JP2006165461A - 電磁波遮蔽部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高いものを得易い電磁波遮蔽部材を提供する。
【解決手段】 透明基材1と、透明基材1上に形成された接合剤層3と、接合剤層3を介して透明基材1に接合された金属箔をパターニングすることによって形成された電磁波遮蔽用金属層5と、電磁波遮蔽用金属層5を覆う透明樹脂層7とを備え、電磁波遮蔽用金属層5が、透明基材1に多数の光透過部9を平面視上画定することができるメッシュ状領域5aを有し、透明樹脂層7がメッシュ状領域5a及び光透過部9内の接合剤層3を被覆している電磁波遮蔽部材10を作製するにあたり、接合剤層3の原材料として自己平坦化能を有する材料を用い、電磁波遮蔽用金属層5の形成後に、光透過部9内の接合剤層3の表面を該接合剤層3の原材料の自己平坦化能によって平坦化することにより、上記課題を解決した。
【選択図】 図1

Description

本発明は電磁波遮蔽部材及びその製造方法に関し、更に詳しくは、透明性が高い電磁波遮蔽部材及びその製造方法に関する。
近年では、電子機器の利用の増加に伴って、電子機器から放射された電磁ノイズ(放射ノイズ)によって周辺の電子機器が誤作動する電磁妨害(電磁波障害;Electro-Magnetic Interference;EMI)も起こり易くなってきている。放射ノイズに起因する電磁妨害は、例えば、放射ノイズの発生源となる電子機器、又は放射ノイズから保護したい電子機器を電磁気的に分離することによって防止することが可能であり、電子機器の電磁気的な分離は、導電性材料を利用して行うことができる。このため、導電性材料を利用した種々の電磁波遮蔽部材が開発されている。
これらの電磁波遮蔽部材のうち、陰極線管(Cathode Ray Tube;CRT) やプラズマディスプレイ等の表示装置の画面から出射する放射ノイズに起因する電磁妨害を防止するための電磁波遮蔽部材には、高い電磁波遮蔽性能に加えて高い透明性が要求される。
例えば1GHzの放射ノイズに対して30dB以上という高い電磁波遮蔽性能を有し、かつ透明性も高い電磁波遮蔽部材を得るうえからは、特許文献1又は特許文献2に記載された方法発明におけるように、透明基材上に接合剤層を介して金属箔を積層し、この金属箔をパターニングしてメッシュ状領域(各特許文献では「幾何学図形」と称されている。)を形成した後に、当該パターニングによって露出した接合剤層を透明樹脂で被覆することが好ましい。
金属箔は比較的厚いので、メッシュ状に成形しても十分な導電性を確保し易く、結果として、電磁波遮蔽性能が高い電磁波遮蔽部材を得易い。また、金属箔がメッシュ状に成形されているので、メッシュの目に相当する領域が光透過部として機能し、高い透明性を得易い。
特許第3388682号公報(特許請求の範囲参照) 特許第3473310号公報(特許請求の範囲参照)
しかしながら、金属箔の表面は鏡面ではなく、その表面には比較的大きな凹凸がある。このため、特許文献1又は特許文献2に記載された方法発明で得られる電磁波遮蔽部材では、金属箔のパターニングによって露出した接合剤層の表面に金属箔の表面形状が転写されており、この表面を透明樹脂で被覆しても当該透明樹脂と接合剤層との界面で光の散乱が起こり易い。特に、接合剤層と透明樹脂層との屈折率差が0.1を超えるものでは、上記界面での光の散乱が大きくなる。光の散乱が大きい電磁波遮蔽部材を表示装置の表示面上に配置すると、表示装置によって表示される画像の画質が低下する。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高いものを得易い電磁波遮蔽部材を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高い電磁波遮蔽部材を得易い電磁波遮蔽部材の製造方法を提供することにある。
上記第1の目的を達成する本発明の電磁波遮蔽部材は、透明基材と、自己平坦化能を有する材料によって前記透明基材上に形成された接合剤層と、該接合剤層を介して前記透明基材に接合された金属箔をパターニングすることによって形成された電磁波遮蔽用金属層と、該電磁波遮蔽用金属層を覆う透明樹脂層とを備え、前記電磁波遮蔽用金属層が、前記透明基材に多数の光透過部を平面視上画定することができるメッシュ状領域を有し、前記透明樹脂層が前記メッシュ状領域及び前記光透過部内の接合剤層を被覆している電磁波遮蔽部材であって、前記光透過部内の接合剤層の表面が、該接合剤層の原材料の自己平坦化能によって平坦化されていることを特徴とする(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材I」ということがある。)。
ここで、本明細書でいう「接合剤層の原料の自己平坦化能」とは、接合剤層の原材料のレベリング性を意味する。一般に、レべリングの度合いはOrchardの式で表される。これによれば、塗膜の厚みが厚いほどレべリングし易く、粘度の逆数の積分値(0から、レべリング時間tまでの積分値)が大きいほどレべリングし易い。例えば、溶剤系のインキでは溶剤の揮発と共に粘度が急激に上がるため、粘度の逆数の積分値は小さい。これに対し、電子線硬化型樹脂組成物や紫外線硬化型樹脂組成物は、溶剤を含んでいないので、溶剤の揮発に起因する粘度上昇がなく、したがって積分値が大きいので、レべリングにより平坦化され易い。熱硬化性樹脂組成物では、加熱温度に応じて粘度が変化するので、レベリング性を制御することができる。
また、本明細書でいう「光透過部内の接合剤層の表面が平坦化されている」とは、JIS B0601で規定する算術平均粗さに基づく対比で、光透過部内での接合剤層表面の算術平均粗さが、電磁波遮蔽用金属層における接合剤層側の表面の算術平均粗さの1〜70%程度にまで小さくなっていることを意味する。
本発明の電磁波遮蔽部材Iは、金属箔をパターニングすることによって形成された電磁波遮蔽用金属層を有しているので、この電磁波遮蔽用金属層の膜厚(金属箔の膜厚)を適宜選定することにより、電磁波遮蔽性能が高いものを容易に得ることができる。また、本発明の電磁波遮蔽部材Iでは、電磁波遮蔽用金属層が上記のメッシュ状領域を有しているので光透過性を高め易く、かつ、上記光透過部内の接合剤層の表面が当該接合剤層の原材料の自己平坦化能により平坦化されているので、接合剤層と上記透明樹脂層との屈折率差がたとえ0.1程度と大きくても、これら接合剤層と透明樹脂層との界面での光の散乱を抑えることができる。したがって、本発明の電磁波遮蔽部材Iによれば、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高いものを得易くなる。
本発明の電磁波遮蔽部材Iにおいては、(1)前記接合剤層にレベリング剤が含有されている(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材II」ということがある。)こと、が好ましい。
この電磁波遮蔽部材IIによれば、接合剤層にレベリング剤が含有されているので、光透過部内の接合剤層の表面の平坦性が高いものを得易くなり、結果として、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高いものを得ることが更に容易になる。
本発明の電磁波遮蔽部材I及びIIのいずれにおいても、(2)前記接合剤層と前記透明樹脂層との屈折率差が0.13以下である(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材III」 ということがある。)こと、が好ましい。
この電磁波遮蔽部材III によれば、接合剤層と透明樹脂層との屈折率差が0.13以下であるので、これら接合剤層と透明樹脂層との界面での光の散乱を抑え易く、結果として、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高いものを得ることがより一層、容易になる。
本発明の電磁波遮蔽部材I〜III のいずれにおいても、(3)前記接合剤層に、ネオン光吸収剤及び近赤外線吸収剤の少なくとも一方が含まれている(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材IV」ということがある。)こと、とすることができる。
この電磁波遮蔽部材IVによれば、接合剤層にネオン光吸収色素及び近赤外線吸収色素の少なくとも一方が含まれているので、表示装置の表示面上に配置される電磁波遮蔽部材であって、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高く、かつ実用性も高いものを得易くなる。
また、本発明の電磁波遮蔽部材I〜III のいずれにおいても、(4)前記透明基材の裏面上、又は前記透明樹脂層上に、ネオン光吸収層及び近赤外線吸収層の少なくとも一方が形成されている(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材V」ということがある。)こと、とすることができる。
ここで、本明細書でいう「透明基材の裏面」とは、透明基材における厚さ方向の面のうちで接合剤層と接している面とは反対側の面を意味する。
上記の電磁波遮蔽部材Vによれば、ネオン光吸収層及び近赤外線吸収層の少なくとも一方が形成されているので、表示装置の表示面上に配置される電磁波遮蔽部材であって、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高く、かつ実用性も高いものを得易くなる。
前述した第2の目的を達成する本発明の電磁波遮蔽部材の製造方法は、透明基材と、該透明基材上に自己平坦化能を有する材料によって形成された第1接合剤層と、該第1接合剤層を介して前記透明基材に接合された電磁波遮蔽用金属層とを有し、前記電磁波遮蔽用金属層が、前記透明基材に多数の光透過部を平面視上画定することができるメッシュ状領域を有すると共に、該メッシュ状領域が、前記第1接合剤層を介して前記透明基材に接合された金属箔をパターニングすることによって形成されたものである積層物を用意する準備工程と、前記金属箔のパターニングに伴って露出した第1接合剤層の表面を、該第1接合剤層の自己平坦化能を利用して平坦化する平坦化工程と、前記表面が平坦化した第1接合剤層を硬化させて第2接合剤層とする硬化工程と、を含むことを特徴とする(以下、この製造方法を「製造方法A」ということがある。)。
本発明の製造方法Aでは、上述した本発明の電磁波遮蔽部材Iの構成部材のうちの透明樹脂層を除いた構成を有する電磁波遮蔽部材を得ることができ、この電磁波遮蔽部材に上述した透明樹脂層を形成すれば本発明の電磁波遮蔽部材Iを得ることができる。したがって、この製造方法Aによれば、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高い電磁波遮蔽部材を得易くなる。
本発明の製造方法Aにおいては、(i)前記準備工程で、レベリング剤を含有した第1の電子線硬化性樹脂組成物、又はレベリング剤を含有した第1の光硬化性樹脂組成物によって前記第1接合剤層が形成された積層物を用意し、前記平坦化工程で、前記第1の電子線硬化性樹脂組成物又は前記第1の光硬化性樹脂組成物の自己平坦化能を利用して前記第1接合剤層の表面を平坦化する(以下、この製造方法を「製造方法B」ということがある。)こと、とすることができる。
この製造方法Bによれば、レベリング剤を含有した第1の電子線硬化性樹脂組成物、又はレベリング剤を含有した第1の光硬化性樹脂組成物によって第1接合剤層を形成するので、光透過部内の接合剤層(第2接合剤層)の表面が平坦化されている電磁波遮蔽部材を得易くなり、結果として、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高い電磁波遮蔽部材を得ることが更に容易になる。
本発明の製造方法A〜Bのいずれにおいても、(ii)前記平坦化工程の後に行われる透明樹脂層形成工程を更に含み、該透明樹脂層形成工程が、前記メッシュ状領域及び前記第1接合剤層それぞれの表面を覆う塗膜を第2の電子線硬化性樹脂組成物又は第2の光硬化性樹脂組成物によって形成する第1サブ工程と、前記塗膜を硬化させて該塗膜を透明樹脂層とする第2サブ工程とを含み、前記第2サブ工程が前記硬化工程を兼ねる(以下、この製造方法を「製造方法C」ということがある。)こと、が好ましい。
この製造方法Cでは、上記の透明樹脂層を形成するので、前述した本発明の電磁波遮蔽部材Iを得ることができる。また、第1接合剤層の硬化と、第2の電子線硬化性樹脂組成物又は第2の光硬化性樹脂組成物によって形成された塗膜の硬化とを一工程で行うことができるので、工程数の増加が抑えられる。したがって、本発明の製造方法Cによれば、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高い電磁波遮蔽部材をより一層、得易くなる。
本発明の製造方法Cにおいては、(iii) 前記第1サブ工程を行った後に前記塗膜に透明フィルムを貼付し、第2サブ工程で、前記透明フィルムが貼付された塗膜を硬化させる(以下、この製造方法を「製造方法D」ということがある。)こと、が好ましい。
この製造方法Dによれば、透明フィルムとして平滑な表面を有するものを用いることによって上面の平坦性が高い透明樹脂層を得ることが容易になるので、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高い電磁波遮蔽部材を更に得易くなる。
また、前述した本発明の製造方法Aにおいては、(iv)前記準備工程で、熱硬化性樹脂組成物によって前記第1接合剤層が形成された積層物を用意し、前記平坦化工程で、加熱することによって前記熱硬化性樹脂組成物の自己平坦化能を発現させて前記第1接合剤層の表面を平坦化する(以下、この製造方法を「製造方法E」ということがある。)こと、とすることができる。
この製造方法Eによれば、熱硬化性樹脂組成物によって第1接合剤層を形成するので、光透過部内の接合剤層(第2接合剤層)の表面が平坦化されている電磁波遮蔽部材を得易くなり、結果として、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高い電磁波遮蔽部材を得ることが更に容易になる。
本発明の製造方法A、B、及びEのいずれにおいても、(v)前記硬化工程の後に行われる透明樹脂層形成工程を更に含み、該透明樹脂層形成工程で、前記メッシュ状領域及び前記接合剤層それぞれの表面を覆うようにして透明樹脂層を形成する(以下、この製造方法を「製造方法F」ということがある。)こと、とすることができる。
この製造方法Fによっても、前述した本発明の電磁波遮蔽部材Iを得ることができるので、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高い電磁波遮蔽部材を得易くなる。
本発明の製造方法C、D、及びFのいずれにおいても、(vi)前記第2接合剤層と前記透明樹脂層との屈折率差を0.13以下にする(以下、この製造方法を「製造方法G」ということがある。)こと、が好ましい。
この製造方法Gによれば、前述した本発明の電磁波遮蔽部材III を得ることができるので、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高い電磁波遮蔽部材をより一層、得易くなる。
本発明の製造方法A〜Gのいずれにおいても、(vii) 前記準備工程で、前記第1接合剤層にネオン光吸収剤及び近赤外線吸収剤の少なくとも一方が含まれている積層物を用意する(以下、この製造方法を「製造方法H」ということがある。)こと、とすることができる。
この製造方法Hによれば、前述した本発明の電磁波遮蔽部材IV を得ることができるので、表示装置の表示面上に配置される電磁波遮蔽部材であって、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高く、かつ実用性も高いものを得易くなる。
本発明の製造方法C、D、F、及びGのいずれにおいても、(viii)前記透明樹脂層形成工程の後に行われる機能層形成工程を更に含み、該機能層形成工程で、前記透明基材の裏面上、又は前記透明樹脂層上に、ネオン光吸収層及び近赤外線吸収層の少なくとも一方を形成する(以下、この製造方法を「製造方法I」ということがある。)こと、とすることができる。
この製造方法Iによれば、前述した本発明の電磁波遮蔽部材Vを得ることができるので、表示装置の表示面上に配置される電磁波遮蔽部材であって、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高く、かつ実用性も高いものを得易くなる。
本発明の電磁波遮蔽部材、及び本発明の電磁波遮蔽部材の製造方法のいずれによっても、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高い電磁波遮蔽部材を得易くなるので、プラズマディスプレイ等の表示装置の表示面から放射される電磁ノイズ(放射ノイズ)による電磁妨害(電磁波障害;EMI)を、画像の画質の低下を抑制しつつ防止することが容易になる。
以下、本発明の電磁波遮蔽部材及びその製造方法それぞれの形態を、図面を適宜参照して詳述する。
<電磁波遮蔽部材(第1形態)>
図1(a)は、本発明の電磁波遮蔽部材の一例を概略的に示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示したI−I線断面の概略図である。これらの図に示す電磁波遮蔽部材10は、透明基材1と、透明基材1上に形成された接合剤層3と、接合剤層3を介して透明基材1に接合された電磁波遮蔽用金属層5と、電磁波遮蔽用金属層5を覆う透明樹脂層7とを備えている。
本発明の電磁波遮蔽部材は接合剤層に特徴を有しているので、図1(a)及び図1(b)に示す電磁波遮蔽部材10についても、まず接合剤層3以外の構成部材について説明し、最後に接合剤層3について説明する。各構成部材の材料の具体例については、本発明の電磁波遮蔽部材の製造方法の形態についての説明の中で述べる。
(1)透明基材;
上記の透明基材1は、電磁波遮蔽用金属層5を支持するためのものである。この透明基材1としては、無機材又は有機材料からなるフィルム状物、シート状物、又は板状物を用いることができる。また、透明基材1は単層構造とすることもできるし、積層構造とすることもできる。透明基材1の材料及び層構造としてどのようなものを採用するかは、その電気絶縁性、透明性、機械的強度、耐熱性等を考慮して適宜選定可能である。
電磁波遮蔽部材10の透明性を高めるという観点からは、透明基材1での可視光の全光線透過率を80%程度以上のできるだけ高い値とすることが好ましい。また、電磁波遮蔽部材10の製造過程や製造後に透明基材1に反りや弛みが生じてしまうことを防止するうえからは、透明基材1の厚さを12〜1000μm程度の範囲内とすることが好ましい。上記の反りや弛みの発生は、透明基材1の厚さを1000μmより厚くしても防止することができるが、このような透明基材では機械的強度が過大となり、コスト的に無駄である。透明基材1の厚さは50〜700μm程度の範囲内とすることが更に好ましく、50〜125μm程度の範囲内とすることが特に好ましい。
樹脂製の一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムを用いれば、透明性及び機械的強が共に高い透明機材1を得易くなる。透明性、機械的強度、耐熱性、及びコストを総合的に考慮すると、透明基材1の材料としてはポリエステル系樹脂のフィルムが最も好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
透明基材1において接合剤層3を形成しようとする面には、必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、又は易接着剤とも呼ばれる。)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、又はアルカリ処理等の易接着処理を施すことができる。
(2)電磁波遮蔽用金属層;
透明基材1に接合剤層3を介して接合されている電磁波遮蔽用金属層5は、接合剤層3を介して透明基材1に接合した金属箔をパターニングすることによって形成されたものであり、透明基材1を平面視したときに当該透明基材1に光透過部9を多数画定することができるメッシュ状領域5aを有している。電磁波遮蔽用金属層5が金属箔をパターニングしたものであるか否かは、メッシュ状領域5aでの金属層の側面を観察することによって判別可能である。
上記の金属箔としては圧延箔や電解箔等を用いることができ、この金属箔は単層構造のものであってもよいし、2種以上の箔の積層物であってもよい。電磁波遮蔽部材10の電磁波遮蔽性能を高くするという観点からは、電磁波遮蔽用金属層5の材料である金属箔の導電性は高い方が好ましい。ただし、上記の金属箔の厚さが100μmを超えると、所望形状のメッシュ状領域5aを形成し難くなり、結果として、電磁波遮蔽部材10の開口率が低下して透明性が低くなり易い。さらに、電磁波遮蔽部材10を表示装置の表示面上に配置したときに表示装置の視角特性が低下して、画像の視認性が低くなり易い。また、電磁波遮蔽用金属層5の厚さ(上記の金属箔の厚さ)が1μm未満では、メッシュ状領域5aでの電気抵抗値が大きくなって、電磁波遮蔽部材10の電磁波遮蔽性能が低くなり易い。したがって、電磁波遮蔽用金属層5の厚さは、1〜100μm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。
また、電磁波遮蔽用金属層5の表面の平滑性(上記の金属箔の表面の平滑性)は、算術平均粗さ(JIS B0601で規定する算術平均粗さを意味する。以下、同じ。)で0.5〜5.0μm程度の範囲内、特に1.0〜3.0μm程度の範囲内であることが好ましい。この算術平均粗さが0.5μm未満では、電磁波遮蔽部材10を表示装置の表示面上に配置したときの外光の反射量が多くなって、画像の視認性が低下し易い。また、上記の算術平均粗さが5.0μmを超えると、後述(電磁波遮蔽部材の製造方法の項参照)する金属箔のパターニングのために当該金属箔上にエッチングマスク形成用のレジストを塗布したときに、金属箔の上面全体にレジストが行き渡り難くなったり、金属箔とレジスト層との間に気泡が残ったりし易くなる。
電磁波遮蔽用金属層5に形成されているメッシュ状領域5aは、電磁波遮蔽部材10の透明性を確保するための領域であり、平面形状が正方形又は二等辺三角形の開口部を多数有している。個々の開口部が、前述した光透過部9に対応する。電磁波遮蔽部材10の透明性を高めるという観点からは、メッシュ状領域5aでの金属層の線幅(ライン幅)を25μm以下とし、かつ、ライン間隔(ラインピッチ)を150μm以上とすることが好ましい。上記のライン幅は20μm以下とすることが更に好ましく、上記のライン間隔(ラインピッチ)は200μm以上とすることが更に好ましい。また、メッシュ状領域5aでのラインの角度は、モアレ等を防止するという観点から、表示装置での画素の配列様式や画素の発光特性等を考慮して適宜選択される。メッシュ状領域5aの大きさは、通常、電磁波遮蔽部材10を配置しようとする表示装置の表示面よりも若干大きめに設定される。
電磁波遮蔽部材10の使用時には、通常、電磁波遮蔽用金属層5に接地線が接続されるので、電磁波遮蔽用金属層5には予め接地線を接続するための領域(以下、「接地線接続領域」という。)を設けておくことが好ましい。図示の電磁波遮蔽用金属層5には、メッシュ状領域5aを取り囲むようにして、矩形枠状の接地線接続領域5bが設けられている。
なお、電磁波遮蔽部材10を表示装置の表示面上に配置したときでも画像のコントラストを高くするという観点からは、電磁波遮蔽用金属層5の上下面のうちの少なくとも一方の面、すなわち、電磁波遮蔽部材10を表示装置の表示面上に配置したときに外側にくる面には、めっき(カソーディック電着めっきを含む。)やクロメート処理等の方法によって黒化処理を施しておくことが好ましい。電磁波遮蔽用金属層5の材料としての金属箔に黒化処理を施し、この金属箔をパターニングして電磁波遮蔽用金属層5を形成した後に再度黒化処理を施すと、メッシュ状領域5aでの金属層の側面も黒化されるので、電磁波遮蔽部材10を表示装置の表示面上に配置したときでも画像のコントラストを高くすることが更に容易になる。
(3)透明樹脂層;
透明樹脂層7は、メッシュ状領域5a及び各光透過部9内の接合剤層5をそれぞれ被覆して、メッシュ状領域5aにおける金属層側面での光の散乱、及び各光透過部9における接合剤層5の表面での光の散乱を抑える役割を果たす。
この透明樹脂層5は、例えば、溶剤を揮散させるだけで固化する溶剤希釈型樹脂組成物、加熱により重合反応ないし架橋反応が進行して硬化する熱硬化性樹脂組成物、電子線の照射により重合反応ないし架橋反応が進行して硬化する電子線硬化性樹脂組成物、又は光(紫外線を含む。以下同じ。)の照射により重合反応ないし架橋反応が進行して硬化する光硬化性樹脂組成物を用いて塗膜を形成し、この塗膜を固化ないし硬化させることによって形成することができる。
電磁波遮蔽部材10を高い生産性の下に得るうえからは、塗膜の硬化に比較的長時間を要する熱硬化性樹脂組成物を用いて透明樹脂層7を形成するよりも、塗膜を比較的短時間で固化ないし硬化させることができる溶剤希釈型樹脂組成物、電子線硬化性樹脂組成物、又は光硬化性樹脂組成物を用いて透明樹脂層7を形成することが好ましい。また、電磁波遮蔽部材10の透明性を高めるという観点からは、透明樹脂層7の表面の平坦性を高めることが好ましく、そのためには熱硬化性樹脂組成物、電子線硬化性樹脂組成物、又は光硬化性樹脂組成物を用いて透明樹脂層7を形成することが好ましい。したがって、透明性の高い電磁波遮蔽部材10を高い生産性の下に得るうえからは、電子線硬化性樹脂組成物、又は光硬化性樹脂組成物を用いて透明樹脂層7を形成することが好ましい。
電磁波遮蔽部材10の透明性を高めるという観点からは、透明樹脂層7の表面(上面)の算術平均粗さを1〜200nm程度とすることが好ましく、5〜50nm程度とすることが更に好ましい。また、透明樹脂層7と接合剤層3との界面での光の反射を抑制するために、透明樹脂層7と接合剤層3との屈折率差(波長589nmの光を測定光として用いたときの屈折率差)を0.13程度以下とすることが好ましく、0.10程度以下とすることが更に好ましい。
透明樹脂層7の膜厚は、メッシュ状領域5aでの電磁波遮蔽用金属層5の膜厚に応じて、メッシュ状領域5aでの電磁波遮蔽用金属層5を被覆できる範囲で適宜選定可能である。透明樹脂層7を弾性率の高い樹脂により形成し、かつ、光透過部9での当該透明樹脂層7の膜厚を300〜2000μm程度にすると、その衝撃吸収性を高めることができ、結果として、電磁波遮蔽部材10の使用時に当該電磁波遮蔽部材10の下地となる部材を衝撃から保護し易くなる。
以上説明した構造を有する電磁波遮蔽部材10は、前述したように接合剤層3に特徴を有しているので、以下、この接合剤層3について詳述する。
(4)接合剤層;
接合剤層3は、透明基材1と電磁波遮蔽用金属層5とを接合しているものであり、光透過部9内での接合剤層3の表面は、当該接合剤層3の原材料の自己平坦化能により平坦化されている。なお、光透過部9内での接合剤層3の表面を完全な平坦面にする必要性はない。既に説明したように、光透過部9内での接合剤層3の表面の算術平均粗さが、算術平均粗さ同士の対比で、電磁波遮蔽用金属層5における接合剤層3側の表面の算術平均粗さの1〜70%程度となるまで平坦化されていればよい。
このような接合剤層3は、その原材料として電子線硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物、又は熱硬化性樹脂組成物を用いて第1接合剤層を形成し、電磁波遮蔽用金属層5の材料となる金属箔を第1接合剤層によって透明基材1に接合した後に金属箔をパターニングして電磁波遮蔽用金属層5を形成し、その後、第1接合剤層の自己平坦化能によって当該第1接合剤層の表面を平坦化してから硬化させることにより、形成することができる。
第1接合剤層の形成に使用する樹脂組成物は、この樹脂組成物を硬化させて厚さ10μmの樹脂層を形成したときに、可視光の全光線透過率が85%程度以上となるものであることが好ましい。接合剤層3の膜厚は、各光透過部9内での最大膜厚の平均値が0.1〜40μm程度となる範囲内、好ましくは5〜20μm程度となる範囲内で適宜選定可能である。また、接合剤層3の原材料として電子線硬化性樹脂組成物、又は光硬化性樹脂組成物を用いる場合、これらの樹脂組成物には、必要に応じてレベリング剤を含有させることができる。このレベリング剤を含有させることにより、樹脂組成物の自己平坦化能を高めることができるので、所望の平坦性を有する接合剤層3を形成し易くなる。
以上説明した構成を有する電磁波遮蔽部材10は、金属箔をパターニングすることによって形成された電磁波遮蔽用金属層5を有しているので、この電磁波遮蔽用金属層5の膜厚(金属箔の膜厚)を適宜選定することにより、電磁波遮蔽性能が高いものを容易に得ることができる。また、電磁波遮蔽用金属層5がメッシュ状領域5aを有しているので光透過性を高め易く、かつ、各光透過部9内の接合剤層5の表面が当該接合剤層5の原材料の自己平坦化能により平坦化されているので、接合剤層5と透明樹脂層7との屈折率差がたとえ0.1程度と大きくても、これら接合剤層5と透明樹脂層7との界面での光の散乱を抑えることができる。したがって、電磁波遮蔽部材10では、電磁波遮蔽性能及び透明性を共に高くし易い。
<電磁波遮蔽部材(第2形態)>
本発明の電磁波遮蔽部材では、ネオン光吸収剤及び近赤外線吸収剤の少なくとも一方を接合剤層に含有させることができる。この形態の電磁波遮蔽部材は、近赤外線の放射量又はネオン光の放射量が多いプラズマディスプレイの表示面上に配置される電磁波遮蔽部材として特に好適である。ネオン光吸収剤及び近赤外線吸収剤それぞれの詳細については、本発明の電磁波遮蔽部材の製造方法の項で説明する。
<電磁波遮蔽部材(第3形態)>
本発明の電磁波遮蔽部材では、透明基材の裏面上、又は透明樹脂層上に、ネオン光吸収層及び近赤外線吸収層の少なくとも一方を形成することができる。ネオン光吸収層又は近赤外線吸収層を備えた電磁波遮蔽部材は、近赤外線の放射量又はネオン光の放射量が多いプラズマディスプレイの表示面上に配置される電磁波遮蔽部材としてとして特に好適である。
図2は、ネオン光吸収層及び近赤外線吸収層を備えた本発明の電磁波遮蔽部材の一例を概略的に示す断面図である。同図に示す電磁波遮蔽部材20は、図1(a)及び図1(b)に示した電磁波遮蔽部材10における透明樹脂層7上にネオン光吸収層12及び近赤外線吸収層14がこの順番で積層された構造を有している。図2示した部材のうちで図1(a)又は図1(b)に示した部材と共通するものについては、図1(a)又は図1(b)で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
上記のネオン光吸収層12は、プラズマディスプレイパネルの放電ガスとしてヘリウム/ネオン(He/Ne)ガス等、ネオン(Ne)ガスを含有したものを用いた場合に生じるオレンジ色のプラズマ発光を例えば光吸収性色素により吸収して、上記のプラズマ発光による画質の低下を抑制するための層である。このネオン光吸収層12は、例えば、上記の光吸収性色素を含有した粘着剤によって形成される。ネオン光吸収層12の厚さは、10〜75μm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。
一方、上記の近赤外線吸収層14は、800〜1200nmの波長域の近赤外線を吸収するための層である。例えばプラズマディスプレイパネルの表示面からは比較的強い近赤外線が放射され、この近赤外線はリモートコントローラ等の周辺機器を誤作動させる原因となり得るので、外部への放射をできるだけ抑制することが望まれる。
近赤外線吸収層14は、例えば、800〜1200nmの波長域に吸収極大を有する少なくとも1種類の無機系又は有機系の近赤外線吸収剤を含有した樹脂により形成することができ、その厚さは1〜10μm程度の範囲内で適宜選定可能である。近赤外線吸収層14での近赤外線吸収剤の含有量は、当該近赤外線吸収層14での800〜1200nmの波長域の近赤外線の透過率が20%程度以下、特に10%程度以下となるように、使用する近赤外線吸収剤の種類に応じて適宜選定することが好ましい。なお、ここでいう「近赤外線の透過率」とは、島津製作所社製のUV−310OPC(商品名)を用いて測定した上記波長域の近赤外線の透過率を意味する。
上述した構成を有する電磁波遮蔽部材20は、図1(a)及び図1(b)に示した電磁波遮蔽部材10と同様の技術的効果を奏する。さらに、この電磁波遮蔽部材20によれば、ネオン光吸収層12及び近赤外線吸収層14を有しているので、特にプラズマディスプレイ用の電磁波遮蔽部材としての実用性が高いものを得易くなる。
<電磁波遮蔽部材(変形例)>
本発明の電磁波遮蔽部材は、透明基材上に電磁波遮蔽用金属層を接合するための接合剤層に特徴を有するものであり、この接合剤層以外の構成部材については、種々の変形、修飾、組合せ等が可能である。
例えば、電磁波遮蔽用金属層におけるメッシュ状領域での個々の開口部の平面形状は、三角形、四角形、六角形、楕円(円を含む。)等、適宜選定可能である。また、電磁波遮蔽用金属層に接地線接続領域を設ける場合、接地線の接続箇所の選択の自由度を高めるという観点からは、接地線接続領域上にはできるだけ他の層を形成しない方が好ましい。
電磁波遮蔽部材にネオン光吸収層及び近赤外線吸収層を設ける場合、これらの層は必ず一方の上に他方を積層しなければならないというものではなく、その位置は層毎に適宜選択可能である。また、ネオン光吸収層及び近赤外線吸収層の一方のみを設けることもできる。
本発明の電磁波遮蔽部材には、反射防止層や耐衝撃層等を設けることもできる。反射防止層は、透明基材の裏面上に直接又は他の層を介して設けられて、電磁波遮蔽部材を表示装置の表示面上に配置したときの外光の映り込みを防止し、これにより、電磁波遮蔽部材を通して視認される画像の画質を良好にするための層である。そのため、反射防止層の視感反射率は、JIS Z8722に従って測定した値で0.3〜2%程度の範囲内とすることが好ましい。
一方、耐衝撃層は、外部からの衝撃によって表示装置が破損したり傷ついたりするのを防止するための層であり、透明基材の裏面上に直接又は他の層を介して、あるいは、透明樹脂層上に直接又は他の層を介して設けられる。この耐衝撃層は、例えば、透明ガラスや、25℃におけるせん断弾性率が1×10 〜1×10 Pa程度の透明樹脂によって形成することができる。なお、ここでいう「25℃におけるせん断弾性率」は、動的粘弾性測定装置(セイコー電子工業社製、型番;DMS210)を用い、厚さ50μm、縦10mm、横5mmの短冊状とした試料片について、測定周波数10Hz(ただし、温度分散による周波数は1Hzに固定)、測定温度25±3℃の条件下で測定したせん断弾性率を意味する。
<電磁波遮蔽部材の製造方法>
本発明の電磁波遮蔽部材の製造方法は、上述した本発明の電磁波遮蔽部材を得ることができる製造方法であり、準備工程、平坦化工程、及び硬化工程を含んでいる。以下、工程毎に詳述する。
(I)準備工程;
準備工程では、透明基材と、透明基材上に自己平坦化能を有する材料によって形成された第1接合剤層と、第1接合剤層を介して透明基材に接合された電磁波遮蔽用金属層とを有する積層物であって、電磁波遮蔽用金属層が、透明基材に多数の光透過部を平面視上画定することができるメッシュ状領域を有すると共に、このメッシュ状領域が、第1接合剤層を介して透明基材に接合された金属箔をパターニングすることによって形成されたものである積層物を用意する。
上記の透明基材は、本発明の電磁波遮蔽部材における透明基材となるものであり、前述したように無機材又は有機材料からなるフィルム状物、シート状物、又は板状物である。透明基材の層構造、厚さ、及び好ましい材料については既に説明したので、ここでは透明基材の材料の具体例について説明する。
透明基材の材料として用いることができる上記無機材料の具体例としては、透明ガラスが挙げられる。また、上記有機材料の具体例としては、例えば、(1)ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、(2)ナイロン6やナイロン610等のポリアミド系樹脂、(3)ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、(4)ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、(5)ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、(6)ポリイミドやポリアミドイミド等のイミド系樹脂、(7)ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)等のスチレン系樹脂、(8)トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、などが挙げられる。また、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリアラミド、ポリカーボネート等の樹脂を透明基材の材料として用いることもできる。さらには、上述した樹脂の1つを主成分とする共重合樹脂や、上述した樹脂を少なくとも1種含有したポリマーアロイを透明基材の材料として用いることもできる。これらの樹脂には、充填剤、可塑剤、耐電防止剤等の添加剤を含有させることもできる。
透明基材に金属箔を接合させる上記の第1接合剤層は、例えば電子線硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物、又は熱硬化性樹脂組成物によって形成することができる。この第1接合剤層は、透明基材と金属箔とを接合させることができればよく、透明基材と金属箔とを接合させる前の第1接合剤層は、透明基材上に形成してもよいし金属箔上に形成してもよい。
第1接合剤層の原材料として用いることができる電子線硬化性樹脂組成物及び光硬化性樹脂組成物それぞれの具体例としては、(A)単官能アクリレート系樹脂組成物、単官能メタクリレート系樹脂組成物、2官能アクリレート系樹脂組成物、2官能メタクリレート系樹脂組成物、多官能アクリレート系樹脂組成物、多官能メタクリレート系樹脂組成物、ポリエステルアクリレート系樹脂組成物、ウレタンアクリレート系樹脂組成物、エポキシアクリレート系樹脂組成物、シリコンアクリレート系樹脂組成物、不飽和ポリエステル系樹脂組成物、及びエン・チオール系樹脂組成物等のラジカル重合性樹脂組成物、並びに(B)エポキシ系樹脂組成物、オキセタン系樹脂組成物、及びビニルエーテル系樹脂組成物等のカチオン重合性樹脂組成物が挙げられる。
上記(A)及び(B)の樹脂組成物は、いずれも、1種を単独で用いることもできるし2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、これらの樹脂組成物はイナート樹脂(反応済みの成分)を含有していてもよい。さらに、これらの樹脂組成物には、必要に応じて、レベリング剤、光重合開始剤、光重合開始助剤、鋭感剤等を含有させることができる。
レベリング剤は、透明基材に対する樹脂組成物の濡れ性を向上させるものであり、表面の平坦性が高い接合剤層(後述する第2接合剤層)を得るうえで有用な成分である。ポリシロキサン系、アクリル系、メタクリル系、芳香族系等のレベリング剤を用いることができる。レベリング剤の添加量は、電子線硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜5重量部程度の範囲内で適宜選定可能であり、0.1〜1重量部程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。また、光重合開始剤、光重合開始助剤、又は鋭感剤を用いる場合には、第1接合剤層の原材料の種類や組成等に応じて適当なものを適量添加する。透明性が高い電磁波遮蔽部材を得るうえからは、黄変等の着色が起こり難いものを選定することが好ましい。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾインエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アセトアミノフェノン、ベンゾフェノン、3,3,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チタノセン、フェニルグリオキシル酸メチル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシイソブチロフェノンポリマー等が挙げられる。光重合開始剤は、光硬化性樹脂組成物100重量部に対して0.1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度添加される。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いることもできるし2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、光重合開始助剤としては脂肪族アミン、芳香族アミン等を用いることができ、鋭感剤(光重合開始剤の効率を上げる助剤)としてはキノリン−8−スルホニルクロライド等を用いることができる。
第1接合剤層の原材料としての電子線硬化性樹脂組成物及び光硬化性樹脂組成物は、電磁波遮蔽用金属層の材料となる金属箔を透明基材に接合したまま当該金属箔をパターニングしてメッシュ状領域を形成することが可能な粘着性を有し、かつ、金属箔のパターニング後に流動して平坦化するものであればよい。電子線硬化性樹脂組成物及び光硬化性樹脂組成物それぞれの粘着性は、例えば加熱することによって、あるいは、モノマーや有機溶剤で当該樹脂組成物を希釈することによって、低下させることができる。第1接合剤層の原材料の塗工性を向上させるうえからは、これらの樹脂組成物の粘度を低下させることが好ましい。また、電子線硬化性樹脂組成物及び光硬化性樹脂組成物それぞれの接着性は、例えば電子線又は光を照射して重合反応又は架橋反応を部分的に進行させることによって、増大させることができる。
金属箔を透明基材に接合したまま当該金属箔をパターニングしてメッシュ状領域を形成し、かつ、その後に平坦化のための流動を第1接合剤層に起こさせるという観点からは、金属箔を透明基材に接合させた状態での粘着力が1〜12N/10mm程度の範囲内となるとなるように、第1接合剤層の原材料としての電子線硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物の粘着性を制御することが好ましい。なお、ここでいう「粘着力」は、剥離角90°、剥離速度300mm/分の条件の下にJIS Z0237に準拠して測定した粘着力を意味する。
一方、第1接合剤層の原材料として熱硬化性樹脂組成物を用いる場合、その具体例としては、(a)硬化することによって塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、又は塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニル系樹脂となる熱硬化性樹脂組成物、(b)硬化することによってポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、又はアクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体等のアクリル系樹脂となる熱硬化性樹脂組成物、(c)硬化することによって環状ポリオレフィン系等のポリオレフィン系樹脂となる熱硬化性樹脂組成物、(d)硬化することにセルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びアセチルセルロース等のセルロース系樹脂となる熱硬化性樹脂組成物、などが挙げられる。また、硬化することによってスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート、ウレタン系樹脂、又はアミド系樹脂となる熱可硬化性樹脂組成物も、第1接合剤層の原材料として用いることができる。第1接合剤層の原材料としての熱硬化性樹脂組成物は、室温下でも塗工可能な流動性を有していることが好ましい。熱硬化性樹脂組成物の粘着性は、軟化点未満の温度にまで加熱して重合反応又は架橋反応を部分的に進行させることによって、増大させることができる。
第1接合剤層は、例えば、その原材料をスクリーン印刷、グラビア印刷(グラビアダイレクト、グラビアリバース)、オフセット印刷、ロールコート、スリットリバース、コンマコート、ロッドコート、ダイコート等の方法によって透明基材上又は金属箔上に塗工することにより、形成することができる。
前述した第2形態の電磁波遮蔽部材を得ようとする場合には、上述した樹脂組成物にネオン光吸色素及び近赤外線吸収色素の少なくとも一方を含有させたものを用いて、第1接合剤層を形成する。
ネオン光吸収色素の具体例としては、シアニン系色素、ポリメチン系色素、サブフタロシアンニン系色素、ポルフィリン系色素等の光吸収性色素が挙げられる。また、近赤外線吸収色素の具体例としては、(1)酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化鉛、酸化ビスマス等の無機系近赤外線吸収剤、及び、(2)シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミニウム系、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、ジイモニウム類、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系錯体類等の有機系近赤外線吸収剤が挙げられる。第1接合剤層でのこれらの吸収剤の含有量は、製造しようとする電磁波遮蔽部材の用途、求められる性能、グレード、含有させる吸収剤の種類等に応じて適宜選定可能である。
第1接合剤層による透明基材と金属箔との接合は、第1接合剤層の形成後に透明基材と金属箔とロールラミネータ等を用いて積層することによって行うことができる。第1接合剤層の膜厚は、最終的に形成しようとする接合剤層(第2接合剤層)の膜厚に応じて、適宜選定される。
上述した第1接合剤層によって透明基材に接合される金属箔の具体例としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等の単体金属の箔や、鋼(例えば低炭素リムド鋼や低炭素アルミキルド鋼等の低炭素鋼)の箔、あるいは前記単体金属の少なくとも1つを成分として含有した合金の箔が挙げられる。金属箔のパターニングは、金属箔の所定箇所にメッシュ状領域を形成して電磁波遮蔽用金属層を得るためのものであり、例えば、フォトリソグラフィー法により所定形状のレジストパターンを金属箔上に形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとして用いて金属箔にウェットエッチングやドライエッチングを施すことによって行われる。
金属箔の厚さ(電磁波遮蔽用金属層の厚さ)及び表面の平滑性、並びにメッシュ状領域での開口部の形状、ライン幅、ラインピッチ、及びラインの角度については本発明の電磁波遮蔽部材についての説明の中で述べたので、ここでは省略する。また、既に説明したように、金属箔の上面のうちの少なくとも一方には、必要に応じて黒化処理を施しておくことができる。また、パターニング後に黒化処理を施すこともできる。金属箔のパターニング後に当該金属箔(電磁波遮蔽用金属層)に黒化処理を施す場合、この黒化処理は、後述する平坦化工程の前に行うことができる。
(II)平坦化工程;
平坦化工程では、上記金属箔のパターニングに伴って各光透過部内に露出した第1接合剤層の表面を当該第1接合剤層の自己平坦化能を利用して平坦化する。
第1接合剤層の原材料として電子線性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物を用いた場合には、電磁波遮蔽用金属層の形成後(上記のパターニング後)に所望時間静置することにより、上記のパターニングに伴って露出した第1接合剤層の表面を平坦化させることができる。このとき、必要に応じて透明基材の耐熱温度以下の温度にまで加熱して、その流動性を高める。
また、第1接合剤層の原材料として熱硬化性樹脂組成物を用いた場合には、電磁波遮蔽用金属層の形成後(上記のパターニング後)に、透明基材の耐熱温度以下の温度であって第1接合剤層が流動可能な温度にまで加熱しながら所望時間静置することにより、上記のパターニングに伴って露出した第1接合剤層の表面を平坦化させることができる。
エッチングにより金属箔をパターニングして電磁波遮蔽用金属層を得る場合には、一般に、エッチングマスク(レジストパターン)を剥離した後に純水によるリンス処理が施される。リンス処理に使用された純水の揮散と一緒に平坦化工程を行えば、電磁波遮蔽部材を得るための工程数を少なくすることができるので、生産性を高めるうえで好適である。
(III) 硬化工程;
硬化工程では、表面が平坦化した第1接合剤層を硬化させて第2接合剤層とする。表面が平坦化した第1接合剤層を硬化させることにより、透明基材と電磁波遮蔽用金属層とが第2接合剤層によって接合された積層物が得られる。
第1接合剤層の原材料として電子線硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物を用いた場合には、表面が平坦化した後の第1接合剤層に電子線又は光(光硬化性樹脂組成物の感光波長域の光)を照射することにより、当該第1接合剤層を硬化させて第2接合剤層とすることができる。このとき、透明基材の劣化が起こらないように、照射する電子線量又は光の照射強度を適宜選定する。また、第1接合剤層の原材料として熱硬化性樹脂組成物を用いた場合には、平坦化工程後に熱処理を施すことにより当該第1接合剤層を硬化させて、第2接合剤層とする。
以上説明した準備工程、平坦化工程、及び硬化工程を行った後に透明樹脂層を形成する透明樹脂層形成工程を行うことにより、あるいは、前記透明樹脂層形成工程を行った後にネオン光吸収層及び近赤外線吸収層の少なくとも一方を形成する機能層形成工程を行うことにより、前述した本発明の電磁波遮蔽部材を得ることができる。ただし、第1接合剤層の原材料として電子線硬化性樹脂組成物を用い、かつ、透明樹脂層の原料としても電子線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、前述した平坦化工程を行った後に透明樹脂層用の塗膜を形成し、上述した硬化工程において第1接合剤層の硬化と透明樹脂層用の塗膜の硬化とを同時に行うこともできる。第1接合剤層の原材料として光硬化性樹脂組成物を用い、かつ、透明樹脂層の原料としても光硬化性樹脂組成物を用いる場合についても同様である。以下、透明樹脂層形成工程及び機能層形成工程について説明する。
(IV)透明樹脂層形成工程;
透明樹脂層形成工程では、電磁波遮蔽用金属層におけるメッシュ状領域、及び各光透過部内の接合剤層を被覆する透明樹脂層を形成する。
透明樹脂層の原料としては、本発明の電磁波遮蔽部材についての説明の中で述べたように、溶剤希釈型樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、電子線硬化性樹脂組成物、又は光硬化性樹脂組成物を用いることができ、特に電子線硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。
上記の電子線硬化性樹脂組成物及び光硬化性樹脂組成物の具体例としては、それぞれ、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、シリコンアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、不飽和ポリエステル系、ポリエン/チオール系、及びポリスチリルメタクリレート系等の樹脂組成物が挙げられる。これらの樹脂組成物の中でも、電磁波遮蔽部材の可撓性を高めるという観点からは、ポリエステルアクリレート系又はウレタンアクリレート系の樹脂組成物が好ましく、電磁波遮蔽用金属層との密着性を高めるという観点からは、ウレタンアクリレート系の樹脂組成物が好ましい。
表面の平坦性が高い透明樹脂層を形成するうえからは、特に、有機溶剤で希釈した低粘度の電子線硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロルエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を用いることができる。この場合の電子線硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物の粘度は、23℃での粘度で0.01〜0.5Pa・s程度とすることが好ましく、0.01〜0.1Pa・s程度とすることが更に好ましい。
透明樹脂層の原料として溶剤希釈型樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、電子線硬化性樹脂組成物、及び光硬化性樹脂組成物のいずれを用いる場合でも、透明樹脂層を形成するにあたっては、樹脂組成物を塗工して塗膜を形成する第1サブ工程と、塗膜を固化又は硬化させて透明樹脂層にする第2サブ工程を行う。
透明樹脂層の原料として溶剤希釈型樹脂組成物を用いる場合には、第1サブ工程でこの樹脂組成物を塗工して塗膜を形成した後、第2サブ工程で透明基材の耐熱温度以下の温度にまで塗膜を加熱して溶剤を揮散させ、これによって前記の塗膜を透明樹脂層にする。
また、透明樹脂層の原料として熱硬化性樹脂組成物を用いる場合には、第1サブ工程でこの樹脂組成物を塗工して塗膜を形成した後、必要に応じて塗膜を乾燥させてから、第2サブ工程で40〜80℃で24〜120時間養生して重合反応又は架橋反応を起こさせ、これによって前記の塗膜を透明樹脂層にする。
透明樹脂層の原料として電子線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、第1サブ工程でこの樹脂組成物を塗工して塗膜を形成した後、第2サブ工程で当該塗膜に電子線を照射して重合反応又は架橋反応を起こさせ、これによって前記の塗膜を透明樹脂層にする。このとき、透明基材の劣化が起こらないように、照射する電子線量を適宜選定する。
そして、透明樹脂層の原料として光硬化性樹脂組成物を用いる場合には、第1サブ工程でこの樹脂組成物を塗工して塗膜を形成した後、第2サブ工程で当該塗膜に人工光源を用いて光(光硬化性樹脂組成物の感光波長域の光)を照射することにより重合反応又は架橋反応を起こさせ、これによって前記の塗膜を透明樹脂層にする。このとき、透明基材の劣化が起こらないように、光の照射強度を適宜選定する。
いずれの樹脂組成物によって透明樹脂層を形成する場合でも、第1サブ工程での樹脂組成物の塗工は、スクリーン印刷、ロールコート、リバースロールコート、スリットリバースコート、スプレーコート、ダイコート、リップダイコート、グラビアコート(グラビア印刷)、グラビアリバースコート、又はコンマコート等、種々の方法によって行うことができる。
前述したように、第1接合剤層の原材料として電子線硬化性樹脂組成物を用い、かつ、透明樹脂層の原料としても電子線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、上述した第2サブ工程に前述した硬化工程を兼ねさせることができる。したがって、この場合には、前述した平坦化工程後に上述した第1サブ工程が行われ、その後に、硬化工程を兼ねた第2サブ工程が行われる。同様に、第1接合剤層の原材料として光硬化性樹脂組成物を用い、かつ、透明樹脂層の原料としても光硬化性樹脂組成物を用いる場合にも、上述した第2サブ工程に前述した硬化工程を兼ねさせることができる。勿論、硬化工程を行った後に上述した第1サブ工程と第2サブ工程とを順次行って、透明樹脂層を形成することもできる。
また、いずれの樹脂組成物によって透明樹脂層を形成する場合でも、第1サブ工程で形成した塗膜上に透明フィルムを貼付してから第2サブ工程を行うこともできる。透明フィルムとして平滑な表面を有するものを用いることにより、上面の平坦性が高い透明樹脂層を得ることが容易になる。その結果として、電磁波遮蔽性能及び透明性が共に高い電磁波遮蔽部材を得ることが更に容易になる。
上記の透明フィルムとしては、少なくとも片面の算術平均粗さが1〜200nm程度であるもの、特に5〜50nm程度であるものが好ましい。このような透明フィルムの具体例としては、光学フィルムとして市販されている種々の透明樹脂フィルムが挙げられる。
(V)機能層形成工程;
機能層形成工程では、電磁波遮蔽部材を構成する透明基材の裏面上、又は前記透明樹脂層上に、ネオン光吸収層及び近赤外線吸収層の少なくとも一方を形成する。また、機能層形成工程では、ネオン光吸収層又は近赤外線吸収層に加えて、反射防止層や耐衝撃層等を形成することもできる。各層の形成位置については本発明の電磁波遮蔽部材についての説明の中で述べたので、下記においては各層の材料及び形成方法について説明する。
上記のネオン光吸収層は、例えば、前述したネオン光吸収剤と、アクリレート系粘着剤、例えば2−エチルヘキシルアクリレートを主成分とする粘着剤やブチルアクリレートを主成分とする粘着剤とを、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール等の溶媒に溶解させて塗工液を調製し、この塗工液を用いて透明樹脂層上に塗膜を形成した後に当該塗膜を乾燥することにより、形成することができる。あるいは、前記の塗工液を用いて別部材上に形成した塗膜を乾燥した後、この塗膜を転写法により透明樹脂層上に積層することによっても形成することができる。ネオン光吸収層の厚さは、既に説明したように、10〜75μm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。
なお、転写法によるネオン光吸収層の形成は、例えば次のようにして行うことができる。まず、離型処理されたフィルム(以下、「離型フィルム」という。)の離型処理面に上記の塗工液を塗工して塗膜を形成し、乾燥した後、この塗膜に更に別の離型フィルムをその離型処理面が内側となるようにして貼り合わせて、ネオン光吸収層の両面に離型フィルムが設けられた離型フィルム付きネオン光吸収層を作製する。次に、この離型フィルム付きネオン光吸収層における一方の離型フィルムを剥離し、ネオン光吸収層を内側にして透明樹脂層上に貼り合わせる。この後、他方の離型フィルムを剥離する。これにより、透明樹脂層上にネオン光吸収層が形成される。
一方、上記の近赤外線吸収層は、例えば、前述した近赤外線吸収剤と透明樹脂とをテトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、又はシクロペンタノン等の環状エーテルやケトン、トルエン等に溶解もしくは分散させて塗工液を調製し、この塗工液を塗工して塗膜を形成した後に当該塗膜を乾燥させることによって得られる。上記の透明樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、別途作製した近赤外線吸収層を転写することによっても、近赤外線吸収層を得ることができる。転写によって近赤外線吸収層を得る場合には、必要に応じて粘着剤や接着剤等の接合剤を用いる。
電磁波遮蔽部材に反射防止層を設ける場合、この反射防止層は、例えば透明基材よりも屈折率が低い透明材料(以下、「低屈折率材料」という。)によって形成された単層構造とすることもできるし、低屈折率材料で形成された低屈折率層と、低屈折率材料よりも屈折率が高い透明材料(以下、「高屈折率材料」という。)によって形成された高屈折率層とが交互に積層された2層以上の多層構造とすることもできる。低屈折率材料及び高屈折率材料のいずれとしても無機材料を用いることもできるが、透明基材の耐熱性が低い場合には、低屈折率材料及び高屈折率材料のいずれとしても有機材料、又は有機材料中に無機材料が分散した有機−無機複合材料を用いることが好ましい。有機材料又は有機−無機複合材料からなる層は、例えば、塗布法や印刷法によって所望の原材料からなる塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることによって得ることができる。また、別途作製した反射防止層を粘着剤や接着剤等の接合剤を用いて貼付することによっても、反射防止層を備えた電磁波遮蔽部材を得ることができる。反射防止層の設計波長は適宜選択可能であるが、標準比視感度が高い500〜600nm程度の波長域内に設定することが好ましい。
また、電磁波遮蔽部材に耐衝撃層を設ける場合、この耐衝撃層の材料としてはガラスや透明樹脂を用いることができる。ガラスによって耐衝撃層を形成する場合、このガラスとしては、厚さが2〜4μm程度のシート状物を用いることができる。ガラス製の耐衝撃層は、例えば透明基材の裏面上に接合剤を用いて貼付される。
透明樹脂により耐衝撃層を形成する場合、この透明樹脂としては、エチレンビニルアセテート、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリウレタン等の軟質透明樹脂や、ブチルアクリレート等の粘着性透明樹脂等を用いることができる。透明樹脂製の耐衝撃層は、例えば押し出し成形法によって形成することもできるし、上記の材料を溶媒に溶解ないし分散させて塗工液を調製し、この塗工液を塗工して塗膜を形成した後に当該塗膜を乾燥させることによっても形成することができる。さらには、転写法によって形成することもできる。透明樹脂製の耐衝撃層の膜厚は0.1〜2mm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。粘着性透明樹脂によって耐衝撃層を形成する場合には、電磁波遮蔽部材を所望の下地に貼付するための接合剤として当該耐衝撃層を利用することもできる。
なお、本発明による電磁波遮蔽部材の製造は、個々の電磁波遮蔽部材毎にバッチ方式で行うこともできるし、多数の透明基材を切り出すことができる長尺の透明シートと、パターニングによって多数の電磁波遮蔽用金属層を得ることができる長尺の金属箔とを用いて、多数の電磁波遮蔽部材が連なった形状の母材を作製した後、当該母材を所望の大きさに裁断して電磁波遮蔽部材を得る連続方式で行うこともできる。
<実施例1>
(準備工程);
まず、透明基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製のA4300(商品名))を用意した。また、第1接合剤層の原材料として、ウレタンアクリレート系の電子線硬化性樹脂組成物(荒川化学社製のビームセット505A(商品名))100重量部にアクリレート変性シリコーン系のレベリング剤を0.5重量部添加したものを用意した。上記のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、ポリエチレンテレフタレートを「PET」と略記する。)の屈折率は1.58である。なお、本実施例及び後述する各実施例並びに各比較例でいう「屈折率」は全て、アタゴ社製のアッベ屈折計であるNAR−1T(商品名)を用いて測定した値であり、測定光の波長は589nmとした。
次に、上記第1接合剤層の原材料を上記のPETフィルムの片面にダイコート法により塗工して厚さ4μmの第1接合剤層を形成し、この第1接合剤層が形成されたPETフィルム上に厚さ10μmの電解銅箔をロールラミネートすることによって、PETフィルムと電解銅箔とを第1接合剤層により接合させた。上記の電解銅箔の表面の算術平均粗さは2.6μmである。
次いで、第1接合剤層が未硬化のまま、上記の電解銅箔上にカゼインレジストを掛け流し法により塗布してレジスト層を形成し、所定形状のフォトマスク(ネガ版)を用いて前記のレジスト層を密着露光した後に水で現像し、硬膜処理してから100℃でポストベークして、電解銅箔上にレジストパターンを形成した。このレジストパターンをエッチングマスクとして用い、49ボーメ度の塩化第二鉄溶液(液温は50℃)をエッチャントとして用いて電解銅箔をウェットエッチングした後、水洗によりレジストパターンを剥離してから純水を用いてリンス処理した。
上記のウェットエッチングにより、電解銅箔は未硬化の第1接合剤層によってPETフィルムに接合されたままパターニングされて、メッシュ状領域と当該メッシュ状領域を取り囲む矩形枠状の接地線接続領域とを有する電磁波遮蔽用金属層に成形された。結果として、PETフィルム上に第1接合剤層を介して電磁波遮蔽用金属層が接合されている積層物が得られた。
上記の電磁波遮蔽用金属層におけるメッシュ状領域には平面形状が正方形の開口部と平面形状が三角形の開口部とが多数形成されて、PETフィルムに多数の光透過部を画定している。メッシュ状領域でのライン幅は22μm、ライン間隔は300μm、ライン角度は49°であり、接地線接続領域の幅(枠部分の幅)は15mmである。
(平坦化工程);
上記の積層物を100℃で30秒間乾燥して、リンス処理で用いた純水を揮散させると共に第1接合剤層を低粘度化させた。この低粘度化により、第1接合剤層の自己平坦化能が顕著に発現してレベリングし、金属箔を電磁波遮蔽溶金属層にパターニングすることに伴って露出した第1接合剤層の表面(各光透過部内での第1接合剤層の表面)が平坦化した。
なお、上述した準備工程及び平坦化工程を別途行って上記の積層物と同じものをもう1つ作製し、この積層物から電磁波遮蔽用金属層の接地線接続領域と平面視上重なるようにして幅25mm、長さ250mmの試料を切り出し、JIS Z0237に準拠して当該試料での長手方向の一端から電磁波遮蔽用金属層(接地線接続領域)を剥離角度90°、剥離速度300mm/分の条件の下に剥がしたときの粘着力(接着強さ)を株式会社オリエンテック製の剥離試験機(型番;STA1150)を用いて測定したところ、1.2N/10mmであった。
(透明樹脂層形成工程及び硬化工程);
まず、透明樹脂層の原料として、ウレタンアクリレート系の電子線硬化性樹脂組成物(大日本インキ化学工業社社製のRC−17−236(商品名))を用意した。また、透明樹脂層の上面の平滑性を制御するための透明フィルムとして、東洋紡績社製のPETフィルム(商品名;A−4100)を用意した。このPETフィルムの表面の算術平均粗さは0.02μmである。
次に、平坦化工程まで経た上記の積層物におけるメッシュ状領域及び第1接合剤層それぞれの表面を覆うようにして、上記の電子線硬化性樹脂組成物をダイコータにより20g/m の割合で塗工して塗膜を形成した。
次いで、塗膜上にラミネートロールを用いて上記の透明フィルムを積層してから、加速電圧175keV、電子線量5Mrad(50kGy)の条件の下に窒素雰囲気中で透明基材側から電子線を照射した。この電子線の照射により第1接合剤層が硬化して第2接合剤層になると共に、上記の塗膜が硬化して透明樹脂層になった。
この後、透明樹脂層上の透明フィルムを剥離して、電磁波遮蔽部材を得た。この電磁波遮蔽部材における接合剤層(第2接合剤層)の屈折率は1.53、透明樹脂層の屈折率は1.56である。また、透明樹脂層の表面の算術平均粗さは0.05μmである。
<実施例2>
(準備工程);
まず、シクロヘキサノンとソルベッソ150(旭化成社製の溶剤の商品名)との1:1(重量比)混合溶媒40重量部に、軟化点が109℃の有機溶剤可溶型共重合ポリエステル(東洋紡績社製のバイロン55CS(商品名))100重量部と、硬化剤(三井武田ケミカル社製のA10(商品名))10重量部とを添加し、撹拌して、熱硬化性性樹脂組成物を得た。なお、上記の軟化点は、JIS K2531で規定する環球法に従って測定した値である(以下、同じ。)。
次いで、この熱硬化性樹脂組成物を第1接合剤層の原材料として用いた以外は実施例1での準備工程と同じ条件の下に、PETフィルム上に第1接合剤層を介して電磁波遮蔽用金属層が接合された積層物を作製した。
上述した準備工程を別途行って上記の積層物と同じものをもう1つ作製し、この積層物から電磁波遮蔽用金属層の接地線接続領域と平面視上重なるようにして幅15mm、長さ250mmの試料を切り出し、当該試料での長手方向の一端から電磁波遮蔽用金属層(接地線接続領域)を剥がすときの粘着力(接着強さ)を実施例1と同じ条件の下に測定したところ、1.2N/10mmであった。
(平坦化工程);
上記の積層物に電磁波遮蔽用金属層側から110℃の熱風を300秒間吹きつけることにより、電解銅箔を電磁波遮蔽用金属層にパターニングした後のリンス処理で用いた純水を揮散させると共に第1接合剤層を軟化させた。この軟化により第1接合剤層の自己平坦化能が顕著に発現してレベリングし、上記のパターニングに伴って露出した第1接合剤層の表面(各光透過部内での第1接合剤層の表面)が平坦化した。
(硬化工程);
上記の平坦化工程後に積層物を自然冷却することにより、平坦化工程で軟化した第1接合剤層を硬化させて、第2接合剤層とした。この第2接合剤層の屈折率は1.50であり、表面(各光透過部内での第2接合剤層の表面)の算術平均粗さは0.2μmである。
(透明樹脂層形成工程);
実施例1での透明樹脂層形成工程と同じ条件の下に、透明樹脂層を形成した。この後、透明樹脂層から透明フィルムを剥離して、電磁波遮蔽部材を得た。この電磁波遮蔽部材における透明樹脂層の屈折率は1.56である。また、透明樹脂層の表面の算術平均粗さは0.4μmである。
<比較例1>
平坦化工程で積層物に吹きつける熱風の温度を60℃(訂正前:90℃)にした以外は実施例2と同じ条件の下に準備工程、平坦化工程、硬化工程、及び透明樹脂層形成工程を順次行って、電磁波遮蔽部材を作製した。
<比較例2>
平坦化工程を行わなかった以外は実施例2と同じ条件の下に準備工程、硬化工程、及び透明樹脂層形成工程を順次行って、電磁波遮蔽部材を作製した。
<比較例3>
有機溶剤可溶型共重合ポリエステルとして東洋紡績社製のバイロン290(商品名、軟化点は180℃)を用いた以外は実施例2と同じ条件の下に熱硬化性樹脂組成物を得、この熱硬化性樹脂組成物を第1接合剤層の原材料として用いると共に平坦化工程で積層物に吹きつける熱風の温度を200℃にした以外は実施例2と同じ条件の下に準備工程、平坦化工程、硬化工程、及び透明樹脂層形成工程を順次行って、電磁波遮蔽部材を作製した。
<比較例4>
有機溶剤可溶型共重合ポリエステルとして東洋紡績社製のバイロン300(商品名、軟化点は123℃)を用いた以外は実施例2と同じ条件の下に熱硬化性樹脂組成物を得、この熱硬化性樹脂組成物を第1接合剤層の原材料として用いると共に平坦化工程で積層物に吹きつける熱風の温度を130℃にした以外は実施例2と同じ条件の下に準備工程、平坦化工程、硬化工程、及び透明樹脂層形成工程を順次行って、電磁波遮蔽部材を作製した。
<評価>
実施例1〜2及び比較例1〜4で作製した各電磁波遮蔽部材の透過像鮮明度をJIS K7105の規定に従って測定した。その結果、実施例1〜2で作製した各電磁波遮蔽部材の透過像鮮明度はいずれも400を超えていたが、比較例1〜4で作製した各電磁波遮蔽部材の透過像鮮明度はいずれも400に達していなかった。
この相違は、比較例1〜2で作製した各電磁波遮蔽部材においては、平坦化工程で用いた熱風の温度が低かったために第2接合剤層が軟化点に達せず、その表面の平坦化が進まなかったことに起因している。また、比較例3で作製した電磁波遮蔽部材においては、平坦化工程で用いた熱風の温度が透明基材(PETフィルム)の耐熱温度を超えていたために当該透明基材が熱収縮を起こし、その結果として電磁波遮蔽部材全体が変形したことに起因している。そして、比較例4で作製した電磁波遮蔽部材においては、平坦化工程で用いた熱風の温度はPETフィルムの耐熱温度以下であったものの、PETフィルムと電磁波遮蔽用金属層(銅箔)との熱膨張係数の相違から積層物が変形し、結果として電磁波遮蔽部材全体が変形したことに起因している。
図1(a)は、本発明の電磁波遮蔽部材の一例を概略的に示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示したI−I線断面の概略図である。 ネオン光吸収層及び近赤外線吸収層を備えた本発明の電磁波遮蔽部材の一例を概略的に示す断面図である。
符号の説明
1 透明基材
3 接合剤層
5 電磁波遮蔽用金属層
5a メッシュ状領域
7 透明樹脂層
9 光透過部
10、20 電磁波遮蔽部材
12 ネオン光吸収層
14 近赤外線吸収層

Claims (14)

  1. 透明基材と、自己平坦化能を有する材料によって前記透明基材上に形成された接合剤層と、該接合剤層を介して前記透明基材に接合された金属箔をパターニングすることによって形成された電磁波遮蔽用金属層と、該電磁波遮蔽用金属層を覆う透明樹脂層とを備え、前記電磁波遮蔽用金属層が、前記透明基材に多数の光透過部を平面視上画定することができるメッシュ状領域を有し、前記透明樹脂層が前記メッシュ状領域及び前記光透過部内の接合剤層を被覆している電磁波遮蔽部材であって、
    前記光透過部内の接合剤層の表面が、該接合剤層の原材料の自己平坦化能によって平坦化されていることを特徴とする電磁波遮蔽部材。
  2. 前記接合剤層にレベリング剤が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮蔽部材。
  3. 前記接合剤層と前記透明樹脂層との屈折率差が0.13以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽部材。
  4. 前記接合剤層に、ネオン光吸収剤及び近赤外線吸収剤の少なくとも一方が含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材。
  5. 前記透明基材の裏面上、又は前記透明樹脂層上に、ネオン光吸収層及び近赤外線吸収層の少なくとも一方が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材。
  6. 透明基材と、該透明基材上に自己平坦化能を有する材料によって形成された第1接合剤層と、該第1接合剤層を介して前記透明基材に接合された電磁波遮蔽用金属層とを有し、前記電磁波遮蔽用金属層が、前記透明基材に多数の光透過部を平面視上画定することができるメッシュ状領域を有すると共に、該メッシュ状領域が、前記第1接合剤層を介して前記透明基材に接合された金属箔をパターニングすることによって形成されたものである積層物を用意する準備工程と、
    前記金属箔のパターニングに伴って露出した第1接合剤層の表面を、該第1接合剤層の自己平坦化能を利用して平坦化する平坦化工程と、
    前記表面が平坦化した第1接合剤層を硬化させて第2接合剤層とする硬化工程と、
    を含むことを特徴とする電磁波遮蔽部材の製造方法。
  7. 前記準備工程で、レベリング剤を含有した第1の電子線硬化性樹脂組成物、又はレベリング剤を含有した第1の光硬化性樹脂組成物によって前記第1接合剤層が形成された積層物を用意し、
    前記平坦化工程で、前記第1の電子線硬化性樹脂組成物又は前記第1の光硬化性樹脂組成物の自己平坦化能を利用して前記第1接合剤層の表面を平坦化することを特徴とする請求項6に記載の電磁波遮蔽部材の製造方法。
  8. 前記平坦化工程の後に行われる透明樹脂層形成工程を更に含み、該透明樹脂層形成工程が、前記メッシュ状領域及び前記第1接合剤層それぞれの表面を覆う塗膜を第2の電子線硬化性樹脂組成物又は第2の光硬化性樹脂組成物によって形成する第1サブ工程と、前記塗膜を硬化させて該塗膜を透明樹脂層とする第2サブ工程とを含み、
    前記第2サブ工程が前記硬化工程を兼ねることを特徴とする請求項6又は7に記載の電磁波遮蔽部材の製造方法。
  9. 前記第1サブ工程を行った後に前記塗膜に透明フィルムを貼付し、第2サブ工程で、前記透明フィルムが貼付された塗膜を硬化させることを特徴とする請求項8に記載の電磁波遮蔽部材の製造方法。
  10. 前記準備工程で、熱硬化性樹脂組成物によって前記第1接合剤層が形成された積層物を用意し、
    前記平坦化工程で、加熱することによって前記熱硬化性樹脂組成物の自己平坦化能を発現させて前記第1接合剤層の表面を平坦化することを特徴とする請求項6に記載の電磁波遮蔽部材の製造方法。
  11. 前記硬化工程の後に行われる透明樹脂層形成工程を更に含み、該透明樹脂層形成工程で、前記メッシュ状領域及び前記接合剤層それぞれの表面を覆うようにして透明樹脂層を形成することを特徴とする請求項6、7、及び10のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材の製造方法。
  12. 前記第2接合剤層と前記透明樹脂層との屈折率差を0.13以下にすることを特徴とする請求項8、9、及び11のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材の製造方法。
  13. 前記準備工程で、前記第1接合剤層にネオン光吸収剤及び近赤外線吸収剤の少なくとも一方が含まれている積層物を用意することを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材の製造方法。
  14. 前記透明樹脂層形成工程の後に行われる機能層形成工程を更に含み、該機能層形成工程で、前記透明基材の裏面上、又は前記透明樹脂層上に、ネオン光吸収層及び近赤外線吸収層の少なくとも一方を形成することを特徴とする請求項8、9、11、及び12のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材の製造方法。
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