JP2010116388A - 消化管溶性剤型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヒアルロン酸を含有する核周囲に腸溶性ポリマーと卵殻を含有する被覆層を形成させた剤型を経口投与することによって、ヒアルロン酸の新規薬理効果である消化管蠕動運動促進作用及びアトピー性皮膚炎治療及び改善作用を、標的器官である上部消化管に効率的に付与することができる。
【選択図】なし
Description
(2)腸溶性ポリマーがセラックである、(1)に記載の剤型。
(3)前記被覆層が複数の層からなる、(1)又は(2)に記載の剤型。
(4)被覆層が前記核の0.5重量%〜10重量%の範囲内にある、(1)〜(3)のいずれかに記載の剤型。
(5)前記薬剤がヒアルロン酸及び/又はその塩である、(1)〜(4)のいずれかに記載の剤型。
(6)ヒアルロン酸又はその塩の分子量が1〜1300kDaである、(5)に記載の剤型。
(7)蠕動運動を促進するためのものである、(5)又は(6)に記載の剤型。
(8)アトピー性皮膚炎を治療するためのものである、(5)又は(6)に記載の剤型。
本発明の消化管溶性剤型によれば、薬剤にヒアルロン酸を用いることで、ヒアルロン酸の新規薬理効果である消化管の蠕動運動促進作用及び/又はアトピー性皮膚炎の軽減若しくは治療作用を付与することができる。
本発明は、核及び被覆層を含む消化管溶性剤型である。
「消化管溶性」とは、動物の消化管内において消化液の作用により被覆層が溶解され、核含有成分が徐放されることをいう。
本明細書において、動物とは、脊椎動物を意味する。好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。
上記性質から、本発明の消化管溶性剤型は、経口投与型剤型として使用される。
1−1−1.核
消化管溶性剤型の「核」とは、本発明の剤型の概ね中心部に位置し、薬剤及び製薬上許容可能な担体を含有する部分を言う。
本明細書において「被覆層」とは、卵殻及び腸溶性ポリマーを含有し、前記核の表面を被覆するように形成された層をいう。
1−2−1.消化管溶性剤型の形状
本発明の消化管溶性剤型の形状は、経口錠剤又は丸剤として公知の形状であればよく、特に限定はしない。例えば、(半)球形平板形状、(半)楕円平板形状、略方形平板形状、(半)球形状、(半)楕円体形状であればよい。この形状は、通常、核の形状と相関関係にある。
本発明の消化管溶性剤型のサイズは、投与する生物個体のサイズに左右されるが、成人に投与する場合であれば、通常、最大長が3〜15mm、好ましくは5〜10mmの範囲内にあればよい。より具体的な例としては、球形平板形状剤型の場合、直径が5〜10mmの範囲内、かつ最大厚が2〜5mmの範囲内にあればよい。
本発明の消化管溶性剤型は、基本的には当業者に公知の製剤化方法を用いて作製することができる。例えば、本発明の消化管溶性剤型における核は、素錠として、薬剤を適当な担体と共に、混合、造粒後、打錠して調製すればよい。
マウスに蛍光標識したヒアルロン酸を経口投与又は十二指腸内投与し、ヒアルロン酸の消化管内壁への結合性について検証した。
2.7mgヒアルロン酸(平均分子量30kDa)と0.3mgの蛍光標識したヒアルロン酸(フルオレセインアミン標識ヒアルロン酸ナトリウムFAHA-L1;岩井化学薬品、加熱処理により分子量を約30kDaに調製)を0.3 mlの生理食塩液に溶解させた溶液を24時間絶食させたICR系マウス(オス;体重30g)に経口投与した。また、他のICR系マウス(オス;体重30g)をエーテル麻酔下で腹部を小切開し、前記経口投与と等量のヒアルロン酸を十二指腸内に投与した。投与3時間後、放血により屠殺した。それぞれの個体から胃、十二指腸及び回腸を摘出した後、各組織を10%中性緩衝ホルマリンに浸漬して固定した。固定後、胃部、幽門部、十二指腸及び回腸の凍結切片を作製し、蛍光光顕微鏡(Eclipe E600、Nicon;励起フィルター:450〜490nm、吸収フィルター:520nm)を用いて観察した。
経口投与の場合、胃部及び幽門部の表層粘膜上皮、基底膜層及び平滑筋層において強い蛍光が認められた。しかし、十二指腸及び回腸では絨毛から陰窩の上皮細胞に瀰漫的に弱い蛍光が認められるに過ぎなかった。一方、十二指腸内投与の場合、胃部及び幽門部の表層粘膜上皮、基底膜層及び平滑筋層においては微弱な蛍光が認められるに過ぎなかった。しかし、十二指腸及び回腸では、絨毛から陰窩の上皮細胞において強い蛍光が認められた。また、粘膜固有層の紡錘形細胞及び円形細胞、基底膜層及び平滑筋層にも蛍光が認められた。ただし、杯細胞での蛍光は陰性であった。この結果から、十二指腸及び回腸の粘膜表面にもヒアルロン酸は結合し得るが、経口投与をした場合には、その上部の胃粘膜細胞及び幽門部の粘膜細胞にその大部分が結合してしまい、十分なヒアルロン酸が十二指腸まで到達し得ないことが明らかになった。これは、後述する実施例5で示すように、ヒアルロン酸を十二指腸等の上部消化管に直接投与した場合には少量であっても本発明で開示の新規薬理効果が得られるが、経口投与した場合にはその効果が弱くなるという結果とよく符合する。したがって、本発明におけるヒアルロン酸の新規薬理効果を付与するためには、胃粘膜表面及び幽門粘膜表面を被覆する以上のヒアルロン酸を投与するか、従来にない新たな剤型を開発する必要があることが示唆された。
(1)核成分組成
・30kDaヒアルロン酸用組成:N1 (Nuclear 1)
一核あたりヒアルロン酸(30kDa;紀文フードケミファ)10mg/乳糖(SUPER-TAB:旭化成)152mg/結晶セルロース(SEOLUS-ST-02:旭化成)80mg/微粒二酸化ケイ素(カープレックス:ジャパン株式会社)4mg/ショ糖脂肪酸エステル(リョウトーS-370F:三菱化学フーズ)4mg(計250mg/錠)
・100kDaヒアルロン酸用組成:N2
一核あたりヒアルロン酸(100kDa;同上)10mg/乳糖(SUPER-TAB:旭化成)152mg/結晶セルロース(SEOLUS-ST-02:旭化成)80mg/微粒二酸化ケイ素(カープレックス:ジャパン株式会社)4mg/ショ糖脂肪酸エステル(リョウトーS-370F:三菱化学フーズ)4mg(計250mg/錠)
・1,000kDaヒアルロン酸用組成:N3
一核あたりヒアルロン酸(1,000kDa;同上)1mg/乳糖(同上)161mg/結晶セルロース(同上)80mg/微粒二酸化ケイ素(同上)4mg/ショ糖脂肪酸エステル(同上)4mg(計250mg/錠)
核の調製は100倍散(100錠分)で行った。まず、前記核成分をそれぞれ100倍に調製し、プラスチックバック内で十分に混合した。その後、静圧打錠機(HT-P22A型;畑製作所製)を用いて、250mgを正確に計り取り、一錠ごとに厚さ約4mm、径9mmで素錠化した。
・本発明の被覆層用溶液:C1(Coating1)
精製セラック(岐阜セラック製造所)2g/パーム油(J−オイルミルズ)0.1g/ショ糖脂肪酸エステル(リョウトーS-370F:三菱化学フーズ)0.01g/卵殻カルシウム(太陽化学)0.1gをエタノール(和光純薬)5.79gで溶解したもの(計8g)
・対照用被覆用溶液1:C2
精製セラック(岐阜セラック製造所)2g/パーム油(J−オイルミルズ)0.1g/ショ糖脂肪酸エステル(リョウトーS-370F:三菱化学フーズ)0.01gをエタノール(和光純薬)58gで溶解したもの(計8g)
・対照用被覆用溶液2:C3
精製セラック(岐阜セラック製造所)2gをエタノール(和光純薬)6gで溶解したもの(計8g)
素錠化した核を、被覆層溶液に浸漬し、素早く取り出した後、ドライヤーにて乾燥した。この操作により、被覆層溶液中のエタノールが揮発によって除かれ、核表面上に被覆層が形成された。本方法によれば、1核(250mg)あたりの被覆層の重量は約7.5mgであった。したがって、核に対する被覆層の重量%は、約3.0重量%となる。通常は、約3.0重量%の被覆層を用いたが、必要に応じて、浸漬時間及び/又は浸漬回数により2.8重量%〜4.2重量%の範囲で調整した。
(方法)
試験温度を室温とし、N1〜N3の核にC1〜C3のそれぞれの被覆層を形成させた消化管溶性剤型を18錠ずつ局方第1液又は第2液中浸漬し、崩壊試験器(富山産業製NT-1HM)において1秒当たり1ストロークで上下動させて崩壊性を検証した。ここで、局方第1液は、塩化ナトリウム2g/塩酸7g/水1LからなるpH約1.2の溶液であり胃液に近いpHを有する。また局方第2液は、0.2M NaH2PO4 250ml/0.2M NaOH 118ml/水1LからなるpH約6.8の溶液であり、腸液に近いpHを有する。
核の組成、すなわちN1〜N3とは無関係に、C1の被覆層を有する剤型(本発明の消化管溶性剤型)では、第1液中において30分で1〜2錠、45分で4〜6錠、60分で5〜7錠が崩壊した。また、第2液中では、10〜30分で全ての剤型が崩壊した。一方、N1〜N3とは無関係に、C2又はC3の被覆層を有する剤型(対照剤型)は、本崩壊試験では、局方第1液及び第2液のいずれにおいても全く崩壊しなかった。この結果から本発明の消化管溶性剤型の被覆層に含まれる卵殻が第1液の酸性下において一部溶解し、被覆層全体に微小孔が形成されて脆くなった結果、一部剤型は第1液で崩壊したものと考えられる。
(方法)
実施例2で調製した本発明の消化管溶性剤型(N1〜N3/C1)6錠を用いた。
・N1/C1:核=30kDaヒアルロン酸含有/被覆層=セラック/パーム油/卵殻含有
・N2/C1:核=100kDaヒアルロン酸含有/被覆層=セラック/パーム油/卵殻含有
・N3/C1:核=1,000kDaヒアルロン酸含有/被覆層=セラック/パーム油/卵殻含有
各試験溶液中における各分子量のヒアルロン酸濃度の推移
N1/C1、N2/C1及びN3/C1剤型の局方第1液におけるヒアルロン酸濃度は、それぞれ6μg/ml、5.3μg/ml及び0.3μg/mlであった。また、N1/C1剤型の試験溶液215、230及び260におけるヒアルロン酸濃度は、それぞれ7μg/ml、16μg/ml及び33μg/mlであった。さらに、N2/C1剤型の局方第2液、215、230及び260におけるヒアルロン酸濃度は、それぞれ4.4μg/ml、8.6μg/ml及び32μg/mlであった。そして、N3/C1剤型の第2液、215、230及び260におけるヒアルロン酸濃度は、それぞれ0.4μg/ml、0.9μg/ml及び3.1μg/mlであった。したがって、いずれ分子量であっても本発明の被覆層を有するヒアルロン酸は、試験溶液1中では120分間経過後であっても僅かに溶出する程度であるが、続く第2液では比較的短時間で、時間経過と共に溶出量が増大することが明らかとなった。すなわち、本発明の剤型によれば、30kDaの低分子ヒアルロン酸から1,000kDaの高分子のヒアルロン酸まで第2液で、くまなく溶出することができる。
結果を図2に示す。第1液の処理完了時における1000ml中のヒアルロン酸回収率は、N1/C1、N2/C1及びN3/C1剤型でそれぞれ10%((0.006mg/ml×1000ml)/60mg×100)、9.8%、6.4%であった。また、第2液の処理完了時(260)における1000ml中のヒアルロン酸回収率は、N1/C1、N2/C1及びN3/C1剤型でそれぞれ61%({(0.033mg/ml×1000ml)/(60mg−6mg)}×100)、65%、70%であった。すなわち、いずれの剤型においても第1液では先ず10%弱のヒアルロン酸が溶出し、続く第2液で60〜70%が溶出した。この結果は、本発明の消化管溶性剤型を経口投与した場合、胃で核中のヒアルロン酸の一部が溶出し、回腸上部で残るヒアルロン酸の大部分が溶出するという二段階の溶解特性を有することを示唆している。これにより、本発明の消化管溶性剤型を用いれば、経口投与であっても少量のヒアルロン酸を胃粘膜表面に捕捉されることなく、所望する回腸上部に確実に送達することができる。
(方法)
被覆層の組成を変えて実施例2で調製した消化管溶性剤型(N1/C1〜C3)6錠を用いて、前記実施例4と同様の方法で消化管溶性剤型からのヒアルロン酸の溶出試験を行った。
・N1/C1:核=30kDaヒアルロン酸含有/被覆層=セラック/パーム油/卵殻含有
・N1/C2:核=30kDaヒアルロン酸含有/被覆層=セラック/パーム油含有
・N1/C3:核=30kDaヒアルロン酸含有/被覆層=セラック含有
各試験溶液中における各分子量のヒアルロン酸濃度の推移
N1/C1、N1/C2及びN1/C3剤型の試験溶液1におけるヒアルロン酸濃度は、それぞれ6μg/ml、0μg/ml及び0μg/mlであった。また、N1/C1剤型の試験溶液215、230及び260におけるヒアルロン酸濃度は、それぞれ7μg/ml、16μg/ml及び33μg/mlであった(実施例4に同じ)。さらに、N1/C2及びN1/C3剤型の試験溶液215、230及び260におけるヒアルロン酸濃度は、いずれも0μg/mlであった。
結果を図3に示す。試験溶液1の処理完了時における1000ml中のヒアルロン酸回収率は、N1/C1剤型では10%であったが、N1/C2及びN1/C3剤型では全く回収できなかった。また、また、試験溶液2の処理完了時(260)における1000ml中のヒアルロン酸回収率は、N1/C1型では61%であった。しかし、N1/C2及びN1/C3剤型では全く回収できなかった。すなわち、本実施例において前記被覆層の条件でヒアルロン酸の溶出が確認できたのは卵殻を含有する本発明の消化管溶性剤型の被覆層のみであった。以上の結果から、被覆層における卵殻の存在が本発明の消化管溶性剤型における薬剤の二段階溶解特性、徐放性に寄与することが判明した。
(方法)
ICR系マウス(オス;体重33〜35g)5匹を24時間絶食させた後、平均分子量30kDaのヒアルロン酸を30mg/kg(体重1gあたりの投与量μg)及び100mg/kgで経口投与した。また、十二指腸投与は、エーテル麻酔下でマウスの腹部を小切開し、確実に十二指腸内にヒアルロン酸を100mg/kgで投与した。
結果を図4に示す。経口投与では対照の生理食塩水とヒアルロン酸投与個体群間で炭末移行率に有意差はみられなかった(図4a)。これに対して、十二指腸内投与をした場合、ヒアルロン酸投与個体群(図4b:HA)の炭末移行率は、対照(図4b:対照)と比較して有意に(p<0.05)高かった。一方、コンドロイチン硫酸(図4b:CS)、デルマタン硫酸(図4b:DS)及びケラタン硫酸(図4b:KS)の各投与個体群と対照個体群(図4b:対照)間の炭末移行率に有意差はみられなかった。
(方法)
NC/Ngaマウス(オス;体重29〜30g)を剃毛後、オリーブオイルで可溶化した5%ピクリルクロリドを胸部、腹部、足掌に塗布した。4日後、0.8%ピクリルクロリドを耳及び背中にも塗布した。その後1週間毎に1回で8週間、同様の塗布を繰り返した。
結果を図5に示す。ヒアルロン酸投与開始時(4週間目)の各マウスには、軽度の掻痒感、発赤・出血、中等度の擦創・糜爛、茄皮形成・乾燥等の擬似アトピー性皮膚炎症状がみられた。ヒアルロン酸を投与した4週間後(8週間目)では、0.2mg/ml群では対照群と比較してほとんど差はみられなかったものの、2mg/ml群では投与2週後より明らかに各症状の改善が観察され、皮膚炎症スコアが有意に低下した。すなわち、マウスを用いた2mg/mlのヒアルロン酸投与個体群では、アトピー性皮膚炎モデルに対する改善作用が確認できた。これにより、ヒアルロン酸は、従来知られていなかったアトピー性皮膚炎治療・改善作用を有することが判明した。
(方法)
実施例6の各個体群から3匹を選択し、本実験で使用した。ヒアルロン酸含有水投与開始前と投与2週間後の各マウス個体群から採血した。抗マウスIgE抗体を使用したELISAキット(マウスIgE測定キット;ヤマサEIA)で血清IgE量を測定し、ヒアルロン酸の抗アレルギー性作用を検証した。
結果を図6に示す。0.2mg/ml投与個体群では投与前後で、ほとんど差はみられなかった(図示せず)。しかし、2mg/ml投与個体群ではIgE量の減少傾向が認められた。したがって、2mg/mlヒアルロン酸の飲料給水には抗アレルギー性作用があることが示唆された。
(方法)
投与方法は、ヒアルロン酸(平均分子量30kDa:紀文フードケミファ)を16〜18時間絶食させたSlc:SD系ラット(雄162〜172g、雌123〜130g)に2g/kg体重で単回経口投与した。対照は生理食塩液とした。症状観察は14日間、また体重測定は1、3、6、10及び14日目に行った。14日後に剖検を行った。
ヒアルロン酸投与群において、投与当日には異常は認められなかった。しかし、投与翌日に全例で軟便がみられた。この症状は、本発明のヒアルロン酸における新規薬理効果である蠕動運動促進作用の効果を示唆する症状の発現と考えられる。実際、個体に対する有害な影響はなく、投与後2日目にはいずれの個体も消失し、以降の観察期間中、異常は認められなかった。一方、対照個体群では全期間を通じて異常は見られなかった。また、全個体は、順調な体重推移を示し、剖検においても異常は認められなかった。
(方法)
核にヒアルロン酸(分子量30kDa)を含有し、かつ被覆層を核に対して2.8〜4.2重量%で表面に形成させた剤型(前記N1/C1)又は被覆層のない剤型、すなわち核のみの裸錠(被覆層0重量%;前記N1のみ)を、胃の膨満感や便秘気味の症状のあるボランティア8名に1回1〜3個で就寝前に3日間投与させて、症状の改善状態について検証した。また、同時に各被覆層の剤型又は裸錠を6個又は18個用いて、実施例3と同様の方法により局方第1液及び第2液で処理し、第1液において崩壊した剤型数(裸錠数を含む)及びその後第2液で処理したときの崩壊時間について調べた。
結果を表1に示す。被覆層(0重量%)の裸錠は第1液で全て崩壊した。裸錠での胃腸における症状の改善は、8名中1名のみであり、本発明で開示されたヒアルロン酸の新規薬理効果を十分に得ることができないことが明らかとなった。これは、前記マウスを用いた実施例の結果ともよく一致する。一方、本発明の消化管溶性剤型の被覆層を核表面に形成させ、その重量%を増加(厚く)していくと、第1液での崩壊剤型数の低下と対応して、胃腸における症状の顕著な改善がみられた。しかし、被覆層が4.2%になると、第1液では剤型は全く崩壊せず、また第2液でも崩壊に2時間以上を要した(あるいは、第2液においても崩壊しなかった)。この被覆層の重量%で胃腸における症状の改善した者はいなかった。第2液環境下における2時間以上の曝露は、ヒトに経口投与した場合の下部消化管環境に相当する。したがって、ヒアルロン酸を下部消化管で投与しても、その新規薬理効果を得ることはできないことが示唆された。
(方法)
胃及び/又は腸の消化管に軽度の異常を感じているボランティア21名に、ヒアルロン酸(分子量30kDa)を含有した被覆層3.4%の剤型を服用させて、胃症状(食欲感、膨満感、蠕動感)及び腸症状(蠕動感、排便回数、排便時爽快感)を評価した。服用数及び服用期間は、4名で1錠(ヒアルロン酸10mg/錠)を一週間服用後、2〜7日間休薬した後、2錠を一週間服用させ(1−2錠群とする)、また17名には2錠を一週間服用後、同様に休薬した後、3錠を一週間服用させた(2−3錠群とする)。各症状の評価は、各ボランティアへのアンケートにより剤型服用前との比較で、不変:-(0点)、±軽度改善(1点)、+改善(1.5点)とし、一週間の平均値をスコア化した。ただし、排便回数のみは、一週間の排便回数を平均値とした。
1−2錠群のスコア結果を図7Aに、また同群排便回数を図8Aに、2−3錠群のスコア結果を図7Bに、また同群排便回数を図8Bにそれぞれ示す。
(方法)
インフォームドコンセントを行い、同意を得たアトピー性皮膚炎の症状を呈する3名の患者に、薬剤としてヒアルロン酸(30kDa)を含有する本発明の消化管溶性剤型を原則として朝食前と就寝前にそれぞれ2錠(ヒアルロン酸10mg/錠)投与し、該症状の改善について検証した。投与した剤型は、3.4重量%の被覆層を有する。投与方法は、朝食前及び就寝前に2錠ずつの服用とした。湿疹、掻痒感、発赤、乾燥感等の症状観察を行い、併用薬剤があれば継続投与とした。
(1)症例1(25歳、女性)6〜12歳でアトピー症状発現し、症状に合わせた対症療法を行ってきた。本検査時において併用薬剤はなく、服用2週後より掻痒感及び乾燥感が減少し、約2ヶ月後から手指、首、前腕の湿疹が一部消失し、効果はその後2ヶ月間持続した(図9)。
Claims (8)
- 薬剤及び製薬上許容可能な担体を含有する核、並びに
卵殻及び腸溶性ポリマーを含有し、前記核の周囲を被覆する被覆層
を含む消化管溶性剤型。 - 腸溶性ポリマーがセラックである、請求項1に記載の剤型。
- 前記被覆層が複数の層からなる、請求項1又は2に記載の剤型。
- 被覆層が前記核の0.5重量%〜10重量%の範囲内にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の剤型。
- 前記薬剤がヒアルロン酸及び/又はその塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の剤型。
- ヒアルロン酸又はその塩の分子量が1〜1300kDaである、請求項5に記載の剤型。
- 蠕動運動を促進するためのものである、請求項5又は6に記載の剤型。
- アトピー性皮膚炎を治療するためのものである、請求項5又は6に記載の剤型。
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