JP2011253907A - 画像表示装置前面用複合フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波遮蔽機能と剥離・再使用性に優れた画像表示装置前面用複合フィルタを提供すること。
【解決手段】電磁波遮蔽材層は、(1)透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電パターン層を有し、該プライマー層のうち該導電パターン層が形成されている部分の厚さは、該導電パターン層が形成されていない部分の厚さよりも厚く、(2)該導電パターン層が導電粒子とバインダー樹脂を含んでなり、該導電パターン層中の該導電粒子の分布は、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、又該導電パターン層の頂部近傍において密であり、
(3)該導電パターン層において該導電粒子の少なくとも一部が融合した連なりを有してなり、該透明粘着剤層は、アクリル系透明粘着剤からなり、画像表示装置に貼り付けるための該透明粘着剤の粘着力が1〜20N/25mm幅である、
ことを特徴とする画像表示装置前面用複合フィルタである。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、単にPDPと称する。)等の画像表示装置の前面に配置される画像表示装置前面用複合フィルタに関する。
近年、例えば、プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と称することがある。)、液晶表示装置(LCD)、陰極線管表示装置(CRT)、電場発光表示装置(ELD)等の画像表示装置の大型化、薄型化に対する要求が高まり、これに対応可能な表示媒体としてPDPが急速に市場を伸ばしつつある。しかし、PDPはキセノンやヘリウムの不活性ガス放電を利用するため、波長800〜1000nmの近赤外線を放出する。このような近赤外線は、コードレス電話、赤外線方式のリモートコントローラー等の誤作動を引き起こす可能性がある。また、不活性ガスに含まれるNe成分のオレンジ色の発光(Ne光)による色純度の低下が生じるという問題があった。
また、PDPは、外部が明るい条件、すなわち明室条件では、コントラストが不十分となり画像品質が低下するという問題があった。
さらに、PDPは高輝度な表示特性が得られるものの、kHz〜GHz帯域において強度の電磁波を放出し、各種の計器類に対して障害を及ぼすことが示唆されている。
このような問題を解消するために、上記のような電磁波や近赤外線、Ne光の放出を抑え、また、明室でのコントラストを向上させることができる前面フィルタに対する要望が高まっており、例えば、コントラストを向上させるための層として、樹脂層中に台形のブラックマトリックスを有する外光遮蔽層を備えた多層構造の前面フィルタが開発されている。特許文献1には、外光を遮蔽しコントラストを向上せしめる層としてのミクロルーバ層と色素フィルタと導電インキを印刷したメッシュからなる電磁波遮蔽材とを積層した複合フィルタが提案されている。
この種の複合フィルタは、多層構造でありかつ画像表示装置の前面ガラスに粘着剤層を介して直接貼り付けられるが、粘着剤層の剥離力が大きいと、画像表示装置の前面ガラスに貼り付ける際に異物や気泡の混入、皺の発生等の不具合が生じた場合に、一旦貼り合せたフィルタを剥離し、別の新たなフィルタに交換する必要があり、剥離作業性に劣るという問題があった。
一方、電磁波遮蔽材は今までに種々検討されているが、例えば特許文献2には、導電体インキ組成物をメッシュパターンで透明基材に直接凹版印刷し、その透明基材上のメッシュパターンに金属層を電気めっきしてなる電磁波遮蔽材が提案されている。
特開2007−272161号公報 特開平11−174174号公報 WO2008/149969号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載のPDP用前面フィルタは、電磁波遮蔽材層が、透明基材上にスパッタ法で厚み0.1μmのニッケルクロム合金層、次いで0.2μmの銅層からなる導電処理層を設け、これに電解めっき法で厚さが2μmの金属めっき層を設け、さらに黒化処理して黒化層で被覆された積層シートを得、フォトリソグラフィー法を利用したエッチングにより、メッシュ状導電体層を形成している。このため、特許文献1に記載の方法は、非常に精度の高いメッシュ形状を得るには優れた方法であるが、工程数が多く、各工程での材料ロスが多く、またエッチング工程の廃液処理の問題もあり、製造コストの低減に限界があった。
一方、特許文献2に記載の電磁波遮蔽材は、凹版から透明基材に直接導電体インキ組成物を転写する方式の為、オフセット印刷特有のブランケット胴によるパターン歪みの問題は無く、又、シルクスクリーン印刷に比べて微細パターン形成が可能である。但し、電磁波遮蔽材に適用する場合は、導電体インキの如き流動性の悪いインキを高塗布量で転写(転移とも言う)させる必要が有る。それ故に、新たに発生して来る問題として、導電体インキを転写する際に、未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生したりすることがある。
一般に、微細な凹版凹部内に充填された低流動性で高粘度の導電体インキの多くは通常の凹版印刷方式では該凹部内に残留する為、導電体インキの転移率〔=(凹部から転移したインキの体積/版凹部の体積)×100%、或いは印刷物と版とで線幅の変化が無視できると見做した場合には、(凹部から転移したインキの厚み/版凹部の深さ)×100%、の式で簡易的に概算する〕は低く、最大でも20%程度が限度であった。それ故、十分な厚みがあり十分な電気伝導度のパターンを形成することが困難となり、十分な電磁波遮蔽性を得ることが困難であった。
そこで、本出願人は、凹版印刷により導電体材料組成物を透明基材上に転写し、導電体を有するパターンを形成してなる電磁波遮蔽材において、導電体材料組成物の転写不良に基づくパターンの断線、形状不良、転移率不足や低密着性等の不具合が生じない電磁波遮蔽材について、特許文献3で提案している。この、特許文献3に記載の発明では、図7(A)に示す導電体インキ組成物15の凹み6を、図7(B)に示す様に、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2cが形成された透明基材1と圧着することによって、プライマー層2cと凹部6内の導電体インキとを空隙無く密着する圧着工程を経て、プライマー層を硬化し、透明基材を版面から剥がして、凹部64内の導電体インキ組成物を硬化したプライマー層2上に転写するものである。
しかしながら、かかる方法においては、なお、以下の如き要解決課題が残存していることが判明した。
〔課題1〕
即ち、画像表示装置前面用のフィルタに於いては、良好な画像視認性を得る為、通常、20μm以下の線幅が要求される。導電粒子とバインダー樹脂を含む導電性組成物から成る導電パターン層の線幅がこのように細くなると;
(1)一般に物体の電気抵抗Rは、其の長さL及び体積抵抗率ρに比例し、その断面積Sに反比例する。即ち、R=ρL/Sとなる。その為、導電性組成物が同一(ρ一定)、平面視パターンも同一(L一定)、且つ厚みも同一とした場合、線幅の減少に比例して断面積も減少し、導電パターン部分の電気抵抗は高くなる。これに伴い、電磁波遮蔽性の指標である、シールド部材としての表面抵抗率も増大する。
(2)印刷厚みを一定として、パターン線幅が狭くなり、線幅と導電粒子径とが近付いてくると、同じ粒子径及び粒子形状の導電粒子であっても、該細線パターンの単位断面積中に於ける該導電粒子同士が接触する部分の総面積の比率は低下する。其の結果、幾何学的断面積SGEOに比べて、現実の電流通路となり得る導電粒子(群)の有効総断面積SAVは低下し(SAV<SGEO)、導電パターン部分の電気抵抗Rは、線幅減少による幾何学的要因(断面積S)の影響以上に高くなるため、電磁波遮蔽材の表面抵抗率も線幅から単純計算した値以上に上昇してしまう。其の結果、電磁波遮蔽性は低下する。
勿論、該導電パターン層上に、電解めっき等によって、低体積抵抗率の金属層を形成すれば、此の電気抵抗の上昇分は相殺し得る。しかし、その場合は、工程数及び材料費の増加と歩留まりの低下を生じる為、好ましい形態とは言えなかった。
また、要求される低電気抵抗化のため、導電粒子添加量を多くしても、必ずしも電気抵抗が下がる訳ではなく、導電粒子添加量を多くすると材料コストが上昇し価格の上昇を余儀なくされ、特に、導電粒子の添加量が多いと、インキの印刷適性が低下して、断線、パターン形成不良、転移率低下等の問題が発生する等の解決すべき問題があった。
〔課題2〕
また、導電粒子は一般に可視光線反射率も高い為、導電性組成物は可視光線反射率が高くなる。特に金属粒子はこの傾向が強く、中でも低抵抗化する為に通常採用される鱗片状の導電粒子の場合、導電パターン表面には大局的に見た場合に鏡面に近い面が形成される為、かかる反射は鏡面反射に近くなる。高可視光線反射率、中でも鏡面反射成分が多い場合、該導電パターン表面は(透明基材側面及び透明基材とは反対側面の両面とも)電燈光、日光等の外光、或いはディスプレイ装置からの画像光を反射し、画面が白化したり、画像コントラストが低下したりする問題が生じる。
勿論、黒鉛のような可視光線反射率の低い導電粒子を使用すれば、導電パターンによる此の様な画面の白化、コントラスト低下は防げる。しかし、其の場合は、黒鉛の体積抵抗率が銀等の金属にくらべて高いため、同じ導電パターン設計をした場合には電磁波遮蔽性が劣る。これは、線幅が広い場合は比較的問題になり難いが、導電パターンを細線化した場合には、前記の如く幾何学的要因による電気抵抗の上昇とも相俟って、電磁波遮蔽性能の不足につながると云う問題が生じる。更に、黒鉛のような炭素の粒子は、導電性組成物の構造粘性を上昇させ、流動性を低下させる場合も多い為、細線パターンの再現性不良、転移率低下の傾向を生じることも問題となる。
〔課題3〕
さらに、画像表示装置の前面ガラスに複合フィルタを貼り付ける際に、位置ズレが生じたり、気泡、皺などが発生した場合に剥離しても、画像表示装置表面のガラスに糊残りがなく、剥離が可能な粘着剤層を有する複合フィルタが求められていた。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、少なくとも反射防止機能、近赤外線・ネオン光吸収機能、コントラスト向上機能等の光学機能を発現する光学機能層と、電磁波遮蔽材層及び画像表示装置に直貼りするための透明粘着剤層を備える画像表示装置前面用複合フィルタであって、特に、電磁波遮蔽機能と剥離性に優れたものを提供することを目的とする。
本発明は、
〔1〕少なくとも光学機能層、電磁波遮蔽材層、及び画像表示装置に直貼りするための透明粘着剤層を備える画像表示装置前面用複合フィルタであって、該電磁波遮蔽材層は、
(1)透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電パターン層を有し、該プライマー層のうち該導電パターン層が形成されている部分の厚さは、該導電パターン層が形成されていない部分の厚さよりも厚く、(2)該導電パターン層が導電粒子とバインダー樹脂を含んでなり、該導電パターン層中の該導電粒子の分布は、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、又該導電パターン層の頂部近傍において密であり、(3)該導電パターン層において該導電粒子の少なくとも一部が融合した連なりを有してなり、
該透明粘着剤層は、アクリル系透明粘着剤からなり、画像表示装置に貼り付けるための該透明粘着剤層の粘着力が1〜20N/25mm幅である、
ことを特徴とする画像表示装置前面用複合フィルタ、
〔2〕少なくとも光学機能層、電磁波遮蔽材層、及び画像表示装置に直貼りするための透明粘着剤層を備える画像表示装置前面用複合フィルタであって、該電磁波遮蔽材層は、
(1)透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電パターン層を有し、該プライマー層のうち該導電パターン層が形成されている部分の厚さは、該導電パターン層が形成されていない部分の厚さよりも厚く、(2)該導電パターン層が導電粒子とバインダー樹脂を含んでなり、該導電パターン層中の該導電粒子の分布は、相対的に、該導電粒子の間隔が該プライマー層近傍において大であり、該導電パターン層の頂部近傍において小であり、(3)該導電パターン層において該導電粒子の少なくとも一部が融合した連なりを有してなり、
該透明粘着剤層は、アクリル系透明粘着剤からなり、画像表示装置に貼り付けるための該透明粘着剤層の粘着力が1〜20N/25mm幅である、
ことを特徴とする画像表示装置前面用複合フィルタ、及び
〔3〕該透明粘着剤層がシランカップリング剤を含む、ことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の画像表示装置前面用複合フィルタ、
を提供する。
本発明の画像表示装置前面用複合フィルタ(以下、単に「複合フィルタ」ということがある。)は、前面ガラスに貼着する粘着剤層の粘着力を1〜20N/25mmとしているので、剥離が可能で、かつ糊残りもなく、再利用が可能であるという効果を奏する。
本発明の画像表示装置前面用複合フィルタに用いる電磁波遮蔽材層は、その導電パターン層を構成する導電性組成物が導電粒子とバインダー樹脂を含み、しかも該導電粒子の分布が、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎に、又該導電パターンの頂部近傍において密であるよう構成している。その為、該導電パターンが細線化し、幾何学的因子(前記式R=ρL/Sにおいて断面積Sが小)的には高電気抵抗の環境下でも、限られた添加量の導電粒子が、該導電パターンの頂部近傍に於いて密度が高く保たれ、ここで集中的に各導電粒子同士の電気的接触が確保される。同時に該プライマー層近傍での導電粒子の密度が疎な為、該導電パターンの界面剥離、脱落が抑えられ高い密着性が確保される。そのため、該パターンの線幅を微細化した場合においても、高電磁波遮蔽性と機械的強度、及び高透明性による高解像度とが両立できると言う効果を奏する。
加えて、該導電パターン層の該プライマー層側の界面において、該導電粒子の分布が疎である為、ここでの光の鏡面反射率は低減される。その為、該導電粒子の分布が疎な面側を外光側(画像観察者側)に向けた場合には、外光による画像の白化、コントラスト低下を防止出来る。一方、該導電粒子の分布が疎な面側をディスプレイ装置側に向けた場合には、画像光の画面への反射による画像の白化、コントラスト低下を防止出来る。
上記の画像表示装置前面用複合フィルタにおいて、更に、複数の導電粒子が部分的に融合するようにしたり、複数の導電粒子が部分的に融合した連なり(経路)を形成することによって、該経路が電流の通路となる為、一層、電磁波遮蔽性が高まると言う効果を奏し得る。
また、上記の画像表示装置前面用複合フィルタに用いる電磁波遮蔽材層は、高い導電性を有するため、必ずしもめっきにより金属層を設ける必要はなく、安価で簡便に電磁波遮蔽材を得ることができる。尚、より高い導電性が要求されて、該導電パターン層の表面に、更に金属層が形成されるように構成を選択した場合には、該導電パターン層表面の電気抵抗が低い為、電解めっきの処理時間が短縮されるという効果をも奏する。
本発明の画像表示装置前面用複合フィルタの層構成の一例として実施例1の層構成を示す模式的な断面図である。 本発明の画像表示装置前面用複合フィルタの、(A)光学フィルタ層(反射防止層+色素含有機能層)の一例、(B)コントラスト向上層として機能するミクロルーバ層からなる光学機能層の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の複合フィルタを構成する電磁波遮蔽材層の模式的な平面図である。 図3におけるA−A’断面の拡大図である。 図4の一部をさらに拡大して示す、(A)一般的な導電パターン層、(B)金属層による被覆を施した導電パターン層の模式的な断面図である。 本発明の複合フィルタに用いる電磁波遮蔽材層を製造する装置の概略構成図である。 本発明の複合フィルタに用いる電磁波遮蔽材層を製造するにおいて、凹部内の導電体材料組成物の凹みにプライマー層を充填し、その導電体材料組成物が転写する形態を示す模式図である。 本発明の複合フィルタに用いる電磁波遮蔽材層における導電パターン層の断面SEM写真である。 導電粒子が一部融合した導電パターン層の断面SEM写真である。 図9の導電パターン層の断面SEM写真における融合経路の説明図である。 導電パターン層における導電粒子密度分布の概念図である。 実施例2の複合フィルタの層構成を示す模式図である。 実施例3の複合フィルタの層構成を示す模式図である。 実施例4の複合フィルタの層構成を示す模式図である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の画像表示装置前面用複合フィルタは、反射防止機能、近赤外線・ネオン光吸収機能、コントラスト向上機能等の光学機能を発現する光学機能層と、電磁波遮蔽材層及び画像表示装置の前面に直貼りするための透明粘着剤層を少なくとも備える画像表示装置前面用複合フィルタである。特に、電磁波遮蔽機能と剥離性に優れる。
以下、電磁波遮蔽材層、光学フィルタ(以下、電磁波遮蔽材層以外の機能層を「光学フィルタ」という場合がある。)の順に説明する。
〔電磁波遮蔽材層〕
図3は、本発明の画像表示装置前面用複合フィルタの電磁波遮蔽材層(以下、単に「電磁波遮蔽材」ということがある。)の一例を示す模式的な平面図であり、図4は、図3におけるA−A’断面の拡大図であり、金属層4及び保護層9は必要に応じて設けられる層である。
また、図5(A)は、図4の一部をさらに拡大して示す模式的な断面図、図5(B)は、導電パターン層3上に形成された金属層4を有している場合を示している。
図6は、電磁波遮蔽材の製造装置の一例による工程図を示している。
本発明の電磁波遮蔽材10は、図4に略示する如く、透明基材1の表面にプライマー層2を有し、該プライマー層2の表面に導電パターン層3を形成しており、製造方法による特徴を反映して、図5(A)に示すように、プライマー層2のうち前記導電パターン層3が形成されている部分Aの厚さTAは、前記導電パターン層が形成されていない部分Bの厚さTBよりも厚くなっている。
また、導電パターン層3は、図11の模式図に示すように導電粒子Cpとバインダー樹脂Rとからなり、導電粒子Cpの少なくとも一部は、図9及び図10に示すように、導電パターン層3の横断面の電子顕微鏡写真による観察において、隣接する粒子同士が互いに融合(融着)した連なりを有してなる部分を形成している。
(透明基材)
電磁波遮蔽材層の構成要素の1つである透明基材1は、可視光線領域での透明性(光透過性)、耐熱性、機械的強度等の要求物性を考慮して、公知の材料及び厚みを適宜選択すればよく、ガラス、セラミックス等の透明無機物の板、或いは樹脂板など板状体の剛直物でもよい。ただし、生産性に優れるロール・トゥ・ロールでの連続加工適性を考慮すると、フレキシブルな樹脂フィルム(乃至シート)が好ましい。なお、ロール・トゥ・ロールとは、巻取(ロール)から巻き出して供給し、適宜加工を施し、その後、巻取に巻き取って搬送乃至保管する加工方式をいう。
樹脂フィルム、樹脂板の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール−テレフタール酸共重合体、エチレングリコール−テレフタール酸−イソフタール酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリプロピレン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等である。なかでも、ポリエチレンテレフタレートはその2軸延伸フィルムが耐熱性、機械的強度、光透過性、コスト等の点で好ましい透明基材である。
透明無機物としては、ソーダ硝子、カリ硝子、硼珪酸硝子、鉛硝子等の硝子、或いはPLZT等の透明セラミックス、石英等である。
透明基材の厚みは基本的には特に制限はなく用途等に応じ適宜選択し、フレキシブルな樹脂フィルムを利用する場合、例えば12〜500μm、好ましくは25〜200μm程度である。樹脂や透明無機物の板を利用する場合、例えば、500〜5000μm程度である。
また、プライマー層2との密着性を確保するために、透明基材表面に別途密着性改善のための表面処理や、易接着層、下地層などが設けられていてもよい。
下地層としては、例えば、透明基材の材料がポリエステル樹脂から成り、プライマー層がアクリレート系の電離放射線重合性組成物から成る場合は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等からなる厚さ0.1〜1μm程度の塗膜であってもよい。
(プライマー層)
複合フィルタの電磁波遮蔽材層に用いるプライマー層2は、その主目的が導電パターン層3の印刷形成時に、版から被印刷物(透明基材)へのインキ(導電性組成物)転移性を向上させ、転移後の導電性組成物と被印刷物との密着性を向上させるための層である。すなわち、透明基材及び導電パターン層の双方に密着性が良く、また開口部(導電パターン層非形成部)の光透過性確保のために透明な層でもある。
さらに、このプライマー層2は、流動性を保持できる状態で透明基材1上に設けられ、凹版印刷時の凹版に接触している間に液状から固化させる層として形成される層であり、最終的な電磁波遮蔽材が形成されたときに固化している層である。
かかるプライマー層を構成する材料としては、本来特に限定はないが、本発明では、未硬化状態において液状(流動性)の電離放射線重合性化合物を含む電離放射線硬化性組成物を塗工、硬化(固体化)してなる層が好適に用いられる。以下、この材料を中心に詳述する。
該電離放射線重合性化合物としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーが用いられる。
かかるモノマーとしては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
また、かかるプレポリマー(乃至オリゴマー)としては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらのモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
電離放射線として、紫外線、又は可視光線を採用する場合には、通常は、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系等の化合物が、又カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加する。
なお、電離放射線としては、紫外線、又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線、各種イオン線等の荷電粒子線を用いることもできる。
プライマー層を版表面で硬化させた後に剥離する際、剥離が重い(版との密着が良い)材料系を用いる場合には、版表面に離型加工をしたり、離型剤を塗布したりするなどの方法もとられるが、加工コストや離型能力の寿命などと勘案し、必要に応じてプライマー層に離型剤を添加する。本発明において用いる離型剤とは、電磁波遮蔽材の製造において、プライマー硬化工程を経た透明基材上のプライマー層が、版面からの剥離に要する力(剥離力)を小さくして、円滑に剥がれるように剥離性を向上させるための添加剤をいう。かかる離型剤としては、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコーン樹脂系離型剤、弗素樹脂系離型剤等が挙げられる。
当該電離放射線硬化性組成物は、溶剤を含んでもよいが、その場合塗布後に乾燥工程が必要となるため、コストを考えれば溶剤を含まないタイプ(ノンソルベントタイプ乃至無溶剤型)であることが好ましい。外観改善や塗工適性改善などのために溶剤を添加する場合には乾燥が必要となるが、溶剤の添加量が数%程度の量であるならば、硬化後に乾燥させてもよい。残留溶剤量はなるべく少ない方が好ましいが、物性、耐久性に影響が無ければ完全にゼロでなくても良い。
プライマー層2の厚さ〔TB;図5(A)の如く、導電パターン層(導電パターン層の非形成部の厚みで評価〕は特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm〜100μm、好ましくは2μm〜50μm、より好ましくは5μm〜20μm程度となるように形成される。また、プライマー層2の厚さ(TB)は、通常は、導電パターン層3とプライマー層2との合計値(総厚。図5(A)でいうと導電パターン層3の頂部と透明基材1の表面との高度差)に対する比として1〜50%程度である。
(導電性組成物からなる導電パターン層)
本発明における電磁波遮蔽材層は、導電パターン層3がプライマー層2上に所定のパターンで設けられたものである。該パターンの平面視形状としてはメッシュ(網目乃至格子)形状が代表的なものであるが、その他、ストライプ(平行線群乃至縞模様)形状、螺旋形状等も用いられる。メッシュ形状の場合、単位格子形状は、正3角形、不等辺3角形等の3角形、正方形、長方形、台形、菱形等の4角形、6角形、8角形等の多角形、円、楕円等が用いられる。また、モアレを軽減する目的で、ランダム網目状、または擬似ランダム網目状のパターンなども使用可能である。その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5〜50μmとすることができ、線間ピッチは100〜500μmとすることができる。開口率(電磁波シールドパターン部7の全面積中における開口部の合計面積の占める比率)は、通常、50〜95%程度である。またメッシュの電磁波シールドパターンとは別に、其の周辺部の全周又は其の一部にそれと導通を保ちつつ隣接した全ベタ(開口部無し)等の接地パターンが設けられる場合もある。この接地パターンはシールドパターン形成時に同時に形成しても良く、別途導電インキを使って形成してもよく、導電金属テープなどを貼ることにより形成しても良い。なお、かかる別途導電インキで該接地パターンを形成する場合の印刷法としては、特に微細パターンの再現精度は不要の為、導電パターン層3と同様の印刷方法でも良いし、或はシルクスクリ−ン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の公知の各種印刷方法によっても良い。
なお、線幅は、より高透明のものを得る為に、より一層微細化することが求められている観点から、50μm以下、好ましくは30μm以下、特に20μm以下とすることが好ましい。
また、導電パターン層3の厚さは、その導電パターン層3の抵抗値によっても異なるが、電磁波遮蔽性能と該導電パターン層上への他部材の接着適性との兼ね合いから、その中央部(突起パターンの頂部)での測定において、通常、2μm以上50μm以下であり、好ましくは、5μm以上20μm以下である。
この導電パターン層3は、導電粒子Cpとバインダー樹脂Rを含む導電性組成物(導電体インキ或は導電体ペースト)を凹版印刷法によりプライマー層2上に形成することで得ることができる。
かかる導電パターン層3は、特に、図11の概念図に示すように、導電粒子Cpが後述の如く及び図11、図8乃至図10に図示の如く特定の分布状態にて分布し、そして、図10に図示の如く、導電粒子Cpの少なくとも一部に於いて、隣接する導電粒子Cp同士が接触乃至は融合して構成される連なりからなる電流の通路となる経路が形成されてなることを特徴とする。これら導電粒子Cpの間には、隣接する導電粒子間の接触乃至融合した部分を除いた間隙にバインダー樹脂Rが介在し、導電パターン層3内の導電粒子Cp同士を結着してなる。
なお、此処で融合とは、電子顕微鏡観察に於いて、隣接する導電粒子の間隔0で接する部分の境界面(線)が消失し、該接する部分に於いて隣接粒子が一体化している状態を云う。一方、接触とは、電子顕微鏡観察に於いて、隣接する金屬粒子の間隔0で接する部分には境界面(線)が存在している状態を云う。
また、前記導電パターン層3の表面に安定して電解めっきにより金属層4の形成が可能になる為には、該導電性組成物から成る導電パターン層の表面抵抗率は低い程好ましい。具体的には、表面抵抗率が2.0Ω/□以下、となるよう構成することが好ましい。更に、前記導電パターン層の表面に金属層を形成すること無く、且つ電磁波遮蔽材メッシュとして多用される線幅が25μm以下、線厚みが20μm以下の領域にて十分な電磁波遮蔽性を発現せしめる為には、該導電性組成物から成る導電パターン層の表面抵抗率は、更に低い程好ましい。具体的には、表面抵抗率が1.2Ω/□以下、より好ましくは0.8Ω/□以下となるよう構成すると良い。該導電パターン層の表面抵抗率を0.8Ω/□以下とする為には、該導電粒子の材料として体積抵抗率の低い銀、金、銅等の金属を選択すること、該導電粒子の平均粒子径を1μm以下とすること、該導電粒子の粒子径を小粒子径粒子と大粒子径粒子との混合系にすること、該導電パターン層の頂部に於ける該導電粒子の密度を密にすること、及び該導電パターン層を形成した後、後述の酸処理や温水処理による電気抵抗低減化処理(工程)を施すことが有効である。
導電性組成物自体の導電体を示す体積抵抗率は、印刷する形状により見かけの値が変化する。例えば、市販の導電ペーストをベタ形状(開口部がない形状)で形成した場合の体積抵抗率に比べ、下記の式で計算した、パターンで形成した場合の見かけの体積抵抗率は、形成するパターン形状を微細にするほど大きくなる。
(式):見かけの体積抵抗率〔Ω・cm〕=パターン部の表面抵抗率〔Ω/□〕×
パターン部厚み〔cm〕×パターン占有率
・パターン部厚み:パターン形成部の厚み− パターン非形成部(開口部)の全厚み
・パターン占有率:単位面積のうち、パターン形成されている部分の面積の割合
例えば、市販の乾燥硬化型銀ペーストをベタ塗りし乾燥させた場合の体積抵抗率は、通常10-5〔Ω・cm〕以下のオーダーであるが、実際にメッシュパターン印刷すると、見かけの体積抵抗率は1桁以上高くなることが多い。これは銀粒子の充填率や粒子同士の接触の機会が低減することによる。例えば、同じパターン占有率であっても、線幅や厚みが導電粒子の粒径に近くなるほど抵抗は増大する。ここで酸処理或いは温水処理の手段を用いれば、この体積抵抗率上昇を抑えられる。特に、酸処理後に温水処理を行うことで、見掛けの体積抵抗率は該処理を行う前に比べて、70〜65%の値に低減する。
導電性組成物を構成する導電粒子としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、錫、アルミニウムなどの低抵抗率金属の粒子、或は芯材粒子としての高抵抗率金属粒子、樹脂粒子、無機非金属粒子等の表面が金や銀などの低抵抗率金属で被覆された粒子、黒鉛粒子、導電体高分子粒子、導電体セラミックス粒子等を挙げることができる。
導電粒子の形状は、正多面体状、截頭多面体状等の各種の多面体状、球状、回転楕円体状、鱗片状、円盤状、樹枝状、繊維状等から選ぶことができる。特に、多面体状、球状、又は回転楕円体状が好ましい。これらの材料や形状は適宜混合して用いてもよい。
導電粒子の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、好ましくは、平均粒子径が0.01〜10μm程度のものを用いることができる。得られる導電パターン層の電気抵抗を低く〔前記の如く、好ましくは、表面抵抗率(単に、表面抵抗とも略称)が0.8Ω/□以下〕して良好な電磁波遮蔽性を得る為には、平均粒子径は小さい方が好ましく、此の観点からは平均粒子径0.1〜1μmが好ましい。一般に「ナノ粒子」と呼ばれるような平均粒子径が数十nmと小さい粒子はコスト高につながり、また、バインダー樹脂を入れると性能が低下し、インキとしての安定性も低下する。また、粒子径の分布については、得られる導電パターンの電気抵抗を低くする為には、分布幅が狭く単一粒子径に近いものよりも、相対的に大粒子径の粒子と相対的に小粒子径の粒子との混合系から成る方が良い。例えば、粒子径が0.01μm〜1μmの範囲の小粒子径粒子と粒子径5〜10μmの範囲の大粒子径粒子との混合系が好ましい。
かかる混合系に於ける両粒子の混合比は、小粒子径粒子数:大粒子径粒子数=1:9〜9:1、特に、小粒子径粒子数:大粒子径粒子数=5:5〜9:1の範囲が好ましい。当然のことながら、パターンの線幅や厚みよりも大きな粒子が混入すると、該導電粒子同士の接触による電流の経路が途中で中断し易くなり印刷時に抜けやスジなどの不良が多発するため、大粒子径粒子の平均サイズ、あるいは最大粒子径はパターン設計により変わってくる。此の観点からは、平均粒子径 ≦ 線幅/4、とすると、これらの問題が事実上解消される為、好ましい。
また、異なる平均粒子径を持つ複数種類の粒子を混合する以外に、ある程度の粒度分布を持った粒子を最初から用いても良い。
該導電粒子の粒子径を小粒子径粒子と大粒子径粒子との混合系にすると該導電性組成物(から成る導電パターン層)の表面抵抗率が低下する理由としては、かかる系から成る導電パターン層の断面を顕微鏡観察すると、大粒子径粒子の分布する間隙に小粒子径粒子が充填されて分布した形態が観察されることから推して、大粒子径粒子同士の接触が無い部分の間隙を、そこに介在する小粒子径粒子の接触によって補強し、導電性組成物内に分散する大小粒子相互の電気的接触面積の総和が増大する為(前記式R=ρL/SAVにおいて有効総断面積SAVが増加したことに相当)と考えられる。
また、該導電パターン層内に於ける該導電粒子の分布は、所望の特性や製造適性に応じて各種形態を選択可能であるが、該導電パターン層内のある一端から他の一端に至る電流の流れ得る経路が1つ以上確保されている必要が有る。其の為には、隣接する該導電粒子同士が粒子間の間隔が0で接触し且つ融合した構造が連なって出来る図10の如き経路が1つ以上存在することが必要である。かかる経路を形成せしめる為の特に好ましい形態としては、図9の如く、該導電パターン層の頂部近傍(プライマー層から遠ざかる方向)においては、相対的に、粒子間の間隔が小さくなり、一方、該導電パターン層の底部近傍(プライマー層に近付く方向)においては、相対的に、粒子間の間隔が大きくなる分布が挙げられる。
そのためには、
(i)図11に概念的に図示する如く、導電パターン層内に於ける粒子数密度、即ち単位体積当りの粒子数を、相対的に、頂部近傍に於いて高く(密に)、又プライマー層近傍に於いて粒子数密度が低く(疎或いは粗)なるように分布させる。
(ii)導電パターン層内に於ける粒子数密度は一定とし、粒子径を、相対的に、頂部近傍に於いて大きく、又プライマー層近傍に於いて小さくなるように分布させる。
(iii)相対的に、頂部近傍に於いて粒子数密度を高く且つ粒子径を大きくし、又プライマー層近傍に於いて粒子数密度を低く且つ粒子径を小さくなるように分布させる。
のいずれかの分布形態を採用する。なお、図9及び図10は、(iii)の形態に相当する。
かかる導電パターン層内に於ける導電粒子の数密度の分布について詳細に説明する。
本発明においては図11に概念的に示す様に、導電性の導電パターン層3を構成する凸部の内部の導電粒子Cpの分布は、導電粒子Cpが一様な均一な分布ではなく、導電粒子Cpの分布が、相対的に、凸部の頂部P(頂上部)の近くが密で、頂部Pから遠いプライマー層2の近くが疎である分布を持つ内部構造が好ましい。
密とは単位体積中の導電粒子Cpの粒子数で見た数密度(体積密度)である。つまり、凸部内部の導電粒子Cpの数密度が、プライマー層2近くに比べて頂部P近くの方が大きくなる分布である。
そして、プライマー層2との界面に隣接する領域に於ける導電粒子Cpの数密度を1としたときの導電パターン層3の頂部Pに於ける導電粒子Cpの数密度の比は、大きいほどかかる導電粒子の数密度の分布による効果を奏する上では有利である。
一方、当該数密度の比を大きくするほど、その製造条件が制約され且つ実現の際の難度も増大し、又、導電粒子の粒径による高密度化の物理的限界(最密充填構造を超える高密度化は不能)も有る。これらを考慮すると、前記の如き、導電粒子の材料と平均粒径、導電パターン層の線幅、製造方法、及び良好な電磁波遮蔽性能を勘案した場合、当該数密度の比、即ち〔「頂部Pに於ける導電粒子Cpの数密度」/「プライマー層との界面に隣接する領域に於ける導電粒子Cpの数密度」〕は、1.5〜10程度の範囲が好ましい。
導電パターン層3中に於ける導電粒子Cpの分布状態は、該導電パターン層3が透明基材1上で延びる方向には依存性を持たないと判断される。つまり、図11で示す導電パターン層3の凸部の断面図は、凸部が延びる方向に直交し且つ透明基材1のシート面に垂直な面である主切断面の断面図であり、紙面に垂直な方向が導電パターン層の延びる方向(延在方向)であるが、該延在方向では、主切断面内での位置が同じであれば単位体積中の粒子の数密度は一定であると見なされる。なぜなら、導電パターン層3は後述する方法で、同一の導電性樹脂組成物を凹版に塗布し連続的に製造されるからである。
その為、この様な単位体積中の導電粒子Cpの数密度は、任意の導電パターン層3の主切断面に於ける単位面積中の導電粒子Cpの数密度(面密度)で評価出来る。
即ち、図11の如く、主切断面内に於いて、導電粒子Cpの面密度がプライマー層2の界面に隣接する領域に比べて頂部Pの近くの方が大きくなる分布であれば、導電粒子Cpの体積密度もプライマー層2近くに比べて頂部Pの近くの方が大きくなる分布であると判断して良い。
導電粒子Cpの粒子数の面密度の測定は、導電性パターン層3の主切断面の顕微鏡(拡大)写真を撮り、該写真上に於いて、プライマー層2近傍から頂部P近傍迄の間の特定の位置(点)を中心とした適当な測定面積(予め適当な値を設定)内の導電粒子数を計数し、該測定面積で割算することにより、該特定の位置に於ける導電粒子数の面密度とする。
また、導電パターン層の導電粒子の分布は、導電パターン層において隣り合う導電粒子間の間隔(以下、略して「導電粒子間隔」或いは「粒子間隔」とも略称する。)の厚み方向の分布を測定することによっても表現することができる。ここにおいて、厚み方向の層としては、導電パターン層の輪郭線に沿って存在する導電粒子を結びつける仮想線で形成される頂部としての最外層(以下、「最外層の導電粒子間隔」ということがある。)、及びプライマー層近傍に存在する導電粒子を結びつける仮想線で形成される最内層(以下、「最内層の導電粒子間隔」ということがある。)を代表的な層とすることができる。そしてこれらの層内に於けるそれぞれの導電粒子の粒子間隔、すなわち最外層の導電粒子間隔を測定し其の平均を求め、又最内層の導電粒子間隔を測定しその平均を求めることによって、導電パターン層の導電粒子の分布の指標とすることができる。導電粒子間隔の値は、導電パターン層3中に於ける隣接する導電粒子Cp同士の間隔も、導電パターン層の延在方向に依存性をもたない為、該導電パターン層の主切断面に於ける粒子間隔で評価できる。即ち図11の如く、主切断面内において、隣接する導電粒子Cp同士の間隔がプライマー層2近傍に比べて頂部P近傍の方が小になる分布であれば、即ち、延在方向も含めた3次元空間内に於ける隣接する粒子間隔の分布についても、同樣に、プライマー層2近傍に比べて頂部P近傍の方が小になる分布であると判断してよい。
導電粒子Cpの粒子間隔(粒子間距離)の測定は、導電性パターン層3の主切断面の顕微鏡(拡大)写真を撮り、該写真上に於いて、プライマー層2近傍から頂部P近傍迄の間の特定の点に位置する導電粒子Cpについて、該導電粒子からの距離が近い順に3乃至10個(適当な数を予め設定)の他の導電粒子との間隔を測定し、これを平均した値を以って、該位置に存在する特定導電粒子についての、粒子間隔とする。
各層に於ける導電粒子間隔の測定データ数としては、3以上、好ましくは10程度の導電粒子についてデータを取り、これを平均する。又導電粒子間隔は、主切断面の顕微鏡写真を撮影し、此処から隣接する2つの導電粒子同士の間隔を測定することにより求める。
さらに、該粒子間隔は、導電パターン層における両サイドエッジ部(図5の符号5参照)間の距離wに対して、頂点を中心として幅がそのw/2に相当する中央部における領域の最外層の粒子間隔及び最内層の粒子間隔が、導電パターン層の導電粒子の分布の違いを顕著に表すので、それらの値をもって、粒子間隔の違いとすることができる。
高導電性を示す平均粒子間隔としては、最外層が0〜0.5μm、最内層が0.5〜3μmの範囲が好適である。
かかる粒子密度の疎密又は粒子間隔の違いを実現する、即ち、導電パターン層の頂部Pの方(最外層)に導電粒子Cpを偏在させるには、例えば、図6に示すような特定の凹版印刷方法を採用し、図7(A)〜(C)に示すように、プライマー流動層2c(プライマー層2の未硬化状態の物)を形成済みの透明基材1を版面63に圧着する圧接力を強くすると共に、導電性組成物3cは粘度を低めにして且つ凹版凹部内では固化させずに版面から離版後に固化させると良い。
その他、導電粒子Cpとバインダー樹脂との比重差、固化前の導電性組成物3cの粘度(樹脂材料及び樹脂量、溶剤量、その他添加剤量、導電粒子の形状、粒度分布、含有量など関係)、固化(硬化)条件などにも依存するので、これらは適宜実験的に決定すると良い。
なお、導電粒子Cpとバインダー樹脂との比重差については、通常は、金属粒子である 導電粒子Cpの比重 > バインダー樹脂の比重、となる為、プライマー層2に対して頂部P(最外層)を重力の向きと同じ向き(下向き)にして導電性組成物層3cを固化させると良い。
以上述べたような導電パターン層の頂部近傍とプライマー層の界面近傍において、導電粒子の密度の疎密又は粒子間隔の違いがある場合の効果として次のものを挙げることができる。
(i)数密度が大きい、又は粒子間隔が小さい方が導電粒子Cp同士の電気的接触が行われ易い。従って、このように導電粒子Cpの数密度に疎密の分布又は粒子間隔の違いが存在すると、例え、導電パターン層3中の導電粒子Cpの平均濃度が同じであっても、同数の導電粒子Cpを、数密度を一様に均一に分布させた場合又は粒子間隔を均等に分布した場合に比べて、数密度が大きい部分又は粒子間隔が小さい部分での体積抵抗率の低下が寄与して全体として体積抵抗率が下がり、導電性能が向上する。
(ii)プライマー層2との境界近傍での導電粒子Cpの数密度が小さいこと又は粒子間隔が大きいことによって、導電パターン層3とプライマー層2との密着性が向上する。
(iii)例えば、画像表示装置の前面の複合フィルタを貼り付けて使用する場合、電磁波遮蔽材層10の透明基材1側(図4或いは図11においては下側)から入射する光が導電パターン層3とプライマー層2との界面において反射する場合に、拡散反射成分が増加し鏡面反射成分が減少する。その為、画像表示装置から入射する画像光が該界面と画面とで多重反射することによる画像コントラストの低下を軽減させることができる。
(iv)また、電磁波遮蔽材層10の透明基材1側を観察者側に向けて設置する場合には、プライマー層2との境界近傍での導電粒子Cpの数密度が小さいことによって、該界面での外光の鏡面反射成分が減少し、外光存在下における導電パターン層3の白化、及びこれに起因する画像のコントラスト低下を軽減出来る。さらに、電磁波遮蔽材層を構成する導電パターン層が、外来光存在下において目立ち難くなり、好ましい。
この効果をより一層有効に発現させる為には、該導電粒子形状としては、鱗片状よりも、多面体状、球状、又は回転楕円体状の形状を選択する方が、該導電パターン層のプライマー層側表面に鏡面に近い面が形成され難い為、好ましい。また、該導電粒子形状としては、鱗片状の物を採用する場合は、該導電パターン層中のプライマー層側近傍における鱗片状導電粒子の配向方向(例えば、該鱗片の一番広い面の法線方向として定義される)を乱雑(random)に分布するようにすると、鏡面反射が低減し、好ましい。なお、該導電粒子形状が多面体状、球状、又は回転楕円体状の形状の場合でも、其の配向方向を乱雑化することは、鏡面反射光の低減の点では好ましい。
且つ、同時に、頂部近傍における該導電粒子は、緻密に集合し、各粒子間の電気的接触も良好になり、電気抵抗が下がり、電磁波シールド効果も高まる。なお、当然、かかる高密度に分布する導電粒子は可視光線の反射率も高いが、該導電粒子は画像観察者の目に触れない側(観察者と反対側)の面に位置せしめることにより、画像コントラスト等の低下の心配は無い。
また、該導電パターン層を画像観察者側に位置するように設置して使用する場合には、必要に応じて、該導電パターン層表面に、黒化処理などを施せばよい。
また、該導電パターン層の頂部近傍において粒子が緻密に存在するという構造は、電磁波遮蔽材として用いる場合に、接地部品との接触において接触抵抗を下げるという効果も有している。
該導電パターン層中に於ける該導電粒子の密度分布を制御し、図8の如く、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、又該導電パターン層の頂部近傍(最外層)において密である様にしたり、或いは該プライマー層近傍(最内層)において粒子の配向方向が乱雑になり、且つ該導電パターン層の頂部において平行乃至略平行に配向せしめる為には、例えば、後述の如くの凹版印刷法を応用した本発明の複合フィルタに用いる電磁波遮蔽材の製造方法(図7参照)において、版面凹部内に充填された導電性組成物上面の凹み(図7(A)の符号6参照)に、透明基材上の流動状態のプライマー層2cを押圧する圧力を高めに設定すると共に、未硬化状態に於ける該導電性組成物3cの粘度を低めに設定し、更に該導電性組成物を凹版凹部内で固化させずに、版面から離型後固化せしめることが有効である。
その他、前記の通り、導電粒子の密度分布や配向状態に影響する各種条件から実験的に求め、決定することになる。
導電性組成物中の導電粒子の含有量は、導電粒子の導電性や粒子の形態に応じて任意に選択されるが、好適な電磁波遮蔽性能の発現、導電パターン層の機械的強度の維持、及び印刷適性を兼ね備える為には、例えば導電性組成物の固形分100質量部のうち、導電粒子を40〜99質量部、好ましくは90〜97質量部の範囲で含有させることができる。なお、本明細書において、平均粒子径というときは、粒度分布計、またはTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値を指している。また、多面体状、繊維状等の非球面形状の場合は、通常、外接球の直径、対角線長、或いは最長辺の辺長をもって粒子径を定義する。
導電性組成物を構成するバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。なお、後述の電気抵抗低減化処理を施す場合は、酸又は温水にて溶解することの無い非水溶性樹脂を用いる。かかるバインダー樹脂を例示すると、熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマー層の材料として前記した物を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂を挙げることができ、これらを1種単独で、或いは2種以上混合して用いる。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これらの樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。導電性ペーストとして用いる溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤の中から適宜選択して使用できるが、プライマー層2の安定硬化を阻害したり、硬化後のプライマー層を膨潤、白化、溶解させたりしないものが好ましい。溶剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
また、導電性組成物の流動性や安定性を改善するために、導電性や、透明基材又はプライマー層との密着性に悪影響を与えない限りにおいて適宜充填剤や増粘剤、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、沈降防止剤などを添加してもよい。
図7は、凹版の版面63の凹部64内の導電性材料組成物15(3c)の凹み6に未硬化で流動状態のプライマー層2cを充填し、その導電性材料組成物15(3c)が転写する形態を示す模式図である。図7(C)及び図5に示すように、転写工程後の硬化済みプライマー層2の形態と導電パターン層3の形態を観察すると、プライマー層2のうち導電性材料層3cが転写された部分Aの厚さTAは、導電性材料層3cが転写されていない部分Bの厚さTBよりも大きい。そして、厚さの大きい部分Aのサイドエッジ5,5は、厚さの小さい部分Bの側に導電パターン層3が回り込んでいる。こうした形態は、流動性を保持したプライマー層2cが形成された透明基材1のプライマー層2側と、樹脂充填工程後の凹部64側とを図7(A)、(B)に示すように圧着することにより、凹部64内の導電性材料組成物上部に生じやすい凹み6に流動性のあるプライマー層2cが充填するので、転写後の形態は、図5(A)に示すように、透明基材1上に設けられたプライマー層2のうち導電パターン層3が形成されている部分Aの厚さTAはパターン層3が形成されていない部分Bの厚さTBよりも大きくなり、さらに、厚さの大きい部分Aのサイドエッジ5,5は厚さの小さい部分Bの側に導電パターン層3が回り込んだ形態になる。つまり、通常、導電パターン層が形成されている部分Aに於けるプライマー層の厚さTAは、図5に示す如く、該部分の中央部に行く程厚みが厚くなる。即ち、導電パターン部の横断面(例えば図5)において、該プライマー層2の断面形状は、透明基材1から遠ざかる方向に向かって凸になった、半円、半楕円等の所謂釣鐘型形状、3角形、台形、5角形等の所謂山形形状、或いはこれらに類似の形状をなす。
また、本発明の複合フィルタに用いる電磁波遮蔽材層は、導電パターン層形成部におけるプライマー層と導電パターン層との界面が、特許文献3に示すように、(a)該プライマー層と該導電パターン層との界面が非直線状に入り組んでいる断面形態、(b)該プライマー層を構成する成分と該導電パターン層を構成する成分とが混合している層を有する断面形態、及び、(c)該導電パターン層を構成する導電性組成物中に該プライマー層に含まれる成分が存在している断面形態、のいずれか1又は2以上の断面形態を呈するという特徴がある。
透明基材1の一方の面に導電パターン層3が形成されてなる本発明の複合フィルタに用いる電磁波遮蔽材層10を製造する方法を図6及び図7に示す。硬化するまで流動性を保持でき、かつ離型剤が添加されたプライマー流動層2cが一方の面に形成された透明基材1を準備する透明基材準備工程と、図6に示すように、導電パターン層に対応した凹部が形成された板状又は円筒状の版面63に、硬化後に導電性を有した硬化物を形成する導電性材料組成物15(3c)を塗布した後、その凹部内以外に付着した導電性材料組成物を掻き取って凹部64内に導電性材料組成物15(3c)を充填する充填工程と(以上図7(A))、充填工程後の版面63の凹部64側と透明基材準備工程後の透明基材1のプライマー流動層2c側とを圧着して、凹部64内の導電性材料組成物15(3c)とプライマー流動層2cとを空隙無く密着する圧着工程と、圧着工程後にプライマー流動層2cを硬化するプライマー硬化工程と(以上図7(B))、プライマー硬化工程後に透明基材1を版面63から剥がして凹部内の導電性材料組成物15(3c)をプライマー層2上に転写する転写工程と(以上図7(C))、転写工程後、プライマー層2上に所定のパターンで形成された導電性組成物層3cを硬化させてなる導電層3を形成する硬化工程(図7では図示略)、を少なくとも有するものである。
なお、かかるプライマー流動層2cの硬化と導電性組成物3cの硬化とを同時に行うことも出来る。
その場合は、該プライマー硬化工程と該導電層を形成する硬化工程とは1工程で兼用される。
(電気抵抗低減化処理工程)
該導電性組成物を硬化させて導電層を形成した後、酸処理工程、温水処理工程、或いは酸処理と温水処理の両工程を経ることによって、該導電層の表面抵抗率が低下させ、電磁波遮蔽性能が向上させることができる。この現象は、特に導電粒子が銀または銀を含む粒子である場合に観察される。この処理を電気抵抗低減化処理工程とも呼称する。これはいわゆる焼成処理とは異なり、PETなど一般のフィルム基材にダメージを与えるような長時間の加熱処理ではなく、また低温焼成用印刷インキとして知られたナノサイズ粒子の分散液ではなく、樹脂等の結着材を含んだ一般的な性状の導電インキを使用した場合の処理方法として極めて有効である。
〔導電パターン層〕
本発明の複合フィルタに用いる電磁波遮蔽材の導電パターン層3が、特に、メッシュ形状となる形態(この形態を導電メッシュ層とも呼称する)では、互いに方向の異なる2群以上の平行線群がから成る線部が交差して、これら線部に囲繞されて開口部(パターン非形成部)が形成される。尚、3群以上の平行線群(線部)が交叉する場合も、其の基本的な設計要領及び作用効果は共通の為、以下、通常広く用いられている2群の場合を例に絞って説明する。また、各線群の交叉角度、即ち、第一方向線部と第二方向線部との交叉角度θは、0°<θ<180°の範囲から選択できるが、θ=90°(正方格子)が通常広く用いられている。
〔金属層(めっき層)〕
本発明の複合フィルタに用いられる電磁波遮蔽材層は、導電性組成物からなる導電パターン層3のみでは所望の導電性に不足する場合に、導電性を更に向上せしめるため、図4、図5(B)の如く、低抵抗率の金属層4を、必要に応じ形成することができ、導電パターン層3上にめっきにより形成される。めっきの方法としては電解めっき、無電解めっきなどの方法があるが、電解めっきは無電解めっきに比べて通電量を増やすことでめっき速度を数倍に上げることができ、生産性を著しく向上させることができるため好ましい。
電解めっきの場合、導電パターン層3への給電は導電パターン層3が形成された面に接触させた通電ロール等の電極から行われるが、導電パターン層3が電解めっき可能な程度の導電性は、通常、100Ω/□以下とされているが、本発明の導電パターン層3は、2Ω/□以下の導電性を有するので、電解めっきを問題なく行うことができる。金属層を構成する材料としては、導電性が高く容易にめっき可能な、銅、銀、金、クロム、ニッケル等を挙げることができる。
金属層は、導電パターン層3に比べると一般的に体積抵抗率が1桁以上小さいため、導電パターン層単体で電磁波遮蔽性を確保する場合に比べて、必要な導電体材料の量を減らせるという利点がある。
なお、金属層4を形成した後においては、必要に応じて、その金属層を黒化処理したり、保護層9(図4参照)を設けてもよい。黒化処理は、例えば黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の処理を例示できるが必ずしもこれらの処理に限定されない。また、保護層は、導電パターン層表面を被覆し保護する層である。通常は、保護層は図4の如く、導電パターン層3の凹凸を充填、表面平坦化する所謂平坦化層としての機能も兼ねる。該保護層は、例えばアクリル系の紫外線硬化性樹脂を用いて形成することができる。導電パターン層や金属層に使用する金属が銅などの錆びやすい金属の場合には防錆処理を行うことが好ましく、クロメート処理剤等の一般的な防錆剤を使用でき、また防錆処理は黒化処理や保護層形成と兼ねてもよい。
〔光学機能層〕
本発明の画像表示装置前面用複合フィルタFcomは、電磁波遮蔽材層10に光学機能層Fopt1、Fopt2を含む各種の機能層を積層することによって、電磁波遮蔽機能と光学機能との両機能を具備する複合フィルタとしたものである。以下、本発明の複合フィルタにおける代表的形態を例示する。先ず、観察者側に、外光反射防止層として、低屈折率層から成る反射防止層又は防眩層から選択された層を配置するのが好ましい。さらに、光学機能層としては、例えば近赤外線吸収、ネオン光吸収、調色、及び/又は紫外線吸収の機能を備える色素含有機能層、コントラスト向上層としての機能を有するミクロルーバ層が、適宜の順番で配置される。また、必要に応じて、複合該光学機能層フィルタには、更に、光学機能以外の機能を発現する機能層を複合することが出来る。かかる層としては耐衝撃層、帯電防止層、ハードコート層、抗菌層及び防汚層等を挙げることができる。
ここで、電磁波遮蔽材層の導電パターン層側の面上に上記の機能層を形成する場合には、直接形成する方法、および別途形成した機能層を貼合する方法がある。直接形成する場合には、機能を発現する材料を導電パターン層面にコーティング装置を用いて塗布形成する方法や、スパッタや蒸着などの一般的な手法が使用可能である。電磁波遮蔽材層側に積層する場合は接着剤層を介して張り合わせるが、いずれにしても、本発明で使用している電磁波遮蔽材層において接着面となるプライマー層との密着性が良好な層であることが好ましい。
機能を発現する材料を塗布形成する方法としては、グラビア(ロール)コート、ロールコート、コンマコート、孔版印刷、ダイコートなどの一般的な装置が使用可能であり、材料の性状や必要な塗布精度に合わせて適宜選定する。また、面内に於いて導電パターン層の一部領域を露出させる必要がある場合は、孔版パターン印刷、間欠塗工、ストライプ塗工などの塗工時にパターン形成する方法や、露出させるべき箇所をマスクして全面塗工した後マスクを剥がす方法、あるいは不要な箇所の機能層を除去するなどの方法を使用可能である。
直接形成した機能層が空気と接触する界面(フィルターの最表面、あるいは最裏面)に位置する場合には、画像光及び外光の散乱やレンズ効果による画質低下を抑制するために平坦化されていることが好ましい。
直接形成した機能層は単層で機能を発現するようにしても良く、複数の層で機能を発現するようにしても良い。単層の場合の例としてはハードコート機能、平坦化機能、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、紫外線吸収機能、調色機能、外光反射防止機能(防眩機能も含む)、耐衝撃機能、帯電防止機能、防汚機能などの1つあるいは複数の機能を発現させてもよく、複数層の場合は例えば平坦化層+外光反射防止層、外光反射防止層+ハードコート層、近赤外線吸収層+ハードコート層などといった機能分担をさせることが可能である。
塗布形成する機能層が耐擦傷機能(ハードコート)層である場合は、JISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と前述の透明(樹脂)基材と同様な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。用いる硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂の例としては、前記の電磁波遮蔽材層のプライマー層の材料の記載箇所に例示されているのでここでは省略する。
[外光反射防止層]
外光反射防止層としては、日光、電燈光等の外部から画像表示装置に入射する外光(外来光)が画面で反射、特に鏡面反射を起こして、画面が白化したり、画像コントラスト(白色画像と黒色画像との輝度比)が低下したり、或いは周囲の風景が画面に映り込む不具合を低減する機能を有する層である。かかる外光反射防止層としては、低屈折率層から成る反射防止層又は防眩層を用いる。又、外光反射防止層は画像表示装置前面用複合フィルタの最外面(最も画像観察者側)に形成する。
該低屈折率層から成る反射防止層としては、低屈折率層の単層、或いは、低屈折率層と高屈折率層とを、該低屈折率層が最上層に位置する様に交互に、積層した多層構成が一般的でる。
なお、ここで低屈折率層とは、該層と隣接する層(透明基材、或いは高屈折率層)と比較して該層の屈折率が相対的に低い層を意味する。又、高屈折率層とは、該層と隣接する層(透明基材、或いは低屈折率層)と比較して該層の屈折率が相対的に高い層を意味する。
一般に、相対的に高い屈折率nHを有する基材H(高屈折率層の上に低屈折率層を積層する場合には、高屈折率層がこれに当たる)の上に、相対的にこれよりも低い屈折率nLを有し、且つ厚みがhLの低屈折率層Lを積層するとする。
この場合、両者の屈折率が;
の関係を満たす樣に選択すると、低屈折率層L表面の反射率は最小となる。厳密に此の式の通りの屈折率関係が実現出来無くとも、極力此の式の関係に近付ければ、低屈折率層Lが無い場合に比べて表面の反射率は低下する。
また、(式1)を満たす場合に於いても、低屈折率層L表面の反射率は光の波長及び低屈折率層Lの厚みhLによって変化する。そして;
(式2) hL=λmax/4nL1
を満たす波長λmaxに於いて、反射率は最小化する。また、これに伴って、此の波長λmaxによって、反射防止層は多少なりとも着色する(赤、青、緑等)。よって、所望の波長に於ける反射率を最小化したい場合、或いは反射防止層表面の色調を所望の色調に調節する場合には、(式2)によって、低屈折率層Lの厚みhLを設計する。
低屈折率層を構成する材料としては、無機系材料としては、珪素酸化物、弗化物等が用いられる。具体的にはSiO2(屈折率n=1.45)、MgF2(屈折率n=1.38)、CaF2(屈折率n=1.44)、3NaF・AlF3(屈折率n=1.4)等がある。有機系材料としては、弗素系有機化合物(弗素樹脂)、珪素系有機化合物等を挙げることができる。
また、低屈折率層には、空隙を有する微粒子を用いても良い。空隙を有する微粒子とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。
また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部に微小多孔質構造の形成が可能な微粒子も含まれる。空隙を有する微粒子は、無機物、有機物のいずれでもあってよく、例えば、金属、金属酸化物、樹脂からなるものが挙げられ、好ましくは、酸化珪素(シリカ)微粒子が挙げられる。
さらに、5〜30nmのシリカ超微粒子を水もしくは有機溶剤に分散したゾルと弗素系樹脂の皮膜形成剤を混合した材料を使用することも出来る。
低屈折率層の形成方法(製膜法)としては、無機系材料の場合は、上記の材料自体を、真空蒸着、スパッタリング、プラズマCVD、イオンプレーティング等による気相法で、透明基材上或いは高屈折率層上に形成したり、或いは上記材料を微粒子化した上で、適宜のバインダー樹脂中に分散させ、溶剤で希釈した塗料を、スピンコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング等による湿式塗工法で基材上或いは高屈折率層上に塗工し、溶剤を乾燥除去し、必要に応じて更に、熱や放射線(紫外線、電子線等)等により、架橋乃至重合反応を起こさせて硬化(乃至固化)させることによって得ることができる。
有機系材料の場合には、これを適宜溶剤中に溶解乃至は分散せしめて塗料化し、スピンコーティング、ロールコーティング、ダイコーティング等による湿式塗工法で透明基材上或いは高屈折率層上に塗工し、溶剤を乾燥除去し、必要に応じて更に、熱や電離放射線(紫外線、電子線等)等により、架橋乃至重合反応を起こさせて硬化(乃至固化)させることによって形成することができる。
高屈折率層を構成する材料としては、無機系材料としては、ZnO(屈折率n=1.9)、TiO2(屈折率n=2.3〜2.7)、CeO2(屈折率n=1.95)、ZrO2(屈折率n=2.05)等を挙げることができる。有機系材料としては、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。
高屈折率層の形成方法(製膜法)としては、無機系材料の場合は、上記の如き気相法で、透明基材上或いは最表面層では無い低屈折率層上に形成したり、或いは湿式塗工して形成することが出来る。
有機系材料の場合には、上記の如き湿式塗工法で透明基材上或いは最表面層では無い低屈折率層上に塗工して形成することが出来る。
該防眩層としては、外光を散乱もしくは拡散させるために、光の入射面を粗面化することが基本である。この粗面化処理には、サンドブラスト法やエンボス法等により透明基材表面に直接微細凹凸を形成して粗面化する方法;透明基材表面に電離放射線、熱の何れかもしくは組み合わせにより硬化するバインダー樹脂中に、光拡散性粒子としてシリカ粒子などの無機フィラーや、樹脂粒子などの有機フィラーを含有させた塗膜により粗面化層を設ける方法;及び基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法等を挙げることができる。バインダー樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、上記ハードコート層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適に使用される。
防眩層の厚みは特に限定され無いが、0.5μm以上20μm以下が好ましい。
また、斯かる防眩層の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の十点平均粗さをRzとした場合に、Smが60μm以上250μm以下であり、θaが0.3度以上1.0度以下であり、Rzが0.3μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
なお、ここで、Rz、Sm、θaは下記の通り定義される。
≪凹凸の平均間隔Sm(μm)、平均傾斜角θa、10点平均粗さ(Rz)≫
防眩層の表面が凹凸形状を有するとき、Sm(μm)とは、この防眩層の凹凸の平均間隔を表し、θa(度)は凹凸部の平均傾斜角を表し、(Rz)は、10点平均粗さを表す。
これらの用語の定義は、JIS B0601 1994に準拠し、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所製)の取り扱い説明書(1995,07,20改訂)にも記載されている。
[色素含有機能層]
色素含有機能層は、複合フィルタを構成する機能層を貼着するための粘着剤層を兼ねる色素含有粘着剤層とすることもできるし、透明基材上に塗布形成した独立な層とすることもできる。しかしながら、本発明では、外光反射防止層又は防眩層が形成された透明基材の他方の面に機能性色素をコートした層とし、粘着剤層は透明な層とすることが、光線透過性の観点から好ましい。色素含有機能層には、以下に記載する吸収剤(色素とも云う)が適宜配合される。
(近赤外線吸収剤)
近赤外線吸収剤は、本発明の複合フィルタの代表的な用途であるPDPに適用する場合、PDPがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長領域を吸収し、且つ可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長領域では吸収が少なくて十分な光線透過率を有する色素が好ましい。そして、粘着剤層に添加する場合、上記近赤外線領域での近赤外線の吸収量が、透過率で言えば20%以下、更に好ましくは10%以下となるように、近赤外線吸収剤の種類、近赤外線吸収剤の粘接着剤層中での含有量、及び粘接着剤層の厚み等を設定するのが好ましい。
このような近赤外線吸収剤としては、具体的には、フタロシアニン系、イモニウム系、ジイモニウム系、ジチオール金属錯体、シアニン系化合物、アゾ化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物系等の有機系化合物からなる有機系近赤外線吸収剤、或いは例えば、特開2006−154516号公報記載のセシウム含有酸化タングステン系化合物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化セシウムなどの金属酸化物、金属ホウ(硼)化物、金属窒化物などの無機系化合物微粒子から成る無機系近赤外線吸収剤が挙げられる。
上記近赤外線吸収剤の含有量は、吸収層中に0.1〜15質量%程度であることが好ましい。
(ネオン光吸収剤)
ネオン光吸収剤は、本発明の複合フィルタの代表的な用途であるPDPに適用する場合、PDPから放射されるネオン光を吸収させる色素である。該ネオン光は、ネオン原子の発光スペクトル帯域、即ち550〜640nmの波長領域(ネオン光領域)を吸収し、且つ該波長領域を除いた可視光領域380nm〜780nmの波長領域中ではなるべく吸収が少なくて十分な光線透過率を有する色素が好ましい。
そして、粘接着剤層に添加する場合、上記Ne光領域の中心波長を590nmとすれば、該590nmにおける光線の透過率が50%以下になるように、ネオン光吸収剤の種類、ネオン光吸收剤の粘接着剤層中での含有量、及び粘接着剤層の厚み等を設定するのが好ましい。
このようなネオン光吸収剤としては、具体的には、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系等が挙げられる。これらの中でもポルフィリン系が好ましく、中でも、テトラアザポルフィリン系色素が、分散性が良好で、且つ耐熱性、耐湿性、耐光性が良好な点から好ましい。
ネオン光吸収剤の含有量は、ネオン光吸収層中に、0.05〜5質量%であることが好ましい。含有量が0.05質量%以上であれば充分なネオン光吸収機能を発現でき、5質量%以下であれば、充分な量の可視光線を透過できる。
(調色光吸収剤)
調色光吸収剤は、表示画像を好みの色調(天然色、或いは天然色から多少偏移した色)に補正するための色素である。このような調色光吸収剤としては、有機系色素、無機系色素などを1種単独使用、又は2種以上併用することができる。具体的には、アントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素が挙げられる。
調色光吸収剤の含有量は、補正すべき色に合わせて適宜調整され、特に限定されない。通常、調色層中に0.01〜10質量%程度含有する。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えば、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系等の有機系化合物、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどを微粒子化した粉体、あるいは二酸化チタン微粒子を酸化鉄で複合化処理してなるハイブリッド無機粉体、酸化セリウム微粒子の表面を非結晶性シリカでコーティングしてなるハイブリッド無機粉体等の無機系化合物からなる公知の化合物を用いることができる。
なお、紫外線吸収剤を添加する場合、他の吸収剤(色素)を外来光から保護するために、他の吸収剤(色素)を添加した層と同じ層か、或いはその層よりも観察者側に近い層に添加する。また、耐光性が堅牢な色素を使用する場合は、紫外線吸収剤の添加は不要である。
[ミクロルーバ層]
図2(B)に示すミクロルーバ層CRF(500及び600)は、特開2007−272161号公報等に記載のものであり、透明樹脂層600の中に複数條の吸光性楔形部500を互いに平行に一定周期で埋設してなる。かかるミクロルーバ層CRF(=500+600)は、日光、電燈光等の外光を吸光性楔形部500で選択的に吸収し、画像光は吸光性楔形部500間の透明樹脂層600から透過せしめて、外光存在下での画像コントラストを向上せしめる。
なお、吸光性楔形部500内には、墨(カーボンブラック)、黒色酸化鉄等から成る暗色(代表的には黒色)色素を添加する。該黒色色素は、単一粒子が各個分離独立した形でバインダー樹脂中に分散(2次凝集無しで分散)したものでも良いが、外光吸収性、安定分散性等の点で、各個の単一粒子の複数個が2次凝集、会合、融合、乃至は接着した複合粒子の形でバインダー樹脂中に分散した形態の方が好ましい。
〔画像表示装置前面直貼り用透明粘着剤層〕
図1において符号900で示す直貼り用透明粘着剤層は、本発明の表示装置用前面フィルタを画像表示装置本体に接着する役割を有する層である。本発明の直貼り用透明粘着剤層は、複合フィルタの貼り合せ時に、位置ずれ、シワ存在等、接着に失敗しても、糊残り無く、剥離して貼り直しが可能な物を選択する。また、表示装置の廃棄時に該フィルタの分別回収が容易であるという利点もある。
本発明の直貼り用粘着剤層に用いる粘着剤は、アクリル系透明粘着剤の中から、粘着性(接着力)、透明性、塗工適性などを有し、それ自体好ましくは無着色の透明粘着剤が使用される。
保管、搬送、画像表示装置の通常の使用条件下において、自然剥離、脱落することのない程度の十分な粘着力を有し、且つ、貼着に失敗した場合は糊残り無く剥がせて、別の画像表示装置前面用複合フィルタを貼り直しできる剥離性を有するために、直貼り用粘着剤層900の粘着力は1〜20N/25mm幅(JIS Z0237に準拠し、180°剥離試験により測定した粘着力)であることを要する。
斯かる本発明の画像表示装置前面に直貼りするためのアクリル系透明粘着剤層の組成は、
(I)後述のアクリル系共重合体(B)、或いは
(II)特開平2008−101168号公報に開示されている重合性二重結合基およびアルコキシ基を有するシラン化合物(a)と、官能基含有モノマー(b)と、非官能性アルキル(メタ)アクリレートモノマー(c)とを共重合してなるアクリル系オリゴマー型シランカップリング剤(A)、該シランカップリング剤(A)以外のアクリル系共重合体(B)および架橋剤(C)を含有するものが用いられる。
また、上記(II)の粘着剤組成物においては、シランカップリング剤(A)が、シラン化合物(a)とモノマー(b)とモノマー(c)とのモル比1:0.02:0.02〜1:40:40の共重合体であり、その重量平均分子量Mwが1,000〜20,000であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で定義される分散度(Mw/Mn)が1.0〜2.0であることが好ましく、また、シランカップリング剤(A)の含有量が、アクリル系共重合体(B)100質量部に対して0.05〜5質量部である。
また、上記粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(B)が、炭素数1〜18のアルキル(メタ)アクリレートモノマー(d)と、該モノマー(d)と共重合可能な官能基含有モノマー(e)との共重合体であり、かつ該共重合体の重量平均分子量が80万〜200万であることが好ましく、また、架橋剤(C)の含有量が、アクリル系共重合体(B)100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
また、上記粘着剤組成物は、更に、シランカップリング剤(A)以外のシランカップリング剤(D)を含有することができ、この場合、上記シランカップリング剤(D)の含有量が、アクリル系共重合体(B)100質量部に対して0.01〜3質量部であることが好ましい。
以下、上記アクリル系透明粘着剤組成(I)及び(II)を構成する各成分について詳述する。
上記シラン化合物(a)は、モノマー(b)およびモノマー(c)と共重合する重合性二重結合基と、ガラス基板などの無機物に対する官能基であるアルコキシ基とを有する化合物であり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
上記モノマー(b)は、後述する共重合体(B)および架橋剤(C)と反応性を有するカルボキシル基、水酸基、アセチル基、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、エポキシ基またはメルカプト基などの官能基を含有するモノマーであり、具体例としては、下記のものが挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドなどが挙げられる。アセチル基含有モノマーとしては、例えば、アセト酢酸ビニルエステル、アセト酢酸アリルエステル、ジアセト酢酸アリルエステル、ダイアセトンアクリルアミド、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチルクロトナート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピルクロトナート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アミド基もしくは置換アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−i−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなどが挙げられる。アミノ基もしくは置換アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。メルカプト基含有モノマーとしては、例えば、アリルメルカプタンなどが挙げられる。特に、アセチル基を有するモノマーが好ましい。
上記モノマー(c)は、アクリル系共重合体(B)に対して相溶性(親和性)が高いアルキル基を有しており、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのモノマーが挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
上記構成単位を共重合してなる上記シランカップリング剤(A)は、通常の溶液重合、塊状重合、乳化重合または縣濁重合などにより製造することができるが、上記シランカップリング剤(A)が溶液として得られる溶液重合により製造することが好ましい。
また、上記重合においては、シランカップリング剤(A)の分子量を調整するために連鎖移動剤を使用することができる。
粘着剤組成物中における上記シランカップリング剤(A)の含有量は、アクリル系共重合体(B)100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましい。上記含有量が0.05質量部より少ない場合は、上記共重合体(B)が有する粘着力を適度に低下させることができず、上記範囲内と比べて、剥離性が劣るものとなり、一方、上記含有量が5質量部を超える場合には、上記共重合体(B)の粘着力を低下させるものの、上記範囲内と比べて、耐久性が劣るものとなる。
本発明の複合フィルタの粘着剤組成物の主成分である上記アクリル系共重合体(B)は、アクリル系モノマーおよび官能基含有モノマーなどを共重合させた粘着性を有する共重合体である。好ましくは、炭素数1〜18のアルキル(メタ)アクリレートモノマー(d)と、該モノマー(d)と共重合可能な官能基含有モノマー(e)との共重合体であり、かつ該共重合体の重量平均分子量が80万〜200万であることが好ましい。重量平均分子量が80万未満の場合は、架橋剤(C)を使用しても形成された粘着剤層の凝集力が弱く、粘着剤層に発泡や剥れが生じ易くなり、耐久性が不十分となる場合がある。一方、重量平均分子量が200万を超える場合には、粘着剤組成物の粘度が高くなりすぎて作業性に劣る。
上記モノマー(d)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
上記モノマー(e)は、架橋剤(C)または透明基材などの有機物に対する官能基を有しており、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸またはカルボキシエチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸または無水フマル酸などの酸無水物モノマー、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマーなどが挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
上記共重合体(B)中における上記モノマー(d)または上記モノマー(e)が占める割合は、上記共重合体(B)が上記モノマー(d)および上記モノマー(e)のみからなる共重合体と仮定した場合、上記モノマー(d)が90〜99.8質量%、上記モノマー(e)が0.2〜10質量%であることが好ましく、更に好ましくは、上記モノマー(d)が93〜99.5質量%、上記モノマー(e)が0.5〜7.0質量%である。上記モノマー(d)が90質量%未満の場合(上記モノマー(e)が10質量%を超える場合)は、形成される粘着剤層の架橋度合いが必要以上に増大し、透明基材或いはPDP等画像表示装置の前面ガラス板への密着性が上記範囲内と比べて劣る。一方、上記モノマー(d)が99.8質量%を超える場合(上記モノマー(e)が0.2質量%未満の場合)は、共重合体(B)中に架橋剤(C)と反応する官能基が少なく、架橋度合が減少することにより粘着剤組成物の凝集力が弱くなり、上記範囲内と比べて剥離時にパネルに糊残りが発生する。
上記共重合体(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記モノマー(d)および上記モノマー(e)以外のモノマーを含有することができる。例えば、スチレン、メチルスチレン、フェノキシエチル(メタ)アクリレートまたはベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香族基含有モノマー、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリルなどを含有することができ、これらは単独でも或いは組み合わせてもよい。
上記モノマーを共重合してなるアクリル系共重合体(B)は、通常の溶液重合、塊状重合、乳化重合または縣濁重合などにより製造することができ、好ましくは、溶液重合である。溶液重合において使用する溶剤または重合開始剤は、前記シランカップリング剤(A)における溶液重合と同様のものを使用でき、また、連鎖移動剤も併用することができる。
本発明を構成する架橋剤(C)としては、例えば、1分子中にグリシジル基を2個以上有するポリグリシジル化合物、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物、1分子中にアジリジニル基を2個以上有するポリアジリジン化合物、1分子中にオキサゾリン基を2個以上有するポリオキサゾリン化合物、金属キレート化合物またはブチル化メラミン化合物などを使用することができる。粘着剤組成物の耐久性をより優れたものとできる点において、ポリグリシジル化合物、ポリイソシアネート化合物またはポリアジリジン化合物を用いることが好ましい。上記架橋剤(C)は、前記共重合体(B)の官能基と反応して粘着剤組成物の凝集力を高める他、前記シランカップリング剤(A)を用いる場合は其の反応性官能基とも反応し、前記シランカップリング剤(A)と前記共重合体(B)との間に結合力を発現させる。
上記の粘着剤組成物からなる粘着剤層は、設計された複合フィルタにおいて、画像表示装置の前面側となる機能層の裏面又は(それがない場合は)画像コントラストを向上せしめる層となるミクロルーバ層CRF(=500+600)の一方の面に、前記粘着剤組成物を適当な溶剤に溶解させた粘着剤溶液として塗工し、塗膜を形成させた後、乾燥させることにより形成される。または、予め剥離性離型フィルム上に前記粘着剤溶液を所定厚みで塗布し、乾燥させ塗膜を形成した後、該塗膜上に剥離性離型フィルムをラミネートし、離型フィルムにサンドイッチされた粘着剤層形成フィルムとして準備し、複合フィルタの貼り合せ時に離型フィルム剥がして、粘着性能を発現させてもよい。
これら粘着剤層の厚さとしては、5〜800μmの範囲が好ましい。厚さが5μm以上であると、粘着剤としての機能を十分に果たし、硝子基板又は画像表示装置等との十分な接着を得ることができる。粘着剤層の厚さは10〜500μmの範囲がさらに好ましく、20〜300μmの範囲が特に好ましい。
なお、粘着剤層の厚さを200μm以上とすることにより、画像表示装置に加わる衝撃力を吸収緩和する耐衝撃層としての機能を持たせることもできる。
(その他の複合フィルタ貼り合せ用粘着剤層)
なお、画像表示装置の前面に直貼りされる透明粘着剤層以外の各機能層を貼り合せるための粘着剤層としては、基本的には特に制限はなく、公知の粘着剤の中から、粘着性(接着力)、透明性、塗工適性などを有するものを適宜選択して使用することができる。
このような粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などが挙げられる。これらの中でも、透明性、接着性及び耐熱性に優れている点からアクリル系粘着剤が好ましい。
電磁波遮蔽材層10と積層する光学機能層の具体的な1例の模式的断面図を図2に示す。図2(A)の光学機能層Fopt1は、画像観察者側(図2(A)に於ける上方)から順に、外光反射防止層100、透明基材200、色素含有機能層300の順に積層してなる。
外光反射防止層100は、低屈折率層から成る反射防止層又は防眩層から選択される。低屈折率層から成る反射防止層の場合は、隣接する直下の透明基材200よりも低屈折率の材料の層からなる。例えば、弗化マグネシウムの蒸着膜、中空シリカ粒子を分散させた弗素系樹脂の塗膜等が用いられる。
透明基材200は、前記透明基材1と同様の物の中から適宜選択する。例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートのシートが用いられる。
また、図2(B)の光学機能層Fopt2は、ミクロルーバ層CRF(500及び600)、透明基材700を積層してなる。
ミクロルーバ層CRF(500及び600)は、前記のものであり、透明樹脂層600の中に複数條の吸光性楔形部500を互いに平行に一定周期で埋設してなる。かかるミクロルーバ層CRF(500及び600)は、日光、電燈光等の外光を吸光性楔形部500で選択的に吸収し、画像光は吸光性楔形部500間の透明樹脂層600から透過せしめて、外光存在下での画像コントラストを向上せしめる。
図1に、かかる光学機能層Fopt1及び光学機能層Fopt2と電磁波遮蔽材層10とを積層してなる複合フィルタFcomの模式的断面図を示す。図1の構成の複合フィルタは、電磁波遮蔽材層10の導電パターン層3側を、ミクロルーバ層である光学機能層Fopt2に、平坦化材を兼ねる透明粘着剤層800を介して積層し、さらに光学機能層Fopt2の上部に透明粘着剤層400を介して光学機能層Fopt1を積層している。そして、電磁波遮蔽材層10の透明基材1には、画像表示装置の画面上に直接接着するための透明粘着剤層900が積層されている。
なお、図1又は図2の光学機能層Fopt1及び光学機能層Fopt2は、あくまでも1例であって、必要に応じて、適宜構成を変更し得る。かかる図1又は図2の変形形態としては、例えば、図1では、ミクロルーバ層CRF(500及び600)は、吸光性楔形部500の狭幅の底辺(図1及び図2では二等辺三角形の頂点)の方が画像表示装置側を向いているが、吸光性楔形部500の底辺は、その広幅或いは狭幅のいずれが画像表示装置側(図1及び図2に於ける下方)を向いていても良い。
或いは、図1及び図2では、外光反射防止層100として低屈折率層から成る反射防止層が用いられているが、これに代えて、透明塗膜の表面に微細凹凸を賦形したり、又は透明塗膜内に光拡散性粒子を分散させた構成からなる防眩層を用いても良い。
また、上記例示の各種形態に於いて、更に、透明基材200中に紫外線吸収剤を添加しても良い。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
実施例1
以下、実施例1について、図1を参照して説明する。
〔光学機能層(Fopt1)の作製〕
(1)反射防止層の形成
反射防止層100は、紫外線吸収剤を練込んで成る透明基材200として、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔帝人(株)製、商品名「HBタイプ」〕を用い、その一方の面に、下記の高屈折率層と低屈折率層をこの順に形成した物から構成した。
高屈折率層は、ジルコニア超微粒子を紫外線硬化性樹脂中に分散させた組成物〔JSR(株)製、商品名「KZ7973」〕を、乾燥膜厚が3μmとなるように透明基材200の一方の面上に塗布して乾燥し、紫外線を照射して得た、屈折率1.69の硬化物とした。
一方、低屈折率層は、弗素樹脂系の紫外線硬化性樹脂〔JSR(株)製、商品名「TM086」〕を、乾燥膜厚が100nmとなるように上記高屈折率層上に塗布して乾燥し、紫外線を照射して得た、屈折率1.41の硬化物とした。
(2)色素含有機能層(赤外線吸収、ネオン吸収、調色光吸収層)の形成
(i)色素含有塗料の調製
近赤外線吸収剤として、日本化薬(株)製ジイモニウム系化合物「KAYASORB(登録商標)、IRG−050」14.5質量部、日本触媒(株)製フタロシアニン系化合物「イーエクスカラー(登録商標)、IR−10A」8質量部、さらにネオン吸収剤として、593nmに主吸収ピークを有する有機色素として、山田化学工業(株)製テトラアザポルフィリン系化合物「TAP−2」(商品名)2.9質量部をメチルエチルケトン2000質量部に撹拌混合して溶解させた。次いで、この溶液を透明高分子バインダー樹脂溶液として、日本触媒(株)製「ハルスハイブリッド(登録商標)、IR−G205(固形分濃度29%溶液)」2000質部と撹拌混合して色素含有塗料を作製した。
(ii)色素含有機能層の形成
上記(1)で得られたPETフィルムからなる透明基材200の反射防止層100を形成した側とは反対側の面にダイコーターを用いて上記(i)の色素含有塗料を塗工し、120℃で乾燥して、厚み10μmの近赤外線吸収機能及びネオン吸収機能を有する色素含有機能層300を形成した。
(3)粘着シート1の形成
厚さ38μmの中剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7007)上に、アクリル系樹脂粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン1811L)を乾燥時の厚さ25μmになるように塗布し、100℃、2分間乾燥させ塗膜を形成した後、該塗膜上に38μm軽剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7006)をラミネートし、離型フィルムに両側をサンドイッチされた粘着シート1を作製した。この粘着シート1は複合フィルタ形成時に図1の粘着剤層400となる。
(4)光学機能層Fopt2(ミクロルーバ層)の形成
(i)粘着剤層付PETフィルム(粘着剤層付PETシート2)の作製
アクリル系樹脂粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン2094)100質量部に対して、硬化剤(綜研化学株式会社製、E−5XM)0.25質量部、溶剤メチルイソブチルケトン30質量部、防錆剤(酸化防止剤)として、1,2,3−ベンゾトリアゾール1質量部を各々添加し、充分分散させて粘着剤組成物を調製した。当該粘着剤組成物を、乾燥時の厚みが25μmになるようにPETフィルム(厚み:100μm、東洋紡製、「両面易接着コスモシャインA4300」)上に塗工し、80℃で3分乾燥後、該塗膜上に更に、厚さ38μmの中剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7007)を被覆して、ロール上に巻取り、40℃の環境下で72時間放置した。
この粘着剤層付PETフィルム(以下、「粘着剤層付PETシート2」ということがある。)は、複合フィルタを構成する際に、図1の基材層700及びその下層の粘着剤層800を構成する。
(ii)ミクロルーバ層の作製
ピッチが87μmで開口幅が15μm、深さが130μmの溝を表面に形成した温度調整が可能な金型ロールを50℃に加温して、上記粘着剤層付きPETシート2を該金型ロールとニップロールとの間に、該PETシート側が該金型ロール側を向くようにして、送り込んだ。この粘着剤層付きPETシートの送り込みに合わせ、上で得られた樹脂組成物を金型ロールと該PETフィルムの粘着剤層が形成されていない一方の面との間に、紫外線硬化型樹脂組成物〔ウレタンアクリレートプレポリマー55質量%、フェノキシエチルアクリレート20質量%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート4質量%、ビスフェノールAジグリシジルエーテル4質量%、テトラデカノール−エトキシ付加物のリン酸エステル2質量%の混合物に対して、光重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを混合物に対して1質量%を添加〕をノズル供給装置から供給し、金型ロールおよびニップロール間の押圧により、当該樹脂組成物をPETフィルム上に貼り合わせた。その後、そのPETフィルム側から高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させた。以上によって、主切断面形状がV字型の溝状凹部(吸光性楔形部の形成前の略V字状溝)を有する透明樹脂層600を形成した。
次いで、前記溝状凹部上にカーボンブラックからなる黒色粒子含有樹脂組成物を供給し、ドクターブレードを用いて溝状凹部上に供給された樹脂組成物を掻き取って、当該樹脂組成物を中間部材に形成された略V字形状の溝内に充填し、溝状凹部側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させ、硬化した紫外線硬化型樹脂組成物によって光吸収性楔形部500を形成した。以上によって、図1の複合フィルタFcomにおいて、PETフィルムによる透明基材700の上面にミクロルーバ層CRF(=500+600)、及び下層に透明粘着剤層800を構成する光学機能層Fopt2のシート2(透明粘着剤層800の表面に中剥離性離型フィルムを有している。)を作製した。
(5)電磁波遮蔽材層の作製
(凹版の準備)
先ず、凹版ロール62として、線幅が18μm、線ピッチが270μmの正方格子状のメッシュパターンであり、目標の版深10μmである凹版ロール(凹版版胴)を準備した。
なお、該凹版ロールは、鉄の中空円筒(鉄芯)の表面に銅層を形成した円筒を素材として用い、該銅層表面に該メッシュパターンの凹部を形成した後、表面をクロムメッキしたものを用いた。
(透明基材の準備)
次いで、透明基材1として、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻2軸延伸透明ポリエチレンテレフタレー卜(PET)フィルムを用いた。また、離型剤としてステアリン酸エステル1質量%を添加したウレタンアクリレート系プレポリマーの紫外線硬化型樹脂組成物からなる未硬化状態で液状のプライマー組成物を用意した。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、斜線版のグラビアリバースロールコート方式で、該プライマー組成物を該PETフィルムの易接着処理面に厚み14μmにコーティングし、透明基材を準備した。
(導電メッシュ層の製造)
図6に示す装置により電磁波遮蔽材層10を製造した。先ず、上記で準備した凹版ロール62を用い、充填容器68に満たされた未硬化で流動性の導電性組成物15(3c)である銀ペーストインキ(略球形状から成り、粒子径0.1〜0.5μmの粒子と粒子径1〜3μmの粒子との混合系で平均粒子径1μmの銀粒子93質量部をアクリル系バインダー樹脂中7質量部に分散し、メチルエチルケトンとトルエンの混合溶剤で稀釈)をピックアップロール61により版部にコーティングし、余剰インキをドクターブレード65により掻き取った版面63と、未硬化の流動性の有るプライマー層2cが形成された透明基材(PETフィルム)のプライマー層2c側とをニップロール66で圧着し、引続き高圧水銀燈を装備した紫外線照射ゾーン(図示は略すが、図6で「UVゾーン」と示す部位の凹版ロール62の上方に存在)間を走行する間に、プライマー層の紫外線硬化樹脂を硬化させた後、ニップロール67を介して、版面63から離版させて、PETフィルム上に硬化したプライマー層2を介して上記版胴表面の版パターンを転写させてメッシュ形状の未硬化の導電パターン層3cとなし、該導電パターン層3cを下向きの状態にして、80℃で乾燥硬化して硬化した導電メッシュ層3を有する電磁波遮蔽材層10を製造した。なお、透明基材1はエンドレスのロールのものを用い、印刷速度10m/minでロール・トゥ・ロール方式にて印刷した。
印刷後の導電パターン層の厚み(メッシュ非形成部のプライマー層を基準にして測定)は9μmであり、版深と印刷厚みの比で計算した転移率は、(メッシュパターン厚み9μm/版深10μm)×100=90%であったが、実際には銀ペーストインキの溶剤乾燥による体積収縮があるため、ほぼ100%に近い転移がなされていると推定される。
さらに、該プライマー層2と該導電パターン層3との界面の形態は、該導電パターン層3直下に於いてプライマー層2の厚みTAが該導電パターン層非形成部に於ける厚みTBよりも3μm厚く突出しており、しかも該界面が非直線状に交互に入り組んだ構造を有していた。
かかる入り組み構造を電子顕微鏡で拡大撮影して観察した結果、導電パターン層中の導電粒子(銀粒子)がプライマー層2との界面において上下に不規則に乱雑分布して該界面を構成することが認められた。該導電粒子の分布は、該導電パターン層の頂部に行くほど密になり、逆にプライマー層側に行くほど疎(粗)になる様な疎(粗)密で分布していることが認められた。
さらにまた、界面近傍に、両層の成分が混合した混合領域も認められた。
メッシュ線條部に直交する主切断面内において、単位断面積当たりの導電粒子の個数は、プライマー層と隣接する部分では、平均1個/μm2に対し、頂部近傍では平均3個/μm2であった。
導電性組成物硬化後の導電パターン層3は、その断面の電子顕微鏡写真が図8に示すものであり、個々の銀微粒子はほぼ独立しており、一部接触した導電粒子同士の間隔(導電粒子間隔)、及びプライマー層との界面近傍の導電粒子間隔を測定し、それぞれの平均を求めた結果、頂部の平均導電粒子間隔が0.5μm、プライマー層との界面近傍の平均導電粒子間隔は1.5μmであった。
すなわち、導電粒子の分布は、該導電パターン層の頂部に行くほど密になり、逆にプライマー層側に行くほど疎(粗)になる様な疎(粗)密で分布していることが認められた。表面抵抗率は1.2Ω/□であった。
次いで、この導電メッシュ層を、気温80℃、相対湿度90%の雰囲気中で48時間放置して、電気抵抗低減化処理工程を行った後、室温雰囲気(気温23℃、相対湿度50%)中に取り出した。
電気抵抗低減化処理後の導電パターン層の導電粒子は断面の電子顕微鏡写真を図9に示すように、隣接する導電粒子同士の中には其の界面が消失し融合しているものが含まれ、融合している部分を連ねると図10に示す折れ線のように導電パターン層の全幅に亘って連なっていることが確認された。
次いで、得られた電磁波遮蔽材層10の該導電メッシュ層(導電パターン層3)の表面(電気)抵抗を測定した。
測定は、室温雰囲気(気温23℃、相対湿度50%)中で実施した。表面抵抗率は0.45Ω/□であった。
(7)複合フィルタの作製
上記(3)に記載の粘着剤シート1の軽剥離性離型フィルムを剥がし、上記(1)に記載の光学機能層(Fopt1)の色素含有機能層300の表面に貼合せた。その後、中剥離性離型フィルムを剥がし、(4)の光学機能層Fopt2(ミクロルーバ層)の表面と貼合せ、透明粘着剤層400とした。
次に、上記(3)に記載の粘着剤シート1の軽剥離性離型フィルムを剥がし、上記(5)の導電パターン層が形成されていない透明基材1の面に貼合せ、透明粘着剤層900とした。
次に、(4)に記載の光学機能層Fopt2(ミクロルーバ層)の透明基材700に形成された粘着剤層800の表面の中剥離性離型フィルムを剥がし、上記(5)で得られた電磁波遮蔽材層10の導電パターン層3が形成されている表面と貼合せ、平坦化層を兼ねた透明粘着剤層800とした。
最後に、上記の各透明粘着剤層400、800で貼り合わされた複合フィルタ部材を、オートクレーブ処理を行うことによって、図1に示す複合フィルタ(透明粘着剤900は粘着剤シート1の中剥離性離型フィルムが装着された状態である。)を得た。
得られた実施例1の複合フィルタの粘着力は17〜19N/25mmのバラツキの範囲で、画像表示装置の前面ガラスから剥離可能で、糊残りもなかった。
実施例2
本実施例2について、図12を参照して説明する。
(1)透明粘着シート4の作製
アクリル系樹脂粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン2094)100質量部に対して、硬化剤(綜研化学株式会社製、E−5XM)0.25質量部、溶剤メチルイソブチルケトン30質量部、防錆剤として、1,2,3−ベンゾトリアゾール1質量部を各々添加し、充分分散させて粘着剤組成物を調製した。厚さ38μmの中剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7007)上に、当該粘着剤組成物を、乾燥時の厚さ25μmになるように塗布し、100℃、2分間乾燥させ塗膜を形成した後、該塗膜上に厚さ38μmの軽剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7006)をラミネートし、離型フィルムにサンドイッチされた図12において粘着剤層800を構成する透明粘着シート4を作製した。
(2)光学機能層Fopt2(ミクロルーバ層)用粘着剤層(粘着剤層付PETシート5)の作製
粘着剤層900を構成するアクリル系樹脂粘着剤として、綜研化学株式会社製、SKダイン1435を用いた以外は実施例1の(1)に記載と同一の粘着剤組成物を用い、乾燥時の厚みが25μmになるようにPETフィルム(厚み:100μm、東洋紡製、「両面易接着コスモシャインA4300」)上に塗工し、80℃で3分乾燥後、該塗膜上に更に、厚さ38μmの中剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7007)を被覆して、ロール上に巻取り、40℃の環境下で72時間放置した。次いで、実施例1の(4)の(ii)と同様にしてミクロルーバ層CRFを形成し、光学機能層Fopt2を形成した。
以上により、基材層700の片側に、画像表示装置直貼り用透明粘着剤層900となる粘着層を有する粘着剤層付PETシート5を形成した。
(3)電磁波遮蔽材の透明基材裏面用粘着剤層
実施例1の粘着シート1を、粘着剤層400用として準備した。
(4)複合フィルタの作製
上記粘着シート4の軽剥離性離型フィルムを剥がし、光学機能層Fopt1の色素含有機能層300の表面に貼合せ、導電パターン層の平坦化層を兼ねる透明粘着剤層800として準備した。
次いで、実施例1の粘着シート1の軽剥離性離型フィルムを剥がし、実施例1で製造した電磁波遮蔽材層10の導電パターン3が形成されていない透明基材1のPETフィルム面に貼合せ、透明粘着剤層400として準備した。
さらに、上記粘着シート4の中剥離性離型フィルムを剥がし、電磁波シールド上のパターン格子の表面と貼合せ、平坦化層を兼ねる透明粘着剤800とした。
次いで、上記各層に残存する中剥離性離型フィルム剥がして、図12に示す層構成とした後、上記で積層して得られた複合フィルタ部材を、オートクレーブ処理を行うことによって、複合フィルタを得た(透明粘着剤900は、粘着剤層付PETシート5の中剥離性離型フィルムが装着された状態である)。
得られた実施例2の複合フィルタの粘着力は3〜6N/25mmのバラツキの範囲で、画像表示装置の前面ガラスから剥離可能で、糊残りもなかった。
実施例3
以下実施例3について、図13を参照して説明する。
(1)画像表示装置直貼り用粘着シート3の作製
アクリル系オリゴマー型シランカップリング剤(A)〔(Mw:1000〜20000、Mw/Mn=1〜2〕0.4質量部、アクリル系共重合体(B)〔炭素数1〜18のアルキル(メタ)アクリレートモノマーと官能基含有モノマーの共重合体、Mw:800、000〜2000、000〕100質量部、及び架橋剤(C)としてポリイソシアネート0.2質量部からなる粘着剤組成物を調整した。これを、厚さ38μmの中剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7007)上に、粘着組成物を厚さ25μmになるように塗布し、100℃、2分間乾燥させ塗膜を形成した後、該塗膜上に38μm軽剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7006)をラミネートし、離型フィルムにサンドイッチされた画像表示装置貼合用の粘着剤層形成フィルム(粘着剤シート3)を作製した。なお、この粘着シート3は、図13の複合フィルタにおいて、透明粘着剤層900となるものである。
(2)粘着シート6の作製
実施例1の(4)−(i)に記載したのと同一の組成のアクリル系粘着剤を離型フィルムにサンドイッチされた粘着シート6を作製し、図13に記載の透明粘着剤層800を構成する粘着剤として準備した。
(3)光学機能層Fopt2(ミクロルーバ層)の作製
(i)粘着剤付PETフィルム(粘着剤層付PETシート7)の作製
アクリル系樹脂粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン1811L)を厚さ25μmになるようにPETフィルム(厚み:100μm、東洋紡製、「両面易接着コスモシャインA4300」)上に塗工し、80℃で3分乾燥後、該塗膜上に更に、厚さ38μmの中剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7007)を被覆して、ロール上に巻取り、40℃の環境下で72時間放置した。以上により、基材層700の片側に透明粘着剤層400を構成するための粘着剤層付PETシート7を作製した。
その他は、実施例1と全く同様にして光学機能層Fopt2(ミクロルーバ層)を作製した。
(4)複合フィルタの作製
上記粘着剤層付PETシート7の中剥離性離型フィルムを剥がし、上記光学機能層Fopt1の色素含有機能層300の表面に貼合せ透明粘着剤層400を介して光学機能層Fopt2(ミクロルーバ層)と貼り合せた。
次に、上記の粘着シート6の軽剥離性離型フィルムを剥がし、光学機能層Fopt2の透明樹脂層600の表面に貼合し、軽剥離性離型フィルムを剥がして透明粘着剤層800となる層を形成した。
次に、上記の透明粘着剤層800となる粘着シート6の粘着剤の中剥離性離型フィルムを剥がし、電磁波遮蔽材層10の導電パターン層3が形成されている表面と貼り合せた。
さらに、電磁波遮蔽層10の透明基材1の表面に上記の粘着剤シート3を貼り合せた。
最後に、上記で積層された各複合フィルタの部材を、オートクレーブ処理を行うことによって、複合フィルタを得た。
得られた実施例3の複合フィルタの粘着力は1〜5N/25mmのバラツキの範囲で、画像表示装置の前面ガラスから剥離可能で、糊残りもなかった。
実施例4
(1)粘着シート6の作製
実施例1の(4)−(i)に記載したのと同一の組成のアクリル系粘着剤を離型フィルムにサンドイッチされた実施例3と同様に粘着シート6を作製し、図14に記載の複合フィルタの透明粘着剤層800を構成する粘着剤として準備した。
(2)光学機能層Fopt2(ミクロルーバ層)の作製
(i)粘着剤付PETフィルム(粘着剤層付PETシート8)の作製
アクリル系樹脂粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン1811L)を乾燥時の厚さ25μmになるようにPETフィルム(厚み:100μm、東洋紡製 両面易接着コスモシャインA4300、)上に塗工し、80℃で3分乾燥後、該塗膜上に更に、厚さ38μmの中剥離性離型フィルム(東洋紡績社製、E7007)を被覆して、ロール上に巻取り、40℃の環境下で72時間放置した。以上により、基材層700の片側に粘着層400を有する粘着剤層付PETシート8を形成した。
その他は、実施例1と全く同様にして光学機能層Fopt2(ミクロルーバ層)を作製した。
(3)複合フィルタの作製
上記の粘着シート6の軽剥離性離型フィルムを剥がし、光学機能層Fopt1の色素含有機能層300表面に貼合せ、透明粘着剤層800を構成するように準備した。
次に、光学機能層Fopt2(ミクロルーバ層)が形成された上記の粘着剤層付PETシート8の中剥離性離型フィルムを剥がし、電磁波遮蔽材層10の導電パターン層3が形成されていないPETフィルムからなる透明基材1の面に貼合せした。
次いで、実施例3に記載したものと同一の粘着シート3の軽剥離性離型フィルムを剥がし、光学機能層Fopt2の表面に貼合せ、直貼りの透明粘着剤層900として準備した。
次に、電磁波遮蔽材層10と光学機能層Fopt2とが貼り合わされた導電パターン層3の表面に、光学機能層Fopt1の色素含有機能層300表面に貼合された粘着シート6の中剥離性離型フィルムを剥がし、導電パターン層3の平坦化層も兼ねる透明粘着剤層800として貼り合わせた。
最後に、上記で貼り合わされた複合フィルタの部材を、オートクレーブ処理を行うことによって、複合フィルタを得た。
得られた実施例4の複合フィルタの粘着力は1〜5N/25mmのバラツキの範囲で、画像表示装置の前面ガラスから剥離可能で、糊残りもなかった。
比較例1
実施例1において、画像表示装置の前面ガラスへの貼り合せ用粘着シートの組成を、アクリル系樹脂粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン2094)を厚さ25μmになるように塗布して作製したところ、複合フィルタの粘着力は22〜27N/25mmの範囲となり、画像表示装置の前面ガラスからの剥離が非常に重く、作業上の負荷が非常に大きくなり、非効率的であった。
本発明の複合フィルタは、粘着剤層を透明にして可視透過率を高く、反射率を低くしているので、外光が入射する場所で画像表示装置を使用してもコントラストが低下することがないとともに、画像の輝度及び画質も低下せず、画像表示装置から発生する近赤外線やネオン光、電磁波が観察者側に出射するのを有効に防止することができ、画像表示装置前面用複合フィルタとして有効に利用できる。
また、前面ガラスに貼着する粘着剤層は、透明なアクリル系粘着剤とし、かつ粘着力を1〜20N/25mmとしているので、剥離が容易に可能であり、かつ糊残りもなく、画像表示装置の再利用が可能な複合フィルタとして利用できる。
また、シランカップリング剤を含むアクリル系粘着剤を用いることによって、更に接着性および耐熱性を向上させることができる。
1 透明基材
2 プライマー層
3 導電パターン層(3c導電体材料組成物層)
4 金属層
5 サイドエッジ
6 凹み
7 電磁波シールドパターン部
8 接地部
9 保護層
10 電磁波遮蔽材層
15 導電体材料組成物
61 ピックアップロール
62 凹版ロール
63 版面
64 凹部
65 ドクターブレード
66 ニップロール
67 ニップロール
68 充填容器
100 外光反射防止層(低屈折率層から成る反射防止層又は防眩層)
200 透明基材
300 色素含有機能層(近赤外線・ネオン光吸収機能層)
400 透明粘着剤層
500 ミクロルーバ層の吸光性楔形部
600 ミクロルーバ層の透明樹脂層
700 透明基材
800 無色透明粘着剤層(兼平坦化層)
900 画像表示装置への直貼り用透明粘着剤層
A 導電パターン層が形成されている部分
TA 導電パターン層が形成されている部分Aの厚さ
B 導電パターン層が形成されていない部分
TB 導電パターン層が形成されていない部分Bの厚さ
Fcom 複合フィルタ
Fopt1 光学機能層(外光反射防止層+色素含有機能層)
Fopt2 ミクロルーバ層を含む光学機能層
CRF (=500+600)ミクロルーバ層

Claims (3)

  1. 少なくとも光学機能層、電磁波遮蔽材層、及び画像表示装置に直貼りするための透明粘着剤層を備える画像表示装置前面用複合フィルタであって、
    該電磁波遮蔽材層は、
    (1)透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電パターン層を有し、該プライマー層のうち該導電パターン層が形成されている部分の厚さは、該導電パターン層が形成されていない部分の厚さよりも厚く、
    (2)該導電パターン層が導電粒子とバインダー樹脂を含んでなり、該導電パターン層中の該導電粒子の分布は、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、又該導電パターン層の頂部近傍において密であり、
    (3)該導電パターン層において該導電粒子の少なくとも一部が融合した連なりを有してなり、
    該透明粘着剤層は、アクリル系透明粘着剤からなり、画像表示装置に貼り付けるための該透明粘着剤層の粘着力が1〜20N/25mm幅である、
    ことを特徴とする画像表示装置前面用複合フィルタ。
  2. 少なくとも光学機能層、電磁波遮蔽材層、及び画像表示装置に直貼りするための透明粘着剤層を備える画像表示装置前面用複合フィルタであって、
    該電磁波遮蔽材層は、
    (1)透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電パターン層を有し、該プライマー層のうち該導電パターン層が形成されている部分の厚さは、該導電パターン層が形成されていない部分の厚さよりも厚く、
    (2)該導電パターン層が導電粒子とバインダー樹脂を含んでなり、該導電パターン層中の該導電粒子の分布は、相対的に、該導電粒子の間隔が該プライマー層近傍において大であり、該導電パターン層の頂部近傍において小であり、
    (3)該導電パターン層において該導電粒子の少なくとも一部が融合した連なりを有してなり、
    該透明粘着剤層は、アクリル系透明粘着剤からなり、画像表示装置に貼り付けるための該透明粘着剤層の粘着力が1〜20N/25mm幅である、
    ことを特徴とする画像表示装置前面用複合フィルタ。
  3. 該透明粘着剤層がシランカップリング剤を含む、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置前面用複合フィルタ。
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