JP2010118447A - 圧電膜型素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 圧電膜として鉛を含有しない圧電材料を用いるとともに、圧電膜を金属基板の面上に形成した圧電膜型素子を提供する。
【解決手段】 ステンレス鋼であって、Alを含有する金属基板11の面上にセラミック層のバリア層12を設け、バリア層12の面上に順に下部電極層13、圧電膜14および上部電極層15をそれぞれ形成する。圧電膜14はBaTiO3の組成を有するもので、AD法により作製される。ここで、圧電膜の結晶粒の平均粒径が0.2μmないし3.5μmの範囲内となるように熱処理を行うとともに、圧電膜の厚さを5μm以上とする。これにより、圧電定数d31を含む各種特性の優れた圧電膜型素子を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、鉛を含有しない圧電材料を用いて、金属基板上に形成した圧電膜型素子に関する。
圧電材料による圧電膜を基板上に形成してなる圧電膜型素子が、電子部品として従来から用いられていた。圧電膜型素子は主に各種センサやアクチュエータとして用いられており、圧電振動ジャイロ、超音波モータ、インクジェットヘッド用アクチュエータ、ミラー用光スキャナーなどの用途に使用もしくは適用が検討されている。
一般に圧電膜型素子は、基板と、その面上に形成された圧電膜から構成される。ここで圧電膜は、一般に圧電材料からなる膜体の両面に電極(上部電極層、下部電極層)が形成されたものであって、両面に設けられた電極の間に電位差を印加することにより、膜厚方向もしくは膜厚に垂直な方向に、伸縮による変位を生じさせる素子である。このときの圧電膜の伸縮による変位を利用して物体の駆動を行うアクチュエータを、圧電膜型アクチュエータと称する。このうち膜厚に垂直な方向(膜面に平行な方向)に変位を生じさせる方式の圧電膜は、一般にその基板構造により変位量を大きくできることから圧電膜型アクチュエータの駆動素子として多く用いられている。ところで圧電膜型素子における電気機械変換特性は圧電特性と呼ばれ、一般には使用される圧電膜が有する圧電定数d31の値として規定される。ここで圧電定数d31とは、圧電膜に単位電圧(V)を印加したときの、電圧印加方向である電極間の向きに垂直な方向(膜面方向)の圧電膜の変位量(m)のことであって、単位は(m/V)である。
圧電膜型素子に用いられる基板材料としては、従来は一般にセラミックが用いられてきた。特許文献1には、非鉛系の酸化物であるチタン酸バリウム(BaTiO3)の組成の圧電膜をセラミック基板上に形成した圧電膜型素子が記載されている。しかしながらセラミック基板には、焼結による作製時に大きな収縮を伴うという問題があった。このため焼結前のセラミック材料にまず加工を施し、これを焼結して基板を作製する方法では、複雑な形状を有する基板を高い寸法精度で作製することが困難であった。
一方、平板状やインゴット状のセラミック焼結体をまず作製し、それを切削加工することで圧電膜型素子用基板を形成する方法ならば、前記の収縮の問題は回避できる。しかし、この場合には、高硬度で比較的脆いというセラミックの特性のために、基板形状が複雑な場合は切削加工の工程での歩留まりが低くなることや、加工時間が長くなるために基板の作製におけるコストが増加するといった問題が生じてしまう。圧電膜型素子を例えばインクジェットヘッド用アクチュエータなどに用いる場合を想定すると、基板内部にインク吐出用ノズルなどの複雑な構成を高精度で形成することが求められる。従って、高精度の基板が作成可能で、なおかつその加工が容易であることは、圧電膜型素子用基板が備えるべき特性として必須である。
高精度の加工が可能であって、圧電膜型素子用の基板材料としては、シリコン基板や金属基板が使用されている。このうちシリコン基板はシリコン(Si)による単結晶基板であり、エッチング加工により微細加工時の加工精度がとくに高いという特徴を有する。しかしながらシリコン基板は金属基板に比べて一般に高価であり、また基板面が円形でその直径も12インチ程度が最大であるため、とくに量産時には圧電膜型素子の製造コストの低下において不利である。一方、金属基板はシリコン基板に比べて安価であり、切削、圧延、プレス、パンチングなどの加工も容易で加工精度も比較的高く、任意の形状とすることができて、さらにシリコン基板を凌ぐ大型基板を作製することも容易である。これらの特徴により、本発明では金属基板を用いた圧電膜型素子の提供を目指すこととする。
一方、基板表面に圧電膜型素子を作製する際に圧電膜を形成する方法としては、薄膜形成による方法、スクリーン印刷法、エアロゾルデポジション法(AD法)などの方法が知られている。このうち薄膜形成による方法は、蒸着やスパッタリングによって基板上に膜形成を行う方法である。この方法は、圧電膜の両面に設けられる電極膜のように、薄い金属膜を形成するためには適した方法であるが、膜厚の厚い酸化膜の形成を行う場合には問題を有している。圧電膜型素子をとくに圧電膜型アクチュエータとして用いる際は、圧電膜は酸化膜であり、また駆動のために必要な膜厚には下限が存在するため、圧電膜をある程度厚く形成することが必要である。ここで膜厚としては一般に5μm程度以上が必要とされる。しかしながら、薄膜形成による方法でこの厚さの酸化物による圧電膜を形成する場合は、膜形成に非常に長い時間が必要となることや、作製した膜内での組成ずれの発生などの問題が生じるため、困難が大きい。
また、薄膜形成による方法で基板上に膜形成を行う場合に、結晶化温度の高い圧電膜を形成する場合は成膜温度を上昇させる必要がある。これにより基板と圧電膜との熱膨張係数の差の問題や、基板の格子定数との整合の問題などが生じ、それらの解決には膜形成の周辺技術に対して特段の工夫が必要である。これらは膜形成に要する時間のさらなる長時間化や製造コストの上昇に繋がるものであり、薄膜形成による方法における圧電膜の形成における困難を増大させるものである。
一方、AD法は基板面上に圧電膜の原料粉末を射出して固着させ、その後に基板を昇温して熱処理を行って、圧電膜における粒径の成長と結晶性の回復を図り、緻密な多結晶膜を形成する方法である。特許文献2には、金属基板を用いてAD法にて基板上に圧電膜を作製し、これにより圧電膜型素子を形成する方法について記載されている。なお特許文献2で作製している圧電膜は、鉛を含有するジルコン酸チタン酸鉛(PZT)膜である。
ところで特許文献2によると、AD法とは、亜音速まで加速された微細な粒子を基板に衝突させることで、粒子が破砕、変形し、新生面の形成や衝撃力に基づく物質移動を介して粒子間結合を形成し基板面に膜が堆積する現象に基づいた方法である。このため、膜形成時に発生する内部応力や作製した膜内の各種損傷が原因となり、成膜後の圧電膜の圧電特性は、単純に成膜したままでは他の成膜法によるセラミック膜などに比べてかなり劣るという問題があった。この問題の解決のためには、圧電膜を成膜した後に、適当な雰囲気中で熱処理を実施することが有効であることが判明している。
しかしながら、AD法により金属基板面上に圧電膜を直接形成した場合には、その後の熱処理の際に金属基板の構成元素が圧電膜内に拡散してしまい、それにより圧電膜の圧電特性が大きく劣化してしまって、圧電定数d31の値が低下することが知られていた。これは成膜された圧電膜の種別によらず見られる現象であり、とくに金属基板として鉄(Fe)およびクロム(Cr)を含有する、いわゆるステンレス鋼に属する金属基板を用いた場合に顕著であった。
この対策として、特許文献2では、使用する金属基板をFe、Crを含有する合金、即ちステンレス鋼として、さらに組成として特定の元素を含有する合金のみに限定した上で、なおかつ金属基板の圧電膜の形成面に酸化アルミニウム(Al2O3)によるバリア層を設ける技術が記載されている。この方法によれば、熱処理の際の圧電膜内へのFe、Crの拡散を防止することができ、圧電膜型素子における圧電特性を改善することができる。以上の方法は、PZT膜を用いた圧電膜型素子をAD法により作製する場合において、有効な方法であるといえる。
なお、特許文献2に開示されている圧電膜型素子では、圧電膜として鉛を含有するPZT膜が用いられている。しかしなから近年では、前記のように材質中に鉛を含有しない非鉛系の圧電膜を採用し、材質中に鉛を一切含まない圧電膜型アクチュエータの提供を望むユーザの要求が高まっている。非鉛系の成膜が可能な圧電材料としてはBaTiO3やニオブ酸カリウムナトリウム(KNN:KNbO3−NaNbO3)系の材料が知られている。ここで、BaTiO3は圧電性が消失するキュリー温度が120℃付近で低いという問題があるが、圧電特性が大きいという特徴を有している。一方、KNNはBaTiO3に比較して圧電特性は劣るが、キュリー温度が高いという特徴を有している。圧電定数の大きいことが要求される非鉛系の圧電膜型アクチュエータ用の圧電膜としては、BaTiO3を含む材料が選択され、使用温度に制限がある場合は他の組成系の材料が適用されるのが一般的である。
圧電膜型素子の基板材料としては前記の通り金属基板は好適であり、またBaTiO3を含む材料も鉛を含有しないことから圧電膜として適切な材料である。この両者を用いた圧電膜型素子を作製する際に、基板上に圧電膜を形成する方法としては、前記のAD法およびスクリーン印刷法が実施可能である。しかしながら、特許文献2に記載のPZT膜を単純にBaTiO3による圧電膜へ置き換えを行っても、実用上十分な圧電特性が得られなかったり、もしくは基板からの圧電膜の剥離や基板の変形などが生じたりする場合があった。
AD法による圧電膜の作製においては、膜形成の後に熱処理を行っても、圧電定数d31として必ずしも実用上十分な値が得られるとは限らないという問題があった。BaTiO3を含む圧電膜の形成後の熱処理条件は、得られた圧電膜の圧電定数の値と密接な関係があると考えられるが、従来は熱処理条件と圧電定数との関係が明確ではなく、熱処理によりなぜ圧電定数の改善を図ることができるのかも明らかではなかった。また良好な圧電膜型素子かどうかは圧電定数のみで決定されるのではなく、圧電膜の剥離や、金属基板の変形などが生じないことも必要な条件である。しかしながら、これらの圧電定数以外の圧電膜型素子の作製条件と、熱処理条件との関係も明らかではなかった。
本発明は、基板としてFe、Cr含有合金による金属基板を採用するとともに、圧電膜として材質中に鉛を含有しないBaTiO3を含む材料を用いた圧電膜型素子を、AD法により作製するにあたり、十分な圧電特性が得られるとともに、圧電膜の剥離などのない、実用性の高い圧電膜型素子を得ることを目的とする。
発明者らは鋭意研究した結果、本発明における金属基板上にBaTiO3を含む材料を用いたセラミック膜である圧電膜を形成する場合において、得られた圧電膜の圧電定数d31の値が、その構成粒子の粒径との間に密接な関係を有していることを見出した。まずAD法により圧電膜を作製する場合は、膜形成の際に原料の、もとのセラミック材料が有していた結晶粒子が数〜数十nm(ナノメートル)サイズにまで微細化されてしまう。しかしながら、このセラミック膜に熱処理を実施することにより、組織内に顕著な粒状構造が形成され圧電特性が回復することが確認された。発明者らの研究により、この粒状構造はBaTiO3による結晶粒であることが判明した。この形成された結晶粒の平均的な粒径は熱処理温度が高いほど大きくなるが、一方で、熱処理において一定時間以上の保持時間を設けている場合には、熱処理の所要時間にはほとんど左右されない。さらに、この結晶粒径が数十nm〜5μmの範囲では大きいほど圧電膜であるセラミック膜の圧電定数d31の値も増大することが判明した。
具体的には、セラミック膜中の結晶粒の粒径(結晶粒径)を、ラインクロス法による計測値に適切な補正係数を乗じた値であると定義して、かつこの補正係数を1.5とする。この場合に結晶粒径が0.2μmないし3μmの範囲のときに、その圧電特性および良好な膜形成のいずれにおいても、圧電膜型素子として実用上十分な圧電膜が得られることとなる。一般にBaTiO3では、その電気的特性である誘電率は数μm程度の結晶粒径で極大値をもつことが知られており、圧電定数d31の値も誘電率と同じ傾向を持つと考えられる。作製した圧電膜におけるBaTiO3の結晶粒径を大きくするにはその熱処理温度を高くすればよい。しかし熱処理温度が高すぎる場合には、金属基板の変形や、金属基板の部分と圧電膜との界面の領域での剥離が増加し、圧電膜型素子の製造歩留まりが低下する結果となるため、結果として適切な結晶粒径には上限が存在する。
なお、圧電膜におけるBaTiO3の結晶粒径が大きい場合に金属基板の変形や圧電膜の剥離が増加する理由は必ずしも明らかではない。しかしながら、結晶粒径を大きくする条件として熱処理温度を高くしていることから、金属基板や電極膜、後述の金属基板上に設けられたバリア層の相互間、および圧電膜との間の熱膨張係数の差によって、これらの膜や層の界面領域に生じる応力歪みが大きくなることが関係していると考えられる。またバリア層と圧電膜との間には電極膜として下部電極層を設ける必要があるが、この下部電極層を構成する金属元素の圧電膜内部への拡散もその要因として考えられる。さらに金属基板の変形に関しては、高温での熱処理が金属基板を構成する原子に拡散の機会を与えるために、熱処理によって基板組成やその物理的性質に若干の変化が生じ、これに前記熱膨張係数の差による応力歪みが加わることが関係しているとの推測ができる。
以上の理由により、AD法によってBaTiO3による圧電膜型素子が備える圧電膜を作製する場合には、発明者らの研究により、熱処理温度を1000℃ないし1200℃の範囲とする必要があることが判明した。熱処理温度が1200℃の場合の結晶粒径が3μm程度であり、熱処理温度をさらに上げて結晶粒径をこれ以上大きくすることは、結果として金属基板や圧電膜の変形や剥離、クラックの発生などに繋がることから適当ではない。なお、圧電膜型素子が備える圧電膜そのものの厚さは、圧電膜型アクチュエータとして用いる上で十分な大きさの駆動力を出せる必要があるために、その駆動に関与する領域が5μm以上の厚さであることが望ましい。
即ち、本発明は、金属基板上にバリア層が形成され、前記バリア層の面上に、下部電極層、圧電膜、上部電極層をそれぞれ有する積層構造体が形成されてなる圧電膜型素子であって、前記圧電膜が少なくともBaTiO3の組成を有するものであって、前記圧電膜が結晶構造を有する粒状構造を備え、前記粒状構造における、ラインクロス法による計測値に補正係数1.5を乗じた値を結晶粒径としたときの前記結晶粒径が、0.2μmないし3μmであることを特徴とする圧電膜型素子である。
また、本発明は、前記金属基板がFeおよびCrを含むものであり、かつ前記バリア層がAl2O3を含むものであることを特徴とする圧電膜型素子である。
さらに、本発明は、前記金属基板が3モル%ないし10モル%のAlを含むものであることを特徴とする圧電膜型素子である。
さらに、本発明は、前記圧電膜がエアロゾルデポジション法により形成されてなることを特徴とする圧電膜型素子である。
さらに、本発明は、前記圧電膜が1000℃ないし1200℃にて熱処理されてなるものであることを特徴とする圧電膜型素子である。
さらに、本発明は、前記圧電膜が、厚さが5μm以上の領域を少なくとも有するものであることを特徴とする圧電膜型素子である。
さらに、本発明は、アクチュエータとして用いられることを特徴とする圧電膜型素子である。
本発明によれば、基板としてFe、Crを含有する合金(ステンレス鋼)による金属基板を用いるとともに、圧電膜として材質中に鉛を含有しないBaTiO3を含む材料を用いた圧電膜型素子を作製することができる。この圧電膜型素子においては、圧電膜中にBaTiO3による結晶粒の粒状構造を形成し、かつその結晶粒径を0.2μmないし3μmの範囲とすることにより、圧電膜型アクチュエータとしての使用において十分な大きさの圧電特性が得られるとともに、圧電膜の膜形成においてもクラックや剥離、金属基板の変形を生じることのない、良好な圧電膜を得ることができる。
ここで圧電膜における平均結晶粒径を0.2μmないし3μmの範囲とするためには、セラミック膜である圧電膜の形成後の熱処理温度の制御が有効である。即ち、圧電膜をAD法により作製する場合には、膜形成後の熱処理温度を1000℃ないし1200℃の範囲とすればよい。以上の方法により、高精度の加工が可能で、加工時間も比較的短い金属基板を用いて、BaTiO3を含む材料を圧電膜として用いた圧電膜型素子を提供することができる。この圧電膜型素子は基板や圧電膜中に鉛を全く含有していないため、材質中に鉛を一切含まない圧電膜型アクチュエータの提供を望む近年のユーザの要求に対応することが可能である。
以下に、本発明の圧電膜型素子の実施の形態について、図1をもとに説明する。
図1は、本発明の圧電膜型素子の構成を断面図として示したものである。図1において、金属基板11はFeおよびCrを含むいわゆるステンレス鋼であり、3モル%ないし10モル%のAlを含有することが好ましい。金属基板11の上面にはバリア層12が形成されている。バリア層12はAl2O3を含むセラミック層であり、とくに前記Al2O3主成分とする場合が好適であって、一般に絶縁層である。バリア層12の上部には、図1の下側から順に下部電極層13、圧電膜14および上部電極層15がそれぞれ形成されている。
ここでバリア層は、圧電膜型素子の熱処理の際に、金属基板に含まれるFeやCrなどの元素がその上部の圧電膜に拡散することを防ぐ役割を有する。また熱処理による昇温の際の、金属基板と圧電膜との熱膨張係数の差による応力歪みを吸収することで、下部電極層を挟んで生じる金属基板と圧電膜の間の剥離や、圧電膜に生じるクラックを防止する効果も有している。バリア層は厚さを0.1μm〜2μmとすることが好適で、AD法や熱酸化などにより形成されるが、層の厚さが薄い場合にはスパッタ法などの薄膜形成による方法を用いてもよい。
本発明の圧電膜型素子では導電体である金属基板と圧電膜との間にバリア層が形成されている。このバリア層がAl2O3を含むセラミック層である場合、下部電極層を省略して金属基板と上部電極層との間に圧電層の駆動電位差を印加する構成とすることが考えられる。ただしこの場合には、圧電層とバリア層の間の誘電率の違い(バリア層の誘電率の方が二桁程度低い)のために、圧電層に印加される電圧が低くなってしまい変位が小さくなってしまう。このため、金属基板を下部電極として用いることは好ましくなく、バリア層の上面に下部電極層を別途設ける必要がある。下部電極層としてはPt(プラチナ)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Ag−Pd合金、Ni(ニッケル)、Cu(銅)などの金属膜が好適であり、また組成が異なる金属膜による多層膜としてもよい。ここで下部電極層は、十分な電気伝導性が得られるならば1μm以下の薄い層でも構わないため、スパッタ法や蒸着法などの薄膜形成による方法によって形成することができる。
また圧電膜は粒状構造を有するBaTiO3を含む膜であり、とくに前記BaTiO3を主成分とする場合が好適である。なお圧電膜の作製においては、AD法を用いる場合、出発原料であるもとのセラミック材料が、0.5μm〜2μmの粉末粒径を有する場合が好適である。
AD法の場合には、膜形成の際に出発原料である、もとのセラミック材料の粒子が破砕、変形して膜が堆積するため、出発原料の粉末粒径が特定の範囲内にあることが重要である。ここで粉末粒径が0.5μm〜2μmのセラミック材料の場合には、AD法により、緻密でハクリなどの欠陥の少ない膜が形成され、熱処理後に十分に緻密で高精度の膜厚制御が可能な圧電膜型素子を作製することができる。
BaTiO3を含むセラミック材料粉末をもとに、前記の通りAD法によってセラミック膜が作製された後に熱処理がなされ、適切な大きさの粒状構造を有する圧電膜として形成される。この熱処理によってBaTiO3の結晶粒を適切な粒径範囲とすることが必要であり、発明者らの研究の結果、熱処理温度を1000℃〜1200℃の範囲とした場合に粒径が好適な範囲となることが判明した。なおこのときの熱処理雰囲気は、金属基板での酸化と圧電膜での還元の両方の作用の進行をいずれも抑制するために、酸素分圧を調整したものとする必要がある。またN2(窒素)のみの雰囲気中で行っても同じ効果が得られることが、発明者らの研究により判明している。
AD法によるセラミック膜に対して、前記の適切な雰囲気中で前記1000℃〜1200℃の温度範囲にて熱処理を実施する場合は、圧電膜にはBaTiO3を含む結晶粒が生じることとなる。発明者らの研究によると、この温度範囲にて熱処理を行った場合には、その平均粒径が、ラインクロス法による計測値に補正係数1.5を乗じた値において、0.2μmないし3μmの範囲となる。そして、前記圧電膜中に生じる結晶粒の平均粒径が前記範囲の場合には、その圧電特性の値および良好な膜形成の面で、実用上十分な特性を有する圧電膜型素子を得ることができる。
ここでラインクロス法とは、金属基板の面上に形成した圧電膜を含む領域の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察して画像を撮影し、撮影した画像上に適当な長さの直線を設定して、その直線を横切る結晶粒の数をもとに結晶粒の平均粒径を算出する方法である。なお導電膜である上部電極層が十分に薄い場合は、上部電極層が存在しても、この方法による圧電膜の観察における障害となることはない。ここで例えば長さ10μmの直線を設定してこの直線が横切る結晶粒の数が25個であれば、観察された測定結果(直径)は10μm÷25個=0.40μmと計算される。
ただし圧電膜の表面に露出している結晶粒は、他の結晶粒によってその一部が互いに覆い隠されるために、その最大径の位置が常に見えている訳ではない。従って実際の結晶粒の平均粒径はこの0.40μmの値よりも大きくなる。この測定結果から平均粒径を算出するための補正係数は、ラインクロス法の場合は、粒が球状であると仮定できる場合には1.5とすると適切であることが分かっている。従って前記の場合での結晶粒の平均粒径は、0.40μm×1.5=0.60μmとなる。この例の場合には結晶粒の平均粒径が0.2μmないし3μmの範囲内であるので、作製された圧電膜は実用上十分な特性を有していることになる。実際には100ヶ以上の結晶粒子がカウントされる測定長で粒径の算出は行った。
なお、作製する圧電膜型素子において、上部電極層は下部電極層と同じく金属の薄膜よりなるものであるが、最外層として設けられるために圧電膜を形成するための熱処理の後で作製することができ、その場合には熱処理の昇温に対する耐久性が不要である。上部電極層を形成する金属としては、下部電極層と同じくPt、Pd、Ag、Ag−Pd合金、Niなどの金属膜が使用可能であるが、耐熱性の条件が緩和されることから、前記以外にCu(銅)、Au(金)およびAu合金などを用いることができる。さらに上部電極層はこれらの金属の膜による多層膜としてもよく、また薄膜で構わないため、スパッタ法や蒸着法などの薄膜形成による方法にて形成することが可能である。
(AD法による圧電膜型素子の作製)
金属基板としてCrを20mol%およびAlを含有し、不可避不純物を除く残部がFeであるステンレス鋼の表面を研磨してなる金属基板を用意した。含有されるAlの量は、0mol%、1mol%、3mol%、5mol%、8mol%、10mol%、12mol%の7種類である。この各々の金属基板を長さ30mm、幅2mm、厚さ100μmの形状に裁断した。次にこの金属基板の片面に、厚さが2μmとなるようにAl2O3からなるセラミック膜をAD法により成膜して、700℃、N2雰囲気中にて熱処理を行い、バリア層を形成した。さらにこのバリア層の表面に、Ptによる膜を0.5μmの厚さでスパッタリングにより形成して下部電極層とし、これを評価用基板とした。
金属基板としてCrを20mol%およびAlを含有し、不可避不純物を除く残部がFeであるステンレス鋼の表面を研磨してなる金属基板を用意した。含有されるAlの量は、0mol%、1mol%、3mol%、5mol%、8mol%、10mol%、12mol%の7種類である。この各々の金属基板を長さ30mm、幅2mm、厚さ100μmの形状に裁断した。次にこの金属基板の片面に、厚さが2μmとなるようにAl2O3からなるセラミック膜をAD法により成膜して、700℃、N2雰囲気中にて熱処理を行い、バリア層を形成した。さらにこのバリア層の表面に、Ptによる膜を0.5μmの厚さでスパッタリングにより形成して下部電極層とし、これを評価用基板とした。
次いでレーザー回折・散乱法により測定したメジアン径を平均粒径と定義した場合に、平均粒径が0.5μmであるBaTiO3の組成の粉末原料を用意した。この粉末原料をAD法によって前記評価用基板の面上に室温で成膜し、その後に酸素分圧20mol%を含むN2雰囲気(ほぼ乾燥空気と同じ)にて、800℃〜1300℃の各温度で保持時間が1時間の熱処理を行い、圧電膜を形成した。このときメタルマスクを用いて評価用基板の面上の一部領域を隠し、評価用基板の面上で圧電膜が段差を有するように構成した。この段差となる領域には下部電極層の一部が露出しており、圧電膜型素子に電位差を印加する際の電極端子として機能する。
なおここで熱処理温度の上限を1300℃としたのは、この温度を超える熱処理を行う場合は金属基板の変形が著しくなり、正常な圧電膜型素子の作製が明らかに困難となるためである。この熱処理の後で、圧電膜の面上にメタルマスクを用いてAuの膜を蒸着により0.2μmの厚さで形成し、これを上部電極層とした。以上の方法により圧電膜型素子を作製した。これらの圧電膜型素子における圧電膜の設定膜厚は3.0μm〜15.0μmの範囲である。なお圧電膜型素子の作製数は、各条件当たり1個である。
(評価方法)
作製された各々の圧電膜型素子の評価内容は、圧電膜の膜厚測定、異相の有無の観察、 表面観察、平均粒径の算出、絶縁性の確認、圧電定数d31の測定の6項目である。
作製された各々の圧電膜型素子の評価内容は、圧電膜の膜厚測定、異相の有無の観察、 表面観察、平均粒径の算出、絶縁性の確認、圧電定数d31の測定の6項目である。
まず圧電膜を作製し、上部電極層を形成する前に、キーエンス社製レーザー変位計・KS−1100を用いて圧電膜の膜厚を非接触にて3箇所計測し、それらの平均値を計算して計測膜厚とした。この計測膜厚が予め定めた膜厚の設定値(設定膜厚)に対して±10%の範囲の場合を良好とした。なお以下の各実施例、比較例においては、AD法による成膜においても、作製した全ての圧電膜型素子において、当初の設定値に対して±10%の範囲に収まる値が得られている。次いでX線回折装置(XRD:X-Ray Diffractometer)を用い、圧電膜型素子の圧電膜表面でのX線回折によるスペクトルを計測し、圧電膜の領域において、BaTiO3によるペロブスカイト相以外の異相によるピークが生じていないかどうかを観察した。上部電極層を形成する前にこの観察を行ったのは、上部電極層を構成する金属元素によるピークがスペクトル中に現れて、前記異相によるピークが隠されることを避けるためである。
その後、圧電膜の面上に上部電極層を形成し、まず作製した圧電膜型素子の金属基板を肉眼もしくは実体顕微鏡を用いて観察して、変形がないかどうかを確認した。次いで上部電極層を含む圧電膜型素子の表面を同様に観察し、圧電膜にクラックや剥離が生じていないかを確認した。次に上部電極層を設けた圧電膜の領域をSEMにより観察し、圧電膜の表面における、BaTiO3による結晶粒の平均粒径をラインクロス法によって算出した。なおこの際の補正係数を1.5としている。さらに圧電膜型素子の上部電極層および下部電極層の間に30Vの直流電位差を印加して、両電極間の電気抵抗を測定して短絡があるかどうかを調べ、絶縁性が維持されているかどうかを評価とした。
前記の各評価において、圧電膜内におけるペロブスカイト相以外の異相の発生、金属基板や圧電膜におけるクラック、剥離、基板変形の発生、および上下の両電極層間での短絡発生の、いずれにおいても問題がなかった圧電膜型素子に限定して、その圧電定数d31の測定を行った。まず、圧電膜型素子の評価用基板が片持ち梁となるように、その片側の先端部分を固定して、上部電極層および下部電極層の間に適切な電圧を印加した。この構成において評価用基板の固定されていない側の先端には、印加された電位差によって変位が生じることとなる。この変位量をレーザー変位計によって測定し、測定値から圧電膜の圧電特性d31の値を算出して、これを評価した。
ここで圧電膜型素子を一般に圧電膜型アクチュエータとして用いる場合は、ユーザからの要求では、圧電定数d31の値の単位を[pm/V:pはピコ(10-12)]とした場合に100pm/V程度以上の値が得られることが望ましい。ただし金属基板上にBaTiO3を含む材料の圧電膜を構成する場合には、その膜厚が比較的薄いことから2層による積層構造とすることが可能であり、従ってユーザが必要とする圧電定数d31の値の下限は50pm/Vである。ここで圧電膜型素子として3層以上の積層構造とすることは、金属基板を含む圧電素子の構成が相当に複雑となることから適切ではない。従って圧電定数d31の値が50pm/V以上であることが、本発明の圧電膜型素子に要求される条件である。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
Alの含有量を0mol%ないし12mol%の範囲で変化させた金属基板を作製し、圧電膜を形成して、それぞれの圧電膜型素子を作製して特性を評価した。圧電膜の形成方法はAD法とし、金属基板におけるAl以外のCrの含有量、寸法形状、バリア層の作製条件および厚さ、下部電極層および上部電極層の材質、厚さおよび作製方法などは前記記載のAD法による圧電膜型素子の作製条件と同一である。ただし金属基板のFeの含有量は、Alの含有量に応じて変化する。また圧電膜については各試料とも製造時の設定膜厚を5.0μm、熱処理温度を1100℃に固定した。ここで、金属基板におけるAlの含有量が0mol%、1mol%、3mol%、5mol%、8mol%、10mol%、12mol%の場合を、それぞれ比較例1、比較例2、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例3とした。なお各実施例および比較例における圧電膜型素子の作製数は各1個である。
Alの含有量を0mol%ないし12mol%の範囲で変化させた金属基板を作製し、圧電膜を形成して、それぞれの圧電膜型素子を作製して特性を評価した。圧電膜の形成方法はAD法とし、金属基板におけるAl以外のCrの含有量、寸法形状、バリア層の作製条件および厚さ、下部電極層および上部電極層の材質、厚さおよび作製方法などは前記記載のAD法による圧電膜型素子の作製条件と同一である。ただし金属基板のFeの含有量は、Alの含有量に応じて変化する。また圧電膜については各試料とも製造時の設定膜厚を5.0μm、熱処理温度を1100℃に固定した。ここで、金属基板におけるAlの含有量が0mol%、1mol%、3mol%、5mol%、8mol%、10mol%、12mol%の場合を、それぞれ比較例1、比較例2、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例3とした。なお各実施例および比較例における圧電膜型素子の作製数は各1個である。
これらの各試料に対し、圧電膜の膜厚測定、異相の有無の観察、表面観察、平均粒径の算出、絶縁性の確認、圧電定数d31の測定の6項目の評価を行った。各試料の評価結果を表1に示す。なお圧電定数d31の測定は、他の項目が全て良好な試料にのみ行っており、不良の項目を有する試料では測定を行わずに記号「−」を付している。各試料の圧電膜の計測膜厚は、設定膜厚の5.0μmに対していずれも±10%以内の値であった。
表1の実施例1〜4、比較例1〜3によると、金属基板のAl含有量が3mol%、5mol%、8mol%、10mol%の実施例1〜4の場合には圧電膜に異相が生じることがなく、また金属基板の変形や圧電膜のクラック、金属基板からの圧電膜やバリア層の剥離もない。また下部電極層と上部電極層の間の絶縁性にも問題がなく(短絡がなく)、圧電定数d31の値も50pm/V以上である。このことから評価は「○」と判定した。一方、Al含有量が0mol%、1mol%、12mol%の比較例1〜3の場合には圧電膜の異相の有無、金属基板の異常、絶縁性のいずれかの条件が不良であり、従って評価は「×」と判定した。以上より、良好な圧電膜型素子が得られるための金属基板のAlの含有量の条件は、3mol%ないし10mol%の場合であることが分かる。なおこれらの実施例、比較例では、圧電膜の結晶粒径がいずれも0.2μm〜3μmの間にあった。また、圧電定数d31の値はいずれも50pm/V以上と良好な値となっている。
(実施例2、5〜8、比較例4〜8)
圧電膜の形成方法をAD法として、熱処理温度を800℃ないし1300℃の範囲で変化させて圧電膜を形成して、それぞれの圧電膜型素子を作製して特性を評価した。金属基板におけるAlの含有量は全て5mol%で同じであり、それ以外のCrの含有量、寸法形状、バリア層の作製条件および厚さ、下部電極層および上部電極層の材質、厚さおよび作製方法などは表1の場合の作製条件と同一である。圧電膜については各試料とも製造時の設定膜厚を5.0μmに固定した。ここで、AD法によるセラミック膜の作製後の熱処理温度が800℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃の場合を、それぞれ比較例4、比較例5、比較例6、実施例5、実施例6、実施例2、実施例7、実施例8、比較例7、比較例8とした。なお各実施例および比較例における圧電膜型素子の作製数は各1個である。
圧電膜の形成方法をAD法として、熱処理温度を800℃ないし1300℃の範囲で変化させて圧電膜を形成して、それぞれの圧電膜型素子を作製して特性を評価した。金属基板におけるAlの含有量は全て5mol%で同じであり、それ以外のCrの含有量、寸法形状、バリア層の作製条件および厚さ、下部電極層および上部電極層の材質、厚さおよび作製方法などは表1の場合の作製条件と同一である。圧電膜については各試料とも製造時の設定膜厚を5.0μmに固定した。ここで、AD法によるセラミック膜の作製後の熱処理温度が800℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃の場合を、それぞれ比較例4、比較例5、比較例6、実施例5、実施例6、実施例2、実施例7、実施例8、比較例7、比較例8とした。なお各実施例および比較例における圧電膜型素子の作製数は各1個である。
これらの各試料に対し、圧電膜の膜厚測定、異相の有無の観察、表面観察、平均粒径の算出、絶縁性の確認、圧電定数d31の測定の6項目の評価を行った。各試料の評価結果を表2に示す。ここで異相の有無や絶縁性が「−」の試料は、金属基板の変形が甚だしいために観察や計測が不可能であったことを示している。なお圧電定数d31の測定は、他の項目が全て良好な試料にのみ行っており、不良の項目を有する試料では測定を行わずに記号「−」を付している。また各試料の圧電膜の計測膜厚は、設定膜厚の5.0μmに対していずれも±10%以内の値であった。
表2の実施例2、5〜8、比較例4〜8では、熱処理温度が1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃である実施例2、5〜8の場合は圧電膜に異相が生じることがなく、また金属基板の変形や圧電膜のクラック、金属基板からの圧電膜やバリア層の剥離もなかった。さらに下部電極層と上部電極層の間の絶縁性にも問題がなく(短絡がなく)、圧電定数d31の値も50pm/V以上であった。このことから評価は「○」と判定した。一方、熱処理温度が800℃、900℃、950℃、1250℃、1300℃である比較例4〜8の場合は、圧電膜の異相の有無、金属基板の異常、絶縁性、圧電定数d31のいずれかの条件が不良であり、従って評価は「×」と判定した。以上より、圧電膜が5μm程度の厚さを有する場合には、圧電膜の結晶粒の平均粒径が0.2μmないし3.5μmの範囲内のときに良好な圧電膜型素子が得られることが分かる。
(比較例9〜18)
圧電膜の製造時の設定膜厚を3.0μmに固定したこと以外は前記実施例2、5〜8、比較例4〜8の場合と全く同じ製造条件として、圧電膜の形成方法もAD法のままで、熱処理温度を800℃ないし1300℃の範囲で変化させて圧電膜型素子を作製して、それらの特性を評価した。ここで熱処理温度が800℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃の場合をそれぞれ比較例9〜18としている。また圧電膜型素子の作製数は各1個である。
圧電膜の製造時の設定膜厚を3.0μmに固定したこと以外は前記実施例2、5〜8、比較例4〜8の場合と全く同じ製造条件として、圧電膜の形成方法もAD法のままで、熱処理温度を800℃ないし1300℃の範囲で変化させて圧電膜型素子を作製して、それらの特性を評価した。ここで熱処理温度が800℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃の場合をそれぞれ比較例9〜18としている。また圧電膜型素子の作製数は各1個である。
これらの各試料の評価結果を表3に示す。評価項目などは前記実施例2、5〜8、比較例4〜8の場合と同一である。また各試料の圧電膜の計測膜厚は、設定膜厚の3.0μmに対していずれも±10%以内の値であった。
表3の比較例9〜18では、セラミック膜の作製後の熱処理温度が1000℃およびそれ以下の場合には圧電定数d31の値がいずれも50pm/V未満であり、圧電膜型素子としては不適当なため評価は「×」と判定した。また熱処理温度が1050℃の場合は圧電定数d31の値が向上して「○」の評価であったものの、1100℃以上の場合には圧電膜に短絡が発生し、絶縁性が不良であったために評価は「×」と判定した。なおこのときは短絡発生により圧電定数d31の値も測定不能であった。また熱処理温度が1250℃、1300℃の場合には、金属基板に剥離や変形の発生といった異常が生じている。
一般に熱処理温度が高い場合は、下部電極膜の構成元素による圧電膜中への拡散などによる影響が大きくなると考えられるが、圧電膜が薄い場合はこの影響が圧電膜の内部にまで達する可能性があり、これが短絡発生の原因となると推定される。つまり圧電膜型素子の圧電膜に対して熱処理を行う場合は、その膜厚に下限が存在することとなる。なお前記実施例5〜9の結果によると、圧電膜の膜厚が5μm程度の場合には、熱処理温度が1200℃以下の場合は圧電膜型素子の絶縁性が良好であった。以上より、圧電膜の結晶粒の平均粒径が0.2μmないし3μmの範囲内の場合に良好な絶縁性を備えた圧電膜型素子を得るためには、圧電膜の膜厚が3μm程度では必ずしも十分ではないことが分かる。表2の結果も合わせると、良好な特性を得るためには5μm程度の膜厚が必要である。
(実施例2、9〜15、比較例14)
圧電膜の形成方法をAD法として、各試料の圧電膜の設定膜厚を3.0μmから15.0μmまで変化させて圧電膜を形成して、それぞれの圧電膜型素子を作製して特性を評価した。ここで圧電膜の熱処理温度は1100℃に固定した。それ以外の作製条件は、前記実施例2、5〜8、比較例4〜8の場合と同一である。圧電膜の設定膜厚は3.0μm、5.0μm、7.0μm、10.0μm、11.0μm、12.0μm、13.0μm、14.0μm、15.0μmであり、それぞれ比較例14、実施例2、実施例9、実施例10、実施例11、実施例12、実施例13、実施例14、実施例15とした。なお各実施例および比較例における圧電膜型素子の作製数は各1個である。
圧電膜の形成方法をAD法として、各試料の圧電膜の設定膜厚を3.0μmから15.0μmまで変化させて圧電膜を形成して、それぞれの圧電膜型素子を作製して特性を評価した。ここで圧電膜の熱処理温度は1100℃に固定した。それ以外の作製条件は、前記実施例2、5〜8、比較例4〜8の場合と同一である。圧電膜の設定膜厚は3.0μm、5.0μm、7.0μm、10.0μm、11.0μm、12.0μm、13.0μm、14.0μm、15.0μmであり、それぞれ比較例14、実施例2、実施例9、実施例10、実施例11、実施例12、実施例13、実施例14、実施例15とした。なお各実施例および比較例における圧電膜型素子の作製数は各1個である。
これらの各試料の評価結果を表4に示す。評価項目などは前記実施例2、5〜8、比較例4〜8の場合と同一である。また各試料の圧電膜の計測膜厚は、それぞれの設定膜厚に対していずれも±10%以内の値であった。
表4の実施例2、9〜15、比較例14では、圧電膜の設定膜厚が3.0μmである比較例14の場合にのみ絶縁性の不良のために評価が「×」と判定されたが、設定膜厚が5.0μm以上の場合は、15.0μmまでの全ての実施例で評価は「○」と判定された。これらの実施例2、9〜15は、圧電膜の結晶粒径がいずれも0.2μm〜3μmの間にある。また、圧電定数d31の値はいずれも50pm/V以上と良好な値となっている。従って前記実施例5〜9、および比較例9〜18の結果と合わせると、圧電膜の熱処理温度が1000℃ないし1200℃の場合には、圧電膜の膜厚が5μm程度以上であれば、良好な絶縁性が得られることになる。
なお実施例15での15.5μmよりも膜厚が厚い条件での評価は行っていないが、表4によれば、圧電膜の膜厚が厚くなってもそれに伴って結晶粒径が大きく変動したり、圧電定数d31の値が低下したりする傾向はとくに見られない。従って、膜厚が15.5μmを越える場合にも、圧電膜型素子の特性が急激に低下することはなく、もし圧電膜型素子を作製すれば評価は「○」の判定となると考えられる。しかし、圧電膜の膜厚を極端に厚くしたとしても、圧電膜型アクチュエータの特性において、何らかのとくに優れた効果が得られることも考えにくい。従って、圧電膜型素子の圧電膜の膜厚としては、実施例2、9〜15に示されたように、5μm〜15.5μm程度の厚さがあれば十分である。
(実施例12、16〜19、比較例19〜23)
圧電膜の膜厚が厚い場合において、良好な特性が得られる熱処理条件の温度範囲を検討するために、熱処理温度を800℃ないし1300℃の範囲で変化させて圧電膜型素子を作製して、それらの特性を評価した。圧電膜の形成方法はAD法であり、また圧電膜の製造時の設定膜厚を12.0μmに固定している。ここでセラミック膜の作製後の熱処理温度が800℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃の場合をそれぞれ比較例19、比較例20、比較例21、実施例16、実施例17、実施例12、実施例18、実施例19、比較例22、比較例23とした。なお各実施例および比較例における圧電膜型素子の作製数は各1個である。
圧電膜の膜厚が厚い場合において、良好な特性が得られる熱処理条件の温度範囲を検討するために、熱処理温度を800℃ないし1300℃の範囲で変化させて圧電膜型素子を作製して、それらの特性を評価した。圧電膜の形成方法はAD法であり、また圧電膜の製造時の設定膜厚を12.0μmに固定している。ここでセラミック膜の作製後の熱処理温度が800℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃、1250℃、1300℃の場合をそれぞれ比較例19、比較例20、比較例21、実施例16、実施例17、実施例12、実施例18、実施例19、比較例22、比較例23とした。なお各実施例および比較例における圧電膜型素子の作製数は各1個である。
これらの各試料の評価結果を表5に示す。評価項目などは前記実施例2、5〜8、比較例4〜8の場合と同一である。また各試料の圧電膜の計測膜厚は、それぞれの設定膜厚に対していずれも±10%以内の値であった。
表5の実施例12、16〜19、比較例19〜23によると、表2の場合と同様に、セラミック膜の作製後の熱処理温度が1000℃〜1200℃である実施例12、16〜19の場合には圧電膜に異相が生じることもなく、また金属基板の変形や圧電膜のクラック、金属基板からの圧電膜やバリア層の剥離もなかった。さらに下部電極層と上部電極層の間の絶縁性も良好で、圧電定数d31の値もいずれも50pm/V以上であり、従って評価は「○」と判定した。一方、熱処理温度が800℃〜950℃、1250℃、1300℃の比較例19〜23の場合は、圧電膜の異相の有無、金属基板の異常、絶縁性、圧電定数d31のいずれかの条件が不良であり、評価は「×」と判定した。以上の結果は表2に記載した圧電膜の設定膜厚が5.0μmの場合と同様である。このことから圧電膜の膜厚が5μm程度以上の厚さであれば、その膜厚に関わりなく、圧電膜の結晶粒の平均粒径が0.2μmないし3.5μmの範囲内のときに良好な圧電膜型素子が得られることが分かる。
以上より、本発明に係る圧電膜型素子は、その圧電膜がBaTiO3の組成を有するものであって、圧電膜の結晶粒の平均粒径が0.2μmないし3.5μmの範囲内となるように、1000℃ないし1200℃の範囲の温度による熱処理を行うとともに、圧電膜の厚さを5μm以上としたものである。これにより圧電定数d31を含む各種特性において、実用上十分な特性を備えた圧電膜型素子を得ることができる。また、上記説明は、本発明の実施の形態に係る場合の効果について説明するためのものであって、これによって特許請求の範囲に記載の発明を限定し、あるいは請求の範囲を減縮するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
11 金属基板
12 バリア層
13 下部電極層
14 圧電膜
15 上部電極層
12 バリア層
13 下部電極層
14 圧電膜
15 上部電極層
Claims (7)
- 金属基板上にバリア層が形成され、前記バリア層の面上に、下部電極層、圧電膜、上部電極層をそれぞれ有する積層構造体が形成されてなる圧電膜型素子であって、
前記圧電膜が少なくともBaTiO3の組成を有するものであって、前記圧電膜が結晶構造を有する粒状構造を備え、前記粒状構造における、ラインクロス法による計測値に補正係数1.5を乗じた値を結晶粒径としたときの前記結晶粒径が、0.2μmないし3μmであることを特徴とする圧電膜型素子。 - 前記金属基板がFeおよびCrを含むものであり、かつ前記バリア層がAl2O3を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の圧電膜型素子。
- 前記金属基板が3モル%ないし10モル%のAlを含むものであることを特徴とする請求項2に記載の圧電膜型素子。
- 前記圧電膜がエアロゾルデポジション法により形成されてなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の圧電膜型素子。
- 前記圧電膜が1000℃ないし1200℃にて熱処理されてなるものであることを特徴とする請求項4に記載の圧電膜型素子。
- 前記圧電膜が、厚さが5μm以上の領域を少なくとも有するものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の圧電膜型素子。
- アクチュエータとして用いられることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の圧電膜型素子。
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