JP2011154162A - コントラスト向上フィルタ転写シート - Google Patents

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Abstract

【課題】明室コントラストを向上させるコントラスト向上フィルタについて、透明基材シートの存在による、光透過性低下、加工性低下、薄型化の困難性を解消する。
【解決手段】離型性支持体シート10に剥離可能に積層した転写層20としてコントラスト向上層1を設けたコントラスト向上フィルタ転写シート100とする。コントラスト向上層は、ストライプ状など互いに平行に間隔を空けて多数配列され一方向に延在する暗色材料から成る横断面楔形状などの暗色条部1aと、暗色条部の厚み方向一方の側を露出させて暗色条部間を埋め尽くす透明樹脂層1tとを有する。転写層として、コントラスト層の離型性支持体シート側に保護層2を設け表面強度を強化したり、反対側に接着剤層3を設け転写を簡便にしたり、転写層に各種光学機能など機能層4を設けて転写と同時に付与できる様にしたり、しても良い。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイの前面に配置することで、外光によってディスプレイが表示する画像のコントラストが低下するのを防ぐコントラスト向上フィルタを、転写シートの転写層として被着体に転写し積層できる、コントラスト向上フィルタ転写シートに関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイの前面には、ディスプレイから放出される電磁波や近赤外線を遮蔽する電磁波遮蔽フィルタや近赤外線吸収フィルタ、或いは液晶ディスプレイ(LCD)等では偏光フィルタなどの各種フィルタが設けられている。
しかし、ディスプレイに日光や電灯光などの外光が入り込むと、前面のフィルタ部分やディスプレイパネルで外光が反射して、表示する画像のコントラストが低下する。そこで、この様な外光によるコントラスト低下を防ぐ為に、例えば特許文献1などで、コントラスト向上フィルタが提案されている。特許文献1記載のコントラスト向上フィルタでは、紫外線硬化性樹脂組成物を成形型に注入して紫外線硬化させる等して、紫外線硬化性樹脂からなる透明樹脂層の表面にストライプ状に多数平行に配列した溝状の凹条部を形成し、その凹条部の内部に紫外線硬化性樹脂液からなる暗色材料を充填し固化させて、横断面形状が楔形の暗色条部を形成することで、透明樹脂層の凹条部内が暗色材料からなる暗色条部となったコントラスト向上層を作製する方法を開示している。
なお、凹条部の形成法としては各種あるが、例えば、特許文献1では、紫外線硬化性樹脂組成物を成形型に注入して紫外線硬化させる方法、つまり未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を成形型で成形し紫外線硬化させる方法である所謂フォトポリマー法と呼ばれている方法(別名2P法)などを開示している。2P法は、紫外線硬化性樹脂組成物を樹脂シートからなる連続帯状の透明基材シート上に施して未硬化の塗膜を形成した後、該塗膜に成形型を押し当てて紫外線硬化させることで、連続的に凹条部を形成できる点で、生産性に優れコスト的にも有利な形成方法である。
特開2007−272161号公報
しかしながら、連続帯状の透明基材シートを用いた2P法を利用してコントラスト向上フィルタを作製した場合、コントラスト向上フィルタには必然的に透明基材シートが存在し、この透明基材シートと、凹条部が形成された透明樹脂層との界面が存在し、両層の屈折率を厳密に同一にできれば界面での光反射は生じないが、通常は光反射が生じる。また、コントラスト向上機能の発現には本来不要な透明基材シートという層が1層追加されることによって、追加された透明基材シートの層内での光吸収も生じる。これらの結果、コントラスト向上フィルタの光透過率が低下するという問題があった。
また、透明基材シートの存在は、その分、コントラスト向上フィルタの総厚を厚くする。元々、コントラスト向上フィルタは、暗色条部を凹条部内に充填してあるコントラスト向上層が厚い(例えば150〜200μm)ので、この厚さに加えて更に総厚が厚くなり、フレキシビリティが低下すると加工性が低下し、また製品としての薄型化が困難になる、という問題もあった。
すなわち、本発明の課題は、コントラスト向上フィルタについて、透明基材シートの存在による、光透過性低下、加工性低下、薄型化の困難性を防げる技術を提供することである。
そこで、本発明では、以下の構成のコントラスト向上フィルタ転写シートによって上記課題を解決した。
(1)離型性支持体シートに剥離可能に積層した転写層として、互いに平行に間隔を空けて複数配列され一方向に延在する暗色材料から成る暗色条部と、透明な樹脂層であって該層の片面と前記暗色条部の厚み方向の一方の側を面一として該暗色条部間を埋め尽くす透明樹脂層と、を有するコントラスト向上層が、上記暗色条部の厚み方向に於ける一方の側と面一となる側の透明樹脂層の表面を露出側面、転写層乃至は転写層構成層の離型性支持体シート側を剥離側、その反対側を反剥離側としたときに、該露出側面を剥離側又は反剥離側の何れかの向きで有する、コントラスト向上フィルタ転写シート。

(2)上記(1)に於いて、更に転写層の構成層として、離型性支持体シートとコントラスト向上層との間の位置に、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる保護層を有すると共に、コントラスト向上層の透明樹脂層が電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる、コントラスト向上フィルタ転写シート。
(3)上記(1)又は(2)に於いて、更に転写層の構成層として、コントラスト向上層の反剥離側に被着体に接着し転写するための接着剤層を有する、コントラスト向上フィルタ転写シート。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに於いて、更に転写層の構成層として、上記コントラスト向上層、保護層及び接着剤層以外の機能を担う機能層を有する、コントラスト向上フィルタ転写シート。
(1)本発明によれば、転写法によって、従来は付随していた透明基材シートなしでコントラスト向上層をコントラスト向上フィルタとして被着体に貼り付けることができる。その結果、透明基材シート自体や透明基材シートとコントラスト向上層の透明樹脂層との界面反射による光透過率の低下が生じない。また、透明基材シートがない分、コントラスト向上フィルタの総厚を薄くでき、薄型化が可能となる。また、透明基材シートの厚みの分、その他の機能層を積層しても、総厚が厚くなることもない。
また、コントラスト向上層が柔軟でそれ自体では取り扱い適性が悪くても、従来はフィルタ適用後の最後までコントラス向上層に積層されていた透明基材シートがコントラスト向上層を支持して、その柔軟性による取り扱い適性の低下を防いでいたのに対して、本発明では、フィルタを被着体に積層するまで離型性支持体シートが支持することになるので、透明基材シートが存在しなくても、取り扱い性の低下は全く生じない。しかも、離型性支持体シートは最後は剥離する表面を使用時まで一時的に保護する保護シートとしても使用できる。
また、ディスプレイパネル前面へのコントラスト向上フィルタの積層作業が、予めシート状に製造したラミネート形式のコントラスト向上フィルタをラミネートする場合に比べて、転写シート形式である為に、より簡便に行える。
(2)また、保護層を転写層に加え、保護層及び透明樹脂層を電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる層とすれば、コントラスト向上層を保護する保護層をコントラスト向上層と同時に被着体に付与でき、表面物性に優れる。しかも、転写法によってコントラスト向上フィルタを被着体に積層する場合に、製造上、不可避的に生じる課題であるところの、転写後のコントラスト向上層の露出面の耐擦傷性の低下を、保護層によって改善できる。しかも、保護層で表面物性を出せるため、転写後でその下となるコントラスト向上層における透明樹脂層は軟質にできるので、凹条部を設けた透明樹脂層形成時の成形型の離型、転写完了時の離型性支持体シートの剥離、などの工程において、透明樹脂層が撓んで応力により亀裂や破断するのを防げる。従って、表面物性と、製造適性及び転写適性とを両立するとこが可能となり、取り扱い易く、容易にコントラスト向上フィルタを適用できる部材となる。
(3)また、被着体に接着する為の接着剤層を転写層に加えれば、被着体自体に接着性がなくても、追加的に接着剤の使用やその工程無しに容易に被着体に転写できる。
(4)また、機能層も転写層に加えれば、例えば光学フィルタ機能、或いは帯電防止機能や電磁波遮蔽機能等その他機能の、各種機能をコントラスト向上層と同時に被着体に付与できる。しかも、これら機能層を、別途、機能フィルタとして被着体に重ねて積層する場合は、通常は透明基材シート付きの機能フィルタを貼り付けることになるので、その分貼られたフィルタの総厚が増し、また各機能フィルタの透明基材シートの界面での界面反射で更に光透過性が低下することが避けられないが、離型性支持体シートを透明基材シートの代わりとすることで、これらを回避できる。
本発明によるコントラスト向上フィルタ転写シートの2形態を説明する断面図。 本発明によるコントラスト向上フィルタ転写シートの別の2形態(保護層あり)を説明する断面図。 本発明によるコントラスト向上フィルタ転写シートの別の一形態{保護層、(NIRA層兼)粘着剤層、及び機能層(前記NIRA層とバリア層)あり}を説明する断面図。 暗色条部の横断面形状の各種形状例を説明する断面図。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
〔I〕実施形態例:
本発明のコントラスト向上フィルタ転写シートについて、その実施形態例を図1〜図3を参照して、基本的な構成例から説明する。
〔A〕基本的な形態:
先ず、図1に例示する実施形態は、層構成が最も基本的な例であり、同図に示すコントラスト向上フィルタ転写シート100は、離型性支持体シート10に積層した転写層20が、コントラスト向上層1のみからなる構成である。コントラスト向上層1は、転写層20の面方向に互いに平行に間隔を空けて複数配列され一方向に延在する暗色材料から成る暗色条部1aと、透明な樹脂層であって該層の片面(露出側面A)と前記暗色条部1aの厚み方向の一方の側を面一として該暗色条部間を埋め尽くす透明樹脂層1tと、からなる。即ち、上記暗色条部1aの厚み方向に於ける一方の側と面一となる側の透明樹脂層1tの表面が露出側面Aになる。コントラスト向上層の向きは、図1(A)が、露出側面Aが反剥離側の向きで、図1(B)が、露出側面Aが剥離側の向きの形態である。
なお、暗色条部1aの形状及び寸法は、例えば、横断面形状が露出側を幅広の下底とする台形形状(楔形状)で、下底が60μm、上底が10μm、高さ(厚み)が150μmであり、暗色条部1aの配列方向で光透過部Tとなる部分の間隔は60μm(配列ピッチ120μm)である。また、暗色条部1aの配列方向に於ける、暗色条部1aの最も幅広の部分(ここでは下底)と、暗色条部1a同士の間の光透過部Tの幅の寸法比は、50:50となる。また、透明樹脂層1tの厚みは160μm、離型性支持体シートの厚みは25μmである。
また、図1(A)及び図1(B)において、転写された後の転写層がコントラスト向上フィルタとなるが、転写後におけるコントラスト向上フィルタの観察者側は、剥離側としても良く、反剥離側としても良い。
また、離型性支持体シート10の剥離が完了した時点が転写完了時点だが、離型性支持体シート10は、被着体に積層後もそのまま保護シートとして用いて、邪魔になったときまで残しておいても良い。
なお、透明樹脂層1tには紫外線硬化型などの電離放射線硬化性樹脂を用い、暗色条部1aを形成する暗色材料には紫外線硬化型などの電離放射線硬化性樹脂にカーボンブラック等の暗色色材を添加した樹脂液を用いて形成することが出来る。したがって、透明樹脂層1t及び暗色条部1aは電離放射線硬化性樹脂の硬化物の層として形成できる。
また、この様な、コントラスト向上フィルタ転写シート100を作製するには、例えば、図1(A)の露出側面Aを反剥離側とする形態では、離型性支持体シート10としてポリエチレンテレフタレート等の樹脂シートの離型面とする側の面に、透明な電離放射線硬化性樹脂液を塗布し、暗色条部1aの逆凹凸形状を賦形できる賦形型を押し付けて電離放射線照射して樹脂を硬化させた後、賦形型を離型して、反剥離側の露出側面Aに暗色条部1aとは逆凹凸形状の溝条の凹条部を有する透明樹脂層1tを形成する。そして、該凹条部を含む露出側面全面に、カーボンブラック等の暗色色材を含む電離放射線硬化性樹脂液からなる暗色材料を塗布した後、不要な暗色材料をドクターブレード等で掻き取るいわゆるワイピング法によって除去して、該凹条部内のみに暗色材料を充填し電離放射線照射して樹脂を硬化させて暗色条部1aを形成すれば、コントラスト向上フィルタ層1が転写層20として得られ、目的とするコントラスト向上フィルタ転写シート100を作製できる。
また、図1(B)の露出側面Aを剥離側とする形態では、例えば、離型性支持体シート10としてポリエチレンテレフタレート等の樹脂シートの離型面に、カーボンブラック等の暗色色材を含む電離放射線硬化性樹脂液からなる暗色材料を盛り上げ印刷して電離放射線照射して樹脂を硬化させて暗色条部1aを形成した後、その上から暗色条部1a及び離型性支持体シート10の面の全面に、透明な電離放射線硬化性樹脂液を塗布して電離放射線照射して樹脂を硬化させて透明樹脂層1tを形成すれば、コントラスト向上フィルタ層1が転写層20として得られ、目的とするコントラスト向上フィルタ転写シート100を作製できる。
〔B〕変形形態:
また、図2に例示のコントラスト向上フィルタ転写シート100の様に、図1の形態に対して、転写層20として更に、コントラスト向上層1の剥離側に電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる保護層2を設けた形態としても良い。保護層2によって、転写後のコントラスト向上層を被覆し傷付き等から保護でき、しかもコントラスト向上層1と同時に被着体に付与できる。図2(A)の露出側面Aを反剥離側とする形態、図2(B)の露出側面Aを剥離側とする形態である。
なお、このとき、保護層2及び透明樹脂層1tは電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる層として形成するに際して、更に保護層2を硬質にして透明樹層1tを軟質にすることで、透明樹脂層1tの製造及び転写時の亀裂・破断などを回避でき、耐擦傷性など表面物性と、製造適性及び転写適性とを両立できることになる。
また、図3に例示のコントラスト向上フィルタ転写シート100の様に、図1の形態(例示は図1(A)の形態)に対して、転写層20として更に、コントラスト向上層1の反剥離側に被着体に接着し転写するための接着剤層3を設けた形態としても良い。なお、この接着剤層3は接着剤として粘着剤も含むものであり、粘着剤層としても良く、粘着剤層とする場合には、図3で例示の様に、通常その表面を使用時まで保護する離型シート30を積層しておく。離型シート30には片面を離型処理したポリエチレンテレフタレートの樹脂シート等を用いる。接着剤層3によって、被着体自体に接着性がなくても、追加的に接着剤を転写シートや被着体に施すことなく、簡便に被着体に転写層20を転写できる。
なお、図3に例示のコントラスト向上フィルタ転写シート100は、被着体の観察者側に積層するときは、同図の様に剥離側が観察者Vの側となる。
また、図3に例示のコントラスト向上フィルタ転写シート100の様に、転写層20として更に、コントラスト向上層1、保護層2及び接着剤層3以外の機能を担う機能層4を設けた形態としても良い。図3に例示の形態では、機能層4として、前記接着剤層3を兼用する近赤外線吸収層41と、この接着剤層3兼近赤外線吸収層41とコントラスト向上層1との間に機能層4としてバリア層42とを設けた形態例である。該接着剤層3兼近赤外線吸収層41には、接着剤としてアクリル樹脂系粘着剤を用い、この粘着剤中に、近赤外線吸収色素として、フタロシアニン系色素3種類と、ジイモニウム系色素1種類を添加したもので形成する。また、バリア層42は、多官能(メタ)アクリレート系モノマーを含む電離放射線硬化性樹脂の硬化物層として、透明樹脂層1tよりも高架橋密度にしてバリア効果を発揮させて形成する。バリア層42は、近赤外線吸収層41中の近赤外線吸収色素が、透明樹脂層1t中などに残存する光重合開始剤によって劣化するのを防止する。
この様な機能層4の機能を適宜選択することで、例えば近赤外線吸収層、反射防止層等の光学フィルタ機能、電磁波遮蔽層、バリア層などの光学フィルタ以外の機能など、各種機能をコントラスト向上層1と同時に被着体に付与できる。なお、機能層4はコントラスト向上層1の剥離側、反剥離側、或いはその両方にその機能に応じて適宜設ける。
また、図4に例示の様に、暗色条部1aの横断面形状は任意であり、図1の様な楔形状以外に各種形状をとり得る。暗色条部1aの横断面形状を各種設定することで、コンラスト向上と透過性の光学機能を調整することができる。尚、図4は、暗色条部1aの延在方向と直交する断面を図示するものである。
〔II〕用語の定義:
なお、本明細書にて、「露出側面」とはコントラス向上層1において暗色条部1aが厚み方向でどちらに偏って有するかを示すものであり、暗色条部1aの厚み方向に於ける一方の側と面一となる側の透明樹脂層1tの表面を言う。図面で言えば、符号Aで示される面が「露出側面A」である。この「露出側面」に他の層が何も積層されていなければ、或いはまだ積層していない状態では、文字通り暗色条部1aが大気に露出した「露出面」となる。なお、「面一」とは、暗色条部1aの露出側面Aが暗色材料の体積収縮で微妙に凹んで(例えば3μm)、透明樹脂層1tの面とは完全には厚み方向水準(高さ)が同一にならない部分ができていたしても、この凹みは無視して存在せず厚み方向水準(高さ)が同一であると仮定して、これも含めて「面一」と呼ぶ。
また、転写シートに於いて厚み方向でどちらの側かを示すものとして、「剥離側」は転写層20乃至は転写層構成層の離型性支持体シート10側を意味し、「反剥離側」は、「剥離側」の反対側の他方の側を意味する。図1では上側が「剥離側」、下側が「反剥離側」である。
また、「一方向」とは、コントラスト向上層1に於ける透明樹脂層1tの露出側面Aについてみた場合、暗色条部1aの延在方向が一つであることを意味する。
また、「面方向」とは、「露出側面」に平行な面の方向であり、「垂直方向」とは該「露出側面」に垂直な法線の方向である。言い換えると、「面方向」は転写層の表裏面に平行な方向であって転写シートのシート面に平行な方向でもあり、また、「垂直方向」は転写層の表裏面に垂直な方向であって転写シートのシート面に垂直な方向でもある。
また、本発明において「観察者側」とは、転写後に於いてコントラスト向上層1が観察者から見られる方向(側)である。なお、本発明では、転写後のコントラスト向上層1は、「露出側面」或いはその反対側の「反露出側面」のいずれの面でも「観察者側」に向けることができる。
また、「横断面形状」とは、一方向に延在する線状の暗色条部1a、乃至は該暗色条部1aとは逆凹凸関係の一方向に延在する溝状の凹条部1o、が延在する方向、つまり延びる方向、乃至は局所的に見た場合は走る方向、に対して直交する面に於ける断面形状を意味し、主切断面とも言う。
また、本発明において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
〔III〕各層の詳細:
以下、各層について、更に詳述する。
〔A〕離型性支持体シート:
離型性支持体シート10としては、転写層側とする面が転写層20と離型性(剥離性)を有する離型面となっているシートであれば特に制限はなく、樹脂シートを用いることができる。樹脂シートの樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂等である。例えば、ポリエチレンテレフタレートシートでは、易接着処理が未処理の面を離型面としても良く、これで離型性が不足する場合は、下記の様な離型処理を施すと良い。なお、樹脂シートの厚さは通常20〜200μm程度である。
また、樹脂シートのみでは離型性が不足する場合は、離型処理として、転写層側の面に転写層20と離型性を有する離型層を備えたものを用いる。離型層には、メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が用いられ、更に適宜、ワックス、フッ素系樹脂等が添加される。なお、離型層の厚さは通常0.1〜5μm程度である。樹脂シートは離型面がそのままでも平坦面であり、転写後の転写層表面を平坦面にできるので、画像品質に影響しないので都合が良い。なお、離型面が平坦であれば紙を用いることもできる。例えば、シリコーン樹脂の離型層を形成した上質紙等が挙げられる。
また、上記の様な樹脂シートから成る離型性支持体シート10は、離型性支持体シート側からの紫外線など電離放射線照射による透明樹脂層1tや暗色条部1aの樹脂硬化ができる点でも好ましい。
〔B〕転写層:
転写層20は、少なくともコントラスト向上層1を含み、更にその他、保護層2、接着剤層3、これら層以外の機能層4を含むこともでき、ディスプレイの前面パネルなどの被着体に、転写によって移行して貼り付けられ、コントラスト向上フィルタとなる層である。
《コントラスト向上層》
コントラスト向上層10は、透明樹脂層1tと、面方向に間隔を空けて多数配列された暗色条部1aとからなる。暗色条部1aが、主としてコントラスト向上層1の面方向の法線に対して傾斜した方向から来る外光を吸収し、暗色条部1a同士の間の透明樹脂層部分が、主としてコントラスト向上層1の面方向の法線方向から来る画像光を透過する光透過部Tとなり画像光の透過性を確保する部分で、これらにより外光の影響を抑制して、明室コントラストを向上させる。
[暗色条部]
暗色条部1aの形成は、先に透明樹脂層1tの表面に後述する暗色条部とは逆凹凸形状の凹条部を形成した後、該凹条部の中に暗色材料を充填して形成したり、或いは、透明樹脂層1tを形成する前に、暗色材料の盛り上げ印刷等により形成したり、して設けることができる。なお、盛り上げ印刷する印刷面は、例えば図1(B)の形態では離型性支持体シート10の面である。また、盛り上げ印刷は、厚く印刷できる方式であれば特に制限はなく、例えばスクリーン印刷などである。
暗色材料としては、光吸収性色材を樹脂バインダに含有させた、塗料(乃至はインキ)等の樹脂組成物を用いる。該光吸収性色材は、光吸収性が高く暗色の、つまり低明度の有彩色或いは無彩色を呈する暗色色材を用いることができる。暗色の代表例は黒色であり、無彩色の黒色が画像表示の色に影響を与えず、また外光吸収が大きい点で好ましい。又、低明度の有彩色としては、茶褐色、紺色、臙脂色、深緑色等が挙げられる。なお、暗色色材としては、公知の色材、黒色で言えば、例えば、カーボンブラック、黒色酸化鉄等の黒色顔料、アニリンブラック等の黒色染料などを用いれば良い。また、暗色色材としては、これら暗色色材でアクリル樹脂粒子等を暗色に着色した暗色の樹脂粒子などでもよい。また、青色、黄色、赤色などの有彩色の色材を複数種類用いて混色により、暗色材料を黒色など無彩色乃至は有彩色の暗色としても良い。
該樹脂バインダ中に於ける該暗色材料の粒子は、各個の粒子が非凝集で独立している分散形態、或いは複数粒子が凝集して複合粒子となった分散形態の何れでも良い。該暗色材料の粒子の粒径(複合粒子の場合は複合状態での粒径)は、凹条部1o内に充填する為、凹条部1oの深さ、上底部の幅、及び下底部の幅の何れよりも小さい寸法とする必要が有るが、通常、平均粒径0.1〜10μm程度である。又、複数の異なった粒径の粒子を混合しても良い(例えば、平均粒径0.2μmのカーボンブラック粒子と平均粒径2μmのカーボンブラック粒子とを1対1粒子数比で混合)。該暗色材料の添加量は、通常、樹脂バインダのバインダ樹脂100質量部に対して暗色材料(粒子)を5〜1000質量部の範囲で適宜設計する。
また、上記樹脂バインダとしては、特に制限はなく、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂が使用できる。硬化性樹脂の場合はその硬化物の層として暗色条部1aは形成される。熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂などが挙げられ、硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、電子線や紫外線等で硬化する電離放射線硬化性樹脂があり、熱硬化性樹脂としては、2液硬化型ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられ、電離放射線硬化性樹脂としては、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、エポキシ系などの樹脂が挙げられる。
なかでも、樹脂バインダに用いるバインダ樹脂としては、揮発性の溶剤を不要にできるので体積収縮が小さく、厚みを稼げる点、固化が迅速である点などで、通常溶剤希釈する熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に比べて電離放射線硬化性樹脂は好適な樹脂でもある。また、溶剤希釈された暗色材料では、溶剤蒸発時の体積収縮により、凹条部を充填形成した暗色条部1の表面の凹みが大きく、その上に層形成する場合に凹みが悪影響しない様に配慮する必要もある。
(横断面形状)
暗色条部1aの横断面形状は、特に限定されない。例えば図1例示の実施形態では、その横断面形状は、露出側面Aを幅広の底辺とする楔形状であった。ここで、暗色条部1aの横断面形状の各種形態例を、図4の断面図で示す。なお、同図では、横断面形状のうち露出側面Aに面一で一致する辺を底辺と呼ぶことにする。
そして、横断面形状は、図4に例示する様に、例えば、台形{図4(1)}、三角形{図4(2)}、正方形{図4(3)}、長方形{図4(4)}、面方向(横方向)に膨らんだ五角形{図4(5)}、面方向(横方向)に凹んだ五角形{図4(6)}、六角形{図4(7)}等の各種多角形。或いは、多角形の1又は2以上の辺を湾曲させ曲線化した形状、例えば、三角形の一つの斜辺を曲線化した形状{図4(8)}、三角形の両方の斜辺を曲線化した形状{図4(9)}、台形の両方の斜辺を曲線化した壷形状{図4(10)}など。或いは、円又は楕円の一部の形状{図4(11)}などである。
なお、「楔形」とは底辺から先端部にいく程細い形状であるので、この点では、上記例示のうち正方形{図4(3)}と長方形{図4(4)}以外の形状は、全て「楔形」の一種であるとも言え、「楔状形状」と言える。
なお、各図では、横断面形状は、面方向の大きさが底辺が最も大きく、暗色条部1aに於ける底辺から垂直方向で最も遠い部分である横断面形状に於ける先端部の面方向の大きさは、正方形や長方形でも該底辺と同じであり、底辺を越える大きさではなかった。しかし、本発明では暗色条部1aの形状としては、この限りではない。
ただし、凹条部を作製しておき、この中に充填形成する場合の暗色条部1aについては、容易に充填形成できる点では、少なくとも正方形乃至は長方形が好ましく、更には先端部にいく程狭くなる、図4(1)〜図4(2)及び図4(5)〜図4(11)各種楔状形状が好ましい。
なお、これららの横断面形状、更に暗色条部1aの大きさ及び配列周期(配列周期−最大の面方向寸法=光透過部Tでの最小の面方向寸法である)は、外光が主として入射する方向、外光の吸収性能、画像光の透過性能、肉眼での不可視性などの要求される光学性能に応じて適宜に設定するとよい。
また、複数配列する暗色条部1aの横断面形状とその大きさは、すべて同一の形状及び大きさとするのが普通だが、これ以外に、横断面形状及び大きさの少なくとも一つが異なる複数種類の暗色条部1aを配列しても良い。
なお、本発明では暗色条部1aは、一方向に延在する立体形状、つまり線状の立体形状を有するが、この様な暗色条部1aの形状を応用して、角錐、円錐などの錐体、これら錐体の頂部がない截(さい)頭錐体、或いは、円柱、楕円柱、多角柱など柱体を、暗色柱状部として、透明樹脂層の面方向にそって二方向に間隔をあけて二次元配列して、コントラスト向上層を形成してもよい。
[透明樹脂層]
透明樹脂1tは、厚み方向で言えば、厚みが、暗色条部1aの少なくとも厚み以上の厚みで、少なくとも片面が暗色条部1aの片方の面と面一となった、透明な樹脂層である。透明樹脂層1tは、間隔をあけて配列した暗色条部1a自体による凹凸を平坦に埋めて、更なる層の積層などを容易にする。透明樹脂層1tは、図1(A)例示の形態の様に、露出側面Aが反剥離側となる形態では、通常、暗色条部1aの形成に先立って形成し、逆に、図1(B)例示の形態の様に、露出側面Aが剥離側となる形態では、通常、暗色条部1aの形成の後に形成する。
また、面方向で言えば、暗色条部1a同士の間を埋めて暗色条部1aを補強すると共に画像光を透過させる光透過部Tを有する樹脂層である。
なお、透明樹脂層1tの厚みは、暗色条部1aの厚み(高さ)に応じたものとなる。厚みは、例えば100〜300μm程度である。
透明樹脂層1tを、図1(A)例示の様に露出側面Aが反剥離側となる形態で、暗色条部1aの形成に先立って形成する場合は、暗色条部1aを充填形成する為の、該暗色条部1aとは逆凹凸形状の凹条部1oを表面に成形した樹脂層として形成すると良い。
凹条部1oを表面に有する透明樹脂層1tの形成法は、特に限定はなく公知の成形法を適宜採用すれば良い。例えば、加熱された成形型を熱可塑性樹脂層に押圧する熱プレス法、熱可塑性樹脂組成物を成形型内に注入して固化させるキャスティング法、射出成形法、電離放射線硬化型樹脂組成物を成形型内に注入して電離放射線で硬化させるフォトポリマー法(別名2P法)等である。これらの成形法の中でも、フォトポリマー法は生産性に優れる点でより好ましい。フォトポリマー法では、シリンダ状の成形型を使用して、連続シートを供給しながら連続的に成形できる。該連続シートに離型性支持体シート10を用いれば良い。
一方、透明樹脂層1tを、図1(B)例示の様に露出側面Aが剥離側となる形態で、暗色条部1aを形成した後に形成する場合は、暗色条部1aを埋め尽くす様に、透明樹脂層1tとする樹脂組成物を暗色条部1a形成済みの面に塗布すると良い。この形態での暗色条部1a形成済みの面に透明樹脂層1tを形成する方法は、特に限定はなく公知の成形法を適宜採用すれば良い。例えば、熱可塑性樹脂の溶融押出法で塗布する溶融押出積層法、液状の電離放射線硬化型樹脂組成物をコンマコータ、ダイコータ、カーテンフローコータ等の塗工機を用いて塗布する方法、などである。
透明樹脂層1tを構成する樹脂としては、透明であれば基本的には特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂が使用できる。硬化性樹脂の場合はその硬化物の層として透明樹脂層1tは形成される。熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂などが挙げられ、硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、電子線や紫外線等で硬化する電離放射線硬化性樹脂があり、熱硬化性樹脂としては、2液硬化型ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられ、電離放射線硬化性樹脂としては、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、エポキシ系などの樹脂が挙げられる。尚、ここで、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
これらの樹脂のなかでも、揮発性の溶剤を不要にできるので厚みを稼げる点、固化が迅速である点などで、通常溶剤希釈する熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に比べて電離放射線硬化性樹脂は好適な樹脂である。
《保護層》
保護層2は、透明で、コントラスト向上層1の剥離側面を被覆し保護できる様に、電離放射線硬化性樹脂の硬化物の層として形成される。電離放射線硬化性樹脂としては、公知の樹脂、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、エポキシ系などの樹脂を適宜選択使用すれば良い。保護層は、電離放射線硬化性樹脂の組成物からなる塗液の塗工法などで形成できる。保護層2の樹脂に、電離放射線硬化性樹脂を用いることで、他の樹脂、例えば2液硬化型ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を用い場合に比べて、より優れた表面物性を付与できる。
更に、好ましくは、透明樹脂層1t及び暗色条部1aも電離放射線硬化性樹脂の硬化物の層として形成し、且つ、透明樹脂層1tは、保護層2よりも柔軟(軟質)な層として形成し、保護層2は透明樹脂層1tよりも硬質な層として形成するのが良い。その理由は、暗色条部1aの厚み以上の透明樹脂層1tは、電離放射線硬化性樹脂層で厚みも通常100μ以上と厚くなるので、硬質な層とするとフレキシピリティ(可撓性)が不足し、製造時や使用時に於いて透明樹脂層1tを有するシートを柔軟なシートとして取り扱えず、硬直なシートが離型時、転写時などで撓んだときに亀裂が生じ易いからである。また、硬質な層にすると、樹脂の硬化収縮によりシートにカールが生じ易いからである。従って、透明樹脂層1tは可能な限り柔軟であることが好ましいが、そうすると、転写後のコントラスト向上層1の表面が傷付き易くなり、耐擦傷性が劣る。そこで、硬質な保護層2を設ければ、亀裂及びカールの防止と耐擦傷性を両立できる。
なお、保護層2を硬質にして、透明樹脂層1tを柔軟にするには、例えば、保護層2の樹脂は架橋密度を高くして、透明樹脂層1tの樹脂は架橋密度が保護層2のそれよりも低くすると良い。
尚、ここで、軟質及び硬質とは、透明樹脂層1tと保護層2との間で比較した相対的な定義である。相対的に、透明樹脂層1tの方が軟質であり保護層2の方が硬質であれば良い。軟質の具体的程度としては、JISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」〜「4B」の硬度を示すものである。一方、硬質の具体的程度としては、JISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「2H」〜「5H」の硬度を示すものである。又、更に好ましくは、透明樹脂層1tの破断伸度が保護層2の破断伸度よりも大であるようにする。
《接着剤層》
接着剤層3としては、透明で、転写層20を被着体に接着(転写)できるものであれば特に制限はなく、代表的には熱可塑性樹脂が用いられる。また、転写で被着体に積層時までは未硬化とすれば、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などの硬化性樹脂も用いることができる。接着剤層3には、これらの樹脂の1種又は2種以上の混合樹脂を用い、更に必要に応じて、可塑剤、粘着付与剤、安定剤等が添加された樹脂組成物を用いる。また、通常は該樹脂組成物に更に溶剤希釈した塗液で塗工形成する。この様な樹脂のなかでも、加熱により接着力を発現させる加熱接着が可能な樹脂は、転写積層時の接着が容易な点で好ましい。加熱接着が可能な代表的な樹脂は、熱可塑性樹脂であるが、この他、未硬化など完全硬化前の前記硬化性樹脂、乃至はこれら硬化性樹脂を含む混合樹脂でも、加熱接着が可能である。ただし、硬化工程が不要で加熱とその後の冷却のみで、容易に接着できる点で、熱可塑性樹脂は好適である。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂などを用いることができる。
なお、接着剤層3としては粘着剤層も含む。粘着剤層の場合は該層表面が粘着性を呈するため、使用時まで表面を保護する離型シート30を積層しておくが、粘着剤層形態ではない接着剤層3の場合は該層表面は粘着性がない非粘着面であるため、離型シートは不要である。
また、粘着剤層とする場合の樹脂は、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤など公知の粘着剤を用いることができる。
また、離型シートとしては、前記した離型性支持体シートと同様のものを用いることができる。
《機能層》
機能層4は、転写層20に属し、上記した、コントラスト向上層1、保護層2、接着剤層3によって実現できない機能を担う層である。機能層4としては、代表的には光学機能を発揮する光学機能層があるが、この他、機械的機能や化学的機能など光学機能以外のその他の機能を発揮する、光学機能以外のその他機能層もある。この様な機能層4としては、コントラスト向上フィルタ転写シート100を適用する用途、例えば、ディスプレイの種類に応じて、ディスプレイの前面フィルタとして各種公知の層を適宜採用することができる。
[光学機能層]
光学機能層としては、例えば、反射防止層(防眩、反射防止、防眩及び反射防止兼用のいずれかの層)、近赤外線吸収層(PDPから放出される近赤外線を吸収しリモートコントローラの誤動作を防ぐ層)、ネオン光吸収層(PDPから放出されるネオン光を吸収する層)、色補正層(表示画像の色を好みの色に補正する層)、紫外線吸収層などである。これら各種光学機能層の光学機能は光学機能同士、或いは光学機能と光学機能以外のその他の機能層の機能を兼用することもある。なお、これらの光学機能層は、公知の層を適宜採用すればよい。またこれらの光学機能層は単層又は多層構成にて形成される。また、これら光学機能層の形成は公知の材料・方法で形成でき、樹脂組成物液の塗工、蒸着やスパッタ、樹脂組成物の溶融押出などで形成できる。例えば、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、色補正層、紫外線吸収層などは、夫々の機能に応じた色素(近赤外線吸収色素、ネオン光吸収色素、色補正色素、紫外線吸収剤)を樹脂中に分散させた樹脂組成物で塗工形成できる。
なお、近赤外線吸収層に用いる近赤外線吸収色素としては、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、フタロシアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、ジチオニール錯体などの有機系色素、インジウム錫酸化物、チタン酸化物、セシウム含有タングステン酸化物などの無機系色素を1種又は2種以上併用する。併用では、例えばフタロシアニン系化合物とジイモニウム系化合物との併用が、耐光性などの点で好ましい。
また、反射防止層としては、例えば、低屈折率層からなる単層反射防止層、低屈折率層を最表面層として低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層した多層反射防止層、或いは、多数の突起が表面に可視光の真空下最短波長以下の平均ピッチで配置された所謂モスアイ構造(特開昭50−70040号公報、特許第4197100号公報などに開示されている)による凹凸を有する微細凹凸層などがある。低屈折率層には、珪素酸化物などの無機材料、フッ素系有機化合物などの有機材料、或いは酸化ケイ素などの中空微粒子が用いられる。高屈折率層には、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物などの無機材料、ポリエステル系樹脂などの有機材料(樹脂)が用いられる。低屈折率層及び高屈折率層の形成は、使用する材料に応じて、真空蒸着などの気相法、材料を樹脂バインダに分散させた塗液の塗工法による湿式法などで形成する。
なお、各種光学機能層を樹脂層として形成する場合のバインダ樹脂としては、特に制限はないが、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂など、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂(例えば熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂など)を1種単独又は2種以上併用する。
[光学機能以外のその他の機能層]
光学機能以外のその他の機能層は、例えば、ハードコート層、帯電防止層、汚染防止層、抗菌層、耐衝撃層、2層間を密着させる接着剤層(含む粘着剤層)、プライマ層(2層間の密着を強化する層)、バリア層(2層を接触させない或いは更に2層間の物質移動を防ぐ層)、電磁波遮蔽層(ディスプレイから放出される電磁波を遮蔽する層)などである。
例えば、電磁波遮蔽層は、公知のものを適宜選択使用すれば良く、銅箔のエッチングメッシュ等の金属メッシュ、導電ペーストによる印刷メッシュ、或いはメッシュ状ではなく全面形成した多層スパッタ膜などの透明導電性薄膜がある。金属メッシュの金属には銅以外にアルミニウムなどでも良い。また、電磁波遮蔽層は、これら金属メッシュ、印刷メッシュ、透明導電性薄膜等を支持する透明基材層を通常含む。透明基材層としては、離型性支持体シート10で挙げた、ポリエステル系樹脂などの樹脂シートが用いられる。
なお、印刷メッシュでは、国際公開第2008/149969号のパンフレットで本出願人が開示した凹版印刷法である「引抜プライマ方式凹版印刷法」によるメッシュは高精細にできる点で好ましい。なお、この方式の印刷法は、凹版版面の凹部内に充填したインキ(導電ペースト)を引き抜いて、被印刷物への転移を促進させる、電離放射線硬化性樹脂等からなるプライマ層を、印刷の最中に流動状態で作用させて版面上で固化させてから、離版し印刷する方法である。
また、帯電防止層には、例えば、4級アンモニウム塩などの界面活性剤、ITO(インジウム錫酸化物)などの透明導電性金属酸化物、ポリチオフェンなどの導電性樹脂を帯電防止剤として用いる。帯電防止剤が樹脂の場合はそれ自体で層形成しても良いが、帯電防止剤を適宜樹脂バインダ中に分散させた塗液で塗布形成することもできる。透明導電性金属酸化物の場合は、気相法で形成することができる。
なお、各種光学機能層以外のその他の機能層を樹脂層として形成する場合のバインダ樹脂としては、特に制限はなく、前記、光学機能層の場合と同様の樹脂等を使用できる。
また、バインダ樹脂に色素や帯電防止剤など機能発現材料を添加する形態の機能層4は、例えば、前記図3の様に、接着剤層3中に機能発現材料を添加して接着剤層3を機能層4と兼用させることが出来る。また、保護層2中に機能発現材料を添加して保護層2を機能層4と兼用させることが出来る。また、コントラスト向上層1の透明樹脂層1t中に紫外線吸収剤を添加して紫外線吸収層と兼用させたり、帯電防止剤を添加して帯電防止層と兼用させたりして、コントラスト向上層1(の透明樹脂層1t)を機能層4と兼用することもできる。
ここで、以下に、機能層4を、他層と兼用又は兼用しない場合も含めて、コントラスラト向上フィルタ転写シート100の層構成例の幾つかを更に例示する。
なお、「/」はその左右の層が積層関係にあることを示し、「+」はその左右の層が別々の層ではなく層機能の兼用関係にあることを示し、( )は括弧の左側の層(+で連結したものも含めて)が括弧内の層に属することを示す。
(a)離型性支持体シート10/反射防止層(機能層4)/コントラスト向上層1/バリア層(機能層4)/近赤外線吸収層+ネオン光吸収層+色補正層+粘着剤層(接着剤層3+機能層4)
(b)離型性支持体シート10/反射防止層(機能層4)/コントラスト向上層1/バリア層(機能層4)/近赤外線吸収層+ネオン光吸収層+色補正層(機能層4)/透明粘着剤層(接着剤層3)
(c)離型性支持体シート10/防眩層(保護層2+機能層4)/コントラスト向上層1/バリア層(機能層4)/近赤外線吸収層+ネオン光吸収層+色補正層+粘着剤層(接着剤層3+機能層4)
(d)離型性支持体シート10/反射防止層(機能層4)/保護層2/コントラスト向上層1/バリア層(機能層4)/近赤外線吸収層+ネオン光吸収層+色補正層+粘着層(機能層4)/金属メッシュ電磁波遮蔽層(機能層4)/透明粘着層(接着剤層3)
〔IV〕被着体:
本発明のコントラスト向上フィルタ転写シート100から、転写層20を転写により移行させ積層させる被着体としては、特に制限はない。例えば、樹脂板、樹脂シート等の有機部材、ガラス、セラミックスなどの無機部材であり、ディスプレイパネル自体、或いはディスプレイパネルの前面に配置する前面板などである。
〔V〕用途:
本発明のコントラスト向上フィルタ転写シートの用途は、各種ディスプレイの前面に配置してディスプレイの表示画像の(明室)コントラスを向上する為のコントラスト向上フィルタを、各種被着体に設置する用途に好適に使用できる。
上記各種ディスプレイとしては特に限定されず、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、電界発光(EL)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)の他、旧来のブラウン管(CRT)ディスプレイ等でも良い。また、これらのディスプレイは、テレビジョン受像装置、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、電子看板、遊戯機器等の表示部等に用いられる。
1 コントラスト向上層
1a 暗色条部
1o 凹条部
1t 透明樹脂層
2 保護層
3 接着剤層(含む粘着剤層)
4 機能層
41 近赤外線吸収層(NIRA層)
42 バリア層
10 離型性支持体シート
20 転写層
30 離型シート
100 コントラスト向上フィルタ転写シート
A 露出側面
T 光透過部
V 観察者

Claims (4)

  1. 離型性支持体シートに剥離可能に積層した転写層として、互いに平行に間隔を空けて複数配列され一方向に延在する暗色材料から成る暗色条部と、透明な樹脂層であって該層の片面と前記暗色条部の厚み方向の一方の側を面一として該暗色条部間を埋め尽くす透明樹脂層と、を有するコントラスト向上層が、上記暗色条部の厚み方向に於ける一方の側と面一となる側の透明樹脂層の表面を露出側面、転写層乃至は転写層構成層の離型性支持体シート側を剥離側、その反対側を反剥離側としたときに、該露出側面を剥離側又は反剥離側の何れかの向きで有する、コントラスト向上フィルタ転写シート。
  2. 転写層の構成層として、離型性支持体シートとコントラスト向上層との間の位置に、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる保護層を有すると共に、コントラスト向上層の透明樹脂層が電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる、請求項1記載のコントラスト向上フィルタ転写シート。
  3. 転写層の構成層として、コントラスト向上層の反剥離側に被着体に接着し転写するための接着剤層を有する、請求項1又は2記載のコントラスト向上フィルタ転写シート。
  4. 転写層の構成層として、上記コントラスト向上層、保護層及び接着剤層以外の機能を担う機能層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコントラスト向上フィルタ転写シート。
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