JP2010114014A - 金属粉末を用いた燃料電池用金属セパレータおよびそれを用いた燃料電池 - Google Patents

金属粉末を用いた燃料電池用金属セパレータおよびそれを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 金属セパレータ基材と流路形成用の金属粉末を金属結合によって一体構造とした燃料電池用金属多孔体セパレータ、およびそれを用いた直接メタノール型、固体高分子型、固体酸化物型等の燃料電池を提供する。
【解決手段】 セパレータ基材と流路形成用の金属粉末および該流路形成用の金属粉末同士が互いに金属結合によって一体構造化された燃料電池用金属セパレータであり、金属粉末で構成される流路用多孔体構造部の平均空孔率が10%以上、70%以下であることを特徴とする、金属粉末を用いた燃料電池用金属セパレータ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属粉末を用いた燃料電池用金属セパレータおよびそれを用いた燃料電池に関するものであり、詳しくは金属セパレータ基材と流路形成用の金属粉末を一体構造とした燃料電池用金属多孔体セパレータおよびそれを用いた直接メタノール型、固体高分子型、固体酸化物型等の燃料電池に関するものである。
近年、水素と酸素から水を生成する化学反応を基本に用いる燃料電池は、地球環境に優しいクリーンエネルギー源として大きく注目されている。その燃料電池の構造は、電解質膜と電極からなる接合体(以下、MEAという)と、これを挟み込む形で配置されるセパレータからなる。そのセパレータの役割は、水素源、酸素源となる反応物質の隔離という他に、発電出力に直接関連する重要な機能として、(1)水素又は水素源となる燃料、及び酸素または酸素源となる空気等の供給、(2)反応生成物の排出、(3)導電性の確保がある。
上記の(1)の供給、(2)の排出に用いられるセパレータの流路は一般に溝型形状を有するが、供給、排出特性に劣るため、十分な発電出力が得られないという問題がある。これらは、今後、必要とされている小型化、及びコスト削減等も困難としている。そのような状況下で、高出力化に関する、供給、排出特性の改善を狙ったものとして、例えば特開2007−242574号公報(特許文献1)が提案されている。但し、金属結合による構造体の作製、および接触抵抗の低減等を考慮した、(3)の導電性の確保については十分な検討が行われていない。
また、セパレータの流路部のMEAと反対側にガス排出用の気孔を加工により設けてガス排出性を改善したものとして、例えば特開2006−107858号公報(特許文献2)や金属粉末多孔体とこれを骨格として更に3000μm以下の大きな空孔を60%以上もたせて液体の毛細管現象による吸収力と保持量を確保したものとして、特許第3994385号公報(特許文献3)が提案されている。但し、これらも、金属結合による構造体の作製、および接触抵抗の低減等を考慮した、(3)の導電性の確保については十分な検討が行われていない。
また、空気極(カソード)側についても反応によって生成する水を素早く排出するために水を毛細管現象で吸引する大きさの空孔と空気を供給する別の大きさの空孔との複合構造多孔体としたものとして、特開2007−317673号公報(特許文献4)など燃料および空気の流路を多孔体形状のものにし、燃料および空気の均一供給と生成ガスおよび水の迅速な排出を図り、その結果として出力向上をも目指す検討がなされてきている。
特開2007−242574号公報 特開2006−107858号公報 特許第3994385号公報 特開2007−317673号公報
上述した特許文献1では、原料粉末のSUS316Lなる水アトマイズ粉末とバインダ、保湿材、分散媒を加えて混練、それを肉厚方向に径500μm、それと交差する径1000μmのピンをもつ金型で加圧して縦孔と横孔をもつ成形体を作製、これを乾燥後、600℃加熱でバインダ脱脂し、アルゴン中で1250℃に加熱させて焼結体を形成させる。これにより骨格部が20〜30μmの細孔をもつ金属多孔体となり、かつ径500μmの縦孔、径1000μmの横孔をもつ多孔体を得て、これを燃料の保持・供給部材としている。
しかし、本事例は多孔体作成時に縦孔および横孔作製用のピンを持つ複雑な金型作製が必要となる上に、使用する粉末をバインダ混合し、金型でプレスして成形体とした後、脱脂、加熱焼結を経る加工工程が複雑でコスト的に不利である。また、携帯用電源として着目されている直接メタノール型燃料電池部材は小型軽量化が求められるのに対し、本発明では必要な孔径が大きいため小型化も困難である。更に燃料電池セルとするためには、この保持部材にてMEA挟み込み裏側よりバックプレート等のセパレータが必要となり、MEA、燃料保持体、セパレータと接触面が多く、それぞれの接触面における抵抗が多くなり、発電出力減につながる問題があるとともに小型軽量化がさらに困難になる。さらに、金属結合による構造体の作製、および接触抵抗の低減等を考慮した、導電性の確保や強度・耐久性の確保については十分な検討が行われていない。
特許文献2では燃料流路の外側に微細な縦孔を形成することで、反応によって生成するCO2ガスの燃料極周辺より排出させる構造となっている。しかし、このセパレータの作製には微細加工が必要となり工程数増加とコストアップに繋がる問題がある。また、当該発明ではスタック化に際し、セパレータ外側に縦孔より排出してきたCO2ガスの処理経路を作る必要があり、構造が更に複雑化し、直接メタノール型燃料電池セパレータとして求められている小型軽量化への対応が困難である。
特許文献3は、200μm程度の微細空孔をもつ金属多孔体を骨格として、1000μm程度の空孔を60%以上形成することにより、強度を確保しつつ、液体燃料に対し毛管現象により吸収と保持効果を持たせ、直接メタノールのアノード側への燃料供給量を確保した発明である。しかし、この発明は燃料をアノードに連続的に供給するには有利だが、反応によって生成するCO2ガスの排出経路への考慮がなく、長時間運転時にはアノード周辺に反応によるCO2の気泡が残存し、発電能力が低下する問題がある。更に、その多孔体製法は、金属粉末、空孔を確保するための樹脂粒、バインダや可塑材を添加したもので成形体を作製、乾燥後に溶剤で樹脂粒を抽出、更に脱脂乾燥を経てから焼結する必要があり、製造に関わる工程数を増加させざるを得ない。
また、空孔径が1000μm以上と大きくすることで燃料保持の多孔体とする目的があるため燃料電池全体のユニットを小型化することも困難である。また、燃料電池セルを形成するためにはこの保持部材にてMEAを挟み込むため、裏側よりバックプレートを兼ねたセパレータが必要となり、MEA、燃料保持体、セパレータと接触面が多く、それぞれの接触面における抵抗が多くなり、発電出力減につながる問題があるとともに小型軽量化が更に困難になる。
特許文献4は、反応により生成する水が、フラッディング現象(電極が水で被覆され反応に必要な酸素が供給できない)を引き起こすのを防止するため、多孔体の毛管現象を利用して水を電極より排出し、かつ比較的大きな貫通空孔で必要な酸素を供給することを目指している。しかし、その構造は複雑で、かつ貫通孔形成は、機械加工もしくは造粒材を多孔体製造過程で混合、成形後除去の工程追加が必要なためコスト低減が困難である。また、貫通孔の裏側より酸素供給する経路が必要であり、構造が更に複雑化し、直接メタノール型燃料電池セパレータとして求められている小型軽量化への対応が困難である。このようにいずれの発明によっても、燃料および酸素の均一供給による高出力化と加工コスト低減の両立、更には小型軽量化をも達成できる発明は存在しない。さらに、基本構造が閉気孔型が一般的である発泡多孔体を用いているため、多孔体内の物質移動性に問題があり、十分な発電特性が得られにくいと考えられる。
上述したように、燃料やガス等が移動するための流路と流路を形成するための骨格部(リブ部:燃料やガス等が流れない部分)からなる、所謂従来の溝型セパレータ流路の場合、燃料電池の膜電極接合体(MEA)と流路骨格部(リブ部)が接触する境界面においては、燃料やガス等の物質移動が出来ないため、不均一で部分的な供給及び排出に限られるため、十分な発電特性が得られない。
また、全面供給・全面排出型を狙ったものとして発泡金属を流路に用いる手法は、(1)溶湯金属中に気体を吹き込み気泡の形成と同時に凝固する方法、または、(2)溶湯金属中に発泡剤を加え、発泡剤の分解による気体発生を利用した製造法、のため実際には気孔がセル壁に仕切られており、互いに分離独立した閉気孔型が基本の構造となるため内部の物質移動性に劣る。また、圧延や圧縮等の2次的な作用によってセル壁に連通孔を開ける場合でも、完全な開気孔型とは異なるため、燃料やガス等の物質移動性に依然として劣るため十分な発電特性が得られにくいという問題がある。
また、燃料やガスの流路として、金属セパレータ基板に、発泡金属体、金属多孔体シート、焼結粉末多孔体等を物理的に組み込む手法が考えられるが、その場合、基材と組み込み材の両者、もしくはどちらか一方において、例えば、電気伝導の妨げとなるような酸化物層が接触表面に存在したり、表面の凹凸による不十分な接触構造となるため、導電性の確保に有効な金属結合が不十分な構造となる。よって、接触抵抗が増大し十分な発電特性が得られないという問題がある。
また、金属粉末の焼結体等を物理的に組み込むだけの接合状態の場合、構造体としての強度が不十分となる。また、金属粉末を金属結合により結合する場合でも、空孔率が高すぎると構造体としての十分な強度と耐久性が得られない。さらに金属粉末を焼結等により固化成形する場合でも、空孔率が高すぎる場合、多孔体内部で十分な金属結合が得られないため経路が狭くなることによる電気抵抗の増大が生じる。また、その状況下で金属粉末どうしが接触する場合、金属粉末表面の酸化物等が要因となり、接触抵抗を増大させ、発電ロスの増大を招く等の問題がある。
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意検討を重ねた結果、金属セパレータ基材と金属粉末を金属結合によっての一体構造化することにより、物質移動性に優れた全面供給型および全面排出型の燃料およびガス流路作製によって、従来の溝加工型に比べて燃料やガス等の全ての物質移動が燃料電池本体との接触面全面で行われるため、発電特性の大きな改善が図られ、さらに、粒子、特に球体を用いることで多孔体の構造が点接触を主体とするため、物質移動の妨げとなるような壁構造を軽減でき発電性をさらに向上できる燃料電池用金属多孔体セパレータおよびそれを用いた燃料電池を提供するものである。また、十分な金属結合を確保することで、固有抵抗、接触抵抗等も含めたトータルの電気抵抗の低減による発電出力の向上も可能であり、同時に構造体としての強度・耐久性も確保できる。
その発明とする手段は、
(1)燃料電池用金属セパレータ基材と流路形成用の金属粉末および該流路形成用の金属粉末同士が互いに金属結合によって一体構造化された燃料電池用金属セパレータ。
(2)前記(1)において、電解質膜の両面に燃料極と空気極を有し各極の外側にセパレータを配設する燃料電池において、燃料極側および空気極側の内のどちらか一方側のセパレータ、または燃料極側および空気極側の両側のセパレータに、金属粉末を用いて形成される流路が存在し、金属粉末同士、およびセパレータ基材と金属粉末とがいずれも金属結合による一体化構造をなし、前記多孔体流路が金属粉末同士の隙間、または金属粉末とセパレータ基材との隙間により構成されることを特徴とする金属粉末を用いた燃料電池用金属セパレータ。
(3)前記(1)または(2)において、金属粉末で構成される流路用多孔体構造部の平均空孔率が10%以上、70%以下であることを特徴とする、金属粉末を用いた燃料電池用金属セパレータ。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1に記載の一体構造化として、真空熱処理、加圧焼結、焼結、融合、圧接、ろう接、接着のいずれか1種または2種以上を含む複合プロセスを用いることを特徴とする、金属粒子を用いた燃料電池用金属セパレータ。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1に記載の金属粉末の最大径が5.0mm以下としたことを特徴とする、金属粒子を用いた燃料電池用金属セパレータ。
(6)前記(5)に記載の金属粉末の最大径が1.0mm以下からなることを特徴とする、金属粒子を用いた燃料電池用金属セパレータ。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1に記載の金属粉末が同一径を有する流路形成用の金属粉末が1層または複数層に充填された構造からなることを特徴とする、金属粒子を用いた燃料電池用金属セパレータ。
(8)前記(1)〜(6)のいずれか1に記載の金属粉末の形状または寸法の異なる流路形成用の金属粉末が混在した構造からなることを特徴とする、金属粒子を用いた燃料電池用金属セパレータ。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか1に記載のセパレータを用いた燃料電池。
(10)前記(1)〜(9)のいずれか1に記載のセパレータを燃料極側に用いた燃料電池において、空気極側を大気開放型としたパッシブ型燃料電池にある。
以上述べたように、本発明による球体構造とすることにより接触抵抗の低減が可能となり発電出力を向上できる。さらに、コスト低減、小型化も可能となる。すなわち、従来の溝型セパレータに必要な複雑な切削、及び研磨加工等の作業が不要となるためコストの低減も可能となる。また、微小粉末の適用や、高出力化の効果と合わせた小型化も可能となる等極めて優れた効果を奏するものである。
以下、本発明に係る限定理由について述べる。平均空孔率の上限70%とした理由は、球形の粉末を用いる際に、70%を超える空孔率となる場合は、未充填部が多すぎて、粉末どうしが十分接触できない構造となる。この場合、十分な金属結合が得られないため、構造体としての強度、耐久性が劣り、さらに電気経路が狭くなること及び接触抵抗が高まることで電気抵抗の増大にも繋がる。したがって、その上限を70%とした。また下限10%とした理由は、空孔率が小さ過ぎると物質移動の大きな妨げとなるためである。好ましくは30〜50%とする。
また、金属粉末の最大径が5.0mm以下とした理由は、5.0mmを超える径になるとセパレータの小型化が困難となる。好ましくは、金属粉末の最大径が1.0mm以下とする。その理由は、小型化が可能となり、大量生産の可能なアトマイズ粉末等の利用も容易となる。したがって、最大径を5.0mm以下、好ましくは1.0mm以下とする。
以下、本発明について実施例を図面によって具体的に説明する。
図5は、従来の溝型流路セパレータを用いた燃料電池の溝型の流路を示す図である。この図に示すように、電解質膜1間に燃料極、空気極の各電極2を有する燃料極側、空気極側の各セパレータ3を配設する。符号4は燃料極側、5は空気極側を示す。図1は、本発明に係る金属粉末を用いた多孔体流路セパレータの適用例示す図である。この図に示すように、図1(a)は、金属粉末を金属セパレータ基板に金属結合によって結合させることで、一体構造化した多孔体型セパレータ流路を作製し、燃料極側のみに適用した例である。
図1(b)は、金属粉末を、金属セパレータ基板に金属結合によって結合させることで、一体構造化した多孔体型セパレータ流路を作製し、空気極側5のみに適用した例である。図1(c)は、金属粉末を、金属セパレータ基板に金属結合によって結合させることで、一体構造化した多孔体型セパレータ流路を作製し、燃料極側4、空気極側5の両極に適用した例である。図1(d)は、金属粉末を、金属セパレータ基板に金属結合によって結合させることで、一体構造化した多孔体型セパレータ流路を作製し、燃料極側4のみに適用し、空気極側5は大気開放型とした例である。このように、燃料電池の燃料極側4のみへの適用、空気極側5のみへの適用、4、5の両極への適用が可能である。
本発明の燃料電池用セパレータは、直接メタノール型燃料電池、固体高分子型、固体酸化物型等の様々な燃料電池に適用が可能であるが、直接メタノール型燃料電池を用いた発電特性の実施例を示す。本発明に係る電解質膜にはナフィオン117を使用し、燃料極側の電極には、Pt−Ru担持C粉末焼結体を使用した。また、空気極側の電極には、Pt担持C粉末焼結体を使用した。そのときの発電特性試験条件として、セル温度は、60℃、燃料極側メタノール供給量は、10cc/min、空気極側供給量は、1000cc/minとした。但し、本発明例Dの場合は、空気極側は大気開放型とした。
その結果を図2に示す。横軸は電流密度であり、縦軸は出力密度である。この図に示す多孔体型セパレータ流路の製造としては、最大径350〜500μmの金属粉末を1250℃の90分保持による真空熱処理にて、金属セパレータ基材と金属結合による一体構造とし、本発明例Aは燃料極側に、本発明例Bは空気極側に、本発明例Cでは燃料極側と空気極側の両極に用いた。本発明例Dは、最大径200〜250μmの金属粉末を用いて、1250℃の90分保持による真空熱処理を行い、金属セパレータ基材との一体化構造とし燃料極側のセパレータ流路に用い、空気極側は大気開放型とした。
本発明例Eは、最大径500〜1000μmの金属粉末を1300℃にて120分保持の真空熱処理を行うことで、金属セパレータ基材との一体化構造とし、燃料極側のセパレータ流路に用いた。本発明例Fは、最大径1mm〜2mmの金属粉末を1300℃にて120分保持の真空熱処理を行い、金属セパレータ基材との一体化構造とし、燃料極側のセパレータ流路に用いた。比較例は従来の溝型の金属セパレータを用いた。
本発明例Eは、最大径500〜1000μmの金属粉末を1300℃にて120分保持の真空熱処理を行うことで、金属セパレータ基材との一体化構造とし、燃料極側のセパレータ流路に用いた。本発明例Fは、最大径1mm〜2mmの金属粉末を1300℃にて120分保持の真空熱処理を行い、金属セパレータ基材との一体化構造とし、燃料極側のセパレータ流路に用いた。比較例は従来の溝型の金属セパレータを用いた。
金属結合からなる金属粉末多孔体をセパレータ流路に用いた場合、従来の溝型セパレータに比べて発電出力密度の大きな向上が可能である。その要因としては、(1)燃料極側の水素源(この場合メタノール)の全面型供給、及び空気極側の酸素源(酸素又は空気)の全面型供給が可能、(2)燃料極側や空気極側の生成物(CO2 やH2 O等)の全面型排出が可能、(3)十分な金属結合による電気抵抗の低減効果、(4)完全な開気孔型構造による多孔体内部の物質移動性の向上、(5)膜電極接合体(MEA)との優れた密着性による接触抵抗も含めた電気抵抗の低減が考えられる。
図3は、本発明例と比較例との金属粉末を用いた多孔体構造セパレータ流路の強度と耐久性との関係を示す図である。この図に示すように、空孔率が70%を超えた場合またはそれによって十分な金属結合が得られていない場合には強度と耐久性に劣る。それに対し、本発明例A〜Fの平均空孔率はいずれも10%以上、70%以下で十分な金属結合が得られている状態にあり十分な強度と耐久性を有する。
図4は、本発明例と比較例との金属粉末を用いた多孔体構造セパレータ流路の電気抵抗との関係を示す図である。この図に示すように、空孔率が70%を超えた場合またはそれによって十分な金属結合が得られていない場合には電気抵抗が高くなり、発電ロスが大きく十分な発電出力が得られ難いものとなる。それに対し、本発明例A〜Fの平均空孔率はいずれも10%以上、70%以下で十分な金属結合が得られており発電に有効な低い電気抵抗特性を有する。
以上のように、MEAとセパレータ流路の境界面における物質移動に関して、全面均一供給および全面均一排出が可能となり、発電特性を大きく向上できる。すなわち、各種燃料、メタノール、水分、空気、二酸化炭素、酸素、各種ガス等の燃料電池にかかわる全ての液体及び気体が移動するためのセパレータ流路に関して、従来の溝形状の流路を形成するための骨格部(リブ部)が存在する場合、その骨格部(リブ部)と燃料電池の膜電極接合体(MEA)との境界面においては、物質移動が困難なため、結果的にセパレータ全体として、水素、メタノール等の各種燃料、及び空気、酸素等の各種ガスの供給が、不均一で部分的に限られたものとなる。
さらに、二酸化炭素、生成水等の排出特性に関しても、その境界面において、不均一で部分的なものに限られる。その結果として十分な発電特性が得られにくい。これに対し、金属結合で強固に固定された金属粉末で構成される球体多孔体構造の流路を特徴とする本発明の場合、物質移動の妨げとなる上記の流路骨格部(リブ部)が無く、物質移動の通り道となる流路が、セパレータと膜電極接合体の境界面において、全面に均一且つ高密度に分布するため、境界面全面における全面型の安定した供給及び排出特性が得られる。その結果として発電特性を大きく向上させることが可能となる。
また、構造体としての十分な強度と耐久性を有する。さらに、空孔率を70%以下とすることで、均一に充填された金属粉末同士の安定した金属結合が可能となるため、構造体としての十分な強度と耐久性を保持できる。また、金属粉末を用いた完全な開気孔型の多孔体構造のため、多孔体内部における物質移動に対する抵抗を低減できる。よって、システム全体の供給、排出特性の改善が可能であり発電特性を向上できる。すなわち、閉気孔型を基本構造とする発泡金属と異なり、金属粉末からなる多孔体構造の場合、基本的には完全な開気孔型構造となるため、多孔体構造内部の物質移動に対する抵抗の低減が可能となる。したがって、メタノール、水素、空気、酸素等の供給特性、及び、二酸化炭素や、生成水といった不要物を安定して効率よくシステム外部まで排出することが可能となる。その結果、発電出力の向上が可能となる。
また、多孔体内部の電気抵抗の低減することができる。さらに重要な点として、金属セパレータ基材と金属粉末、さらには金属粉末同士が、電子の移動を容易にする金属結合によって一体化した構造を有することが挙げられる。これによって、優れた電気伝導性が要求される構造体内部の電気抵抗を大きく低減することが可能となり、結果として発電特性の向上が可能となる。その理由としては、十分な金属結合によって、電子の移動経路が広くなることによる電気抵抗の低減が可能となること、さらに、粉末表面の酸化物等による接触抵抗増大の影響を低減出来ることなどが挙げられる。また、全ての粉末どうしが互いに安定した金属結合による安定した構造体を得るには、空孔率を70%以下に保つことも重要となる。
また、MEAとの圧着面での接触抵抗も低減することができる。すなわち、燃料電池の組立てにおいて、一般にシート状で弾力性のある電解質膜・電極接合体(MEA)にセパレータ流路を圧着する場合、従来の溝型は、リブ部の平滑面をシートに圧着させる必要があるが、平滑面に対するシートの密着性は、シートが浮いて平滑面との間に隙間ができ易い等の要因により、十分な安定した密着性が得られず接触抵抗が大きくなる場合がある。これに対し、本発明の特徴とする球体構造においては、MEAシートに対して球体が 一部埋め込まれるような構造となるため、球体面に沿ってシートが張り付くような構造となり安定した密着性が得られる。よって、接触抵抗の低減が可能となり発電出力を向上できる。
本発明に係る金属粉末を用いた多孔体流路セパレータの適用例を示す図である。 本発明例および比較例での発電出力密度測定結果を示す図である。 本発明例と比較例との金属粉末を用いた多孔体構造セパレータ流路の強度と耐久性との関係を示す図である。 本発明例と比較例との金属粉末を用いた多孔体構造セパレータ流路の電気抵抗との関係を示す図である。 従来の溝型流路セパレータを用いた燃料電池の溝型の流路を示す図である。
符号の説明
1 電解質膜
2 燃料極、空気極の各電極
3 燃料極側、空気極側の各セパレータ
4 燃料極側
5 空気極側


特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社 他1名
代理人 弁理士 椎 名 彊

Claims (10)

  1. 燃料電池用金属セパレータ基材と流路形成用の金属粉末および該流路形成用の金属粉末同士が互いに金属結合によって一体構造化された燃料電池用金属セパレータ。
  2. 請求項1において、電解質膜の両面に燃料極と空気極を有し各極の外側にセパレータを配設する燃料電池において、燃料極側および空気極側の内のどちらか一方側のセパレータ、または燃料極側と空気極側の両側のセパレータに、金属粉末を用いて形成される流路が存在し、金属粉末同士、およびセパレータ基材と金属粉末とがいずれも金属結合による一体化構造をなし、前記多孔体流路が金属粉末同士の隙間、または金属粉末とセパレータ基材との隙間により構成されることを特徴とする金属粉末を用いた燃料電池用金属セパレータ。
  3. 請求項1または2において、金属粉末で構成される流路用多孔体構造部の平均空孔率が10%以上、70%以下であることを特徴とする、金属粉末を用いた燃料電池用金属セパレータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の一体構造化として、真空熱処理、加圧焼結、焼結、融合、圧接、ろう接、接着のいずれか1種または2種以上を含む複合プロセスを用いることを特徴とする、金属粒子を用いた燃料電池用金属セパレータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属粉末の最大径が5.0mm以下としたことを特徴とする、金属粒子を用いた燃料電池用金属セパレータ。
  6. 請求項5に記載の金属粉末の最大径が1.0mm以下からなることを特徴とする、金属粒子を用いた燃料電池用金属セパレータ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属粉末が同一径を有する流路形成用の金属粉末が1層または複数層に充填された構造からなることを特徴とする、金属粒子を用いた燃料電池用金属セパレータ。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属粉末の形状または寸法の異なる流路形成用の金属粉末が混在した構造からなることを特徴とする、金属粒子を用いた燃料電池用金属セパレータ。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のセパレータを用いた燃料電池。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のセパレータを燃料極側に用いた燃料電池において、空気極側を大気開放型としたパッシブ型燃料電池。
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