JP2010111793A - 水性低汚染塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定性が良好であるため1液型でも2液型でも用いることができ、従来の溶剤型低汚染塗料と同等以上の雨筋状汚染防止作用を有する塗膜を与える水性低汚染塗料を提供すること。
【解決手段】例えば、グリシドールと、これと反応する官能基を有するトリアルコキシシランから得られた水酸基含有トリアルコキシシランを縮合させて得られた、例えば、150mgKOH/g以上の水酸基を含有するポリシルセスキオキサンを含む水性低汚染塗料。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性低汚染塗料に関する。
都市近郊では排気ガス等の浮遊物質の増加によって建築物の雨筋状汚染が問題視されている。
この雨筋状汚染の軽減には、塗膜に汚れを付着させない(塗膜の帯電を防止する)こと、付着した汚れを定着させない(塗膜の架橋密度を上げる)こと、付着した汚れを降雨などによって除去し易くする(塗膜表面の親水性を挙げる)こと、などの特性を塗膜に付与することが考えられる。
従来汎用されている溶剤系の塗料では、一般に、オルガノシリケートやアルコキシシランを塗料中に添加して、上述した特性を発揮させ、雨筋状汚染の発生を防止している。
ところで、近年、地球環境や、作業者および居住者の安全面から、溶剤系塗料に代えて水性塗料が用いられるようになってきている。
溶剤系塗料に用いられているオルガノシリケートやアルコキシシランは、水と縮合反応を起こすため水中で安定化させることが難しい。
例えば、特許文献1では、低汚染化剤として少なくとも1個のポリアルキレンオキサイド基を有するアルコキシシランの変性縮合物を配合した水性塗料が開示されている。
しかし、ここで用いられている低汚染化剤も、シリケートタイプであって水中での安定性に問題があり、塗料として用いる場合は、使用直前に塗料組成物に配合する必要があり、また、配合後のポットライフを考慮した施工管理が必要になる等の種々の問題点を有している。
しかも、特許文献1の塗料は、多少の雨筋状汚染防止効果を有してはいるものの、溶剤系塗料のそれには劣る。
また、最近、コロイダルシリカ等の水分散タイプのケイ素化合物を配合した塗料も開発されている(特許文献2参照)。
しかし、この塗料の場合も、雨筋状汚染防止効果は溶剤系塗料のそれには劣る。
しかも、この塗料の場合、得られた塗膜の光沢が低下してしまい、意匠性という別の問題が生じる。
特許第3073775号公報 特開2006−28470号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、1液型でも2液型でも用いることができ、従来の溶剤型低汚染塗料と同等以上の雨筋状汚染防止作用を有する塗膜を与える水性低汚染塗料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、水に対する安定性に優れた水酸基含有ポリシルセスキオキサンに着目し、これを水性塗料の低汚染化剤として用いることで、1液型でも2液型でも利用できるうえに、従来の溶剤型低汚染塗料と同等以上の雨筋状汚染防止作用を発揮する塗膜が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 水酸基を含有するポリシルセスキオキサンを含むことを特徴とする水性低汚染塗料、
2. 前記ポリシルセスキオキサンの水酸基価が、150mgKOH/g以上である1の水性低汚染塗料、
3. 当該塗料中の樹脂固形分100質量部に対し、前記ポリシルセスキオキサンが固形分で2〜50質量部含まれる1または2の水性低汚染塗料、
4. 前記水酸基を含有するポリシルセスキオキサンが、第1の官能基を有するトリアルコキシシランと、水酸基および前記第1の官能基と反応して前記トリアルコキシシランと化学結合を形成し得る第2の官能基を有する化合物とを反応させて得られた水酸基含有トリアルコキシシランを縮合させて得られたものである1〜3のいずれかの水性低汚染塗料、
5. 前記化合物が、水酸基を含有するエポキシ基含有化合物、または水酸基を含有する(メタ)アクリル酸誘導体である1〜4のいずれか1項記載の水性低汚染塗料、
6. 2液型である1〜5のいずれかの水性低汚染塗料
を提供する。
本発明によれば、安定性が良好であるため1液型でも2液型でも用いることができ、従来の溶剤型低汚染塗料と同等以上の雨筋状汚染や雨じみ汚染の防止効果を発揮する塗膜を与える水性低汚染塗料を提供することができる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る水性低汚染塗料は、水酸基を含有するポリシルセスキオキサンを含むことを特徴とする。
本発明において、ポリシルセスキオキサンの水酸基含有量は、特に限定されるものではないが、得られる塗膜の雨筋状汚染防止効果を高めることを考慮すると、固形分換算値で水酸基価150mgKOH/g以上が好ましく、200mgKOH/g以上がより好ましく、300mgKOH/g以上がより一層好ましい。
本発明で用いる水酸基含有ポリシルセスキオキサンは、第1の官能基を有するトリアルコキシシランに、この第1の官能基と反応し得る第2の官能基および水酸基を有する化合物、またはトリアルコキシシランの有する第1の官能基との反応によって水酸基を生じる第2の官能基を有する化合物を反応させ、トリアルコキシシランと水酸基を有する化合物とを化学結合(共有結合等)させて得られた水酸基含有トリアルコキシシランを縮合させて得ることができる。
ここで、トリアルコキシシランが有する第1の官能基としては、例えば、アミノ基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基、(メタ)アクリル基、メルカプト基などが挙げられる。
また、アルコキシシランのアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、メトキシ基またはエトキシ基が好適である。
このような官能基を有するトリアルコキシシランは、従来公知の化合物から適宜選択して用いればよく、その具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有トリアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のグリシジルまたはエポキシ基含有トリアルコキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有トリアルコキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記トリアルコキシシランは、それぞれ単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
トリアルコキシシランの有する第1の官能基と反応し得る第2の官能基としては、アミノ基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、水酸基等が挙げられ、これらの中でも、エポキシ基(グリシジル基)は、トリアルコキシシランの有する官能基との反応によって、水酸基を生じるため好適である。
このような第2の官能基を有する化合物としても、従来公知の化合物から適宜選択して用いればよく、その具体例としては、グリシドール、ジエタノールアミン、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、モノエタノールアミン、メルカプトエタノール、チオグリセロール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
これらの化合物は、それぞれ単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、得られるポリシルセスキオキサンの水酸基含有量を高めることを考慮すると、上記各化合物の中でも、水酸基を2個以上有する化合物や、1つ以上の水酸基を有するとともにさらにトリアルコキシシランの有する第1の官能基との反応によって新たに水酸基が生じる化合物を用いることが好適であり、グリシドール、ジエタノールアミン、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、モノエタノールアミン等を用いることが好適であり、特に、グリシドールを用いることが好ましい。
したがって、トリアルコキシシランとしても、これらの化合物と反応する基を有するものが好適であり、アミノ基含有トリアルコキシシラン、グリシジルまたはエポキシ基含有トリアルコキシシラン等が好ましい。
本発明においては、アミノ基含有トリアルコキシシランとグリシドールとの組み合わせが好ましく、特に、2当量のグリシドールと反応し得る1級アミノ基含有トリアルコキシシランが、得られるポリシルセスキオキサンの水酸基含有量を高めるという点から好適である。
なお、官能基含有トリアルコキシシランと、この官能基と反応し得る官能基を有する化合物との反応は、用いる原料に応じて公知の手法を用いればよい。
アミノ基含有トリアルコキシシランと、グリシドールとの反応を一例に挙げる。
まず、アミノ基含有トリアルコキシシラン1当量に対し、グリシドール1〜3当量を氷冷下で加えた後、20〜60℃に加温して1〜12時間程度反応させる。得られた反応液に、室温でメタノールをトリアルコキシシランの1〜2体積倍量加え、撹拌しながらフッ化アンモニウム水溶液を滴下し、室温で1〜6時間撹拌する。その後、純水をメタノールの1〜2体積倍量加えた後、メタノールを減圧蒸留にて除去することで、水酸基含有ポリシルセスキオキサンの水溶液を得ることができる。
本発明の塗料において、水酸基含有ポリシルセスキオキサンの配合量は、水酸基価によって変動するものであるため一概に規定することはできないが、十分な雨筋状汚染防止効果を発揮させることを考慮すると、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し、ポリシルセスキオキサンを固形分で2質量部以上配合することが好ましく、10質量部以上配合することがより好ましく、13質量部以上配合することがより一層好ましい。
また、配合量の上限は、雨筋状汚染防止効果という点では特に限定されるものではないが、配合量の増大に伴って塗膜の耐水性が低下することから、50質量部程度とすることが好適である。
本発明の水性低汚染塗料では、上述した水酸基含有ポリシルセスキオキサンを用いることに特徴があるため、配合対象となる樹脂成分には特に制限はなく、従来、水性塗料に用いられている任意の樹脂エマルションを用いることができる。
その具体例としては、アクリル樹脂系エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂系エマルション、ウレタン樹脂系エマルションなどが挙げられる。
アクリル樹脂系エマルションとしては、アクリル系単量体をラジカル重合して得られるものや、アクリル系単量体と共重合可能なその他の単量体とをラジカル共重合して得られるものが挙げられる。
アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル系単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有(メタ)アクリル系単量体;アクリロニトリル等のニトリル基含有(メタ)アクリル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体などが挙げられる。
一方、上記アクリル系単量体と共重合可能なその他の単量体の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル単量体;マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和結合含有酸無水物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン等の塩素含有単量体;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル等の水酸基含有アルキルビニルエーテル;エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル等のアルキレングリコールモノアリルエーテル類;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテルなどが挙げられる。
アクリルシリコン樹脂系エマルションとしては、珪素含有アクリル系単量体をラジカル重合して得られるものや、珪素含有アクリル系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体とをラジカル共重合して得られるものが挙げられる。
珪素含有アクリル系単量体の具体例としては、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の加水分解性シリル基含有ビニル系単量体などが挙げられる。
珪素含有アクリル系単量体と共重合可能なその他の単量体の具体例としては、上述したアクリル系単量体やアクリル系単量体と共重合可能なその他の単量体が挙げられる。
フッ素樹脂系エマルションとしては、フッ素含有単量体をラジカル重合して得られるものや、フッ素含有単量体とこれと共重合可能なその他の単量体とをラジカル共重合して得られるものが挙げられる。
フッ素含有単量体の具体例としては、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフルオロオレフィン;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
フッ素含有単量体と共重合可能なその他の単量体の具体例としては、上述したアクリル系単量体やアクリル系単量体と共重合可能なその他の単量体が挙げられる。
ウレタン樹脂系エマルションとは、塗膜形成前からウレタン結合を有するものでも、塗膜形成後の反応によりウレタン架橋を形成するものでもよい。エマルションの形態としては、1液型でも2液型であってもよい。
1液型としては、(1)ウレタン結合を有する重合性単量体とこれと共重合可能なその他の単量体と共重合する方法、(2)ウレタン結合を有する水性樹脂の存在下で重合性不飽和単量体を重合する方法、(3)反応性基を有する水性ウレタン樹脂と、この反応性基と反応し得る官能基を有する化合物を含むエマルションとを混合する方法等が挙げられる。
2液型としては、水分散性イソシアネートと水酸基含有化合物を含むエマルションとの組み合わせなどが挙げられる。
なお、本発明の水性低汚染塗料は、上述した各成分の他に、必要に応じて、着色顔料、体質顔料、塗料用添加剤を配合してもよい。
着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベンガラ)、黄鉛、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機顔料が挙げられる。
体質顔料としては、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等が挙げられる。
塗料用添加剤としては、可塑剤、触媒、防かび剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、増粘剤、艶消し剤、光安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
以上説明した水性低汚染塗料は、建築物などの塗装用に好適に用いることができ、外壁や屋根材等の、塗装、補修や改修などに好適に用いることができる。
この場合、塗布法は特に限定されるものではなく、刷毛塗り、ローラ塗りなどの公知の手法から適宜選択すればよい。また、塗布量、塗膜の厚み、乾燥時間などは、被塗装面の材質などに応じて適宜なものとすればよい。
以下、合成例、比較合成例、製造例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。以下の説明において、「部」は質量部を意味する。
[合成例1]水酸基含有ポリシルセスキオキサン1の合成
温度計、撹拌装置、還流冷却器を取り付けたフラスコに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903,信越化学工業(株)製)34.00gを加え、氷冷下で撹拌しながら、グリシドール22.77gを滴下ロートにて滴下して加えた。滴下終了後、40℃で6時間撹拌し、その後、室温に戻した。
得られた反応液に、メタノール34.65gを加え、撹拌しながらフッ化アンモニウム0.28gを水8.30gに溶かした溶液を滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌し、純水55.85gを加えた後、メタノールを減圧蒸留にて除去し、褐色透明の水酸基含有ポリシルセスキオキサン1の水溶液を得た(固形分40質量%、固形分換算水酸基価862mgKOH/g)。
[合成例2]水酸基含有ポリシルセスキオキサン2の合成
3−アミノプロピルトリエトキシシランを3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903,信越化学工業(株)製)に代え、表1の仕込み量で反応を行った以外は、合成例1と同様にして、水酸基含有ポリシルセスキオキサン2の水溶液を得た(固形分40質量%、固形分換算水酸基価852mgKOH/g)。
[合成例3]水酸基含有ポリシルセスキオキサン3の合成
3−アミノプロピルトリエトキシシランを3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403,信越化学工業(株)製)に、グリシドールをジエタノールアミンに代え、表1の仕込み量で反応を行った以外は、合成例1と同様にして、水酸基含有ポリシルセスキオキサン3の水溶液を得た(固形分40質量%、固形分換算水酸基価614mgKOH/g)。
[合成例4]水酸基含有ポリシルセスキオキサン4の合成
グリシドールをヒドロキシエチルアクリレートに代え、表1の仕込み量で反応を行った以外は、合成例1と同様にして、水酸基含有ポリシルセスキオキサン4の水溶液を得た(固形分40質量%、固形分換算水酸基価326mgKOH/g)。
[合成例5]水酸基含有ポリシルセスキオキサン5の合成
グリシドールをヒドロキシエチルアクリレートおよびエチルアクリレートに代え、表1の仕込み量で反応を行った以外は、合成例1と同様にして、水酸基含有ポリシルセスキオキサン5の水溶液を得た(固形分40質量%、固形分換算水酸基価211mgKOH/g)。
[比較合成例1]ポリシルセスキオキサン6の合成
温度計、撹拌装置、還流冷却器を取り付けたフラスコに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903,信越化学工業(株)製)28.37gを加え、氷冷下で撹拌しながら、エチルアクリレート25.62gを滴下ロートにて滴下して加えた。滴下終了後、40℃で6時間撹拌し、その後、室温に戻した。
得られた反応液に、メタノール38.86gを加え、撹拌しながらフッ化アンモニウム0.23gを水6.92gに溶かした溶液を滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌を行い、ポリシルセスキオキサン6の溶液を得た(固形分40質量%、固形分換算水酸基価0mgKOH/g)。
上記合成例および比較合成例のまとめを表1に示す。
*脱アルコール:トリアルコキシシランの縮合で生じたアルコールの除去量
[製造例1]アクリル樹脂系エマルション塗料A
水370gに酸化チタン1000gを添加し、ガラスビーズ1370gを加えてペイントシェーカーで1時間分散を行った。この分散液にアクリル樹脂系エマルション(アクロナールYJ2718Daq,BASF製)3000gを添加し、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)215部を添加してさらに攪拌を行い、アクリル樹脂系エマルション塗料Aを調製した。
[製造例2]ウレタン樹脂系エマルション塗料B
水405gに酸化チタン1125gを添加し、ガラスビーズ1530gを加えてペイントシェーカーで1時間分散を行った。この分散液にウレタン樹脂系エマルション(ボンコートCG−5060,DIC(株)製)1900gとアクリル樹脂系エマルション(ボンコートEC−819,DIC(株)製)1900gとを添加し、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)295部を添加してさらに攪拌を行い、ウレタン樹脂系エマルション塗料Bを調製した。
[製造例3]2液型ウレタン樹脂系エマルション塗料C
水80gに酸化チタン300gを添加し、ガラスビーズ380gを加えてペイントシェーカーで1時間分散を行った。この分散液にウレタン樹脂系エマルション(WU−193,亜細亜工業(株)製)924gとアクリル樹脂系エマルション(WAP−789,亜細亜工業(株)製)1662gとを添加し、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)70部を添加して更に攪拌を行い、ウレタン樹脂系エマルション塗料C主剤を調製した。
硬化剤としては、水分散イソシアネート(アクアネート200,日本ポリウレタン工業(株)製)(硬化剤1)、または水溶性エポキシ樹脂(デナコールEX−421,ナガセケムテックス(株)製)(硬化剤2)を用いた。
[実施例1]1液型水性低汚染塗料
上記合成例1で得られた水酸基含有ポリシルセスキオキサン1の水溶液100gと、上記製造例1で得られたアクリル樹脂系エマルション塗料A800gとを、撹拌機で混合し、1液型の水性低汚染塗料を調製した。
[実施例2〜8]1液型水性低汚染塗料
水酸基含有ポリシルセスキオキサン1、2、3、4または5の水溶液と、アクリル樹脂系エマルション塗料Aまたはウレタン樹脂系エマルション塗料Bとを、表2に示される割合で撹拌機にて混合し、1液型の水性低汚染塗料を調製した。
[実施例9〜13]2液型水性低汚染塗料
水酸基含有ポリシルセスキオキサン1または3の水溶液と、2液型ウレタン樹脂系エマルション塗料C主剤とを、表2に示される割合で撹拌機にて混合し、水酸基含有ポリシルセスキオキサンを含む主剤を調製した。この主剤に、硬化剤1(実施例9〜12)または硬化剤2(実施例13)を表2に示される割合で混合し、2液型の水性低汚染塗料を調製した。
[比較例1,2]1液型水性塗料(低汚染化剤なし)
アクリル樹脂エマルション塗料A(比較例1)またはウレタン樹脂系エマルション塗料B(比較例2)を用いた。
[比較例3,4]2液型水性塗料(低汚染化剤なし)
2液型ウレタン樹脂系エマルション塗料C主剤と、硬化剤1(比較例3)または硬化剤2(比較例4)とを、表3に示される割合で混合し、2液型の水性塗料を調製した。
[比較例5]1液型水性塗料(水酸基を含まないポリシルセスキオキサン含有)
比較合成例1で得られたポリシルセスキオキサン6の溶液と、アクリル樹脂エマルション塗料Aとを表3に示される割合で撹拌機にて混合し、1液型の水性塗料を調製した。
[比較例6]2液型水性塗料(水酸基を含まないポリシルセスキオキサン含有)
比較合成例1で得られたポリシルセスキオキサン6の溶液と、2液型ウレタン樹脂系エマルション塗料C主剤とを、表3に示される割合で撹拌機にて混合し、ポリシルセスキオキサン6を含む主剤を調製し、これに硬化剤1を表3に示される割合にて混合し、2液型の水性塗料を調製した。
[比較例7]溶剤系2液型低汚染塗料
溶剤系低汚染型ウレタン塗料(ネオペイントウレタン#5000AB,亜細亜工業(株)製)の主剤および硬化剤を表3に示される割合で混合し、溶剤系の2液型低汚染塗料を調製した。
*PSQ:ポリシルセスキオキサン(以下、同様)
上記各実施例および比較例で調製した塗料について、下記の手法により、雨筋状汚染防止性の評価、接触角の測定、および塗膜の光沢値の測定を行った。評価結果を表5に示す。
[1]雨筋状汚染試験
300×10×1mmのアルミ板に上記実施例および比較例で調製した各塗料を乾燥膜厚50μmとなるようにスプレー塗装し、標準状態で3日間乾燥養生した後、上方から3分の1の長さのところで内角度が150°になるように折り曲げた。作製した試験体を、埼玉県久喜市において、南面に向けて面積が狭い面を上部になるようにし、面積が広い面を垂直になるように設置して、屋外暴露を実施した。3ヶ月および6ヶ月後の雨筋汚れを評価した。なお、評価は、色差計SE2000(日本電色工業(株)製)を用い、面積の狭い面となる雨筋未発生部の明度L*と雨筋発生部の明度L*を測定し、その明度差ΔL(未発生部−発生部)にて行い、下記表4に従って分類した。
なお、実施例1、実施例9、比較例1、比較例3、比較例7の各塗料から得られた塗膜の6ヶ月後の写真を図1〜5に示す。
[2]接触角
接触角計Drop Master DM 300(協和界面科学(株)製)を使用し、水滴0.01mlを塗膜表面に接触させ、30秒後に23℃で測定を行った。
[3]光沢
光沢計haze−gloss(BYK−Gardner社製)を使用し、塗膜表面の60°光沢値を測定した。
表5に示されるように、実施例1〜13で調製した水性低汚染塗料から得られた塗膜は、比較例の塗膜と比べて親水性に優れており、また光沢の低下も見られないことがわかる。
また、図1,2と図3〜5とを比較すれば明らかなように、実施例の塗膜は、低汚染化剤を配合しない塗膜(図3)や水酸基を有しないポリシルセスキオキサンを配合した塗膜(図4)に比べて優れた雨筋状汚染防止効果を発揮するとともに、溶剤系の低汚染塗料から得られた塗膜(図5)と比較しても、同等以上の雨筋状汚染防止効果を発揮していることがわかる。
実施例1で調製した水性低汚染塗料から得られた塗膜の6ヶ月後の写真を示す図である。 実施例9で調製した水性低汚染塗料から得られた塗膜の6ヶ月後の写真を示す図である。 比較例1で調製した水性塗料から得られた塗膜の6ヶ月後の写真を示す図である。 比較例3で調製した水性塗料から得られた塗膜の6ヶ月後の写真を示す図である。 比較例7で調製した溶剤系低汚染塗料から得られた塗膜の6ヶ月後の写真を示す図である。

Claims (6)

  1. 水酸基を含有するポリシルセスキオキサンを含むことを特徴とする水性低汚染塗料。
  2. 前記ポリシルセスキオキサンの水酸基価が、150mgKOH/g以上である請求項1記載の水性低汚染塗料。
  3. 当該塗料中の樹脂固形分100質量部に対し、前記ポリシルセスキオキサンが固形分で2〜50質量部含まれる請求項1または2記載の水性低汚染塗料。
  4. 前記水酸基を含有するポリシルセスキオキサンが、第1の官能基を有するトリアルコキシシランと、水酸基および前記第1の官能基と反応して前記トリアルコキシシランと化学結合を形成し得る第2の官能基を有する化合物とを反応させて得られた水酸基含有トリアルコキシシランを縮合させて得られたものである請求項1〜3のいずれか1項記載の水性低汚染塗料。
  5. 前記化合物が、水酸基を含有するエポキシ基含有化合物、または水酸基を含有する(メタ)アクリル酸誘導体である請求項1〜4のいずれか1項記載の水性低汚染塗料。
  6. 2液型である請求項1〜5のいずれか1項記載の水性低汚染塗料。
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