JP2010115744A - 垂直移動テーブルの駆動装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】
スピンドルに支持された工具の先端位置が変動の少ない精密工作機械に用いられる精密移動のための垂直移動テーブルの駆動装置を提供することにある。
【解決手段】
本発明の精密加工機に用いられる垂直移動テーブル用駆動装置は、垂直移動テーブルをコラムに沿って上下方向に案内するため、コラムの正面の左右に設けられたV−Vガイドと、コラムの左右両側端部に設置され、左右それぞれに箱型空間を形成し、垂直移動テーブルを案内するためのガイドプレートと、垂直移動テーブルの正面の左右両側端面に配置されたコイルを有し、箱型空間内にV−Vガイドと並行に設置され、コイルに対向して永久磁石を配設した左右のリニアモータと、を備えて構成し、前記コラムの左右に配置された前記左右のリニアモータによる合成された推力により、前記垂直移動テーブルを仮想的な重心位置にて駆動可能にしたことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、精密な加工を行う工作機械や加工機に係り、より一層詳細にはこれらの機械に用いられる垂直移動テーブルの駆動装置に関する。
従来、ナノメートルという精密な加工精度を求められる精密工作機械や精密加工機械(以下、これらをまとめて精密工作機械という)の移動体駆動装置においては、工具を設置するスピンドルや加工対象(ワーク)等を移動するために使用されの案内部の隙間や移動のための構成部材等の弾性変形や重量・形状の非対象性による不均衡等のため、移動体の移動の向きが反転する際に誤差が発生することがあり、このような姿勢変動による誤差を軽減する方法が求められており、そのための対策が提案されている。
たとえば、特許文献1に開示されているように、ボールねじを駆動して昇降する場合には、移動体の重心位置を中心に移動体の駆動部と略対称位置に、移動体に押力または引力を作用するシリンダを配置し、制御装置の指令により移動体の移動方向があらかじめ定めた向きに反転するとき、同時に制御装置の指令によりあらかじめ設定された圧力の圧力流体をシリンダに供給し、移動体の姿勢を反転する前の状態に戻す。
次に、制御装置の指令により移動方向があらかじめ定めておいた向きから反転するとき、同時に制御装置の指令によりシリンダへの圧力流体の供給を停止し、移動体を駆動部側が先行する姿勢で移動するようにする。このように移動体を常に同一の姿勢に維持することにより姿勢差を抑制するようにしている。(特許文献1)
また、リニアモータを利用した精密工作機械にあっては、特許文献2に開示されるように、Yスライド5には水平主軸を回転自在に軸承するラムを構成するZスライドがZ軸方向(前後方向)に移動可能に支持されている。さらに、垂直ベッド1に対してXスライド4、Y軸スライド5およびZスライド7をそれぞれX軸方向、Y軸方向あるいはZ軸方向に移動させることにより、主軸6を前記テーブル3上に載置固定された被加工物に対して互いに直交する3軸方向に移動位置決めすることができるように構成されている。上記Xスライド、YスライドおよびZスライドは、それぞれ互いに平行に配設された2本のリニアモータによって軸送り駆動が行われるようにしている。(特許文献2)
特開2003■80440 特開平9■262727
従来、機構上の制約により、上述のように、駆動の推力を発生するためのモータなどの駆動の推力源を重心位置に配置していた。しかし、現実的には、このように重心位置に駆動の推力源を配置することは、構成する部材の重量、形状、および特性等による制約があり、実現は困難な場合が多くあった。そのため、案内部の隙間や構成部材の不均衡による弾性変形などの要因となり、移動体の移動の向きが反転する際に生じる姿勢変動による誤差を生じていた。そしてこのことが、位置決め精度の低下の一因となっていた。リニアモータを使用した精密工作機械においては、移動体を一対の案内面に沿って移動させる場合、案内面の中央に移動体の重心および駆動手段を配置し、移動体を移動させれば最も姿勢変化を生じにくい。しかし、このような構造を実現するには、大きさおよび形状等などに制約があり、実際には、実現困難なこともあった。
ところで、精密工作機械に用いられる垂直に移動する主要な構成部材、すなわち単にYスライド、Yステージ、あるいはYテーブル等とも呼ばれるこのような垂直移動体(以下、垂直移動テーブルという)のための駆動力の作用点は、移動方向の反転時の変動を抑制するため、垂直移動テーブルの重心に移動用の推力を発生する駆動源、例えばリニアモータのコイルユニットまたはボールねじのナット等を取り付けて、駆動力の作用点でモーメントを発生させずに、仮想的な重心位置で駆動することが望ましい。したがって、そのように仮想的な重心位置で駆動する推力を得るよう構成した精密でかつ安全な駆動装置とすることが求められ、そのような精密工作機械用の垂直移動テーブル用の駆動装置を提供することが課題となっていた。
本発明は、駆動力の作用点でモーメントの発生を低減し、仮想的な重心の位置で駆動することが可能で、また安全な精密工作機械の垂直移動テーブル用の駆動装置を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するため、本発明は、精密工作機械のコラムに沿って上下方向に移動するスピンドルを搭載した垂直移動テーブルの駆動装置であって、垂直移動テーブルを前記コラムに沿って上下方向に案内するため前記コラムの左右に設けられたV−Vガイドと、コラムの左右に設置され、左右それぞれに箱型空間を形成し、垂直移動テーブルの上下方向移動空間を確保し保護するためのガイドプレートと、垂直移動テーブルの左右の両側端面に配置されたコイルを有し、ガイドプレートで保護された箱型空間内にV−Vガイドと並行に設置されコイルに対向してコラム側に配設された永久磁石とを有する左右のリニアモータと、を備えて構成し、前記左右のリニアモータによる駆動力の合成された推力により、前記垂直移動テーブルを仮想的な重心位置にて駆動可能にしたことを特徴とする垂直移動テーブルの駆動装置とした。
また、コラムの左右に設けられたV−Vガイド、ガイドプレートおよびリニアモータは、スピンドルに搭載された工具を中心に略左右対称に配置されることが好ましい。
また、この駆動装置には停電の際の垂直移動テーブルの落下防止機構を、さらに備えることが好ましい。
本発明の精密加工機に用いられる垂直移動テーブル用の駆動装置によれば、垂直移動テーブルの重心線上で、垂直移動テーブルの左右両側端面にコイルを固定し、コラムの左右両端面側にガイドプレートを設け、箱形の空間を形成し、その空間内に前記V-Vガイドと並行で、コイルに対向して永久磁石を配設してリニアモータ駆動し、駆動力の作用点でモーメントを発生を低減し、合成した推力を発生するようにしたことにより、仮想的な重心位置により垂直移動テーブルを駆動できる。
以下、本発明による精密工作機械に用いられる垂直移動テーブルの駆動装置の一実施形態例について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1において、この精密工作機械60は、ベッド11が震動吸収部材(図示せず)を使用して精密加工工場等の設置場所において、床上に設置される。ベッド11の上部には、図面左側にベース13aを載置して、その上部には、コラム14を移動可能に載置している。また、図面右側のベッド11上には、ワークを設置しX軸上を移動するワークテーブル、すなわちXテーブル12が設けられる。さらにこのXテーブルを案内するテーブルベース13が載置され、このテーブルベース13上面に一対のV字形状をした移動用の案内部材、すなわちV−Vガイド10を配し、紙面前後方向に移動可能としている。
図2は、図1のA−A水平断面図であって、図1に示した精密工作機械60のコラム14の断面を示す断面図である。図3は、図2の左半分を部分的に拡大した断面図であり、図4は、図2のB―B断面を示す断面図である。
図2において、コラム14の左右(図では上下)には、ガイドプレート19を設けている。ガイドプレート19は、コラム14の左右にそれぞれ配置され、プレート部材19a、プレート部材19b、プレート部材19e、プレート部材19f等を結合して組合せて構成され、これにより箱形の形状の箱型空間30を形成し、リニアモータ15への防塵や、リニアモータ15のコイル23の移動のための空間の保護等を行なっている。
図3において、コラム14にそって上下に移動するYテーブル16の左右側面には、リニアモータ15を構成する複数のコイル23からなるコイルがコイル取付けプレート23aに取り付けられ、直線状に配列された永久磁石22と対向するように配列される。このように左右に構成されたリニアモータにより、Yテーブル16の駆動源として垂直に移動するYテーブルの左右から駆動用の推力を発生するように構成される。さらに、リニアモータ15は、左右一対のV字形状の凹状案内面であるV溝案内面18a、18bと平行に配列されている。
図2、図3において、コラム14のスピンドル17側には、既に述べたように左右一対のV字形状をした凹状の案内面であるV溝案内面18a、18bを形成している。Yテーブル16には、このV溝案内面18a、18bに係合する左右一対のV字形状をした凸状の摺動面(凸状摺動面)16a、16bを設け、さらに、この凸状摺動面16a、16bの裏面側には、平面摺動部16c、16dを設けている。これらの構成品により、コラム左右で一対のYテーブル用の垂直に配置されたV−V案内、すなわちV−Vガイド10を構成している。
Yテーブル16は、ガイドプレート19aに設けた平面摺動部19c、19dおよびV溝案内18a、18bと凸状摺動面16a、16bとにより、コラムに沿って自在に垂直方向すなわち上下に昇降できる。なお、ガイドプレート19aには、矩形の溝(図示省略)を形成して圧縮空気の圧力を作用させる静圧パッド20が設けられている。圧力制御されて圧縮された圧縮空気の通路、すなわち圧縮空気通路21の末端は、静圧パッド20に接続されている。そして上述の平面摺動面16c、16dに向けて圧縮空気を噴出し、与圧が加えられると、Yテーブル16のV字形の凸状摺動部16a、16bとV溝案内面18a、18bが密着し、接触状態が保持される。
この静圧パッド20の内部には、圧縮空気のための通路である圧縮空気通路21が延長されており、圧縮空気通路21には、レギュレータ30を介して精密に圧力制御された圧縮空気を供給する圧縮空気供給装置40からの圧縮空気が供給される。空気供給装置40からは、ラインフィルタ31、ミクロミストフィルタ32、ファインドライヤ33等の空気調整用の各装置が順に接続されている。さらに、ファインドライヤ33の出力は、レギュレータ30に入力される。
ここで、圧縮空気は、ラインフィルタ31によりエアー中の塵や埃等が除去され、また、ミクロミストフィルタ32により、ミスト物質を除去される。ファインドライヤ33は、供給された圧縮空気を乾燥させ、さらにレギュレータ30により圧縮空気は圧力調整される。このような空圧制御用の機器を経由し、使用するに望ましい状態にコントロールされた圧縮空気は、空気出口から静圧パッド20(空気静圧軸受)に出力される。
本実施形態による垂直移動テーブルの駆動装置は、以上のように構成されており、次にその作用ならびに効果について次に説明する。
精密移動テーブルの重心線上でYテーブル16の左右両側端面にコイル23を配置し、コラム14の左右両端面側にガイドプレート19を設けて箱形の空間30を形成し、さらに、その空間30内にV-Vガイド10と並行でコイル23に対向して永久磁石22を配設したので、リニアモータの発生する推力は、左右のリニアモータの推力が合成されて、この合成された推力により、仮想的な重心位置にてYテーブルを駆動するよう作用する。これらの、それぞれスピンドルを上下に駆動するために用いられるYテーブルの駆動用の構成部材は、スピンドル17に装着された工具Tを中心にして(より望ましくは工具の回転中心に関して)、コラム上で、あるいは垂直移動テーブル上で、左右に略対象に配置されることが装置の形状・重量等の均衡上望ましく、したがって、この実施形態例では略左右対称に配置されているので、バランスよく駆動される。
このようにバランスよく配置され構成されると、Yテーブル16がリニアモータ15で駆動されて移動する間は、静圧パット20には圧縮空気の供給があり、噴出口からの圧縮空気の噴出によってコラム14側のV溝案内面18a,18bとの間に押圧力が働き、Yテーブル16は、円滑に高い位置決め精度で位置決めされる。
本実施形態による精密加工機に用いられる精密移動ステージの駆動装置では、従来の技術に比べ、圧縮空気の反力でYテーブル16をコラム14に対して押し付け、これによりV溝転がり案内面18a、18bには十分な押し付ける力が付加され、Yテーブル16の中央部に対してモーメントを与える方向に働かず、合成されたリニアモータの推力により仮想的な重心位置にてYテーブルを駆動するので、Yテーブル16の変形を少なくすることができる。
さらに、本実施形態例における精密工作機械の垂直移動テーブルの駆動装置は、何らかの原因により停電が発生して電源から電力が供給されなくなった場合、図1に示すように、コラム14の上部に配置されたYテーブルの重力バランスをとるためのバランスシリンダ50と、このバランスシリンダ50と組合せエアーブレーキ70を用いている。このように構成することにより、Yテーブル16は、停電の際の下降や落下が防止され、停電の際は、ただちに停止するように構成されている。(Yテーブルの下降や落下の防止は、コラム14に沿って移動するYテーブル16に設けたエアーブレーキやデスクブレーキ等をリニアガイドに作用させ、Yテーブル16の下降を停止するように構成してもよい)また、このように停電の際の落下防止機構を有して構成した垂直移動テーブルの駆動装置を備えた精密工作機械60においては、停電による垂直移動テーブルの落下を防止できる。
さらにまた、このような精密工作機械においては、精密加工のためスピンドル17に設置する工具Tは、毎分3−15万回転程度の高速で回転することが求められることも多い。このような高速回転の工具設置用のスピンドル17には、高速回転領域で回転精度の高い空気静圧軸受を使用した空気静圧軸受型の回転スピンドルを使用することが望ましく、本実施形態例では、このような空気静圧軸受型のスピンドルを使用して、総合的な加工精度の向上を図っている。高速回転のために非接触式のスピンドル装置ならば、このような空気軸受方式のスピンドルに限らず、エアータービン方式でも良いし、磁気軸受方式でも良いことは無論である。
本実施形態によるリニアモータを使用した駆動装置では、作動中に急に停電するような事態を生じても、ブレーキ機構をさらに用意して、Yテーブルを支持するよう構成しても良く、そのように構成されたときは、Yテーブル16の落下を防止し、機械的な破損等を防止し、安全を確保できる。
本実施形態によれば、上述のように構成して、左右のリニアモータによる推力を合成し、この合成した推力を仮想的なYテーブルの重心へ働かせたため、案内部の隙間や構成部材の弾性変形などを低減し、したがって移動体の移動の向きが反転する際に生じる姿勢変動による誤差が低減され、さらに位置決め精度の低下を減少でき、精度向上に寄与で、また停電の際も垂直移動テーブルの落下を防止でき、機械の損傷防止ができさらに安全上好ましい。
本発明の精密工作機械に用いられる垂直移動テーブル用の駆動装置は、スピンドルを支持する垂直移動テーブルを高い位置決め精度で駆動することができ、それにより、精密加工産業上の利用の可能性は高く、精密加工業界に貢献できるものである。
本発明による精密工作機械に用いられる垂直移動テーブル用の駆動装置を使用した精密工作機械の一実施形態の側面図を示す。 図1のA―A水平断面図である。 図2の左半分を示す部分拡大断面を示す断面図である。 図2のB―B断面を示す断面図である。
符号の説明
10 V−Vガイド
11 ベッド
12 ワークテーブル(Xテーブル)
13 ベース
14 コラム
15 リニアモータ
16 Yテーブル(垂直移動テーブル)
16a 16b 凸状摺動面(V字形の凸状摺動部)
16c 16d 平面摺動部
17 スピンドル
17a 17b 平面摺動面
18a 18b V溝案内面(V字形の凹状案内溝)
19 ガイドプレート
19a 19b 19e 19f ガイドプレート部材
19c 19d 平面摺動部
20 静圧パッド
21 圧縮空気通路
22 リニアモータの永久磁石
23 コイル
23a コイル取付けプレート
T 工具
30 箱型空間
40 圧縮空気供給装置
50 バランスシリンダ
60 精密工作機械
70 エアーブレーキ


Claims (3)

  1. 精密工作機械のコラムに沿って上下方向に移動するスピンドルを搭載した垂直移動テーブルの駆動装置であって、
    前記垂直移動テーブルを前記コラムに沿って上下方向に案内するため前記コラムの左右に設けられたV−Vガイドと、
    前記コラムの左右に設置され、左右それぞれに箱型空間を形成し、前記垂直移動テーブルの上下方向移動空間を確保し保護するためのガイドプレートと、
    前記垂直移動テーブルの左右の両側端面に配置されたコイルを有し、前記ガイドプレートで保護された箱型空間内に前記V−Vガイドと並行に設置され前記コイルに対向して前記コラム側に配設された永久磁石とを有する左右のリニアモータと、
    を備えて構成し、前記左右のリニアモータによる駆動力の合成された推力により、前記垂直移動テーブルを仮想的な重心位置にて駆動可能にしたことを特徴とする垂直移動テーブルの駆動装置。
  2. 前記コラムの左右に設けられたV−Vガイド、前記ガイドプレートおよび前記リニアモータは、前記スピンドルに搭載された工具を中心にして略左右対称に配置されることを特徴とする請求項1項記載の、垂直移動テーブルの駆動装置。
  3. 前記垂直移動テーブルの駆動装置は、さらに、停電の際に作動する前記垂直移動テーブルの落下防止機構を備えて構成し、停電の際に前記垂直移動テーブルの落下を防止することを特徴とする請求項1項および2項記載の垂直移動テーブルの駆動装置。
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