JP5855509B2 - 圧電/電歪膜型素子及び圧電/電歪膜型素子を製造する方法 - Google Patents

圧電/電歪膜型素子及び圧電/電歪膜型素子を製造する方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧電/電歪膜型素子及び圧電/電歪膜型素子を製造する方法に関する。
特許文献1は、チタン酸ジルコン酸鉛からなる相及び白金からなる相を含む圧電/電歪セラミックスを開示する。白金からなる相は、粒界を強化する機能を有するので、粒界に存在すると思われる。特許文献1の圧電/電歪セラミックスによれば、耐久性が向上する。
非特許文献1は、チタン酸ジルコン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛からなる相並びに白金からなる相を含む圧電/電歪セラミックスを開示する。白金からなる相は、電子顕微鏡写真を見る限り、粒界に存在する。非特許文献1の圧電/電歪セラミックスによれば、電界誘起歪が大きくなる。白金からなる相がチタン酸ジルコン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛からなる相と反応した場合は、電界誘起歪が低下するとされている。
特開2000−211968号公報
谷孝夫、白金粒子分散PZTセラミックス、豊田中央研究所 R&Dレビュー、1998年6月、第33巻、第2号、p.77
非特許文献1が開示するように、白金からなる相は電界誘起歪の向上に寄与する。しかし、非特許文献1の発明においては、十分な電界誘起歪の向上効果を得るためには、多量の白金を圧電/電歪セラミックスに含有させなければならない。
白金は高価であり、多量の白金を圧電/電歪セラミックスに含有させることは、圧電/電歪セラミックスのコストを増加させる。このため、インクジェットプリンタのヘッド等を構成する圧電/電歪膜型素子に非特許文献1の圧電/電歪セラミックスが用いられた場合は、圧電/電歪膜型素子のコストが増加する。
本発明は、この問題を解決するためになされる。本発明の目的は、コストを増加させずに電界誘起歪が向上した圧電/電歪膜型素子を提供することである。
本発明は、圧電/電歪膜型素子に向けられる。
圧電/電歪膜型素子は、基体、第1の電極膜、圧電/電歪体膜及び第2の電極膜を備える。圧電/電歪体膜の第1の主面に第1の電極膜が形成される。圧電/電歪体膜の第2の主面に第2の電極膜が形成される。基体及び第1の電極膜は、固着される。第1の電極膜及び圧電/電歪体膜は、固着される。圧電/電歪体膜は、鉛系圧電/電歪セラミックスからなる。鉛系圧電/電歪セラミックスは、白金及び鉛を含む化合物が粒内に偏析した微構造を有する。
本発明は、圧電/電歪膜型素子を製造する方法にも向けられる。
基体が準備される。第1の電極膜が基体の表面に形成される。第1の電極膜は、白金又は白金を主成分とする合金からなる。圧電/電歪セラミックスの原料粉末の膜状成形体が第1の電極膜に重ねて形成される。原料粉末は、チタン酸ジルコン酸鉛及びビスマス化合物を含む仮焼粉末、鉛の酸化物又は鉛の酸化物の前駆体の粉末並びにビスマスの酸化物又はビスマスの酸化物の前駆体の粉末の混合物である。基体、第1の電極膜及び膜状成形体が共焼成される。膜状成形体が膜状焼結体に変化する。第1の電極膜から膜状焼結体へ白金が拡散し、白金及び鉛を含む化合物が粒内に偏析した微構造が膜状焼結体に形成される。膜状焼結体により圧電/電歪体膜が形成される。圧電/電歪体膜に重ねて第2の電極膜が形成される。
本発明によれば、コストを増加させずに電界誘起歪が向上した圧電/電歪膜型素子が得られる。
これらの及びこれら以外の本発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の本発明の詳細な説明によってより明白となる。
圧電/電歪膜型素子の断面図である。 圧電/電歪膜型素子を製造する手順を示す断面図である。 圧電/電歪膜型素子を製造する手順を示す断面図である。 圧電/電歪膜型素子を製造する手順を示す断面図である。 圧電/電歪膜型素子を製造する手順を示す断面図である。 圧電/電歪膜型素子を製造する手順を示す断面図である。 電子顕微鏡写真像である。
この実施形態は、圧電/電歪膜型素子、圧電/電歪膜型素子を製造する方法等に関する。
(圧電/電歪膜型素子の概略)
図1の模式図は、圧電/電歪膜型素子の断面図である。
図1に示すように、圧電/電歪膜型素子1000は、基板1020及び振動体1022を備える。振動体1022は基板1020に固着される。基板1020は、流路形成板1040、キャビティ形成板1042及び振動板1044を備える。振動板1044は、屈曲振動部1060及び接合部1062を備える。振動体1022は、下部電極膜1080、圧電/電歪体膜1082及び上部電極膜1084を備える。これらの構成物以外の構成物が圧電/電歪膜型素子1000に付加されてもよい。圧電/電歪膜型素子1000は、インクジェットプリンタのヘッドを構成する。
下部電極膜1080及び上部電極膜1084の間に電圧が印加された場合は、圧電/電歪体膜1082に電界が印加される。圧電/電歪体膜1082に電界が印加された場合は、圧電/電歪体膜1082が伸縮し、圧電/電歪体膜1082及び屈曲振動部1060が一体的に屈曲する。屈曲振動部1060が屈曲した場合は、キャビティ1100に充填されたインクが押圧され、インクが流路1102を経由して吐出される。
(基板の構造)
基板1020においては、流路形成板1040、キャビティ形成板1042及び振動板1044が記載された順序で下側から上側へ積層される。流路形成板1040、キャビティ形成板1042及び振動板1044は、焼成により一体化され、明確な界面を有さない場合もある。
流路形成板1040には、流路1102が形成される。キャビティ形成板1042には、キャビティ1100が形成される。キャビティ1100は、流路形成板1040及び振動板1044により基板1020の外部から隔てられ、基板1020の内部に形成された中空空間になる。キャビティ1100は、インクが充填されるインク室として機能する。流路1102の一端1120は、基板1020の下面1140に露出する。流路1102の他端1122は、キャビティ1100に接続される。基板1020の上面1142は、被覆領域1160を有する。被覆領域1160は、屈曲振動部1060の上面にある。基板1020が「板」とは呼びがたい形状を有する形状物に置き換えられてもよい。より一般的には、振動体1022は基体に固着される。
(振動板の板厚)
振動板1044の板厚は、望ましくは1μm以上である。振動板1044の板厚がこの範囲を下回る場合は、振動板1044が損傷しやすい。振動板1044の板厚は、望ましくは30μm以下であり、さらに望ましくは15μm以下である。振動板1044の板厚がこれらの範囲を上回る場合は、振動板1044の屈曲変位量が小さくなりやすい。
(基板の材質)
基板1020は、絶縁セラミックスからなる。
絶縁セラミックスは、望ましくはジルコニア、アルミナ、マグネシア、ムライト、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素からなる群より選択される1種類以上を含む。これらを含む絶縁セラミックスは、化学的に安定であり、絶縁性が良好である。絶縁セラミックスがこれらを含まないことも許容される。
絶縁セラミックスは、さらに望ましくは安定化剤が添加されたジルコニアからなる。安定化剤が添加されたジルコニアは、機械的強度が高く、靭性が高い。ジルコニアにおいては、安定化剤の添加により結晶の相転移が抑制される。安定化剤が添加されたジルコニアには、安定化ジルコニア及び部分安定化ジルコニアがある。
(振動体の構造)
振動体1022においては、下部電極膜1080、圧電/電歪体膜1082及び上部電極膜1084が記載された順序で下側から上側へ積層される。
下部電極膜1080は、圧電/電歪体膜1082の下面1180に形成される。上部電極膜1084は、圧電/電歪体膜1082の上面1182に形成される。これにより、下部電極膜1080及び上部電極膜1084の間に電圧が印加された場合に、圧電/電歪体膜1082に電界が印加される。
(構成物の固着)
基板1020及び下部電極膜1080は、固着される。下部電極膜1080及び圧電/電歪体膜1082は、固着される。固着とは、一の構成物及び他の構成物が熱処理時の相互拡散反応により強固に接合されることを意味する。一の構成物及び他の構成物が固着される場合は、無機接着剤、有機接着剤等の接合媒体は用いられない。基板1020及び下部電極膜1080の固着並びに下部電極膜1080及び圧電/電歪体膜1082の固着は、基板1020、下部電極膜1080及び圧電/電歪体膜1082が共焼成されることに起因する。
(下部電極膜及び上部電極膜の材質)
下部電極膜1080及び上部電極膜1084は、導電体からなる。導電体は、望ましくは白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)等の金属又はこれらを主成分とする合金である。これらは、耐熱性が高く、電気抵抗が小さい。導電体は、さらに望ましくは白金又は白金を主成分とする合金である。これらは、耐熱性が特に高い。下部電極膜1080は、基板1020及び圧電/電歪体膜1082とともに共焼成され、圧電/電歪体膜1082への白金の拡散源ともなる。このため、下部電極膜1080の材質は、白金又は白金を主成分とする合金であることが特に期待される。
(下部電極膜及び上部電極膜の膜厚)
下部電極膜1080及び上部電極膜1084の膜厚は、望ましくは1μm以下である。下部電極膜1080及び上部電極膜1084の膜厚がこの範囲を上回る場合は、屈曲変位量が小さくなりやすい。下部電極膜1080及び上部電極膜1084の膜厚は、望ましくは0.1μm以上である。下部電極膜1080及び上部電極膜1084の膜厚がこの範囲を下回る場合は、下部電極膜1080及び上部電極膜1084の電気抵抗が上昇しやすい。
(圧電/電歪体膜の膜厚)
圧電/電歪体膜1082の膜厚は、望ましくは5μm以下である。圧電/電歪体膜1082の膜厚がこの範囲を上回る場合は、焼成収縮により屈曲振動部1060に加わる応力が大きくなりやすい。圧電/電歪体膜1082の膜厚は、望ましくは1μm以上である。圧電/電歪体膜1082の膜厚がこの範囲を下回る場合は、圧電/電歪体膜1082が緻密化しにくい。
(圧電/電歪体膜の材質)
圧電/電歪体膜1082は、圧電/電歪セラミックスからなる。
圧電/電歪セラミックスは、鉛系ペロブスカイト型酸化物を含む鉛系圧電/電歪セラミックスであるが、望ましくはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT;PbZrxTi1-x3)及びビスマス化合物を含む。ビスマス化合物は、望ましくはニッケルニオブ酸ビスマス(BNN;Bi(Ni2/3Nb1/3)O3)である。BNNは、圧電/電歪セラミックスの低温焼成及び特性の向上に寄与する。
圧電/電歪セラミックスがPZT及びビスマス化合物以外の成分を含んでもよい。PZT及びビスマス化合物以外の成分には、単純酸化物、複合酸化物等がある。複合酸化物は、複合ペロブスカイト酸化物であってもよい。PZT以外の成分は、PZTに固溶する場合もあるし、PZTに固溶しない場合もある。PZTに固溶しない偏析物は、粒界に存在してもよいし、粒内に孤立して存在してもよい。PZT以外の成分は、焼結助剤の痕跡物、下部電極膜1180からの拡散物等である場合もある。
圧電/電歪セラミックスの母相は、さらに望ましくはPZT及びBNNの固溶体である。圧電/電歪セラミックスは、焼結助剤であるPbO及びBi23の痕跡物を含む。母相とは、圧電/電歪セラミックスの主要部を占める粒子(グレイン)を構成する相を意味する。
(圧電/電歪セラミックスの微構造)
圧電/電歪セラミックスは、望ましくは白金及び鉛を含む化合物が粒内に偏析している微構造を有する。白金は、望ましくは下部電極膜からの拡散物である。この微構造によれば、圧電/電歪セラミックスの電界誘起歪が向上する。電界誘起歪の向上は、ドメインが細かくなることによると考えられる。圧電/電歪セラミックスが低温焼成に寄与するBNNを含み低温焼成される場合は、白金及び鉛を含む化合物が効率よく粒内に偏析し、圧電/電歪セラミックスの特性が向上する。これに対して、圧電/電歪セラミックスが高温焼成される場合は、鉛成分の揮発により白金粒子だけが粒内及び粒界に偏析しやすい。
(圧電/電歪膜型素子を製造する方法)
図2から図6までの模式図は、圧電/電歪膜型素子を製造する方法を示す断面図である。
(基板の作製)
図2に示すように、基板1020が作製される。基板1020が作製される場合は、最終的に流路形成板1040、キャビティ形成板1042及び振動板1044となる成形体が積層され焼成される。他の方法により基板1020が作製されてもよい。例えば、素材基板にエッチング、切削加工等がなされ、基板1020が作製されてもよい。
(下部電極膜の形成)
基板1020が準備された後に、図3に示すように、基板1020の上面1142に下部電極膜1080が形成される。
下部電極膜1080が形成される場合は、蒸着、スパッタ、めっき、スクリーン印刷等により下部導電体膜が基板1020の上面1142に形成される。下部導電体膜がパターニングされ、下部電極膜1080が形成される。下部導電体膜が被覆領域1160からはみ出さない場合は、下部導電体膜のパターニングが省略されてもよい。この場合は、形成された下部導電体膜がそのまま下部電極膜1080になる。マスクを用いて蒸着、スパッタ等が行われる場合、スクリーン版を用いてスクリーン印刷が行われる場合等においては下部導電体膜が被覆領域1160からはみ出さない場合がある。下部導電体膜の膜厚は、下部電極膜1080の膜厚が1μm以下となるように選択される。
下部導電体膜は、レジスト法によりパターニングされる。例えば、下部導電体膜が形成される前に被覆領域1160以外がレジストパターンで保護され、下部導電体膜が形成された後にレジストパターン及び下部導電体膜のうちレジストパターンに重ねられた部分が除去される。又は、下部導電体膜が形成された後に被覆領域1160がレジストパターンで保護され、下部導電体膜のうちレジストパターンで保護されない部分が除去され、レジストパターンが除去される。下部導電体膜がレジスト法以外によりパターニングされてもよい。
(膜状成形体の形成)
下部電極膜1080が形成された後に、図4に示すように、圧電/電歪セラミックスの原料粉末の膜状成形体1200が基板1020の上面1142に形成される。膜状成形体1200は、下部電極膜1080に重ねて形成される。原料粉末は、仮焼粉末及び焼結助剤の混合物である。仮焼粉末は、チタン酸ジルコン酸鉛及びビスマス化合物を含む。仮焼粉末においては、チタン酸ジルコン酸鉛及びビスマス化合物の固溶体のペロブスカイト型酸化物が主成分になるまで素原料が反応させられている。焼結助剤は、PbOの粉末及びBi23の粉末である。膜状成形体1200の膜厚は、後記の膜状焼結体1220の膜厚が5μm以下になるように選択される。PbOがPbO以外の鉛の酸化物に置き換えられてもよい。例えば、PbOがPbO2、Pb34等に置き換えられてもよい。PbOが焼成後に鉛の酸化物になる鉛の酸化物の前駆体に置きかえられてもよい。鉛の酸化物の前駆体には、水酸化物、塩化物、炭酸塩、シュウ酸塩等がある。Bi23がBi23以外のビスマスの酸化物に置き換えられてもよい。例えば、Bi23がBi25等に置き換えられてもよい。Bi23が焼成後にビスマスの酸化物になるビスマスの酸化物の前駆体に置きかえられてもよい。ビスマスの酸化物の前駆体には、水酸化物、塩化物、炭酸塩、シュウ酸塩等がある。
膜状成形体1200が形成される場合は、スラリーが調製される。スラリーにおいては、原料粉末が分散媒に分散させられている。スピンコート、ディッピング、吹き付け、スクリーン印刷等によりスラリーが基板1020の上面1142に塗布され、塗布膜が形成される。塗布膜が乾燥させられ、膜状成形体1200が形成される。
(共焼成)
膜状成形体1200が形成された後に、基板1020、下部電極膜1080及び膜状成形体1200が共焼成される。共焼成により、図5に示すように、膜状成形体1200は、膜状焼結体1220に変化する。共焼成により、基板1020及び下部電極膜1080は固着し、下部電極膜1080及び膜状焼結体1220は固着する。膜状成形体1200は基板1020に拘束される。このため、膜状成形体1200の面内の収縮は阻害される。しかし、原料粉末は焼結助剤を含むので、面内の収縮が阻害される場合でも、膜状焼結体1220は十分に緻密化する。
原料粉末は焼結助剤を含むので、下部電極膜1080の被覆率を高く維持するために焼成温度が低下させられる場合でも、膜状焼結体1220は十分に緻密化する。
共焼成中に下部電極膜1080から膜状焼結体1220へ白金が拡散し、白金及び鉛を含む化合物が粒内に偏析した微構造が膜状焼結体1220に形成される。当該化合物は、粒界偏析物とはならない。
共焼成中に焼結助剤のPbOが蒸発し、粒界のビスマス/鉛比が粒内のビスマス/鉛比より大きい膜状焼結体1220が得られる。このため、焼結助剤の添加にもかかわらず膜状焼結体1220の耐久性及び絶縁性は高い。
(膜状焼結体のパターニング)
共焼成の後に、図6に示すように、膜状焼結体1220がパターニングされ、圧電/電歪体膜1082が形成される。膜状成形体1200が被覆領域1160から大きくはみ出さない場合は、膜状焼結体1220のパターニングが省略されてもよい。この場合は、形成された膜状焼結体1220がそのまま圧電/電歪体膜1082になる。スクリーン版を用いてスクリーン印刷が行われる場合等においては膜状成形体1200が被覆領域1160から大きくはみ出さない場合がある。
膜状焼結体1220は、レジスト法によりパターニングされる。例えば、膜状焼結体1220が形成された後に被覆領域1160がレジストパターンで保護され、膜状焼結体1220のうちレジストパターンで保護されない部分が除去され、レジストパターンが除去される。膜状焼結体1220がレジスト法以外によりパターニングされてもよい。
(上部電極膜の形成)
圧電/電歪体膜1082が形成された後に、上部電極膜1084が圧電/電歪体膜1082の上面1182に形成され、図1に示す圧電/電歪膜型素子1000が完成する。上部電極膜1084が形成される場合は、蒸着、スパッタ、めっき、スクリーン印刷等により上部導電体膜が基板1020の上面1142に形成される。上部導電体膜は、下部電極膜1080及び圧電/電歪体膜1082に重ねて形成される。上部導電体膜がパターニングされ、上部電極膜1084が形成される。上部導電体膜が圧電/電歪体膜1082の上面1182からはみ出さない場合は、上部導電体膜のパターニングが省略されてもよい。この場合は、形成された上部導電体膜がそのまま上部電極膜1084になる。マスクを用いて蒸着、スパッタ等が行われる場合、スクリーン版を用いてスクリーン印刷が行われる場合等においては上部導電体膜が圧電/電歪体膜1082の上面1182からはみ出さない場合がある。
上部導電体膜は、レジスト法によりパターニングされる。例えば、上部導電体膜が形成される前に圧電/電歪体膜1082の上面1182以外がレジストパターンで保護され、上部導電体膜が形成された後にレジストパターン及び上部導電体膜のうちレジストパターンに重ねられた部分が除去される。又は、上部導電体膜が形成された後に圧電/電歪体膜1082の上面1182がレジストパターンで保護され、上部導電体膜のうちレジストパターンで保護されない部分が除去され、レジストパターンが除去される。上部電極膜がレジスト法以外によりパターニングされてもよい。
この実施形態によれば、多量の白金を圧電/電歪セラミックスに含有させなくても圧電/電歪膜型素子の電界誘起歪が向上する。例えば、圧電/電歪セラミックスが0.01−0.1重量%の白金を含有すれば十分である。これに対して、「特開2000−211968号公報」の発明の場合は0.3−15重量%の白金を圧電/電歪セラミックスに含有させなければならない。「谷孝夫、白金粒子分散PZTセラミックス、豊田中央研究所 R&Dレビュー、1998年6月、第33巻、第2号、p.77」の発明の場合は0.07−2.6重量%の白金を圧電/電歪セラミックスに含有させなければならない。
(実施例1)
圧電/電歪膜型素子を試作した。
部分安定化ジルコニアの原料粉末をテープ成形し、グリーンシートを作製した。グリーンシートに対して打ち抜きを行った。グリーンシートを積層し、グリーンシート積層体を作製した。グリーンシート積層体を焼成し、基板を作製した。振動板の板厚は、2μmとした。キャビティの幅は、80μmとした。キャビティの長さは、1mmとした。
基板の上面に導電体膜を形成した。導電体膜の材質は、白金とした。導電体膜の膜厚は、0.5μmとした。導電体膜をレジスト法でパターニングし、下部電極膜を形成した。
0.2BNN−0.8PZTという組成を有する仮焼粉末を固相法で合成した。仮焼粉末の粒子径は、0.15μmであった。仮焼粉末、PbOの粉末、Bi23の粉末、分散剤、バインダー及び分散媒を湿式混合し、スラリーを調製した。
スラリーを基板の上面にスピンコートし、塗布膜を形成した。塗布膜を乾燥し、膜状成形体を形成した。膜状成形体の膜厚は、膜状焼結体の膜厚が3μmになるように選択した。
脱脂の後に、基体、下部電極膜及び膜状成形体を共焼成した。共焼成は、最高温度1000℃を2時間維持する焼成プロファイルを用いて行った。
ポジ型のレジストでレジストパターンを形成した。膜状焼結体のうちレジストパターンで保護されない部分をPZTエッチング液で除去し、圧電/電歪体膜を形成した。
圧電/電歪体膜の上面に上部電極膜を形成した。上部電極膜の膜厚は、0.1μmとした。上部電極膜の材質は、金とした。上部電極膜は、金レジネートを用いてレジスト法により形成した。
(実施例2及び3)
実施例2においては、焼成プロファイルの最高温度を維持する時間を1時間に変更したこと以外は実施例1と同じように圧電/電歪膜型素子を試作した。実施例3においては、焼成プロファイルの最高温度を維持する時間を3時間に変更したこと以外は実施例1と同じように圧電/電歪膜型素子を試作した。
(比較例1〜3)
比較例1においては、スラリーを調製する場合にPbOの粉末及びBi23の粉末に代えてPtの粉末を混合し、焼成プロファイルの最高温度を1200℃へ変更したこと以外は実施例1と同じように圧電/電歪膜型素子を試作した。比較例2においては、スラリーを調製する場合にPbOの粉末及びBi23の粉末に代えてLiFの粉末を混合したこと以外は実施例1と同じように圧電/電歪膜型素子を試作した。比較例3においては、スラリーを調製する場合にPbOの粉末及びBi23の粉末を混合せず、焼成プロファイルの最高温度を1200℃へ変更したこと以外は実施例1と同じように圧電/電歪膜型素子を試作した。
(耐久性)
圧電/電歪膜型素子を40℃、85%RHの環境下におき、上部電極膜及び下部電極膜の間に直流30Vを80時間印加する耐久試験を行った。絶縁破壊した圧電/電歪膜型素子を不合格とした。
実施例1及び2では、100個の圧電/電歪膜型素子のうちの2個が不合格であった。実施例3では、100個の圧電/電歪膜型素子のうちの3個が不合格であった。比較例1では、100個の圧電/電歪膜型素子のうちの3個が不合格であった。比較例2では、100個の圧電/電歪膜型素子の全数が不合格であった。比較例3では、100個の圧電/電歪膜型素子のうちの2個が不合格であった。
(電界誘起歪)
上部電極膜及び下部電極膜の間に10kV/mmの電圧を印加し、その変位量をレーザードップラー変位計で測定した。実施例1〜3では、変位量が0.320μmであった。比較例1では、変位量が0.300μmであった。比較例2では、変位量が0.280μmであった。比較例3では、変位量が0.300μmであった。これらの結果からは、白金及び鉛を含む化合物が粒内に偏析する場合は電界誘起歪を反映する変位量が向上することが認識される。
(微構造)
図7は、実施例1の圧電/電歪セラミックスの電子顕微鏡写真(SEM)像である。当該像は、照射電流量を増加させチャネリング像を観察することにより得られた。
図7に示すように、実施例1の圧電/電歪セラミックスにおいては、細かなまだら模様のドメインが観察され、白金及び鉛を含む化合物が粒内に偏析していた(4箇所の丸印マーカーの箇所)。白金及び鉛が含まれることは電子線マイクロアナライザ(EPMA)により確認した。実施例2及び3の圧電/電歪セラミックスにおいても、白金及び鉛を含む化合物が粒内に偏析していた。比較例1の圧電/電歪セラミックスにおいては、白金の析出が検出されたが、白金のみが粒内に偏析していた。比較例2の圧電/電歪セラミックスにおいては、白金の析出が検出されたが、白金は粒界に偏析していた。比較例3の圧電/電歪セラミックスにおいては、白金の析出が検出されなかった。実施例1〜3及び比較例1〜3のいずれの圧電/電歪セラミックスにおいても、焼成後の粒子径は1〜2μmであり、焼成後の密度は理論密度の95%以上であった。
(白金の含有量の分析)
圧電/電歪体膜のみを溶解し、誘導結合プラズマ(ICP)法で圧電/電歪セラミックスに含まれる白金の含有量を分析した。実施例1では、白金の含有量は0.03重量%であった。実施例2では、白金の含有量は0.1重量%であった。実施例3では、白金の含有量が0.01重量%であった。
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての局面において例示であって限定的ではない。したがって、本発明の範囲からはずれることなく無数の修正及び変形が案出されうると解される。特に、インクジェットプリンタのヘッドを構成する圧電/電歪膜型素子以外の圧電/電歪素子にも本発明は適用可能である。
1000 圧電/電歪膜型素子
1020 基板
1080 下部電極膜
1082 圧電/電歪体膜
1084 上部電極膜

Claims (6)

  1. 基体と、
    前記基体に固着される第1の電極膜と、
    第1の主面及び第2の主面を有し、前記第1の主面に前記第1の電極膜が形成され、前記第1の電極膜に固着され、鉛系圧電/電歪セラミックスからなり、白金及び鉛を含む化合物が粒内に偏析した微構造を前記鉛系圧電/電歪セラミックスが有する圧電/電歪体膜と、
    前記第2の主面に形成される第2の電極膜と、
    を備える圧電/電歪膜型素子。
  2. 前記鉛系圧電/電歪セラミックスがチタン酸ジルコン酸鉛及びビスマス化合物を含む請求項1の圧電/電歪膜型素子。
  3. 前記ビスマス化合物がBi(Ni2/3Nb1/3)O3からなる請求項2の圧電/電歪膜型素子。
  4. 前記第1の電極膜が白金又は白金を主成分とする合金からなる請求項1から請求項3までのいずれかの圧電/電歪膜型素子。
  5. 前記鉛系圧電/電歪セラミックスが焼結助剤であるPbO及びBi23の痕跡物を含む
    請求項1から請求項4までのいずれかの圧電/電歪膜型素子。
  6. (a) 基体を準備する工程と、
    (b) 白金又は白金を主成分とする合金からなる第1の電極膜を前記基体の表面に形成する工程と、
    (c) チタン酸ジルコン酸鉛及びビスマス化合物を含む仮焼粉末、鉛の酸化物又は鉛の酸化物の前駆体の粉末並びにビスマスの酸化物又はビスマスの酸化物の前駆体の粉末の混合物である圧電/電歪セラミックスの原料粉末の膜状成形体を前記第1の電極膜に重ねて形成する工程と、
    (d) 前記基体、前記第1の電極膜及び前記膜状成形体を共焼成し、前記膜状成形体を膜状焼結体に変化させ、前記第1の電極膜から前記膜状焼結体へ白金を拡散させ、白金及び鉛を含む化合物が粒内に偏析した微構造を前記膜状焼結体に形成し、前記膜状焼結体により圧電/電歪体膜を形成する工程と、
    (e) 前記圧電/電歪体膜に重ねて第2の電極膜を形成する工程と、
    を備える圧電/電歪膜型素子を製造する方法。
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