JP2009182013A - 電磁波シールド部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】電離放射線硬化性プライマーの流動状態及び硬化現象を利用して導電インキを透明基材上に良好に転写して導電性を有する印刷パターンを形成する電磁波シールド部材であって、該印刷法の結果としてプライマー層突出形状部の麓部分等の露出によるレンズ効果に基づく曇度(ヘイズ)の上昇や虹彩色の発生という不都合を低減した電磁波シールド部材を提供すること。
【解決手段】透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された凸状パターン層とを有する電磁波シールド部材であって、前記プライマー層は、前記凸状パターン層が形成されている部分又は該部分とその周辺部において山状突出形状をなし、該プライマー層突出形状部の麓部分が露出しているか、導電性粒子非含有のバインダー樹脂からなる凸状パターン層麓部分で覆われており、凸状パターン層の非形成部におけるプライマー層の表面及び凸状パターン層の表面は透明樹脂層で被覆されていて、プライマー層の屈折率をnp、透明樹脂層の屈折率をntとしたときに、これらの関係が、|np−nt|≦0.14である、電磁波シールド部材。
【選択図】なし

Description

本発明は、特にディスプレイ(画像表示装置)の前面に配置するに好適で、メッシュ形状に代表される導電性の所定のパターンが印刷法を利用して形成され、且つ印刷法起因の曇度(ヘイズ)上昇や虹彩色発生を改善した、電磁波シールド部材に関する。
現在、電磁波シールド材としては、金属箔をエッチング処理してメッシュパターンとするフォトリソグラフィー法によるものもあるが、コスト、廃液処理等の面から、例えば、透明基材の上に導電インキや無電解めっきの触媒を含むインキをパターン印刷し、その上に銅をめっきで析出させ細線パターンを形成した電磁波シールド部材などが提案されている(特許文献1〜3)。
このようなパターン印刷で用いられるインキは、印刷精度を高めるために、通常はチキソトロピー性を有した高粘度のインキが用いられ、スクリーン印刷(特許文献1)などの方法が用いられる。しかしながらスクリーン印刷では、ロール・トウ・ロールでの精度良い印刷は難しく、また版自体を強い張力で張るため、大面積にした場合の版周辺部の精度が悪いという問題があった。
また、このようなインキをグラビア印刷(特許文献2、3)のような凹部を持つ版を用いる方法(所謂「凹版印刷(法)」)にて微細パターンで印刷しようとすると、印刷できないことはないがインキの転移性が悪くインキ抜けなどが多発し、安定したパターンが形成できないという問題があった。これは、凹版上にインキを塗布し、余分なインキをドクターブレードで掻き取った後の凹部内のインキがその上部に凹みを生じることが原因である。この凹みは、凹版上に透明基材を圧着して透明基材上に凹部内のインキを転写する際に、透明基材とインキとの密着を妨げ、透明基材上に、インキの未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生して、電磁波シールド特性を低下させる。
この凹版印刷におけるインキの転移(転写)不良の問題の解決について検討した本発明者らは、UV(紫外線)、EB(電子線)など電離放射線で硬化する未硬化状態で液状の樹脂用組成物をプライマーとして透明基材上に塗布し、このプライマー塗布面を、インキを充填した凹版面に対向して重ねた状態で電離放射線を照射しプライマーを硬化させて、しかる後に引き抜くことで、インキが基材上にほぼ全転移することを見出した。この方法を用いれば、導電材を含む組成物からなるインキを、効率的に精度よく基材上に印刷することができる。
しかしながら、このようにして作製した電磁波シールド部材は、プライマー層が、導電インキによる凸状印刷層が所定パターンで形成されている部分(以下、凸状パターン層と呼称する。)又は該部分とその周辺部において突出形状をなす。該プライマー層突出形状部の麓部分は、導電性粒子非含有のバインダー樹脂からなることがある凸状パターン層麓部分で覆われているか又は覆われずに露出している。ここで、プライマー層突出形状部の麓部分、又はこれを覆うことのある凸状パターン層麓部分のバインダー樹脂とからなる表面は、透明基材に対して傾斜面及び/又は彎曲面をなしているため、レンズ効果を奏し、透過する光線が、局部的に屈折して、曇度(ヘイズ)上昇や虹彩色発生という不都合を惹き起こす。
特開平11−170420号公報 特開2001−102792号公報 特開平11−174174号公報
本発明の目的は、上記のプライマーの流動状態及び硬化現象を利用して導電インキを透明基材上に良好に転写して導電性を有する印刷パターンを形成する新規印刷法による製造結果物に代表される、突出彎曲したプライマー層上に導電性組成物を所定パターン状に形成してなる構成の電磁波シールド部材であって、該プライマー層突出形状部の麓部分等の露出によるレンズ効果に基づく曇度(ヘイズ)の上昇や虹彩色の発生という不都合を低減した電磁波シールド部材を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の電磁波シールド部材は、透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電性粒子及びバインダー樹脂を含む導電性組成物からなる導電性の凸状パターン層とを有する電磁波シールド部材であって、前記プライマー層は、前記凸状パターン層が形成されている部分又は該部分とその周辺部において山状突出形状をなし、該プライマー層突出形状部の麓部分は、露出しているか、又は、導電性粒子非含有のバインダー樹脂からなる凸状パターン層麓部分で覆われている。そして、前記凸状パターン層の非形成部におけるプライマー層の表面及び凸状パターン層の表面は透明樹脂層で被覆されていて、プライマー層の屈折率をnp、透明樹脂層の屈折率をnt、空気の屈折率をnaとしたときに、これらの関係が、|np−nt|<|np−na|である、電磁波シールド部材である。
ここで、透明基材上に設けられたプライマー層が、凸状パターン層が形成されている部分又は該部分とその周辺部において突出形状をなすとは、導電性組成物からなる層の凹みを充填するようにプライマー層が設けられていることを意味する。こうした形態からなるプライマー層は、電磁波シールド部材の製造時に、ドクターブレードで掻き取った後の版の凹部内の導電性組成物(特に、印刷法に供する印刷時に液状のものを導電インキと呼称する。以下、適宜、両用語を用いる。)等の上部(空気との界面)の凹みに充填されることに基づいて形成されたものであり、プライマー層が導電インキ等に空隙なく密着し、該プライマー層を硬化して後、凹版から引き抜いて、導電性組成物(導電インキ)を固化させることにより、導電性組成物(導電インキ)等の転写不良に基づく断線や形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド部材を提供できるものである。
本発明の電磁波シールド部材が有するプライマー層の形態によれば、導電性組成物層の凹みを充填するようにプライマー層が設けられ、これを硬化して後、凹部内の導電性組成物(導電インキ)ごと凹版から引き抜くので、導電性組成物(導電性インキ)等の転移不良に基づくパターンの断線や形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド部材を提供することができる。
そして、導電性組成物の凸状パターン層の非形成部におけるプライマー層の表面及び導電性組成物凸状パターン層の表面は透明樹脂層で被覆され、プライマー層と透明樹脂層の屈折率の差が|np−nt|<|np−na|であるので、プライマー層突出形状部の麓部分等の露出によるレンズ効果に基づく曇度(ヘイズ)の上昇や虹彩色の発生という不都合を低減した電磁波シールド部材が提供される。
図1は、本発明の第1形態の電磁波シールド部材の一例を示す模式的な断面図である。本発明の第1形態の電磁波シールド部材は、透明基材1と、透明基材1上に形成されたプライマー層2と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された凸状パターン層3とを有し、凸状パターン層の非形成部におけるプライマー層の表面及び凸状パターン層の表面、すなわち凸状パターン層形成側表面は透明樹脂層4で被覆されている。
ここで、「所定のパターン」とは、電磁波シールド部材の電磁波遮蔽パターンとして一般的な、メッシュ状又はストライプ状のパターンである。
プライマー層2は、凸状パターン層3が形成されている部分及びその周辺部において山状突出形状をなしており、該プライマー層突出形状部は、凸状パターン層の頂部直下に頂部を有し、なだらかに裾野をひいた山状形状である。凸状パターン層3は、凹版形状の頂部を有する険しい山状形状であり、プライマー層突出形状部の中腹より上に形成されているので、プライマー層突出形状部裾野部は露出していて、該部分はレンズ効果を奏する。
図1においては、凸状パターン層3に導電性粒子が一様に分布しているが、導電性粒子の比重、粒径等とバインダー樹脂の粘性等との関係によっては、凸状パターン層3の下方部分(凹版印刷時の上方部分)には導電性粒子が存在しない形態が生ずる。この形態のものを本発明の第2形態の電磁波シールド部材と呼ぶ(図面は省略)。
図2は、本発明の第3形態の電磁波シールド部材の一例を示す模式的な断面図である。この形態は、凸状パターン層3がなだらかに裾野をひく形状であり(例えば、第1、2形態の凸状パターン層とはバインダー樹脂の粘性挙動が異なるため裾野をひく形状になると考えられる。)、その裾野部はプライマー層突出形状部の裾野部を覆っている。そして、この形態において、凸状パターン層3は、第2形態同様、裾野部等下方部分においては導電性粒子非含有でバインダー樹脂のみからなる。この両裾野層が重なった部分はその上に導電性粒子を含有した凸状パターン層が存在しない透明部でありレンズ効果を奏することとなる。
すなわち、第1〜3形態のプライマー層突出形状部の麓部分は、露出しているか、導電性粒子非含有のバインダー樹脂からなる凸状パターン層麓部分で覆われている透明部であり、その表面は、透明基材に対して傾斜及び/又は彎曲面をなしているため、レンズ効果に基づく曇度(ヘイズ)の上昇や虹彩色の発生という不都合が生じる。
本発明では、凸状パターン層をの非形成部におけるプライマー層の表面及び凸状パターン層の表面、すなわち凸状パターン層形成側表面を、屈折率がプライマー層2と近い透明樹脂層4で被覆することによって、これらの不都合を低減している。
以下、本発明の電磁波シールド部材の構成を説明する。
(透明基材)
透明基材1は、電磁波シールド部材の基材であり、所望の透明性、機械的強度、プライマー層2との接着性等の要求適性を勘案の上各種材料の各種厚みのものを選択すればよい。材料としては樹脂、硝子等が、厚み形態としてはフィルム(乃至はシート)、或いは板の形態で用いられる。通常は、樹脂製の透明フィルムが好ましく用いられる。
そうした透明フィルムとしては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等をベースとするフィルムが好ましいが、これに限定されない。具体的には、透明フィルムの材料としては、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、トリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、(メタ)アクリロニトリル樹脂等が使用できる。なかでも、二軸延伸PETフィルムが透明性、耐久性に優れ、しかもその後の工程で電離放射線照射処理を経た場合でも熱変形等しない耐熱性を有する点で好適である。
透明基材1は、ロール・トウ・ロール(巻取(ロール)から巻き出して供給し、加工後巻取に巻き取って保管する形態)で取扱可能な長尺帯状フィルムであってもよいし、所定の大きさからなる枚葉フィルムであってもよい。透明基材1の厚さは、通常は8μm〜5000μm程度が好ましいが、これに限定されない。透明基材1の光透過率としては、100%のものが理想であるが、透過率80%以上のものを選択することが好ましい。
透明基材の表面には、必要に応じて、後述するプライマー層と基材との密着性を改善するために易接着層を設けたり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理を行ってもよい。該易接着層としては、該透明基材1とプライマー層2との両方に接着性のある樹脂から構成する。易接着層の樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン等の樹脂の中から適宜選択する。
(プライマー層)
プライマー層2は、その主目的が凸状パターン層3を印刷形成時に、版から被印刷物へのインキ転移性を向上させ、転移後のインキと被印刷物とのインキ密着性を向上させるための層である。また、基本的機能として、透明基材及び凸状パターン層の双方に密着性が良く、また開口部(凸状パターン層非形成部)の光透過性確保のために透明な層でもある。プライマー層は単層でも多層でもよい。
更に、このプライマー層2は、凹版印刷時の凹版に接触している間に液状から固化させる層として形成される層であり、最終的に電磁波シールド材となったときに固化している層として形成される。
かかるプライマー層を構成する材料としては、本来特に限定はないが、本発明では、未硬化状態において液状(流動性)の電離放射線重合性化合物を含む電離放射線硬化性組成物を塗工、硬化(固体化)してなる層が好適に用いられる。以下、この材料を中心に詳述する。
該電離放射線重合性化合物としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーが用いられる。
かかるモノマーとしては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
また、かかるプレポリマーとしては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
電離放射線として、紫外線、又は可視光線を採用する場合には、通常は、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系等の化合物が、又カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加する。
なお、電離放射線としては、紫外線、又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線等の荷電粒子線を用いることもできる。
また、電離放射線硬化性組成物は、密着性、耐久性改善、各種物性付与のために各種添加剤や変性樹脂を使用してもよい。該添加剤としては、例えば、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸收剤、赤外線吸收剤、色素(着色染料、着色顔料)、体質顔料等が挙げられる。
当該電離放射線硬化性組成物は、溶剤を含んでもよいが、その場合塗布後に乾燥工程が必要であるため、溶剤を含まないタイプ(ノンソルベントタイプ)であることが好ましい。
本発明においては、流動状態のプライマー層と非流動状態のプライマー層2の2つの状態間の遷移を適切に利用する点に特徴がある。具体的には、電離放射線硬化性プライマー層は、塗工後においても未硬化状態においては、流動性のある状態で透明基材1上に設けられており、該プライマー層を電離放射線照射等により硬化させた後、導電インキを透明基材上へ転写させる。したがって、プライマー層は短時間で流動状態から硬化状態に変化し、プライマー層2を形成することができるものであることが必要である。このようにしてプライマー層2を透明基材1上に形成することにより、プライマー層2上に導電インキを転写する際に、その導電インキとプライマー層2との間に空隙がない状態で転写することができるので、従来生じるおそれがあった導電インキ層とプライマー層2との間の隙間の発生をなくすことができ、その隙間の存在による転写不良、密着不良の問題が生じない。
なお、本明細書でいう「流動性」又は「流動状態」とは、プライマー層を導電インキが充填された版面に圧着する際の圧力によって流動(変形)する性質又は状態を言う。この条件を満たせば、水のように低粘度である必要はない。又Newton粘性でもよいし、チキソトロピック粘性或いはダイラタンシー粘性の様な非Newton粘性であってもよい。塗工に適した粘度に調整され、透明基材上に塗布後に流動(変形)すればよく、プライマー層は圧着時において流動(変形)する温度になっていればよい。この場合軟化状態と言い換えてもよい。
(凸状パターン層)
本発明の電磁波シールド部材は、凸状パターン層3が、プライマー層2上に、所定のパターンで設けられている。該パターンは、電磁波シールド部材に通常採用されるメッシュ状であってもストライプ状であってもよく、その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5〜30μmとすることができ、線間ピッチは100〜500μmとすることができる。またメッシュやストライプ形状の電磁遮蔽パターンとは別に、それと導通を保ちつつ隣接した全ベタ等の接地パターンが設けられる場合もある。
この凸状パターン層3は、代表的な導電性組成物である導電性粒子とバインダー樹脂を含む導電インキを、後述する凹版印刷法によりプライマー層2上に所定のパターンで形成することができる。
導電インキを構成する導電性粒子としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、錫、アルミニウムなどの金属の粒子、表面が金や銀などの低抵抗金属でめっきされた粒子(金属粒子、樹脂粒子、無機粒子)、グラファイト粒子、カーボンブラック粒子等を好ましく挙げることができ、形状も球状、回転楕円体状、多面体状、鱗片状、円盤状、樹枝状、繊維状等から選ぶことができる。これらの材料や形状は適宜混合して用いてもよい。導電性粒子の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、例えば、鱗片状の銀粒子の場合には粒子の平均粒子径が0.1〜10μm程度のものを用いることができ、カーボンブラック粒子の場合には平均粒子径が0.01〜1μm程度のものを用いることができる。導電インキ中の導電性粒子の含有量は、導電性粒子の導電性や粒子の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電インキの固形分100質量部のうち、導電性粒子を40〜99質量部の範囲で含有させることができる。なお、本明細書において、平均粒子径というときは、粒度分布計、またはTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値を指している。
導電インキを構成するバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマーの材料として前記した物を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができる。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤を使用できる。溶剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
また、導電インキには、品質向上等を目的に適当な添加物を加えてもよい。例えば、カーボンブラックはそれ自体が黒色であるので必要ないが、黒色顔料や黒色染料を必要に応じて所定量添加することで、電磁波シールドパネルを構成したときのコントラストを向上させたり、凸状パターン層に追加的に金属薄膜層を設ける場合に、その金属光沢を透明基材側において隠したりする目的で使用する。
黒色顔料としては、導電性粉末としても機能するカーボンブラック、Fe34、CuO−Cr23、CuO−Fe34−Mn23、CoO−Fe23−Cr23等が挙げられるが、その種類や形状は特に制限はなく、バインダー樹脂中に分散容易な平均粒子径0.1μm以下の着色力の大きな黒色顔料又は黒色染料が好ましい。なお、カーボンブラックを用いる場合には、チャンネルブラック、ファーネスブラック又はランプブラック等の色材用カーボンブラックや、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック等を挙げることができ、中でも平均粒子径が20nm以下のものが好ましく用いられる。また、黒色染料としては、アニリンブラック等の染料を用いることができる。
また、導電インキの流動性や安定性を改善するために、導電性や、プライマー層との密着性に悪影響を与えない限りにおいて適宜フィラーや増粘剤、界面活性剤、酸化防止剤などを添加してもよい。
(導電インキの凹版印刷)
導電インキを凹版印刷して所定のパターンの凸状パターン層3を形成するには、例えば、凹版の凹部のみにドクターブレードなどを利用して導電インキを充填し、これに液状プライマー層を片面に形成済みの透明基材を、該プライマー層が凹版に接する向きで加圧ローラで圧着するなどして該プライマー層を接触させて、接触している状態でプライマー層を液状から固体状に固化させた後、透明基材を凹版から離して離版させることで、透明基材上の固化したプライマー層上にインキを転移させることで、印刷すればよい。
印刷後、つまり離版後、まだ液状である凸状パターン層3に対しては、乾燥操作、加熱操作、冷却操作、化学反応操作などを適宜行い、導電性の凸状パターン層3を完成させる。例えば、乾燥操作は、インキ中の溶剤など不要な揮発成分を除去するため、加熱操作は該乾燥や、インキの熱硬化などの必要な化学反応を促進させるため、冷却操作は加熱熔融した熱可塑性樹脂のインキやプライマー層の固化促進のため、化学反応操作は加熱によらない電離放射線照射などのその他の手段によるインキやプライマー層の化学反応を進行させるために行う。
また、導電インキは、版上で半硬化固化させ離版後に完全硬化させてもよい。
また、導電インキの固化は凹版接触中に行ってもよい。版接触中に導電インキを固化させるときは、凹版は導電インキに対しても賦形型として機能し、プライマー層も含めて凹版は完全な賦形型として用いることになる。この際、導電インキの固化方法はプライマー層で採用する固化方法と同じ方法でもよく、異なる方法でもよい。但し、例えば電離放射線照射など同じ方法を採用すれば、装置・工程的に簡素化でき、また類似の化学反応を採用すれば密着性の点でも有利である。
本発明では、このようにして印刷することで、凹版凹部内に充填された導電インキの上部に窪みが生じても、液状で流動性のプライマー層を介して印刷するので、印刷中にプライマー層を窪みに流し込み隙間なく密着させた状態にでき、その後、プライマー層を固化させてから透明基材を凹版から離すので、透明基材上に固化したプライマー層2を介して所定パターンの凸状パターン層3を、細線でも、転移不足による断線や形状不良、インキ密着性不足などの印刷不良の発生なく形成できる。
なお、凸状パターン層とプライマー層突出形状部分との界面においては、両層の材料が相互に拡散し合って混在し、この界面状態が密着性、導電インキの転移性の点で好ましい結果を与えている。
凸状パターン層とプライマー層突出形状部分との界面を中心に凸状パターン層の断面TEM観察を行ったところ、プライマー層2と凸状パターン層3との界面がグラデーションのようになっており、また細かく入り組んだ構造も観察され、境界部分が一部なじんでいる(相溶)していることが確認された。また、凸状パターン層3の表面部分をSIMS分析したところ、プライマー層2に含まれるプライマー成分が観測され、プライマー成分の一部が硬化前に導電インキ中に侵入していることが確認された。これらの状況から考えると、流動性があるプライマー層2が導電インキに接触した際に、その境界部分の相溶及び/又は境界の乱れが生じ、この状態でプライマー層2を固化させると、境界部分から導電インキ内部に向かう領域で、導電インキの増粘やゲル化などの現象が起こり、導電インキを版から引き抜きやすくなっているのではないかと推測された。または、流動性のあるプライマー層のプライマー成分の一部が版内の導電インキ層と混ざり、プライマー層を固化させた際に導電インキ層の粘度を全体的に上げていることが推察される。いずれにしろ、流動性のあるプライマー層2を導電インキ層に接触させて、プライマー層2を固化させた後に剥離すれば、導電インキ層が完全に固化していないにもかかわらず、ほぼ100%近い転移が可能であった。
かかる断面TEM観察、SIMS分析の結果から、本発明の凸状パターン層とプライマー層との界面は、図3〜5に示すような3つの態様をとり得る。
界面形態の第1態様は、図3に示すように、プライマー層2と凸状パターン層3との界面が、プライマー層2側と凸状パターン層3側とに交互に入り組んだ形態である。
前記第1形態の電磁波シールド部材の場合の界面は、プライマー層と導電性粒子とバインダー樹脂を含む凸状パターン層下方部分とが交互に入り組んでいる。
また、前記第2形態、第3形態の電磁波シールド部材の場合の界面は、プライマー層と導電性粒子非含有のバインダー樹脂からなる凸状パターン層下方部分とが交互に入り組んでいる。なお、この界面形態の第1態様において、入り組んだ界面は、全体としては中央が高い山型の断面形態となっている。
こうした界面形態の第1態様は、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に凸状パターン層3が形成されていることをもってしても密着性がよいのに加え、上記のように界面が入り組んだ形態になっているので、所謂投錨効果により、プライマー層2と凸状パターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電インキがプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
界面形態の第2態様は、図4に示すように、プライマー層2と凸状パターン層3との界面の近傍に、プライマー層に含まれるプライマー成分と、凸状パターン層を構成する成分とが混合する領域が存在している形態である。図4では界面が明確に現れているが、実際には、明瞭でない曖昧な界面が現れる。また、図4では該混合領域は、界面を上下に挟むように存在する。この場合は、プライマー層中のプライマー成分と凸状パターン層3中の任意の成分とが両層内に相互に侵入する場合である。なお、該混合領域は界面の上側に存在しても下側に存在してもよい。該混合領域が界面の上側に存在する場合としては、プライマー層中のプライマー成分が凸状パターン層内に侵入し、凸状パターン層中の成分がプライマー層内に侵入しない場合であり、一方、該混合領域が界面の下側に存在する場合としては、凸状パターン層中の任意の成分がプライマー層内に侵入し、プライマー層中のプライマー成分が凸状パターン層内に侵入しない場合である。
前記第1形態の電磁波シールド部材(導電性粒子が凸状パターン層3中に一様に分布)の場合の界面は、プライマー層2と凸状パターン層3との界面の近傍に、プライマー層に含まれるプライマー成分及び/又は凸状パターン層を構成する成分が他方の層へ侵入する領域が存在している。
また、前記第2形態、第3形態の電磁波シールド部材(凸状パターン層3の下方部分は導電性粒子非含有でバインダー樹脂のみからなる)の場合の界面は、プライマー層に含まれるプライマー成分及び/又は導電性粒子非含有の凸状パターン層下方部分のバインダー樹脂が他方の層へ侵入する領域が存在している。
こうした界面形態の第2態様も上記第1態様の場合と同様、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に凸状パターン層3が形成されていることをもってしても密着性がよいのに加え、上記のように界面近傍に混合領域を有するので、プライマー層2と凸状パターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電インキがプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
界面形態の第3態様は、図5に示すように、凸状パターン層3中に広く、プライマー層2に含まれるプライマー成分(図中、点で表現)が存在している形態である。図5ではプライマー成分が界面付近で多く、頂部に向かって少なくなって態様を模式的に表しているが、こうした態様には特に限定されない。プライマー成分は、凸状パターン層3の頂部から検出される程度に凸状パターン層3内に侵入していてもよいし、主として界面近傍で検出される程度であってもよい。なお、第3態様において、特に、プライマー成分が凸状パターン層内に存在している領域が界面の近傍に局在化している場合が、上記第2態様において混合領域が界面の上側にのみ存在する形態に相当するといえる。
こうした界面形態の第3態様も上記第1及び第2形態の場合と同様、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に凸状パターン層3が形成されていることをもってしても密着性がよいのに加え、上記のようにプライマー成分が凸状パターン層3に侵入しているので、プライマー層2と凸状パターン層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こういう界面形態をとるゆえに、版凹部内に充填された導電インキがプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果を備えている。
(透明樹脂層)
本発明の電磁波シールド部材は、凸状パターン層形成側表面が透明樹脂層4で被覆されている。透明樹脂層4は、屈折率がプライマー層の屈折率に近いものを選ぶことにより、プライマー層突出形状部の麓部分又はその上に(導電性粒子非含有のバインダー樹脂からなる)凸状パターン層麓部分が積層された傾斜又は彎曲面である「透明レンズ効果発生部分」を被覆して、レンズ効果に基づくヘイズ上昇や虹彩色発生という不具合を低減させるものである。
透明樹脂層の形成法として代表的なのは塗工法であるが、その他に印刷法、転写法、ラミネート法など、公知の膜形成法を適宜採用すればよい。
また、透明樹脂層は必然的に凸状パターン層形成後に設けられ、且つ凸状パターン層の面には本来は不要であるが、塗工形成が容易である点で、凸状パターン層の面も含めて区別せず形成するのが好ましい。
具体的な膜形成法としては、たとえば次のような方法が挙げられる。
凸状パターン層形成側表面に、透明樹脂層形成用の塗液、それもなるべく無溶剤の塗液を施した上にセパレータフィルムをラミネートして、そのセパレータフィルムの上からラミネートローラなどで加圧して表面を平らにならす。或いは、セパレータフィルム上に粘着剤層など熱可塑状態となるプレ透明化層を形成した積層フィルムを、凸状パターン層形成側表面にラミネートしてローラ加圧してもよい。これらセパレータフィルムは平坦化の後、剥離除去する。或いは、着色フィルタやハードコート層などの機能層となるフィルムを、セパレータフィルムの代わりに用いて、平坦化の後に剥離しなくてもよい。
また、プライマー層を被覆する透明樹脂層は、付随的機能として、プライマー層を傷付きや汚れから保護する保護層としての機能も有し、凸状パターン層上も被覆する透明樹脂層は、更に凸状パターン層も傷付きや汚れから保護する保護層としての機能も有する。これら保護層が最終的表面の場合は表面保護層である。
透明樹脂層はその屈折率ntを最適化する必要がある。すなわち、プライマー層の屈折率np、透明樹脂層の屈折率nt、空気の屈折率na(1.00)の関係を、|np−nt|<|np−na|とする。つまり、プライマー層と空気との屈折率差(|np−na|)よりも、透明樹脂層とプライマー層との屈折率差(|np−nt|)を小さくする。これにより、透明樹脂層を設けた光学的透明化効果が得られ、プライマー層突出形状部の麓部分等による透明レンズ効果を小さくしてヘイズ上昇や虹彩色発生を低減することができる。
更に、実用上目立って好ましい程度の効果を得るために、透明樹脂層とプライマー層との屈折率差は0.14以下とするのがよく、更に好ましくは、透明樹脂層の屈折率ntとプライマー層の屈折率npを実質的に同等とする。実質的に同等とは完全同一(屈折率差0.00)でもよいが、実用上ヘーズ上昇を無視できるためには、該屈折率差|np−nt|≦0.05とすればよい。
なお、実質的同等まで屈折率差を減らすには、プライマー層と透明樹脂層に同じ材料を用いるのが容易であるが、隣接層との密着性なども考慮して異なる材料を用いてもよい。
なお、透明樹脂層の被覆によって得られるヘーズ特性は、電磁波シールド材として測定時に、通常はヘーズが4.0%以下、より好ましくは3.0%以下であるのが好ましい。
なお、ヘーズはJIS K−7136(2000)「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準拠して測定する。
ここで、各種樹脂が取りうる屈折率nを例示すれば、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチルの場合で、n=1.49)、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂(n=1.48〜1.50)、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.52〜1.57)、ウレタン樹脂(n=1.50〜1.60)などである。樹脂を適宜選択して望みの屈折率の層とする。
透明樹脂層に用いる樹脂としては、屈折率の他、隣接する層との密着性、塗工適性、透明性など要求物性を勘案して適宜選択すれば良い。例えば、その樹脂としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂を用いることができ、硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、その他の硬化性樹脂などを使用できる。例えば、熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などである。
また、熱硬化性樹脂としては、熱硬化型アクリル系樹脂、熱硬化型ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂などである。また、アクリル系、シリコーン系などのゴム系樹脂も熱可塑性、熱硬化性、電離放射線硬化性の各種樹脂形態で使用できる。尚、該電離放射線硬化性樹脂としては、プライマー層を構成する樹脂として例示したものと同様の物の中から選択できる。
また、透明樹脂層中には、更に必要に応じて各種添加剤を添加できる。添加剤としては公知のものを適宜選択すれば良い。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤、体質顔料、熱安定剤、光安定剤(紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤)、赤外線吸収剤、着色剤などである。着色剤は、例えば、ネオン光吸収色素、画像色補正用色素などである。
なお、こうして得られた電磁波シールド部材に光学調整層を設けて光学フィルタとして利用することができる。光学調整層としては、従来公知のものをそのまま用いればよく、例えば近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、紫外線吸収層、反射防止層、ハードコート層、防汚層、及び防眩層等を挙げることができる。こうした電磁波シールド部材又は電磁波シールド部材を有する光学フィルタをプラズマ表示装置(PDP)、陰極線管(CRT)表示装置、電場発光(EL)表示装置、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイパネルの画像表示面(前面)に装着することにより、ディスプレイ装置とすることができる。該ディスプレイ装置は、テレビジョン受像機、電子計算機及び各種OA機器の表示装置等に使用される。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(製造例1)導電インキ(銀ペースト)の調製
導電性粒子として平均粒径約2μmの鱗片状銀粒子93質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂7質量部、溶剤としてブチルカルビトールアセテート25質量部を配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電インキを調製した。
(実施例1)
先ず、透明基材として、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の光硬化性樹脂組成物を厚さ5μmとなるように塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバース法を採用し、光硬化性樹脂組成物としては、ウレタンアクリレート系プレポリマーからなる感光性樹脂を使用した。未硬化時の粘度は145mPa・s(at25℃、E型粘度計)で流動性であり、屈折率(液)は1.463、屈折率(硬化後)は1.489であった。
続いて、線幅が20μmで線ピッチが300μm、版深10μmの正方格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹部ロールに、導電インキとしての銀ペースト(藤倉化成製FA333)を充填し、その凹部ロールにプライマーを厚み5μmで塗布したPETフィルムを密着させ、400〜500nmの光を照射し、プライマーを硬化せしめて、しかる後凹版凹部内に充填された銀ペーストをプライマー上に転移させた後、熱処理を行い、該銀ペーストを硬化せしめて、電磁波シールド部材を得た。
さらに120度10分間乾燥させた電磁波シールド部材にアクリル系樹脂からなる透明樹脂層(屈折率:1.47)を被覆し、その上面にPETフィルムを貼り合わせた層構成とした。そのヘイズを評価し(メッシュ面から測定)、2.4%という数値を得た。
(実施例2)
プライマー層用の光硬化性樹脂組成物として、エポキシアクリレート35重量部、ウレタンアクリレート12重量部、単官能モノマーを44重量部、3官能モノマーを9重量部、さらに光開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)を3重量部添加したものを使用した以外は実施例1と同様にして、電磁波シールド部材を得た。光硬化性樹脂組成物の粘度は約1300mPa・s(at25℃、E型粘度計)であり、屈折率(液体)は1.5345、屈折率(硬化後)は1.5616であった。
さらに電磁波シールド部材に透明粘着層を貼り合わせ、さらに上面にPETフィルムを貼り合わせることで複合部材を得た。そのヘイズを評価し、3.6%という数値を得た。
(比較例1)
実施例1において、透明樹脂層の被覆を省略した電磁波シールド部材について、ヘイズを評価し(メッシュ面から測定)、6.5%という数値を得た。
本発明の第1形態の電磁波シールド部材の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第3形態の電磁波シールド部材の一例を示す模式的な断面図である。 凸状パターン層とプライマー層との界面が第1態様である本発明の電磁波シールド部材の一例を示す模式的な断面図である。 凸状パターン層とプライマー層との界面が第2態様である本発明の電磁波シールド部材の一例を示す模式的な断面図である。 凸状パターン層とプライマー層との界面が第3態様である本発明の電磁波シールド部材の一例を示す模式的な断面図である。
符号の説明
1 透明基材
2 プライマー層
3 凸状パターン層
4 透明樹脂層

Claims (5)

  1. 透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された、導電性粒子及びバインダー樹脂を含む導電性組成物からなる導電性の凸状パターン層とを有する電磁波シールド部材であって、
    前記プライマー層は、前記凸状パターン層が形成されている部分及びその周辺部において山状突出形状をなし、
    凸状パターン層の非形成部におけるプライマー層の表面及び凸状パターン層の表面は透明樹脂層で被覆されていて、プライマー層の屈折率をnp、透明樹脂層の屈折率をnt、空気の屈折率をnaとしたときに、これらの関係が、|np−nt|<|np−na|である、電磁波シールド部材。
  2. 透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された、導電性粒子及びバインダー樹脂を含む導電性組成物からなる導電性の凸状パターン層とを有する電磁波シールド部材であって、
    前記プライマー層は、前記凸状パターン層が形成されている部分又は該部分とその周辺部において山状突出形状をなし、該凸状パターン層は下方部分において導電性粒子非含有であり、該プライマー層突出形状部の麓部分は、導電性粒子非含有のバインダー樹脂からなる凸状パターン層麓部分で覆われているか又は覆われずに露出しており、
    凸状パターン層の非形成部におけるプライマー層の表面及び凸状パターン層の表面は透明樹脂層で被覆されていて、プライマー層の屈折率をnp、透明樹脂層の屈折率をnt、空気の屈折率をnaとしたときに、これらの関係が、|np−nt|<|np−na|である、電磁波シールド部材。
  3. プライマー層と凸状パターン層との界面が交互に入り組んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波シールド部材。
  4. プライマー層と凸状パターン層との界面近傍には、プライマー成分と凸状パターン層成分とが混在している領域が存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波シールド部材。
  5. 凸状パターン層中に、プライマー層に含まれるプライマー成分が存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波シールド部材。
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