JP2010134301A - 画像表示装置 - Google Patents

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Yuichi Miyazaki
祐一 宮崎
Shinya Kiura
伸哉 木浦
Kei Kato
圭 加藤
Yusuke Sato
勇輔 佐藤
Yusuke Hagiwara
裕介 萩原
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Abstract

【課題】凹版印刷で凸状パターンの導電層を形成する場合に、縞模様を不可視化し、さらに導電層とプライマー層との密着性に優れ、高い転移率で転移不全のない電磁波遮蔽材を備えた画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置本体の画面前面に電磁波遮蔽材10を配置してなる画像表示装置であって、その電磁波遮蔽材10は、透明基材1と、透明基材1上に形成されたプライマー層2と、プライマー層2上に所定の凸状パターン19で形成された、導電性組成物からなる導電層3とを有し、導電層3は表面が被覆されずに露出してなり、プライマー層2のうち導電層形成部Aにおけるプライマー層2の厚さTは、導電層非形成部Bにおけるプライマー層2の厚さTよりも厚く、且つプライマー層2は、導電層形成部Aの外方周縁部Cにおいて凹陥部が実質的に存在しないように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波遮蔽材を画面前面に備えた画像表示装置に関し、更に詳しくは、表示画像に縞模様を発生させない構造形態の電磁波遮蔽材を画面前面に備えた画像表示装置に関する。
テレビやパーソナルコンピュータのモニター等のディスプレイ装置(「画像表示装置」ともいう。)として、例えば、陰極線管(CRT)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置(LCD)、プラズマディスプレイ装置(PDP)、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ装置等が知られている。これらのディスプレイ装置のうち、大画面ディスプレイ装置の分野で注目されているプラズマディスプレイ装置は、発光にプラズマ放電を利用するため、30MHz〜1GHz帯域の不要な電磁波が外部に漏洩して他の機器(例えば、遠隔制御機器、情報処理装置等)に影響を与えるおそれがある。そのため、プラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネルの前面側(観察者側)に、漏洩する電磁波をシールド(「遮蔽」と同義。以下同じ。)するためのフィルム状の電磁波シールド材を設けるのが一般的である。
電磁波シールド材は今までに種々検討されているが、例えば特許文献1には、透明基材上に無電解めっき触媒ペーストをメッシュパターンでシルクスクリーン印刷し、その上に金属層を無電解めっきしてなる電磁波シールド材が提案されている。また、特許文献2には、導電性インキ組成物をメッシュパターンで転写体に凹版オフセット印刷し、転写体上のメッシュパターンを透明基材上に転写し、透明基材上のメッシュパターンに金属層を電気めっきしてなる電磁波シールド材が提案されている。また、特許文献3には、導電性インキ組成物をメッシュパターンで透明基材に直接凹版印刷し、その透明基材上のメッシュパターンに金属層を電気めっきしてなる電磁波シールド材が提案されている。
なお、導電性のメッシュパターンを有する上記電磁波シールド材とは形態が異なるが、特許文献4,5の図1及び図2には、先ずドラム10の表面に形成された凹部16に配合物64を充填した後にその配合物64を硬化し、しかる後に該硬化した配合物64上に接着材料68を供給し、次いで該接着材料68をその上に供給したシート46で挟み、その後その接着材料68を硬化し、版凹部内で硬化した配合物64及び接着材料68を版凹部から離型することによって作製された再帰反射シートが提案されている。この再帰反射シートは、同文献4,5の図5Dに示すように、接着材料68が基材シート46と凸形物との間に設けられた構造となっている。
しかしながら、特許文献1に記載の電磁波シールド材は、微細パターンの形成が難しいシルクスクリーン印刷でメッシュパターンを形成するとともに、成膜速度の遅い無電解めっきで金属層を形成するので、生産性の点で劣り、コスト低減を図ることができないという難点がある。また、特許文献2に記載の電磁波シールド材は、凹版印刷でメッシュパターンを形成するので微細パターンの形成は可能であるが、オフセット方式を採用するので、凹版から一旦転写体(ブランケット)に転写した後に転写体から透明基材に2回目の転写を行うので、原版である凹版のメッシュパターンが忠実に透明基材に転写されないことがある。
さらに、特許文献2,3に記載の電磁波シールド材は、凹版から転写体又は透明基材に転写(転移ともいう。)する際に、未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生したりすることがある。具体的には、本願の図7に示すように、凹版101上に導電性インキ組成物103を塗布した後にドクターブレード109で掻き取って凹部104内に導電性インキ組成物103を充填する際、図7(B)に示すように、ドクターブレード109で掻き取った後の凹部104内の導電性インキ組成物103は、その上部に凹み105が生じる。この凹み105は、その後、凹版101上に透明基材106を圧着して透明基材106上に凹部104内の導電性インキ組成物103を転写する際に、図7(C)に示すように、透明基材106と導電性インキ組成物103との密着を妨げる要因となる。その結果、透明基材106上に、導電性インキ組成物の未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生したりして、電磁波シールド特性を低下させる原因となる。
また、特許文献4及び特許文献5記載の凹版印刷方法においては、その凹版の凹部内に充填されたインキを一旦硬化させ、しかる後に表面に凹みのある硬化インキを含む凹版上の全面に接着材料層を形成した上で、基材シートをその上に重ね、その接着材料層を硬化させ、その後に離型している。そのため、上記した特許文献2及び特許文献3における密着性不良及び転写不良を改善可能であるかのように思わせる。ところが、実際に電磁波シールド材の製法に対してこの方法を試みたところ、期待に反してうまく行かず、接着材料層が版面と密着して離型不能となったり、或いは凹版凹部内で硬化した導電性インキ組成物が凹部内に残留したりするという問題が生じ、適用できないとの結論に達した。
特開平11−170420号公報 特開2001−102792号公報 特開平11−174174号公報 米国特許第3,811,983号 米国特許第3,935,359号
本出願人は、上記した問題を解決することができる新しい電磁波遮蔽材及びその製造方法を発明した。その発明は、図4に示すように、未硬化の導電性組成物3’が充填された所定パターンの凹部34を有する版面33と、その導電性組成物3’の転写対象である基材1の一方の面S1とを、未硬化のプライマー層2を介して圧着し、その圧着を保持した状態で少なくともプライマー層2を硬化した後に版面33から剥がすことによって、導電性組成物3’が極めて良好に転写した凸状パターン19を形成できるという画期的な方法であり、既に国際出願(PCT/2008/060427。未公開)を行った。本発明者は、この新しい電磁波遮蔽材及びその製造方法をさらに検討している過程で、さらに新しい下記の課題を発見した。本発明は、その新たな課題を解決したものである。
すなわち、本出願人が発明した上記未公開出願に係る新しい電磁波遮蔽材は、図8に示すように、導電層形成部Aである凸状パターン119の外方に隣接する周縁部C(言い換えれば、導電層非形成部Bの導電層形成部Aに隣接する領域ということができる。)に少量の凹陥部Dが生じる場合があることが判明した。この凹陥部自体は僅かなものであり、例えば図8の典型的な拡大図を参照して説明すれば、プライマー層102の厚さHは導電層非形成部Bの平均値で5μm程度であるのに対して、凹陥部Dの最大深さΔhは1〜2μm程度であり、また、凹陥部Dの存在する範囲は、基材表面S1と平行な方向に測った距離ΔWで2〜20μm程度である。そのため、作製した電磁波遮蔽材単品を透過光で目視観察しても、その凹陥部Dの凹みが僅かであるためた判別不能(閾値以下)となっていた。
しかし、そうした電磁波遮蔽材をプラズマディスプレイ(PDP)等の画像表示装置の画面前面に配置すると、予想外の現象として、画素と、電磁波遮蔽材の凸状パターンとが干渉したモアレ縞或は干渉縞と思われる縞模様(望まれない模様)が明瞭に観察されることが判明した。特に、この縞模様は、画面の法線方向(正面方向)からは目立ち難いが斜め方向から見ると目立つという難点があり、また、画像に重畳するために画質が低下して不良と認定されてしまうという難点がある。
こうした縞模様の発生機構の詳細は不明であるが、およそ以下のように推測できる。すなわち、導電層103からなる凸状パターン119の外方周縁部Cに図8に示すような凹陥部Dが生じると、図9に示すように、画像表示装置本体120から出射して電磁波遮蔽材110の導電層非形成部Bに入射する光線(画像光線と呼ぶ。)Lは、(1)凸状パターン119(凸状部とも呼ぶ。)から数10μm程度以上離れた領域においては、プライマー層102の平坦表面に入射し、そのまま方向を変えずに直進する直進光線L1として出射する場合と、(2)凸状パターン119の外方に距離20μm程度以内で隣接する領域においては、プライマー層102の凹陥部Dに入射し、その凹陥部Dでレンズ乃至プリズム作用により屈折して進行方向を変える屈折光線L2として出射する場合の2種類存在する。このうち、屈折光線L2は凸状パターン119の周辺部に局在し、凸状パターン119の配列周期である200〜500μm程度の間隔で配列する。一方、画像表示装置本体120に設けられている画素も同じく数100μm程度の周期で配列するため、画素と凸状パターン119とがモアレ縞を構成するか、或は直進光線L1と屈折光線L2とが位相差をもって干渉縞を構成するため、かかる縞模様が発生すると推測される。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、かかる縞模様を不可視化する電磁波遮蔽材を備えた画像表示装置を提供することにあり、さらに加えて、凹版印刷で凸状パターンの導電層を形成する場合に、導電層とプライマー層との密着性に優れ、高い転移率で転移不全(転移した凸状パターンの形状欠陥)のない電磁波遮蔽材を備えた画像表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の画像表示装置は、画像表示装置本体の画面前面に電磁波遮蔽材を配置してなる画像表示装置であって、前記電磁波遮蔽材は、透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定の凸状パターンで形成された、導電性組成物からなる導電層とを有し、該導電層は表面が被覆されずに露出してなり、前記プライマー層のうち前記導電層が形成されている導電層形成部におけるプライマー層の厚さは、前記導電層が形成されていない導電層非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚く、且つ前記プライマー層は、前記導電層形成部の外方周縁部において凹陥部が実質的に存在しないことを特徴とする。
この発明によれば、プライマー層は導電層形成部の外方周縁部(すなわち、凸状パターンに隣接する導電層非形成部)の全域に渡って凹陥部が実質的に存在しないので、画像表示装置本体から出射して電磁波遮蔽材の導電層非形成部に入射する画像光線は、その一部が凹陥部で屈折されて屈折光線となることはなく、導電層非形成部の全領域で直進光線として出射する。その結果、屈折光線に由来するモアレ縞乃至干渉縞による縞模様が発生することがない。
本発明の画像表示装置において、前記導電層形成部は、(a)前記プライマー層と前記導電層との界面が非直線状に入り組んでいる断面形態、(b)前記プライマー層と前記導電層との界面が該プライマー層を構成する成分と該導電層を構成する成分との混合領域を有する断面形態、及び、(c)前記プライマー層と前記導電層との界面が該導電層を構成する導電性組成物中に該プライマー層に含まれる成分が存在している断面形態、のいずれか1又は2以上の断面形態を有するように構成されている。
これら(a)〜(c)の発明によれば、プライマー層と導電層との境界部分が単純な境界面構造になっていないので、両層の密着性が向上しているとともに、電磁波遮蔽材の製造時において、版面内に充填された導電性組成物の透明基材への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われた形態を表している。
本発明の画像表示装置において、前記電磁波遮蔽材は、該電磁波遮蔽材を構成する導電層側が前記画像表示装置本体の画面前面に対峙するように配置されているように構成されている。
本発明の画像表示装置によれば、画像表示装置本体の画面前面に配置された電磁波遮蔽材について、その電磁波遮蔽材を構成するプライマー層は、導電層形成部の外方周縁部(すなわち、凸状パターンに隣接する導電層非形成部)の全域に渡って凹陥部が実質的に存在しないので、画像表示装置本体の画面前面から出射して電磁波遮蔽材の導電層非形成部に入射する画像光線は、その一部が凹陥部で屈折されて屈折光線となることはなく、導電層非形成部の全領域で直進光線として出射する。その結果、屈折光線に由来するモアレ縞乃至干渉縞による縞模様が発生することがない電磁波遮蔽材を備えた画像表示装置を提供することができる。
本発明の画像表示装置によれば、上記の効果に加え、プライマー層と導電層との密着性に優れ、且つ、電磁波遮蔽材の製造時において、版面内に充填された導電性組成物の透明基材への転移(転写)を高い転移率のもとで確実に行われた形態を表している。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[画像表示装置]
図1は、本発明の画像表示装置を構成する電磁波遮蔽材の一例を示す模式的な断面図であり、図2は、本発明の画像表示装置の一例を示す模式的な断面構成図である。また、図3は、電磁波遮蔽材の導電層形成部の断面形態の例を示す模式図である。本発明の画像表示装置30は、図2に示すように、画像表示装置本体20と、その画像表示装置本体20の画面前面S3側に配置された電磁波遮蔽材10と、を少なくとも有している。その電磁波遮蔽材10は、透明基材1と、透明基材1上に形成されたプライマー層2と、プライマー層2上に所定の凸状パターンで形成された、導電性組成物からなる導電層3とを有し、そのプライマー層2のうち導電層3が形成されている導電層形成部Aにおけるプライマー層2の厚さTは、導電層3が形成されていない導電層非形成部Bにおけるプライマー層2の厚さTよりも厚くなっている。そして、本発明の特徴は、この電磁波遮蔽材10において、導電層3は表面が被覆されずに露出してなり、プライマー層2は、導電層形成部Aの外方周縁部Cにおいて凹陥部D(図8を参照)が実質的に存在しないことにある。
すなわち、かかる電磁波遮蔽材においては、一般的には、凸状パターンからなる導電層の表面を、接着剤層や光学調整層等の透明層で被覆する使用形態と被覆し無い使用形態の2種類の形態があり得る。
このうち、導電層3の表面を透明層で被覆する使用形態の場合は、その透明層の屈折率をプライマー層2の屈折率と近似させる(一般に、両層の屈折率差は0.14程度以下が有効である。)ことにより、プライマー層2に凹陥部Dが生じていても、その凹陥部と透明層との界面では図9のように画像光線の屈折作用は実質上無視できる程度となり、目視可能な縞模様を実質上解消することが可能である。また、仮に両層の屈折率差が近似させるに足らない場合であっても、一般に、通常の物質の屈折率(1.50前後)は空気(1.00)よりもプライマー層(1.50前後)の屈折率には近いため、完全にではなくても、かかる縞模様は軽減される。
一方、導電層3の表面を透明層で被覆しない使用形態の場合は、その導電層3の表面は空気であり、通常の任意の透明層を被覆した場合よりも凹陥部Dにおける屈折現象、及びそれに基づく縞模様は無視できないものとなる。それゆえ、導電層3の表面が被覆されずに露出する形態において、本発明の課題である縞模様発生は無視できないものとなり、そして、凹陥部Dを実質存在しないように構成することによる縞模様解消効果も十分に奏せられる。
ただし、もちろん導電層3の表面が透明層により被覆される使用形態においても、プライマー層2上の凹陥部Dが実質的に存在しない程度とすることは、透明層とプライマー層との屈折率差を特に軽減するような材料選択、設計上の配慮をしなくても、かかる縞模様の問題が解消されるため、これもまた好ましい形態と言える。
以下、本発明の構成を詳しく説明する。
(透明基材)
透明基材1は、電磁波遮蔽材10の基材であり、所望の透明性、機械的強度、プライマー層2との接着性等の要求適性を勘案の上、各種材料の各種厚さのものを選択すればよい。透明基材1の材料としては、樹脂基材であってもよいし、硝子基材等無機基材であってもよい。また、厚さ形態としては、フィルム状でもシート状でも板状でもよい。通常は、樹脂製の透明フィルムが好ましく用いられる。そうした透明フィルムとしては、アクリル樹脂(ここでは、所謂、メタクリル樹脂も包含する概念として用いる)、ポリエステル樹脂等をベースとするフィルムが好ましいが、これに限定されない。樹脂材料としては、具体的には、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリロニトリル等が使用できる。中でも、二軸延伸PETフィルムが透明性、耐久性に優れ、しかもその後の工程で紫外線照射処理や加熱処理を経た場合でも熱変形等しない耐熱性を有する点で好適である。
一方、無機基材を構成する無機材料としては、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛硝子、硼珪酸硝子、石英硝子、燐酸硝子等の硝子、結晶質石英(水晶)、方解石(炭酸カルシウム)、ダイヤモンド(金剛石)等の透明無機結晶、PLZT等の透明セラミックス等が挙げられる。
透明基材1は、ロール・トウ・ロールで加工可能な連続な長尺帯状フィルムであってもよいし、所定の大きさからなる枚葉フィルムであってもよい。なお、ここで「ロール・トウ・ロール」とは、長尺帯状の基材を巻取(ロール)の形態で供給し、その巻取から帯状シートを巻き出して所定の加工をし、しかる後に再度巻取の形態に巻き取って保管、搬送するフィルムの利用形態を意味する。透明基材1の厚さは、通常は8μm〜5000μm程度が好ましいが、これに限定されない。透明基材1の光透過率としては、本発明に係る画像表示装置本体20の画面前面への設置用としては、100%のものが理想であるが、透過率80%以上のものを選択することが好ましい。透明基材1の表面には、必要に応じて、後述するプライマー層2と透明基材1との密着性を改善するために易接着層を設けたり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理を行ったりしてもよい。易接着層としては、透明基材1とプライマー層2との両方に接着性のある樹脂から構成する。易接着層の樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン等の樹脂の中から適宜選択する。
(プライマー層)
プライマー層2は、透明基材1上に密着性よく設けられる。そして、このプライマー層2上には導電層3が密着性よく設けられる。したがって、プライマー層2は、透明基材1と導電層3の両方に対して密着性がよい材料であることが好ましく、また、画像表示装置本体20の画面前面への設置用としては、当然のことながら透明であることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を塗工してなる層であることが好ましい。また、密着性、耐久性改善、各種物性付与のために各種添加剤や変性樹脂を使用してもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー(単量体)、或いはプレポリマーやオリゴマーが用いられる。モノマーとしては、例えば、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。或いは、カチオン重合性モノマーとしては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等のオキセタン類、等が挙げられる。また、プレポリマー(乃至はオリゴマー)としては、例えば、ラジカル重合性プレポリマー、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマー、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートという表記は、アクリレート又はメタクリレートという意味である。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系等の化合物が、また、カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100重量部に対して0.1〜5重量部程度添加する。
なお、電離放射線としては、紫外線又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線等の荷電粒子線を用いることもできる。
必要に応じて適宜添加剤を添加する。該添加剤としては、例えば、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色素(着色染料、着色顔料)、体質顔料、光拡散剤、溶剤等が挙げられる。
なお、溶剤については、プライマー層用組成物自体の流動性が不十分な場合に、必要に応じて添加するものである。かかる溶剤は、プライマー層2を透明基材1上に塗工形成する際の流動性を増し、塗膜厚さを均一化し、塗膜表面の鏡面平滑性を向上させるために使用される。
ただし、導電性組成物3’を凹部34内に充填した凹版40上にプライマー層2が圧着される時点においては、プライマー層中の溶剤は、実用上支障がない程度に十分に乾燥、除去しておく必要がある。そうしないと、後述のように、プライマー層2の硬化時の収縮によって、本発明において解消すべき、導電層形成部の外方周縁部Cにおける凹陥部Dを発生させてしまうためである。また、凹版40と透明基材1との間に挟持されたプライマー層2において、そのプライマー層中の残留溶剤は逃げ場がなくて気化して、硬化したプライマー層中に気泡が発生する虞れがあるためでもある。なお、ここで使用する溶剤は、後述の導電性組成物の溶剤として列記するものと同様のものの中から適宜選択すればよい。
特に本発明においては、プライマー層2が、版に圧着された状態で流動状態と硬化(乃至固化)状態の2つの状態を保持できることに特徴がある。具体的には、プライマー層2は、プライマー層を塗工した後においては流動性を保持できる状態で透明基材1上に設けられており、その後、プライマー層2上に導電性組成物層3’(図4参照)が転写形成される際においては短時間で流動状態から硬化状態に変化させることができるものであることが必要である。こうしたプライマー層2を透明基材1上に形成することにより、プライマー層2上に導電性組成物層3’を転写する際に、その導電性組成物層3’とプライマー層2との間に空隙がない状態で転写することができるので、従来生じるおそれがあった導電性組成物層3’とプライマー層2との間の隙間の発生をなくすことができ、その隙間の存在による転写不良、密着不良の問題が生じない。
なお、本願で言う「流動性」又は「流動状態」とは、プライマー層2を導電性組成物が充填された版面に圧着する際の圧力によって流動(変形)する性質又は状態をいい、水のように低粘度である必要はない。また、必ずしもNewton粘性である必要もなく、チキソトロピー性或いはダイラタンシー性のような非Newton粘性を有していてもよい。塗工に適した粘度に調整されたプライマー層が透明基材1上に塗布された後、プライマー層2が熱可塑性樹脂である場合には、版面に圧着する際に流動(変形)すればよく、プライマー層2は圧着時において流動(変形)する温度になっていればよい。この場合、軟化状態と言い換えてもよい。
流動状態になっているプライマー層2の粘度は、通常、1mPa・s〜100000mPa・sの範囲内であり、好ましくは、50mPa・s〜2000mPa・sの範囲内である。
そうしたプライマー層2の流動性状態は、プライマー層用の樹脂として未硬化状態において室温で固体の電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、電離放射線硬化性を持ったインキを透明基材1上に塗布するだけで得られる。電離放射線硬化型インキは、一般に前記のような電離放射線硬化性を持つモノマーやオリゴマーからなり、必要に応じて、更に、光重合開始剤(紫外線硬化、或いは光硬化の場合)、各種添加剤等を含み、電離放射線で硬化させるまでは流動性を示す。このインキは溶剤を含んでもよいが、その場合、塗布後に乾燥工程が必要であるため、インキは溶剤を含まないタイプ(いわゆるノンソルベントタイプ)であることが好ましい。
また、プライマー層用の樹脂として室温で固体の熱可塑性樹脂組成物を用いた場合には、透明基材1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布し、流動性状態になる程度(例えば、50℃〜200℃程度)に加熱して生じさせることができる。こうした流動性状態のプライマー層2を、後述するように導電性組成物が充填された版面に圧着した後、冷却することで硬化させて転写すれば、その導電性組成物層3’とプライマー層2との間に空隙がない状態で転写することができる。ここで、透明基材1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布する方法としては、熱可塑性樹脂組成物の溶液を塗布後乾燥する方法や、ホットメルト状態の樹脂を塗布する方法がある。また、透明基材1上に塗布された熱可塑性樹脂組成物の加熱は、導電性組成物が充填された版面に接触する前に行ってもよく、版面に圧着する際に加熱ロール等を用いて圧着と加熱を同時に行ってもよいが、いずれにしろ、導電性組成物層3’をプライマー層2に転移する際にはプライマー層の流動性がなくなる程度まで冷却されている必要がある。
プライマー層2の厚さは特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm〜100μm程度(後述の厚さTで評価した数値)となるように形成される。また、プライマー層2の厚さ(T)は、通常は、導電層3とプライマー層2との合計値(総厚。図1で言うと導電層の頂部と透明基材1の表面との高度差)の1〜50%程度である。なお、後の製造方法の説明欄で詳述するが、導電性組成物層3’がプライマー層2上に転写され、さらにその導電性組成物層3’を硬化させて電磁波遮蔽材を製造した後におけるプライマー層2は、図1に示すように、導電層3が形成されている部分Aの厚さTが、導電層3が形成されていない部分Bの厚さTよりも厚い。そして、そのプライマー層2において、厚さの厚い部分Aのサイドエッジ5,5は、図3に示すように、厚さの薄い部分Bの側に導電層3が回り込んだ形態になっている。
図1に示す形態は、硬化させる前の流動状態のプライマー層2を、凹版内に設けられた導電性組成物に圧着した後、プライマー層2を硬化させ、そのプライマー層2と導電性組成物を充填した所定のパターンの賦形版面とを圧着して、プライマー層2と導電性組成物とを空隙なく密着(図4に示す凹みがある場合は、これを充填)した後に、プライマー層2を硬化し、又はプライマー層2と導電性組成物とを同時硬化し、その後に転写したことよって形成することができる。一例として、後述の図4(A)(C)(D)の製造工程図に示すように、透明基材1上に形成したプライマー層2を流動状態とし、そのプライマー層2を、導電性組成物3’を凹部内に充填した版面に圧着し、プライマー層2を硬化することにより形成できる。版面では、ドクターブレードやワイピングロール等によって凹部内以外の余分な導電性組成物が掻き取られるが、その際に、凹部内の導電性組成物の上部には、図4に示すように凹み6が生じやすく、その凹み6を有した状態で版面にプライマー層2を圧着することにより、図4(A)(B)のように、流動性のあるプライマー層2がその凹み6内に流入、充填されて、その結果、図1に示すような形態になる。
(導電層)
導電層3は、プライマー層2上に、例えばメッシュ状又はストライプ状の所定のパターン(形状に着目して「凸状パターン」、或いは機能に着目して「電磁遮蔽パターン」とも呼ぶ。)で設けられている。この導電層3を形成する導電性組成物は、種々の工程を経た後に最終的に導電性の層になっているものであれば特に限定されない。電磁遮蔽パターンは、電磁波遮蔽材に通常採用されるメッシュ(網乃至格子)状、ストライプ(平行線群乃至縞模様)状、螺旋状(コイル状乃至スパイラル状)、又は線分群等のパターンから選択され、その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5〜50μmとすることができ、線間ピッチは100〜500μmとすることができる。開口率(電磁波遮蔽パターンの全面積中における開口部の合計面積の占める比率)は、通常、50〜95%程度である。また、メッシュやストライプ形状の電磁遮蔽パターンとは別に、それと導通を保ちつつ隣接した額縁状の全ベタ(開口部非形成)層等の接地パターンが設けられていてもよい。なお、所定パターンの導電層3は、画像表示装置本体20の画像表示領域に対峙する部分に形成され、通常、その周縁部の少なくとも一部には前記の接地パターンによる接地部が設けられている。
また、導電層3の厚さは、その導電層3の抵抗値によっても異なるが、電磁波遮蔽性能と該導電層上への他部材の接着適性との兼ね合いから、その中央部(凸状パターンの頂部)での測定において、通常、2μm以上50μm以下であり、好ましくは、5μm以上20μm以下である。
導電性組成物は、版の凹部内に充填する時点では流動性を有し、所望のパターンに形成し、硬化(乃至固化)せしめた以降の時点で所望の導電性を発現するものであれば特に限定はなく、各種材料、形態のものが使用可能である。導電性組成物として代表的なものは、導電性粉末とバインダー樹脂とを含み、さらに必要に応じてその樹脂を溶解乃至分散する溶剤乃至分散剤を含んだ流動性を有するインキ又はペースト状の材料を挙げることができる。この導電性組成物からなる導電層3は、導電性組成物3’を乾燥ないし硬化させた後の固形物からなる塗膜のことである。なお、溶解乃至分散としたのは、導電性組成物が、溶液状の他、コロイド状である場合も含むからである。
導電性組成物の粘度は、例えば後述するように、プライマー層2中のプライマー成分が導電性組成物中に浸入して増粘させたり、プライマー層2と導電性組成物とを同時硬化させたりする場合等、その製造工程上との関係で好ましい粘度の大小を一概には言えないが、使用可能な範囲としては、通常、100mPa・s〜1000000mPa・sの範囲内であり、好ましくは、数千mPa・s〜数万mPa・sの範囲内である。
導電性組成物を構成するバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、熱硬化型ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリエステル樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマー層用の材料として前記したものを挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は単独で用いても良く、複数の樹脂を混合して用いてもよい。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。光硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤を使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類、メチルエーテル、エチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル酪酸メチル、酢酸ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ターピネオール等のアルコール類、水等の中から適宜選択した1種乃至2種以上が用いられる。溶剤の含有量は通常、10重量%〜70重量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ない方が好ましい。また、光硬化性樹脂等の電離放射線硬化型性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
また、導電性組成物を構成する導電性粉末としては、金、銀、白金、銅、錫、パラジウム、ニッケル、アルミニウム等の低抵抗率金属粉末、芯材として低抵抗率金属以外の材料からなる粉末(上記低抵抗率金属以外の金属粉末、アクリル樹脂、メラミン樹脂等の樹脂粉末、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、ゼオライト等の無機粉末)を用い、その表面に、被覆材料としての金や銀等の低抵抗率金属をめっきしてなる複合構造の粉末、或いはグラファイト、カーボンブラック等の導電性炭素の粉末を好ましく挙げることができる。また、導電性セラミックス、或いは導電性有機高分子の粉末も使用できる。形状も球状、回転楕円体状、多面体状、鱗片状、円盤状、繊維状(乃至針状)等から選ぶことができる。これらの材料や形状は適宜混合して用いてもよい。導電性粉末の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、例えば、鱗片状の銀粉末の場合には粉末の平均粒子径が0.1〜10μm程度のものを用いることができ、カーボンブラック粉末の場合には平均粒子径が0.01〜1μm程度のものを用いることができる。
導電性組成物中の導電性粉末の含有量は、導電性粉末の導電性や粉末の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電性組成物の固形分100重量部のうち、導電性粉末を40〜99重量部、またバインダー樹脂を1〜60重量部の範囲で含有させることができる。なお、本願において、平均粒子径というときは、粒度分布計、又はTEM観察で測定した値を指している。また、多面体状、纖維状等の非球面形状の場合は、通常、外接球の直径、対角線長、或いは最長辺の辺長をもって粒径を定義する。
また、導電性組成物には、品質向上等を目的に適当な添加物を加えてもよい。例えば、カーボンブラックはそれ自体が黒色であるので必要ないが、黒色顔料や黒色染料を必要に応じて所定量添加することで、電磁波遮蔽材10を構成したときのコントラストを向上させ、視認性を向上させることができる。特に本発明では、電磁波遮蔽材10を、電磁波遮蔽材10の導電層3側が画像表示装置本体20の画面前面S3に対峙するように配置することが好ましい態様であるので、その場合に、観察者側から見た導電層3の色が黒色であれば、コントラストの向上と視認性の向上を実現できる。また、後述する金属めっき層の金属光沢による透明基板裏面の反射防止、色ムラ、金属色等の抑制のためには、こうした黒色顔料や黒色染料を含有させることが望ましい。黒色顔料としては、導電性粉末としても機能するカーボンブラック、Fe、CuO−Cr、CuO−Fe−Mn、CoO−Fe−Cr等が挙げられるが、その種類や形状は特に制限はなく、バインダー樹脂中に分散容易な平均粒子径0.1μm以下の着色力の大きな黒色顔料又は黒色染料が好ましい。なお、カーボンブラックを用いる場合には、チャンネルブラック、ファーネスブラック又はランプブラック等の色材用カーボンブラックや、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック等を挙げることができ、中でも平均粒子径が20nm以下のものが好ましく用いられる。また、黒色染料としては、アニリンブラック等の染料を用いることができる。また、導電性組成物の流動性や安定性を改善するために、導電性や、プライマー層との密着性に悪影響を与えない限りにおいて、適宜フィラーや増粘剤、界面活性剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
導電層3の形成は、後述の図4の製造工程図にも示すように、先ず、所定のメッシュ状又はストライプ状等のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面33に導電性組成物3’を塗布した後、その凹部内以外に付着した導電性組成物をドクターブレードやワイピングロール等で掻き取って凹部内に導電性組成物を充填する。次に、流動性を保持したプライマー層2を一方の面に形成した透明基材1を準備し、その透明基材1のプライマー層2側と、導電性組成物を凹部内に充填した版面とを圧着することにより、導電性組成物とプライマー層2とを隙間なく密着させ、その状態でプライマー層2の流動性をなくした(硬化させた)後、導電性組成物をプライマー層2上に転写し、所定のメッシュ状又はストライプ状等のパターンからなる導電性組成物層3’を形成する。なお、導電性組成物層3’をプライマー層2上に転写した後においては、硬化処理(例えば、乾燥処理、紫外線・電子線照射処理、加熱処理、冷却処理等)を行って導電層3が形成される。
本発明においては、上記したように、凹部内以外の余分な導電性組成物が掻き取られる際に、凹部内の導電性組成物の上部に生じる凹み6内に、流動性を保持したプライマー層2が充填し、導電性組成物とプライマー層2とを隙間なく密着した状態でプライマー層2が硬化するので、プライマー層2上に導電性組成物を転写不良なく転写することができる。
上記においては、導電性組成物として、主に導電性粉末と樹脂とで構成されたものについて説明した。こうした導電性組成物は、それ自体が導電層3になるものであるが、本発明においては他の導電性組成物を適用してもよい。例えば、金属又は有機金属化合物のゾル(分散液)を導電性組成物として用い、例えば転写工程の前後で加熱固化し、さらに必要に応じて焼成し、導電性の金属ないし金属化合物からなる導電層3としてもよい。また、例えば、ポリチオフェン等の公知の導電性樹脂を導電性組成物として用い、それ自体を導電層3としてもよい。
なお、導電層3のみでは所望の導電率に不足する場合に、導電率を更に向上せしめるために、必要に応じて金属層を形成してもよく、その金属層は導電層3上にめっきにより形成される。めっきの方法としては、電気(電解)めっき、無電解めっき等の方法があるが、電気めっきは無電解めっきに比べて通電量を増やすことでめっき速度を数倍に上げることができ、生産性を著しく向上させることができるため好ましい。なお、金属層4を形成した後においては、必要に応じて、その金属層を黒化処理したり、表面を粗面化したりすることができる。
(導電層パターンの形態)
次に、プライマー層2上に所定のパターンで形成された導電層3の形態について説明する。以下、その形態を、「導電層パターン19」ともいう。図3は、導電層パターン19(19A〜19C)の第1形態〜第3形態を示す模式断面図である。導電層形成部Aにおけるプライマー層2と導電層3との境界部分12は、図3(A)に示すように非直線状に入り組んでいる断面形態、図3(B)に示すようにプライマー層2を構成する成分と導電層3を構成する成分とが混合している領域(混合層)を有する断面形態、図3(C)に示すように導電層3を構成する導電性組成物3’中に該プライマー層2に含まれる成分が存在している断面形態、のいずれか1又は2以上の断面形態を有している。これらの断面形態は、プライマー層2と導電層3との境界部分12が単純な境界面構造になっていないので、両層2,3の密着性が向上しているとともに、電磁波遮蔽材10の製造時において、版面内に充填された導電性組成物3’の透明基材1への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われた形態を表している。
導電層パターン19は、プライマー層2と、プライマー層2上に所定のパターンで形成された導電性組成物3’からなる導電層3とで構成されている。この導電層パターン19A〜19Cは、そのいずれにおいても、導電層3が形成されている部分(「導電層形成部」ともいう。)Aにおけるプライマー層2の厚さTが、導電層3が形成されていない部分(「導電層非形成部」ともいう。)Bにおけるプライマー層2の厚さTよりも厚くなっている。
こうした形態は、平坦面からなるプライマー層2上に導電層3が形成されている場合に比べ、投錨効果によって、プライマー層2と導電層3との密着性にすぐれるという形態由来の効果がある。また、こうした形態はその製法に起因するものであって、版面上でドクターブレードやワイピングロール等によって凹部内以外の余分な導電性組成物が掻き取られた際に、その凹部内の導電性組成物の上部には図4のような凹み6が生じやすく、その凹み6を有した状態で版面にプライマー層2を圧着することにより、流動性のあるプライマー層2がその凹み6内に充填され、硬化後に剥離することによって生じたものである。
上記した構造上の特徴(T>T)を有する本発明において更に特徴的な構造は、導電層非形成部Bにもプライマー層2が存在していること、及び/又は、導電層非形成部Bに導電層3を構成する導電性組成物3’が実質的に存在しないこと、である。前者の「導電層非形成部Bにもプライマー層2が存在していること」により、例えば後述する転写工程時に導電性組成物3’はプライマー層2とともに透明基材1に確実に転写する。すなわち、転写工程時において、版面から透明基材1とプライマー層2とを剥がす際には、版面の凹部内に充填された導電性組成物3’が「引き剥がし抵抗」になり、その導電性組成物3’がプライマー層2とともに透明基材1から剥がれて凹部内に残ろうとする。しかしながら、本発明では、導電層形成部Aのプライマー層2と導電層非形成部Bのプライマー層2とは厚さこそ違うものの連続して透明基材1上に設けられているので、その「引き剥がし抵抗」に抗し、前記導電性組成物3’とプライマー層2とからなる導電性パターン19を凹部から引き剥がして良好に転写することができる。
上記の転写工程の際には、(1)版面の凹部と導電性組成物3’との密着力をF1とし、(2)導電性組成物3’とプライマー層2との密着力をF2とし、(3)プライマー層2と透明基材1との密着力をF3としたとき、密着力F1〜F3のうちで密着力F1が最も小さくなっていることが、転移性を向上させるための好ましい条件となるが、本発明の電磁波遮蔽材の構成材料においては特に凹部内面をアンカー処理(例えば微細凹凸を形成する等の処理)を行わない限り通常その条件を満たすものになっている。仮に、例えば透明基材1として用いられる硝子基材等を用いた場合には、密着力F1〜F3のうち、密着力F1とF3との大きさが問題になるが、この場合であっても、密着力F1〜F3のうちでF1が最も小さくなっている場合が多い。そうした好ましい条件を満たすために、必要に応じて透明基材1の表面を処理してプライマー層2との密着力を向上させるようにしてもよい。なお、上記F1〜F3の大きさは、転移性を向上させる上で好ましい条件の一つとして挙げることができるが、その条件が必須の条件というわけではない。
また、後者の「導電層非形成部Bに導電層3を構成する導電性組成物3’が実質的に存在しないこと」により、例えば電磁波遮蔽材10が画像表示装置30の画面前面S3に配置されて使用される際に、導電層非形成部Bである開口部分の透明性を確保し、表示画像の明るさやコントラスト等を確保することができる。なお、ここでいう「導電性組成物3’が実質的に存在しない」とは、導電性組成物3’が全く存在していない場合を含み、さらに、ある程度存在していても前記のように表示画像の明るさやコントラスト等を確保できる程度の導電性組成物3’の存在を許容することを意味している。導電性組成物3’が許容できる場合の存在状態には、わずかずつ広い被覆率で存在する場合や、ごくまばらに存在する、といった状態がある。その許容程度としては、例えば、導電性組成物3’からなる導電層3の厚さや、導電性組成物3’の導電層非形成部Bにおける被覆率や、導電層非形成部Bの透過率等を挙げることができる。これらのうち、導電性組成物3’からなる導電層3の厚さとしては、その導電性組成物3’の種類によっても異なるが、例えば0.3μm以下又は、導電性組成物3’が不透明な粒子を含む場合はその粒子の平均粒子径以下の厚さであることが好ましく、その厚さ以下であれば導電層非形成部Bの光透過性を低下させることが考えにくく、表示画像の明るさやコントラスト等を低下させることが考えにくい。また、導電性組成物3’の導電層非形成部Bにおける被覆率も、その導電性組成物3’の種類によっても異なるが、例えば導電性組成物3’が不透明な場合には、導電層非形成部Bの開口面積に対して10%以下の面積であることが好ましく、その割合以下の面積であれば導電層非形成部Bの光透過性を低下させることが考えにくく、表示画像の明るさやコントラスト等を低下させることが考えにくい。また、導電層非形成部Bの透過率で特定すれば、導電層非形成部Bに導電性組成物3’が無いときを100%としたとき、90%以上となる程度で導電性組成物3’が導電層非形成部Bに存在していてもよく、表示画像の明るさやコントラスト等を低下させることが考えにくい。なお、これらの許容範囲は電磁波遮蔽材としての設計(目標スペックや他の組み合わせ部材の性質)で変わるため、必ずしも前述の値に限定されるものではない。
以上のように、本発明の電磁波遮蔽材においては、導電層非形成部Bにもプライマー層2が存在していること、及び/又は、導電層非形成部Bに導電層3を構成する導電性組成物3’が実質的に存在しないこと、が好ましく、特に、その両方を要件とすることが好ましい。
図3に示す3つの形態は、上記特徴を有する本発明の電磁波遮蔽材が備える導電性パターンの更なる特徴を示したものであり、図1に示す導電層パターンをさらに詳しく表した形態である。なお、第1〜第3形態の導電層パターン19は、導電層パターン19の形状がいずれも釣鐘状であるが、これは、導電層パターンを形成するための賦形型を釣鐘状にしたためであり、こうした形状に限定されない。
図3(A)に示す第1形態の導電層パターン19Aは、プライマー層2と導電層3との界面12が非直線状に入り組んだ形態である。この形態において、その界面12が、プライマー層2を構成する樹脂と導電層3を構成する樹脂又はフィラーとの界面であるように構成されていてもよい。この場合の「フィラー」とは、任意の粉末であり、導電性粉末であっても非導電性粉末であっても構わない。例えば、導電性組成物が導電性粉末とバインダー樹脂とで構成されている場合には、その界面は、導電層3中の導電性粉末とバインダー樹脂とプライマー層2を構成する樹脂とが入り組んだ非直線状の態様で形成される。このときの入り組みの程度は、導電性粉末の形状や大きさに影響を受ける。また、例えば、導電性組成物がフィラーを含まず、導電性樹脂や導電性化合物を含有する場合には、プライマー層2を凹部内に圧着する際の圧力等によって、プライマー層2と導電層3との界面が入り組んだ形態になっている。なお、この第1形態の導電層パターン19Aにおいて、入り組んだ界面12は、全体としては(包絡面形状としては)中央が高い山型の断面形態となっている。
こうした第1形態の導電層パターン19Aは、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に導電層3が形成されていることをもってしても密着性が良いのに加え、上記のように界面12が非直線状に入り組んだ形態になっているので、所謂投錨効果により、プライマー層2と導電層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こうした導電層パターン19Aを形成する際にも、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果も備えている。
図3(B)に示す第2形態の導電層パターン19Bは、プライマー層2と導電層3との界面12の近傍に、プライマー層2に含まれるプライマー成分と、導電性組成物層3’を構成する成分とが混合する領域14が存在している形態である。図3(B)では界面12が明確に現れているが、実際の混合領域14では、そうした界面12は明確には現れておらず、明瞭でない曖昧な界面が現れる場合が多い。また、混合領域14は、界面12を上下に挟むように存在する。この場合は、プライマー層2中のプライマー成分(例えば溶剤など)と導電層3中の任意の成分(例えばモノマー成分など)とが両層内に相互に浸入する場合である。なお、混合領域14が界面12の上側のみに存在しても下側のみに存在してもよい。混合領域14が界面12の上側のみに存在する場合としては、プライマー層2中のプライマー成分が導電層3内に浸入し、導電層3中の任意の成分がプライマー層2内に浸入しない場合であり、一方、混合領域14が界面12の下側のみに存在する場合としては、導電層3中の任意の成分がプライマー層2内に浸入し、プライマー層2中のプライマー成分が導電層3内に浸入しない場合である。なお、混合領域14の厚さ(図3の上下方向の厚さ)は特に限定されないが、例えば、1〜5μm程度である。
こうした第2形態の導電層パターン19Bも上記第1形態の場合と同様、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に導電層3が形成されていることをもってしても密着性が良いのに加え、上記のように界面12近傍に混合領域14を有するので、プライマー層2と導電層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こうした導電層パターン19Bを形成する際にも、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果も備えている。
図3(C)に示す第3形態の導電層パターン19Cは、導電層3を構成する導電性組成物3’中に、プライマー層2に含まれるプライマー成分16が存在している形態である。この例ではプライマー成分16が界面12付近で多く、頂部に向かって少なくなってゆく態様を模式的に表しているが、こうした態様には特に限定されず、要するに、プライマー成分16が導電層3内に存在していればよい。プライマー成分16は、導電層3の頂部から検出される程度に導電層3内に浸入していてもよいし、界面12近傍で検出される程度であってもよい。なお、第3形態において、特に、プライマー成分16が導電層内に存在している領域が界面12の近傍に局在化している場合が、第2形態において混合領域14が界面12の上側にのみ存在する形態に相当するといえる。
こうした第3形態の導電層パターン19Cも上記第1及び第2形態の場合と同様、そもそも平坦面でない山型のプライマー層2上に導電層3が形成されていることをもってしても密着性が良いのに加え、上記のようにプライマー成分16が導電層3に存在する程度に浸入しているので、プライマー層2と導電層3との密着性が著しく高くなっている。さらに、こうした導電層パターン19Cを形成する際にも、版凹部内に充填された導電性組成物がプライマー層2上に極めて高い転移率(ほぼ100%)で転写されるという格別の効果も備えている。
なお、上記の第2及び第3形態の導電層パターン19において、プライマー層2中のプライマー成分16が導電層3中に浸入した場合、プライマー成分16にもよるが、そのプライマー成分16が導電性組成物を増粘又はゲル化しもしくは半固化状態とし、又はプライマー中の硬化性成分を導電層性組成物層3’内に浸入させることができる。その後、プライマー層2のみを硬化した後の転写工程において、増粘され又は半硬化した導電性組成物をほぼ100%の転移率で転移(転写)することができる。また、プライマー層2と導電性組成物とを同時硬化した後の転写工程においては、両層の層間接着力が高まるので、導電性組成物をほぼ100%の転移率で転移(転写)することができる。
本発明においては、上記の第1〜第3形態の導電層パターン19の特徴を少なくとも1つ有することが好ましい。なお、それらの特徴を2つ以上有していてもよく、4つの全てを有していてもよい。
なお、図3(A)〜図3(C)のような界面の構造形態を形成するためには、流動状態を保持したプライマー層2を未硬化状態の導電性組成物層3’に圧着することが肝要である。この状態において、流動性のプライマー層形成用組成物の一部は導電性組成物3’層中に入り込み、両層の界面が交互に入り組んだり、プライマー層2中の成分の一部又は全部が導電性組成物3’層中に浸透、拡散、溶解等により混入したり、或いは同様にして導電性組成物3’層中の成分の一部又は全部がプライマー層2中に混入する。これによってかかる形態が形成される。
また、第1〜第3形態に係る導電層パターン19は、上記の効果に加え、導電性組成物(導電層3)の転移性を改善できるため、通常のグラビア印刷等の凹版を利用する方法に比べ、転移後の導電性組成物(導電層3)の厚さを厚くすることができる。従って、導電層パターン19を厚くすることで、電磁波遮蔽材に必要な導電性を確保することができるという効果も奏する。
(導電層形成部の外方周縁部の形態)
本発明の重要な特徴は、電磁波遮蔽材10を構成する導電層3は表面が被覆されずに露出していること、及び、その場合において、プライマー層2は、導電層形成部Aの外方周縁部Cに凹陥部(図8の符号Dで示す部分。)が実質的に存在しないことにある。
上記した解決課題の欄で述べたとおり、本出願人が既に出願した上記未公開出願に係る新しい電磁波遮蔽材において、図8に示すように、導電層形成部Aである凸状パターン119の外方に隣接する周縁部C(言い換えれば、導電層非形成部Bの導電層形成部Aに隣接する領域である。)に少量の凹陥部Dが生じる場合があることが、出願後のさらなる検討過程で判明した。この凹陥部自体は僅かなものであり、例えば図8の拡大図を参照して説明すれば、プライマー層102の厚さHは導電層非形成部Bの平均値で5μm程度であるのに対して、凹陥部Dの最大深さΔhは1〜2μm程度であり、また、凹陥部Dの存在する範囲は、基材表面S1と平行な方向に測った距離ΔWで2〜20μm程度である。そのため、作製した電磁波遮蔽材110の単品を透過光で目視観察しても、その凹陥部Dの凹みが僅かであるためた判別不能(閾値以下)となっていた。なお、凹陥部Dの最大深さΔhは、凸状パターン119から十分に離れ、プライマー層102の厚さHが場所によらずに一定に収束した部分の表面水準面を基準とした値に対する深さである。しかしながら、そうした電磁波遮蔽材110をプラズマディスプレイ(PDP)等の画像表示装置の画面前面に配置すると、予想外の現象として、画素と、電磁波遮蔽材110の凸状パターンとが干渉したモアレ縞或は干渉縞と思われる縞模様(望まれない模様)が明瞭に観察されることが判明した。特に、この縞模様は、画面の法線方向(正面方向)からは目立ち難いが斜め方向から見ると目立つという難点があり、また、画像に重畳するために画質が低下して不良と認定されてしまうという難点がある。
上記した解決課題の説明欄で考察したように、縞模様の発生機構は以下のように推測できる。すなわち、導電層103からなる凸状パターン119の外方周縁部Cに図8に示すような凹陥部Dが生じると、図9に示すように、画像表示装置本体120から出射して電磁波遮蔽材110の導電層非形成部Bに入射する光線(画像光線と呼ぶ。)Lは、(1)凸状パターン119(凸状部)から数10μm程度以上離れた領域においては、プライマー層102の平坦表面に入射し、そのまま方向を変えずに直進する直進光線L1として出射する場合と、(2)凸状パターン119の外方に距離20μm程度以内で隣接する領域においては、プライマー層102の凹陥部Dに入射し、その凹陥部Dでレンズ乃至プリズム作用により屈折して進行方向を変える屈折光線L2として出射する場合の2種類存在する。このうち、屈折光線L2は凸状パターン119の周辺部に局在し、凸状パターン119の配列周期である200〜500μm程度の間隔で配列する。一方、画像表示装置本体120に設けられている画素も同じく数100μm程度の周期で配列するため、画素と凸状パターン119とがモアレ縞を構成するか、或は直進光線L1と屈折光線L2とが位相差をもって干渉縞を構成するため、かかる縞模様が発生すると推測される。
上記した課題は、本出願人が既に出願した発明の全てに発生するものではないが、本発明で用いる電磁波遮蔽材10を構成する導電層3が、プライマー層2と同一又は略同一の屈折率を持つ樹脂層によって被覆されていない場合であって、且つ凹陥部Dが生じている場合に発生し得るものである。こうした課題に対し、本願発明では、プライマー層2の、導電層形成部Aの外方周縁部(「凸状パターン19乃至119に隣接する導電層非形成部Bに沿った領域」と言い換えることができる。)には、その全域に渡って凹陥部が実質的に存在しないように構成されている。こうした構成からなる電磁波遮蔽材10を備えた画像表示装置30は、図2に示すように、画像表示装置本体20から出射して電磁波遮蔽材10に入射する画像光線は、導電層非形成部Bの一部に存在するおそれのあった凹陥部で屈折されて屈折光線となることはなく、導電層非形成部Bの全領域で直進光線L1として出射することができる。その結果、屈折光線に由来するモアレ縞乃至干渉縞による縞模様が発生することがなく、予期し得なかった課題を解決することができる。
図8に示すような凹陥部Dが、プライマー層2の、導電層形成部Aの外方周縁部Cに、その全域に渡って存在しなければ上記課題は生じないので好ましいが、本発明の効果を奏する上では必ずしも凹陥部が完全に無くなっている状態(Δh=0且つΔW=0)でなくてもよく、例えば図8の拡大図で示す凹陥部Dの最大深さΔh≦0.4μmであり、且つ基材表面S1と平行な方向に測った距離ΔW≦0.4μmの程度であれば実質的に問題が生じることが無いので存在していてもよい。ここで、Δh≦0.4μmもΔW≦0.4μmも、可視光線の波長以下程度であるため、実質的に問題が生じないことに基づいている。したがって、本発明において、「凹陥部が実質的に存在しない」とは、こうした意味で用いている。
次に、プライマー層2の導電層非形成部Bに凹陥部が実質的に存在しないようにするための具体的手段を説明する。
第1の手段としては、図4(A)に示す製造工程において、少なくとも透明基材1上に形成されたプライマー層2を、導電性組成物3’が凹部34に充填された凹版40に圧着する時点(図4(C)を参照。)において、プライマー層2中に残留する揮発性溶剤成分の量を少なくする程、凹陥部の程度を低減させることができる。そのため、極力、圧着時点におけるプライマー層2中の溶剤量を減らすようにすることが望ましく、理想的には、圧着時点でのプライマー層2を完全無溶剤状態とすることが好ましい。
そのための手段としては、(i)溶剤を含むプライマー層形成用組成物を使用する場合において、圧着前にプライマー層2に例えば赤外線輻射、温風吹き付け、誘電加熱等の乾燥処理をしてプライマー層2中の溶剤量を減少させたり、(ii)無溶剤型のプライマー層形成用組成物、例えば電離放射線硬化性樹脂組成物の場合であれば、比較的低分子量のプレポリマー及び/又はモノマーを用い、無溶剤でも十分な塗工適性の低粘度になるようなプライマー層形成用組成物を用いたり、(iii)溶剤を含むプライマー層形成用組成物を使用する場合において、透明基材1上に塗工したプライマー層2を、室温雰囲気下で、十分な時間放置して、溶剤を十分に揮発乾燥させたりすることが好ましい。なお、図4(B)に示す製造工程から圧着を行う場合も同様である。プライマー層2中に残留する揮発性溶剤成分の好ましい量としては、5質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。プライマー層2中の溶剤量をこうした範囲内とすることにより、プライマー層2の導電層非形成部Bに凹陥部が実質的に存在しないようにすることができる。
第2の手段としては、図4に示す製造工程において、導電性組成物3’についても上記のプライマー層2の場合と同様である。この導電性組成物3’については、図4(D)に示す離型時点において、導電性組成物3’中に残留する揮発性溶剤量が多くなる程、その揮発性溶剤が該凸状部(凸状パターン)周縁のプライマー層2中に浸透する量が増える。こうした状態になると、プライマー層2を硬化させる際にプライマー層2中の残留溶剤量が多いことになり、その結果、凸状パターン周縁部Cにおいて、溶剤の乾燥に伴うプライマー層2の局部的収縮が起きる。また、その周縁部Cにおいて、その溶剤分子によってプライマー層2の硬化乃至固化が阻害され、離型時にプライマー層2が塑性変形性乃至流動性を有するようになる。その結果、離型時に離型抵抗が相対的に大きい凸状部から強く引っ張られることになり、硬化(乃至固化)が不十分な凸状部の外方周縁部Cのプライマー層2が凹むように変形して凹陥部Dが形成され易くなる。また、離型時にプライマー層2が機械的に変形しない場合であっても、プライマー層2中に浸透した残留溶剤が存在すると、離型後に経時的に残る溶剤の乾燥と共に、該外方周縁部Cのプライマー層2が収縮して凹み、凹陥部Dが形成されてしまう傾向がある。これらの現象を防ぐため、導電性組成物3’も、少なくとも圧着時点においては、その導電性組成物3’に含まれる溶剤量を減らし、理想的には、完全無溶剤状態であることが望ましい。
そのための手段としては、(i) 溶剤を含む導電性組成物を使用する場合において、離型前の導電性組成物3’に例えば赤外線輻射、温風吹き付け、誘電加熱等の乾燥処理をして導電性組成物3’中の溶剤量を減少させたり、(ii)無溶剤型の導電性組成物3’、例えば、電離放射線硬化性樹脂組成物の場合であれば、比較的低分子量のプレポリマー及び/又はモノマーを用い、無溶剤でも十分な塗工適性の低粘度になるような導電性組成物3’を用いたり、(iii)溶剤を含む導電性組成物3’を使用する場合において、凹版40の凹部34内に充填した導電性組成物3’を、室温雰囲気下で、十分な時間放置して、溶剤を十分に揮発乾燥させたりすることが好ましい。導電性組成物3’中に残留する揮発性溶剤成分の好ましい量としては、5質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下である。導電性組成物3’中の溶剤量をこうした範囲内とすることにより、プライマー層2に浸透する溶剤量が減るので、離型時におけるプライマー層2の機械的な変形やプライマー層2の収縮が起こりにくく、プライマー層2の導電層非形成部Bに凹陥部が実質的に存在しないようにすることができる。また、(iv)上記(iii)とも関連するが、かかる凹陥部Dの生成量は導電性組成物3’に使用する溶剤の種類にも依存する。また、同じ溶剤でも、その凹陥部Dの生成量への影響は、プライマー層形成用組成物(樹脂組成物)の種類によっても変わってくる。各種溶剤を比較、検討した結果、特に、プライマー層形成用組成物としてアクリル樹脂を用いる場合においては、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルやジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤が、該凹陥部Dの生成量を少なくすることが判明した。
第3の手段としては、図4(D)に示す製造工程において、凹版40からプライマー層2及び導電層3を離型する際、版面33とプライマー層2及び導電性組成物3’との離型性が不十分だと、離型時に導電層3の凸状部近傍の離型抵抗が高くなり、その凸状部が版面33に引っ張られる。その結果、凸状部に隣接する外方周縁部Cが塑性変形して、凹陥部Dを生じる傾向がある。特に、プライマー層2が残留溶剤を含み、変形性乃至流動性を有する場合は、その影響が大きくなる。凹版40からの離型性を向上させるためには、版面33に、珪素樹脂、弗素樹脂等の離型性樹脂や、ダイヤモンド状炭素、クロム、ニッケル、ステンレス鋼等の薄膜を被覆することが好ましい。また、凹版40の凹部34にも上記離型性樹脂や上記薄膜を設けることが好ましい。
第4の手段としては、収縮等を見越して予めその凸状パターン周縁部Cの版面形状を傾斜、突出、或いは変形させ、該凸状パターン周縁部の凹陥部形成と相殺させて該該凸状パターン周縁部を平坦化させることは、凹陥部の形成を抑制する手段の一つとして有効である。
こうした第1〜第4の手段のいずれか1又は2以上の手段を採用することにより、かかる凹陥部を実質的に存在しないようにすることができる。
以上説明したように、上記特徴を有する電磁波遮蔽材10を備えた本発明の画像表示装置30によれば、プライマー層2は導電層形成部Aの外方周縁部(すなわち、凸状パターンに隣接する導電層非形成部B)の全域に渡って凹陥部が実質的に存在しないので、画像表示装置本体20から出射して電磁波遮蔽材10の導電層非形成部Bに入射する画像光線Lは、その一部が凹陥部で屈折されて屈折光線となることはなく、導電層非形成部Bの全領域で直進光線として出射する。その結果、屈折光線に由来するモアレ縞乃至干渉縞による縞模様が発生することがないという効果がある。
なお、図2に示すように、得られた電磁波遮蔽材10に光学調整層25を設けて光学フィルターとしての機能も付加することができる。ここでは詳しく説明しないが、光学調整層25としては、従来公知のものをそのまま用いればよく、例えば調色層、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、紫外線吸収層、反射防止層、及び防眩層等を挙げることができる。更に、電磁波遮蔽材10には、光学調整層25の他に、その他各種機能を有する機能層を積層することもできる。かかる機能層としては、ハードコート層、防汚層、帯電防止層、抗菌層、防黴層(かびを防ぐ層)、衝撃吸収層等が挙げられる。
これらの光学調整層25及び/又は機能層を形成する形態は、(1)予め独立したシート乃至は板状に形成された層を、間に接着剤層(いわゆる粘着剤層も包含する。)を介して電磁波遮蔽材10上に貼り合せる形態、(2)予め離型性基材シート上に形成された層を、適宜間に接着剤層を介して電磁波遮蔽材10上に貼り合わせ、しかる後に離型性基材シートのみを剥離除去する、いわゆる転写法で形成する形態、(3)適宜の樹脂結着剤中に上記各種機能を発現する材料を添加した組成物を電磁波遮蔽材10上に塗工することによって形成する形態、(4)前記(3)の一形態ではあるが、電磁波遮蔽材10上に、これを所望の被着体に接着するための接着剤層を塗工する際に、該接着剤層中に上記各種機能を発現する材料を添加することにより、接着剤層と上記各種層とを兼用する形態、(5)前記(1)〜(4)の形態の2種以上の組み合わせ形態、が適宜選択できる。ここで、これらの光学調整層25及び/又は機能層は、電磁波遮蔽材10の導電層3を設けない側、すなわち観察者側に設けられる。こうした電磁波遮蔽材10を、画像表示装置本体20の画面前面S3に装着して本発明に係る画像表示装置30を構成することができる。
なお、本発明の作用効果は、電磁波遮蔽材10の導電層3側を、その導電層3表面が露出した状態で、且つ画像表示装置本体20の画面前面S3に装着する形態において、最も顕著に奏される。その理由は、通常、かかる電磁波遮蔽材10は光学調整層25等の機能層と積層された形で画像表示装置本体20上に装着されることが多い。
[電磁波遮蔽材の製造方法]
図4は、本発明の画像表示装置を構成する電磁波遮蔽材の製造方法についての説明図である。また、図5は、電磁波遮蔽材の製造方法と製造装置の一例を示す概略構成図であり、また、図6は、電磁波遮蔽材の製造装置と製造装置の他の一例を示す概略構成図である。なお、本願では、「転写」と「転移」は同義で用いており、したがって、「転写」を「転移」と置き換え、また、「転写工程」を「転移工程」と置き換えることができる。
電磁波遮蔽材10の製造方法は、図4に示すように、未硬化の導電性組成物3’が充填された所定パターンの凹部34を有する版面33と、その導電性組成物3’の転写対象である透明基材1の一方の面S1とを、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2を介して圧着し、その後、その圧着を保持した状態で少なくともプライマー層2を硬化し、その後、透明基材1及びプライマー層2を版面33から剥がして前記の導電性組成物3’をプライマー層2を介して透明基材1の一方の面S1に所定のパターンで転写することを特徴とするものである。
詳しくは、図4(A)は、未硬化の導電性組成物3’が凹部34に充填された版面33上に、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2が設けられた側の透明基材1を圧着しようとする工程である。すなわち、この工程は、先ず、予め流動状態のプライマー層2を透明基材1の面S1上に塗工しておき、一方、未硬化の導電性組成物3’が充填された所定パターンの凹部34を有する版面33を用意し、該版面と、その導電性組成物3’の転写対象である透明基材1の一方の面S1とを、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2を介して圧着しようとする工程を示している。
なお、プライマー層2の形成を版面33側に対して行うことも可能ではある。すなわち、図4(B)及び図6に示すように、未硬化の導電性組成物3’が充填された凹部34を含む版面33全体を覆うように、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2を塗工して設け、そのプライマー層2上から未塗工の透明基材1の面S1側を圧着する工程である。ただし、透明基材1上にプライマー層形成用組成物を塗工することは比較的容易なのに対し、版面33上にプライマー層形成用組成物を塗工することは比較的難しい。特に、凹版40が図6に示すような円筒状の場合は、重力によって塗工したプライマー層が垂れ下がるため、均一な膜厚の塗工が困難となる。それゆえ、本発明においては図4(A)及び図5に示すような透明基材1側にプライマー層2を塗工する形態を採用することが好ましい。
なお、図4(A)(B)において、凹部34以外の版面には、導電性組成物3’は全く存在していないか実質的に存在していない。ここでいう「実質的に存在していない」とは、ドクターブレード(図6の符号35、図7の符号109を参照。)やワイピングロール(図5の符号44を参照。)等を用いて導電性組成物3’を凹部34内に充填する際、その導電性組成物3’が凹部34以外の版面33(表面のこと。)にも存在してしまうことがある場合において、最終的に得られる図43(D)に示す電磁波遮蔽材10が、その目的を損なわない程度に導電層非形成部B(導電層パターンが形成されていない部分)での導電性組成物3’の存在を許容できることを意味している。その許容程度としては、例えば、前記のように、導電性組成物3’からなる導電層3の厚さや、導電性組成物3’の導電層非形成部Bにおける被覆率や、導電層非形成部Bの透過率等の特性、等を挙げることができる。そうした厚さ、被覆率、特性等は、導電層3を形成する電磁波遮蔽材10の仕様によっても異なるが、いずれにしても、導電層非形成部Bには導電性組成物3’が全く存在しないか実質的に存在しないように、版面33上の導電性組成物3’が掻き落とされる。
図4(C)は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2を介して、透明基材1と版面33とを圧着する工程である。図4(A)の工程ルートを経た後においては、ドクターブレードやワイピングロール等を用いて導電性組成物3’を版面33から掻き落とす際に「導電性組成物3’の凹み6」が凹部34に生じるが、その凹み6は、圧着時に、硬化するまで流動性のあるプライマー層2で埋められる。なお、図4(B)の工程ルートでは、プライマー層を版面33上に設ける際に、そのプライマー層2が凹み6を埋める。したがって、この図4(C)の工程では、透明基材1と版面33とがプライマー層2を介した態様で圧着し、その結果、硬化するまで流動性のあるプライマー層2は導電性組成物3’の凹み6を埋めた態様となっている。なお、この時点においては、導電性組成物3’も未硬化状態に保っておく。これによって、導電性組成物層とプライマー層との界面に、図3(A)〜図3(C)のような構造が形成される。本発明では、この圧着を保持した状態で少なくともプライマー層2を硬化する。「少なくとも」としたのは、プライマー層2のみを硬化して導電性組成物3’を硬化しない場合と、プライマー層2と導電性組成物3’とを同時に硬化する場合とを含む意味である。そして、その硬化処理は、電離放射線照射又は冷却によって行うことが好ましい。
図4(D)は、その後において、透明基材1及びプライマー層2を版面33から剥がした態様である。得られた電磁波遮蔽材10においては、導電性組成物3’を、プライマー層2を介した態様で透明基材1の一方の面S1に所定のパターンで転写することができた。ここで、図4(C)(D)は実際の断面観察結果に近い形状で示しているが、図4(D)に示したプライマー層2及び導電層3の形状が、図4(C)に示したプライマー層2及び導電性組成物3’の形状と完全に一致しないのは、両層の構成材料がいずれも可塑性を有する樹脂材料であることに基づいている。なお、導電層3は、図4(C)の工程で硬化処理されてもよいし、図4(D)の剥離工程後に硬化処理されてもよい。
次に、図5及び図6に示す製造方法及び製造装置について説明する。図5に示す本発明の電磁波遮蔽材10を得るための製造方法においては、先ず、供給された透明基材1の一方の面にプライマー層2を塗布する。この塗布工程は、ピックアップロール41が容器43内のプライマー層用樹脂組成物42に下方で接触し、そのプライマー層用樹脂組成物42を引き上げて透明基材1に塗布することにより行われる。プライマー層2が塗布された透明基材1は、ニップロール36によってプライマー層2側の基材面(S1)を版面33に圧着させることにより行われる。一方、圧着対象となる版面33には導電性組成物3’が塗布されている。このときの塗布工程は、ピックアップロール31が容器38内の導電性組成物3’に下方で接触し、その導電性組成物3’を引き上げて版面33に塗布することにより行われる。なお、図5においては、版面33上の凹部34以外の部分に導電性組成物3’が乗らないように、ワイピングロール44で掻き落とす。
圧着は、ニップロール36によってプライマー層2側の基材面を版面33に所定の圧力で付勢して密着させることにより行われる。この圧着により、凹部34内の導電性組成物3’とプライマー層2とを空隙なく密着させることができる。プライマー層2は未だ硬化しておらずに流動性を有しているので、図4(A)で示した凹み6内にプライマー層用樹脂組成物が充填され、透明基材1及び導電性組成物3’の間は全てプライマー層2で隙間なく満たされる。
図5に示すニップロール36での圧着工程後、プライマー層2と導電性組成物3’とが空隙なく密着し、その後、図5に「UVゾーン」と記された領域において、高圧水銀燈等の紫外線光源(図示しない)から輻射される紫外線を照射して、プライマー層2を硬化させることにより硬化工程を行い、次いでニップロール37(剥離ロール)を介して透明基材1及び硬化したプライマー層2を版面33から剥離する転写工程を経ることにより、版面内に充填された導電性組成物3’の透明基材1への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。そして、得られた電磁波遮蔽材10が有する導電層パターンは、図3に示したように、プライマー層2と導電層3との界面12が単純な界面構造にならず、両層の密着性が向上する。なお、硬化工程及び転写工程、及びその後に必要に応じて設けられる乾燥処理、硬化処理、めっき工程等、また、プライマー層2の厚さ、得られた所定パターンからなる導電層3の断面形態、転移率、アスペクト比等は、上記した電磁波遮蔽材10の説明欄で示したものと同様であるので、ここではその説明を省略する。
一方、本発明で採用する図5に示す態様の代わりに、版面上に直接プライマー層2を塗工する製造方法及び製造装置も可能である。図6に示す製造方法は、圧着工程までの工程が図5に示した製造方法とは異なっている。すなわち、先ず、透明基材1は、ニップロール36によって版面33に圧着されるように供給される。その透明基材1が圧着される版面33には、図6に示すように、最初に導電性組成物3’が塗布され、その後にプライマー層2が塗布形成される。導電性組成物3’の塗布工程は、ピックアップロール31が容器38内の導電性組成物3’に下方で接触し、その導電性組成物3’を引き上げて版面33に塗布することにより行われ、その後引き続いて、版面33上の凹部34以外の部分に導電性組成物3’が乗らないように、ドクターブレードで掻き落としている。また、プライマー層2の塗布工程も同様、ピックアップロール41が容器43内のプライマー層用樹脂組成物42に下方で接触し、そのプライマー層用樹脂組成物42を引き上げて、凹部34内に導電性組成物3’が充填されてなる版面33上に所定の厚さで塗布することにより行われる。プライマー層用樹脂組成物は未だ硬化しておらずに流動性を有しているので、図4(B)で示すように、凹み6内にプライマー層用樹脂組成物が空隙なく充填される。
圧着は、ニップロール36によって、透明基材1を版面33に所定の圧力で付勢して密着させることにより行われる。この圧着により、透明基材1はプライマー層2に密着する。圧着工程以後の工程、及びニップロール36等その他の構成については、図5での説明と同じであるので、ここでは詳しい説明を省略するが、図6に示すニップロール36での圧着工程後、プライマー層2と導電性組成物3’とが空隙なく密着し、その後に硬化工程や転写工程を経ることにより、版面内に充填された導電性組成物3’の透明基材1への転移(転写)が高い転移率のもとで確実に行われる。そして、得られた電磁波遮蔽材10が有する導電層パターンは、電磁波遮蔽材10の説明欄で示した図3に示すように、プライマー層2と導電層3との界面12が単純な界面構造にならず、両層の密着性が向上する。
図5と図6においては、ドラム型の版を用いているが、必ずしもドラム型の版でなくてもよく、平版であってもよい。平版を用いた場合には図5や図6のようなロール・トゥ・ロールのような連続製造はできないが、固定された平版に導電性組成物3’を塗布し、その後、ドクターブレード等で掻き取り、その後、プライマー層用樹脂組成物42をその上に塗布した後に例えば枚葉の透明基材1を圧着したり、プライマー層2を設けた枚葉の透明基材1をその上に圧着したりした後、透明基材1とプライマー層2とを剥がすことにより導電層3を基材側に転写することができる。そして、こうした工程を繰り返すことにより、透明基材1上にプライマー層2及び導電層3を少なくとも有する枚葉の電磁波遮蔽材10を連続的に製造することができる。
以上のように、本発明の画像表示装置30を構成する電磁波遮蔽材10の製造方法によれば、未硬化の導電性組成物3’が充填された所定パターンの凹部34を有する版面33と、導電性組成物3’の転写対象である透明基材1の一方の面S1とを、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2を介して圧着するので、凹部34内の導電性組成物3’上部に生じやすい凹み6に流動性のあるプライマー層2が充填される。その結果、プライマー層2が導電性組成物3’の凹み6に空隙なく密着するので、凹部34内の導電性組成物3’を透明基材1側に未転写部のない状態で正確に転写させることができる。こうして、導電性組成物3’の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波遮蔽材10を製造することができる。
また、電磁波遮蔽材10の製造方法によれば、転移後の導電層3の断面形状は、凹版の凹部形状を比較的良好に再現する。例えば、凹版の深さが20μmの版を用いれば、転移後の導電層3の乾燥時の体積収縮はあるものの、約20μm近い厚さの導電層パターンを形成することができる。この方法による凹版凹部形状の転移率([転移し硬化した凸状パターンの高さ/版凹部の深さ]×100〔%〕で定義する。)は、導電性組成物の硬化収縮率にも依存するため、一概には言えないが、通常、90%程度以上の値が得られる。これらの現象は、従来の凹版(グラビア)印刷では考えられないことである。従来の凹版印刷の場合、同じ導電性組成物を用いて印刷しても、凹版凹部形状の転移率は、本発明で用いるような流動性の低い導電性組成物の場合は、通常、最大でも20%程度である。
本発明において、こうした転移性改善効果が見られる原因についてはまだはっきりとはわからないが、実験結果を調査した結果では、断面のTEM分析において、プライマー層2と導電層3とを染色して観察したところ、既述のように、転移後の導電層3とプライマー層2との界面がはっきりと2層に分かれておらず、お互いに入り組んだ状態で相溶している形態を確認できた。
また、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により、(1)導電性組成物3’が転移した導電層パターンの表面、(2)導電性組成物3’が転移していない部分(開口部又は導電層非形成部B)のプライマー層表面、(3)導電性組成物3’を透明基材1上にベタ塗りし、乾燥させた塗工膜の表面、(4)プライマー層2を透明基材1上にベタ塗りし、固化させた塗膜の表面、を分析した。その結果、前記(3)の導電性組成物3’の塗工膜には見られず、前記(4)は見られるフラグメントが、前記の(1)(2)でも検出され、プライマー層2の成分が導電性組成物3’中を拡散していることが示唆された。これらの状況から考えると、流動性があるプライマー層2を導電性組成物3’と接触させた際に境界部分の相溶及び/又は境界の乱れが生じ、この状態でプライマー層2を固化させると、境界部分から導電性組成物3’の方向に向かう領域で、導電性組成物3’の増粘やゲル化などの現象が起こり、導電性組成物3’を版から引き抜きやすくなっているのではないかと推測される。
また、流動性のあるプライマー層2を構成する成分の一部が凹部にある未硬化の導電性組成物3’と混ざり、プライマー層2を固化させた際に導電性組成物3’の粘度を全体的に上げている可能性もある。いずれにしろ、流動性のあるプライマー層2を導電性組成物3’に接触させて、少なくともプライマー層2を固化させた後に剥離すれば、導電性組成物3’が完全に固化していないにもかかわらずほぼ100%近い転移が可能であった。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
図5に示す装置により電磁波遮蔽材10を製造した。先ず、透明基材1として、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻の無色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の光硬化性樹脂組成物を塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバースコート法を採用し、光硬化性樹脂組成物としては、エポキシアクリレートプレポリマー35重量部、ウレタンアクリレートプレポリマー12重量部、フェノキシエチルアクリレートからなる単官能アクリレートモノマー44重量部、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなる3官能アクリレートモノマー9重量部、さらに光開始剤としてイルガキュア184(物質名;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、製造元;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)3重量部添加したものを使用した。このときの粘度は約1300mPa・s(25℃、B型粘度計)であり、塗布後のプライマー層2は触ると流動性を示すものの、PETフィルム上から流れ落ちることはなかった。プライマー層2の塗布厚さは約20μmであった。
次に、プライマー層2が形成されたPETフィルムを転写工程を行う凹版ロール32に供するが、それに先だって、開口部の線幅が20μmで線ピッチが300μm、版深10μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版ロール32の版面33に、導電性組成物3’をピックアップロール31で塗布し、ドクターブレードで凹部34内以外の導電性組成物を掻き取って凹部34内のみに導電性組成物3’を充填させた。導電性組成物3’を凹部34内に充填させた状態の凹版ロール32と、ニップロール36との間に、プライマー層2が形成されたPETフィルムを供給し、凹版ロール32に対するニップロール36の押圧力(付勢力)によって、プライマー層2を凹部34内に存在する導電性組成物3’の凹み6に流入させ、導電性組成物3’とプライマー層2とを隙間なく密着させると共に、プライマー層2の一部を凹部34内の導電性組成物3’内に浸透せしめた。なお、用いた導電性組成物3’は、以下の組成の銀ペーストを用いた。
<導電性組成物(銀ペースト)の作製>
導電性粉末として平均粒径1μmの粒子状銀粉末93重量部、バインダー樹脂として熱可塑性のアクリル樹脂7重量部、溶剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルを配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして、固形分約88.5重量%の導電性組成物を作製した。
次いで行われる転写工程は以下の通りである。先ず、プライマー層2が形成されたPETフィルムを、そのプライマー層2が凹版ロール32の版面33側に対向した状態で、凹版ロール32とニップロール36との間に挟む。その凹版ロール32とニップロール36との間でPETフィルムのプライマー層2は版面33に押し付けられる。プライマー層2は流動性を有しているので、版面33に押し付けられたプライマー層2は、導電性組成物3’が充填した凹部34内にも流入し、凹部34内で生じた導電性組成物3’の凹み6を充填する(図4を参照)。こうしてプライマー層2は導電性組成物3’に対して隙間なく密着した状態となる。その後、さらに凹版ロール32が回転して高圧水銀燈からなるUVランプによって紫外線が照射され、光硬化性樹脂組成物からなるプライマー層2が硬化する。プライマー層2の硬化により、凹版ロール32の凹部34内の導電性組成物はプライマー層2と密着し、その後、出口側のニップロール67によってフィルムが凹版ロール32から剥離され、プライマー層2上には導電性組成物層3’(図4参照)が転写形成される。このようにして得られた転写フィルムを、110℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させて固化せしめ、プライマー層2上にメッシュパターンからなる導電層3を形成した。このときの導電層3が存在するパターン部分の厚さ(導電層3が形成されているメッシュパターン部分とそれ以外の部分との厚さの差)は9μmで、版の深さとほぼ同等の厚さ(転移率=(9/10)×100=90%)で転移しており、版の凹部34内の銀ペーストが高い転移率で転移していた。転移後の凹部34内を目視で観察したところ、ペーストの版残りは見られず、また、メッシュパターンの断線や形状不良も見られなかった。こうして本発明に係る実施例1の電磁波遮蔽材を作製した。
なお、この実施例1においては、導電層非形成部Bに凹陥部を実質的に形成しない手段として、アクリル樹脂からなるプライマー層形成用組成物に対して、導電性組成物の溶剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルを用い、更に、そのプライマー層形成用組成物として、揮発性溶剤を含まなくても流動性を有して塗工可能なプレポリマー及びモノマーからなる紫外線硬化性組成物を用いた。こうした処理によって、詳細且つ具体的な機構は不明であるが、その結果、得られた電磁波遮蔽材10の導電層3の凸状部とその周辺部を含む断面をレーザ光干渉型顕微鏡により拡大観察したが、導電層形成部Aの外方周縁部Cに凹陥部が認められなかった。
得られた電磁波遮蔽材10について、パターンの画像鮮明度をJIS K7105に従って、画像鮮明度測定装置にて測定したところ、80%であった。
また、その導電層パターン19部分の断面TEM(透過形電子顕微鏡)観察を行ったところ、オスミウム染色液で染色したプライマー層2と染色した導電層3との界面12は、染色色濃度が連続的に濃から淡に変化する階調(グラデーション)のようになっており、また細かく入り組んだ構造も観察され、境界部分が一部なじんでいる(相溶)していることが確認された。また、導電層3側の表面部分をSIMS分析したところ、導電性組成物には含まれないがプライマー層2には含まれるプライマー成分が観測され、プライマー成分の一部が硬化前に導電性組成物中に浸入していることが確認された。これらの状況から考えると、流動性があるプライマー層2が導電性組成物に接触した際に、その境界部分(界面12)の相溶及び境界の乱れが生じ、この状態でプライマー層2を固化させると、境界部分から導電性組成物内部に向かう領域で、導電性組成物の増粘やゲル化などの現象が起こり、導電性組成物を版から引き抜きやすくなっているのではないかと推測された。又は、流動性のあるプライマー層のプライマー成分の一部が版内の導電性組成物層と混ざり、プライマー層を固化させた際に導電性組成物層の粘度を全体的に上げていることが推察される。いずれにしろ、流動性のあるプライマー層2を導電性組成物層に接触させて、プライマー層2を固化させた後に剥離すれば、導電性組成物層が完全に固化していないにもかかわらず、ほぼ100%近い転移が可能であった。
(比較例1)
実施例1において、PETフィルムの易接着処理面にプライマー層を塗布しない以外は実施例1と同様にして導電性組成物を転写させた。しかしながら、その際、PETフィルム上への導電性組成物の転写は十分でなく、断線やパターン抜けが多発した。また、乾燥後のパターン厚さも1μm程度であり、転移率が著しく悪かった(転移率=(1/10)×100=10%)。その後の電気銅めっきも均一にめっきすることはできなかった。この理由は、ドクターブレードにて凹部34以外の導電性組成物を除去する際に、凹部34内からも少なからず導電性組成物3’が掻き出されて凹部34内の導電性組成物3’には凹み6が生じるが、その凹み6の存在により、導電性組成物3’がPETフィルム上に密着よく転写されずに部分的に導電層が断線し、めっきに必要な導通(電位差)が得られないためと考えられる。
(比較例2)
実施例1において、導電性組成物の溶剤にブチルセロソルブアセテートを使用した銀ペーストを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電磁波遮蔽材を作製した。こうして得られた電磁波遮蔽材は、実施例1と同様の方法で観察したところ、導電層形成部Aの外方周縁部Cに凹陥部Dが形成されていた。具体的には、比較例2では、図8に示すΔhが0.5〜1.4μm程度で、ΔWが10〜30μmの範囲となっていた。また、実施例1と同様に測定した画像鮮明度は45%であり、外観は実施例1に比べて悪かった。
(評価結果)
実施例1及び比較例1、2で作製した電磁波遮蔽材についての評価結果を表1にまとめた。なお、表1において、転写性は、フィルム上への導電性組成物の転写状況から判断し、密着性よく所定のメッシュパターンが一様に転写されていると300倍に拡大した顕微鏡観察により目視確認できたものを「良好」として評価し、所定のメッシュパターンが一様に転写されてないものを「不良」として評価した。また、シールド性は、得られた電磁波遮蔽材をシールド材評価器((株)アドバンテスト製、TR17301A)を用いて電磁波シールド特性を測定した結果、200〜600MHzの範囲で−30デシベル程度以下のシールド特性を有するものを「良好」として評価し、−30デシベル程度より高いシールド特性を有するものを「不良」として評価した。
また、得られた電磁波遮蔽材の導電層3側を、画像表示装置本体20の画面前面S3側と対面する向きで、対角線長37インチのプラズマディスプレイ装置の前面に設置した。この状態で、プラズマディスプレイ装置の画面を点燈し、全面白色パターン、各種テストパターンを表示し、画面を法線方向及び法線方向と45度の角度方向の2方向から目視観察した。その結果、モアレ等の縞模様が、何れの画面においても、且つ何れの方向においても観察不能な場合を「良好」とし、何れの画面において、或いは何れの方向において観察可能な場合を「不良」とした。
Figure 2010134301
本発明の画像表示装置を構成する電磁波遮蔽材の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の画像表示装置の一例を示す模式的な断面構成図である。 電磁波遮蔽材の導電層形成部の断面形態の例を示す模式図である。 本発明の画像表示装置を構成する電磁波遮蔽材の製造方法についての説明図である。 電磁波遮蔽材の製造方法と製造装置の一例を示す概略構成図である。 電磁波遮蔽材の製造装置と製造装置の他の一例を示す概略構成図である。 透明基材上に導電性インキ組成物の未転写部が発生する従来の現象の説明図である。 導電層形成部である凸状パターンに隣接する外方周縁部に、凹陥部が生じた例を示す断面図である。 導電層形成部である凸状パターンの外方周縁部に凹陥部が生じている場合において、画像表示装置本体から出射して電磁波遮蔽材の導電層非形成部に入射する光線の挙動を説明する断面図である。
符号の説明
1 透明基材
2 プライマー層
3 導電層
3’ 導電性組成物層
5 サイドエッジ
6 凹み
10 電磁波遮蔽材
12 プライマー層と導電層との界面
14 混合領域
16 プライマー成分
19A,19B,19C 導電層パターン(凸状パターン、凸状部)
20 画像表示装置本体
25 光学調整層
30 画像表示装置
31 ピックアップロール
32 凹版ロール
33 版面
34 凹部
35 ドクターブレード
36 ニップロール
37 ニップロール
38 充填容器
40 凹版
44 ワイピングロール
A 導電層が形成されている部分(導電層形成部)
B 導電層が形成されていない部分(導電層非形成部)
C 外方周縁部
D 凹陥部
Aの厚さ
Bの厚さ
導電層(導電性組成物層)の厚さ
S1 基材の一方の面
S3 画像表示装置本体の画面前面

Claims (3)

  1. 画像表示装置本体の画面前面に電磁波遮蔽材を配置してなる画像表示装置であって、
    前記電磁波遮蔽材は、透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定の凸状パターンで形成された、導電性組成物からなる導電層とを有し、該導電層は表面が被覆されずに露出してなり、
    前記プライマー層のうち前記導電層が形成されている導電層形成部におけるプライマー層の厚さは、前記導電層が形成されていない導電層非形成部におけるプライマー層の厚さよりも厚く、且つ前記プライマー層は、前記導電層形成部の外方周縁部において凹陥部が実質的に存在しないことを特徴とする画像表示装置。
  2. 前記導電層形成部は、(a)前記プライマー層と前記導電層との界面が非直線状に入り組んでいる断面形態、(b)前記プライマー層と前記導電層との界面が該プライマー層を構成する成分と該導電層を構成する成分との混合領域を有する断面形態、及び、(c)前記プライマー層と前記導電層との界面が該導電層を構成する導電性組成物中に該プライマー層に含まれる成分が存在している断面形態、のいずれか1又は2以上の断面形態を有する、請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記電磁波遮蔽材は、該電磁波遮蔽材を構成する導電層側が前記画像表示装置本体の画面前面に対峙するように配置されている、請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置。
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