JP5499925B2 - 透明導電材の製造方法 - Google Patents
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なお、本願明細書中において、「電磁波」とは広義の電磁波の中で、周波数30MHz〜1GHz帯域を中心とするkHz〜GHz帯域のもの(所謂電波)を意味する。より高周波数の赤外線、可視光線、紫外線等は、各々、赤外線、可視光線、紫外線等と呼称する。
このような問題の対策として、例えば、特許文献2のように、銀粒子含有導電インキに黒鉛を混合して外光を吸収することが考えられるが、導電性の低い黒鉛を混合するために導電性(電磁波遮蔽性)が低下することとなる。また、特許文献3には、導電性パターン層を無電解ニッケルめっき処理後、エッチング処理することにより、表面が粗面化されたニッケル柱状結晶集合体からなる黒化層を形成することが開示されている。しかし、電解めっき工程、腐蝕加工工程と2工程が追加され、廃液処理負担もあり、その上ニッケルといった金属材料が更に必要となる為、製造コストが高くなるという課題がある。
すなわち、本発明は、
(a)透明基材の一面側に銀粒子及びバインダー樹脂を含む導電性パターン層を有する導電部材を準備する工程、及び
(b)C.I. Acid Black 2が溶解された塩酸水溶液に、前記導電部材を接触させて、導電性パターン層表面近傍のバインダー樹脂から露出した銀粒子の表面に暗色層を形成する工程を含む、透明導電材の製造方法、
を提供するものである。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明で準備する導電部材30’は、透明基材10と、透明基材10上にメッシュ形状に代表される所定のパターンで形成された、銀粒子1とバインダー樹脂2を含む導電性パターン層20とを有する。
以下、本発明で準備する導電部材30’の構成を説明する。
透明基材10は、可視光線領域での透明性(光透過性)、耐熱性、機械的強度等の要求物性を考慮して、公知の材料及び厚みを適宜選択すればよく、特に制限はないが、生産性に優れるロール・トゥ・ロールでの連続加工適性を考慮すると、フレキシブルな樹脂フィルム(乃至シート)が好ましい。なお、ロール・トゥ・ロールとは、巻取(ロール)から巻き出して供給し、適宜加工を施し、その後、巻取に巻き取って搬送乃至は保管する加工方式をいう。
なお、導電部材に可撓性を要求しない場合は、透明基材10として、硝子、石英等の透明な無機材料の板を使用することもできる。
また、透明基材上に後述するプライマー層を設ける場合には、プライマー層との密着性を確保するために、透明基材表面に別途密着性改善のための表面処理や、易接着層、下地層などが設けられていてもよい。
本発明で準備する導電部材における導電性パターン層20は、銀粒子及びバインダー樹脂を含み、透明基材上又は該透明基材上にプライマー層を形成する場合には該プライマー層上に所定のパターンで設けられた層である。
パターン形状としてはメッシュ(網目乃至格子)形状が代表的なものであるが、その他、ストライプ(平行線群乃至縞模様)形状、螺旋形状等も用いられる。メッシュ形状の場合、単位格子形状は、正3角形、不等辺3角形等の3角形、正方形、長方形、台形、菱形等の4角形、6角形、8角形等の多角形、円、楕円等が用いられる。また、モアレを軽減する目的で、ランダム網目状、又は擬似ランダム網目状のパターンなども使用可能である。その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5〜50μmとすることができ、線間ピッチは100〜500μmとすることができる。開口率(所定パターンの全面積中における開口部の合計面積の占める比率)は、通常、50〜95%程度である。また所定パターンとは別に、その周辺部の全周又はその一部にそれと導通を保ちつつ隣接した全ベタ等の接地パターンが設けられる場合もある。
なお、線幅は、より高透明のものを得るために、より一層微細化することが求められている。この観点から、30μm以下、特に20μm以下とすることが好ましい。
この導電性パターン層20は、銀粒子1とバインダー樹脂2を含む導電性組成物(導電性インキ或いは導電性ペースト)を、後述する印刷法により透明基材10上又は透明プライマー層40上に形成することで得ることができる。
銀粒子の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、好ましくは、平均粒子径が0.01〜10μm程度のものを用いることができる。得られる導電性パターン層の電気抵抗を低く(好ましくは、表面抵抗率が0.8Ω/□以下)して良好な導電性を得るためには、平均粒子径は小さい方が好ましく、この観点からは平均粒子径0.1〜1μmが好ましい。また、粒子径の分布については、得られる導電性パターンの電気抵抗を低くするためには、分布幅が狭く単一粒子径に近いよりも、相対的に大粒子径の粒子と相対的に小粒子径の粒子との混合系からなる方がよい。
導電性組成物中の銀粒子の含有量は、銀粒子の導電性や粒子の形態に応じて任意に選択されるが、好適な導電性の発現、導電性パターン層の機械的強度の維持、及び印刷適性を兼ね備える為には、例えば導電性組成物の固形分100質量部のうち、銀粒子を40〜99質量部、より好ましくは90〜97質量部の範囲で含有させることができる。なお、本明細書において、平均粒子径というときは、粒度分布計、またはTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値を指している。
なお、観察により粒子径を測定する場合、粒子形状が球の場合は、その直径が粒子径である。また、粒子形状が非球形状の場合は、該粒子の外接球の直径をもって粒子径とする。
熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂を挙げることができ、これらを1種単独で、或いは2種以上混合して用いる。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。紫外線(乃至可視光線)硬化型の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。導電性ペーストとして用いる溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤の中から適宜選択して使用できるが、プライマー層を設ける場合には該プライマー層の安定硬化を阻害したり、硬化後のプライマー層を膨潤、白化、溶解させたりしないものが好ましい。溶剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
本発明で準備する導電部材においては、透明基材10と導電性パターン層20との密着性を高めるために、該透明基材と該導電性パターン層との間にプライマー層40を設けることが好ましい。
該プライマー層40は、透明基材及び導電性パターン層の双方に密着性が良く、また開口部(導電性パターン層非形成部)の光透過性確保のために透明な層である。
更に、導電性パターン層の形成を後述の特定の凹版印刷法で行なう場合には、該プライマー層は、流動性を保持できる状態で透明基材上に設けられ、凹版印刷時の凹版に接触している間に液状から固化させる層として形成される層となり、最終的な導電部材が形成されたときに固化している層である。
該電離放射線重合性化合物としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーが用いられる。
かかるモノマーとしては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
また、かかるプレポリマー(乃至オリゴマー)としては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
なお、電離放射線としては、紫外線、又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線、各種イオン線等の荷電粒子線を用いることもできる。
(導電部材の製造方法)
導電部材は、透明基材の一方の面に銀粒子及びバインダー樹脂を含む導電性組成物(導電性ペースト)を用いて導電性パターン層を形成することにより製造する。
該導電性パターン層の有する所定パターンは、例えば、シルクスクリ−ン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の公知の各種印刷法によって形成することができる。
また、透明基材と導電性パターン層との密着性を高めるために、該透明基材と該導電性パターン層との間にプライマー層を設ける場合には、上記導電部材の製造方法としては、特許文献1に記載される特定のプライマーを用いた凹版印刷が推奨される。さらに、本発明において、導電性パターン層表面を暗色化するためには、導電性パターン層の表面において、銀粒子の一部分がバインダー樹脂から露出している必要があるが、特許文献1に記載される凹版印刷がこのような導電部材を得やすいので好ましい。
以下、この凹版印刷法の概略を述べる。
このように、導電性組成物が未硬化或いは半硬化の状態で版から引き抜いて、離版後に(完全)硬化させると、バインダー樹脂が収縮して、銀粒子の一部分がバインダー樹脂から露出する形態となりやすく、導電性パターン層表面の暗色化処理に好適である。
一方、特許文献1の凹版印刷では、凹版凹部内に充填された導電性組成物の上部に窪み(凹み)が生じても、液状で流動性のプライマー層を介して印刷するので、印刷中にプライマー層を該窪みに流し込み隙間なく密着させた状態にでき、その後、プライマー層を固化させてから透明基材を凹版から離すので、透明基材上に固化したプライマー層を介して所定パターンの導電性パターン層を、細線でも、転移不足による断線や形状不良、インキ密着性不足などの印刷不良の発生なく形成できる。かくの如く凹版凹部内に充填されたインキの表面に生じる窪みをプライマー層が流入、充填する結果、得られた電磁波シールド材は、プライマー層の厚みが、前記導電性パターン層が形成されている部分の厚みが前記導電性パターン層が形成されていない部分の厚みよりも厚くなる。
(i)の温水処理は、水温30〜100℃の温水の中に導電部材を浸漬したり、温水を導電部材上に掛け流したり、或いは気温30〜100℃で相対湿度60%以上の雰囲気中に暴露する方法が好ましく、処理時間は、概ね5分〜20秒程度である。
(ii)の酸処理において、酸としては、特に限定されず、種々の無機酸、有機酸から選択できるが、好ましくは塩酸、硫酸、クエン酸およびその水溶液であり、酸による処理時間は数分以下で十分であり、処理温度は、常温で十分である。酸で処理する方法は特に限定されないが、酸の溶液の中へ浸漬させる方法が、導電性向上効果に優れるため好ましく、酸の濃度は、好ましくは1mol/L以下、より好ましくは0.1mol/L以上である。
酸処理としては、1種類の酸を用い1回接触させる他、2種類以上の酸を用い順次別の酸に接触させてもよい。特に、導電部材を、先ず室温(5〜35℃程度)の塩酸に浸漬し、しかる後室温よりも高く水の沸点よりも低温(40〜90℃程度)のクエン酸に浸漬すると、塩酸のみ或いはクエン酸のみに1回浸漬するよりも、電気抵抗低減化効果は良好である。
これら電気抵抗低減化処理のうち、電気抵抗低減化効果、作業性の点から、(ii)の酸処理の後、引き続いて(i)の温水処理を行うことが好ましい。
かかる電気抵抗低減化処理によって、導電性パターン全体の表面抵抗率は処理前の80〜30%程度に減少する(見かけの体積抵抗率も同様に処理前の80〜30%程度となる)。
本工程は、前記工程で製造した透明基材の一面側に、銀粒子及びバインダー樹脂を含み、表面において銀粒子の一部分がバインダー樹脂から露出している導電性パターン層が形成された導電部材30’を、金属暗色化処理液に浸漬することにより、導電性パターン層表面を暗色化する工程である。
耐酸性染料であるC.I. Acid Black 2の水溶液に塩酸を添加して金属暗色化処理液を得、透明基材の一面側に導電性パターン層を有する導電部材30’を浸漬する。
この金属暗色化処理液中には、代表的組成としては、C.I. Acid Black 2が固形分で15重量%含まれている。また、この金属暗色化処理液中のHCl(塩化水素)濃度は、1重量%である。
この金属暗色化処理液と導電性パターン層との接触温度(金属暗色化処理液の液温)は常温でもよいが、60℃程度まで温度を上げることで暗色化度が大きくなる。接触時間(浸漬時間)は30〜300秒の間で暗色化度の変化はない。
特に、該処理液を用いた暗色処理方法は、金属粒子の中でも銀粒子の暗色化処理に好適である。
導電性パターン層20表面近傍に露出する銀粒子1の表面が呈する暗色としては、上記金属暗色化処理液での処理条件如何によって各種の明度、彩度、及び色相を呈することが可能であるが、銀粒子表面の反射率、特に鏡面反射率を低減化させる為、低明度の無彩色又は有彩色、即ち暗色となる。暗色としては具体的には、黒色が代表的であるが、その他、(濃い)灰色、褐色、紺色、深緑色、臙脂色、濃紫色等も可能である。
また、導電性パターン層中からはC.I. Acid Black 2は検出されず、銀粒子表面の暗色化物質が如何なるものからなるかは不明であるが、元素分析等の分析結果からは、AgCl又はそれが光等で還元されたAgと推測される。
[導電部材の準備]
先ず、透明基材として、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻2軸延伸透明ポリエチレンテレフタレー卜(PET)フィルムを用いた。
供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、斜線版のグラビアリバースロールコート方式で、下記組成の紫外線硬化性樹脂組成物から成るプライマーを該PETフィルムの易接着処理面に厚み14μmにコーティングした。
(紫外線硬化性樹脂組成物の組成)
エポキシアクリレートプレポリマー:35質量部
ウレタンアクリレートプレポリマー:12質量部
フェノキシエチルアクリレートからなる単官能アクリレートモノマー:44質量部
エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなる3官能アクリレー トモノマー:9質量部
光重合開始剤 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・ス ペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名イルガキュア184):3質量部
導電性組成物として、下記組成の銀ペーストインキを用意した。
(導電性組成物(銀ペースト)の組成)
金属粒子(平均粒子径1μmの鱗片状銀粒子(播磨化成社製、商品名「SV300 0」)):93質量部
バインダー樹脂(熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂):7質量部
溶剤(ブチルカルビトールアセテート):25質量部
なお、鱗片状銀粒子は、鱗片形状を有し、粒子径0.1〜3μmの範囲の粒子から成る平均粒子径1μmの銀粒子であり、その表面に複数の溝状凹部を有している。該粒子径は、顕微鏡観察した各粒子の外接球の直径として求めた。
凹版として、版凹部パターンが線幅20μm、ピッチ300μm、版深25μmである上記凹版ロールを用いた。
充填容器に満たされた銀ペーストインキをピックアップロールにより版表面にコーティングし、余剰インキをドクターブレードにより掻き取った版面と、プライマー層が形成された透明基材(PETフィルム)のプライマー層側とをニップロールで圧着し、引続き高圧水銀灯を配置してなる紫外線照射ゾーン間を走行する間に、プライマー層の紫外線硬化樹脂を硬化させた。その後、出口側のニップロールによってフィルムが凹版ロールから剥離され、プライマー層上には導電性組成物層が転移形成される。このようにして得られた転移フィルムを、120℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させ、プライマー層上にメッシュパターンからなる導電性パターン層を形成し、導電部材を得た。
次いで、電気抵抗低減化処理として、導電部材を、気温80℃、相対湿度90%の雰囲気中で48時間放置した後、室温雰囲気(気温23℃、相対湿度50%)中に取り出した。
印刷された該導電性パターン層の厚み(メッシュ非形成部のプライマー層表面を基準にして測定)は23μmであり、版深と印刷厚みの比で計算した転移率は、(メッシュパターン厚み23μm/版深25μm)×100=92%であったが、実際には銀ペーストインキの転写後の流動、溶剤乾燥による体積收縮があるため、転写直後には、ほぼ100%に近い転移がなされていると推定される。
また、導電性パターン層表面を走査型電子顕微鏡(SEM)(商品名:S−48000、日立ハイテクノロジーズ社製)による観察を行ったところ、全表面にわたって銀粒子の一部分がバインダー樹脂から露出していた。
また、得られた導電部材の導電性パターン層の表面抵抗率は0.45Ω/□であった。
次に、金属暗色化処理液として、C.I Acid Black 2(C.I.No.50420)水溶液(固形分15%)にHCl 1重量%となるように塩酸を添加した溶液(暗色化処理液A)を用い、該処理液に導電部材を常温下、30秒浸漬し、水洗して乾燥し、透明導電材を得た。
該透明導電材の導電性パターン層の外観は銀色から黒色に変色し、該透明導電材の導電性パターン層側の面からの反射率は処理前と比較して2%低下した。導電性パターン層の表面抵抗値に変化は見られず、透過色度における色味変化も見られなかった。
暗色化した導電性パターン層中からは、C.I Acid Black 2は検出されず、暗色化物質が何かは不明であるが、元素分析等の分析結果からは、AgCl又はそれが光等で還元されたAgと推測された。
なお、反射率はJIS−K7105に準拠して、ヘイズメーターHM150(村上色彩社製、商品名)を用いて測定した。
暗色化処理液Aの温度を60℃とした以外は実施例1と同様にして透明導電材を得た。
該透明導電材の導電性パターン層側の面からの反射率は処理前と比較して約4%低下した。導電性パターン層の表面抵抗値に変化は見られず、透過色度における色味変化も見られなかった。
(実施例3)
実施例1において暗色化処理液Aの固形分を35%としたが、反射率は処理前と比較して約2%で変化は見られなかった。
(実施例4)
実施例1において暗色化処理液Aへの浸漬時間を300秒としても反射率は処理前と比較して約2%で変化は見られなかった。
実施例1において、金属暗色化処理液としてC.I Acid Black 2水溶液(固形分15%)を用いたが反射率の低下は見られなかった。
(比較例2)
実施例1において、金属暗色化処理液として水溶性カーボン分散液にHCl 1重量%となるように塩酸を添加した溶液を用いたが反射率の低下は見られなかった。
2 バインダー樹脂
10 透明基材
20 導電性パターン層
30 透明導電材
30’ 導電部材(暗色化処理前の導電部材)
40 プライマー層
Claims (1)
- (a)透明基材の一面側に銀粒子及びバインダー樹脂を含む導電性パターン層を有する導電部材を準備する工程、及び
(b)C.I. Acid Black 2が溶解された塩酸水溶液に、前記導電部材を接触させて、導電性パターン層表面近傍のバインダー樹脂から露出した銀粒子の表面に暗色層を形成する工程を含む、透明導電材の製造方法。
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