JP2010109012A - フィルタ、及びその製造方法 - Google Patents

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Yasuko Sone
康子 曽根
Takehiro Yamashita
雄大 山下
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Abstract

【課題】パターン状の電磁波遮蔽層(導電性凸状パターン層)において断線がなく、アスペクト比が高く、導電性、電磁波遮蔽性にすぐれている電磁波シールドフィルタであって、かつ、開口部(凹部)内の平坦化層に残留気泡のない、優れた光鏡面反射防止性を有するフィルタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明基材1と、該基材上に所定のパターンで形成された導電性組成物から成る導電性凸状パターン層3と、透明樹脂からなり該導電性凸状パターン層3の凹凸を埋めてその表面が平坦面である平坦化層4と、光鏡面反射防止層5とがこの順に積層されてなり、該導電性凸状パターン層3は、該透明基材表面に平行な仮想面で切断した面積が、該透明基材1からの距離zの減少関数S(z)になっている、電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタである。
【選択図】図1

Description

本発明は光学フィルタ、特に画像表示装置(ディスプレイ)の前面に配置するのに好適な、電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタ及び該フィルタの製造方法に関する。
近年、画像表示装置の大型化、薄型化に伴い、プラズマディスプレイ(PDP)が注目を集めている。
PDPは、発光にプラズマ放電を利用するため、30MHz〜1GHz帯域の不要な電磁波が外部に漏洩して他の機器(例えば、遠隔制御機器、情報処理装置等)に影響を与えるおそれがある。そのため、プラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネルの前面側(観察者側)に、画像光の透過性は維持した上で、漏洩する電磁波を遮蔽(シールド)するためのフィルム状の電磁波シールド部材を設けるのが一般的である。
なお、本発明において単に電磁波という場合は、周波数が上記範囲を中心とするKHz〜GHz帯近辺の電磁波のことをいう。赤外線、可視光線、紫外線、X線等は含まないものとする(例えば、赤外線帯域の周波数の電磁波は赤外線と呼称する)。
プラズマディスプレイの前面などに用いることができる電磁波シールド部材用材料としては、銀スパッタ薄膜、銅メッシュなどがあるが、銀スパッタ薄膜はコストが高く、また全面を被覆しているため可視光(線)透明性と電磁波遮蔽性との両立性に劣る。銅メッシュは開口部分があるため透明性は高く、且つ銅の高導電率によって高い電磁波遮蔽性とも両立するが、銅箔をフォトリソグラフィー法でエッチングしてメッシュ形状を作成するため、捨てる材料が多く低コスト化が難しい。
近年、透明基材の上に導電性ペーストや無電解めっきの触媒を含むインキをグラビア印刷などパターン印刷し、その上に銅をめっきで析出させ細線パターンを形成した電磁波シールド部材などが提案されており(特許文献1、2)、銅箔エッチング法などよりも経済性、生産性にすぐれた方法といえる。
しかしながら、導電性インキ(導電性ペースト)のような高粘度のインキをグラビア印刷のような凹部を持つ版を用いる方法にて微細パターンで印刷しようとすると、印刷できないことはないがインキの転移性が悪くインキ抜けなどが多発し、断線があって、安定したパターンが形成できないという問題、及び凹版凹部内のインキの転移率が低下するという問題があった。インキ抜けは、凹版上にインキを塗布し、余分なインキをドクターブレードで掻き取った後の凹部内のインキがその上部に凹みを生じることが原因である。この凹みは、凹版上に透明基材を圧着して透明基材上に凹部内のインキを転写する際に、透明基材とインキとの密着を妨げ、透明基材上に、インキの未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生する。また、転移率低下は、高粘度で流動性の悪いインキは、凹版凹部内の全充填インキの一部しか透明基材上に転移しないことが原因である。両者とも、印刷された導電インキパターンの導電率の低下を招き、電磁波遮蔽特性を低下させる。
また、ディスプレイ用フィルタには、電磁波遮蔽性とともに、外来光反射防止等の光学フィルタ機能が求められるが、金属パターンを形成した透明基材に反射防止剤を塗布すると、金属パターン層と透明基材との凹凸により、反射防止剤の塗りムラや気泡の混入が起こり、反射防止効果が不十分なものとなる。この問題を解決するために、金属パターン層と透明基材との凹凸を平坦化するための透明な平坦化層を塗工により設け、その上面に平坦化層よりも屈折率の低い反射防止層を塗工又はシート積層により設けることが提案されている(特許文献3)。しかし、接着剤層付き反射防止フィルムの接着剤層でラミネートする場合には依然として、金属パターンによる凹凸が原因で気泡が発生し、反射防止効果が不十分なものとなる。
特開2001−102792号公報 特開平11−174174号公報 特開平11−337702号公報
本発明の目的は、透光性、光鏡面反射防止性、及び電磁波遮蔽性とを具備するフィルタに於いて、導電性凸状パターンに接着剤層付き反射防止層を積層してなる光学フィルタにおいて、積層工程において気泡が抜け易く、開口部(凹部)内の接着剤層(平坦化層でもある)に残留気泡のない、優れた光鏡面反射防止性を有する光学フィルタ及びその製造方法を提供することにある。加えて、本発明は、形成される導電性凸状パターン層の斷線、形状不全、及び透明基材との密着不良を改善したフィルタ及び其の製造方法を提供することにある。
本発明は
(1)透明基材と、該基材上に所定のパターンで形成された導電性組成物から成る導電性凸状パターン層と、透明樹脂からなり該導電性凸状パターン層の凹凸を埋めてその表面が平坦面である接着剤層と、光鏡面反射防止層とがこの順に積層されてなり、
該導電性凸状パターン層は、該透明基材表面に平行な仮想面で切断した面積が、該透明基材からの距離zの減少関数S(z)になっている、電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタ、
(2)前記導電性凸状パターン層の表面に、金属層を設けてなる、前記1に記載の電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタ、
(3)前記透明基材上にプライマー層を形成し、その上に該導電性凸状パターン層及び光
鏡面反射防止層をこの順に形成してなり、
該プライマー層のうち、該導電性組成物が所定のパターンで形成された導電性凸状パターン層形成部におけるプライマー層の厚さが、該導電性組成物が形成されていない導電性パターン層非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚く、
且つ該導電性凸状パターン層形成部におけるプライマー層と該導電性組成物層との界面部分は、(a)該プライマー層と該凸状パターン層との界面が非直線状に入り組んでいる断面形態、(b)該プライマー層を構成する成分と該凸状パターン層を構成する成分とが混合している断面形態、及び、(c)該凸状パターン層を構成する導電性組成物中に該プライマー層に含まれる成分が存在している断面形態、のいずれか1又は2以上の断面形態を有する、前記1又は2に記載の電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタ、
(4)前記導電性凸状パターン層の表面に、金属層を設けてなる、前記(3)に記載の電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタ、
(5)透明基材の一方の面に光鏡面反射防止層と所定のパターンの導電性組成物からなる導電性凸状パターン層とが形成されてなる電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタの製造方法であって、
透明基材を準備する透明基材準備工程と、
所定のパターンからなる凹部を有する版面が形成されているとともに、該版面の表面と平行な仮想面で切断した凹部の開口断面積が該表面からの距離z'の減少関数S'(z')になっている、版を準備する凹版準備工程と、
該凹版の版面に、硬化後に導電性凸状パターン層を形成できる導電性組成物を塗布した後、前記凹部内以外に付着した該導電性組成物を掻き取って該凹部内に該導電性組成物を充填する導電性組成物充填工程と、
前記透明基材準備工程後の透明基材と前記導電性組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記透明基材と前記凹部内の導電性組成物とを密着する圧着工程と、
前記圧着工程後に前記透明基材を前記版面から剥がして前記凹部内の導電性組成物を前記透明基材上にパターン状に転写すると共に該導電性凸状パターン層を、該透明基材表面に平行な仮想面で切断した面積が、該透明基材からの距離zの減少関数S(z)とする導電性凸状パターン層転写工程と、
前記導電性凸状パターン層転写工程の後に、導電性組成物を固化させる導電性凸状パターン層固化工程と、
前記導電性凸状パターン層転写工程又は固化工程後、剥離性基材上に光鏡面反射防止層及び該導電性凸状パターン層の凹凸を埋めてその表面を平坦面化せしめる接着剤層を積層してなる転写シートを準備し、該転写シートをその光鏡面反射防止層の接着剤層側を導電性凸状パターン層側に対面する向きで重ねて、しかる後に
転写シートの接着剤層を該導電性凸状パターン層上に接着せしめると共に該導電性凸状パターン層の凹凸を充填し、平坦化せしめて、該剥離性基材を剥離除去する接着剤層付き光鏡面反射防止層転写工程とを有する、電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタの製造方法、
(6)前記導電性組成物充填工程において、前記導電性組成物は、硬化後に電解めっきできる導電性凸状パターン層を形成できる組成物であり、
前記導電性凸状パターン層固化工程後、前記導電性凸状パターン層上に金属層を電解めっきするめっき工程を有する、前記(5)に記載の電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタの製造方法、
(7)前記製造方法の前記透明基材準備工程は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程であり、
さらに、前記透明基材準備工程後の前記透明基材のプライマー層側と前記導電性組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の導電性組成物とを空隙なく密着する圧着工程と、
前記圧着工程後に前記プライマー層を硬化するプライマー層硬化工程と、
前記プライマー層硬化工程後に前記透明基材及び前記プライマー層を前記版面から剥がして前記凹部内の導電性組成物を前記プライマー層上にパターン状に転写する導電性凸状パターン層転写工程と、
前記プライマー層硬化工程と同時に、又は前記導電性凸状パターン層転写工程の後に、導電性組成物を固化させる導電性凸状パターン層固化工程とを含む、電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタの製造方法、及び
(8)前記導電性組成物充填工程において、前記導電性組成物は、硬化後に電解めっきできる導電性凸状パターン層を形成できる組成物であり、
前記導電性凸状パターン層固化工程後、前記導電性凸状パターン層上に金属層を電解めっきするめっき工程を有する、前記(7)に記載の電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタの製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、導電性凸状パターン層の断面形状を先細り、すなわち透明基材表面に平行な仮想面で切断した面積が、該透明基材からの距離zの減少関数S(z)になるようにしたので、光鏡面反射防止層の形成時に、凸状パターン層の凹部(開口部)内の平坦化を兼ねる接着剤層の気泡が抜け易いので、気泡が残留し難くい。且つ、透明基材上に特定のプライマー層を形成して導電性凸状パターン層を形成した光学フィルタでは、電磁波遮蔽層において断線乃至形成不全がなく、アスペクト比が高い、導電性、電磁波遮蔽性に優れた光学フィルタを提供することができる。
また、本発明のフィルタの製造方法は、上記の光学フィルタを効率的に製造することができる。
図1は、本発明による光学フィルタの一形態の層構成を示す断面の概念図で、(A)は透明基材1に導電性凸状パターン層3を直接形成した場合、(B)は、透明基材1に積層されたプライマー層2を介して導電性凸状パターン層3を形成した構成を示すものである。
本発明の光学フィルタは、透明基材1の一方の面に、直接又はプライマー層2を介して、導電性組成物からなる導電性凸状パターン層(以下、単に「導電性凸状パターン層」ともいう。)3、平坦化層を兼ねる接着剤層4、及び光鏡面反射防止層5がこの順に形成されている。図1において、上方が観察者(視聴者)側であり、下方が画像表示装置側である。
なお、プライマー層を積層する場合、図1(B)に示すように、プライマー層2の厚みは、導電性凸状パターン層3が形成されている部分の厚みTAが、導電性凸状パターン層3が形成されていない部分(メッシュパターンの場合は開口部)の厚みTBよりも厚いという特徴的な形態を有する。こうした形態は、平坦面からなるプライマー層上に導電性凸状パターン層3が形成されている場合に比べ、プライマー層2と導電性凸状パターン層3との密着性にすぐれるという形態由来の効果がある。かかるパターン状の電磁波遮蔽層の特徴的な形態は、プライマー層の流動状態と固化状態を利用した導電性組成物の新規な印刷方法(後述)により実現されるものである。
以下、本発明の光学フィルタの構成につき、詳細に説明する。
[透明基材]
透明基材1は、可視領域での透明性(光透過性)、耐熱性、機械的強度等の要求物性を考慮して、公知の材料及び厚みを適宜選択すればよく、ガラス、セラミックス等の透明無機物の板、或いは樹脂板など板状体の剛直物でもよい。ただし、生産性に優れるロール・トゥ・ロールでの連続加工適性を考慮すると、フレキシブルな樹脂フィルム(乃至シート)が好ましい。なお、ロール・トゥ・ロールとは、巻取(ロール)から巻き出して供給し、適宜加工を施し、その後、巻取に巻き取って保管する加工方式をいう。
樹脂フィルム、樹脂板の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール−テレフタール酸共重合体、エチレングリコール−テレフタール酸−イソフタール酸共重合体などのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリプロピレン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂等である。なかでも、ポリエチレンテレフタレートはその2軸延伸フィルムが耐熱性、機械的強度、光透過性、コスト等の点で好ましい透明基材である。
透明無機物としては、ソーダ硝子、カリ硝子、硼珪酸硝子、鉛硝子等の硝子、或いはPLZT、石英等の透明セラミックス等である。
透明基材の厚みは基本的には特に制限はなく用途等に応じ適宜選択し、フレキシブルな樹脂フィルムを利用する場合、例えば12〜500μm、好ましくは25〜200μm程度である。樹脂や透明無機物の板を利用する場合、例えば、500〜5000μm程度である。
なお、透明基材の樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、着色剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を添加できる。
また、透明基材は、その表面に、コロナ放電処理、下地処理などの公知の易接着処理を行ったものでもよい。
透明基材に好適な易接着処理を行い、導電性組成物のインキを、該易接着処理を行った透明基材面との接着性に優れたものを選択すれば、プライマー層2を介在させることなく透明基材に直接導電性凸状パターン層3を印刷することができる。
[プライマー層]
プライマー層2を介在させる場合は、プライマー層2は、その主目的が導電性凸状パターン層3の凹版印刷形成時に、版から被印刷物(透明基材)へのインキ(導電性組成物)転移性を向上させ、転移後の導電性組成物と被印刷物との密着性を向上させるための層である。すなわち、透明基材及び導電性凸状パターン層の双方に密着性が良く、また開口部(導電性凸状パターン層非形成部)の光透過性確保のために透明な層でもある。
更に、このプライマー層2は、流動性を保持できる状態で透明基材1上に設けられ、凹版印刷時の凹版に接触している間に液状から固化させる層として形成される層であり、最終的な電磁波遮蔽層が形成されたときに固化している層である。
かかるプライマー層を構成する材料としては、本来特に限定はないが、本発明では、未硬化状態において液状(流動性)の電離放射線重合性化合物を含む電離放射線硬化性組成物を塗工、硬化(固体化)してなる層が好適に用いられる。以下、この材料を中心に詳述する。
該電離放射線重合性化合物としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーが用いられる。
かかるモノマーとしては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
また、かかるプレポリマー(乃至オリゴマー)としては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
電離放射線として、紫外線、又は可視光線を採用する場合には、通常は、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系等の化合物が、又カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加する。
なお、電離放射線としては、紫外線、又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線、各種イオン線等の荷電粒子線を用いる
こともできる。
当該電離放射線硬化性組成物は、溶剤を含んでもよいが、その場合塗布後に乾燥工程が必要となるため、溶剤を含まないタイプ(ノンソルベントタイプ)であることが好ましい。
プライマー層2の厚さ(TB)は特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm〜100μm程度となるように形成される。また、プライマー層2の厚さ(TB)は、通常は、導電性凸状パターン層3とプライマー層2との合計値(総厚。図1でいうと導電性凸状パターン層3の頂部と透明基材1の表面との高度差)の1〜50%程度である。
[導電性組成物からなる導電性凸状パターン層]
本発明における電磁波遮蔽層は、導電性組成物からなる導電性凸状パターン層3が、透明基材1に直接、又はプライマー層2上に所定のパターンで設けられたものである。該パターンは、電磁波遮蔽層に通常採用されるメッシュ(網目乃至格子)状、スパイラル(螺旋)状、又はストライプ(縞)状であってもよく、その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5〜50μmとすることができ、線間ピッチは100〜500μmとすることができる。開口率(電磁波遮蔽パターンの全面積中における開口部の合計面積の占める比率)は、通常、50〜95%程度である。またメッシュやストライプ形状の電磁遮蔽パターンとは別に、それと導通を保ちつつ隣接した全ベタ等の接地パターンが設けられる場合もある。
また、導電性凸状パターン層3の厚さは、その導電性凸状パターン層3の所望の抵抗値によっても異なるが、電磁波遮蔽性能と該導電性凸状パターン層上への他部材の接着適性との兼ね合いから、その中央部(突起パターンの頂部)での測定において、通常、2μm以上50μm以下であり、好ましくは、5μm以上20μm以下である。
導電性組成物は、版の凹部内に充填する時点では流動性を有し、所望のパターンに形成し硬化せしめた以降の時点で所望の導電性を発現するものであり、(i)導電性金属又は黒鉛の粒子と樹脂バインダからなり、硬化後にそれ自体が導電性を有するもの、(ii)パラジウム、錫粒子等の無電解めっきの触媒と成り得る無電解めっき触媒性金属と樹脂バインダからなり、それ自体の導電性の有無に限定のないもの、(iii)有機金属化合物からなり、パターン形成後に加熱(焼成)して金属化できそれ自体導電性を有するもの、(iv)導電性有機高分子からなるもの、の4仕様を挙げることができる。
これらのうち、前記(i)が代表的なものであり、導電性粉末と樹脂とを含み、さらに必要に応じてその樹脂を溶解する溶剤を含んだ流動性を有するインキ又はペースト状の材料である。この導電性組成物からなる導電性凸状パターン層3は、導電性組成物を乾燥ないし硬化させた後の固形物からなる塗膜のことである。
この導電性凸状パターン層3は、導電性粒子とバインダ樹脂を含む導電性組成物を、後述する凹版印刷法によりプライマー層2上に所定のパターンで形成することで得ることができる。
導電性組成物を構成する導電性粒子としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、錫、アルミニウムなどの低抵抗率金属の粒子、又は黒鉛粉末、或いは芯材粒子としての高抵抗率金属粒子、樹脂粒子、及び無機粒子等の表面が、被覆材としての金や銀などの低抵抗率金属で被覆された粒子等を好ましく挙げることができ、形状も球状、回転楕円体状、正多面体状、截頭多面体状、鱗片状、円盤状、樹枝状、繊維状等から選ぶことができる。これらの材料や形状は適宜混合して用いてもよい。導電性粒子の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、例えば、鱗片状の銀粒子の場合には粒子の平均粒子径が0.1〜10μm程度のものを用いることができる。導電性組成物中の導電性粒子の含有量は、導電性粒子の導電性や粒子の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電性組成物の固形分100質量部のうち、導電性粒子を40〜99質量部の範囲で含有させることができる。なお、本明細書において、平均粒子径というときは、粒度分布計、またはTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値を指している。
導電性組成物を構成するバインダ樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマーの材料として前記した物を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができる。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤又は分散剤に溶けた、又は分散させたワニスとして使用する。溶剤又は分散剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤又は分散剤を使用できる。溶剤又は分散剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤又は分散剤を必要としない。
また、導電性組成物の流動性や安定性を改善するために、導電性や、プライマー層との密着性に悪影響を与えない限りにおいて適宜充填剤や増粘剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、沈降防止剤などを添加してもよい。
(導電性凸状パターン層の形態)
図2は、透明基材1と平行な仮想面で切断した導電性凸状パターン層の断面積の説明図である。本発明において、転写後の導電性凸状パターン層3は、透明基材1の表面と平行な仮想面Pで切断した断面積がその透明基材1からの距離zの減少関数S(z)になっている。透明基材1からの距離zとは、図2(B)に示すように、透明基材1の表面から、該透明基材から遠ざかる方向(図2(B)でいうと上方)に向かって測った距離をいう。その断面積S(z)は、導電性凸状パターン層3のライン方向の所定長さyの範囲における断面積で比較する。実際には、例えば、図2(A)に示すように、電磁波シールド材から所定長さy(例えば50μm)の範囲で切り出した測定試料片30を研磨用硬化樹脂に埋め込み、図2(B)に示すように、硬化後に透明基材1と平行になるように研磨し、その仮想面Pでの断面積を顕微鏡で測定して評価する。
図3は、導電性組成物を充填する版面63の凹部64の空間形状を示す斜視図である。上述した導電性凸状パターン層3の断面形状は、導電性組成物を充填する版面63の凹部64の空間形状と同じである。すなわち、導電性組成物を充填する凹版62は、所定のパターンからなる凹部64を有する版面63を有すると共に、その版面63の表面と平行な仮想面P'で切断した凹部64の開口断面積がその表面からの距離zの減少関数S'(z')になっている。表面からの距離z'とは、図3に示すように、版面63の表面から、該版の内部(図3でいうと下方)に向かって測った距離をいう。したがって、その版面63の凹部64に導電性組成物が充填され、その導電性組成物が透明基材層1又はプライマー層2上に導電性凸状パターン層3として転写されることによって、導電性凸状パターン層3は、凹部64の開口断面形状と同じ断面形状で透明基材層1又はプライマー層2上に転写される。
図4及び図5は、透明基材1に直接導電性凸状パターン層を形成した場合及びプライマー層2を介在させて導電性凸状パターン層を形成した場合の断面形状の具体例である。導電性凸状パターン層3のライン方向に直交する断面形状としては、図4及び5に示すように、台形(4角形)、3角形、多角形(台形形態の5角形、6角形など)、半楕円形、放物線形、正弦曲線形、正規分布曲線及びそれらに類似する形状から選択されるいずれかを挙げることができる。これらの各形状は、いずれも、透明基材1と平行な仮想面Pで切断した断面積がその透明基材1からの距離zの減少関数S(z)になっている。
例えば、図4及び図5(以下同じ)の(A)に示す台形においては、底辺側の両角α,α’の角度が20°〜85°で、上辺側の両角β,β’の角度が95°〜160°である台形を例示できる。また、(B)に示す3角形においては、底辺側の両角α,α'の角度が20°〜75°で、頂部の角度βが30°〜140°である3角形を例示できる。また、(C)に示す5角形においては、底辺側の両角α,α’の角度が20°〜85°で、頂部の角度βが30°〜170°で、その間の両角γ,γ’の角度が105°〜170°である5角形を例示できる。また、(D)に示す6角形においては、底辺側の両角α,α’の角度が20°〜85°で、上辺側の両角の角度β,β’が95°〜160°で、その間の両角の角度γ,γ'が105°〜170°である6角形を例示できる。また、(E)に示す半楕円形においては、断面の水平方向座標をx、鉛直方向座標をyとした際に、(x2/a2)+(y2/b2)=1、の式で表される半楕円形を例示できる。楕円の扁平度は、b/aで評価するとした場合、 1/5 ≦ b/a ≦5/1 程度である。また、(F)に示す放物線形においては、断面の水平方向座標をx、鉛直方向座標をyと仮定した際に、y=ax2、の式で表される放物線形を例示できる。また、(G)に示す正弦曲線形においては、断面の水平方向座標をx、鉛直方向座席をyとした際に、y=a sin(bx)、の式で表される曲線を例示できる。
さらに、正規分布曲線形(図示省略)は、数式(1)で示される確率密度関数において、平均μ、分散σ2、の正規分布はN(μ,σ2)で表されるが、μ=0、σ2=1の時の標準正規分布の形状や、μ=0、σ2=0.2〜1.0の正規分布曲線の形状等を例示できる。
Figure 2010109012
本発明においは、図4及び5に示した断面形状の具体例に限定されるものではなく、その他の角度を有する断面形状であってもよい。また、αとα’、βとβ’、γとγ’は、それぞれ同じ角度であってもよいし、異なる角度であってもよい。同じ角度にした場合には、版の製造し易さ、視野角を均一にする効果の点で有利であり、異なる角度にした場合には、後述する剥離工程において、版面側の角度α,α’のうち角度の小さい側から剥がすことによって、剥離を容易に行うことができる点で有利である。また、図4及び5に示した以外の断面形状の例としては、前記正規分布曲線の他に、双曲線、双曲線正弦(又は双曲線余弦)曲線、楕円函数曲線等(の一部)を挙げることができる。
こうした断面形状を有する導電性凸状パターン層3は、その導電性凸状パターン層3上から、接着剤層を有する被着体をラミネートする際に、導電性凸状パターン層と接着剤層との間の空気が抜けやすく、気泡が残留しにくいという効果を有し、その結果、こうした導電性凸状パターン層3を有する電磁波シールド材10を前記被着体と貼り合わせて構成しても、いわゆる「エアーがみ」を極力生じさせないので、画像透過性に優れたディスプレイ用フィルタとすることができるという効果を奏する。
(導電性凸状パターン層の形成方法)
以下に、透明基材上にプライマー層を形成する、本願の好適な態様の発明について説明する。
所定のパターンの導電性組成物からなる導電性凸状パターン層3を形成するには、導電性組成物を次のように凹版印刷する。本凹版印刷方法及びその結果物は、特定のプライマーを使用した新規なものであり、本願出願人により、PCT/JP2008/060427として出願されたものである。
例えば、凹版の凹部のみにドクターブレードなどを利用して導電性組成物を充填し、これに液状プライマー層を片面に形成済みの透明基材を、該プライマー層が凹版に接する向きで、加圧ローラで圧着するなどして該プライマー層を接触させて、接触している状態でプライマー層を液状から固体状に固化させた後、透明基材を凹版から離して離版させることで、透明基材上の固化したプライマー層上に導電性組成物を転移させて、印刷することができる。
印刷後、つまり離版後、まだ液状である導電性凸状パターン層3に対しては、乾燥操作、加熱操作、冷却操作、化学反応操作などを適宜行い、固化せしめて導電性の導電性凸状パターン層3を完成させる。例えば、乾燥操作は、導電性組成物中の溶剤など不要な揮発成分を除去するため、加熱操作は、該乾燥や導電性組成物の熱硬化などの必要な化学反応を促進させるため、冷却操作は、加熱熔融した熱可塑性樹脂の導電性組成物やプライマー層の固化促進のため、化学反応操作は、加熱によらない電離放射線照射などのその他の手段による導電性組成物やプライマー層の化学反応を進行させるために行う。
また、導電性組成物は、版上で半硬化固化させ離版後に完全硬化させてもよい。
また、導電性組成物の固化は凹版接触中に行ってもよい。版接触中に導電性組成物を固化させるときは、凹版は導電性組成物に対しても賦形型として機能し、プライマー層も含めて凹版は完全な賦形型として用いることになる。この際、導電性組成物の固化方法はプライマー層で採用する固化方法と同じ方法でもよく、異なる方法でもよい。ただし、例えば電離放射線照射など同じ方法を採用すれば、プライマー層と導電性組成物とを版面上で同時に硬化可能なため、装置・工程的に簡素化でき、また類似の化学反応を採用すれば密着性の点でも有利である。
図6は、凹部64内の導電性組成物15の凹み6にプライマー層2を充填し、その導電性組成物15が未硬化状で転写する形態を示す模式図である。図6(C)に示すように、転写工程後のプライマー層2の形態と導電性材料層3’の形態を観察すると、プライマー層2のうち導電性材料層3’が転写された部分Aの厚さTAは、導電性材料層3’が転写されていない部分Bの厚さTBよりも大きい。そして、厚さの大きい部分Aのサイドエッジ5,5は、厚さの小さい部分Bの側に導電性材料層3が回り込んでいる。こうした形態は、流動性を保持したプライマー層2が形成された透明基材1のプライマー層2側と、樹脂充填工程後の版面63の凹部64側とを圧着することにより、凹部64内の導電性組成物上部に生じやすい凹み6に流動性のあるプライマー層2が充填するので、転写後の形態は、図6(C)に示すように、透明基材1上に設けられたプライマー層2のうち導電性材料層3が形成されている部分Aの厚さTAは導電性材料層3が形成されていない部分Bの厚さTBよりも大きくなり、さらに、厚さの大きい部分Aのサイドエッジ5,5は厚さの小さい部分Bの側に導電性材料層3が回り込んだ形態になる。通常、凸状メッシュパターン層が形成されている部分Aに於けるプライマー層の厚さTAは、図1(B)に示す如く、該部分の中央部に行く程厚みが厚くなる。即ち、導電性凸状パターン層の横断面に於いて、該プライマー層2の断面形状は、透明基材1から遠ざかる方向に向かって凸になった、半円、半楕円等の所謂釣鐘型形状、3角形、台形、5角形等の所謂山形形状、或いはこれらに類似の形状をなす。
本発明の導電性凸状パターン層は、特に、凸状メッシュパターン層形成部におけるプライマー層と凸状パターン層との界面に特徴がある。
[導電性凸状パターン層とプライマー層の界面の断面形態 ]
本発明における導電性組成物からなる凸状パターン層3とプライマー層2の界面は、図7(A)〜(C)に示すような3つの態様の断面形態をとり得るものであり、導電性凸状パターン層3とプライマー層2との界面が、(a)プライマー層2と導電性凸状パターン層3との界面が非直線状に入り組んでいる断面形態(以下、「第1形態」という)、(b)プライマー層2を構成する成分と導電性凸状パターン層3を構成する成分とが混合している層を有する断面形態(以下、「第2形態」という)、及び、(c) 導電性凸状パターン層3を構成する導電性組成物中にプライマー層2に含まれる成分が存在している断面形態(以下、「第3形態」という、また、断面形態を「界面形態」ともいう。)が密着性、導電性組成物の転移性の点で好ましい結果を与えている。
界面形態の第1形態は、図7(A)に示すように、プライマー層2と導電性凸状パターン層3との界面11が、プライマー層2側と導電性凸状パターン層3側とに交互に非直線状に入り組んだ形態である。
なお、この界面形態の第1形態において、入り組んだ界面は、全体としては中央が高い山型の断面形態となっている。
こうした界面形態の第1形態は、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に導電性凸状パターン層3が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のように界面11が入り組んだ形態になっているので、所謂投錨効果により、プライマー層2と導電性凸状パターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
界面形態の第2形態は、図7(B)に示すように、プライマー層2と導電性凸状パターン層3との界面11の近傍に、プライマー層に含まれるプライマー成分と、導電性凸状パターン層を構成する成分とが混合する領域21が存在している形態である。図7(B)では界面が明確に現れているが、実際には、明瞭でない曖昧な界面が現れる。また、図7(B)では混合領域21は、界面11を上下に挟むように存在する。この場合は、プライマー層中のプライマー成分と導電性凸状パターン層3中の任意の成分とが両層内に相互に侵入する場合である。なお、混合領域21は界面11の上側(透明基材とは反対側)に存在しても下側(透明基材側)に存在してもよい。混合領域21が界面11の上側に存在する場合としては、プライマー層中のプライマー成分が導電性凸状パターン層内に侵入し、導電性凸状パターン層中の成分がプライマー層内に侵入しない場合であり、一方、混合領域21が界面11の下側に存在する場合としては、導電性凸状パターン層中の任意の成分がプライマー層内に侵入し、プライマー層中のプライマー成分が導電性凸状パターン層内に侵入しない場合である。
こうした界面形態の第2形態は、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に導電性凸状パターン層3が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のように界面11近傍に混合領域21を有するので、プライマー層2と導電性凸状パターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
界面形態の第3形態は、図7(C)示すように、導電性凸状パターン層3中に広く、プライマー層2に含まれるプライマー成分31が存在している形態である。図7(C)ではプライマー成分31が界面11付近で多く、頂部に向かって少なくなって態様を模式的に表しているが、こうした態様には特に限定されない。プライマー成分31は、導電性凸状パターン層3の頂部から検出される程度に凸状メッシュパターン層3内に侵入していてもよいし、主として界面近傍で検出される程度であってもよい。なお、第3態様において、特に、プライマー成分31が導電性凸状パターン層内に存在している領域が界面11の近傍に局在化している場合が、上記第2形態において混合領域が界面11の上側にのみ存在する形態に相当するといえる。
こうした界面形態の第3態様も上記第1及び第2形態の場合と同様、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に導電性凸状パターン層3が形成されていることを以ってしても密着性が良いのに加え、上記のようにプライマー成分31が導電性凸状パターン層3に侵入しているので、プライマー層2と導電性凸状パターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
(金属層)
本発明における電磁波遮蔽層は、導電性組成物からなる導電性凸状パターン層3のみでは所望の導電性に不足する場合に、導電性を更に向上せしめるために、金属層を、必要に応じ形成することができ、導電性凸状パターン層3上にめっきにより形成される。めっきの方法としては電解めっき、無電解めっきなどの方法があるが、電解めっきは無電解めっきに比べて通電量を増やすことでめっき速度を数倍に上げることができ、生産性を著しく向上させることができるため好ましい。
電解めっきの場合、導電性凸状パターン層3への給電は導電性凸状パターン層3が形成された面に接触させた通電ロール等の電極から行われるが、導電性凸状パターン層3が電解めっき可能な程度の導電性(例えば、100Ω/□以下)を有するので、電解めっきを問題なく行うことができる。金属層を構成する材料としては、導電性が高く容易にめっき可能な、銅、銀、金、クロム、ニッケル等を挙げることができる。
金属層は導電性凸状パターン層3に比べると一般的に体積抵抗率が1桁以上小さいため、導電性凸状パターン層単体で電磁波遮蔽性を確保する場合に比べて、必要な導電性材料の量を減らせるという利点がある。
なお、金属層を形成した後においては、必要に応じて、その金属層を黒化処理したり、保護層を設けたりしてもよい。黒化処理は、例えば黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の処理を例示でき、また、保護層は、平坦化層とは別に導電性凸状パターン層の凹凸を充填、表面平坦化はせずに、単に導電性凸状パターン層表面を被覆し保護する層である。例えばアクリル系の光硬化性樹脂を用いて形成することができる。導電性凸状パターン層や金属層に使用する金属が銅などの錆びやすい金属の場合には防錆処理を行うことが好ましく、一般的な防錆剤を使用でき、また防錆処理は黒化処理や保護層形成と兼ねてもよい。
[接着剤層(兼平坦化層)]
導電性凸状パターン層は凹凸表面(開口部が凹、線條部が凸)をなす。そして、光鏡面反射防止層を形成する材料は、一般的に、凹凸を充填して表面を平坦化する性能には乏しい為、導電性凸状パターン層上に直接、光鏡面反射防止層を形成すると、該導電性凸状パターン層の凹凸を該光鏡面反射防止層が完全に充填しない場合には、該光鏡面反射防止層表面に残留した凹凸が画像光を散乱する。又、該光鏡面反射防止層が完全に導電性凸状パターン層の凹凸を充填し切れた場合であっても、該導電性凸状パターン層の凹部内の空気が十分に置換されずに残留し、気泡となって画像光を散乱して、画像に曇りを生じ、又画像の明暗コントラストの低下、画像端部の輪郭の不鮮明化等の画質低下をもたらす。これを防止する為に、導電性凸状パターン層と光鏡面反射防止層との間に平坦化層を兼ねる接着剤層を介在させる。
本発明において、接着剤層は、導電性凸状パターン層の凹凸を埋めてその表面が平坦面である層であり、透明な樹脂からなる。該樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等のなかから適宜選択する。
熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリオレフィン樹脂等が用いられる。
ここで、アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−エチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシ3フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等が挙げられる(なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する)。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4シクロヘキサンジメタノール等の多価アルコールと、テレフタール酸、イソフタール酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸等の多塩基酸とを縮重合させたものが挙げられる。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、例えば、酢酸ビニル含有量が5〜20質量%程度、平均重合度350〜900程度の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。なお、必要に応じ、更にマレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸を共重合させたものでもよい。
セルロース系樹脂としては、例えば、ニトロセルロース(硝化綿)、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性ウレタン樹脂、熱硬化性の不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が用いられる。
ここで、ウレタン樹脂としては、例えば、(多価)ポリオールと(多価)イソシアネートとを反応させてなるから成るものである。(多価)ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。(多価)イソシアネートとしては、2,4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、1,6ヘキサメチレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの脂肪族(乃至脂環式)イソシアネートが挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー(単量体)、或いはプレポリマーやオリゴマーであり、プライマー層の材料として前記したものと同様のものが用いられる。
これら接着剤層の構成材料中には、必要に応じて適宜添加剤を添加することができる。該添加剤としては、例えば、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色素(着色染料、着色顔料)、体質顔料、光拡散剤等が挙げられる。
接着剤層の厚みは、導電性凸状パターン層の凹凸を埋めてその表面を平坦面とせしめる為に、その最大厚みである該金属パターン開口部における厚みが、該導電性凸状パターン層の厚みと同等以上、より好ましくは、該導電性凸状パターン層の厚みよりも1〜20μm程度厚くなるように設定する。
導電性凸状パターン層の凹凸の平坦化及び光鏡面反射防止層の形成は、本発明のフィルタを製造するには、該導電性凸状パターン層の凹凸を、予め埋めてその表面を平坦面化せしめる接着剤層を形成し、しかる後に平坦化された該接着剤層上に、剥離性基材上に光鏡面反射防止層を積層してなる転写シートの光鏡面反射防止層を転写してもよいし、該接着剤層上に直接、光鏡面反射防止層を塗工により形成してもよく、また、以下に述べる本発明の代表的な形成方法等いずれの方法であってもよい。
本発明の製造方法においては、導電性凸状パターン層の凹凸面上に接着剤層を転写して、接着剤層によって平坦化層を形成する。代表的な形成方法としては、剥離基材上に、光鏡面反射防止層と平坦化層を兼ねる接着剤層とを転写層とする転写シートを予め用意しておく。次いで、該転写シートの接着剤層側の面が導電性凸状パターン層側に当接する向きで、該転写シートを導電性凸状パターン層上に圧着する。そして、該接着剤層がその時点において流動性を有する場合は、その状態のままで、また該接着剤層がその時点において流動性がない場合は、該接着剤層を加熱し、軟化或いは溶融等の方法により流動化せしめる。次いで、該流動性の接着剤層を導電性凸状パターン層の凹凸内に充填させ、該凹凸内の空気と置換せしめる。なお、この過程の間、接着剤層の導電性凸状パターン側とは反対側面は、光鏡面反射防止層を介して剥離基材の平坦面と接触し、変形を規制されるため、平坦面に保たれる。しかる後、該接着剤層及び光鏡面反射防止層を導電性凸状パターン層側に残し、該剥離基材のみを剥離除去する。
なお、構成としておけば、導電性凸状パターン層上に平坦化層としての接着剤層と同時に光鏡面反射防止層も形成することができるので、転写工程を短縮できるので好ましい。
[光鏡面反射防止層]
下記防眩層又は反射防止層のいずれかを選択する。或いは、両者を併用して設けることもできる。
(防眩層)
防眩層(Anti Glare層、略称してAG層)は、外来光を散乱もしくは拡散させるために、光の入射面を粗面化するか、或いは該層内に光拡散性粒子を分散してなるものである。この粗面化処理には、サンドブラスト法やエンボス法等により該層表面に直接微細凹凸を形成して粗面化する方法;放射線、熱のいずれかもしくは組み合わせにより硬化する樹脂バインダ中に、光拡散性粒子としてシリカなどの無機充填剤や、樹脂粒子などの有機充填剤を含有させた塗膜表面に充填剤に対応する微小凹凸を突出させた塗膜により表面が粗面の塗膜を設ける方法;及び塗膜表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法等を挙げることができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、下記ハードコート層と同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適に使用される。
また、層内に光拡散性粒子を分散させた形態の場合は、塗膜中に分散させた前記充填剤と塗膜バインダ樹脂との間に屈折率差(好ましくは、0.14以上)を有するように材料を選定する。この形態の場合は、塗膜表面は平坦面(平滑面)であってもよい。
防眩層の厚みは特に限定されるものではないが、0.07μm以上20μm以下が好ましい。
また、該防眩層の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の十点平均粗さをRzとした場合に、Smが60〜250μmであり、θaが0.3度〜1.0度であり、且つRzが0.3〜1.0μmであることが好ましい。
なお、上記Sm、θa及びRzはJIS B0601 1994に準拠し、例えば、表面粗さ測定器((株)小坂研究所製「SE−3400」)で測定し得るものである。
(反射防止層)
反射防止層(Anti Reflection層、略称してAR層)は、低屈折率層の単層、或いは、低屈折率層と高屈折率層とを、該低屈折率層が最上層に位置するように交互に積層した多層構成が一般的であり、蒸着やスパッタ等の乾式成膜法で、或いは塗工等の湿式成膜法も利用して形成することができる。
なお、ここで高(低)屈折率層とは、該層と隣接する層(例えば、平坦化層或いは低(高)屈折率層)と比較して該層の屈折率が相対的に高(低)いという意味である。
反射防止層に更に耐擦傷機能を付与する場合には、下記耐擦傷機能(ハードコート)層の項で記載するような硬度の高い材料を適宜用いて形成する。
反射防止効果を向上させるためには、低屈折率層の屈折率は、原理上、直下の層の屈折率の平方根に設定することが好ましい。例えば、直下の層が屈折率1.50であれば低屈折率層の屈折率は1.23、又直下の層が屈折率2.10であれば低屈折率層の屈折率は1.45である。この値に完全一致はできないとしても極力この値に近づけるように設計する。
かかる低屈折率を有する材料としては、例えばLiF(屈折率n=1.36)、MgF2(屈折率n=1.38)、3NaF・AlF3 (屈折率n=1.4)、AlF3(屈折率n=1.37)、Na3AlF6(屈折率n=1.33)、NaF(屈折率n=1.33)、CaF2(屈折率n=1.44)、Na3AlF6(屈折率n=1.33)、SiO2(屈折率n=1.45)等の無機材料、又はこれら無機材料を微粒子化し、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等に含有させた無機系低反射材料、或いはフッ素系・シリコーン系の有機化合物、又はその他低屈折率の熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、放射線硬化型樹脂等の有機系低反射材料を挙げることができる。
また、低屈折率層には、空隙を有する微粒子を用いてもよい。空隙を有する微粒子とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。空隙を有する微粒子は、無機物、有機物のいずれであってよく、例えば、金属、金属酸化物、樹脂からなるものが挙げられ、好ましくは、酸化ケイ素(シリカ)微粒子が挙げられる。
さらに、5〜30nmのシリカ超微粒子を水もしくは有機溶剤に分散したゾルとフッ素樹脂系又は珪素系の皮膜形成剤を混合した材料を使用することもできる。該5〜30nmのシリカ超微粒子を水もしくは有機溶剤に分散したゾルは、ケイ酸アルカリ塩中のアルカリ金属イオンをイオン交換等で脱アルカリする方法や、ケイ酸アルカリ塩を鉱酸で中和する方法等で知られた活性ケイ酸を縮合して得られる公知のシリカゾル、アルコキシシランを有機溶媒中で塩基性触媒の存在下に加水分解と縮合することにより得られる公知のシリカゾル、さらには上記の水性シリカゾル中の水を蒸留法等により有機溶剤に置換することにより得られる有機溶剤系のシリカゾル(オルガノシリカゾル)が用いられる。これらのシリカゾルは水系及び有機溶剤系のどちらでも使用することができる。有機溶剤系シリカゾルの製造に際し、完全に水を有機溶剤に置換する必要はない。前記シリカゾルはSiO2として0.5〜50質量%濃度の固形分を含有する。シリカゾル中のシリカ超微粒子の構造は球状、針状、板状等様々なものが使用可能である。また、皮膜形成剤としては、アルコキシシラン、金属アルコキシドや金属塩の加水分解物や、ポリシロキサンをフッ素変性したものなどを用いることができる。低屈折率層の好ましい態様によれば、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。
低屈折率層の形成は、上記で述べた材料を例えば溶剤に希釈し、スピンコーティング、ロールコーティングや印刷等によるウェットコーティング法で、高屈折率層、平坦化層、剥離性基材(転写形態で光鏡面反射防止層を形成する場合)等の所定の層上に設けて乾燥後、熱や放射線(紫外線の場合は上述の光重合開始剤を使用する)等により硬化させることによって得ることができる。或いは、真空蒸着、スパッタリング、プラズマCVD、イオンプレーティング等による気相法(乃至ドライコーティング法)により低屈折率層を設けることもできる。
斯かる高屈折率層に用いる材料としては、無機材料、或いは樹脂等の有機材料の何れも利用できる。高屈折率樹脂については、前記の低屈折率層よりも相対的に低い屈折率を持つ透明なものであれば任意の樹脂が使用可能であり、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線(紫外線を含む)硬化型樹脂などを用いることができる。熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を用いることができ、これらの樹脂に、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えることができる。
高屈折率を有する無機材料としては、例えば、紫外線遮蔽の効果をも得ることができる、ZnO(屈折率n=1.9)、TiO2(屈折率n=2.3〜2.7)、CeO2(屈折率n=1.95)、また、帯電防止効果が付与されて埃の付着を防止することもできる、アンチモンがドープされたSnO2(屈折率n=1.95)又はITO(屈折率n=1.95)、また近赤外線遮蔽の効果も得ることができる、Cs0.33WO3(セシウム含有酸化タングステン(屈折率n=2.5〜2.6)が挙げられる。その他としては、Al23(屈折率n=1.63)、La23(屈折率n=1.95)、ZrO2(屈折率n=2.05)、Y23(屈折率n=1.87)等を挙げることができる。これらの無機材料を微粒子とする場合は単独又は混合して使用され、有機溶剤又は水に分散したコロイド状になったものが分散性の点において良好であり、その粒径としては、1〜100nm、塗膜の透明性から好ましくは、5〜20nmであることが望ましい。
又、高屈折率層の形成は、高い屈折率を有する超微粒子をバインダ樹脂に添加した塗料組成物を塗工することによっても形成できる。
斯かる高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.70の範囲にあることが好ましい。
高屈折率層を設けるには、上記で述べた高屈折率無機材料を例えば、微粒子化した上でバインダ樹脂中に分散して溶剤に希釈し、スピンコーティング、ロールコーティング、印刷等のウェットコーティングで基体上に設けて乾燥後、熱や放射線(紫外線の場合は上述の光重合開始剤を使用する)等により硬化させればよい。或いは、上記の高屈折率無機材料を真空蒸着、スパッタリング、プラズマCVD、イオンプレーティング等による気相法(乃至ドライコーティング法)により堆積、製膜して高屈折率層を設けることもできる。
低屈折率層の厚みは特に限定されるものではないが、通常、低屈折率層の屈折率と厚みの積が反射率を最小化すべき可視光線の波長(380nm〜780nm範囲の特定波長)の1/4程度(95〜195nm)とする。
(耐擦傷機能層)
耐擦傷機能(ハードコート)層は、JISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と上記透明(樹脂)基材と同様な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。
耐擦傷機能(ハードコート)層は、通常樹脂硬化層として形成される。形成する位置及び形態としては、上記光鏡面反射防止層の構成層の何れかを兼用するか、或いは上記光鏡面反射防止層と平坦化層との間に独立した別層として形成する。
用いる硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートプレポリマー、或いは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを単独で或いはこれらの中から2種以上選択して組み合わせて配合した電離放射線硬化性樹脂を用いた塗膜として形成することができる。
耐擦傷機能(ハードコート)は上記材料を必要に応じて溶剤で希釈して上記平坦化層上に、或いは、特に後述の転写法で光鏡面反射防止層を形成する場合は、転写シート上の光鏡面反射防止層上に塗工等の湿式成膜法により形成することができる。
耐擦傷機能層の厚みは特に限定されるものではないが、1.0μm以上20μm以下が好ましく、より好ましくは3.0μm以上5μm以下である。
[光鏡面反射防止層の形成法]
本発明においては、導電性凸状パターン層上への光鏡面反射防止層の積層方法としては、前記平坦化層を間に介して、転写シート上から光鏡面反射防止層を転写する転写法、光鏡面反射防止層形成用塗料を直接塗工する方法、或いは予め形成して成る光鏡面反射防止層を表面に有するシートを接着、積層する方法を採用することができる。但し、光反射率のムラが少なく、且つ厚みや層構成数も少なくて済む点に於いて転写法が好ましい。以下、転写法の例について説明する。
[転写シート]
本発明では、剥離性基材上に、少なくとも光鏡面反射防止層を転写層として剥離可能に積層してなる転写シートを用いる。より好ましくは、転写層として光鏡面反射防止層に加えて平坦化層を兼ねる接着剤層をも具備する転写シートを用いる。以下、主に光鏡面反射防止層及び接着剤層の両方を具備する転写シートを例に説明する(但し、本発明が、此の形態のみに限定される訳ではない)。
(転写法)
予め剥離性基材上に光鏡面反射防止層及び平坦化層を兼ねる接着剤層を積層した転写シートを得、これを導電性凸状パターン層上に各種転写法により転写する。転写後、剥離性基材を離型層とともに剥離し、導電性凸状パターン層の凹凸に接着剤層が埋め込まれ平坦化されたた光鏡面反射防止層付きのフィルタを得ることができる。
(剥離性基材)
適宜の基材シートからなる。必要に応じて、転写層との剥離性(離型性ともいう)を確保する為に、転写層側に離型層を形成することが好ましい。
基材シートは、適度な強度と応力に対する寸法安定性(弾性率)、耐熱性(特に転写時に加熱する場合)、及び表面平滑性の高いものを選択する。厚さ20〜100μm程度の樹脂シート、或いは坪量20〜100g/m2の紙が用いられる。該樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。紙としては上質紙、パーチメント紙、グラシン紙、硫酸紙等で地合のできるだけ均一なものが用いられる。
離型層は、基材シート自体では光鏡面反射防止層(転写層)との剥離性が不足する場合に形成される。離型層は、基材シートとの密着性が高く、且つ転写層との剥離性の高い材料を選定する。
剥離層の材料としては、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が用いられる。必要に応じて、これにワックス、フッ素樹脂等からなる離型剤を添加する。離型層の厚さは、通常、0.1〜5μm程度である。
(転写層)
剥離性基材側から導電性凸状パターン層の凹凸側に転写する層である。少なくとも該光鏡面反射防止層と接着剤層からなる。その他、必要に応じて、その他の接着剤層、その他転写層を含む。
転写層の1要素としての平坦化層を兼ねる接着剤層は、該光鏡面反射防止層と導電性凸状パターン層の凹凸層との両方に対して接着性を持つ材料からなる。
接着剤層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂として、前記の接着剤層のところで例示したものの中から選択でき、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリエステル樹脂等が使用できる。その他、熱硬化性樹脂、或いは電離放射線硬化性樹脂を使用することもできる。
接着剤層の厚みは、通常、1〜30μm程度である。
なお、本発明において、接着剤層の形成形態は、以下の通りである。
予め、転写シート上に転写層として平坦化層としても機能し得る接着剤層(平坦化層及び接着剤層兼用層)と光鏡面反射防止層の両方を形成しておく。一方、導電性凸状パターン層上には平坦化層は未形成とする。その状態にて、該導電性凸状パターン層上に該転写シートから該接着剤層を転写する。接着の際に、該接着剤層を加熱等によって流動性を付与せしめ、導電性凸状パターン層の凹凸内に該接着剤層を充填し、該接着剤層の表面が平坦化して後、該接着剤層を固化せしめる。かくすることにより、1転写工程で、平坦化層の形成、接着剤層の形成、及び光鏡面反射防止層の形成を同時に行うことができる。
必要に応じて設けるその他転写層としては、例えば、適宜樹脂中に近赤外線吸收剤、紫外線吸收剤、ネオン光吸収剤、各種着色色素、帯電防止剤等を含む層であり、これらは各々、近赤外線吸収層等として機能する。
かかる転写シートは、所望の寸法形状に裁断された枚葉形態、或いは長尺に巻き取られた連続帯状の形態のいずれも可能である。
本発明の電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性を有する光学フィルタは、各種用途に使用可能である。特に、テレビジョン受像装置、各種測定機器や計器類の表示部、各種事務用機器や電算機器の表示部、電話機等に用いられるプラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管ディスプレイ(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)などの画像表示装置の前面フィルタ用として好適であり、特にプラズマディスプレイ用として好適である。また、その他、建築物の窓、電子レンジの窓等の用途にも使用可能である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例により何ら限定されるものではない。
実施例
〔プライマー層の形成〕
先ず、透明基材として、片面に易接着処理がされた幅850mmで厚さ100μmの長尺ロール巻ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績株式会社製、A4100)を用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の紫外線硬化性樹脂組成物を乾燥膜厚が厚さ5μmとなるように塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバース法を採用し、紫外線硬化性樹脂組成物としては、エポキシアクリレートプレポリマー35質量部、ウレタンアクリレートプレポリマー12質量部、フェノキシエチルアクリレートからなる単官能モノマー44質量部、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなる3官能モノマー9質量部、さらに光開始剤としてイルガキュア184(物質名;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、製造元;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)3質量部添加したものを使用した。このときの粘度は約1300cps(25℃、B型粘度計)であり、塗布後のプライマー層は触ると流動性を示すものの、PETフィルム上から流れ落ちることはなかった。
〔凹版の準備〕
次に、ロール状の凹版を準備した。準備した凹版は、線幅が20μmで線ピッチが300μm、版深10μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部を版面に有するものである。この凹版の凹部は、旋盤を用い、バイトを切削治具として切削することにより加工した。その加工は、凹部内の空間形状を、版面の表面と平行な仮想面Pで切断した凹部の開口断面積がその表面からの距離z'の減少関数S(z')になるように行った。具体的には、転写後の導電層の形状が図5(A)に示す台形形状となるようにし、図5(A)中のαは75°、α’は75°、βは105°、β’は105°となる形状とした。また、加工後の凹版の全面に電解クロムめっきを施し、ドクターブレードを用いて版表面の余分な部分のインキを掻き取る際に凹部の形状が変化しないようにした。
〔凹版への導電性組成物充填及びプライマー層との圧着〕
次に、流動状態のプライマー層が形成されたPETフィルムを、転写工程を行うロール状凹版に供するが、それに先だって、準備されたロール状凹版の版面に、導電性組成物である銀ペーストをピックアップロールで塗布し、ドクターブレードで凹部内以外の導電性組成物を掻き取って凹部内のみに導電性組成物を充填させた。
斯かる導電性組成物としては、導電性粉末として平均粒径約2μmの鱗片状銀粉末93質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂7質量部、溶剤としてブチルカルビトールアセテート25質量部を配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして作製したものを用いた。
導電性組成物を凹部内に充填させた状態のロール状凹版と、ニップロールとの間に、流動状態のプライマー層が形成されたPETフィルムを供し、ロール状凹版に対するニップロールの押圧力(付勢力)によって、流動状態のプライマー層を凹部内に存在する導電性組成物の凹みに流入させ、導電性組成物と流動性保持状態のプライマー層とを隙間なく密着させると共に、該プライマーの一部を凹部内の該導電性組成物内に浸透せしめた。
〔プライマー層の硬化、導電性組成物層の転写、導電性凸状パターン層の形成〕
次いで、さらに凹版ロールが回転して高圧水銀燈によって紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂組成物からなる流動状態のプライマー層を硬化させた。プライマー層の硬化により、凹版ロールの凹部内の導電性組成物は、硬化したプライマー層と密着し、その後、出口側のニップロールによってフィルムが凹版ロールから剥離され、プライマー層上には導電性組成物層が転写形成された。このようにして得られた転写フィルムを、110℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させ、プライマー層上に導電性凸状パターン層を形成した。このときの導電性凸状パターン層の厚さ(導電性凸状パターン層が形成されているメッシュパターン部分とそれ以外の部分との厚さの差)は9μmであり、断線や形状不良も見られなかった。
〔導電性凸状パターン層の凸状部の断面形状〕
転写後の版面の凹部には残存する導電性組成物が見られなかった。又、得られた導電性凸状パターン層は、転写率(導電性凸状パターン高さの対応する版深に対する比)が90%でプライマー層に転写していた。その導電性凸状パターン層の形状は、凹版の凹部と略同じ形状であり、線幅Wが20μmで線ピッチが300μm、高さHが9μmであり、アスペクト比(H/W)が0.45の格子状のメッシュパターンであり、透明基材1の表面と平行な仮想面Pで切断した断面積がその表面からの距離zの減少関数S(z)になっている。さらに具体的には、図5(A)に示す台形形状であり、αは75°、α’は75°、βは105°、β’は105°であった。
得られた導電性凸状パターンの線條部に直交する切断面を顕微鏡で拡大観察したところ、導電性組成物層とプライマー層との界面は、図7(A)の如く界面が交互に導電性組成物層側及びプライマー層に入り組んでいると共に、図7(B)の如く導電性組成物層内にプライマー層の成分が混入している形態となっていた。
〔導電性凸状パターン層へのめっき〕
次いで、得られた転写フィルムに対し、銅めっきを行った。銅めっき法としては、得られた転写フィルムを硫酸銅めっき液に浸漬し、その表面に形成されたメッシュ状の導電性凸状パターン層を陰極として、銅板を陽極として、2A/dm2の電流を流して電解銅めっきを行った。銅めっき膜は、その導電性凸状パターン層3上に選択的に、厚さ2μmで形成した。こうして本発明に係る実施例の電磁波シールド材を作製した。
〔反射防止層(AR)転写シートの作製〕
離型基材の準備:
片面にメラミン樹脂系の離型層が形成された幅1000mmで厚さ100μmの長尺2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。
反射防止層の形成:
反射防止層を構成する低屈折率層形成用組成物として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)1.95質量部に、光重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184」]0.1質量部を添加し、次いで処理シリカゾル含有溶液[空隙を有する微粒子(平均粒子径60nm)、シリカゾル固形分20質量%、溶媒;メチルイソブチルケトン]12.3質量部、及びシリカ粒子含有溶液[ナカライテスク社製、商品名「sicastar」、巨大粒子(平均粒子径100nm)、シリカ粒子固形分20質量%、溶媒;メチルイソブチルケトン]1.23質量部を混合したのち、メチルイソブチルケトン83.5質量部を加えて、紫外線硬化性樹脂組成物の形態の低屈折率層形成用塗工液を調製した。
該PETフィルムの離型層上記低屈折率層形成用塗工液を、乾燥重量0.1g/m2塗布(バーコーティング)し、次いで、40℃にて60秒間乾燥した。その後、高圧水銀燈からなる紫外線照射装置を用いて、照射線量200mJ/cm2で紫外線照射を行うことにより硬化せしめて低屈折率層となし、反射防止層を連続的に形成した。
なお、該低屈折率層の硬化後の膜厚は、90nm、屈折率が1.44になるように形成した。
次いでウレタンアクリレートプレポリマーと1,6ヘキサンジオールジアクリレートとを混合した組成物100質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン5質量部、メチルセロソルブ300質量部を混合し均一化した電離放射線硬化性樹脂から成るコーティング剤を、該反射防止層(低屈折率層)上に、ウレタンアクリレートプレポリマーと1,6ヘキサンジオールジアクリレートとの混合組成物100質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン5質量部、メチルセロソルブ300質量部を混合し均一化したコーティング剤をロールコーター法により塗布し、80℃で乾燥後、80Wの高圧水銀灯照射し、3μm厚さのハードコート層を形成した。
前記ハードコート層の上に、熱可塑性ポリエステル樹脂10質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン50質量部からなる溶液をリバースロールコーティング法にて連続的に50m/分で塗布、乾燥し厚さ12μmの接着剤層(平坦化層兼用)を形成して、反射防止用転写シートを得た。
このようにして得た反射防止用転写シートを、上記電磁波シールド材上に熱転写法により転写した。転写後にポリエチレンテレフタレートフィルムを離型層とともに剥離し反射防止層付きの光学フィルタを作製した。
このようにして作製した電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有する光学フィルタは、熱転写時に空気を内包してできる気泡は、認められなかった。
比較例
準備した凹版として、線幅が10μmで線ピッチが300μm、版深10μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部を版面に有し、転写後の導電層の形状が四角形形状、すなわち図5(A)において、α、α'、β、β'が全て90°となるようにした。それ以外は、実施例と同様にして、導電性凸状パターンを有する比較例の電磁波シールドを作製した。
なお、転写後の版面の凹部には残存する導電性組成物が見られなかった。又、得られた導電性凸状パターン層は、転写率が90%でプライマー層に転写していた。その導電性凸状パターン層の形状は、凹版の凹部と同じ形状であり、線幅Wが10μmで線ピッチが300μm、高さHが9μmであり、アスペクト比(H/W)が0.9の格子状のメッシュパターンであり、透明基材の表面と平行な仮想面Pで切断した断面積がその表面からの距離zの減少関数S(z)になっていない定常関数である。さらに具体的には、正方形形状であり、図5(A)に於けるαは90°、α’は90°、βは90°、β’は90°であった。得られた導電性凸状パターンの線條部に直交する切断面は、導電性組成物層とプライマー層との界面に実施例と同様の形態が認められた。
比較例で得られた電磁波シールド材を用いた他は、実施例と同様にして、比較例の光学フィルタを製造した。その結果、熱転写処理後の反射防止層付き電磁波シールド材には、電磁波シールド材の導電層と、その導電層上に貼り合わされた接着層との間に気泡の混入がみられた。
又、目視観察で実施例と比較例の光学フィルタを比較したところ、実施例のものでは開口部に白濁は認められなかったのに対して、比較例のものでは白濁が認められた。
本発明のフィルタにおいて、(A)プライマー層を有しない場合、(B)プライマー層有する場合の一例を示す模式的な断面図である。 透明基材表面と平行な仮想面で切断した導電性凸状パターン層の断面積の説明図である。 導電性組成物を充填する版面の凹部の空間形状を示す斜視図である。 プライマー層を有しない場合の導電性凸状パターン層の断面形状の具体例である。 プライマー層を有する場合の導電性凸状パターン層の断面形状の具体例である。 凹部内の導電性組成物の凹みにプライマー層を充填し、その導電性組成物が転写する形態を示す模式図である。 導電性凸状パターン層とプライマー層との界面形態の模式的な断面図であり、界面形態が、(A)第1形態、(B)第2形態、(C)第3形態を示す模式図である。
符号の説明
1 透明基材
2 プライマー層
3 導電性組成物からなる導電性凸状パターン層
4 平坦化層
5 光鏡面反射防止層
11 プライマー層と導電性凸状パターン層との界面
21 混合領域
30 測定試料片
31 プライマー成分
62 凹版
63 版面
64 凹部
P、P' 仮想面
TA 導電性凸状パターン層が形成されている部分の厚さ
TB 導電性凸状パターン層が形成されていない部分の厚さ
H 導電層の基底部からの高さ
W 導電層の基底部のライン幅

Claims (8)

  1. 透明基材と、該基材上に所定のパターンで形成された導電性組成物から成る導電性凸状パターン層と、透明樹脂からなり該導電性凸状パターン層の凹凸を埋めてその表面が平坦面である接着剤層と、光鏡面反射防止層とがこの順に積層されてなり、
    該導電性凸状パターン層は、該透明基材表面に平行な仮想面で切断した面積が、該透明基材からの距離zの減少関数S(z)になっている、電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタ。
  2. 前記導電性凸状パターン層の表面に、金属層を設けてなる、請求項1に記載の電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタ。
  3. 前記透明基材上にプライマー層を形成し、その上に該導電性凸状パターン層及び光鏡面
    反射防止層をこの順に形成してなり、
    該プライマー層のうち、該導電性組成物が所定のパターンで形成された導電性凸状パターン層形成部におけるプライマー層の厚さが、該導電性組成物が形成されていない導電性パターン層非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚く、
    且つ該導電性凸状パターン層形成部におけるプライマー層と該導電性組成物層との界面部分は、(a)該プライマー層と該凸状パターン層との界面が非直線状に入り組んでいる断面形態、(b)該プライマー層を構成する成分と該凸状パターン層を構成する成分とが混合している断面形態、及び、(c)該凸状パターン層を構成する導電性組成物中に該プライマー層に含まれる成分が存在している断面形態、のいずれか1又は2以上の断面形態を有する、電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタ。
  4. 前記導電性凸状パターン層の表面に、金属層を設けてなる、請求項3に記載の電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタ。
  5. 透明基材の一方の面に光鏡面反射防止層と所定のパターンの導電性組成物からなる導電性凸状パターン層とが形成されてなる電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタの製造方法であって、
    透明基材を準備する透明基材準備工程と、
    所定のパターンからなる凹部を有する版面が形成されているとともに、該版面の表面と平行な仮想面で切断した凹部の開口断面積が該表面からの距離z'の減少関数S'(z')になっている、版を準備する凹版準備工程と、
    該凹版の版面に、硬化後に導電性凸状パターン層を形成できる導電性組成物を塗布した後、前記凹部内以外に付着した該導電性組成物を掻き取って該凹部内に該導電性組成物を充填する導電性組成物充填工程と、
    前記透明基材準備工程後の透明基材と前記導電性組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記透明基材と前記凹部内の導電性組成物とを密着する圧着工程と、
    前記圧着工程後に前記透明基材を前記版面から剥がして前記凹部内の導電性組成物を前記透明基材上にパターン状に転写すると共に該導電性凸状パターン層を、該透明基材表面に平行な仮想面で切断した面積が、該透明基材からの距離zの減少関数S(z)とする導電性凸状パターン層転写工程と、
    前記導電性凸状パターン層転写工程の後に、導電性組成物を固化させる導電性凸状パターン層固化工程と、
    前記導電性凸状パターン層転写工程又は固化工程後、剥離性基材上に光鏡面反射防止層及び該導電性凸状パターン層の凹凸を埋めてその表面が平坦面化せしめる接着剤層を積層してなる転写シートを準備し、該転写シートをその光鏡面反射防止層の接着剤層側を導電性凸状パターン層側に対面する向きで重ねて、しかる後に該転写シートの接着剤層を該導電性凸状パターン層上に接着せしめると共に該導電性凸状パターン層の凹凸を充填し、平坦化せしめて、該剥離性基材を剥離除去する接着剤層付き光鏡面反射防止層転写工程とを有する、電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタの製造方法。
  6. 前記導電性組成物充填工程において、前記導電性組成物は、硬化後に電解めっきできる導電性凸状パターン層を形成できる組成物であり、
    前記導電性凸状パターン層固化工程後、前記導電性凸状パターン層上に金属層を電解めっきするめっき工程を有する、請求項5に記載の電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタの製造方法。
  7. 前記製造方法の前記透明基材準備工程は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程であり、
    さらに、前記透明基材準備工程後の前記透明基材のプライマー層側と前記導電性組成物充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の導電性組成物とを空隙なく密着する圧着工程と、
    前記圧着工程後に前記プライマー層を硬化するプライマー層硬化工程と、
    前記プライマー層硬化工程後に前記透明基材及び前記プライマー層を前記版面から剥がして前記凹部内の導電性組成物を前記プライマー層上にパターン状に転写する導電性凸状パターン層転写工程と、
    前記プライマー層硬化工程と同時に、又は前記導電性凸状パターン層転写工程の後に、導電性組成物を固化させる導電性凸状パターン層固化工程とを含む、電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタの製造方法。
  8. 前記導電性組成物充填工程において、前記導電性組成物は、硬化後に電解めっきできる導電性凸状パターン層を形成できる組成物であり、
    前記導電性凸状パターン層固化工程後、前記導電性凸状パターン層上に金属層を電解めっきするめっき工程を有する、請求項7に記載の電磁波遮蔽性と光鏡面反射防止性とを有するフィルタの製造方法。
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