JP2012089675A - 透明導電材及びこれを用いたプラズマディスプレイパネル画像表示装置 - Google Patents

透明導電材及びこれを用いたプラズマディスプレイパネル画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】外光に対する優れた反射防止性能を発揮し、且つ、表面抵抗値の増加を抑え、導電性の低下を抑制することが可能な透明導電材を提供すること。
【解決手段】電磁波遮蔽層とコントラスト向上層とを含む透明導電材であって、電磁波遮蔽層は透明基材と、該透明基材上に所定のパターンで形成された導電性パターン層を有するものであり、該導電性パターン層は金属粒子とバインダー樹脂を含み、該導電性パターン層の表面において金属粒子の一部分がバインダー樹脂から露出しており、該金属粒子露出部分がその表面に溝状凹部及び微小突起を有するものである透明導電材である。
【選択図】図1

Description

本発明は、所定のパターンで形成された導電性層及びコントラスト向上層を有し、画像表示装置の前面(画面)に装着する透明な電磁波シールド材、透明アンテナ、透明タッチパネル基板などに用いることができる透明導電材に関する。
テレビジョンやパーソナルコンピュータのモニタ等の画像表示装置(ディスプレイ装置ともいう)として、例えば、陰極線管(CRT)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置(LCD)、プラズマディスプレイ装置(PDP)、電場発光(EL)ディスプレイ装置等が知られている。これらのディスプレイ装置のうち、大画面ディスプレイ装置の分野で注目されているプラズマディスプレイ装置は、発光にプラズマ放電を利用するため、30MHz〜1GHz帯域の不要な電磁波が外部に漏洩して他の機器(例えば、遠隔制御機器、情報処理装置等)に影響を与えるおそれがある。そのため、プラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネルの前面側(観察者側)に、可視光線は透過し且つ漏洩する電磁波を遮蔽するためのフィルム状の電磁波シールド材を設けるのが一般的である。
なお、本願明細書中において、「電磁波」とは広義の電磁波の中で、周波数30MHz〜1GHz帯域を中心とするkHz〜GHz帯域のもの(所謂電波)を意味する。より高周波数の赤外線、可視光線、紫外線等は、各々、赤外線、可視光線、紫外線等と呼称する。
電磁波シールド材は今までに種々検討されているが、例えば特許文献1には、透明基材上に銀粒子等を含む導電インキによる導電性パターンを設けたPDP前面用電磁波シールド材が開示されている。しかし、導電性パターン層表面近傍の銀粒子等が外光を反射して画面を白化し、画像コントラストを低下させるという問題がある。
このような問題の対策として、例えば、特許文献2のように、銀粒子含有導電インキに黒鉛を混合して外光を吸収することが考えられるが、導電性の低い黒鉛を混合するためにインキの導電性(電磁波遮蔽性)が低下することとなる。また、特許文献1には、導電性パターン層を黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の黒化層で被覆することが開示されている。しかし、導電性(電磁波遮蔽性)と黒化度が両立し難いという課題、及び導電インキに加えてニッケル、コバルト等といった金属材料が更に必要となり、黒化層被覆工程が増えることによるコストの増加、廃液中の重金属回収処理の手数の増加という課題がある。
さらには、電磁波シールド材層(導電性パターン層)の厚さは通常、2〜50μmと厚くはないので、特許文献1記載の従来公知の黒化処理層を設けただけでは、外光照射など強い光の下での画像コントラスト向上効果はなお不十分である。
これに加えて、一般に物質、特に金属の物性として、光反射性能と電磁波反射性能とは、共に、物質内部の自由電子の電磁場に対する応答性に起因する。従って、黒化層は、光の反射率を低くする程、電磁波の反射性即ち電磁波シールド(遮蔽)性は低下する傾向にある。その為、従来、黒化層について、反射防止性能と電磁波シールド性能との両立は困難であった。
WO2008/149969号パンフレット 特開2001−102792号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、外光に対する優れた反射防止性能を発揮し、且つ、表面抵抗値の増加を抑え、導電性の低下を抑制することが可能な透明導電材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、透明基材と、該透明基材上に所定のパターンで形成された導電性パターン層を有する電磁波遮蔽層において、金属粒子とバインダー樹脂を含む該導電性パターン層の表面に存在する金属粒子の一部がバインダー樹脂から露出しており、該金属粒子露出部分がその表面に溝状凹部及び微小突起を有する構造とする電磁波遮蔽層とコントラスト向上層とを組み合わせることにより解決しうることを見出した。本発明はかかる知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)電磁波遮蔽層とコントラスト向上層とを含む透明導電材であって、電磁波遮蔽層は透明基材と、該透明基材上に所定のパターンで形成された導電性パターン層を有するものであり、該導電性パターン層は金属粒子とバインダー樹脂を含み、該導電性パターン層の表面において金属粒子の一部分がバインダー樹脂から露出しており、該金属粒子露出部分がその表面に溝状凹部及び微小突起を有するものである透明導電材、
(2)上記(1)に記載の透明導電材であって、前記コントラスト向上層と前記電磁波遮蔽層のうち観察者側に位置する層の観察者側、前記コントラスト向上層と前記電磁波遮蔽層のうち画像表示装置側に位置する層の画像表示装置側、前記コントラスト向上層と前記電磁波遮蔽層の間、のいずれか1箇所以上に機能層を設けた透明導電材、
(3)前記コントラスト向上層が前記電磁波遮蔽層よりも観察者側に位置し、該コントラスト向上層の該電磁波遮蔽層とは反対側に反射防止層を設けた上記(2)に記載の透明導電材。
(4)上記(1)〜(3)に記載の透明導電材をプラズマディスプレイパネル本体の前面にとりつけたプラズマディスプレイパネル画像表示装置、
を提供するものである。
本発明の透明導電材は、電磁波遮蔽層とコントラスト向上層とを含み、電磁波遮蔽層は、金属粒子とバインダー樹脂を含む導電性パターン層の表面において、金属粒子の一部分がバインダー樹脂から露出しており、該金属粒子露出部分がその表面に溝状凹部及び微小突起を有することにより、導電性パターン層表面は暗色を呈している。即ち、金属粒子表面の微細構造によって外光反射を抑制するものである。このため、該電磁波遮蔽層は、外光に対する優れた反射防止性能を発揮し、且つ、導電性パターン層の表面を高電気抵抗の黒化層で被覆するわけではないので、導電性は低下しない為、電磁波シールド性能と外光反射防止性能とが両立する。さらに、この電磁波遮蔽層にコントラスト向上層を組み合わせているので、外光に対する反射防止性能は一層強いものとなっている。すなわち、外光はコントラスト向上層と電磁波遮蔽層とで二重に遮蔽される。さらには、反射防止層をも設けた場合には、反射防止性能はより一層強くなる。
また、電磁波遮蔽層における黒化層形成に際して、更なる金属めっき処理も不要の為、特許文献1の従来技術のようなコストの増加、廃液中の重金属回収処理の手数の増加もない。
図1(A)は、本発明に係る透明導電材(PDP用前面フィルタ)の必須構成部材である電磁波遮蔽層とコントラスト向上層を模式的に示した拡大断面図である。図1(B)は、本発明の透明導電材の電磁波遮蔽層の導電性パターン層の表面を模式的に示した拡大斜視図である。 実施例1で得られた本発明の透明導電材の電磁波遮蔽層の導電性パターン層表面のSEM写真である。 本発明に係る透明導電材の層構成の一例を模式的に示した断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔透明導電材〕
本発明の透明導電材1000は、図1(A)に示すように、透明基材20と、透明基材20上に所定のパターンで形成された導電性パターン層10とを有する電磁波遮蔽層100と、直線状に連なる楔型の溝部である光吸収部30と該光吸収部間の透光性領域40からなるコントラスト向上層200とを必須構成部材として含むものである。
なお、本発明の透明導電材を主用途であるPDP用前面フィルタに用いる場合、電磁波遮蔽層100とコントラスト向上層200とは、どちらが観察者側或いは画像表示装置側に位置してもよい。
〔電磁波遮蔽層〕
本発明の透明導電材における電磁波遮蔽層100は、透明基材20と、透明基材20上にメッシュ形状に代表される所定のパターンで形成された、金属粒子1とバインダー樹脂2を含む導電性パターン層10とを有する。そして、図1(B)に示すように、導電性パターン層10の表面において、金属粒子1の一部分がバインダー樹脂2から露出し、該金属粒子露出部分は、その表面に溝状凹部1v及び微小突起1pを有することを特徴とする。この金属粒子露出部分の表面構造が呈する光散乱により、導電性パターン層表面が暗色を呈する。
なお、図1(A)、図1(B)及び図3は説明の便宜上、縦横の縮尺の比率は、適宜、実物よりも増減してある。また、導電性パターン層10内の金属粒子の大きさ、分布状態等も誇張して図示している。
以下、本発明の透明導電材における電磁波遮蔽層100の構成を説明する。
(透明基材)
透明基材20は、可視光線領域での透明性(光透過性)、耐熱性、機械的強度等の要求物性を考慮して、公知の材料及び厚みを適宜選択すればよく、特に制限はないが、生産性に優れるロール・トゥ・ロールでの連続加工適性を考慮すると、フレキシブルな樹脂フィルム(乃至シート)が好ましい。なお、ロール・トゥ・ロールとは、巻取(ロール)から巻き出して供給し、適宜加工を施し、その後、巻取に巻き取って搬送ないしは保管する加工方式をいう。
樹脂フィルム乃至シートの樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール−テレフタール酸共重合体、エチレングリコール−テレフタール酸−イソフタール酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリプロピレン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(ナイロン)系樹脂等である。なかでも、ポリエチレンテレフタレートはその2軸延伸フィルムが耐熱性、機械的強度、光透過性、コスト等の点で好ましい透明基材である。
なお、透明導電材に可撓性を要求しない場合は、透明基材10として、硝子、石英等の透明な無機材料の板を使用することもできる。
透明基材20の厚みは基本的には特に制限はなく用途等に応じ適宜選択し、フレキシブルな樹脂フィルムを利用する場合、例えば12〜500μm、好ましくは25〜200μm程度である。
また、透明基材上に後述するプライマー層を設ける場合には、プライマー層との密着性を確保するために、透明基材表面に別途密着性改善のための表面処理や、易接着層、下地層などが設けられていてもよい。
(導電性パターン層)
本発明の透明導電材の電磁波遮蔽層100における導電性パターン層10は、金属粒子1及びバインダー樹脂2を含み、透明基材上20又は該透明基材上にプライマー層を形成する場合には該プライマー層上に所定のパターンで設けられた層である。
パターン形状としてはメッシュ(網目乃至格子)形状が代表的なものであるが、その他、ストライプ(平行線群乃至縞模様)形状、螺旋形状等も用いられる。メッシュ形状の場合、単位格子形状は、正3角形、不等辺3角形等の3角形、正方形、長方形、台形、菱形等の4角形、6角形、8角形等の多角形、円、楕円等が用いられる。また、モアレを軽減する目的で、ランダム網目状、又は擬似ランダム網目状のパターンなども使用可能である。その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5〜50μmとすることができ、線間ピッチは100〜500μmとすることができる。開口率(所定パターンの全面積中における開口部の合計面積の占める比率)は、通常、50〜95%程度である。また所定パターンとは別に、その周辺部の全周又はその一部にそれと導通を保ちつつ隣接した全ベタ(開口部なし)等の接地パターンが設けられる場合もある。
なお、線幅は、より高透明のものを得るために、より一層微細化することが求められている。この観点から、30μm以下、特に20μm以下とすることが好ましい。
また、導電性パターン層10の厚さは、その導電性パターン層の抵抗値によっても異なるが、導電性能と該導電性パターン層上への他部材の接着適性との兼ね合いから、その中央部(突起パターンの頂部)での測定において、通常、2μm以上50μm以下であり、好ましくは、5μm以上20μm以下である。
この導電性パターン層10は、金属粒子1とバインダー樹脂2を含む導電性組成物(導電性インキ或いは導電性ペースト)を、後述する印刷法により基材上又は透明プライマー層上に形成することで得ることができる。
導電性組成物を構成する金属粒子1は、金、銀、白金、銅、ニッケル、錫、アルミニウムなどの低抵抗率金属の粒子である。
金属粒子の形状は、正多面体状、截頭多面体状等の各種の多面体状、球状、回転楕円体状、鱗片状、円盤状、樹枝状、繊維状等から選ぶことができるが、本発明で使用する金属粒子は、表面に複数の溝状凹部を有するものであることを要する。
金属粒子の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、好ましくは、平均粒子径が0.01〜10μm程度のものを用いることができる。得られる導電性パターン層の電気抵抗を低く(好ましくは、表面抵抗率が0.8Ω/□以下)して良好な導電性を得るためには、平均粒子径は小さい方が好ましく、この観点からは平均粒子径0.1〜1μmが好ましい。また、粒子径の分布については、得られる導電性パターンの電気抵抗を低くするためには、分布幅が狭く単一粒子径に近いよりも、相対的に大粒子径の粒子と相対的に小粒子径の粒子との混合系からなる方がよい。
導電性組成物中の金属粒子の含有量は、金属粒子の導電性や粒子の形態に応じて任意に選択されるが、好適な導電性の発現、導電性パターン層の機械的強度の維持、及び印刷適性を兼ね備える為には、例えば導電性組成物の固形分100質量部のうち、金属粒子を40〜99質量部、より好ましくは90〜97質量部の範囲で含有させることができる。なお、本明細書において、平均粒子径というときは、粒度分布計、またはTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値を指している。
なお、観察により粒子径を測定する場合、粒子形状が球の場合は、その直径が粒子径である。また、粒子形状が非球形状の場合は、該粒子の外接球の直径をもって粒子径とする。
導電性組成物を構成するバインダー樹脂2としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。なお、後述の電気抵抗低減化処理を施す場合は、酸又は温水にて溶解することのない非水溶性樹脂を用いる。かかるバインダー樹脂を例示すると、熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマーの材料として後述する物を挙げることができ、これらを1種単独で、或いは2種以上混合して用いる。
熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂を挙げることができ、これらを1種単独で、或いは2種以上混合して用いる。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。紫外線(乃至可視光線)硬化型の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。導電性ペーストとして用いる溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤の中から適宜選択して使用できるが、プライマー層を設ける場合には該プライマー層の安定硬化を阻害したり、硬化後のプライマー層を膨潤、白化、溶解させたりしないものが好ましい。溶剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ない方が好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
また、導電性組成物の流動性や安定性を改善するために、導電性や、透明基材又はプライマー層との密着性に悪影響を与えない限りにおいて適宜充填剤や増粘剤、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、沈降防止剤などを添加してもよい。
(導電性パターン層表面)
本発明の電磁波遮蔽層における導電性パターン層10は、図1(B)に模式的に示し、且つ図2に実施例1で得られた本発明の透明導電材の電磁波遮蔽層の導電性パターン層の表面拡大写真ですように、表面において、金属粒子1の一部分がバインダー樹脂2から露出し、該金属粒子露出部分は、その表面に溝状凹部1v及び微小突起1pを有することを特徴とする。また、該金属粒子非露出部分、すなわち、バインダー樹脂2の内部に埋没している部分は、他の露出部のある金属粒子の埋没部及び露出部のない金属粒子と接触してバインダー樹脂内部で金属粒子が連結されている。
なお、露出部のないバインダー樹脂内部に埋没した状態の金属粒子は溝状凹部1vを有していても、いなくてもいずれでもよい。ここで、金属粒子のバインダー樹脂内部に埋没した部分を金属粒子埋設部1mと呼ぶ。
予め金属粒子1表面に該溝状凹部を形成したものをバインダー樹脂中に分散する場合は、金属粒子埋設部1m及び金属粒子露出部分の両方に溝状凹部1vが形成される。
また、該溝状凹部のない金属粒子1をバインダー樹脂中に分散した組成物から導電性パターン層10を形成し、しかる後に、メッキ、腐蝕加工等によって、露出した該導電性パターン層表面に該溝状凹部を形成する場合には、金属粒子露出部分のみに溝状凹部1vが形成される。
溝状凹部1vの形態は、好ましくは、該金属粒子露出部表面に溪谷状に走行する形態、分岐した形態、或いは溪谷状に走行し且つ分岐した形態を呈する。溝状凹部1vの表面から見た形状(平面視形状)は直線状又は曲線状に走行し、折線状や蛇行曲線に走行してもよい。また、溝状凹部1vの深さ及び幅は0.01〜2μmで、且つ最大でも金属粒子1の直径dmの20%以下とすることが、光反射の低減と金属粒子自体の強度の維持の点から好ましい。
後述するように、通常は、金属粒子露出部分の微小突起1pは、金属粒子の一部分がバインダー樹脂から露出している導電性パターン層の表面を特定の暗色化処理をすることによって形成される。この場合には、微小突起1pは金属粒子露出部のみに形成される。一方、バインダー樹脂2に添加する前の金属粒子単独の状態で該暗色化処理をすれば、全金属粒子、すなわち金属粒子のバインダー樹脂内部に埋没した金属粒子埋設部1m部分にも微小突起1pが形成されることとなる(図示はせず)。すなわち本出願に於いては、この暗色化処理は特に工程実施順番に影響されない。
金属粒子1の金属粒子径dmは0.1〜10μmであり、微小突起径dpは該金属粒子径よりも小さく、0.01〜0.1μmであって、1/1000≦dp/dm≦1/10の関係を有する。なお、粒子径dm、dpは、粒子が非球の場合、外接球の直径と定義する。
微小突起1pは、金属粒子1と独立した微粒子の付着、或いは金属粒子自体の突起のいずれであってもよい。また、微小突起1pは、金属粒子1と同材料、異材料のいずれであってもよい。また、微小突起1pの形状は、例えば、球、回転楕円体、多面体、或いは針状形状、乃至その一部分(半球等)である。
微小突起1pの突起数は、10〜1000個/1金属粒子露出部分であり、好ましくは、100〜1000個/1金属粒子露出部分である。
該金属粒子露出部分における金属粒子1の露出割合は、該金属粒子表面の十分な暗色化及び該金属粒子の導電性パターン層10からの脱落防止との兼ね合いから、該金属粒子の全体積の10〜60%、好ましくは20〜50%の範囲である。
このような金属粒子露出部分の表面構造により、導電性パターン層表面の鏡面反射性が低下して該表面が暗色を呈している。
この導電性パターン層10の表面が呈する暗色としては、金属粒子1の露出部分の溝状凹部1vの及び微小突起1pの構造如何(溝状凹部の平面視形状、溝幅、溝深さ、溝の横断面形状、溝の本数、分岐状態、及び微小突起の大きさ、形状、個数の面密度等)によって、更には後述の金属暗色化方法の処理条件如何によって各種の明度、彩度、及び色相を呈することが可能であるが、金属粒子表面の反射率、特に鏡面反射率を低減化させる為、低明度の無彩色又は有彩色、即ち暗色となる。暗色としては具体的には、黒色が代表的であるが、その他、(濃い)灰色、褐色、紺色、深緑色、臙脂色、濃紫色等が可能である。
導電性パターン層表面における、かかる金属粒子露出部分の表面構造は、次のようにしてつくりだすことができる。
すなわち、透明基材の一面側に、金属粒子及びバインダー樹脂を含み、表面において金属粒子の一部分がバインダー樹脂から露出している導電性パターン層が形成された導電部材を、例えば、後述する、テルルが溶解された塩酸水溶液、或いはBayer社から商品名NIGROSIN WLF(登録商標)で市販されているC.I. Acid Black2(C.I.No.50420)が溶解された塩酸水溶液などの金属暗色化処理液に浸漬することにより、金属粒子露出部分の上記の表面構造が形成され、水洗、乾燥を経て、導電性パターン層表面が暗色化された本発明の電磁波遮蔽層を得ることができる。特に、上記の処理方法は、金属粒子1が銀粒子の場合に好適である。
これらの金属暗色化方法において、金属粒子露出部分の微小突起1pが如何なる物質・材料からなるかは未だ明らかではない。
金属粒子として銀粒子を用いた導電部材をテルル塩酸水溶液法で処理したものは、該微小突起には、TeCl2、Te、TeCl4、AgCl、TeO2、AgO、Ag2Oのうち少なくとも1種が含まれている可能性があるが、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX:Energy Dispersive X−ray Fluorescence Spectrometer)を用いて分析を行ったところでは、Cl元素とAg元素が確認された。
したがって、この分析結果及び暗色層の色調からは、該暗色層には、特に、AgCl、AgClが光と反応して生成した反応物(Ag(銀)と考えられる)、又はAg2Oが含まれていると推測される。
また、C.I. Acid Black2塩酸水溶液処理に関して次のようなことがいえる。
金属粒子を含まないバインダー樹脂のみの塗膜をC.I. Acid Black2塩酸水溶液に浸漬しても樹脂は着色(染色)せず、金属粒子として銀粒子を用いた導電部材を塩酸のみ或いはC.I. Acid Black2のみの水溶液に浸漬しても導電性パターン層は着色(染色)せず、C.I. Acid Black2塩酸水溶液への浸漬ではじめて導電性パターン層表面の着色、暗色化がみられる。この場合も、導電性パターン層表面近傍からはC.I. Acid Black2は検出されず、微小突起1bが如何なる物質・材料からなるかは不明であるが、元素分析等の分析結果からは、AgCl又はそれが光等で還元されたAgと推測される。
(プライマー層などその他の層)
本発明の電磁波遮蔽層においては、透明基材10と導電性パターン層20との密着性を高めるために、該透明基材と該導電性パターン層との間にプライマー層を設けることが好ましい。
該プライマー層は、透明基材及び導電性パターン層の双方に密着性が良く、また開口部(導電性パターン層非形成部)の光透過性確保のために透明な層である。
更に、導電性パターン層の形成を後述の如き特定の凹版印刷法で行なう場合には、該プライマー層は、流動性を保持できる状態で透明基材上に設けられ、凹版印刷時の凹版に接触している間に液状から固化させる層として形成される層となり、最終的な導電部材が形成されたときに固化している層である。
かかる透明プライマー層を構成する材料としては、本来特に限定はないが、本発明では、導電性パターン層の形成方法として後述の如き特定の凹版印刷法が推奨されるため、プライマー層も、未硬化状態において液状(流動性)の電離放射線重合性化合物を含む電離放射線硬化性組成物を塗工、硬化(固体化)してなる層が好適に用いられる。以下、この材料を中心に詳述する。
該電離放射線重合性化合物としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーが用いられる。
かかるモノマーとしては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
また、かかるプレポリマー(乃至オリゴマー)としては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
電離放射線として、紫外線、又は可視光線を採用する場合には、通常は、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系等の化合物が、又カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加する。
なお、電離放射線としては、紫外線、又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線、各種イオン線等の荷電粒子線を用いることもできる。
上記電離放射線硬化性組成物は、溶剤を含んでもよいが、その場合塗布後に乾燥工程が必要となるため、コストを考えれば溶剤を含まないタイプ(ノンソルベントタイプ乃至無溶剤型)であることが好ましい。
プライマー層の厚さ(導電性パターン層10の非形成部の厚みで評価)は特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm〜100μm程度となるように形成される。また、プライマー層の厚さは、通常は、導電性パターン層とプライマー層との合計値(総厚。導電性パターン層の頂部と透明基材の表面との高度差)の1〜50%程度である。
また、必要に応じ適宜その他の層の形成、乃至は処理を施してもよい。例えば、錆びに対する耐久性が不十分な場合は、防錆層を設けるとよい。該防錆層は、従来公知の材料及び手法により設けることができる。
[電磁波遮蔽層の製造方法]
本発明の透明導電材における電磁波遮蔽層の製造方法は、
(a)透明基材の一面側に、金属粒子及びバインダー樹脂を含み、表面において金属粒子の一部分がバインダー樹脂から露出している導電性パターン層が形成された導電部材を準備する工程、及び
(b)前記導電部材を、金属暗色化処理液に浸漬することにより、金属粒子露出部分に前記の表面構造が形成されて、導電性パターン層表面を暗色化する工程を含むことを特徴とする。
以下、本発明の代表的な実施形態を例示して電磁波遮蔽層の製造方法を説明する。
(導電部材を準備する工程)
本工程では、透明基材の一方の面に金属粒子及びバインダー樹脂を含む導電性組成物(導電性ペースト)を用いて導電性パターン層を形成する。
なお、本発明の電磁波遮蔽層において、導電性パターン層表面の暗色化は、既述のように、表面に複数の溝状凹部を有する金属粒子を後述の暗色化処理を行うことでなされるものであるため、金属粒子としてはそのような表面構造のものを選択し使用することを要する。
該導電性パターン層の有する所定パターンは、例えば、シルクスクリ−ン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の公知の各種印刷法によって形成することができる。
また、透明基材と導電性パターン層との密着性を高めるために、該透明基材と該導電性パターン層との間にプライマー層を設ける場合には、上記導電部材の製造方法としては、特許文献1に記載される特定のプライマーを用いた凹版印刷が推奨される。さらに、本発明において、導電性パターン層表面を暗色化するためには、導電性パターン層の表面において、金属粒子の一部分がバインダー樹脂から露出している必要があるが、特許文献1に記載される凹版印刷がこのような導電部材を得やすいので好ましい。
以下、この凹版印刷法の概略を述べる。
当該凹版印刷法は、所定のパターンで形成された版面に、導電性組成物を塗布した後、その凹部内以外に付着した導電性組成物を掻き取って該凹部内に導電性組成物を充填し、これに液状プライマー層を片面に形成済みの透明基材を、該プライマー層が凹版に接する向きで圧着して、凹部内の導電性組成物とプライマー層とを空隙無く密着させ、その状態でプライマー層を液状から固体状に固化させた後、透明基材を凹版から離して離版させることで、透明基材上の固化したプライマー層上に導電性組成物を転移させて、印刷するものである。
印刷後、つまり離版後、まだ液状である導電性パターン層に対しては、乾燥操作、加熱操作、冷却操作、化学反応操作などを適宜行い、導電性組成物を固化せしめて導電性パターン層を完成させる。また、導電性組成物は、版上で半硬化させ離版後に完全硬化させてもよい。
このように、導電性組成物が未硬化或いは半硬化の状態で版から引き抜いて、離版後に(完全)硬化させると、バインダー樹脂が収縮して、金属粒子の一部分がバインダー樹脂から露出する形態となりやすく、導電性パターン層表面の暗色化処理に好適である。
なお、一般に、凹版印刷では、導電性組成物を版面に供給し、ドクターブレード等で余剰の該組成物を掻き取って版凹部に該組成物を充填する際、充填された該組成物の表面に凹みが発生し、該凹部の為、透明基材との密着不良、透明基材上への該組成物の転移率低下という不具合を生じていた。
一方、特許文献1の凹版印刷では、凹版凹部内に充填された導電性組成物の上部に窪み(凹み)が生じても、液状で流動性のプライマー層を介して印刷するので、印刷中にプライマー層を該窪みに流し込み隙間なく密着させた状態にでき、その後、プライマー層を固化させてから透明基材を凹版から離すので、透明基材上に固化したプライマー層を介して所定パターンの導電性パターン層を、細線でも、転移不足による断線や形状不良、インキ密着性不足などの印刷不良の発生なく形成できる。かくの如く凹版凹部内に充填されたインキの表面に生じる窪みをプライマー層が流入、充填する結果、得られた導電部材は、プライマー層の厚みが、前記導電性パターン層が形成されている部分の厚みが前記導電性パターン層が形成されていない部分の厚みよりも厚くなる。
かかる凹版印刷により導電部材を準備することができるが、このものを、更に、(i)温水処理として、水分存在下、且つ比較的高温下にて処理する、及び/又は(ii)酸処理として、酸に接触させることによって、該導電性パターンの体積抵抗率、更には表面抵抗率が低下し、導電性能が向上する。
(i)の温水処理は、水温30〜100℃の温水の中に導電部材を浸漬したり、温水を導電部材上に掛け流したり、或いは気温30〜100℃で相対湿度60%以上の雰囲気中に暴露する方法が好ましく、処理時間は、概ね5分〜20秒程度である。
(ii)の酸処理において、酸としては、特に限定されず、種々の無機酸、有機酸から選択できるが、好ましくは塩酸、硫酸、クエン酸およびその水溶液であり、酸による処理時間は数分以下で十分であり、処理温度は、常温で十分である。酸で処理する方法は特に限定されないが、酸の溶液の中へ浸漬させる方法が、導電性向上効果に優れるため好ましく、酸の濃度は、好ましくは1mol/L以下、より好ましくは0.1mol/L以上である。
これら電気抵抗低減化処理のうち、電気抵抗低減化効果、作業性の点から、(ii)の酸処理の後、引き続いて(i)の温水処理を行うことが好ましい。
かかる電気抵抗低減化処理によって、導電性パターン層全体の表面抵抗率は処理前の80〜30%程度に減少する(見かけの体積抵抗率も同様に処理前の80〜30%程度となる)。
(導電性パターン層表面を暗色化処理する工程)
本工程は、前記工程で製造した、透明基材の一面側に、金属粒子及びバインダー樹脂を含み、表面において金属粒子の一部分がバインダー樹脂から露出している導電性パターン層が形成された導電部材を、金属暗色化処理液に浸漬することにより、金属粒子露出部分に前記の表面構造が形成されて、導電性パターン層表面を暗色化する工程である。
本工程で用いられる金属暗色化処理液としては、次のものが挙げられる。
第1の金属暗色化処理液は、テルルが溶解された塩酸水溶液である。
このテルルの供給源として、酸化テルルを用いることが好ましい。
この金属暗色化処理液中には、テルルは、酸化物換算で、0.01〜0.45質量%の範囲内の量、好ましくは0.05〜0.40質量%の量で含有されている。この金属暗色化処理液は、従来この種の処理液を用いて行われている金属製品表面の黒化処理において使用されている処理液よりもテルル濃度が低いため、薄く暗色層をつくることができる。また、テルルは塩酸に溶解した状態で処理液中に存在し、大変安定性がよく、金属暗色化処理液を長時間放置した場合であっても配合物が析出しにくいため、一液型の処理剤とすることができる。更に、この一液型金属暗色化処理液は、処理金属と接触させた後も、その安定性が低下しないので、繰り返し使用することができる。
酸化テルルを溶解する塩酸水溶液は、通常は35%塩酸(以下、単に塩酸とも呼称する。)に水を配合することにより形成される。この塩酸水溶液中のHCl(塩化水素)濃度は、0.05〜8質量%の範囲内にあり、好ましくは0.1〜2質量%、さらに好ましくは0.3〜1質量%である。このような濃度の塩酸水溶液を使用することにより、上記酸化テルルを完全に溶解することができる。
また、上記HCl濃度の暗色化処理液によれば、得られる暗色化処理品は反射防止性能に優れる。
HCl濃度が8質量%を超える場合は、反射防止性能に劣る場合があり、HCl濃度が0.05質量%未満の場合には酸化テルルを塩酸水溶液中に完全に溶解させることができないおそれがある。
なお、上記のような塩酸水溶液の他に、任意の有機酸及び無機酸を添加してもよく、黒濃度を高める上では硫酸を含有することが好ましい。添加する当該硫酸濃度が90質量%以下であることが、黒濃度が高い暗色化層を形成することができる点から好ましい。
上記暗色化処理液中における硫酸濃度は、更に10〜45質量%、特に15〜30質量%であることが、処理時間を短くすることができ、また得られる暗色化層の黒濃度に優れる点から好ましい。
上記金属暗色化処理液と、透明基材の一面側に導電性パターン層を有する導電部材との接触方法は特に限定されないが、例えば、ディッピング(浸漬)、カーテンコート、掛け流しなどの方法で、導電性パターン層と接触させる。
この金属暗色化処理液と導電性パターン層との接触温度は常温でよく、好ましくは10〜40℃の範囲内の温度である。
上記のような温度条件において、導電性パターン層と金属暗色化処理液との接触時間は、通常15分以下、好ましくは1秒〜2分、特に好ましくは5秒〜30秒である。このように上記暗色化処理によれば、非常に短時間で導電性パターン層の表面を黒色或いは黒色に近い暗色に暗色化することができる。
第2の金属暗色化処理液は、C.I. Acid Black2が溶解された塩酸水溶液である。
耐酸性染料であるC.I. Acid Black2の水溶液に塩酸を添加して金属暗色化処理液を得、透明基材の一面側に導電性パターン層を有する導電部材を浸漬する。
この金属暗色化処理液中には、代表的組成としては、C.I. Acid Black2が固形分で15質量%含まれている。また、この金属暗色化処理液中のHCl(塩化水素)濃度は、1質量%である。
この金属暗色化処理液と導電性パターン層との接触温度(金属暗色化処理液の液温)は常温でもよいが、60℃程度まで温度を上げることで暗色化度が大きくなる。接触時間(浸漬時間)は30〜300秒の間で暗色化度の変化はない。
いずれの金属暗色化処理においても、上記の暗色化処理後、水洗して乾燥することで、本発明の電磁波遮蔽層を得る。
〔コントラスト向上層〕
本発明の透明導電材1000は、上記してきた電磁波遮蔽層100とともに、コントラスト向上層200を必須構成部材として含むものであり、コントラスト向上層は、外光を遮蔽し、画像コントラストを向上させる層である。
コントラスト向上層200としては、ミクロルーバ層、透明着色フィルタ等各種形態のものが使用可能である。ただし、外光存在下での画像コントラスト向上性能、製造容易性等の点から好ましいものは、図1(A)にも示す如くいわゆるミクロルーバ層であって、次のような構造である。
層の面方向に沿った所定方向に直線状に連なり、その延長方向に対して垂直な主切断面が幅広の下底を観察者側又はPDP側に向ける台形となる形状の、光を透過する「透光性領域40」と、該透光性領域と平行な方向に直線状に連なり、その延長方向に対して垂直な断面が幅広の下底をPDP側又は観察者側に向ける楔型となる形状の、光を吸収する「光吸収部30」とを、交互に隣接させて多数噛み合わせて配列したものである。
透光性領域40は、通常、透明な電離放射線硬化樹脂で構成され、楔型の溝部である光吸収部には、カーボンブラック等の黒色顔料と透明バインダーをインキ化した黒化インキが充填される。
主切断面が幅広の下底を観察者側に向ける台形形状の透光性領域40と主切断面が幅広の下底をPDP側に向ける楔型形状の光吸収部30からなるコントラスト向上層200は視野角が良好であり、それとは逆向きである、主切断面が幅広の下底をPDP側に向ける台形形状の透光性領域40と主切断面が幅広の下底を観察者側に向ける楔型形状の光吸収部30からなるコントラスト向上層200は外光遮蔽性が良好である。本発明の透明導電材においては、いずれの向きであってもよいが、本発明の外光遮蔽性を上げるという目的からは、コントラスト向上層を後者の向きで配置することが好ましい。
本発明の透明導電材1000において、コントラスト向上層200と電磁波遮蔽層100の配置は、いずれが観察者側(上側)であってもよい。しかしながら、反射防止層をさらに配置する場合であって、三者の位置関係が、観察者側(上側)から、反射防止層、コントラスト向上層200、電磁波遮蔽層100であり、かつコントラスト向上層200は、楔型形状の光吸収部30の断面が幅広の下底を観察者側に向けているものであることが本発明の透明導電材1000の最も好ましい実施形態である。
また、光吸収部がストライプ状に並ぶコントラスト向上層とメッシュ状の電磁波遮蔽層が重なることにより、モアレ模様が出ることがある。このようなモアレ模様を防止するには、コントラスト向上層のストライプと電磁波遮蔽層のメッシュのバイアス角は、5〜80°であることを要し、20〜60°であることが好ましい。
なお、本発明のコントラスト向上層において、光吸収部30としては、上記の形態以外の各種形態とすることも出来る。例えば、光吸収部の主切断面形状として、上底の幅と下底の幅が等しい長方形、正方形、或いは平行四辺形としたり、或いは狭幅の上底の幅を0乃至0に近いものとした三角形乃至三角形類似形状とすることもできる。光吸収部の色は暗色とするが、暗色としては具体的には、黒色が代表的であるが、その他、(濃い)灰色、褐色、紺色、深緑色、臙脂色、濃紫色等が可能である。光吸収部にこれら暗色を付与する為には、カーボンブラック、黒色酸化鉄、アニリンブラック等の公知の着色剤(顔料乃至染料)を添加する。
〔透明導電材〕
本発明の透明導電材1000は、少なくとも上記した電磁波遮蔽層100と、コントラスト向上層200を含む(電磁波遮蔽層とコントラスト向上層とはどちらが観察者側或いは画像表示装置側に位置してもよい。)が、図3に示すように、コントラスト向上層200と電磁波遮蔽層100との間、前記コントラスト向上層、前記電磁波遮蔽層のうち観察者側に位置する層の観察者側、もしくは前記コントラスト向上層、前記電磁波遮蔽層のうち画像表示装置側に位置する層の画像表示装置側の位置300のいずれか1箇所以上に機能層を設けるものである。機能層は単数又は複数の層よりなる。
各種(個別)機能層としては、反射防止層、耐擦傷機能(ハードコート)層、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、調色(着色)層、紫外線吸収層、耐衝撃層、帯電防止層、耐汚染層等が挙げられる。また、機能層には、前記コントラスト向上層200と前記電磁波遮蔽層100を接着し、或いは各種機能層を接着するための接着剤層も含まれる。
なお、反射防止層は最も上側(観察者側)に位置させ、耐衝撃層は、下側(PDP側)に位置させる。他の機能層は、いずれの位置にも位置させることができる。
また、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、調色(着色)層、紫外線吸収層は、接着剤層のいずれか1層以上に、当該吸収剤を含有させることにより、形成することができる。
以下、各種機能層、各種吸収剤について、主なものの概要を説明する。
(反射防止層)
反射防止層としては、例えば、低屈性率層と高屈折率層とを該低屈折率層が最表面に位置するようにして交互に積層した多層構成が一般的であり、蒸着やスパッタ等の乾式法で、或いは塗工等の湿式法も利用して形成することができる。なお、低屈折率層は隣接する直下の層に比べて相対的に屈折率が低い層であり、その材料としては、ケイ素酸化物、フッ化マグネシウム、フッ素含有樹脂等が用いられ、高屈折率層は隣接する層に比べて相対的に屈折率が高い層であり、その材料には、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等が用いられる。
(耐擦傷機能層)
耐擦傷機能(ハードコート)層は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と十分な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。
耐擦傷機能(ハードコート)層は、通常樹脂硬化層として形成される。
用いる硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、前述のプライマー層の説明箇所で例示したものと同様のものの中から選択して使用できる。
耐擦傷機能層の厚みは特に限定されるものではないが、1.0μm以上20μm以下が好ましく、より好ましくは3.0μm以上5μm以下である。
(近赤外線吸収層)
近赤外線吸収層に添加する近赤外線吸収剤は、本発明の透明導電材の代表的な用途であるPDP用前面フィルタに適用する場合、PDPがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長領域を吸収し、且つ可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長領域では吸収が少なくて十分な光線透過率を有する色素が好ましい。そして、接着剤層に添加する場合、上記近赤外線領域での近赤外線の吸収量が、透過率でいえば20%以下、更に好ましくは10%以下となるように、近赤外線吸収剤の種類、近赤外線吸収剤の接着剤層中での含有量、及び接着剤層の厚み等を設定するのが好ましい。
このような近赤外線吸収剤としては、具体的には、フタロシアニン系、イモニウム系、ジイモニウム系、シアニン系、アゾ系、ポリメチン系、キノン系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系等の化合物、或いはジチオール金属錯体等の有機系化合物からなる有機系近赤外線吸収剤、或いは金属酸化物、金属ホウ(硼)化物、金属窒化物などの無機系化合物から成る無機系近赤外線吸収剤が挙げられ、耐久性の面から、無機系近赤外線吸収剤が好ましい。
このうち、金属酸化物としては、例えば、酸化タングステン系化合物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化錫、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化セシウムなどの微粒子が挙げられる。
これらの中で、光学特性、即ち、近赤外線の高吸収率と可視光線の高透過率との両立性の点からは、ジイモニウム系化合物が好ましい。また、光学特性に加えて、更に高湿高湿度条件下における分光透過率特性の変化に対する耐久性の点からは、フタロシアニン系化合物、或いは酸化タングステン系化合物が好ましく、特にセシウム含有酸化タングステンが、近赤外線吸収能が高いことから特に好適である。
上記近赤外線吸収剤の含有量は、該吸収層中に0.1〜15質量%程度であることが好ましい。
(ネオン光吸収層)
ネオン光吸収層に添加するネオン光吸収剤は、本発明の透明導電材の代表的な用途であるPDP用前面フィルタに適用する場合、PDPから放射されるネオン光を吸収させる色素である。該ネオン光は、ネオン原子の発光スペクトル帯域、即ち550〜640nmの波長領域(ネオン光領域)を吸収し、且つ該波長領域を除いた可視光領域380nm〜780nmの波長領域中ではなるべく吸収が少なくて十分な光線透過率を有する色素が好ましい。また、吸収波長領域中の吸収極大波長における透過率変化の半値幅は50nm以下であることが好ましい。
そして、接着剤層に添加する場合、上記Ne光領域の中心波長を590nmとすれば、該590nmにおける光線の透過率が50%以下になるように、ネオン光吸収剤、ネオン光吸収剤の接着剤層中での含有量、及び接着剤層の厚み等を設定するのが好ましい。
このようなネオン光吸収剤としては、具体的には、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはポルフィリン系の有機化合物等が挙げられる。これらの中でもポルフィリン系化合物が好ましく、中でも、テトラアザポルフィリン系色素が、分散性が良好で、且つ耐熱性、耐湿性、耐光性が良好な点から好ましい。
ネオン光吸収剤の含有量は、ネオン光吸収層中に、0.05〜5質量%であることが好ましい。含有量が0.05質量%以上であれば充分なネオン光吸収機能を発現でき、5質量%以下であれば、十分な量の可視光線を透過できる。
(調色層)
調色層に添加する調色光吸収剤は、表示画像を好みの色調(天然色、或いは天然色から多少偏移した色)に補正するための色素である。このような調色光吸収剤としては、有機系色素、無機系色素などを1種単独使用、又は2種以上併用することができる。具体的には、アントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の化合物からなる色素が挙げられる。
調色光吸収剤の含有量は、補正すべき色に合わせて適宜調整され、特に限定されない。通常、調色層中に0.01〜10質量%程度含有する。
(紫外線吸収層)
紫外線吸収層に添加する紫外線吸収剤としては、例えば、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系等の有機系化合物、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどを微粒子化した粉体、或いは二酸化チタン微粒子を酸化鉄で複合化処理してなるハイブリッド無機粉体、酸化セリウム微粒子の表面を非結晶性シリカでコーティングしてなるハイブリッド無機粉体等の無機系化合物からなる公知の化合物を用いることができる。
なお、紫外線吸収剤を添加する場合、他の吸収剤(色素)を外来光から保護するために、他の吸収剤(色素)を添加した層と同じ層か、或いはその層よりも観察者側に近い層に添加する。また、耐光性が堅牢な色素を使用する場合は、紫外線吸収剤の添加は不要である。
(接着剤層)
接着剤層は、反射防止層200と電磁波遮蔽層100を接着し、各種機能層を接着し、或いは本発明の透明導電材を画像表示装置本体又は画像表示装置基板に接着する役割を有する層であり、また、各種吸収剤を含有させることで各種光学機能層となり得る層である。
接着剤層に用いる接着剤としては、基本的には特に制限はなく、公知の接着剤の中から、接着性(粘着力)、透明性、塗工適性などを有し、またそれ自体好ましくは無着色のものを適宜選択する。各種の天然又は合成樹脂が使用でき、硬化形態としては熱又は電離放射線硬化樹脂などが適用できる。
好適に用いられる接着剤は、粘着剤と呼称される形態のものである。粘着剤としては、アクリル系粘着剤が挙げられる。アクリル系粘着剤は、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含んで重合させたものである。炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体であるのが一般的である。なお、本発明において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸をいう。
本発明の透明導電材は、各種用途に使用可能である。特に、各種の、テレビジョン受像装置、測定機器や計器類の表示部、事務用機器や電算機の表示部、電話機の表示部、遊戯機器の表示部、電飾看板(照明広告)等に用いられるプラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管ディスプレイ(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、電場発光ディスプレイ(EL)などの画像表示装置の前面設置型電磁波遮蔽フィルタ用として好適であり、特にプラズマディスプレイ用として好適である。また、その他、建築物の窓、車両、船舶、航空機、或は電子レンジの窓等の電磁波遮蔽フィルタ用途にも使用可能である。更に、タッチパネルの透明電極や携帯電話機等に設けられる透明アンテナ等に使用することもできる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(実施例1)
〔コントラスト向上層の製造〕
先ず、片面に易接着処理がされた幅1000mm、厚さ188μmでロール巻した連続帯状の透明2軸延伸ポリエチレンテレフタレー卜(PET)フィルムから成る支持体としての透明基材の一方の表面に、液状のウレタンアクリレート系のプレポリマー及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体、及びベンゾフェノン系光開始剤の混合液とから成る液状紫外線硬化樹脂を硬化後の膜厚が155μmとなる様に塗布した。次に、ロール金型表面の面方向に沿って円周方向に直線状に連なり、その延長方向と直交する主切断面形状が、高さ150μm、版表面側底辺の長さが30μm、版から遠い側の底辺の長さが6μmの台形となる溝状凸部を、60μm周期で複数條互いに平行に配列した凸條群(暗色部と同形状且つ逆凹凸)を形成されたロール金型とPETフィルムとの間に、塗布した紫外線硬化樹脂を挟んだ状態で水銀灯からの紫外線を照射することにより、該紫外線硬化樹脂を架橋硬化せしめて透明樹脂層とし、しかる後ロール金型を離型することにより、該透明樹脂層表面に、該透明樹脂層表面の面方向に沿って一方向に直線状に連なり、その延長方向と直交する断面が、高さ150μm、透明樹脂層表面側底辺となる下底の長さが30μm、PETフィルム側の底辺となる上底の長さが6μmの台形となる凹條溝群を表面に有する透明樹脂層(透光性領域)を該透明基材の一方の面上に形成した。なお、凹條溝は暗色材料が充填されて遮光する機能を有するので、遮光溝ともいう。
次に、透明アクリル系の紫外線硬化性プレポリマー100質量部中に、最小粒径が2μmで最大粒径が3μmのカーボンブラックからなる黒色球状ビーズ状粒子50質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロへキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、チバスペシャリティケミカルズ社製)2質量部を混合して黒色で液状の紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。この黒色液状組成物を透明樹脂層の遮光溝に塗工し、次いで該塗膜を鉄製ドクターブレードでスキージし該(凹條)遮光溝外の該黒色液状組成物のみを掻き取り除去し、該凹條溝内のみに該黒色液状組成物を充填して、しかる後これを水銀灯からの紫外線を照射して架橋硬化せしめて暗色部(光吸収部)を形成することで、コントラスト向上層(ミクロルーバ層)を完成した。
〔電磁波遮蔽層の製造〕
(導電部材の準備)
先ず、透明基材として、片面に易接着処理がされた幅1000mm、厚さ100μmでロール巻した帯状の2軸延伸透明PETフィルムを用いた。
供給部にセットしたPETフィルムをロールから繰り出し、斜線版のグラビアリバースロールコート方式で、下記組成の紫外線硬化性樹脂組成物から成る液状のプライマーを該PETフィルムの易接着処理面に厚み14μmにコーティングした。
(紫外線硬化性樹脂組成物の組成)
エポキシアクリレートプレポリマー:35質量部
ウレタンアクリレートプレポリマー:12質量部
フェノキシエチルアクリレートからなる単官能アクリレートモノマー:44質量部
エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなる3官能アクリレー トモノマー:9質量部
光重合開始剤 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・ス ペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名イルガキュア184):3質量部
導電性組成物として、下記組成の銀ペーストインキを用意した。
(導電性組成物(銀ペースト)の組成)
金属粒子(平均粒子径1μmの銀粒子):93質量部
バインダー樹脂(熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂):7質量部
溶剤(ブチルカルビトールアセテート):25質量部
なお、銀粒子は、隅角部が丸みを帯びた多面体形状を有し、粒子径0.1〜3μmの範囲の粒子から成る平均粒子径1μmの銀粒子であり、その表面に複数の溝状凹部を有している。該粒子径は、顕微鏡観察した各粒子の外接球の直径として求めた。
以下の如く導電部材を製造した。
凹版として、版凹部パターンの平面視形状が線幅20μm、ピッチ300μmの正方格子で、版深25μmである上記凹版ロールを用いた。
充填容器に満たされた銀ペーストインキをピックアップロールにより版表面にコーティングし、余剰インキをドクターブレードにより掻き取った版面と、プライマー層が形成された透明基材(PETフィルム)のプライマー層側とをニップロールで圧着し、引続き高圧水銀灯を配置してなる紫外線照射ゾーン間を走行する間に、プライマー層の紫外線硬化樹脂を硬化させた。その後、出口側のニップロールによってフィルムが凹版ロールから剥離され、プライマー層上には導電性組成物層が転移形成される。このようにして得られた転移フィルムを、120℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させ、プライマー層上にメッシュパターンからなる導電性パターン層を形成し、導電部材を得た。
次いで、電気抵抗低減化処理として、導電部材を、気温80℃、相対湿度90%の雰囲気中で48時間放置した後、室温雰囲気(気温23℃、相対湿度50%)中に取り出した。
印刷された該導電性パターン層の厚み(メッシュ非形成部のプライマー層表面を基準にして測定)は23μmであり、版深と印刷厚みの比で計算した転移率は、(メッシュパターン厚み23μm/版深25μm)×100=92%であったが、実際には銀ペーストインキの転写後の流動、溶剤乾燥による体積收縮があるため、転写直後には、ほぼ100%に近い転移がなされていると推定される。
また、導電性パターン層表面を走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:S−48000、日立ハイテクノロジーズ社製)による観察を行ったところ、全表面にわたって各金属粒子の一部分がバインダー樹脂(各金属粒子について、全体積の10〜50%の範囲で)から露出していた。
また、得られた導電部材の導電性パターン層の表面抵抗率は0.45Ω/□であった。
(導電性パターン層表面の暗色化処理)
次に、金属暗色化処理液として、二酸化テルル0.17質量%(テルル濃度として0.078質量%)、塩酸0.45重量%、硫酸34.3質量%の水溶液を用い、該金属暗色化処理液に上記導電部材を処理温度25℃条件下、30秒間浸漬し、水洗して乾燥し、実施例1の透明導電材を得た。
該透明導電材の導電性パターン層の外観は銀色から黒く変色し、該透明導電材の導電性パターン層側の面からの反射率は処理前と比較して5%低下した。反射率はJIS−K7105に準拠して、ヘイズメーターHM150(村上色彩社製、商品名)を用いて測定した。
また、導電性パターン層の表面抵抗値に変化は見られず、透過色度における色味変化も見られなかった。
また、SEMにより上記透明導電材の導電性パターン層表面の観察を行ったところ、金属粒子露出部分がその表面に複数の溝状凹部と多数の平均10nm程度の微小突起(微粒子)を有する構造であることが確認された(図2)。更に、該暗色化層に含まれる元素についてエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX:Energy Dispersive X−ray Fluorescence Spectrometer)(商品名:Genesis XM2、EDAX社製)を用いて分析を行ったところ、Cl元素とAg元素が確認された。
得られた暗色化処理済みの透明導電材を画面寸法40インチのPDPテレビジョン受像装置の画面寸法に合致する寸法の長方形形状に裁断し、枚葉化した。
〔PDP用前面フィルタの製造〕
観察者側の最表面である反射防止層は東レ(株)製ルミクリアSF−V/3000を用いた。ルミクリアSF−V/3000は紫外線吸収剤を含んだPETフィルム基材に反射防止機能を持った液体材料をコーティングして硬化させて低屈折率層を形成したものであり、反射特性に優れている。
この反射防止層を、上記で作製したコントラスト向上層の暗色部形成側面に接着するために、アクリル系樹脂の透明粘着剤tomoegawa(株)製TD06Aを用いた。
コントラスト向上層の暗色部形成側の反対面と、上記で作製した電磁波遮蔽層のメッシュパターン形成面を接着するのに、近赤外線吸収剤、合成スメクタイトを含んだ以下の構成のアクリル樹脂系粘着剤層を用いた。
(粘着剤層の形成)
アクリル系粘着剤(東洋インキ(株)、感圧性粘着剤「オリバイン」(商品名:BPS6271)、固形分27%)及び硬化剤BXX5627(東洋インキ製造(株))に、近赤外線吸収化合物として、フタロシアニン系化合物「IR12」(商品名、日本触媒(株))を0.05質量%、フタロシアニン系化合物「IR14」(商品名、日本触媒(株))を0.02質量%及びジインモニウム系化合物「IRG−068」(商品名、日本化薬(株))を0.03質量%それぞれ配合した。更に、テトラアザポルフィリン系化合物からなるネオン光吸収剤「TAP2」(商品名、山田化学(株))を0.01質量%配合した。更に、紫外線吸収剤として、CyasorbUV24(サイテック社)を4質量%、光安定剤としてTINUVINN144を2質量%、調色色素(KAYASET(日本化薬(株)製)、及び粘土鉱物としてクニピアD36(クニミネ工業株式会社製)を0.05質量%配合したアクリル系樹脂粘着剤を十分攪拌させて粘着剤層用組成物を作製した。
この粘着剤層用組成物を厚さ38μmの離型フィルム上に厚さ25μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥した後、更に別の38μm離型フィルムで塗工面をラミネートし、粘着剤層を2枚の離型フィルム間に設けた粘着剤層形成フィルムを作製した。その後、枚葉化した透明導電材の寸法よりも縦横とも30mm小さい長方形に裁断した。
該粘着剤層形成用フィルムの一方の離型フィルムを剥離し、露出した粘着剤層を上記で作製したコントラスト向上層の暗色部形成側の反対面上に接着した後、残りの離型フィルムのみを剥離し、コントラスト向上層の暗色部形成側の反対面上に該粘着剤層を形成した。
次いで、該粘着剤層上に上記で作製した透明導電材(電磁波遮蔽層)のメッシュパターン形成面を接着した。なお、コントラスト向上層の暗色部線条と電磁波遮蔽層のメッシュパターンのバイアス角は42°となるように貼り合わせた。
また、その際、電磁波遮蔽層の周縁部が幅15mmだけコントラスト向上層で被覆されずに接地用領域として露出するような位置関係で貼着した。
そして、電磁波遮蔽層のメッシュパターンが形成されていない側の透明基材面に塗工する再剥離性(リワーク性)透明粘着剤として、tomoegawa(株)製TX48Aを用いた。リワーク性透明粘着剤層はプラズマディスプレイパネル面と接触し、パネル面への貼合失敗による歩留り低下を防止するため、貼合後も剥離可能であることが望まれる。TX48Aはこの要求性能を満たし、かつ耐環境性にも優れている。なお、TX48Aの粘着力は5N/25mm幅(JIS Z0237に準拠し、180度剥離試験により測定した粘着力)であった。
(比較例1)
実施例1において、銀粒子として、粒子表面に溝状凹部のないものを用い、且つ導電性パターン層表面の暗色化処理(微小突起の形成)を施さない電磁波遮蔽層を用いた他は、実施例1と同様にして、PDP用前面フィルタを得た。
(評価)
以上により得られた実施例1及び比較例1の透明導電材をPDP用前面フィルタとして用いた場合のコントラスト向上効果及び電磁波シールド性能を評価した。
即ち、先ず、PDPを用いたテレビジョン受像装置として、WOOO(日立製作所社製、商品名)から既存の前面フィルタを取り外したものを用意し、その前面硝子板の表面に実施例1及び比較例1の透明導電材を、その再剥離性粘着剤層を介して、最外面がコントラスト向上層となるようにして貼着した。そして、周縁部に露出した電磁波遮蔽層に接地加工を施したものを実施例1及び比較例1の評価用テレビジョン受像装置として各々準備した。
〔電磁波シールド性〕
電磁波シールド性は、評価用テレビジョン受像装置を電磁波シールド材評価装置((株)アドバンテスト製、TR17301A)を用いて電磁波シールド特性を測定した結果が、200〜600MHzの範囲で−30デシベル程度以下のシールド特性を有するものを「良好」として評価し、−30デシベル程度より高いシールド特性を有するものを「不良」として評価した。
評価結果は、実施例1及び比較例1ともに「良好」であった。
〔外光存在下での画像コントラスト〕
外光存在下での画像コントラストは、画面を鉛直面とした評価用テレビジョン受像装置の上方45度の方向で距離1.5mの天井面に、外光光源として出力40Wの白色蛍光灯1本を設置し、画面を照射した。同じ外光照射条件下で、白画像と黒画像とを交互に配列した縞模様からなる画像を表示した。そして、画面から50cm離れた距離で、視認角度0〜80度の範囲で、目視で観察し、画像コントラスト(白色画像部と黒画像部との濃度比)を比較評価した。
評価結果は、実施例1のPDP用前面フィルタを貼着した場合の方が、比較例1のPDP用前面フィルタを貼着した場合よりも、画像コントラスト高かった。
1 金属粒子
1v 溝状凹部
1p 微小突起(微粒子)
1m 金属粒子埋設部
2 バインダー樹脂
10 導電性パターン層
20 透明基材
30 光吸収部(暗色部)
40 透光性領域
100 電磁波遮蔽層
200 コントラスト向上層
300 機能層が設けられる位置
1000、1000’ 透明導電材(画像表示装置用前面フィルタ)

Claims (4)

  1. 電磁波遮蔽層とコントラスト向上層とを含む透明導電材であって、
    電磁波遮蔽層は透明基材と、該透明基材上に所定のパターンで形成された導電性パターン層を有するものであり、
    該導電性パターン層は金属粒子とバインダー樹脂を含み、該導電性パターン層の表面において金属粒子の一部分がバインダー樹脂から露出しており、該金属粒子露出部分がその表面に溝状凹部及び微小突起を有するものである透明導電材。
  2. 請求項1に記載の透明導電材であって、前記コントラスト向上層と前記電磁波遮蔽層のうち観察者側に位置する層の観察者側、前記コントラスト向上層と前記電磁波遮蔽層のうち画像表示装置側に位置する層の画像表示装置側、前記コントラスト向上層と前記電磁波遮蔽層の間、のいずれか1箇所以上に機能層を設けた透明導電材。
  3. 前記コントラスト向上層が前記電磁波遮蔽層よりも観察者側に位置し、該コントラスト向上層の該電磁波遮蔽層とは反対側に反射防止層を設けた請求項2に記載の透明導電材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電材をプラズマディスプレイパネル本体の前面にとりつけたプラズマディスプレイパネル画像表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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