JP2012142135A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】アノード側のガス流路構造とカソード側のガス流路構造が異なっている場合においても、セル出力を向上させることができる燃料電池を提供する。
【解決手段】膜電極接合体10と、膜電極接合体10に接合されるアノード側ガス拡散層12及びカソード側ガス拡散層14と、アノード側ガス拡散層12に水素ガスを供給するアノード側ガス流路が溝状に形成されるセパレータ20と、カソード側ガス拡散層14に空気を供給する多孔質体層34を備える。アノード側ガス流路とカソード側ガス流路は互いに異なり非対称であり、アノード側ガス流路の溝の接触領域の形成位置と、カソード側ガス流路の接触領域の形成位置が面内方向において位置合わせされて接触面積が最大化される。
【選択図】図1
【解決手段】膜電極接合体10と、膜電極接合体10に接合されるアノード側ガス拡散層12及びカソード側ガス拡散層14と、アノード側ガス拡散層12に水素ガスを供給するアノード側ガス流路が溝状に形成されるセパレータ20と、カソード側ガス拡散層14に空気を供給する多孔質体層34を備える。アノード側ガス流路とカソード側ガス流路は互いに異なり非対称であり、アノード側ガス流路の溝の接触領域の形成位置と、カソード側ガス流路の接触領域の形成位置が面内方向において位置合わせされて接触面積が最大化される。
【選択図】図1
Description
本発明は燃料電池に関し、特に部材間の接触抵抗の低減に関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子膜からなる電解質膜を燃料極と空気極との2枚の電極で挟んだ膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を、さらに2枚のセパレータで挟持してなるセルを最小単位とし、このセルを複数積み重ねて燃料電池スタックとして高出力を得ている。
固体高分子型燃料電池の発電の仕組みは周知であるが、簡単に説明すると、燃料極(アノード側電極)に燃料ガスとして例えば水素含有ガスが、空気極(カソード側電極)に酸化剤ガスとして例えば主に酸素を含有するガスあるいは空気が供給される。水素含有ガスは、燃料ガス流路を通ってアノード側電極に供給され、電極の触媒の作用により電子と水素イオンに分解される。電子は外部回路を通ってカソード側電極に移動する。一方、水素イオンは電解質膜を通過してカソード側電極に達し、酸素および外部回路を通ってきた電子と結合し、反応水になる。水素と酸素及び電子の結合反応により発生する熱は、冷却水によって回収される。また、カソード側電極に生成した水(以下「生成水」という)は、カソード側から排出される。
燃料電池のアノード側電極及びカソード側電極は、それぞれ触媒層からなり、この触媒層にはそれぞれ水素含有ガス、酸化剤ガスを拡散するためのガス拡散層が積層されている。上述の反応により生成した生成水の排出がカソード側で滞った場合、カソード側電極に閉塞現象(「フラッディング現象」)が生じる場合がある。そこで、ガス拡散層を、炭素繊維からなる層と撥水層から構成し、撥水層により生成水の排水を促進している。
下記の特許文献1には、セパレータ、多孔質体層、ガス拡散シート、膜電極接合体(MEA)、ガス拡散シート、セパレータを順次積層した燃料電池が開示されている。アノード側のガス流路構造は溝型ガス流路構造であるのに対し、カソード側のガス流路構造を多孔質体を用いた多孔質型ガス流路構造とし、アノード側のガス流路構造とカソード側のガス流路構造を対称(あるいは同一)ではなく非対称(あるいは非同一)とした構造が開示されている。
アノード側のガス流路構造を溝型ガス流路構造とすることでアノード側において燃料ガスと冷却水を溝内に供給することができる一方、カソード側のガス流路構造を多孔質体構造とすることで酸化剤ガスとして空気を供給する場合においても十分な反応断面積を確保するとともに反応水の排水性も向上することができる。
しかしながら、アノード側のガス流路構造とカソード側のガス流路構造を非対称(あるいは非同一)とした場合には、以下のような問題が生じ得る。すなわち、アノード側のガス流路構造は溝型であるため、溝の形成ピッチでガス流路が形成される。一方、カソード側のガス流路構造は多孔質型であるため、多孔質の形成ピッチでガス流路が形成される。従って、燃料電池を構成した場合に、アノード側においてガス流路が存在する部分と、カソード側においてガス流路が存在する部分は一般に異なることになる。
燃料電池は、上記のように、セパレータ/多孔質体層/ガス拡散層/膜電極接合体/ガス拡散層/セパレータの構成であり、両側のセパレータで挟持する構成であるところ、アノード側のガス流路とカソード側ガス流路の位置が互いに異なると、ガス流路とガス拡散層との界面における接触抵抗、あるいはガス拡散層と膜電極接合体との界面における接触抵抗が位置により異なることとなり、セル出力の低下を招く。例えば、アノード側においてガス流路が存在していても、カソード側の対応する位置においてガス流路が存在していないと、この位置において電子伝導を確保するための一定面圧を得ることができず、セル出力が低下する。
本発明の目的は、アノード側のガス流路構造とカソード側のガス流路構造が異なっている場合においても、セル出力を向上させることができる燃料電池を提供することにある。
本発明は、燃料電池であって、膜電極接合体と、前記膜電極接合体の一方側に接合されるアノード側ガス拡散層と、前記膜電極接合体の他方側に接合されるカソード側ガス拡散層と、前記アノード側ガス拡散層に燃料ガスを供給するアノード側ガス流路と、前記カソード側ガス拡散層に酸化剤ガスを供給するカソード側ガス流路とを備え、前記アノード側ガス流路と前記カソード側ガス流路は互いに異なり非対称であり、前記アノード側ガス流路は、前記アノード側ガス拡散層の面内方向において前記アノード側ガス拡散層に接触する接触領域と接触しない非接触領域が交互に存在し、前記カソード側ガス流路は、前記カソード側ガス拡散層の面内方向において前記カソード側ガス拡散層に接触する接触領域と接触しない非接触領域が交互に存在し、前記アノード側ガス流路の前記接触領域の形成位置と、前記カソード側ガス流路の前記接触領域の形成位置は、前記面内方向において位置合わせされることを特徴とする。
本発明の1つの実施形態では、前記アノード側ガス流路は、セパレータの凹凸により構成されるガス流路であり、前記カソード側ガス流路は、多孔質体層により構成されるガス流路であり、前記セパレータの凹凸のいずれか一方がガス流路であり他方が冷媒流路である。
本発明の他の実施形態では、前記アノード側ガス流路の前記接触領域の面内方向の幅をB、前記カソード側ガス流路の前記接触領域の面内方向の幅をE、前記非接触領域の面内方向の幅をFとすると、m、nをそれぞれ自然数として、
B=mE+nF
の関係を満たす。
B=mE+nF
の関係を満たす。
また、本発明の他の実施形態では、前記アノード側ガス流路の前記非接触領域の面内方向の幅をCとすると、幅Bと幅Cの比率は前記アノード側ガス流路において一定であり、前記m、nは前記アノード側ガス流路において一定である。
また、本発明の他の実施形態では、前記アノード側ガス流路の前記非接触領域の面内方向の幅をCとすると、幅Bと幅Cの比率は前記アノード側ガス流路において変化し、前記m、nは前記アノード側ガス流路において変化する。
また、本発明の他の実施形態では、前記幅Bと幅Cの比率B/Cは、前記アノード側ガス流路の下流側において上流側よりも増大するように変化する。
本発明によれば、アノード側のガス流路構造とカソード側のガス流路構造が異なっている場合においても界面の接触抵抗を低減させ、セル出力を向上させることができる。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
1.基本原理
まず、本実施形態の基本原理について説明する。
まず、本実施形態の基本原理について説明する。
本実施形態の前提となる構成は、アノード側のガス流路構造とカソード側のガス流路構造が異なり、非対称である燃料電池である。アノード側とカソード側のガス流路の構造が異なるため、アノード側とカソード側のガス流路のピッチや形成位置が異なり、膜電極とガス拡散層とを接合した膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)から見てアノード側におけるガス流路とカソード側におけるガス流路の位置が異なるので、MEGAをアノード側及びカソード側の両側からガス流路がサポートできない領域が生じ、一定面圧を確保できない。
そこで、本実施形態では、アノード側のガス流路ピッチと、カソード側ガス流路のピッチが互いに異なっていたとしても、アノード側のガス流路とカソード側ガス流路がともにMEGAをサポートする領域を最大化するように、アノード側のガス流路とカソード側のガス流路の形成位置を調整するものである。すなわち、アノード側のガス流路のうちMEGAに接触する領域とカソード側のガス流路のうちMEGAに接触する領域の、MEGA面内方向の形成位置を互いに位置合わせする。ガス流路の形成位置をガス流路の位相と表現すると、本実施形態ではアノード側のガス流路の接触領域の位相とカソード側のガス流路の接触領域の位相とを合わせるということができる。
例えば、アノード側のガス流路構造を溝型、カソード側のガス流路構造を多孔質型とし、アノード側のガス流路のピッチをA、ガス流路のMEGAとの接触幅をB、非接触幅をC、カソード側のガス流路のピッチをD(A>D)、ガス流路のMEGAとの接触幅をE(B>E)、非接触幅をF(C>F)とすると、
B=E+F+E=2E+F
かつ
C=F+E+F=E+2F
を満たすように形成位置を位置合わせする。
B=E+F+E=2E+F
かつ
C=F+E+F=E+2F
を満たすように形成位置を位置合わせする。
このような関係を満たすようにそれぞれの形成位置を調整することで、アノード側のガス流路とカソード側のガス流路がともにMEGAに接触する面積を最大化でき、これによりMEGAをアノード側及びカソード側の両側から一定の圧力を印加してガス流路とガス拡散層との界面における接触抵抗、及びガス拡散層と膜電極接合体(MEA)との界面における接触抵抗を低下させることができる。
上記の条件式において、MEGAに接触する領域に直線関係する式は、
B=2E+F
であり、少なくともこの条件式を満たすことで接触面積を最大化し得る。
B=2E+F
であり、少なくともこの条件式を満たすことで接触面積を最大化し得る。
言うまでもなく、上記の条件式は、B,E,Fが特定の値である場合に成立するものであり、B,E,Fの値によっては、
B=3E+2F
あるいは、
B=4E+3F
の関係が成立する場合もあり得る。より一般化すれば、mとnをそれぞれ自然数として、
B=mE+nF
を満たすように位置合わせすればよい。
B=3E+2F
あるいは、
B=4E+3F
の関係が成立する場合もあり得る。より一般化すれば、mとnをそれぞれ自然数として、
B=mE+nF
を満たすように位置合わせすればよい。
アノード側のガス流路とカソード側のガス流路をランダムに配置した場合、上記の条件式を満たすことはなく、一般に、iとjを自然数以外の有理数として、
B=iE+jF
となる。同一のB、E、Fで比較するとm>iであり、MEGAとの接触領域の面積は本実施形態よりも小さくなる。
B=iE+jF
となる。同一のB、E、Fで比較するとm>iであり、MEGAとの接触領域の面積は本実施形態よりも小さくなる。
以下、本実施形態の構成について、具体的に説明する。
2.第1実施形態
図1に、本実施形態における燃料電池の断面構成を示す。全体構成は、従来技術とほぼ同一であり、アノード側のガス流路構造とカソード側のガス流路構造が互いに異なる非対称の燃料電池である。
図1に、本実施形態における燃料電池の断面構成を示す。全体構成は、従来技術とほぼ同一であり、アノード側のガス流路構造とカソード側のガス流路構造が互いに異なる非対称の燃料電池である。
燃料電池は、セパレータ20、セパレータ30、多孔質体層34、ガス拡散シート14、MEA10、ガス拡散シート12、セパレータ20、セパレータ30を順次積層して構成される。ガス拡散シート12、セパレータ20、セパレータ30がアノード側、セパレータ20、セパレータ30、多孔質体層34、ガス拡散シート14がカソード側である。ガス拡散シート14、MEA10、ガス拡散シート12は互いに接合されてMEGAを構成する。
セパレータ20及びセパレータ30は、矩形状の外形を有しており、外周側には複数の貫通孔が設けられて各種マニホールドが形成される。セパレータ20は、1枚の金属板をプレス加工することにより形成され、表面と裏面との間で凹凸形状が反転する。セパレータ20は、凹部22aと凹部22bとを有する。セパレータ20を平面視した場合、凹部22aと凹部22bはそれぞれ櫛状のパターンとなっており、2つの櫛状のパターンが互いに噛み合うように配置される。アノード側のセパレータ20の外周側に設けられた貫通孔により形成されるマニホールドを介して凹部22aには高圧の水素ガスが供給される。また、凹部22bは、セパレータ20の外周側に設けられた他の貫通孔により形成されるマニホールドを介してアノードガス排気系に接続される。従って、凹部22aに供給された水素ガスは、図中矢印で示すようにセパレータ20に接するガス拡散シート12を経由して隣接する凹部22bに流れ込む。この流れの過程で、ガス拡散シート12からMEA10のアノード側電極触媒層に水素が供給される。また、セパレータ20の凸部24は、セパレータ面内を蛇行して形成され、セパレータ30とともに冷却水等の冷媒を流す冷媒流路として機能する。
図2に、セパレータ20の平面図を示す。図において、凹部22aに供給された水素ガスが凹部22bに流れ込む様子、及び蛇行形成された凸部24を冷媒が流れる様子をそれぞれ矢印で示す。なお、図中、領域Pは、MEA10の面内で発電反応に用いられる発電領域を示す。
一方、ガス拡散層14には、ガス拡散層14より密度が低く、微細孔によりガスを拡散させて通流させる多孔質体層34を介して空気が供給され、ガス拡散シート14からMEA10のカソード側電極触媒層に酸素が供給される。
図3に、セパレータ20の凹凸で形成される溝型ガス流路とMEGAとの関係、及び多孔質体層34で形成される多孔質体ガス流路とMEGAとの関係を模式的に示す。MEGA40は、上記のようにMEA10とガス拡散層12,14から構成される。アノード側の溝型ガス流路のうちMEGA40と接触して電子経路となり得る領域を領域50、カソード側の多孔質体ガス流路のうちMEGA40と接触して電子経路となり得る領域を領域60とする。本実施形態では、領域50,60の寸法をほぼ同一に設定する。すなわち、領域50の面内方向の横幅をWa、面内方向の縦幅をHa、領域60の面内方向の横幅をWb、面内方向の縦幅をHbとすると、本実施形態では、
Wa=Wb
Ha=Hb
となるようにセパレータ20及び多孔質体層34を形成する。
Wa=Wb
Ha=Hb
となるようにセパレータ20及び多孔質体層34を形成する。
さらに、本実施形態では、アノード側の溝型ガス流路の形成位置と、カソード側の多孔質体ガス流路の形成位置とを調整して形成する。具体的には、燃料電池セルは、図1に示されたセパレータ20,30や多孔質体層34、MEGAを積層して金型内にインサートし、セパレータの貫通孔の周囲にガスケットを成形することにより構成されるが、この際、セパレータ20の凹凸(溝)をプレス加工で成形する一方で、多孔質体層34の微細孔をセパレータ20の溝の幅に応じて形成する。多孔質体層34は、例えばチタン等の金属により構成され、エキスパンドメタルのように機械加工により形成され、あるいは焼結により成形される。そして、表面が平坦なセパレータ30と多孔質体層34を互いに全面にわたって密着させてスポット溶接し、セパレータ20、多孔質体層34が全面にわたってスポット溶接され多孔質体層34と一体化されたセパレータ30、MEGAを積層し、セパレータ20の溝と多孔質体層34の微細孔の位置を調整しつつ金型内にインサートする。
以下、アノード側のセパレータ20により形成される溝型のガス流路と、カソード側の多孔質体層34により形成される微細孔のガス流路との位置関係について説明する。
図4に、セパレータ20の溝流路と多孔質体34の流路との位置関係を模式的に示す。また、比較のため、図5に従来のセパレータ20の溝流路と多孔質体34の流路との位置関係を模式的に示す。図4において、溝流路は、セパレータ20の凹凸で形成され、凹部22aが水素ガスのガス流路であり、凸部24が冷媒流路である。凸部24はMEGAと接触する領域であり、凹部22aはMEGA側が開口となっているためMEGAと接触しない非接触領域である。なお、凹部22bも凹部22aと同様に水素ガスのガス流路であるが、凹部22aと同様であるため以下の説明では凹部22aとしてまとめて説明する。
多孔質体層34の流路は、多孔質体層34の微細孔で構成され、非微細孔34bはMEGAと接触する接触領域であり、微細孔34aはMEGA側が開口となっているためMEGAと接触しない非接触領域である。セパレータ20の凸部24と多孔質体層34の非微細孔34bが対向する領域ではともにMEGAに接触しており、この領域ではMEGAは両側から挟持されて一定の面圧が印加されるため界面の接触抵抗が相対的に低下する。一方、セパレータの凸部24と多孔質体層34の微細孔34aが対向する領域では凸部24のみがMEGAに接触しているから界面の接触抵抗は相対的に増大する。セパレータ20の凹部22aと多孔質体層34の非微細孔34bが対向する領域では非微細孔34bのみがMEGAに接触しているから界面の接触抵抗は相対的に増大する。
そこで、本実施形態では、セパレータ20のMEGAとの接触領域である凸部24と、多孔質体層34のMEGAとの接触領域である非微細孔34bの形成位置を合わせ、以下の条件式を満足するように調整する。
すなわち、セパレータ20の面内方向のピッチをA、凸部24の面内方向の幅をB、凹部22aの面内方向の幅をCとし、多孔質体層34の面内方向のピッチをD、非微細孔34bの面内方向の幅をE、微細孔34aの面内方向の幅をFとした場合に、
A=B+C
D=E+F
B>E,F
C>E,F
B=E+F+E=2E+F
C=F+E+F=E+2F
となるように調整する。
A=B+C
D=E+F
B>E,F
C>E,F
B=E+F+E=2E+F
C=F+E+F=E+2F
となるように調整する。
これら条件式を満たす場合、図4に示すように、セパレータ20のMEGAとの接触領域である凸部24に対向する位置に、多孔質体層34のMEGAとの接触領域である非微細孔34bが2個存在することとなり、MEGAに対して両側から接触する領域面積が最大化し、界面の接触抵抗が低減される。より具体的には、Wa=Wb=200mm、Ha=Hb=100mm、A=2.25mm、B=1.0mm、C=1.25mm、D=0.75mm、E=0.25mm、F=0.5mm等と設定することができる。
一方、図5に示す従来構造の場合、セパレータ20の凸部24と多孔質体層34の非微細孔34bの形成位置が調整されていないため、セパレータ20のMEGAとの接触領域である凸部24に対向する位置に、多孔質体層34のMEGAとの接触領域である非微細孔34bが2個未満、例えば1.5個のみが存在することとなり、所望の面圧が得られず界面の接触抵抗が増大してしまう。図4と図5とを比較することで、本実施形態の効果は明らかとなろう。
3.第2実施形態
上記の第1実施形態では、アノード側の溝型ガス流路の凹凸の比率を一定としているが、凹凸の比率が変化してもよい。すなわち、図4において、ピッチAは一定とするものの、凸部24の幅Bと凹部22aの幅Cの比率を変化させてもよい。
上記の第1実施形態では、アノード側の溝型ガス流路の凹凸の比率を一定としているが、凹凸の比率が変化してもよい。すなわち、図4において、ピッチAは一定とするものの、凸部24の幅Bと凹部22aの幅Cの比率を変化させてもよい。
図6に、凸部24の幅Bと凹部22aの幅Cの比率B/Cをガス流路に沿って変化させる一例を示す。図において、横軸は水素ガスの流れを示し、図中右方向にいくほど下流側であることを示す。また、縦軸は比率B/Cを示す。図中、実線100で示すように下流側ほど凸部24の幅Bが順次大きく、あるいは凹部22aの幅Cが順次小さくなり、比率B/Cが増大する。ガスの下流側ほど凹部22aの幅Cを小さくすることにより、ガスの下流側において水素ガスの流路断面積が縮小して水素ガスの流速を増大させることができる。また、ガスの下流側ほど凸部24の幅Bを大きくすることにより、ガスの下流側において冷媒の流量を増大させて冷却性能を向上させることができる。もちろん、比率B/Cを連続的に変化させるのではなく、図中一点鎖線200で示すように比率B/Cを段階的あるいは不連続的に増大させてもよい。図ではガスの流れを上流域、中流域、下流域の3つの領域に分け、それぞれの領域において比率B/Cを一定としつつ、領域間で段階的に増大させている。
このように、比率B/Cが増大する構成において、セパレータ20における比率B/Cの変化に応じて、多孔質体層34の微細孔34aと非微細孔34bの比率も変化させる。
図7に、本実施形態におけるセパレータ20の溝流路と多孔質体34の流路との位置関係を模式的に示す。
ガスの上流域では、第1実施形態と同様の位置関係であり、
A=B+C
D=E+F
B>E,F
C>E,F
B=E+F+E=2E+F
C=F+E+F=E+2F
の関係を満たす。
A=B+C
D=E+F
B>E,F
C>E,F
B=E+F+E=2E+F
C=F+E+F=E+2F
の関係を満たす。
一方、ガスの下流域では、ピッチAは上流域のピッチAと同一であるものの、凸部24の幅B´は上流域の幅Bと異なり、かつ、凹部22aの幅C´は上流域の幅Cと異なる。すなわち、
B´>B
C´<C
B´/C´>B/C
である。この場合、凸部24の幅B´と凹部22aの幅C´に応じて、非微細孔34bの幅Eと微細孔34bの幅FもそれぞれE´、F´に変化させて凸部24の形成位置と非微細孔34bの形成位置を位置合わせして、
B´=E´+F´+E´+F´+E´=3E´+2F´
の関係を満たすように調整する。
B´>B
C´<C
B´/C´>B/C
である。この場合、凸部24の幅B´と凹部22aの幅C´に応じて、非微細孔34bの幅Eと微細孔34bの幅FもそれぞれE´、F´に変化させて凸部24の形成位置と非微細孔34bの形成位置を位置合わせして、
B´=E´+F´+E´+F´+E´=3E´+2F´
の関係を満たすように調整する。
このような構成によれば、ガスの流れに沿って凸部24の幅と凹部22aの幅の比率B/Cが変化しても、MEGAに対して両側から接触する領域面積が最大化し、界面の接触抵抗が低減される。
なお、上記の
B´=E´+F´+E´+F´+E´=3E´+2F´
は一例であって、上流域、中流域、下流域を問わず、一般的に
B=mE+nF
と表現することができる。但し、m、nは自然数であり、比率B/Cが変化しない場合にはm、nも一定値であり、比率B/Cがガスの流れに沿って変化する場合にはこれに応じてm、nも変化し得る。
B´=E´+F´+E´+F´+E´=3E´+2F´
は一例であって、上流域、中流域、下流域を問わず、一般的に
B=mE+nF
と表現することができる。但し、m、nは自然数であり、比率B/Cが変化しない場合にはm、nも一定値であり、比率B/Cがガスの流れに沿って変化する場合にはこれに応じてm、nも変化し得る。
4.変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記以外にも種々の変形例が可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記以外にも種々の変形例が可能である。
例えば、第1実施形態では、凸部24の幅Bと凹部22aの幅Cにおいて、B<Cとしているが、両者の幅を同一にしてB=Cとしてもよく、あるいはB>Cとしてもよい。セパレータ20は金属から構成され、燃料電池において集電板としても機能するから、凸部24の幅Bを大きくしてMEGAとの接触面積を増大させることにより接触抵抗を小さくすることができる。
また、本実施形態では、アノード側を溝型のガス流路、カソード側を多孔質のガス流路としているが、アノード側とカソード側とでガス流路が異なる他の組み合わせにも適用し得る。このような組み合わせの一例は、アノード側においても多孔質体層を設けるとともに、アノード側の多孔質体層とカソード側の多孔質体層が同一ではなく互いに異なる構造を有している場合である。この場合においても、アノード側の多孔質体層のピッチをA、非微細孔の幅をB、微細孔の幅をCとして、各実施形態に示された条件式を満足するように位置合わせすればよい。
さらに、本実施形態において、アノード側の接触領域である凸部24と、カソード側の接触領域である非微細孔34bは面内方向において位置合わせされているが、本実施形態における「位置合わせ」は、必ずしも厳密に両者の位置が一致していることを意味するものではなく、設計公差の範囲内において両者の位置が一致していることを意味するものである。すなわち、所定の公差の範囲内で両者の位置がずれていても、両者の位置は実質的に一致していて「位置合わせされている」とみなすことができる。
10 膜電極接合体(MEA)、12,14 ガス拡散層、20 セパレータ、22a,22b 凹部、24 凸部、30 セパレータ、34 多孔質体層。
Claims (6)
- 燃料電池であって、
膜電極接合体と、
前記膜電極接合体の一方側に接合されるアノード側ガス拡散層と、
前記膜電極接合体の他方側に接合されるカソード側ガス拡散層と、
前記アノード側ガス拡散層に燃料ガスを供給するアノード側ガス流路と、
前記カソード側ガス拡散層に酸化剤ガスを供給するカソード側ガス流路と、
を備え、
前記アノード側ガス流路と前記カソード側ガス流路は互いに異なり非対称であり、
前記アノード側ガス流路は、前記アノード側ガス拡散層の面内方向において前記アノード側ガス拡散層に接触する接触領域と接触しない非接触領域が交互に存在し、
前記カソード側ガス流路は、前記カソード側ガス拡散層の面内方向において前記カソード側ガス拡散層に接触する接触領域と接触しない非接触領域が交互に存在し、
前記アノード側ガス流路の前記接触領域の形成位置と、前記カソード側ガス流路の前記接触領域の形成位置は、前記面内方向において位置合わせされる
ことを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、
前記アノード側ガス流路は、セパレータの凹凸により構成されるガス流路であり、
前記カソード側ガス流路は、多孔質体層により構成されるガス流路であり、
前記セパレータの凹凸のいずれか一方がガス流路であり他方が冷媒流路である
ことを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、
前記アノード側ガス流路の前記接触領域の面内方向の幅をB、前記カソード側ガス流路の前記接触領域の面内方向の幅をE、前記非接触領域の面内方向の幅をFとすると、m、nをそれぞれ自然数として、
B=mE+nF
の関係を満たすことを特徴とする燃料電池。 - 請求項3記載の燃料電池において、
前記アノード側ガス流路の前記非接触領域の面内方向の幅をCとすると、幅Bと幅Cの比率は前記アノード側ガス流路において一定であり、
前記m、nは前記アノード側ガス流路において一定である
ことを特徴とする燃料電池。 - 請求項3記載の燃料電池において、
前記アノード側ガス流路の前記非接触領域の面内方向の幅をCとすると、幅Bと幅Cの比率は前記アノード側ガス流路において変化し、
前記m、nは前記アノード側ガス流路において変化する
ことを特徴とする燃料電池。 - 請求項5記載の燃料電池において、
前記幅Bと幅Cの比率B/Cは、前記アノード側ガス流路の下流側において上流側よりも増大するように変化する
ことを特徴とする燃料電池。
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