JP2010124554A - 誘導機制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数台誘導機一括制御において、誘導機間の速度差が大きくなると、誘導機速度に演算誤差が生じ、誘導機実すべりが拡大し、誘導機が脱調状態に陥る。
【解決手段】誘導機に備えた速度検出器の出力を検知速度とし、推定すべりとすべり指令を入力し検知信号を出力するすべり差拡大検知手段と、トルク指令と検知信号から制御トルク指令を作成するトルク指令演算器と、誘導機速度と検知信号と検知速度を入力し制御速度を出力する速度選択器を新たに追加し、トルク指令の代わりに制御トルク指令をトルク制御手段に入力し、誘導機速度の代わりに制御速度をトルク制御手段に入力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘導機のトルク制御に関するもので、特に、複数台誘導機の一括トルク制御時の脱調状態を回避するものである。
図2は、一従来例を示すブロック図である。101、102、103、104は誘導機、111は速度検出器、2は電流検出器、3は電力変換器、4はトルク制御手段、5は磁束演算器、6は周波数演算器、7はすべり演算器、8は速度演算器、9はすべり周波数演算器である。
図2において、誘導機は4台しか示されていないが、複数台であれば、何台であっても良い。以下、誘導機は4台であるとして説明する。
電流検出器2は、電力変換器3につながる個々の誘導機に流れる電流の相毎の総和である総和電流iを検出する。
電圧系磁束演算器5は、総和電流iと電力変換器3に入力される電圧指令vから、誘導機磁束φを式(1)で演算する。
Figure 2010124554
ここで、R1は全誘導機の一次抵抗合成値、L2は二次自己インダクタンス合成値、Mは相互インダクタンス合成値、Lekは漏れインダクタンス合成値である。漏れインダクタンス合成値Lekは、
Figure 2010124554
で与えられる。ここで、L1は全誘導機の一次自己インダクタンス合成値である。
周波数演算器6は、誘導機磁束φから、式(3)を用いて誘導機周波数ω1を演算する。
Figure 2010124554
ここで、FAとFBは誘導機磁束φの成分である。
すべり演算器7は、総和電流iと誘導機磁束φから、式(4)を用いて推定すべりωscを演算する。
Figure 2010124554
ここで、R2は全誘導機の二次抵抗合成値である。
速度演算器8は、誘導機周波数ω1と推定すべりωscから、式(5)を用いて誘導機速度ωmを演算する。
Figure 2010124554
式(5)で演算される誘導機速度ωmは、個々の誘導機速度の平均値となり、式(6)で示される値となる。
Figure 2010124554
ここで、ωm1は誘導機101の速度、ωm2は誘導機102の速度、ωm3は誘導機103の速度、ωm4は誘導機104の速度である。
すべり指令演算器9は、磁束指令φ*、トルク指令τ*から、式(7)を用いてすべり指令ωsrを演算する。
Figure 2010124554
トルク制御手段4は、誘導機速度ωmと総和電流iを基に、全誘導機のすべりと磁束とトータルトルクがすべり指令ωsr、磁束指令φ*、トルク指令τ*となるような電圧指令vを出力する。
電力変換器3は、電圧指令vを増幅し、負荷である誘導機101〜104に電力を供給する。
以上の構成とすることにより、複数台誘導機のトータルトルクをトルク指令τ*に制御することができる。
車両においては、台車制御、1車両制御が一般的であるため、複数台誘導機の一括トルク制御が多用されている。
特開平11−069895公報
従来技術においては、以下に示す問題点がある。
車両において一括制御している一部車輪軸が空転し、例えば誘導機103の速度ωm3がωm1とωm2とωm4に比べて大きくなった場合、式(6)によれば、ωm1、ωm2、ωm3、ωm4に対する誘導機速度ωmの演算誤差が発生する。さらに、誘導機の実すべりが大きくなるので、式(1)による誘導機磁束φの大きさは小さくなり、式(3)と式(4)の演算精度が悪化し、誘導機速度ωmの演算誤差が大きくなる。
誘導機103の空転が大きく、誘導機速度ωmの演算誤差が大きくなれば、誘導機103が脱調状態となる。さらに、誘導機103の空転が大きくなれば、誘導機103だけでなく、誘導機101や誘導機102や誘導機104も脱調状態となる。
また、一部車輪軸の滑走が大きくなった場合も、空転時と同じく、誘導機が脱調状態になる可能性がある。
誘導機が脱調状態になると、トルク制御不能となり、最悪の場合、過電流や過電圧により、誘導機破壊、電力変換器素子破壊へとつながる。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものである。
前述の問題点を解決するために、請求項1の発明によれば、速度検出器を備えた誘導機を少なくとも1台を構成要素とした複数台誘導機を持ち、全誘導機の総和電流と電圧から誘導機磁束を演算する磁束演算器と、該誘導機磁束と該総和電流から推定すべりを演算するすべり演算器と、前記誘導機磁束と該推定すべりから誘導機速度を演算する速度演算器と、磁束指令とトルク指令からすべり指令を演算するすべり指令演算器を有し、前記総和電流と該誘導機速度と該すべり指令と該磁束指令と該トルク指令を基に該複数台誘導機のトルクを一括制御するトルク制御手段を有する誘導機制御装置において、速度検出器の出力を検知速度とし、推定すべりとすべり指令を入力し検知信号を出力するすべり差拡大検知手段と、トルク指令と検知信号から制御トルク指令を作成するトルク指令演算器と、誘導機速度と検知信号と検知速度を入力し制御速度を出力する速度選択器を新たに追加し、トルク指令の代わりに制御トルク指令をトルク制御手段に入力し、誘導機速度の代わりに制御速度をトルク制御手段に入力する。
誘導機が脱調状態となる前に、一部車輪軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、空転滑走状態を収束させ、誘導機のトルク制御状態を安定させることができる。
すべり差拡大検知手段10を新たに追加することにより、全誘導機中の一部車輪軸に空転あるいは滑走が発生していることが検知できる。すべり差拡大検知手段10で検知した信号をトルク指令演算器11にて処理して制御トルク指令を作成し、トルク制御手段4に入力することにより、誘導機の制御トルクを少なくし、空転滑走状態を収束させることができる。また、すべり差拡大検知手段10で検知した信号を速度選択器12にて処理して制御速度を作成し、トルク制御手段4に入力することにより、誘導機のトルク制御を安定させることができる。
図1は、本発明の一実施例を示すブロック図であり、10はすべり差拡大検知手段、11はトルク指令演算器、12は速度選択器である。
すべり差拡大検知手段10は、推定すべりωscとすべり指令ωsrを入力し、検知信号Kを出力する。
図3は、すべり差拡大検知手段10の一実施例を示す図であり、|ωsc−ωsr|>αでKをON、|ωsc−ωsr|<αでKをOFFとする。ただし、αは検知閾値であり、0以上の値である。
検知信号Kは、複数台誘導機中の一部車輪軸に空転あるいは滑走が発生していることを示している。αと空転あるいは滑走の度合いは連動しており、αを0に近くすると、少しの空転、滑走で検知信号KがONとなる。逆に、αを大きくすると、少しの空転、滑走では、検知信号KがONとなり難くなる。
誘導機101〜104の中で誘導機103だけが空転し、ωm1、ωm2、ωm4に対して、ωm3が大きくなったとする。式(6)により、速度演算誤差は、ωm>ωm1、ωm>ωm2、ωm>ωm4、ωm<ωm3となる。その結果、トルク指令τ*、磁束指令φ*から演算されるすべり指令ωsrに対して、誘導機101、102、104の実すべりは大きくなり、誘導機103の実すべりは小さくなる。
この状態で、総和電流iを一定となるようにトルク制御手段4でトルク制御を実施すると、トータルトルクはトルク指令τ*に一致するが、式(4)による推定すべりωscは、誘導機101、102、103、104の平均値となり、すべり指令ωsrと異なる。|ωsc−ωsr|の大きさは、空転の度合いによるが、空転が大きければ、|ωsc−ωsr|の大きさは大きくなる。その結果、すべり差拡大検知手段10の検知信号がONとなる。ここでは空転を例としたが、滑走の場合も同様である。
トルク指令演算器11は、トルク指令τ*と検知信号Kを入力し、制御トルク指令τ0*を出力する。検知信号KがOFFであれば、トルク指令τ*を制御トルク指令τ0*とする。
検知信号KがONであれば、制御トルク指令τ0*をトルク指令τ*より少なくする。一般的に、制御トルク指令τ0*を0とする。
速度検出器111は誘導機101〜104の少なくとも1台に装備されており、速度検出器111は装着された誘導機の速度を検出する。検知速度ωmpは速度検出器111による検出値である。速度選択器12は、誘導機速度ωmと検知速度ωmpを検知信号Kにより選択し、制御速度ωmxを出力する。検知信号KがOFFであれば、誘導機速度ωmを選択し制御速度ωmxとする。検知信号KがONであれば、検知速度ωmpを選択し制御速度ωmxとする。
トルク制御手段4は、制御速度ωmxと総和電流iを基に、全誘導機の磁束とトータルトルクが磁束指令φ*、制御トルク指令τ0*となるような電圧指令vを出力する。
以上の構成とすることにより、誘導機が脱調状態となる前に、一部車軸の空転、滑走が大きくなったことを検知できる。ここで、図3の検知閾値αを調整することにより、誘導機のトルク制御を停止させる一部車軸の空転、滑走の度合いを調整することができる。
また、一部車軸の空転、滑走が大きくなり検知信号KがONしたときに制御トルク指令を小さくすることにより、誘導機101〜104の総トルクは低下し、一部車軸の空転、滑走の度合いは小さくなり、空転滑走状態を収束させることができる。
さらに、一部車軸の空転、滑走が大きくなり検知信号KがONしたときときに速度検出器111の検知速度ωmpを用いるので、誘導機磁束φの大きさが小さくなることによる誘導機速度ωmの演算誤差の影響が無くなり、誘導機のトルク制御を従来より安定させることができる。
以上の作用により、安定なトルク制御で空転滑走状態が収束すると、すべり差拡大検知手段10により検知信号KがOFFし、制御トルク指令は本来のトルク指令τ*に復帰する。
車両制御の一部車輪軸の空転、滑走による速度演算誤差に限らず、トルクの一括制御対象となっている複数台誘導機の一部の軸速度に差ができた場合であっても、本発明は有効である。
車両のような複数台誘導機制御において、一部車輪軸の空転、滑走を検知することができる。さらに、一部車輪軸の空転、滑走が大きくなることにより発生する誘導機脱調状態に至る前に、検知信号Kにより誘導機制御を安定させることができる。また、制御トルクを低くすることにより、空転滑走状態を収束させることができる。空転滑走状態が収束したら制御トルクは復帰し、車両加速を大きく損なうことはない。
車両制御の一部車輪軸の空転、滑走による速度演算誤差に限らず、トルクの一括制御対象となっている複数台誘導機の一部の軸速度に差ができた場合であっても、同様な効果を期待することができる。
誘導機制御を安定化することにより、誘導機脱調状態が原因である過電流や過電圧による誘導機破壊、電力変換器の素子破壊を防止することができる。
図1は、本発明の一実施例を示すブロック図である。 図2は、一従来例を示すブロック図である。 図3は、すべり差拡大検知手段の一実施例を示す図である。
符号の説明
101、102、103、104 誘導機
111 速度検出器
2 電流検出器
3 電力変換器
4 トルク制御手段
5 磁束演算器
6 周波数演算器
7 すべり演算器
8 速度演算器
9 すべり周波数演算器
10 すべり差拡大検知手段
11 トルク指令演算器
12 速度選択器

i・・・・・総和電流
v・・・・・電圧指令
τ* ・・・・トルク指令
φ* ・・・・磁束指令
ω1・・・・誘導機周波数
ωm・・・・誘導機速度
ωmp・・・検知速度
ωsc・・・推定すべり
ωsr・・・すべり指令
φ・・・・・誘導機磁束
K・・・・・検知信号
τ0*・・・制御トルク指令
ωmx・・・制御速度

Claims (1)

  1. 速度検出器を備えた誘導機を少なくとも1台を構成要素とした複数台誘導機を持ち、全誘導機の総和電流と電圧から誘導機磁束を演算する磁束演算器と、該誘導機磁束と該総和電流から推定すべりを演算するすべり演算器と、前記誘導機磁束と該推定すべりから誘導機速度を演算する速度演算器と、磁束指令とトルク指令からすべり指令を演算するすべり指令演算器を有し、前記総和電流と該誘導機速度と該すべり指令と該磁束指令と該トルク指令を基に該複数台誘導機のトルクを一括制御するトルク制御手段を有する誘導機制御装置において、該速度検出器の出力を検知速度とし、前記推定すべりと前記すべり指令を入力し検知信号を出力するすべり差拡大検知手段と、前記トルク指令と該検知信号から制御トルク指令を作成するトルク指令演算器と、前記誘導機速度と前記検知信号と該検知速度を入力し制御速度を出力する速度選択器を新たに追加し、前記トルク指令の代わりに前記制御トルク指令を該トルク制御手段に入力し、前記誘導機速度の代わりに該制御速度を前記トルク制御手段に入力することを特徴とする誘導機制御装置。
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