関係が得られる。これをEについて解くと、下記式(6);
E=Sin×0.3/0.952 …(6)、
で表される関係が得られる。このとき、生物処理槽1に投入される主にCOD成分の増分は、式(1)の右辺中の第2項である「E・(1−α)・a・b」、具体的には、E×(1−0.2)×0.6×0.1(=0.048・E)となる。
【0044】
よって、原水Wの負荷に応じて使用する活性汚泥Sの量及びその引抜量(つまり汚泥減容装置3への活性汚泥Sの供給量)に対応して式(1)で表される関係を満たすように、汚泥減容装置3を構成し、或いは、汚泥減容装置3の容量や性能に応じて式(1)の関係が満たされるように、汚泥減容装置3への活性汚泥Sの供給量及び/又はガスGoの供給量を調節する運転を行うことにより、余剰汚泥である活性汚泥S中に含まれる有機物(MLVSS)の見かけ上の酸化分解率を略100%とし得る。これにより、系外への余剰汚泥の排出量を実質的にゼロとすることが可能となる。
【0045】
また、式(1)に示す係数bは、処理対象の有機性排水の性状等によって値が若干変動するものの、一般的に0.3近傍の値をとる傾向にある。これに対して、係数aと係数bは、可溶化方法によって種々の値を示し、また、係数αは、汚泥減容装置3の構成条件、ガスGoの供給量等に応じて定まるパラメータである。よって、これらの係数については、試運転時等に予めデータを取得しておくことにより、上述した余剰汚泥の実質的な完全可溶化処理を円滑に実施できる。
【0046】
したがって、本発明による排水処理装置10及びそれを用いた本発明の排水処理方法によれば、有機性排水の原水Wを生物処理する際に余剰汚泥が発生することを十分に防止でき、特に、上述したような汚泥減容装置3における活性汚泥Sの可溶化量等に基づく制御運転を実施すれば、余剰汚泥の排出量を殆どゼロとすることができる。また、汚泥減容装置3において汚泥処理工程を実施するときに、広い温度域で酸素の移動効率ひいては菌体の酸化分解効率が格段に高められるので、ガスGoの供給量を軽減しても、活性汚泥Sの可溶化量を従来に比して格別に増大できる。さらに、無機化された汚泥の割合が従来に比して高められ、COD成分を低減できる。またさらに、ガスGoによる熱量の散逸を十分に抑制でき、その結果、エネルギー消費量の増大を防止できる。
【0047】
さらに、活性汚泥Sの可溶化にあたって薬剤を使用しないことと相俟って、経済性の向上を図ることが可能となる。またさらに、活性汚泥Sの処理効率の増大により、工程全体の効率が高められて迅速な排水処理の実現に資することが可能となる。加えて、ガスGoとしてオゾンを用いると、空気等の酸素を含有するガスを用いる場合に比して、菌体の酸化能が高まるが、この場合にも、オゾンの溶解効率が従来に比して格段に向上されるので、オゾンの使用量を低減しても十分な活性汚泥Sの可溶化処理が可能となる。よって、オゾンの消費量を軽減し、更には、ガス供給源11の規模を縮小し得るので、経済性を一層向上することが可能となる。
【0048】
この場合、好ましくは、汚泥減容装置3に導入される活性汚泥S中のMLVSS濃度をオンライン又はオフラインで計測し、その実測値に基づいて汚泥減容装置3への活性汚泥Sの供給量、及び/又は、ガスGoの供給量を調節するように制御運転を行うと有用である。また、活性汚泥S中の有機物濃度を求めるにあたっては、活性汚泥Sに含まれるMLSS(Mixed Liquor Suspended Solid)中のMLVSSの比率を予め実測しておき、MLSS濃度の実測値にその比率を乗じても好適である。さらに、そのような制御運転は、手動でも自動でもよく、連続的でも断続的に行ってもよい。
【0049】
図2は、本発明による排水処理装置の第2実施形態を模式的に示す構成図であり、上記の制御運転を有効に実施するための装置の一例である。排水処理装置100は、ラインL5にスラリーポンプ61及びMLSS計62が設けられ、且つ、汚泥減容装置3とガス供給源11との間にコントロールバルブ63が設けられており、これらが制御部64に接続されたこと以外は、図1に示す排水処理装置10と同様の構成を有するものである。
【0050】
この排水処理装置100では、MLSS計62により、固液分離槽2から汚泥減容装置3へ送出される活性汚泥S中のMLSS濃度をオンライン計測し、その値が制御部64へ出力される。制御部64は、メモリ、CPU等の機能部を有しており、MLSS濃度の実測値からMLVSS濃度を算出する。次いでその濃度値に基づいて、ポンプのON/OFF信号をスラリーポンプ61へ出力することにより、活性汚泥Sの移送量を調整する。それと共に、活性汚泥Sの供給量に応じた量のガスGoを汚泥減容装置3へ送給すべく、制御部64からコントロールバルブ63へバルブの開度調節信号を出力する。このような制御運転により、負荷変動等に応じた活性汚泥Sの処理運転を良好に且つ効率よく実施できる。
【0051】
図3は、本発明による排水処理装置の第3実施形態を模式的に示す構成図である。排水処理装置20は、汚泥減容装置3の代りに、汚泥処理部としての汚泥減容システム4が、ラインL6を介して固液分離槽2に接続され、且つ、ラインL8を介して生物処理槽1に接続されたこと以外は、図1に示す排水処理装置10と同様に構成されたものである。
【0052】
この汚泥減容システム4は、汚泥処理槽41が隔壁43によって液分が流通可能に分画されており、駆動装置Mに結合されたシャフト55(シャフト部)によって同軸状に貫通固定され、且つ、一定の間隔で配設された複数の多孔板53(多孔板)が、各区画内に設けられたものである。各多孔板53は、多孔板33と同様に構成されたものである。また、多孔板53の周囲には、多孔板53の外径よりも、やや大きな内径を有する円筒51(筒状部材)が配置されている。さらに、ガス供給源11が、配管を介して各区画に接続されている。つまり、汚泥減容システム4は、図1に示す汚泥減容装置3と略同等の構成を有する汚泥減容ユニットが複数連設されて成るものである。
【0053】
このように構成された排水処理装置20では、余剰汚泥としての活性汚泥Sが固液分離槽2からラインL6を介して、また、ガスGoがガス供給源11から、汚泥減容システム4の各区画に供給される。活性汚泥Sは、各区画において、汚泥減容ユニットの強力な攪拌作用によって、ガスGoと十分に混合され、可溶化されながら前段の区画から後段の区画に流通する。可溶化された活性汚泥Sは、ラインL8を介して生物処理槽1へ戻入される。
【0054】
このような排水処理装置20によれば、汚泥減容ユニットが複数設けられて成る汚泥減容システム4を有するので、大容量の余剰汚泥処理に特に有効である。また、図1に示す汚泥減容装置3と同様に、極めて高いガス移動効率が各区画内で達成されるので、活性汚泥Sの可溶化を十分に且つ迅速に実施できる。特に、汚泥減容システム4全体として先述した式(1)で表される関係を満たすように運転すれば、略完全な可溶化を確実に遂行し易く、処理済水Wsの水質の悪化を招くことを十分に抑制できる。
【0055】
また、汚泥減容システム4では、多孔板53の周囲を円筒51で囲むようにしているので、多孔板53の上下動で生じた強力な混相流が円筒51の外部へ散逸してしまうことが防止されるので、ガスGoの高移動効率を好適に維持できる利点がある。さらに、汚泥処理槽41を用いて各区画内に多孔板53を配設したので、複数の汚泥減容装置3を装備するよりも、簡略化された設備構成で大容量処理に対応できる。またさらに、余剰汚泥としての活性汚泥Sが汚泥減容システム4の各区画に供給されるので、最前段の区画にのみ供給する場合に比して、その最前段の区画における処理負荷を低減でき、かかる並列処理によりシステム全体の処理効率を向上できる。
【0056】
図4は、本発明による排水処理装置の第4実施形態を模式的に示す構成図である。排水処理装置30は、汚泥減容装置3、及び、その後段にそれぞれラインL6、L7を介して順次設けられた固液分離槽6及び仕上処理槽7を有すること、並びに、ラインL8がラインL3に接続されたこと以外は、図1に示す排水処理装置10と同様に構成されたものである。
【0057】
固液分離槽6は、原水Wに難分解性の無機固形分が含まれていたり、或いは、汚泥減容装置3で活性汚泥Sの全部が可溶化されないような処理条件のときに、それらの固形分や残留汚泥を液分と分離するためのものであり、排水処理装置30における第2沈殿槽として機能する。また、仕上処理槽7としては、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)等のメタン菌等を用いた嫌気性処理槽を使用すると好ましい。
【0058】
このような構成を有する排水処理装置30によれば、排水処理装置10、20と同様に、活性汚泥Sの十分な可溶化が達成されるとともに、上述の如く、汚泥減容装置3を経た溶液中に固形分や残留汚泥が含まれている場合に、それらを有効に除去できる。また、固形分を除去した液分を仕上処理槽7において更に生物処理等した後にラインL3へ送出するので、処理済水Wsの性状・水質を良好に維持することができる。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、汚泥減容装置3又は汚泥減容システム4に供給するガスGoとしてオゾン含有ガスを用いる場合には、未反応のオゾンが汚泥処理槽41外へ漏出することを防止するため、汚泥処理槽41の上部を天蓋等で閉止又は封止してもよい。ただし、本発明によれば、オゾンの使用量を軽減しても活性汚泥Sの可溶化を十分に達成でき、しかも、その使用量を最適化するような制御運転も可能であるので、未反応オゾン自体を低減できる利点がある。また、ガスGoの代わりに、過酸化水素を用いてよく、その酸化能により菌体の酸化分解ひいては活性汚泥Sの可溶化が促進される。
【0060】
また、排水処理装置10において汚泥減容装置3で得られた液分をラインL3に導入して処理済水Wsと共に系外に排出してもよい。さらに、排水処理装置20における汚泥減容システム4、又は、排水処理装置30における仕上処理槽7で得られた液分を生物処理槽1へ返送してもよい。またさらに、汚泥減容システム4の区画数は図示のものに限られず、区画しなくても構わない。またさらに、排水処理装置20において、汚泥減容システム4の汚泥処理槽41の各区画から可溶化された活性汚泥Sを生物処理槽1へ送出してもよい。或いは、汚泥処理槽41における最前段の区画にのみラインL6を接続してもよく、この場合にも各区画から可溶化された活性汚泥Sを生物処理槽1へ送出してもよい。
【0061】
さらにまた、排水処理装置10、20においても、固液分離槽6を設けてもよい。また、生物処理槽1の原水Wに各種凝集剤を添加してもよい。これにより、原水Wに含まれる難分解性の固形分等の除去が簡易となり、この場合、固液分離槽6を有すると一層有用である。加えて、排水処理装置100では、コントロールバルブ63に代えてマスフローコントローラー(MFC)や他の流量調整弁等を用いてもよい。また、処理対象である活性汚泥Sに、例えばバチルス(Bacillus)属に属する細菌のような好熱菌や好熱性耐熱菌といった菌体が存在していれば、COD除去の効果も得られる。
【0062】
以下、本発明に係る具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
【実施例1】
図1に示す排水処理装置10と同等の構成を有する装置を準備した。この排水処理装置は、有効容積20L(リットル;以下同様)のリアクター(処理タンク)内に、多孔板(直径13cmφ、孔径は8mmφ)が6cm間隔で16枚設けられた汚泥減容装置3を備えるものである。そして、この汚泥減容装置3に、余剰汚泥として活性汚泥を10000mg/Lの濃度で含む被処理液を、30L/hの流量で供給した。それと共に、多孔板を60、80、100、120rpmと異なる駆動周期で上下動させつつ、リアクター内に空気を5、7.5、10L/min(すなわち15、22.5、30VVH)と異なる流量で供給した。
【0064】
ここで、単位「VVH」は、ガス供給量(Vol.)/汚泥減容装置3の有効容積(Vol.)/hなる物理量を示し、水処理技術、発酵技術、等の分野で一般に用いられる単位であり、リアクターへの空気供給量をリアクター容積で規格化した値に相当する。なお、処理に際し、汚泥減容装置3内の被処理液の温度を60℃に保持した。
【0065】
その結果、いずれの条件においても、活性汚泥に対する所望の減容化率(30〜50%)が得られ、新たな活性汚泥の生成量(菌体の増殖量)が可溶化による削減量(菌体の分解量)と略等しくなり、余剰汚泥の発生は認められなかった。また、亜硫酸ソーダによる酸素吸収法を用いて、被処理液中に溶解した酸素量を計測し、空気の供給流量に基づいて、酸素の溶解速度を算出した。各処理条件における結果を表1に示す。これより、本発明によれば、活性汚泥を含む溶液に対して、60℃程度の加温条件においても極めて高い酸素溶解速度が得られることが判明した。
【0066】
【表1】
Figure 2004141859
【0067】
【実施例2】
空気の代りにオゾン含有ガス(オゾン濃度:40g/Nm)を用い、これを10、12.5、15VVHの流量で処理タンク内に供給し、多孔板の駆動ストロークを80、100、120rpmとしたこと、及び、被処理液の処理温度を20〜24℃としたこと以外は、実施例1と同様にして排水処理を実施した。その結果、いずれの条件においても、活性汚泥に対する所望の減容化率(30〜50%)が得られ、新たな活性汚泥の生成量(菌体の増殖量)が可溶化による削減量(菌体の分解量)と略等しくなり、余剰汚泥の発生は認められなかった。また、被処理液中に溶解したオゾン量を計測し、オゾン含有ガスの供給流量に基づいて、オゾンの溶解速度を算出した。各処理条件における結果を表2に示す。これより、本発明によれば、活性汚泥を含む溶液に対して極めて高いオゾン溶解速度が得られることが判明した。
【0068】
【表2】
Figure 2004141859
【0069】
【実施例3】
リアクターの有効容積を1.5Lとし、それに応じた形状の多孔板を用いたこと、汚泥減容装置3内の被処理液の温度を70℃に保持したこと、リアクター内への空気の供給量を0.3L/min(すなわち12VVH)としたこと、及び、多孔板の駆動周期を25、50、100rpmとしたこと以外は、実施例1と同様にして排水処理を実施した。各条件における酸素移動容量係数KLa及び活性汚泥の減容化率を表3に示す。これより、本実施例の条件では、20(h−1)以上の酸素移動容量係数KLaが得られ、少なくともKLaが100(h−1)以上であれば、約50%近い高い減容化率を達成できることが確認された。
【0070】
【表3】
Figure 2004141859
【0071】
【実施例4】
多孔板の駆動周期を100rpmとし、且つ、汚泥減容装置3内の被処理液の温度を25、60、70℃に保持したこと以外は、実施例3と同様にして排水処理を行った。なお、温度70℃での実施例は、実施例3における温度70℃の実施例と同一条件であるが、説明の便宜上、ここで再掲する。各条件における活性汚泥の減容化率を表4に示す。これより、先述したように、従来の方法では、処理温度の上昇に伴って酸素溶解効率が低下し、これに起因して処理効率(つまり減容率)の低下が懸念されるのに対し、本発明では、同じ空気供給量において処理温度の上昇と共に減容化率が増加する傾向が確認された。これにより、熱エネルギーを減容処理に有効に活用でき、しかも外部への放熱量の増大を抑止できることが確認された。
【0072】
【表4】
Figure 2004141859
【0073】
【発明の効果】
本発明の排水処理装置及び排水処理方法によれば、有機性排水の生物処理に伴う余剰汚泥の発生を防止することができ、しかも、その際にエネルギー消費量の増大を十分に抑え、有機性排水の処理効率及び経済性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による排水処理装置の第1実施形態を模式的に示す構成図である。
【図2】本発明による排水処理装置の第2実施形態を模式的に示す構成図である。
【図3】本発明による排水処理装置の第3実施形態を模式的に示す構成図である。
【図4】本発明による排水処理装置の第4実施形態を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
1…生物処理槽(生物処理部)、2…固液分離槽(固液分離部)、3…汚泥減容装置(汚泥処理部)、4…汚泥減容システム(汚泥処理部)、10、20、30…排水処理装置、11…ガス供給源(ガス供給部)、31…処理タンク(汚泥処理槽)、33、53…多孔板、35、55…シャフト(シャフト部)、41…汚泥処理槽、51…円筒(筒状部)、Go…ガス、M…駆動装置(駆動部)、S…活性汚泥、W…原水(有機性排水)。

Claims (6)

  1. 有機性排水が供給され該有機性排水が活性汚泥により生物処理される生物処理部と、該生物処理部に接続されており該生物処理部で得られた処理済水と前記活性汚泥とが分離される固液分離部と、を備える排水処理装置であって、
    前記固液分離部に接続されており、前記活性汚泥の少なくとも一部が供給される汚泥処理槽と、
    前記汚泥処理槽に接続されており、酸素(O)、オゾン(O)、又は過酸化水素(H)を有する供給部と、
    前記汚泥処理槽内に設けられており厚み方向に貫通する複数の孔を有する複数の多孔板と、
    を有する汚泥処理部を更に備える排水処理装置。
  2. 前記複数の多孔板は、該複数の多孔板のうち少なくとも一つの多孔板に形成された前記複数の孔のうち少なくとも一つの第1の孔が、該多孔板に隣設配置された他の多孔板に形成されており且つ該第1の孔から最短距離に位置する第2の孔と非同軸状に設けられたものである、
    ことを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
  3. 前記複数の多孔板は、該複数の多孔板のうち互いに隣設配置された二つの多孔板に形成された前記複数の孔が、千鳥格子状に配置されるように設けられたものである、
    ことを特徴とする請求項1記載の排水処理装置。
  4. 有機性排水を活性汚泥により生物処理する生物処理工程と、該有機性排水の生物処理で得られた処理済水と該活性汚泥とを分離する固液分離工程と、を備える排水処理方法であって、
    前記活性汚泥の少なくとも一部に酸素(O)、オゾン(O)、又は過酸化水素(H)を供給し、該活性汚泥の少なくとも一部を、厚み方向に貫通する複数の孔を有する複数の多孔板に対して相対的に流動させる汚泥処理工程を更に備える排水処理方法。
  5. 前記汚泥処理工程においては、少なくとも、当該汚泥処理工程における前記活性汚泥の可溶化量と、前記生物処理工程に供給される前記有機性排水中の有機物量と、該有機性排水中に含まれる有機物の活性汚泥への転換率とに基づいて、該汚泥処理工程に供給される活性汚泥量と該汚泥処理工程において可溶化される活性汚泥量とが実質的に等しくなるように、該汚泥処理工程に供給する前記活性汚泥の供給量、及び/又は、前記酸素(O)、オゾン(O)、又は過酸化水素(H)の供給量を調整する、
    ことを特徴とする請求項4記載の排水処理方法。
  6. 前記汚泥処理工程においては、下記式(1);
    E=Sin+E(1−α)a×b−βΧ …(1)
    E:当該汚泥処理工程における活性汚泥の可溶化量、
    in:前記生物処理工程に供給される前記有機性排水中の有機物量、
    α:当該汚泥処理工程に供給された活性汚泥のうち完全酸化される活性汚泥の割合、
    a:前記生物処理工程へ前記活性汚泥の一部を返送する場合に、該返送された活性汚泥の有機物への換算係数、
    :前記有機性排水中に含まれる有機物の活性汚泥への変換率、
    :当該汚泥処理工程において可溶化し、可溶化処理液中に溶出した有機物の活性汚泥への転換率、
    β:汚泥の自己分解係数、
    Χ:前記生物処理工程中の汚泥量、
    で表される関係を満たすように前記活性汚泥を可溶化処理する、
    ことを特徴とする請求項4記載の排水処理方法。
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