JP2008043111A - 誘導機制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数台誘導機一括制御において、誘導機間の速度差が大きくなると、誘導機速度に演算誤差が生じ、誘導機実すべりが拡大し、誘導機が脱調状態に陥る。
【解決手段】 誘導機磁束から誘導機磁束大きさを演算する磁束量演算器と、誘導機磁束大きさと磁束指令を入力し検知信号を出力する磁束低下検知手段と、運転指令と検知信号から制御指令を作成する運転論理器を新たに追加し、運転指令の代わりに制御指令をトルク制御手段に入力する。誘導機が脱調状態となる前に、一部車輪軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、誘導機のトルク制御を停止させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘導機のトルク制御に関するもので、特に、複数台誘導機の一括トルク制御時の脱調状態を回避するものである。
図2は、一従来例を示すブロック図である。101、102、103、104は誘導機、2は電流検出器、3は電力変換器、4はトルク制御手段、5は磁束演算器、6は速度演算器である。
図2において、誘導機は4台しか示されていないが、複数台であれば、何台であっても良い。以下、誘導機は4台であるとして説明する。
電流検出器2は、電力変換器3につながる個々の誘導機に流れる電流の相毎の総和である総和電流iを検出する。
電圧系磁束演算器5は、総和電流iと電力変換器3に入力される電圧指令vから、誘導機磁束φを式(1)で演算する。
Figure 2008043111
ここで、R1は全誘導機の一次抵抗合成値、L2は二次自己インダクタンス合成値、Mは相互インダクタンス合成値、Lekは漏れインダクタンス合成値である。漏れインダクタンス合成値Lekは、
Figure 2008043111
で与えられる。ここで、L1は全誘導機の一次自己インダクタンス合成値である。
速度演算器6は、総和電流iと誘導機磁束φから、式(3)〜式(5)を用いて誘導機速度ωmを演算する。
Figure 2008043111
ここで、R2は全誘導機の二次抵抗合成値、FAとFBは誘導機磁束φの成分である。
式(5)で演算される誘導機速度ωmは、個々の誘導機速度の平均値となり、式(6)で示される値となる。
ωm=(ωm1+ωm2+ωm3+ωm4)/4 式(6)
ここで、ωm1は誘導機101の速度、ωm2は誘導機102の速度、ωm3は誘導機103の速度、ωm4は誘導機104の速度である。
トルク制御手段4は、運転指令NがONのときは、誘導機速度ωmと総和電流iを基に、全誘導機の磁束とトータルトルクが磁束指令φ*、トルク指令τ*となるような電圧指令vを出力する。運転指令NがOFFのときは、電圧指令vを0として、誘導機を無制御状態とする。
電力変換器3は、電圧指令vを増幅し、負荷である誘導機101〜104に電力を供給する。
運転指令Nは、トルク制御手段4へ入力する代わりに電力変換器3へ入力し、運転指令NがONで電圧指令vに相当する電力を誘導機101〜104に供給し、運転指令NがOFFで電力供給停止としても、同等の機能を得ることができる。
以上の構成とすることにより、運転指令ONのときは、複数台誘導機のトータルトルクをトルク指令τ*に制御することができる。運転指令OFFにすれば、複数台誘導機を無制御状態にすることができる。
車両においては、台車制御、1車両制御が一般的であるため、複数台誘導機の一括トルク制御が多用されている。
特開平11−069895号公報
従来技術においては、以下に示す問題点がある。
車両において一括制御している一部車輪軸が空転し、例えば誘導機103の速度ωm3がωm1とωm2とωm4に比べて大きくなった場合、式(6)によれば、ωm1、ωm2、ωm3、ωm4に対する誘導機速度ωmの演算誤差が発生する。誘導機103の空転が大きく、誘導機速度ωmの演算誤差が大きくなれば、誘導機103が脱調状態となる。さらに、誘導機103の空転が大きくなれば、誘導機103だけでなく、誘導機101や誘導機102や誘導機104も脱調状態となる。
また、一部車輪軸の滑走が大きくなった場合も、空転時と同じく、誘導機が脱調状態になる可能性がある。
誘導機が脱調状態になると、トルク制御不能となり、最悪の場合、過電流や過電圧により、誘導機破壊、電力変換器素子破壊へとつながる。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものである。
前述の問題点を解決するために、誘導機磁束φから誘導機磁束大きさφvolを演算する磁束量演算器7と、誘導機磁束大きさφvolと磁束指令φ*を入力し検知信号Kを出力する磁束低下検知手段8と、運転指令Nと検知信号Kから制御指令NNを作成する運転論理器9を新たに追加し、運転指令Nの代わりに制御指令NNをトルク制御手段4に入力する。
誘導機が脱調状態となる前に、一部車輪軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、誘導機のトルク制御を停止させることができる。
磁束量演算器7と磁束低下検知手段8を新たに追加することにより、全誘導機中の一部車輪軸に空転あるいは滑走が発生していることが検知できる。検知した信号を運転論理器9にて処理して制御指令を作成し、トルク制御手段4に入力することにより、誘導機のトルク制御を停止させることができる。
図1は、本発明の一実施例を示すブロック図であり、7は磁束量演算器、8は磁束低下検知手段、9は運転論理器である。
磁束量演算器7は、誘導機磁束φを入力し、式(7)から誘導機磁束大きさφvolを演算する。
Figure 2008043111
磁束低下検知手段8は、誘導機磁束大きさφvolと磁束指令φ*を入力し、検知信号Kを出力する。
図3は、磁束低下検知手段8の一実施例を示す図であり、φvol>α・φ*でKをON、φvol<α・φ*でKをOFFとする。ただし、αは検知閾値で0〜1の範囲で与えられる定数である。
検知信号Kは、複数台誘導機中の一部車輪軸に空転あるいは滑走が発生していることを示している。αと空転あるいは滑走の度合いは連動しており、αが1に近いと、少しの空転、滑走で検知信号KがOFFとなる。逆に、αを0方向に近づけると、少しの空転、滑走では、検知信号KがOFFとなり難くなる。
誘導機101〜104の中で誘導機103だけが空転し、ωm1、ωm2、ωm4に対して、ωm3が大きくなったとする。式(6)により、速度演算誤差は、ωm>ωm1、ωm>ωm2、ωm>ωm4、ωm<ωm3となる。その結果、トルク指令τ*、磁束指令φ*から予定されるすべり指令ωsに対して、誘導機101、102、104の実すべりは大きくなり、誘導機103の実すべりは小さくなる。
この状態で、総和電流iを一定となるようにトルク制御手段4でトルク制御を実施すると、トータルトルクはトルク指令τ*に一致するが、個々の誘導機磁束大きさは磁束指令φ*と異なる。誘導機101、102、104の磁束大きさは、磁束指令φ*より小さくなる。誘導機103の磁束大きさは、空転の度合いによるが、空転が大きければ、磁束指令φ*より小さくなる。その結果、誘導機磁束大きさφvolが磁束指令φ*より小さくなる。上記経緯で誘導機磁束大きさφvolが磁束指令φ*より小さくなることを利用し、磁束低下検知手段8は検知信号Kを作成している。ここでは空転を例としたが、滑走の場合も同様である。
運転論理器9は、運転指令Nと検知信号Kの論理積を行い、制御指令NNを出力する。運転指令Nと検知信号KのどちらかがOFFであれば、制御指令NNはOFFとなる。
トルク制御手段4は、制御指令NNがONのときは、誘導機速度ωmと総和電流iを基に、全誘導機の磁束とトータルトルクが磁束指令φ*、トルク指令τ*となるような電圧指令vを出力する。制御指令NNがOFFのときは、電圧指令vを0として、誘導機を無制御状態とする。
制御指令NNは、トルク制御手段4へ入力する代わりに電力変換器3へ入力し、制御指令NNがONで電圧指令vに相当する電力を誘導機101〜104に供給し、制御指令NNがOFFで電力供給停止としても、同等の機能を得ることができる。
以上の構成とすることにより、誘導機が脱調状態となる前に、一部車軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、誘導機のトルク制御を停止させることができる。ここで、図3の検知閾値αを調整することにより、誘導機のトルク制御を停止させる一部車軸の空転、滑走の度合いを調整することができる。
車両制御の一部車輪軸の空転、滑走による速度演算誤差に限らず、トルクの一括制御対象となっている複数台誘導機の一部の軸速度に差ができた場合であっても、本発明は有効である。
車両のような複数台誘導機制御において、一部車輪軸の空転、滑走を検知することができる。さらに、一部車輪軸の空転、滑走が大きくなることにより発生する誘導機脱調状態に至る前に、検知信号Kにより誘導機制御を停止させることができる。
車両制御の一部車輪軸の空転、滑走による速度演算誤差に限らず、トルクの一括制御対象となっている複数台誘導機の一部の軸速度に差ができた場合であっても、誘導機脱調状態に至る前に、検知信号Kにより誘導機制御を停止させることができる。
誘導機制御を停止することにより、誘導機脱調状態が原因である過電流や過電圧による誘導機破壊、電力変換器3の素子破壊を防止することができる。
図1は、本発明の一実施例を示すブロック図である。 図2は、一従来例を示すブロック図である。 図3は、磁束低下検知手段の一実施例を示す図である。
符号の説明
101、102、103、104 誘導機
2 電流検出器
3 電力変換器
4 トルク制御手段
5 磁束演算器
6 速度演算器
7 磁束量演算器
8 磁束低下検知手段
9 運転論理器

i 総和電流
v 電圧指令
τ* トルク指令
φ* 磁束指令
ωm 誘導機速度
φ 誘導機磁束
N 運転指令
Φvol 誘導機磁束大きさ
K 検知信号
NN 制御指令

Claims (1)

  1. 複数台誘導機を持ち、全誘導機の総和電流と電圧から誘導機磁束を演算する磁束演算器と、該誘導機磁束と該総和電流から誘導機速度を演算する速度演算器を有し、前記総和電流と該誘導機速度と磁束指令とトルク指令と運転指令を基に該複数台誘導機のトルクを一括制御するトルク制御手段を有する誘導機制御装置において、
    前記誘導機磁束から誘導機磁束大きさを演算する磁束量演算器と、該誘導機磁束大きさと該磁束指令を入力し検知信号を出力する磁束低下検知手段と、該運転指令と該検知信号から制御指令を作成する運転論理器を新たに追加し、前記運転指令の代わりに該制御指令を該トルク制御手段に入力することを特徴とする誘導機制御装置。





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