JP4948183B2 - 誘導機制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導機のトルク制御に関するもので、特に、複数台誘導機の一括トルク制御時の脱調状態を回避するものである。
図2は、一従来例を示すブロック図である。101、102、103、104は誘導機、2は電流検出器、3は電力変換器、4はトルク制御手段、5は磁束演算器、6は周波数演算器、7はすべり演算器、8は速度演算器、9はすべり周波数演算器である。
図2において、誘導機は4台しか示されていないが、複数台であれば、何台であっても良い。以下、誘導機は4台であるとして説明する。
電流検出器2は、電力変換器3につながる個々の誘導機に流れる電流の相毎の総和である総和電流iを検出する。
電圧系磁束演算器5は、総和電流iと電力変換器3に入力される電圧指令vから、誘導機磁束φを式(1)で演算する。
Figure 0004948183
ここで、R1は全誘導機の一次抵抗合成値、L2は二次自己インダクタンス合成値、Mは相互インダクタンス合成値、LeKは漏れインダクタンス合成値である。漏れインダクタンス合成値LeKは、
Figure 0004948183
で与えられる。ここで、L1は全誘導機の一次自己インダクタンス合成値である。
周波数演算器6は、誘導機磁束φから、式(3)を用いて誘導機周波数ω1を演算する。
Figure 0004948183
ここで、FAとFBは誘導機磁束φの成分である。
すべり演算器7は、総和電流iと誘導機磁束φから、式(4)を用いて推定すべりωscを演算する。
Figure 0004948183
ここで、R2は全誘導機の二次抵抗合成値である。
速度演算器8は、誘導機周波数ω1と推定すべりωscから、式(5)を用いて誘導機速度ωmを演算する。
Figure 0004948183
式(5)で演算される誘導機速度ωmは、個々の誘導機速度の平均値となり、式(6)で示される値となる。
Figure 0004948183
ここで、ωm1は誘導機101の速度、ωm2は誘導機102の速度、ωm3は誘導機103の速度、ωm4は誘導機104の速度である。
すべり周波数演算器9は、磁束指令φ*、トルク指令τ*から、式(7)を用いてすべり指令ωsrを演算する。
Figure 0004948183
トルク制御手段4は、運転指令NがONのときは、誘導機速度ωmと総和電流iを基に、全誘導機のすべりと磁束とトータルトルクがすべり指令ωsr、磁束指令φ*、トルク指令τ*となるような電圧指令vを出力する。運転指令NがOFFのときは、電圧指令vを0として、誘導機を無制御状態とする。
電力変換器3は、電圧指令vを増幅し、負荷である誘導機101〜104に電力を供給する。
運転指令Nは、トルク制御手段4へ入力する代わりに電力変換器3へ入力し、運転指令NがONで電圧指令vに相当する電力を誘導機101〜104に供給し、運転指令NがOFFで電力供給停止としても、同等の機能を得ることができる。
以上の構成とすることにより、運転指令NがONのときは、複数台誘導機のトータルトルクをトルク指令τ*に制御することができる。運転指令NをOFFにすれば、複数台誘導機を無制御状態にすることができる。
車両においては、台車制御、1車両制御が一般的であるため、複数台誘導機の一括トルク制御が多用されている。
特開平11−069895
従来技術においては、以下に示す問題点がある。
車両において一括制御している一部車輪軸が空転し、例えば誘導機103の速度ωm3がωm1とωm2とωm4に比べて大きくなった場合、式(6)によれば、ωm1、ωm2、ωm3、ωm4に対する誘導機速度ωmの演算誤差が発生する。誘導機103の空転が大きく、誘導機速度ωmの演算誤差が大きくなれば、誘導機103が脱調状態となる。さらに、誘導機103の空転が大きくなれば、誘導機103だけでなく、誘導機101や誘導機102や誘導機104も脱調状態となる。
また、一部車輪軸の滑走が大きくなった場合も、空転時と同じく、誘導機が脱調状態になる可能性がある。
誘導機が脱調状態になると、トルク制御不能となり、最悪の場合、過電流や過電圧により、誘導機破壊、電力変換器素子破壊へとつながる。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものである。
請求項1による発明によれば、前述の問題点を解決するために、複数台誘導機を持ち、全誘導機の総和電流と電圧から誘導機磁束を演算する磁束演算器と、該誘導機磁束と該総和電流から推定すべりを演算するすべり演算器と、前記誘導機磁束と前記推定すべりから誘導機速度を演算する速度演算器と、磁束指令とトルク指令からすべり指令を演算するすべり指令演算器を有し、前記総和電流と前記誘導機速度と該すべり指令と該磁束指令と該トルク指令と運転指令を基に該複数台誘導機のトルクを一括制御するトルク制御手段を有する誘導機制御装置において、前記推定すべりと前記すべり指令を入力し検知信号を出力するすべり差拡大検知手段と、該運転指令と該検知信号から制御指令を作成する運転論理器を新たに追加し、前記運転指令の代わりに該制御指令を該トルク制御手段に入力することを特徴とする。
誘導機が脱調状態となる前に、一部車輪軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、誘導機のトルク制御を停止させることができる。
すべり差拡大検知手段10を新たに追加することにより、全誘導機中の一部車輪軸に空転あるいは滑走が発生していることが検知できる。検知した信号を運転論理器11にて処理して制御指令を作成し、トルク制御手段4に入力することにより、誘導機のトルク制御を停止させることができる。
図1は、本発明の一実施例を示すブロック図であり、10はすべり差拡大検知手段、11は運転論理器である。
すべり差拡大検知手段10は、推定すべりωscとすべり指令ωsrを入力し、検知信号Kを出力する。
図3は、すべり差拡大検知手段の一実施例を示す図であり、|ωsc−ωsr|>αでKをON、|ωsc−ωsr|<αでKをOFFとする。ただし、αは検知閾値であり、0以上の値である。
検知信号Kは、複数台誘導機中の一部車輪軸に空転あるいは滑走が発生していることを示している。αと空転あるいは滑走の度合いは連動しており、αを0に近くすると、少しの空転、滑走で検知信号KがONとなる。逆に、αを大きくすると、少しの空転、滑走では、検知信号KがONとなり難くなる。
誘導機101〜104の中で誘導機103だけが空転し、ωm1、ωm2、ωm4に対して、ωm3が大きくなったとする。式(6)により、速度演算誤差は、ωm>ωm1、ωm>ωm2、ωm>ωm4、ωm<ωm3となる。その結果、トルク指令τ*、磁束指令φ*から演算されるすべり指令ωsrに対して、誘導機101、102、104の実すべりは大きくなり、誘導機103の実すべりは小さくなる。
この状態で、総和電流iを一定となるようにトルク制御手段4でトルク制御を実施すると、トータルトルクはトルク指令τ*に一致するが、式(4)による推定すべりωscは、誘導機101、102、103、104の平均値となり、すべり指令ωsrと異なる。
|ωsc−ωsr|の大きさは、空転の度合いによるが、空転が大きければ、|ωsc−ωsr|の大きさは大きくなる。その結果、すべり差拡大検知手段10の検知信号がONとなる。ここでは空転を例としたが、滑走の場合も同様である。
運転論理器11は、運転指令Nと検知信号Kの論理演算を行い、制御指令NNを出力する。運転指令NがON、検知信号KがOFFであれば、制御指令NNはONとなる。
トルク制御手段4は、制御指令NNがONのときは、誘導機速度ωmと総和電流iを基に、全誘導機の磁束とトータルトルクが磁束指令φ*、トルク指令τ*となるような電圧指令vを出力する。制御指令NNがOFFのときは、電圧指令vを0として、誘導機を無制御状態とする。
制御指令NNは、トルク制御手段4へ入力する代わりに電力変換器3へ入力し、制御指令NNがONで電圧指令vに相当する電力を誘導機101〜104に供給し、制御指令NNがOFFで電力供給停止としても、同等の機能を得ることができる。
以上の構成とすることにより、誘導機が脱調状態となる前に、一部車軸の空転、滑走が大きくなったことを検知でき、誘導機のトルク制御を停止させることができる。ここで、図3の検知閾値αを調整することにより、誘導機のトルク制御を停止させる一部車軸の空転、滑走の度合いを調整することができる。
車両制御の一部車輪軸の空転、滑走による速度演算誤差に限らず、トルクの一括制御対象となっている複数台誘導機の一部の軸速度に差ができた場合であっても、本発明は有効である。
車両のような複数台誘導機制御において、一部車輪軸の空転、滑走を検知することができる。さらに、一部車輪軸の空転、滑走が大きくなることにより発生する誘導機脱調状態に至る前に、検知信号Kにより誘導機制御を停止させることができる。
車両制御の一部車輪軸の空転、滑走による速度演算誤差に限らず、トルクの一括制御対象となっている複数台誘導機の一部の軸速度に差ができた場合であっても、誘導機脱調状態に至る前に、検知信号Kにより誘導機制御を停止させることができる。
誘導機制御を停止することにより、誘導機脱調状態が原因である過電流や過電圧による誘導機破壊、電力変換器3の素子破壊を防止することができる。
図1は、本発明の一実施例を示すブロック図である。 図2は、一従来例を示すブロック図である。 図3は、すべり差拡大検知手段の一実施例を示す図である。
符号の説明
101 誘導機
102 誘導機
103 誘導機
104 誘導機
2 電流検出器
3 電力変換器
4 トルク制御手段
5 磁束演算器
6 周波数演算器
7 すべり演算器
8 速度演算器
9 すべり周波数演算器
10 すべり差拡大検知手段
11 運転論理器

i・・・総和電流
v・・・電圧指令
τ*・・・トルク指令
φ*・・・磁束指令
ω1・・・誘導機周波数
ωm・・・誘導機速度
ωsc・・・推定すべり
ωsr・・・すべり指令
φ・・・誘導機磁束
N・・・運転指令
K・・・検知信号
NN・・・制御指令

Claims (1)

  1. 複数台誘導機を持ち、全誘導機の総和電流と電圧から誘導機磁束を演算する磁束演算器と、該誘導機磁束と該総和電流から推定すべりを演算するすべり演算器と、前記誘導機磁束と前記推定すべりから誘導機速度を演算する速度演算器と、磁束指令とトルク指令からすべり指令を演算するすべり指令演算器を有し、前記総和電流と前記誘導機速度と該すべり指令と該磁束指令と該トルク指令と運転指令を基に該複数台誘導機のトルクを一括制御するトルク制御手段を有する誘導機制御装置において、
    前記推定すべりと前記すべり指令を入力し検知信号を出力するすべり差拡大検知手段と、該運転指令と該検知信号から制御指令を作成する運転論理器を新たに追加し、前記運転指令の代わりに該制御指令を該トルク制御手段に入力することを特徴とする誘導機制御装置。

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