JP2007273799A - 積層構造体及びその製造方法 - Google Patents

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祥広 川上
Shuji Aizawa
周二 相澤
Yukio Nishinomiya
幸雄 西宮
Jun Aketo
純 明渡
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Abstract

【課題】 基板材料としてSi、セラミックスの他、ステンレスや銅、鉄、ニッケルなどの安価な金属材料の使用が可能で、かつ、圧電特性が優れたPZT等の鉛を含む圧電セラミック厚膜を有する、積層圧電セラミック構造体とその製造方法を提供する。
【解決手段】 積層圧電セラミック構造体100は、基板5と、鉛を含む圧電セラミック厚膜1との間に、銅または白金族金属からなる電極層2を中間層として積層した積層圧電セラミック構造体で、前記鉛を含む圧電セラミック厚膜1は、MnO、Mn、Mn、BaO、CaO、SrOのうち、少なくとも一種を含有する耐還元性を有している。積層圧電セラミック構造体100を製造するには、前記圧電セラミック厚膜1をエアロゾルデポジション法により形成し、前記積層圧電セラミック構造体100を不活性雰囲気中、または、還元性雰囲気中で熱処理を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電セラミックスの厚膜形成技術に関し、特に圧電アクチュエータとして用いるのに好適な積層圧電セラミック構造体及びその製造方法に関する。
ジルコン酸チタン酸鉛(以下、PZTと略記する)は、優れた圧電特性を有するため、従来からアクチュエータ、センサー、フィルターなどに広く利用されている。また、圧電特性等を調整するために、Pb(Ni1/3Nb2/3)O、Pb(Sb1/2Nb1/2)O、Pb(Zn1/3Nb2/3)O、Pb(Mg1/3Nb2/3)Oなどの複合ペロブスカイト化合物をPZTに固溶させた材料も良く知られている。これらのPZTを代表とする、鉛を含有する圧電セラミックスは、現在の電子部品を構成する主要な材料の一つとなっている。
近年、シリコンを初めとする金属、ガラス、あるいはセラミックスの基板を、エッチング法等により微細加工するとともに、PZTの圧電特性を複合してマイクロセンサーやマイクロアクチュエータ等のデバイス(Micro Electro Mechanical Systems 以下、MEMSと略記する)を開発する試みが活発に行われている。
PZTをMEMSに応用するためには、金属やセラミックスの基板にPZT膜を成膜する技術が必要になるが、現在、PZT膜の成膜方法としては、スパッタリング法、ゾルゲル法、MOCVD法などが実用化されている。
これらの方法でPZT膜を形成する場合には、基板を600℃以上まで加熱する必要があり、高温での基板材料とPZT膜の鉛成分の反応を抑制するために、Pt/Ti/SiO、Pt/Al、Pt/ZrOなどの複合層を基板とPZT膜の間に中間層として形成するのが一般的である。
一般に、PZT膜をアクチュエークに応用する場合には、アクチュエータの発生力や変位量を大きくするために、PZT膜の厚さは10μm以上が要求される場合が多く、前述のスパッタリング法、ゾルゲル法、MOCVD法では、成膜速度が遅いために数μm程度の膜厚さが実用上の限界であり、数μm程度の膜厚さの物は、主にセンサーやフィルタ用振動子として使用され、アクチュエータデバイスヘの応用は限られている。
常温で緻密な膜を形成し、かつ、膜と基板を強固に接合する技術としてエアロゾルデポジション法(以下、AD法と略記する)がある。
特許文献1及び特許文献2には、AD法によれば粒子径や噴射速度を制御することで、基板と膜の界面にアンカーを形成させ、常温で強固な接合強度を持つ膜が得られることが記載されている。
また、非特許文献1には、AD法によれば10μm以上のPZT厚膜を、高速かつ常温で形成することが可能であり、Pt/Ti/SiO/Si基板はもちろん、安価なステンレス基板上にも10μm以上の厚膜が成膜可能なことが示されている。
上述したAD法による膜形成は、亜音速まで加速された超微粒子あるいは微粒子が基板に衝突することで、原料粒子が破砕され固着するという原理に基づいている。そのため、成膜時に発生する内部応力や各種損傷が原因で、成膜後のPZT厚膜の圧電特性は、通常の焼結法による圧電セラミックスに比べて非常に劣るという問題がある。
この問題点を解決するためには、AD法によりPZT厚膜を成膜した後に熱処理を加えることが有効であり、前記非特許文献1には、Pt/Al基板に厚さ30μmのPZT厚膜を形成後、空気中で500℃以上の熱処理を加えることで、圧電特性は著しく向上し、850℃の熱処理で焼結セラミックスと同等の圧電特性が得られることが報告されている。
しかしながら、以上のような熱処理を行うと基板上のセラミック層と電極層での界面で熱応力などにより、剥離が発生しやすいという問題があった。
一方、金属とセラミックスを接合させる技術としては、セラミックス上に貴金属を成膜し、大気中、高度で熱処理を行い接合させる貴金属法、接合温度で界面に液相を形成させる共晶接合などがあるが、一般に1000℃以上の高温での熱処理が必要となるため基板がセラミックスなどに限られるという問題がある。
特開2002−235181号公報 特開2000−328223号公報 明渡、外1名、「マイクロアクチュエータ用PZT厚膜の形成」、ULVAC TECHNICAL JOURNAL 株式会社アルバック 2002年9月 No.57,p.p.6−10
そこで、本発明の技術的課題は、基板材料として、Siあるいはセラミックスはもちろん、ステンレスや銅、鉄、ニッケルなどの安価な金属材料の使用が可能で、かつ圧電特性が優れたPZTを代表とする鉛を含む圧電セラミック厚膜を有する、積層圧電セラミック構造体とその製造方法を提供することにある。
本発明によれば、基板上のセラミック層と、その上に形成された電極層の間にセラミックスと金属によるコンポジット層を配置する構成によって、熱処理による熱応力等で電極とセラミック層の界面での剥離することを防止することが可能な積層構造体を得ることができる。
また、本発明によれば、上記コンポジット層を構成する金属材料がCu,Cu系合金、白金族のいずれか構成され、セラミック材料が耐還元性を有することを特徴とする積層構造体を得ることができる。
また、本発明によれば、前記セラミック材料は、Pb、Ba、Ca、Sr、Mn、Al、及びZrのうち、少なくとも一種を含有することを特徴とする積層構造体が得られる。
また、本発明によれば、基板上にコンポジット層をエアロゾルデポジション法により形成し、不活性雰囲気または還元性雰囲気中で熱処理を施す工程を有することを特徴とする製造方法が得られる。
本発明に係る積層構造体は、基板材質に限定されないで、特にステンレスや銅、あるいは鉄やニッケルといった安価な材質に対しても圧電特性が優れた複合ペロブスカイト化合物をPZTに回路したような鉛を含む圧電セラミックスの厚膜を得ることができる。
また、本発明の積層構造体では、卑金属である銅系の材料を電極材とすることができるため、製造コストを低減することができる。
また、本発明の積層構造体では、例えば、原料となる複合ペロブスカイト化合物をPZTに回路したような鉛を含む圧電セラミック粉末の製造、AD法による厚膜形成、ならびに、雰囲気中での熱処理という簡便な方法で製造されるため、工業的なメリットは大きく、圧電アクチュエータ特性の優れる積層圧電セラミック構造体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態による積層圧電セラミック構造体の説明に供せられる断面概念図である。図1において、圧電セラミック構造体100は、モノモルフ型のアクチュエータを構成するもので、PZT等の鉛を含む圧電セラミック厚膜1と、銅または白金族金属を材質とする電極層2と、電極材とセラミック材からなるコンポジット層3と、セラミック層4と、基板5とを積層した構造を備えている。基板5の材質はSiやステンレスなどの金属材料でも、AlやZrOなどのセラミックスのいずれも使用できる。また、図1では、PZT等の鉛を含む圧電セラミック厚膜1に電圧を印加するための表面電極6を備えている。この表面電極6は、例えば、Pt、Auなどの導電材料をスパッタリングなどにより形成する。具体的には、まず、NあるいはArなどの不活性雰囲気、または、微量のHを含むNなどの還元性雰囲気において、1000℃程度まで加熱しても還元されない組成のPZT等の鉛を含む圧電セラミック粉末を、圧電セラミック厚膜1の原料として準備する。
具体的製造方法を以下詳細に説明する。
一般に、PZT粉末の製造は、所定量のPbO、ZrO、TiO原料酸化物粉末を、湿式ボールミルなどで混合し、この混合粉末を800〜900℃程度で予焼し、次に、この予焼粉末を湿式ボールミルなどで再粉砕する、という工程で製造される。また、Pb(Ni1/3Nb2/3)O、Pb(Sb1/2Nb1/2)O、Pb(Zn1/3Nb2/3)OあるいはPb(Mg1/3Nb2/3)Oなどの複合ペロブスカイト化合物をPZTに固溶したような圧電セラミック粉末の場合は、原料粉末として、上記以外にさらにNiO、Nb、Sb、ZnO、MgO等を目的の組成に応じて混合することで上記と同工程で製造できる。この粉末製造時に、原料酸化物粉末に、さらにMnOまたはMnまたはMnを0.01〜2モル%程度加えることで、PZT等の鉛を含む圧電セラミック粉末に耐還元性を付加できる。また、BaO、CaO、SrOのアルカリ土類金属酸化物を0.1〜3モル%程度加えることでも、耐還元性を有するPZT等の鉛を含む圧電セラミック粉末を得ることができる。前記MnO、Mn、Mnと前記アルカリ土類金属酸化物の選択と、添加量については、所望のPZT等の鉛を含む圧電セラミックの圧電特性により決定する。
また、Siやステンレスなどの金属の基板35、拡散防止層としてAl、ZrOなどのセラミック層4を形成する。セラミック層4を形成する方法としてはスパッタ法、AD法などの方法を用いることができる。セラミック層4の上に同材質のセラミック材料と銅または白金族金属を材質とする金属材料からなるコンポジット層3をAD法により形成する。さらにその上にコンポジット層3で使用した金属材料を用いて電極層2を形成する。形成する方法としては、メッキ、スパッタリングあるいは、銅または白金族金属ペーストをスクリーン印刷し、その後に焼き付けるなどの方法を用いることができる。
次に、上記基板材の上に、前記耐還元性を有するPZT等の鉛を含む圧電セラミック粉末を用いて、AD法により成膜して、圧電セラミック厚膜1を得る。その後、NあるいはArなどの不活性雰囲気、または、微量のHを含むNなどの還元性雰囲気において、600℃から900℃程度の温度で熱処理を加える。この熱処理における雰囲気がNあるいはArなどの不活性雰囲気、または、微量のHを含むNなどの還元性雰囲気であることがら、ステンレスなどの金属基板は酸化することがない。また、PZT等の鉛を含む圧電セラミックスがMnO、Mn、Mn、BaO、CaO、SrOのうち、少なくとも1種を含有していることがら、不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気においても、PZT等の鉛を含む圧電セラミックスが還元されることがない。
さらに、銅及び白金族金属は、PZT等の鉛を合む圧電セラミックスに対して安定であるため、PZT等の鉛を含む圧電セラミックスの鉛と銅あるいは白金族金属とが反応することはない。また、銅または白金族金属を材質とする電極層2を形成していることで、PZT等の鉛を含む圧電セラミックスの鉛と金属基板とが反応することもない。銅あるいは白金族金属以外の材料、例えば、NiやFeなどを中間層とすると、中間層とPZT等の鉛を含む圧電セラミックスが反応して圧電セラミックスの圧電特性が損なわれてしまう。
また、電極層2とセラミック層4の間にコンポジット層3を形成することで電極層2とセラミック層4間の熱応力が緩和され剥離することがない。
以上のような方法により製造される積層圧電セラミック構造体100は、基板材料として金属あるいはセラミックスのどちらも使用可能で、PZT等の鉛を含む圧電セラミックスの厚さを10μm以上の厚膜とすることができ、焼結セラミックスに匹敵する圧電特性を有する。
図2は本発明の第2の実施の形態による積層圧電セラミック構造体の説明に供せられる断面概念図である。
図1の積層圧電セラミック構造体100では、圧電セラミック厚膜1を基板10の一面に形成して、モノモルフ型の圧電アクチュエーターを構成するものについて説明したが、図2示す第2の実施の形態による積層圧電セラミック構造体110においては、銅を材質とする基板5の両面に、セラミック層4,コンポシット層3、及び電極層2を形成し、図1のところで説明したものと同様にAD法を用いてPZT等の鉛を含む圧電セラミック厚膜1,1を形成し、その後、NあるいはArなどの不活性雰囲気、または、微量のHを含むNなどの還元性雰囲気において、600℃から900℃程度の温度で熱処理を加える。次いで、スパッタリング、焼付けなどにより表面電極6を形成することでバイモルフ型アクチュエータも製造することができる。
さらに、この応用として、AD法では金属粉末を原料とすることで金属膜を形成することも可能であり、PZT等の鉛を含む圧電セラミック膜と銅を材質とする膜を複数積層することで、いわゆる積層型アクチュエータも製造可能である。
次に、本発明の具体例について説明する。
(例1)
PbO、ZrO、TiO粉末を出発原料として、ZrとTiの比率が53:47になるように秤量し、また、反応後の化学組成Pb(Zr0.53Ti0.47)Oに対して、0.1モル%のMnOを加え、湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間混合した。混合物を濾過、乾燥し、850℃・2時間の条件で予焼した。この予焼粉末を湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間、再粉砕し、濾過、乾燥することで、耐還元性を有するPZT粉末を作製した。
次に、ステンレス(SUS304)を材質とする基板5に、AD法を用いてセラミック層4としてAl層を1μm形成し、さらにAl粉末とCu粉末を1:1で混合した粉末を用いて同じようにAD法でコンポジット層3を1μm形成した。その上にAD法を用いて厚さ約1μmの銅の電極層2を作製した。この基板に、前述の耐還元性を有するPZT粉末を用いて、AD法により厚さ約30μmのPZT厚膜1を形成し、この積層構造体を、0.001%のH2を含むN2中で800℃・1時間熱処理し、本発明の積層圧電セラミック構造体100を得た。
(例2)
PbO、ZrO、TiO粉末を出発原料として、ZrとTiの比率が53:47になるように秤量し、また、反応後の化学組成Pb(Zr0.53Ti0.47)Oに対して3モル%のBaOを加え、湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間混合した。混合粉末を濾過、乾燥後、900℃・2時間の条件で予焼した。この予焼粉末を湿式ボールミル中で純水を媒体として再粉砕し、濾過、乾燥することで、耐還元性を有するPZT粉末を作製した。
次に、Si単結晶基板5に、セラミック層4としてAD法を用いてAl層を1μm形成し、さらにAl粉末とCu粉末を1:1で混合した粉末を用いて同じようにAD法でコンポジット層3を1μm形成した。その上にAD法を用いて厚さ約1μmの銅の電極層2を作製した。この基板上に、前述の耐還元性を有するPZT粉末を用いて、AD法により厚さ約30μmのPZT厚膜1を形成し、この積層構造体を、0.001%のHを含むN中で800℃・1時間熱処理し、本発明の積層圧電セラミック構造体100を得た。
(例3)
PbO、ZrO2、TiO粉末を出発原料として、ZrとTiの比率が53:47になるように秤量し、また、反応後の化学組成Pb(Zr0.53Ti0.47)Oに対して1モル%のSrOを加え、湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間混合した。混合粉末を濾過、乾燥後、850℃・2時間の条件で予焼した。この予焼粉末を湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間、再粉砕し、濾過、乾燥することで、耐還元性を有するPZT粉末を作製した。
次に、ステンレス(SUS304)を材質とする基板5に、セラミック層4としてAD法を用いてAl層を1μm形成し、さらにAl粉末とPt粉末を1:1で混合した粉末を用いて同じようにAD法でコンポジット層3を1μm形成した。スパッタリングで厚さ約1μmのPtの中間層を作製した。この基板に、前述の耐還元性を有するPZT粉末を用いて、AD法により厚さ約30μmのPZT厚膜1を形成し、この積層構造体を、0.001%のHを含むN中で800℃・1時間熱処理し、本発明の積層圧電セラミック構造体を得た。
(例4)
PbO,ZrO,TiO,NiO,Nb粉末を出発原料として、反応後の化学組成が50%Pb(Ni1/3Nb2/3)O−15%PbZrO−35%PbTiOとなるように秤量し、さらに、0.1モル%のMnOを加え、湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間混合した。混合物を濾過、乾燥し、850℃で2時間予焼した。この予焼粉末を湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間再粉砕し、濾過、乾燥することで、耐還元性を有する圧電セラミック粉末を作製した。
次に、ステンレス(SUS304)を材質とする基板5に、セラミック層4としてAD法を用いてAl層を1μm形成し、さらにAl粉末とCu粉末を1:1で混合した粉末を用いて同じようにAD法でコンポジット層3を1μm形成した。その上にAD法を用いて厚さ約1μmの銅の電極層2を作製した。この基板に、前述の耐還元性を有する圧電セラミック粉末を用いて、AD法により厚さ約30μmの圧電セラミック厚膜1を形成し、この積層構造体を、0.001%のHを含むN中で800℃・1時間熱処理し、本発明の積層圧電セラミック構造体100を得た。
(例5)
PbO,ZrO,TiO,NiO,Nb粉末を出発原料として、反応後の化学組成が50%Pb(Ni1/3Nb2/3)O−15%PbZrO−35%PbTiOとなるように秤量し、さらに、0.1モル%のMnOを加え、湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間混合した。混合物を濾過、乾燥し、850℃で2時間予焼した。この予焼粉末を湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間再粉砕し、濾過、乾燥することで、耐還元性を有する圧電セラミック粉末を作製した。
次に、上記耐還元性を有する圧電セラミック基板4に、圧電セラミック粉末とCu粉末を1:1で混合した粉末を用いて同じようにAD法でコンポジット層3を1μm形成した。その上にAD法を用いて厚さ約1μmの銅の電極層2を作製した。この基板に、前述の耐還元性を有する圧電セラミック粉末を用いて、AD法により厚さ約30μmの圧電セラミック厚膜1を形成し、この積層構造体を、0.001%のHを含むN中で800℃・1時間熱処理し、本発明の積層圧電セラミック構造体を得た。
(比較例1)
前述の例と比較するため、以下の方法で積層圧電セラミック構造体を製造した。まずPbO、ZrO、TiO粉末を出発原料として、ZrとTiの比率が53:47になるように秤量し、また、反応後の化学組成Pb(Zr0.53Ti0.47)Oに対して3モル%のBaOを加え、湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間混合した。混合粉末を濾過、乾燥後、900℃・2時間の条件で予焼した。この予焼粉末を湿式ボールミル中で純水を媒体として再粉砕し、濾過、乾燥することで、耐還元性を有するPZT粉末を作製した。
次に、厚さ50μmのステンレス(SUS304)基板5に、セラミック層4としてAD法を用いてAl層を1μm形成し、スパッタリングで厚さ約0.5μmの銅の中間層を作製した。この基板に、前記耐還元性を有するPZT粉末を用いて、AD法により厚さ約30μmのPZT厚膜を形成し、この積層構造体を、0.001%のHを含むN2中で800℃・1時間熱処理し、積層圧電セラミック構造体を得た。
(比較例2)
例1の場合と同じ、耐還元性を有するPZT粉末を用い、厚さ50μmのステンレス基板5にセラミック層4としてAD法を用いてAl層を1μm形成し、スパッタ法を用いて厚さ約0.3μmのPtの電極層2を作製した。この基板上にAD法により厚さ約30μmのPZT厚膜を形成し、この積層構造体を、0.001%のHを含むN中で800℃・1時間然処理し、積層圧電セラミック構造体を得た。
(比較例3)
前述の例と比較するため、以下の方法で積層圧電セラミック構造体を製造した。まずPbO、ZrO、TiO粉末を出発原料として、ZrとTiの比率が53:47になるように秤量し、また、反応後の化学組成Pb(Zr0.53Ti0.47)Oに対して3モル%のBaOを加え、湿式ボールミル中で純水を媒体として30時間混合した。混合粉末を濾過、乾燥後、900℃・2時間の条件で予焼した。この予焼粉末を湿式ボールミル中で純水を媒体として再粉砕し、濾過、乾燥することで、耐還元性を有するPZT粉末を作製した。
次に耐還元性を有する厚さ200μm圧電セラミック基板4に、スパッタリングで厚さ約0.5μmの銅の中間層を作製した。この基板に、前記耐還元性を有していないPZT粉末を用いて、AD法により厚さ約30μmのPZT厚膜1を形成し、この積層構造体を作製した。
本発明の例1、例2、例3、例4、例5及び、比較例1、比較例2、及び比較例3に示したように作製した積層構造体を0.001%のHを含むN中で800℃・1時間熱処理し、膜の剥離伏況を確認した。その結果を下記表1に示す。
Figure 2007273799
上記表1から分かるように、本発明の例の積層圧電セラミック構造体では、剥離は発生しておらず、比較例はいずれも剥離していないことがら本発明の効果が得られることが確認された。
本発明の例では、基板5材料としてステンレスを用いたが、Siはもちろん、Fe、Niなどの他の安価な金属材料や、AlやZrOなどのセラミック材料を用いても、本発明の効果が得られる。また、本発明の例においては、熱処理温度を800℃としたが、銅の融点より低い、約1000℃まで熱処理温度を上昇させることが可能であり、熱処理温度の上昇とともに、焼結した圧電セラミックスの特性と、ほぼ等しいPZT等の鉛を含む圧電セラミック厚膜の圧電特性が得られる。
以上、説明したように、PZTに代表される鉛を含む圧電セラミック厚膜を形成する方法においては、PZT等の厚膜の圧電特性を向上させるために高温での熱処理が必要になるため、基材と圧電膜の間に拡散防止層としてAl、ZrO、TiO、Taなどのセラミック層を形成し、その上に電極層を形成する必要があった。従来の方法では、セラミック層と電極層を強固に接合するために高温での熱処理が必要になるため、使用できる基板材質はセラミックスあるいはSi基板などに限定されていたが、本発明では、基板材質を限定することなく、特にステンレスや銅、あるいは鉄やニッケルといった安価な材質に対しても圧電特性が優れたPZTや、Pb(Ni1/3Nb2/3)O、Pb(Sb1/2Nb1/2)O、Pb(Zn1/3Nb2/3)OあるいはPb(Mg1/3Nb2/3)Oなどの複合ペロブスカイト化合物をPZTに回路したような鉛を含む圧電セラミックスの厚膜を得ることができる。
また、本発明では、卑金属である銅系の材料を電極層2のための電極材とすることができるため、製造コストの低減という効果を奏する。
さらに、本発明の積層圧電セラミック構造体は、原料となるPZTや、Pb(Ni1/3Nb2/3)O、Pb(Sb1/2Nb1/2)O、Pb(Zn1/3Nb2/3)OあるいはPb(Mg1/3Nb2/3)Oなどの複合ペロブスカイト化合物をPZTに回路したような鉛を含む圧電セラミック粉末の製造、AD法による厚膜形成、ならびに、雰囲気中での熱処理という簡便な方法で製造されるため、工業的なメリットは大きく、圧電アクチュエータ特性の優れる積層圧電セラミック構造体が容易に得られるので、インクジェットプリンタヘッドや原子間力顕微鏡のマイクロプローブなどを始めとする、モノモルフ型マイクロアクチュエータ、バイモルフ型マイクロアクチュエータ等へ応用することができる。
以上の説明の通り、本発明に係る積層構造体は、圧電アクチュエータ特性が優れているので、インクジェットプリンタヘッドや原子間力顕微鏡のマイクロプローブなどを始めとする、モノモルフ型マイクロアクチュエータ、バイモルフ型マイクロアクチュエータ等の圧電アクチュエータに適用される。
本発明の第1の実施の形態による積層圧電セラミック構造体を説明するための断面の概念図である。 本発明の第2の実施の形態による積層圧電セラミック構造体を説明するための断面の概念図である。
符号の説明
1 圧電膜
2 電極層
3 コンポジット層
4 セラミック層
5 基板
6 上部電極
100,110 圧電セラミック構造体

Claims (6)

  1. 基板上に形成されたセラミック層と、その上方に形成された電極層との間にセラミックス及び金属を含むコンポジット層が配置されていることを特徴とする積層構造体。
  2. 請求項1に記載の積層構造体において、前記コンポジット層を構成する金属材料がCu、Cu系合金、白金族の内のいずれかを含むことを特徴とする積層構造体。
  3. 請求項2記載の積層構造体において、前記コンポジット層を構成するセラミック材料が耐還元性を有することを特徴とする積層構造体。
  4. 請求項1に記載の積層構造体において、前記コンポジット層を構成する金属材料がCu、Cu系合金、白金族の内のいずれかを含み、セラミック材料は構成成分にPb、Ba、Mn、Ca、Sr、A1、及びZrの内の少なくとも一種を含有することを特徴とする積層構造体。
  5. 請求項1に記載の積層構造体において、前記コンポジット層は、エアロゾルデポジション法によって形成されていることを特徴する積層構造体。
  6. 請求項1から5の内のいずれか一つに記載の積層構造体を不活性雰囲気または還元性雰囲気中で熱処理を施す工程を有することを特徴とする積層構造体の製造方法。
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