JP4358385B2 - 工作機械における移動体の案内装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械、特に小型工作機械におけるテーブル,サドル,刃物台,主軸台等の移動体の移動を案内する案内装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、工作機械においては、省スペース、高精度加工の要求から、テーブル,サドル,刃物台,主軸台等を移動させる駆動装置のコンパクト化と工具やワークの位置決め精度の向上が要求されている。
【0003】
工作機械に設けられる刃物台や主軸台といった移動体の移動は、サーボモータなどの駆動体及びこの駆動体の駆動を前記移動体に伝達する駆動装置と、この駆動装置の駆動による前記移動体の移動を案内する案内装置とによって行われる。
【0004】
図7及び図8は移動体である刃物台を移動させるための駆動装置及び案内装置の従来例を示す図である。
図7に示す案内装置は、移動体である刃物台110をガイドレール110aに沿って移動させるもので、工作機械のベッドやサドルに取り付けられる支持体120と、この支持体120に支持された刃物台110と、支持体120の一側面に設けられ、刃物台110の移動を案内するための2本のガイドレール110aとから概略構成される。
【0005】
ガイドレール110aは、断面が菱形をなすように形成され、刃物台110の幅方向の両側に対称に配置されている。そして、支持体120と刃物台110の対向面にV形の溝111,121が形成され、この溝111,121にガイドレール110aが係合している。このような案内装置は一般に「ダブルV形」と称され、直線的な案内性に優れることから、工作機械の移動体の案内装置に一般的に用いられている。
また、駆動装置は、刃物台110の中央に形成されたねじ穴112と、このねじ穴112に螺入され、ガイドレール110aと同方向に延びるねじ軸122と、このねじ軸122の一端に回転軸が連結された駆動体としての図示しないサーボモータとから概略構成される。
上記態様により、前記サーボモータが駆動すると、ねじ軸122が回転して刃物台110をガイドレール110aに沿って進退移動させる。
【0006】
ところで、上記のような工作機械においては、ワークの切削加工時に、切削方向の主分力P及び切り込み方向の背分力Fが工具Tに作用するとともに、これら力P,Fによって刃物台110に回転モーメントが生じる。この場合、小型の工作機械のように刃物台110の重量が軽いと、前記回転モーメントによって刃物台110がガイドレール110aから浮き上がってしまうおそれがある。
また、ワークの加工時や刃物台110の移動時に、振動によって刃物台110が容易にガイドレール110aから脱落しないようにする必要もある。
【0007】
そこで、図7(a)(b)に示すように、刃物台110の両側に押さえ部材であるバックプレート115を設けて、前記回転モーメントによって刃物台110がガイドレール110aから浮き上がったり、脱落しないようにしていた。
【0008】
しかし、刃物台110をガイドレール110aに沿ってスムースに移動させる必要から、バックプレート115と支持体120との間には若干量のギャップSを設ける必要がある。そのため、前記回転モーメントが作用すると、ギャップS分だけ刃物台110がガイドレール110aから浮き上がってワークの加工精度を低下させるという問題があった。
なお、工作機械の組立時にギャップSが可能な限り0になるように調整したとしても、長期間の使用によって刃物台110又は支持体120が摩耗してギャップSが拡がり、加工精度を低下させる。
【0009】
図8に示す案内装置は、図7に示した案内装置の問題点であるギャップSを無くすために、ガイドレール110aの代わりに直線ガイドである直線ボールガイド116aを用いたものである。
このような案内装置では、図7に示したようなバックプレート115は不要にできるが、切削時に発生する切削抵抗による機械振動を抑制することが困難で、高精度な加工には不向きである。
前記したような機械振動を可能な限り抑制するためには、剛性の高い直線ボールガイド116aを用いる必要があるが、高剛性の直線ボールガイド116aは価格も高く、かつ、工作機械を大型化させるという問題があった。
さらに、直線ボールガイド116aを用いたとしても、長期の使用による摩耗によってギャップが生じ、加工精度を低下させることは、図7に示した案内装置と同じである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点にかんがみてなされたもので、バックプレートのような移動体の浮き上がり防止手段を特に必要とせず、加工時の切削抵抗等により生じる機械振動を抑制し、高い加工精度を実現することができるとともに、工作機械の省スペース化及び低価格化を図ることのできる移動体の案内装置を提供すること、及び、長期の使用によって移動体等に摩耗が生じても、摩耗による移動体のがたつきを抑制して長期にわたって高い加工精度を維持することのできる移動体の案内装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の工作機械における移動体の案内装置は、ワークの加工を行うために移動する移動体と、この移動体を支持する支持体と、この支持体と前記移動体との間に設けられ、前記移動体の移動を案内する案内部材とを有する工作機械における移動体の案内装置において、前記移動体又は前記支持体のいずれか一方に設けられた磁石と、前記移動体又は前記支持体のいずれか他方に設けられ、前記移動体の移動範囲内で前記磁石に常時吸着される被吸着体と、前記支持体と前記移動体の間に形成され、圧縮エアを流通させるエア流通路とを有し、前記磁石は、前記案内部材から浮かび上がらせる回転モーメントが前記移動体に作用しても、この回転モーメントを打ち消す逆向きの回転モーメントを生じさせる吸着力を有し、前記圧縮エアは、前記支持体と前記移動体と間の固定力を調整する構成としてある。
【0012】
この構成によれば、ワークを加工する際の工具の主分力や背分力などによって刃物台等の移動体に回転モーメントが生じても、磁石がこの回転モーメントを打ち消す逆向きの回転モーメントを生じさせるので、バックプレートなどの押さえ部材を設ける必要なく移動体の浮き上がり阻止することができ、案内装置の構成を簡素にすることができるほか、ワークの高精度加工も可能になる。また、磁石による吸着力が移動体に常に付勢されているので、移動体等に摩耗が生じても、摩耗による移動体のがたつきを抑制することができる。したがって、例えば、摩耗による被加工物と切削工具との位置変位量を補正値として制御装置に入力して補正を行うことで、長期にわたって高精度加工を維持することができる。また、圧縮エアが支持体と移動体との間の固定力を調整するので、移動体を移動させる際に、移動体を持ち上げる方向に付勢することで、移動体を移動させやすくするとともに、高速移動も可能になる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記案内部材は、V字状の突起を有するガイドレールで、前記移動体又は前記支持体の少なくとも一方には、前記ガイドレールと係合するV字状の溝を同一方向に形成した構成としてある。
この構成によれば、いわゆるダブルV形の案内装置を採用することで、優れた直線案内性を得ることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記案内部材は、半円柱状の突起を有するガイドレールで、前記移動体又は前記支持体の少なくとも一方には、前記突ガイドレールと係合するV字状の溝を同一方向に形成した構成としてある。
このように、半円柱状の突起とダブルV字溝との組み合わせによる案内装置を採用することで、優れた直線案内性を得ることができるとともに、移動体が移動する際の摺動抵抗を著しく低下させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記移動体が移動することにより前記V字状の溝と前記突起とが摺動する部分は、前記溝及び前記突起を型として樹脂成形法により形成した構成としてある。
この構成によれば、案内装置の突起とV字状の溝との組み合わせ精度、誤差のない高精度に確保することができ、かつ、機械加工や手作業によらずに密着性の高い摺動面を形成することができるので、作業性に優れ、かつ、低コストで案内装置を得ることができる。
【0017】
請求項5に示すように、案内部材をガイドレールとした場合には、このガイドレールが係合する溝との摺動面に前記エア流通路を設けるものとしてもよい。
なお、本発明では、磁石に対峙させてコイルを設け、このコイルと前記磁石とでリニア駆動装置を構成することが可能である。そして、このようなリニア駆動装置を構成することにより、前記移動体の外側にモータなどの駆動体を設ける必要がなくなり、駆動装置をコンパクトにして、工作機械の低価格化と省スペース化とを図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
なお、図1〜図6においては、同一部位、同一部材に同一の符号を付して、当該部位及び部材についての重複した説明は省略する。
図1は本発明の第1の実施形態にかかり、移動体の案内装置の正面図、図2は櫛歯形の刃物台を有する工作機械の概略平面図である。
【0019】
なお、図1及び図2では、説明の便宜のため主軸5の軸線と同一方向をZ軸方向とし、これに直交する方向をX軸方向及びY軸方向とする。
まず、図2にしたがって本発明の案内装置が適用される工作機械1の構成を説明する。
【0020】
工作機械1のベッド2の上には、X軸方向にガイドレール3aが敷設され、Z軸方向にガイドレール4a,6aが敷設されている。
サドル3が、ガイドレール3aに沿ってX軸方向に移動自在に設けられ、このサドル3の一側面に立設されたY軸方向のガイドレール10aに沿って、櫛歯形の刃物台10が移動自在に設けられている。図示しないワークを加工するための工具Tは、X軸方向及びY軸方向に移動自在な刃物台10に保持される。
【0021】
主軸台4が、ガイドレール4aに案内されながらZ軸方向に移動自在に設けられている。主軸台4は主軸5を回転自在に支持する。ワークは、主軸5の中央に形成された図示しない貫通穴を挿通して、その先端がワーク保持部材であるガイドブッシュ8によって芯出し,保持されている。
【0022】
第2のサドル6がガイドレール6aに案内されながらZ軸方向に移動自在に設けられている。このサドル6の一側には、Y軸方向にガイドレール10a′が立設され、このガイドレール10a′に沿って刃物台10と同一構成の刃物台10′が移動自在に設けられている。この刃物台10′にも、図示しないワークを加工するための工具Tが保持されている。
【0023】
上記構成の工作機械1では、ガイドブッシュ8からワークが必要長さだけ突き出し、主軸5の回転とともに回転するワークを2つの刃物台10,10′の所定の工具Tで加工を行う。
このとき、工具Tの先端とガイドブッシュ8とは、Z軸方向に一定の間隔が常に保たれるように位置決めされている。
【0024】
次に、図1にしたがって、この実施形態における案内装置の構成を詳細に説明する。
櫛歯状に工具Tを保持する刃物台10は、支持体20に支持された案内部材である2本のガイドレール10aに沿って移動自在である。ガイドレール10aは、角柱状に形成され、刃物台10に形成されたV字状の溝11と係合している。刃物台10の移動によってガイドレール10aと摺動する溝11の摺動面には、刃物台10の移動を円滑に行うとともに、図示しないワークを加工する際の切削抵抗による機械振動を減衰させるために、すべり軸受を設けるのが好ましい。
【0025】
刃物台10と支持体20には、Y軸方向に溝13,23がそれぞれ形成されている。そして、刃物台10側の溝13にコイル31が、支持体20側の溝23に磁石32が設けられている。磁石32は、N極とS極が刃物台10の移動領域内の全長にわたって交互にコイル31側を向くように配列されている。この磁石32とコイル31とでリニア駆動部(リニアモータ)30を形成している。
【0026】
支持体20は磁石32に吸着される性質を有する鉄などの金属で形成されている。したがって、ガイドレール10aに刃物台10を載置すると、磁石32の吸着力によって刃物台10がガイドレール10aに押し付けられる。なお、この実施形態では支持体20が被吸着体を構成しているが、支持体20とは別体の被吸着体、例えば鉄板を、刃物台10の移動領域の全長にわたって溝13内に設けるものとしてもよい。
【0027】
また、工具Tとワークとが衝突した場合などに生じる過大な衝撃によって刃物台10が落下したりしないように、例えば、図3に示すように、支持体20に向けて突出する係合部15を刃物台10の両端に形成し、この係合部15に係合する被係合部25を支持体20に形成するとよい。
【0028】
ワークを加工する際に、工具Tには主分力Pや背分力Fなどの力が作用し、この力によって刃物台10をガイドレール10aから浮かび上がらせる回転モーメントが生じる。磁石32による吸着力は、刃物台10に作用する最大の前記回転モーメントを打ち消し、刃物台10がガイドレール10aより浮かび上がらないようにするものでなければならない。すなわち、以下の条件を満たす必要がある。
【0029】
工具Tに作用する主分力の最大値をPmax、背分力の最大値をFmax、工具Tの先端から刃物台10の回転支点となる遠い方のガイドレール10aまでの水平距離をL1、垂直距離をH1、刃物台10及び工具Tの自重など、他の要素により生じる回転モーメントをkとすると、刃物台10に作用する回転モーメントの最大値Mmaxは、
Mmax=Pmax×L1+Fmax×H1+k
で表される。
【0030】
一方、磁石32の吸着力をRとし、この吸着力Rを集中荷重と仮定した場合の荷重中心とガイドレール10aまでの水平距離をL2とすると、磁石32の吸着力Rが刃物台10の回転を阻止するためには、
R>Mmax/L2
なる条件を少なくとも満たさなければならない。
【0031】
なお、磁石32の吸着力によって刃物台10が常時ガイドレール10aに押し付けられていても、Mmaxより大きい保持力を確保しつつ、円滑に刃物台10をガイドレール10aに沿って高速で移動させることができるようにするために、必要に応じて圧縮エアを刃物台10とガイドレール10aとの間に供給し、刃物台10を持ち上げる方向に付勢力を付与するのが好ましい。
【0032】
但し、例えば、切削抵抗の大きな重切削を行うような場合には、刃物台10の位置決め固定力を最大のものとするために、この圧縮エアの供給は行わないことが好ましい。
この実施形態では、刃物台10の移動によってガイドレール10aと摺動する溝11と摺動面に、溝11の長手方向に沿ってエア流通路12を形成し、このエア流通路12に圧縮エアを流通させることができるようにしている。
【0033】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図4は第2の実施形態にかかる案内装置の正面図である。
この実施形態で案内部材は、支持体50に一体に形成された単一の凸状のガイドレール40aである。ガイドレール40aは、刃物台40の直進案内性を良好にするために、傾斜状に形成された案内面を両側面に有している。刃物台40側には、ガイドレール40aに係合する溝41が形成され、前記案内面に面接触する傾斜状の側壁を有している。溝41の側壁とガイドレール40aとの間には、摺動抵抗を低減するために、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネートなどの低摩擦及び/又は自己潤滑性のあるすべり軸受材を介在させるとよい。
【0034】
ガイドレール40aの上面には凹所53が形成され、この凹所53に磁石32が設けられる。また溝41の底部には凹所43が形成され、この凹所43にコイル31が設けられる。刃物台40は鉄等の金属で形成されているので、凹所53に設けられた磁石32によって刃物台40が吸着され、ガイドレール40aに押し付けられる。
また、先の実施形態と同様に、ガイドレール40aの長手方向に沿ってエア流通路42が形成され、圧縮エアが供給されるようになっている。
【0035】
図5は、本発明の第3の実施形態にかかる案内装置の正面図である。この実施形態では、支持体60に半円形状の溝61を形成し、この溝61に円柱状のガイドレール16aを嵌め込んで、支持体60の一面から半円弧状に突起が突出するようにしている。一方、刃物台10は第1の実施形態と同様に形成されていて、ガイドレール16aと係合するV字状の溝11を有している。
このように、半円柱状の突起(ガイドレール16a)とダブルV字溝(溝11)との組み合わせによる案内装置を採用することで、優れた直線案内性を得ることができるとともに、刃物台10が移動する際の摺動抵抗を著しく低下させることができる。
【0036】
なお、半円柱状の突起とダブルV字溝との組み合わせを形成することができるものであれば、円柱状のガイドレール16aを支持させる形態は上記のものに限られない。
例えば、半円柱状の溝61に代えて、凹状又はV字状の溝にガイドレール16aを支持させてもよい。また、前記突起は刃物台10側に設けてもよく、さらに、前記突起を、刃物台10又は支持体60の一側面に一体に形成するものとしてもよい。
【0037】
図6は本発明の第4の実施形態にかかる案内装置の正面図である。
この実施形態の案内装置は、刃物台10のV字状の溝11とガイドレール10aとの摺動面に、樹脂製の摺動部材19を介在させている。
一般に、複数のV字状の溝を有するガイドを使用した四面以上の拘束面を有する案内装置では、前記V字状の溝とガイドレールとの摺動面を機械加工により高精度に加工仕上げすることはきわめて困難である。したがって、通常は、キサゲ作業による手仕上げでの現物合わせ作業により、前記摺動面の精度を確保している。
【0038】
しかし、このような現物合わせの作業は、作業者の作業負担がきわめて大きく、かつ、多大な作業時間を費やすうえ、作業者の熟練度等によって摺動面の仕上げ精度にばらつきが生じるという欠点がある。
そこで、この実施形態では、このような欠点を解消するべく、溝11とガイドレール10aとが摺動する部分に、V字状の溝11とガイドレール10aとを型として、樹脂成形法で摺動部材19を形成している。
【0039】
すなわち、刃物台10の移動によって摺動が生じるV字状の溝11の面に、摺動部材19を安定的に固定するための溝11aを形成し、この溝11aを形成した部分にエポキシ樹脂を主成分とする樹脂材を充填する。そして、前記樹脂材が硬化しないうちに、支持体20に取り付けたガイドレール10aを、母型材としてV字状の溝11に嵌め込み、前記樹脂材に押し付ける。このようにして型取りを行い、前記樹脂材を硬化させて溝11に摺動部材19を形成する。
【0040】
このような作業は簡単かつ迅速に行うことができるうえ、作業者の熟練度に関係なく一定の精度に仕上げることができる。また、このようにして形成された摺動部材19を用いることで、V字状の溝11とガイドレール10aとの摺動面の組み合わせ精度がきわめて高い案内装置を得ることができる。
【0041】
この実施形態において発明者らは、図1に示す案内装置を用い、刃物台10を水平面に置いた状態でエア流通路12に供給する圧縮エアを種々に変更して、ガイドレール10aと刃物台10との摺動面に作用する面圧及び位置決め精度(位置ドループ変動)を計測した。
計測の条件は以下のとおりである。
Figure 0004358385
この条件下における計測結果を以下の表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004358385
【0043】
この表から、圧縮エアをエア流通路12に供給することにより摺動面の面圧を下げることができ、刃物台10を円滑に移動させることができるほか、その位置決め精度についても変化しないことがわかる。
但し、圧縮エアを350kPa以上に上昇させると、移動の際に刃物台10に振動が発生することから、この例においては300kPa程度が最適である。このように、供給する圧縮エアの圧力は、刃物台10の大きさや磁石32の吸着力などの諸条件に応じて上記のような計測を行い、当該諸条件に応じた最適のものを選択することが好ましい。
【0044】
例えば、切削抵抗が小さい場合には、刃物台10を移動させる際の応答速度を重視し、常時圧縮エアをエア流通路12に供給したままで切削加工を行うようにする。このようにすることで、切削時間の短縮を図ることができる。一方、切削抵抗が大きい重切削の場合には、エア流通路12への圧縮エアの供給を停止させて、刃物台10の固定力を最大にし、切削抵抗による機械振動の発生を抑制して加工を行うようにするとよい。
【0045】
本発明の好適な実施形態を説明してきたが、本発明は上記の実施形態によりなんら限定されるものではない。
例えば、移動体は刃物台であるとして説明したが、本発明は刃物台に限らずテーブルやサドル、主軸台、テールストックなどの他の移動体にも適用が可能である。
【0046】
また、圧縮エアは、刃物台10の溝11とガイドレール10aとの摺動面に供給するものとして説明したが、刃物台10を移動させる際に磁石32の吸着力Rを緩和することができるのであれば、刃物台10と支持体20との間の他の部位に供給するものとしてもよい。
さらに、磁石32は永久磁石であることを前提に説明したが、電磁石であってもよい。この場合、停電時などに移動体が案内部材から落下しないように、あり溝などを用いて移動体が落下しないようにするとよい。
【0047】
本発明によれば、磁石の吸着力によって常時移動体を案内部材に押し付けているので、バックプレートなどの押さえ部材が不要になり、かつ、ワークを高精度に加工することが可能になる。また、磁石の吸着力によって常に移動体が付勢されているので、移動体等が長期の使用によって摩耗しても、この摩耗によるがたつきが抑制されて高精度加工を長期にわたって維持することができる。
さらに、本発明では、磁石に対峙させてコイルを設け、このコイルと前記磁石とでリニア駆動装置を構成することが可能で、このようなリニア駆動装置を構成することにより、前記移動体の外側にモータなどの駆動体を設ける必要がなくなり、駆動装置をコンパクトにして工作機械の省スペース化を図ることができる。
また、移動体を移動させる際に、圧縮エアで移動体を案内部材から持ち上げる方向に付勢するようにすれば、移動体の高速移動が可能になる。さらに、前記したようにコイルと磁石とでリニア駆動装置を構成した場合には、コイルへの供給電流も少なくすることができ、コイルの発熱による温度上昇を小さくして移動体の高精密な位置決めが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかり、案内装置の正面図である。
【図2】櫛歯形の刃物台を有する工作機械の概略平面図である。
【図3】刃物台の脱落防止のための係合部と被係合部を設けた図1の案内装置の正面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる案内装置の正面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態にかかる案内装置の正面図である。
【図6】(a)は本発明の第4の実施形態にかかる案内装置の正面図で、(b)は(a)の要部の拡大図である。
【図7】本発明の従来例にかかり、(a)は刃物台を移動させるための駆動装置及び案内装置の一例を示す図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図8】本発明の従来例にかかり、直線ボールガイド方式を採用した案内装置の正面図である。
【符号の説明】
1 工作機械
2 ベッド
3,6 サドル
4 主軸台
5 主軸
10,40 刃物台(移動体)
10a,16a,40a ガイドレール(案内部材)
11,41 溝
12 エア流通路
13 溝(凹所)
15 係合部
20,50,60 支持体
21 溝
23 溝(凹所)
25 被係合部
30 リニア駆動部
31 コイル
32 磁石
P 主分力
F 背分力
R 吸着力

Claims (5)

  1. ワークの加工を行うために移動する移動体と、この移動体を支持する支持体と、
    この支持体と前記移動体との間に設けられ、前記移動体の移動を案内する案内部材とを有する工作機械における移動体の案内装置において、
    前記移動体又は前記支持体のいずれか一方に設けられた磁石と、
    前記移動体又は前記支持体のいずれか他方に設けられ、前記移動体の移動範囲内で前記磁石に常時吸着される被吸着体と、
    前記支持体と前記移動体の間に形成され、圧縮エアを流通させるエア流通路とを有し、
    前記磁石は、前記案内部材から浮かび上がらせる回転モーメントが前記移動体に作用しても、この回転モーメントを打ち消す逆向きの回転モーメントを生じさせる吸着力を有し、前記圧縮エアは、前記支持体と前記移動体との間の固定力を調整すること、
    を特徴とする工作機械における移動体の案内装置。
  2. 前記案内部材は、V字状の突起を有するガイドレールで、前記移動体又は前記支持体の少なくとも一方には、前記ガイドレールと係合するV字状の溝を同一方向に形成したことを特徴とする請求項1に記載の工作機械における移動体の案内装置。
  3. 前記案内部材は、半円柱状の突起を有するガイドレールで、前記移動体又は前記支持体の少なくとも一方には、前記ガイドレールと係合するV字状の溝を同一方向に形成したことを特徴とする請求項1に記載の工作機械における移動体の案内装置。
  4. 前記移動体が移動することにより前記V字状の溝と前記突起とが摺動する部分は、前記溝及び前記突起を型として樹脂成形法により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の工作機械における移動体の案内装置。
  5. 前記案内部材がガイドレールで、前記ガイドレールと前記ガイドレールが係合する溝との摺動面に前記エア流通路を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の工作機械における移動体の案内装置。
JP31067199A 1999-11-01 1999-11-01 工作機械における移動体の案内装置 Expired - Fee Related JP4358385B2 (ja)

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