JP2009252399A - 燃料電池用金属多孔体セパレータおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 セパレータの流路部に金属球状粉末焼結多孔体を用いる燃料電池用金属多孔体セパレータ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 燃料電池セパレータの流路部の、膜・電極接合体との接触面が、半球形状の頂点で形成されており、膜・電極接合体とはその頂点を介して点接触する構造を有する金属多孔体セパレータ。また、上記の流路部と膜・電極接合体との接触面における、点接触面積率は20%以下である金属粉末焼結多孔体セパレータ。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料電池セパレータの流路部の、膜・電極接合体との接触面が、半球形状の頂点で形成されており、膜・電極接合体とはその頂点を介して点接触する構造を有する金属多孔体セパレータ。また、上記の流路部と膜・電極接合体との接触面における、点接触面積率は20%以下である金属粉末焼結多孔体セパレータ。
【選択図】 図1
Description
本発明は、特に燃料電池部材に関するものであり、詳しくはセパレータの流路部に金属球状粉末焼結多孔体を用いる燃料電池用金属多孔体セパレータ及びその製造方法に関するものである。
近年、高効率エネルギー変換が可能で、地球環境に優しいクリーンエネルギー源として燃料電池が注目されている。その原理は燃料が持つエネルギーを、燃焼反応ではなく電気化学反応によって、直接、電気エネルギーの形で取り出すものである。この中で、メタノールを燃料とした直接メタノール型燃料電池はシステムを小型化しやすいため、携帯用電源として注目されている。
燃料電池の構造は電解質・電極一体化膜(以下、MEAという)とこれを挟みこむ形でセパレータが配置される。このセパレータは、電気的および腐食環境下の構造物として取り扱われ、その材料は、軽量、機械的強度、電気伝導性および耐食性が求められるとともに、そのコスト低減も強く望まれている。
従来はグラファイトなどのカーボン系材料や、ステンレス鋼、チタン合金などの金属系材料を使用したセパレータがある。しかし、カーボン系は軽くて強度があるものの脆く加工が困難な事と構造体としての機械的特性に劣る問題があり、一方、金属系材料は強度が高く、加工が比較的容易であるが、耐食性の向上、接触抵抗低減、重量低減等の課題があり、最適な材料は未だ検討中の段階である。また、直接メタノール型燃料電池自体の発電特性はメタノールを直接使用するため、水素供給型の燃料電池に比べて発電出力が低い問題があり、高出力化要求が高い。そのため電解質、ガス拡散層、触媒担持方法の検討が各部材毎になされている。
高出力化を目的としたセパレータ部材の検討も従来からなされている。一般にセパレータの燃料及び空気供給路(以下、流路という)は、セパレータのMEAとの接触側に機械加工等による溝形状を形成することが多い。これに対し、セパレータのMEA燃料極外側に多孔体を用いこれに液体を保持するために多孔体の空孔径に比して大径の孔を開けて、燃料であるメタノールの保持と均一分散供給を図るものとして、例えば特開2007−245474号公報(特許文献1)が提案されている。
また、セパレータの流路部のMEAと反対側にガス排出用の気孔を加工により設けてガス排出性を改善したものとして、例えば特開2006−107858号公報(特許文献2)や金属粉末多孔体とこれを骨格として更に3000μm以下の大きな空孔を60%以上もたせて液体の毛細管現象による吸収力と保持量を確保したものとして、特許第3994385号公報(特許文献3)が提案されている。
さらに、空気極(カソード)側についても反応によって生成する水を素早く排出するために、水を毛細管現象で吸引する大きさの空孔と空気を供給する別の大きさの空孔との複合構造多孔体としたものとして、特開2007−317673号公報(特許文献4)など、燃料および空気の流路を多孔体形状のものにし、燃料および空気の均一供給と生成ガスおよび水の迅速な排出を図り、その結果として出力向上をも目指す検討がなされてきている。
特開2007−245474号公報
特開2006−107858号公報
特許第3994385号公報
特開2007−317673号公報
上述した特許文献1では、原料粉末のSUS316Lなる水アトマイズ粉末とバインダ、保湿材、分散媒を加えて混練、それを肉厚方向に径500μm、それと交差する径1000μmのピンをもつ金型で加圧して縦孔と横孔をもつ成形体を作製、これを乾燥後、600℃加熱でバインダ脱脂し、アルゴン中で1250℃に加熱させて焼結体を形成させる。これにより骨格部が20〜30μmの細孔をもつ金属多孔体となり、かつ径500μmの縦孔、径1000μmの横孔をもつ多孔体を得て、これを燃料の保持・供給部材としている。
しかし、本事例は多孔体作成時に縦孔および横孔作製用のピンを持つ複雑な金型作製が必要となる上に、使用する粉末をバインダ混合し、金型でプレスして成形体とした後、脱脂、加熱焼結を経る加工工程が複雑でコスト的に不利である。また、携帯用電源として着目されている直接メタノール型燃料電池部材は小型軽量化が求められるのに対し、本発明では必要な孔径が大きいため小型化も困難である。更に燃料電池セルとするためには、この保持部材にてMEA挟み込み裏側よりバックプレート等のセパレータが必要となり、MEA、燃料保持体、セパレータと接触面が多く、それぞれの接触面における抵抗が多くなり、発電出力減につながる問題があるとともに小型軽量化がさらに困難になる。
特許文献2では燃料流路の外側に微細な縦孔を形成することで、反応によって生成するCO2ガスの燃料極周辺より排出させる構造となっている。しかし、このセパレータの作製には微細加工が必要となり工程数増加とコストアップに繋がる問題がある。また、当該発明ではスタック化に際し、セパレータ外側に縦孔より排出してきたCO2ガスの処理経路を作る必要があり、構造が更に複雑化し、直接メタノール型燃料電池セパレータとして求められている小型軽量化への対応が困難である。
特許文献3は、200μm程度の微細空孔をもつ金属多孔体を骨格として、1000μm程度の空孔を60%以上形成することにより、強度を確保しつつ、液体燃料に対し毛管現象により吸収と保持効果を持たせ、直接メタノールのアノード側への燃料供給量を確保した発明である。しかし、この発明は燃料をアノードに連続的に供給するには有利だが、反応によって生成するCO2ガスの排出経路への考慮がなく、長時間運転時にはアノード周辺に反応によるCO2の気泡が残存し、発電能力が低下する問題がある。更に、その多孔体製法は、金属粉末、空孔を確保するための樹脂粒、バインダや可塑材を添加したもので成形体を作製、乾燥後に溶剤で樹脂粒を抽出、更に脱脂乾燥を経てから焼結する必要があり、製造に関わる工程数を増加させざるを得ない。
また、空孔径が1000μm以上と大きくすることで燃料保持の多孔体とする目的があるため燃料電池全体のユニットを小型化することも困難である。また、燃料電池セルを形成するためにはこの保持部材にてMEAを挟み込むため、裏側よりバックプレートを兼ねたセパレータが必要となり、MEA、燃料保持体、セパレータと接触面が多く、それぞれの接触面における抵抗が多くなり、発電出力減につながる問題があるとともに小型軽量化が更に困難になる。
特許文献4は、反応により生成する水が、フラッディング現象(電極が水で被覆され反応に必要な酸素が供給できない)を引き起こすのを防止するため、多孔体の毛管現象を利用して水を電極より排出し、かつ比較的大きな貫通空孔で必要な酸素を供給することを目指している。しかし、その構造は複雑で、かつ貫通孔形成は、機械加工もしくは造粒材を多孔体製造過程で混合、成形後除去の工程追加が必要なためコスト低減が困難である。また、貫通孔の裏側より酸素供給する経路が必要であり、構造が更に複雑化し、直接メタノール型燃料電池セパレータとして求められている小型軽量化への対応が困難である。このようにいずれの発明によっても、燃料および酸素の均一供給による高出力化と加工コスト低減の両立、更には小型軽量化をも達成できる発明は存在しない。
上記課題に鑑み、直接メタノール型燃料電池の出力向上が図れるとともに、セパレータ製造工程の簡略化による低コスト化も同時に実現させることを検討した。発明者らはその検討を重ねた結果、MEAと多孔体の接触状況に着目し、ある程度の粒径を持つ球状粉末を焼結することで形成した金属多孔体構造の適用検討を行った。その結果、球状粉末のMEAと接触する面は球状粉末が多数並んだ平面と仮定でき、焼結した粉末の球面がMEAと点で接触することになる。更に粒径が100μm以上の粉末で焼結すれば、MEAとの接触平面での計算では実質80%以上の空隙率を確保でき、かつMEAとは球の頂点で点接触することでMEAとセパレータの接触部周辺における液体および気体の流れへの影響を極少化でき、接触部周辺での反応を促進させるための物質拡散を妨げない構造となる。また、バインダや空孔形成のための別の粒子が必要なく、脱脂工程等が必要でないため工程を簡略化できることにより、DMFCの実用化に向けての課題である発電出力密度について、コスト低減しつつ向上できることを見出した。
更に、MEA最外部には、セパレータより供給される燃料およびガス拡散させ、MEAの電極へ均一供給を促進する目的でガス拡散層と呼ばれるカーボンペーパー等の多孔体層が形成されている。このガス拡散層は、通常の流路型セパレータを用いてセルを組み立てた場合、セパレータをバックプレートで締め付けるため、その加圧力でセパレータの流路リブ部がMEAに押し付けられる。これによりMEA両端にあるガス拡散層が変形され、燃料および拡散度を低下させる問題があるのに対し、球面の頂点での点接触では、加圧によるガス拡散層の変形部位を最小限に抑えることができ、燃料および空気の均一拡散性への悪影響を抑えることも出来る。
また、球状粉末多孔体の作製には焼結を用いることでセパレータ基材との一体化が図れ、基材と多孔体を挟みこむ構造をもつセパレータ部材よりも接触抵抗が低減でき、発電出力の向上が図れる。更には機械加工による流路部の形成や基材との組み合わせ工程が不要になり、加工費用低減も図れることを見出した。以上の効果により、球状金属多孔体を基材と一体化セパレータを使用した場合、従来の流路タイプのセパレータ使用時より、直接メタノール型燃料電池の出力密度向上が図れることが分かった。また、当該多孔体セパレータを使用することで、燃料および空気の均一供給、生成物の排出能力向上が図れるため、従来のMEAでは必須のガス拡散層を省略できる場合があることも分かった。
その発明とする手段は、
(1)燃料電池セパレータの流路部の、膜・電極接合体との接触面が、半球形状の頂点で形成されており、膜・電極接合体とはその頂点を介して点接触する構造を有することを特徴とする、金属多孔体セパレータ。
(2)前記(1)に記載の流路部と膜・電極接合体との接触面における、点接触面積率は20%以下であることを特徴とする、金属粉末焼結多孔体セパレータ。
(1)燃料電池セパレータの流路部の、膜・電極接合体との接触面が、半球形状の頂点で形成されており、膜・電極接合体とはその頂点を介して点接触する構造を有することを特徴とする、金属多孔体セパレータ。
(2)前記(1)に記載の流路部と膜・電極接合体との接触面における、点接触面積率は20%以下であることを特徴とする、金属粉末焼結多孔体セパレータ。
(3)前記(1)または(2)に記載の燃料電池セパレータの流路部が球状金属粉末焼結多孔体からなり、膜・電極接合体とは流路部に存在する球状粉末の頂点で点接触する構造を有することを特徴とする、金属粉末焼結多孔体セパレータ。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1に記載の流路部を形成する焼結多孔体に粒径100μmから1000μmの球状金属粉末を用いてなることを特徴とする、燃料電池用金属粉末焼結多孔体セパレータ。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1に記載の焼結多孔体に用いる球状金属粉末が、ガスアトマイズ、水アトマイズ、遠心噴霧法またはこれらの複合にて製造された球状粉末であることを特徴とする、燃料電池用金属粉末焼結多孔体セパレータである。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1に記載の流路部を形成する焼結多孔体に粒径100μmから1000μmの球状金属粉末を用いてなることを特徴とする、燃料電池用金属粉末焼結多孔体セパレータ。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1に記載の焼結多孔体に用いる球状金属粉末が、ガスアトマイズ、水アトマイズ、遠心噴霧法またはこれらの複合にて製造された球状粉末であることを特徴とする、燃料電池用金属粉末焼結多孔体セパレータである。
以上述べたように、本発明による金属球状粉末を基材へ緻密充填後に一体焼結して多孔体流路を形成させ、高強度で接触抵抗が小さい一体型セパレータとすることで、従来の切削仕上げで形成された流路による燃料供給、生成物排出路を確保したセパレータに比べで約2倍の出力密度が得られ、燃料および酸素の均一供給による高出力化と加工コスト低減の両立、さらには燃料電池の小型軽量化を達成することができる極めて優れた効果を奏するものである。
以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。
図1は、メタノール燃料電池の構造と本発明に係るセパレータ適用部位を示す図である。この図に示すように、両セパレータ1間に電解質膜2を有する電極3を配設し、従来の切削仕上げ流路型焼結一体セパレータ5と本発明に係る粉末焼結一体型多孔体流路セパレータ4を設ける。符号6は空気およびメタノール流路、7は粉末焼結多孔質体を示す。なお、焼結一体セパレータ5は、空気供給側にも使用でき、更にはメタノール(燃料)供給側、空気供給側の両方同時にも使用できる。
図1は、メタノール燃料電池の構造と本発明に係るセパレータ適用部位を示す図である。この図に示すように、両セパレータ1間に電解質膜2を有する電極3を配設し、従来の切削仕上げ流路型焼結一体セパレータ5と本発明に係る粉末焼結一体型多孔体流路セパレータ4を設ける。符号6は空気およびメタノール流路、7は粉末焼結多孔質体を示す。なお、焼結一体セパレータ5は、空気供給側にも使用でき、更にはメタノール(燃料)供給側、空気供給側の両方同時にも使用できる。
図2は、本発明に係る金属粉末焼結多孔体と電極との接触状態を示す図である。この図に示すように、燃料電池セパレータの流路部の、膜・電極接合体との接触面が、半球形状の頂点で形成されており、膜・電極接合体とはその頂点を介して点接触する構造とした。そして、焼結多孔体の表面は粉末が均一に並んだ状態と仮定し、粉末が電極に接触する際の食い込み部分の深さ、すなわち、この流路部と膜・電極接合体との接触面における接触深さを点接触面積率として表わした時、その点接触面積率を20%以下とした。20%以下とすることで、電極とセパレータ界面の空孔率を大きくすることができ、メタノール供給性や反応物生成排出性の向上による高出力化が図られる。しかし、20%を超えると、その効果は十分でないことから、20%以下とした。
また、上記効果を達成するためには、燃料電池セパレータの流路部が球状金属粉末焼結多孔体からなることが好ましく、この球状金属粉末焼結多孔体から成ることで、膜・電極接合体とは流路部に存在する球状粉末の頂点で点接触する構造とすることができる。すなわち、球状粉末を焼結することによる形成した金属多孔体を用いた。その結果、球状粉末のMEAと接触する面は球状粉末が多数並んだ平面を形成し、焼結した粉末の球面がMEAと点で接触することになる。そのため、MEAとの接触面だけを考慮すると実質80%以上の空隙率が確保でき、かつMEAとは球の頂点で点接触することでMEAとセパレータの接触部周辺における液体および気体の流れへの影響を極少化することができ、接触部周辺での反応を促進できる。
このためには、この焼結多孔体に用いる球状金属粉末は、粒径100μmから1000μmの球状粉末をセパレータの燃料流路部に充填、焼結して一体化することで、セルとしての接触抵抗を低減させることができる。また、球状粉末表面とMEAは点接触となり、燃料を均一に供給しつつ、電気化学反応による生成物であるCO2 を迅速に排出させることができる。しかし、粒径100μm未満では、その効果が十分でなく、また、1000μmを超えると球状金属粉末焼結多孔体同士の間隙が大きくなり、電極とセパレータ界面の接触率が少なくなり出力を低下することになることから、その範囲を100〜1000μmとした。好ましくは300〜1000μmとする。
また、金属としては、ステンレス、Ni基超合金等が用いられる。また、この球状金属粉末を得るためには、ガスアトマイズ、水アトマイズ、遠心噴霧法、またはこれらの複合にて製造することが好適である。さらに、焼結はバインダ無しの場合は真空焼結、バインダ有りの場合は成形後に脱脂処理を施してその後焼結する。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
図1に示すような、両セパレータ間にMEAを配置した燃料電池セルを構成する。この時の電解質膜はナフィオン117(デュポン社登録商標)を用い、電極はアノード(燃料供給)側にPt−Ru担持C粉末焼結体(Pt:1.0mg/cm2)、カソード(空気供給)側にPt担持C粉末焼結体(Pt:1.0mg/cm2)を用い、ガス拡散層を両側に0.28mm厚とした、その両側にSUS316Lステンレス製流路型金属セパレータ(流路幅2mm)もしくは多孔体セパレータを配置した燃料電池セルを作製した。流路型セパレータはSUS316Lブロックより、切削加工で作製した。また、多孔体セパレータは、粒度の異なるSUS316Lガスアトマイズ球状粉末を、セパレータ基材の流路部に流し込み後、真空炉にて1200℃加熱し、粉末同士および粉末と基材との一体焼結を行った。なお、焼結体断面の平均空孔面積率は41%である。
図1に示すような、両セパレータ間にMEAを配置した燃料電池セルを構成する。この時の電解質膜はナフィオン117(デュポン社登録商標)を用い、電極はアノード(燃料供給)側にPt−Ru担持C粉末焼結体(Pt:1.0mg/cm2)、カソード(空気供給)側にPt担持C粉末焼結体(Pt:1.0mg/cm2)を用い、ガス拡散層を両側に0.28mm厚とした、その両側にSUS316Lステンレス製流路型金属セパレータ(流路幅2mm)もしくは多孔体セパレータを配置した燃料電池セルを作製した。流路型セパレータはSUS316Lブロックより、切削加工で作製した。また、多孔体セパレータは、粒度の異なるSUS316Lガスアトマイズ球状粉末を、セパレータ基材の流路部に流し込み後、真空炉にて1200℃加熱し、粉末同士および粉末と基材との一体焼結を行った。なお、焼結体断面の平均空孔面積率は41%である。
上記した両セパレータ間にMEAを配置した燃料電池セルを用いて、メタノール燃料電池による発電特性の結果を図3に示す。図3は、本発明に係る球状多孔体セパレータをアノードに適用した時のメタノール燃料電池の発電特性を示す図である。この図に示すように、横軸に電流密度(A/cm2 )、縦軸にセル電圧(V)とし、一方に出力密度(mW/cm2 )とし、セル温度60℃、アノード側メタノール供給量10cc/min、カソード側空気供給量1000cc/minの発電条件にて、従来の流路型を使用時には最大出力密度40mW/cm2であるに対し、粒径200〜300μmの粉末焼結多孔体セパレータ使用で50mW/cm2、350〜500μmの粉末焼結多孔体使用では80mW/cm2と出力が2倍と大幅に向上したことが分かる。
以上のように、本発明による粒径100〜1000μmの球状粉末をセパレータの燃料流路部に充填、焼結して一体化することで、セルとしての接触抵抗を低減させることができ、また、球状粉末表面とMEAは点接触となり、燃料を均一に供給しつつ電気化学反応による生成物であるCO2 を迅速に排出できる。これらにより、従来の切削加工による流路型セパレータを用いた場合に比較して発電出力を向上させることができ、特に300〜500μm粉末を使用した場合、従来の流路型に比べて発電特性が約2倍に向上させることが出来る極めて工業的に優れたものである。
1 セパレータ
2 電解質膜
3 電極
4 切削仕上流路型セパレータ
5 焼結一体セパレータ
6 空気およびメタノール流路
7 粉末焼結多孔質体
特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社 他1名
代理人 弁理士 椎 名 彊
2 電解質膜
3 電極
4 切削仕上流路型セパレータ
5 焼結一体セパレータ
6 空気およびメタノール流路
7 粉末焼結多孔質体
特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社 他1名
代理人 弁理士 椎 名 彊
Claims (5)
- 燃料電池セパレータの流路部の、膜・電極接合体との接触面が、半球形状の頂点で形成されており、該膜・電極接合体との接触面はその頂点を介して点接触する構造を有することを特徴とする、燃料電池用金属多孔体セパレータ。
- 請求項1に記載の流路部と膜・電極接合体との接触面における、点接触面積率は20%以下であることを特徴とする、燃料電池用金属多孔体セパレータ。
- 請求項1または2に記載の燃料電池セパレータの流路部が球状金属粉末焼結多孔体からなり、膜・電極接合体とは流路部に存在する球状粉末の頂点で点接触する構造を有することを特徴とする、燃料電池用金属多孔体セパレータ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の流路部を形成する焼結多孔体に粒径100μmから1000μmの球状金属粉末を用いてなることを特徴とする、燃料電池用金属多孔体セパレータ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属多孔体に用いる球状金属粉末が、ガスアトマイズ、水アトマイズ、遠心噴霧法またはこれらの複合にて製造された球状粉末であることを特徴とする、燃料電池用金属多孔体セパレータの製造方法。
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