JPH118990A - 誘導モータのセンサレス制御装置 - Google Patents

誘導モータのセンサレス制御装置

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JPH118990A
JPH118990A JP9203979A JP20397997A JPH118990A JP H118990 A JPH118990 A JP H118990A JP 9203979 A JP9203979 A JP 9203979A JP 20397997 A JP20397997 A JP 20397997A JP H118990 A JPH118990 A JP H118990A
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angular velocity
magnetic flux
induction motor
primary
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JP9203979A
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English (en)
Inventor
Naoki Ishii
直樹 石井
Yasuhiro Fukagawa
康弘 深川
Sumikazu Shiyamoto
純和 社本
Eiji Sato
栄次 佐藤
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Toyota Motor Corp
Soken Inc
Original Assignee
Nippon Soken Inc
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘導モータのセンサレス制御装置において、
簡単に脱調の検知ができるようにすることである。 【解決手段】 誘導モータ1の一次磁束の角速度(磁束
角速度)ω1 を算出する磁束角速度算出手段401〜4
08,419と、磁束角速度の大きさ|ω1 |を、回転
子の角速度の制御範囲の上限値に基づいて設定された判
定値ω* と比較する比較手段420,421,422
と、磁束角速度の大きさ|ω1 |が判定値ω* よりも大
きいとき脱調と判定する判定手段423とを具備する構
成とすることにより、磁束角速度ω1 が回転子の角速度
との間に正常なすべりの範囲で差を生じている状態か
ら、磁束角速度ω1 が回転子の角速度の制御限界を越え
て大きく加速し必要なトルクを発生できない状態すなわ
ち脱調に陥るのを検知する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘導モータの回転を
検出することなく制御する誘導モータのセンサレス制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多相の誘導モータの制御技術として、ロ
ータリーエンコーダ等の回転センサにより回転子の回転
を検出し相巻線への通電量を決定するのとは異なり、回
転センサを用いずに、相電流等に基づいて相巻線への通
電量を決定するようにしたセンサレス制御技術があり、
従来より種々、提案されている。近年、インバータ制御
技術により所望の振幅および周波数の電圧が高精度で得
られるようになり、また高速にデジタル演算のできるプ
ロセッサも開発されてきたことから、提案されたセンサ
レス制御技術も実用化されてきている。かかる制御技術
としては、例えば1986年長岡技術科学大学研究報告
書、第8号、第43ページ〜第50ページ、「高トルク
応答と高効率を同時に可能にする誘導電動機の新制御理
論」に高橋勲により瞬間空間磁束ベクトル制御法が提案
されている。
【0003】この瞬間空間磁束ベクトル制御法では、誘
導モータの一次電流の検出値等から一次磁束ベクトルφ
1 を式(1)により演算し、トルクTを式(2)により
演算する。式中、v1 は一次電圧ベクトルであり、i1
は一次電流ベクトルであり、R1 は誘導モータの一次巻
線抵抗である。演算した一次磁束ベクトルφ1 およびト
ルクTをこれらの制御目標値と比較することにより誘導
モータへの通電を決定するものである。
【0004】
【数1】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図10は誘導モータに
おける一次磁束と回転子間のすべりsに対するトルクT
の特性曲線を示すもので、すべりsはω1 を一次磁束ベ
クトルφ1 の角速度(以下、磁束角速度)、ωr を回転
子の角速度として式(3)で表される。 s=(ω1 −ωr )/ ω1 ×100(%)・・・・(3) 図より知られるように誘導モータが最大トルクを発生す
るすべりsm が存在し、このすべりsm までの範囲では
磁束角速度ω1 を加速するとトルクが上昇するが、磁束
角速度ω1 が異常に加速してすべりsm をこえてしまう
と必要なトルクが得られず制御不能となって脱調する。
そこで磁束角速度ω1 、回転子角速度ωrを検出するこ
とで脱調を検出し速やかに脱調状態から回復することが
考えられる。磁束角速度ω1 は一次磁束ベクトルφ1
ら算出できる。しかし回転子角速度ωr は、回転数セン
サが設けられたものであれば直接に知られるが上記瞬間
空間磁束ベクトル制御法のようなセンサレス制御による
ものではこれを演算により求める必要がある。
【0006】例えば特公平6−85638号公報記載の
誘導電動機の速度センサレス速度推定装置では、回転子
の角速度を、一次電流ベクトルと二次磁束ベクトルの内
積からすべり角速度を算出し、二次磁束ベクトルの角速
度と上記すべり角速度の差から算出している。しかしな
がら算出式が複雑であり演算負荷が大きくなる。
【0007】そこで本発明は、回転子の回転について検
出や複雑な演算を行うことなく脱調を検出することので
きる誘導モータのセンサレス制御装置を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、誘導モータのセンサレス制御装置が、誘導モータの
相電圧と相電流とから誘導モータの一次磁束の角速度を
算出する磁束角速度算出手段と、磁束角速度算出手段に
より算出された一次磁束の角速度が、誘導モータが正常
回転を行う際に示す値の領域に収まるかどうかに基づい
て脱調を検知する脱調検知手段とを具備する構成とす
る。
【0009】誘導モータが脱調すると、相電圧と相電流
とから算出された一次磁束の角速度が、誘導モータが正
常回転を行う際に示す値の領域から外れる。これより脱
調検知手段が脱調を検知する。
【0010】請求項2記載の発明では、脱調検知手段
を、磁束角速度算出手段により算出された一次磁束の角
速度の大きさを、回転子の角速度の制御範囲の限界値に
基づいて設定された判定値と比較する比較手段と、一次
磁束の角速度が上記判定値よりも大きいとき脱調と判定
する判定手段とで構成する。
【0011】誘導モータが脱調を生じることなく正常な
作動をしているときには、一次磁束の角速度は、必要な
トルクを発生するすべりの範囲で回転子の角速度と差を
生じている。したがって一次磁束の角速度が回転子の角
速度の制御範囲を大きく越えることはない。しかし誘導
モータへの通電異常等で一次磁束の角速度が加速し回転
子の角速度の制御範囲を大きく越えてしまうと、上記す
べりが増大し必要なトルクが得られず誘導モータが脱調
する。しかして脱調時には、比較手段による一次磁束の
角速度の大きさと上記判定値の比較結果から、判定手段
により脱調であると判定される。
【0012】請求項3記載の発明では、脱調検知手段
を、一次磁束の角速度の一次遅れを算出する一次遅れ算
出手段と、一次磁束の角速度と一次磁束の角速度の一次
遅れの差を、一次磁束と回転子のすべりの許容範囲の限
界値に基づいて設定された判定値と比較する比較手段
と、上記差が上記判定値よりも大きいとき脱調と判定す
る判定手段とで構成する。
【0013】回転子の角速度は一次磁束の角速度に対し
てすべりを有して追随する。回転子の角速度は、回転子
やこれと接続される負荷の慣性により一次磁束の角速度
に対し遅れて追随する一次遅れ系とみなせる。したがっ
て回転子の角速度は一次磁束の角速度の一次遅れにより
近似でき、一次磁束の角速度とその一次遅れの差からす
べりが知られる。誘導モータへの通電異常等で一次磁束
の角速度が加速し、一次磁束と回転子のすべりの許容範
囲を大きく越えて誘導モータが脱調すると、比較手段に
よる上記差と上記判定値の比較結果から、判定手段によ
り脱調であると判定される。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)図1に本発明の誘導モータのセンサレ
ス制御装置を適用した誘導モータ制御システムを示す。
センサレス制御装置2は誘導モータ1の各相の電機子巻
線にパルス幅変調された交流電圧を印加する三相インバ
ータ3と、これを制御するデジタル信号処理プロセッサ
(DSP)4とを備えている。三相インバータ3から誘
導モータ1への給電線の途中には少なくとも2つの相に
ついて電圧センサと電流センサとが設けられ、U,V,
Wの各相の瞬時の一次電圧および一次電流を検出するよ
うになっており、検出信号がDSP4に入力する。DS
P4は、検出された一次電圧および一次電流に基づいて
一次磁束ベクトルφ1 およびトルクTを演算し、外部か
ら入力する一次磁束φ1 およびトルクTの指令値との比
較結果に基づいて誘導モータ1への通電量を決定し、こ
れに応じて三相インバータ3を作動せしめるようになっ
ている。
【0015】図2は三相インバータ3のスイッチング状
態を示すもので、直列接続されたスイッチング素子32
aおよび32b、33aおよび33b、34aおよび3
4bが3組設けられ、各組がU,V,Wの各相に対応し
ている。各相のスイッチング素子32a,32b〜34
a,34bは、その両端が電源35と正母線31a、負
母線31bを介して接続されるとともに、接続中点が誘
導モータ1の各相電機子巻線と接続されている(図
略)。各組のスイッチング素子32aおよび32b等同
志は互いに逆相でオンオフし、対応する相に正母線31
a側あるいは負母線31b側の電圧を印加する。なお各
組のスイッチング素子32aおよび32b等は正母線3
1aと負母線31bの短絡による破壊を防止することを
目的として両方ともオフとなる短絡防止期間が設けられ
ている。
【0016】ここで正母線31a側のスイッチング素子
32a,33a,34aが導通する場合を「1」、負母
線31b側のスイッチング素子32b,33b,34b
が導通する場合を「0」とし、U,V,W相のスイッチ
ング状態をこの順に「1」と「0」の二値でなる3桁の
変数で表すものとする。例えば図例では(010)であ
る。
【0017】この変数は三相インバータ3のスイッチン
グ状態を表すものであるから、三相インバータ3から誘
導モータ1に印加される電圧ベクトルをも表しており、
スイッチング素子32a,32b〜34a,34bのス
イッチング状態により電圧ベクトルは8種類発生する。
電圧ベクトルは図3に示すように大きさが同じで方向が
60°づつ異なる6つの電圧ベクトル(100),(1
10),(010),(011),(001),(10
1)、大きさと方向を持たない2つの電圧ベクトル(0
00),(111)である。
【0018】DSP4はかかる変数を所定の制御周期ご
とに電圧指令として三相インバータ3に出力し、スイッ
チング素子32a,32b〜34a,34bがオンオフ
して誘導モータ1に、指定された電圧ベクトルが印加さ
れる。
【0019】電圧指令の決定はDSP4のソフトウェア
上で実現され、そのアルゴリズムが図1では機能ブロッ
クとして描いてある。一次電圧の検出信号は三相/二相
変換ブロック401で、誘導モータ1の回転子とともに
回転するd−q直交座標系上の二相電圧に変換され、一
次電流の検出信号は三相/二相変換ブロック402で、
d−q直交座標系上の二相電流に変換される。
【0020】三相/二相変換ブロック401から出力さ
れた一次電圧ベクトルv1 (=(v1d,v1q))と、三
相/二相変換ブロック402から出力された一次電流ベ
クトルi1 (=(i1d,i1q))とを入力として、比例
ブロック403,404、減算ブロック405,40
6、積分ブロック407,408が式(1)と等価な式
(4),(5)を実行し、一次磁束ベクトルφ1 (=
(φ1d,φ1q))が得られる。
【0021】
【数2】
【0022】一次磁束ベクトル(φ1d,φ1q)は磁束象
限判定ブロック409に入力し、磁束象限判定ブロック
409は一次磁束ベクトル(φ1d,φ1q)の方向を判定
する。図4は一次磁束ベクトル(φ1d,φ1q)の象限を
示すもので、φd φq 平面は60°の範囲で6つに分割
され、一次磁束ベクトル(φ1d,φ1q)が6つの象限の
いずれかに分類される。
【0023】積分ブロック407,408から出力され
る一次磁束ベクトル(φ1d,φ1q)はまた、磁束算出ブ
ロック410に入力し、磁束算出ブロック410は式
(6)により一次磁束ベクトルの大きさ(以下、一次磁
束)|φ1 |を算出し、これを減算ブロック411に出
力する。
【0024】
【数3】
【0025】減算ブロック411では一次磁束|φ1
とその指令値の偏差が算出され、これを磁束判定ブロッ
ク412に出力する。磁束判定ブロック412は上記偏
差に基づいて一次磁束|φ1 |の過不足を判定し、一次
磁束|φ1 |を不足、過剰のいずれかに分類する。
【0026】積分ブロック407,408から出力され
る一次磁束ベクトル(φ1d,φ1q)および三相/二相変
換ブロック402から出力される一次電流ベクトル(i
1d,i1q)を入力として、乗算ブロック413,41
4、減算ブロック415が式(2)と等価な式(7)を
実行しトルクTを算出する。 T=φ1d1q−φ1q1d…………(7)
【0027】減算ブロック415から出力されたトルク
Tとその指令値とを入力として減算ブロック416がト
ルクTとその指令値との偏差を算出し、これをトルク判
定ブロック417に出力する。トルク判定ブロック41
7は偏差に基づいてトルクTの過不足を判定し、トルク
Tを不足、適正、過剰のいずれかに分類する。
【0028】磁束象限判定ブロック409、磁束判定ブ
ロック412、トルク判定ブロック417における結果
はスイッチングテーブルブロック418に入力する。ス
イッチングテーブルブロック418はスイッチングテー
ブルが記憶され、これに基づいて電圧ベクトルが決定さ
れる。表1にスイッチングテーブルの一例を示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1に従って、トルクを増加させたいとき
(トルク不足のとき)は一次磁束ベクトルφ1 の対応す
る象限において一次磁束ベクトルの回転方向の電圧ベク
トルが選択され、減少させたいときには逆回転方向の電
圧ベクトルが選択される。また一次磁束|φ1 |を増加
させたいとき(磁束不足のとき)は磁束の大きさが等し
い一次磁束円から外周に向かう方向の電圧ベクトルが選
択され、減少させたいときには内周に向かう方向の電圧
ベクトルが選択される。
【0031】図5は一次磁束|φ1 |を一定に制御する
ときの一次磁束ベクトルφ1 を示すもので、制御周期ご
とに一次磁束|φ1 |の過不足が判定されて上記のごと
く外周に向かう電圧ベクトルと内周に向かう電圧ベクト
ルとが適宜選択され一定のヒシテリシス幅を持った磁束
円上を一次磁束ベクトルφ1 が回転する。そしてトルク
Tの過不足より一次磁束ベクトルφ1 の角速度ω1 が増
減せしめられる。
【0032】スイッチングテーブルブロック418は、
誘導モータ1が脱調したときには脱調検知ブロック41
から脱調判定が入力することにより零電圧ベクトル(0
00)が選択され誘導モータ1を停止するようになって
いる。脱調検知ブロック41は上述の機能ブロック40
1〜408を含み構成されている。
【0033】脱調検知ブロック41は、積分ブロック4
07,408から出力された一次磁束ベクトル(φ1d
φ1q)が磁束角速度算出ブロック419に入力する。磁
束角速度算出ブロック419は、一次磁束ベクトルφ1
を演算する機能ブロック401〜408とともに磁束角
速度算出手段を構成するもので、磁束角速度ω1 を算出
する。磁束角速度ω1 は、現制御周期と前制御周期にお
ける一次磁束ベクトルφ1 の外積に基づく式(8)によ
り算出する。式中、Δtは制御周期であり、φ
1d(n),φ1d(n−1)はそれぞれ現制御周期、前制
御周期のφ1dであり、φ1q(n),φ1q(n−1)は現
制御周期、前制御周期のφ1qである。
【0034】
【数4】
【0035】なお式(8)では分母は計算を簡単にする
ため現制御周期および前制御周期の一次磁束ベクトルφ
1 の大きさを乗じたものの近似式を用いているが必ずし
も近似式に限定されるものではない。
【0036】また磁束角速度を外積に基づいて算出する
のではなく、一次磁束ベクトルφ1の周期を計数するこ
とで算出してもよい。
【0037】機能ブロック420〜423は脱調検知手
段としての機能ブロックで、磁束角速度算出ブロック4
19により算出された磁束角速度ω1 が、誘導モータ1
が正常回転を行う際に示す値の領域に収まるか否かに基
づいて脱調を検知する。
【0038】絶対値ブロック420は磁束角速度ω1
絶対値をとり、磁束角速度の大きさ|ω1 |を求める。
【0039】判定レベル設定ブロック421はROM等
の記憶媒体であり、脱調の有無を判定する判定レベルと
なる判定値ω* を記憶している。記憶される判定値ω*
は予め本制御装置を適用するシステムの仕様で規定され
る制御可能な回転子の角速度の上限値に基づいて設定
し、上限値よりもやや大きな値とする。
【0040】絶対値ブロック420から出力された磁束
角速度の大きさ|ω1 |と判定レベル設定ブロック42
1から出力された判定値ω* とは減算ブロック422に
入力する。減算ブロック422は絶対値ブロック420
および判定レベル設定ブロック421とともに比較手段
を構成するもので、判定値ω* から磁束角速度の大きさ
|ω1 |を減じ、これを判定手段たる判定ブロック42
3に出力する。判定ブロック423はω* −|ω1 |の
正負を判定する。すなわちω* −|ω1 |>0であれば
磁束角速度の大きさ|ω1 |が回転子の角速度の上限値
以下であり、回転子の回転が磁束の回転に追随可能であ
ると判断できる。しかして正常回転であると判定する。
【0041】ω* −|ω1 |≦0であれば磁束角速度の
大きさ|ω1 |が回転子の角速度の上限値を越えてお
り、回転子の回転が一次磁束の回転に追随不可能である
と判断できる。しかして脱調であると判定する。
【0042】図6は磁束角速度ω1 の経時変化を示すも
ので、正常回転の状態から脱調が生じるときのものであ
る。トルクTの指令値が入力すると指令値に対するトル
ク不足の場合はトルクが増大するように一次磁束ベクト
ルφ1 が加速し、すべりが増加してより大きなトルクが
発生する。しかし例えば過剰または過小なトルクTの指
令値が入力し磁束角速度ω1 が急変するとすべりsm
(図10)を越え必要なトルクが得られず脱調する。磁
束角速度の大きさ|ω1 |が判定値ω* を越えたことか
ら脱調が知られる。
【0043】なお判定値ω* は、回転子の角速度の制御
範囲の上限値よりも大きければよいが脱調検知の感度を
考慮して設定する。
【0044】判定ブロック423における脱調との判定
結果はスイッチングテーブルブロック418に入力す
る。スイッチングテーブルブロック418は、上述のと
おり判定ブロック423から脱調との判定結果が入力す
ると電圧ベクトルとして零ベクトル(000)を選択す
る。
【0045】判定ブロック423はまた脱調と判定する
と表示灯5を点灯せしめて脱調の発生を知らせる。
【0046】かかる構成により、相電圧および相電流の
検出結果に基づいて電圧ベクトルが選択され誘導モータ
1の回転が制御目標に追随し、脱調するとこれを検知し
て三相インバータ3から誘導モータ1への通電が遮断さ
れて誘導モータ1が停止しシステムが終了する。
【0047】このように本発明では式(8)のような容
易な演算と、磁束角速度算出ブロック419〜判定ブロ
ック423の機能ブロックで示される簡単な制御アルゴ
リズムにより脱調の検知が実現できる。しかも式(8)
で用いられる一次磁束ベクトル(φ1d,φ1q)は、スイ
ッチングテーブルブロック418における電圧ベクトル
の選択に際し用いられるものを流用しているから、演算
の負担は極めて軽いものとなる。
【0048】(第2実施形態)図1の構成において脱調
検知手段としての機能ブロック420〜423は別の構
成とすることができ、これを図7に示す。図中、図1と
同一番号を付したものについては実質的に同じ作動をす
るので第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0049】磁束角速度算出ブロック419から出力さ
れる磁束角速度ω1 は一次遅れ算出ブロック424に入
力する。一次遅れ算出ブロック424は一次遅れ算出手
段としての機能ブロックで、磁束角速度ω1 の一次遅れ
ω1'を、磁束角速度算出ブロック419から出力される
磁束角速度ω1 と前制御周期の一次遅れω1'とから式
(9)により算出する。式中、ω1 (n)は磁束角速度
算出ブロック419から出力される現制御周期の磁束角
速度ω1 であり、ω1'(n−1)は前制御周期の一次遅
れω1'であり、ω1'(n)は現制御周期の一次遅れω1'
である。またa(但し0<a<1)は定数である。
【0050】
【数5】
【0051】回転子の角速度は磁束角速度ω1 に対して
すべりを有して追随する。回転子の角速度は、回転子や
これと接続される負荷の慣性により磁束角速度ω1 に対
し遅れて追随する一次遅れ系とみなせる。したがって定
数aを本制御装置を適用した各システムの上記慣性に応
じた遅れによる時定数τに応じて設定することで、回転
子の角速度は一次遅れω1'で近似できる。図8は算出さ
れた一次遅れω1'の経時変化を示すもので、すべりが回
転子の角速度の制御範囲にあるときは磁束角速度ω1
僅かに遅れながら追随する。この一次遅れω1'による近
似はすべりによる誤差を含むから、脱調時には誤差も増
加するが磁束角速度ω1 が急変しこれと回転子の角速度
の差が大きくなるのを検知するには十分小さな誤差であ
る。算出された一次遅れω1'は評価値算出ブロック42
5に出力される。
【0052】評価値算出ブロック425は、磁束角速度
算出ブロックからの磁束角速度ω1と、一次遅れ算出ブ
ロック424からの一次遅れω1'とを入力として両者の
差の絶対値|ω1'−ω1 |を算出し、これをすべり評価
値とする。
【0053】判定レベル設定ブロック426はROM等
の記憶媒体であり、脱調の有無を判定する判定値ω*
記憶している。記憶される判定値は予め本制御装置を適
用するシステムの仕様で規定され、磁束角速度ω1 と回
転子の角速度のすべりが許容される状態におけるすべり
評価値|ω1'−ω1 |の上限値に設定する。
【0054】なおすべり評価値|ω1'−ω1 |は磁束角
速度ω1 で規格化したものとしてもよい。
【0055】判定レベル設定ブロック426からの判定
値ω* と評価値算出ブロック425からのすべり評価値
|ω1'−ω1 |は減算ブロック427に入力する。減算
ブロック427は評価値算出ブロック425および判定
レベル設定ブロック426とともに比較手段を構成する
もので、判定値ω* からすべり評価値|ω1'−ω1 |を
減算し、これを判定ブロック428に出力する。判定手
段たる判定ブロック428はω* −|ω1'−ω1 |の正
負を判定する。すなわちω* −|ω1'−ω1 |>0であ
れば磁束角速度ω1 に一次遅れω1'すなわち回転子の角
速度が追随しており、正常回転であると判定する。
【0056】ω* −|ω1'−ω1 |≦0であれば磁束角
速度ω1 に一次遅れω1'すなわち回転子の角速度が追随
しておらず、脱調であると判定する。
【0057】図9は磁束角速度の経時変化を示すもの
で、正常回転の状態から脱調が生じるときのものであ
る。第1実施形態で示した図6のように脱調が生じると
回転子の角速度の近似である一次遅れω1'が磁束角速度
ω1 に追随できず|ω1'−ω1 |がω* を越える。これ
より脱調が知られる。
【0058】脱調との判定結果はスイッチングテーブル
ブロック418に入力し、第1実施形態と同様に、スイ
ッチングテーブルブロック418では電圧ベクトルとし
て零ベクトル(000)が選択され誘導モータ1が停止
する。また判定ブロック428は表示灯5を点灯する。
【0059】なお上記各実施形態では誘導モータの回転
制御に瞬間空間磁束ベクトル制御技術を用いているが、
その他のセンサレス制御装置にも適用できる。
【0060】脱調の判定は制御周期ごとに行うのではな
く数周期ごとでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘導モータのセンサレス制御装置を適
用した誘導モータ制御システムの構成図である。
【図2】本発明の誘導モータのセンサレス制御装置のイ
ンバータのスイッチング状態を示す図である。
【図3】本発明の誘導モータのセンサレス制御装置の作
動を説明する第1の模式図である。
【図4】本発明の誘導モータのセンサレス制御装置の作
動を説明する第2の模式図である。
【図5】本発明の誘導モータのセンサレス制御装置の作
動を説明する第3の模式図である。
【図6】本発明の誘導モータのセンサレス制御装置の作
動を説明するグラフである。
【図7】本発明の別の誘導モータのセンサレス制御装置
の要部の構成図である。
【図8】本発明の誘導モータのセンサレス制御装置の作
動を説明する第1のグラフである。
【図9】本発明の誘導モータのセンサレス制御装置の作
動を説明する第2のグラフである。
【図10】誘導モータにおける脱調を説明するグラフで
ある。
【符号の説明】
1 誘導モータ 2 センサレス制御装置 3 三相インバータ 4 デジタル信号処理プロセッサ 41 脱調検知ブロック 401、402 三相/二相変換ブロック(磁束角速度
算出手段) 403、404 比例ブロック(磁束角速度算出手段) 405、406 減算ブロック(磁束角速度算出手段) 407、408 積分ブロック(磁束角速度算出手段) 419 磁束角速度算出ブロック(磁束角速度算出手
段) 420 絶対値ブロック(脱調検知手段、比較手段) 421 判定レベル設定ブロック(脱調検知手段、比較
手段) 422 減算ブロック(脱調検知手段、比較手段) 423,428 判定ブロック(脱調検知手段、判定手
段) 424 一次遅れ算出ブロック(脱調検知手段、一次遅
れ算出手段) 425 評価値算出ブロック(脱調検知手段、比較手
段) 426 判定レベル設定ブロック(脱調検知手段、比較
手段) 427 減算ブロック(脱調検知手段、比較手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 社本 純和 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 佐藤 栄次 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導モータの相電圧と相電流とに基づい
    て電機子巻線への通電量を決定し誘導モータを回転制御
    するセンサレス制御装置において、上記相電圧と相電流
    とから誘導モータの一次磁束の角速度を算出する磁束角
    速度算出手段と、磁束角速度算出手段により算出された
    一次磁束の角速度が、誘導モータが正常回転を行う際に
    示す値の領域に収まるか否かに基づいて脱調を検知する
    脱調検知手段とを具備することを特徴とする誘導モータ
    のセンサレス制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の誘導モータのセンサレス
    制御装置において、上記脱調検知手段を、磁束角速度算
    出手段により算出された一次磁束の角速度の大きさを、
    回転子の角速度の制御範囲の限界値に基づいて設定され
    た判定値と比較する比較手段と、一次磁束の角速度が上
    記判定値よりも大きいとき脱調と判定する判定手段とで
    構成した誘導モータのセンサレス制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の誘導モータのセンサレス
    制御装置において、上記脱調検知手段を、磁束角速度算
    出手段により算出された一次磁束の角速度から一次磁束
    の角速度の一次遅れを算出する一次遅れ算出手段と、一
    次磁束の角速度と一次磁束の角速度の一次遅れの差を、
    一次磁束と回転子のすべりの許容範囲の限界値に基づい
    て設定された判定値と比較する比較手段と、上記差が上
    記判定値よりも大きいとき脱調と判定する判定手段とで
    構成した誘導モータのセンサレス制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008043112A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Toyo Electric Mfg Co Ltd 誘導機制御装置
JP2008043111A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Toyo Electric Mfg Co Ltd 誘導機制御装置
CN100382428C (zh) * 2003-02-12 2008-04-16 株式会社安川电机 电动机控制装置以及控制失控检测方法

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