JP2011071375A - 電磁波シールド材 - Google Patents

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武章 今泉
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Abstract

【課題】導電性粒子とバインダ樹脂を含む導電性組成物の導電性インキで形成した凸状パターン層上に、更に金属層を電解めっきした電磁波シールド材にて、導電性インキの使用量が同じでも凸状パターン層の電気抵抗が下がる様にして、インキ使用量削減による低コスト化、めっき速度高速化による生産性向上を可能とする。
【解決手段】透明基材1上に、導電性粒子とバインダ樹脂を含む導電性組成物のインキをパターン状に印刷して、層内部で複数の導電性粒子が部分的に融合している凸状パターン層2を形成した後、この凸状パターン層の表面に電解めっきで金属層3を形成して電磁波シールド材10とする。粒子を部分的に融合させるには印刷後、凸状パターン層に高温湿熱処理や酸処理を行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は各種の用途、中でも特にディスプレイの前面に配置するのに好適な、電磁波シールド材に関し、特に、導電体層に導電性粒子とバインダ樹脂からなる導電性組成物層を用いた場合に、抵抗値を低くできる電磁波シールド材に関する。
現在、ディスプレイ(画像表示装置とも言う)として、旧来のブラウン管(CRT)ディスプレイ以外に、フラットパネルディスプレイ(FPD)となる、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(以後PDPとも言う)、電界発光(EL)ディスプレイ等の各種ディスプレイが実用されている。これらの中でも、特に、PDPは不要な電磁波放出が強いため、ディスプレイの前面(前面)に電磁波シールド材を配置している。なお、VCCI規格では30MHz〜1GHz前後の電磁波が規制周波数となっている。
そして、ディスプレイの前面に配置する用途の電磁波シールド材においては、電磁波遮蔽性能と光透過性とを高度に両立できる点で、導電体層には導電性の点で金属層など不透明となる層が好適であり、金属層での透明性を確保する為に、導電体層はメッシュ形状などのパターンで多数の開口部を設けた凸状パターン層としている。凸状パターン層のパターン形成には、金属箔をフォトリソグラフィ法とエッチング法を利用して形成する方法は工程が煩雑となるため、製造コストを安価に出来るなどの点で印刷法が期待されている。そこで、凸状パターンのパターン形成に印刷法を採用した電磁波シールド材が各種提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特特許文献4、特許文献5)。
すなちわ、特許文献1では透明基材上に無電解めっき触媒インキをスクリーン印刷して、その上に無電解めっきして凸状パターン層として金属層を形成している。
特許文献2では導電性組成物のインキ(導電性インキ)を転写体上に凹版オフセット印刷してメッシュパターンの導電性組成物層を凸状パターン層として形成し、これを透明基材上に転写した後、透明基材上の凸状パターン層の表面に更に金属層を電解めっきしている。
また、特許文献3では、透明基材上に導電性組成物のインキを凹版印刷してメッシュパターンの導電性組成物層からなる凸状パターン層として形成し、その後、凸状パターン層の表面に更に金属層を電解めっきしている。
また、特許文献4では透明基材上に施した流動状態のプライマ流動層上に導電性組成物のインキを凹版印刷する際に、版面上に透明基材がある内にプライマ流動層を紫外線照射などで固化させてプライマ層として固化後に透明基材を凹版から離版して、透明基材上にメッシュパターンの導電性組成物層を凸状パターン層として形成し、その後、凸状パターン層の表面に更に金属層を電解めっきしている。
また、特許文献5では、透明基材上に好ましくはバインダ樹脂を用いないで金属微粒子を分散させたインキを印刷してメッシュパターンの金属微粒子層を形成し、これを低濃度の酸溶液で処理して導電性を高めて金属微粒子を含む凸状パターン層を形成している。
特開平11−170420号公報 特開2001−102792号公報 特開平11−174174号公報 特開2009−44086号公報 特開2006−313891号公報(0021、0022)
ただ、特許文献1の電磁波シールド材は、印刷する無電解めっき触媒に高価なめっき触媒を必要とする他、その後の無電解めっきは、電解めっきに比べてめっき速度が遅いので生産性に劣り、コスト低減が難しい。この点で、特許文献2、特許文献3、特許文献4のものは導電性インキで印刷形成する凸状パターン層がそれ自体導電性を示す導電性組成物層であり、更にこの表面に金属層を電解めっきで形成することで生産性を落とさずに表面抵抗率を下げられる。但し、パターン形成した導電性組成物層の表面抵抗率が高くなると、その後のめっき処理で金属層が形成しなかったり、めっき速度が遅くなり生産能力の低下や生産性の低下につながったり、するという問題があった。表面抵抗率が高くなるのは、開口率を高める為にメッシュの開口部が線幅に対して相対的に大きくしたり、或いは、低コスト化の一環として、導電性インキの使用量を少なくしたりする事が原因となる。
一方、特許文献5のものは、印刷後の金属微粒子層からなる凸状パターン層の導電性を高めて表面抵抗率を下げているが、その実施例では、厚み3μm、線幅50μm、線ピッチ300μmの格子状メッシュパターンで5〜40Ω/□の表面抵抗率が得られるとされており、電磁波シールド材としての高透明性と高導電性(低表面抵抗値)とをより高度に両立させることに対しては、満足できる性能ではない。
従って、電解めっき前の導電性組成物層の表面抵抗が、開口率アップの為に線幅の細線化や開口部の広大化などで、増加すると電解めっき出来ない場合もあり、この様な状況下では導電性インキの使用量を控えることは困難であった。
すなわち、本発明の課題は、各種用途、中でも特に、PDPなど各種ディスプレイの前面に配置する用途に好適な電磁波シールド材について、透明性確保の為にパターン状の導電体層として、導電性組成物層からなる凸状パターン層とその表面に金属層を有する構成にて、導電性インキの使用量が同じでも抵抗値が下がる様にして、その結果、コストへの影響が大きい導電性インキの使用量を減らせ、また金属層を電解めっきで形成する際の生産性を向上でき、しかも、高度に電磁波シールド性と光透過性を両立できる、電磁波シールド材を提供することである。
そこで、本発明の電磁波シールド材では、
(1)透明基材上に、導電性粒子とバインダ樹脂を含む導電性組成物でパターン状に形成された凸状パターン層、更に該凸状パターン層の表面に形成された金属層を有する、電磁波シールド材であって、凸状パターン層の内部で、複数の導電性粒子が部分的に融合している、電磁波シールド材とした。
(2)前記凸状パターン層の断面内において、複数の導電性粒子が部分的に融合し、連結した経路の長さが、凸状パターン層の線幅の1/2を超える経路を、少なくとも1以上有する前記(1)記載の電磁波シールド材、とした。
本発明によれば、複数の導電性粒子が部分的に融合しているため、限られた添加量の導電性粒子で各導電性粒子同士の電気的接触が確保される結果、同じ導電性を得るのであれば導電性組成物(導電性インキ)の使用量を減らせ低コスト化が図れ、開口率アップの為に線幅の細線化や開口部の広大化もでき、また、同じ導電性組成物の使用量であれば金属層を電解めっきで形成する際の生産性を向上でき、しかも、高度に電磁波シールド性と光透過性を両立できる。
本発明の電磁波シールド材の一形態を例示する平面図。 図1に於けるA−A’断面での部分拡大断面図。 本発明の電磁波シールド材に於ける、湿熱処理条件、環境保持時間と表面抵抗率の関係を表すグラフ。 本発明の電磁波シールド材に於ける凸状パターン層の断面SEM写真の湿熱処理(80℃×90RH%、48hr)の処理前を示す。 本発明の電磁波シールド材に於ける凸状パターン層の断面SEM写真の湿熱処理(80℃×90RH%、48hr)の処理後を示す。 図5の湿熱処理後の凸状パターン層の断面SEM写真における融合経路の説明図。 本発明の電磁波シールド材に於ける、連結した融合経路の一側端から他側端への方向を示す概念的な説明図。 本発明の電磁波シールド材に於ける、酸処理(15%HCl、1min)後の凸状パターン層の断面SEM写真。 図8の凸状パターン層の断面SEM写真における融合経路の説明図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
《要旨》
先ず、図1の平面図に、本発明の電磁波シールド材10をその一形態で例示する。また、図2は、図1中のA−A’線での部分拡大断面図である。また、図2の断面図に例示する電磁波シールド材10では、透明基材1上に凸状パターン層2が形成され、更にこの凸状パターン層2の表面に金属層3が形成されている。本発明では、凸状パターン層2が導電性粒子とバインダ樹脂を含む導電性組成物による導電性組成物層として形成され、且つ凸状パターン層内部で複数の導電性粒子が部分的に融合している結果、電気抵抗を下げることができる。
なお、図2の形態では、凸状パターン層2は透明基材1上に形成された下地層4の上に形成され、凸状パターン層2形成面側には保護層5が形成され、凸状パターン層2を保護している。なお、下地層4は下地樹脂層やプライマ層などとして、密着強化等の各種機能の為に適宜設け、保護層5は表面保護や光学フィルタ等の各種機能の為に適宜設けるものであり、これらは省略することもできる。
また、図1中、電磁波シールド材の中央部は画像表示領域Edで、その全外周部が接地領域Eeである。凸状パターン層2は、少なくとも画像表示領域Edの導電体層として適用する。一方、接地領域Eeは、導電体層をベタ層(連続層)としても良いが、凸状パターン層としても良い。
以下、本発明の電磁波シールド材について、更に詳述する。
《透明基材》
透明基材1には、公知の透明な材料を使用すれば良く、可視光線領域での透明性、耐熱性、機械的強度等を考慮すると、樹脂フィルム(乃至シート)が代表的である。樹脂フィルム(乃至シート)の樹脂は例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、或いは、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂等である。なかでも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは好適な材料である。なお、透明基材の厚みは、取扱性、コスト等の点で通常12〜500μm、好ましくは25〜200μmだが、特に制限はない。
また、透明基材1は、ロール・ツー・ロール方式への適性ではフレキシブルな材料を選べる樹脂フィルムが好ましいが、ガラス、セラミックス、樹脂等からなる剛直な板でも、本発明は適用できる。板材の厚みは、例えば、500〜5000μm程度である。
なお、「ロール・ツー・ロール方式」とは、シート状材料の加工方式であって、被加工材料を連続帯状のシート状材料の巻取(ロール)から巻き出して供給し、所望の加工を施した後、再度、巻取に巻き取って保管、搬送等する加工方式を意味する。
《凸状パターン層》
凸状パターン層2は、本発明では導電性組成物層として形成される。なお、本発明では導電体層は、この凸状パターン層とその表面上の金属層を構成層として含む層として形成される。そして、凸状パターン層2は、その非形成部として多数の開口部を設けたパターン状の導電性の層である。凸状パターン層の形成部の断面が凸形状で、また平面視がパターン状に形成されているので、凸状パターン層と呼ぶ。
なお、凸状パターン層を導電体層に用いた領域(画像表示領域Ed)の周辺部の全周又はその一部に、それと導通を保ちつつ隣接した全ベタ等の導電体層で接地領域Eeを設ける場合もある。この接地領域の導電体層も、導電性組成物層による凸状パターン層とその表面上の金属層からなる導電体層として、内部の画像表示領域の導電体層と同時に形成しても良く、別途導電性インキを使って形成してもよく、導電金属テープなどを貼ることにより形成しても良い。なお、別途導電性インキで接地領域の導電体層を形成する場合の印刷法としては、特に微細パターン再現精度は不要の為、凸状パターン層と同様の印刷法でも良いし、或はシルクスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の公知の各種印刷法によっても良い。
[パターン形状]
凸状パターン層2の平面視のパターン形状としては、メッシュ(網目乃至格子)形状が代表的だが、その他、ストライプ(平行線群乃至縞模様)形状、螺旋形状等でもよい。メッシュ形状の場合、単位格子形状は、正3角形、不等辺3角形等の3角形、正方形、長方形、台形、菱形等の4角形、6角形、8角形等の多角形、円、楕円等が用いられる。なお、開口部の形状はメッシュの場合は単位格子形状となり、ストライプ形状の場合は帯形状となり、螺旋形状の場合は帯状乃至は螺旋形状となる。また、モアレ軽減目的で、ランダム網目状、或いは擬似ランダム網目状のパターンとしても良い。
凸状パターン層の形成部となる線の線幅と線ピッチは、従来公知のもので良く、例えば、線幅5〜50μm、線間ピッチ100〜500μmなどである。開口率(凸状パターン層の全面積中における開口部の合計面積の占める比率)は、導電性(表面抵抗率)と透明性の兼ね合いから、通常、50〜95%程度とする。また、線幅は、高透明性とする点では好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下とするとよい。
また、凸状パターン層2の厚さは、凸状パターン層2で実現する抵抗値によっても異なるが、電磁波シールド性能と該凸状パターン層2上への金属層3の接着適性との兼ね合いから、その中央部(凸状パターン層の形成部での頂部)での測定において、通常2〜50μm、好ましくは5〜20μmである。
[表面抵抗率]
また、凸状パターン層2の表面に、生産性を落とさずに安定して電解めっきにより金属層3を形成できる様にするには、導電性組成物層として形成する凸状パターン層の表面抵抗率は低い程好ましい。具体的には、表面抵抗率を2Ω/□(2Ω/sq)以下とするのが好ましい。
なお、凸状パターン層の表面に金属層を形成せずに、電磁波シールドメッシュとして多用される線幅25μm以下、層厚み20μm以下の領域にて十分な電磁波シールド性能を発揮させる為には、凸状パターン層の表面抵抗率は更に低い方がましく、具体的には、表面抵抗率が1.2Ω/□以下、より好ましくは0.8Ω/□以下とするのが良い。
また、材料費低減の為には、凸状パターン層となる導電性組成物層中の導電性粒子の含有量は少ない程好ましい。この為には、本発明の電気抵抗低減化処理の他に、例えば、後述の様に、該導電性粒子の材料として体積抵抗率の低い銀、金、銅等の金属を選択すること、導電性粒子の平均粒子径を1μm以下とすること、導電性粒子の粒子径を小粒子径粒子と大粒子径粒子との混合系にすること、凸状パターン層の頂部に於ける導電性粒子の密度を密にすることが有効である。これらのうち1乃至2以上の手段を併用すると良い。
[導電性組成物層]
凸状パターン層2として形成する導電性組成物層は、導電性組成物(導電性インキ、導電ペースト等とも呼ばれる)を目的とするパターン形状に、印刷法で形成することができる。印刷法としては、目的とするパターン形状が得られるものであれば特に制限はなく、公知の印刷法を要求性能に応じて適宜採用すれば良い。例えば、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、凹版印刷、インクジェット印刷など要求性能を満たしうる印刷法を採用すれば良い。なお、この中で、凹版印刷法の一種であり前記特許文献4で採用の印刷法(印刷面に流動状態のプライマを施しておき、版面上で固化させプライマ層とした後、印刷物を離版する方法)は高精細印刷可能な方法でこれを用いることができる。
(樹脂バインダ)
上記導電性組成物は、導電性粒子を樹脂バインダ中に分散させた組成物であり、溶剤がある場合は蒸発させる等して、その固化物としてパターン形状に形成したものが導電性組成物層である。
樹脂バインダの樹脂としては、基本的には特に制限はなく、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用できる。例えば、熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の樹脂を用いることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線で架橋反応などにより重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーを含む組成物であって、モノマーやプレポリマーにはラジカル重合性やカチオン重合性の化合物を用い、代表的にはアクリレート系化合物を用い、また、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂を用いることができる。これら各種樹脂は、1種単独で、或いは2種以上混合して用いる。
(導電性粒子)
上記導電性粒子としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、錫、アルミニウムなどの低抵抗率金属の粒子、或は芯材粒子としての高抵抗率金属粒子、樹脂粒子、無機粒子等の表面が金や銀などの低抵抗率金属で被覆された粒子、黒鉛粒子、導電性高分子粒子、導電性セラミックス粒子等を用いることができる。
導電性粒子の形状は、正多面体状、截頭多面体状等の各種の多面体状、球状、回転楕円体状、鱗片状、円盤状、樹枝状、繊維状等から選ぶことができる。特に、多面体状、球状、又は回転楕円体状が好ましい。また、これら材質と形状は複数種類を適宜併用してもよい。
導電性粒子の大きさは、種類に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは平均粒子径で0.01〜10μm程度のものを用いることができる。凸状パターン層の導電性(表面抵抗率)を低くする点では、平均粒子径は小さい方が好ましく、この点では平均粒子径0.1〜1μmが好ましい。なお、一般に「ナノ粒子」と呼ばれるような平均粒子径が数十nmと小さい粒子は高コストとなり、また、樹脂バインダと混合すると性能が低下し、インキとしての安定性も低下する傾向がある。
(導電性粒子の融合と、融合の為の電気抵抗低減化処理)
導電性粒子は、凸状パターン層2の内部において、複数の導電性粒子が部分的に融合している。更に、好ましくは、複数の粒子が融合して形成された連なり(「経路」又は「クラスタ」ともいう。)は、その長さが、凸状パターン層の線幅の1/2を超える経路(クラスタ)が、少なくとも1以上存在することが望ましい。この結果、体積抵抗率が下がり電磁波シールド性能が向上する。この様な融合を形成する方法は特に制限はないが、例えば、印刷形成され金属層や保護層は形成前の凸状パターン層2を、高温湿熱処理、酸処理することで形成できる。
すなわち、導電性組成物によって導電性組成物層として透明基材上に凸状パターン層を形成した後、更に、
(i)水分存在下、且つ比較的高温下にて処理するか(高温湿熱処理)、或いは
(ii)酸に接触させる処理(酸処理)をする。これによって、凸状パターン層の体積抵抗率が低下し(また表面抵抗率も低下し)、電磁波シールド性能が向上する。この現象は、特に導電性粒子が銀又は銀を含む粒子である場合に観察され、以下、これを「電気抵抗低減化処理」とも呼称する。
この電気抵抗低減化処理は、従来のいわゆる焼成処理とは異なり、ポリエチレンテレフタレート等の一般の樹脂フィルム製の透明基材にダメージを与えるような長時間の加熱処理ではなく、また低温焼成用印刷インキとして知られたナノサイズ粒子の分散液ではなく、バインダに樹脂等を含んだ一般的な性状の導電性インキを使用可能である。
((高温湿熱処理))
(i)の水分存在下での電気抵抗低減化処理(高温湿熱処理)は、導電性組成物層からなる凸状パターン層を形成した後、該凸状パターン層を水分と接触した状態の下で室温よりも高温状態に適宜時間放置する処理である。水分存在下の条件としては、水蒸気を含む空気中への放置、水滴の噴霧(吹付け)、或いは液体の水中への浸漬の何れでも良い。水蒸気を含む空気中への放置の場合、放置する空気(雰囲気)の相対湿度は70%RH以上、好ましくは85%以上とする。この様な高温状態の温度(水蒸気を含む空気中への放置の場合は雰囲気温度、水中浸漬の場合は水温)は30℃以上、好ましくは60℃以上である。但し、余り高温になると樹脂バインダや透明基材の変質、変更を生じることになる為、通常の材料の場合、120℃以下とする。
処理時間は、図3に示すように、処理開始後48時間までは、表面抵抗率が時間の経過とともに低下するが、48時間以降は、ほぼ一定となるので、48時間程度とするのがよい。この様な電気抵抗低減化処理によって、凸状パターン層全体の表面抵抗率は処理前の80〜50%程度に減少する。
また、導電性粒子の粒子形状、大きさや樹脂バインダの種類に関わらずこの体積抵抗率の減少は見られ、一般的なパターン設計において処理後に0.8Ω/□以下の値にすることも可能である。また、その上に金属層を電解めっきにて形成するときに、本処理で表面抵抗率が下がるので、めっき処理速度を上げることができ、生産性が向上する。
この様な電気抵抗低減化処理によって、体積抵抗率が減少する理由は、現時点では未解明であるが、例えば導電性粒子として銀を用い、処理前後の銀粒子の状態変化をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察すると、銀の粒子形状変化、部分的な融着、粒子間距離の減少などが観察され、これらが体積抵抗率低減の直接の原因と推定される。
電気抵抗低減化処理によって、体積抵抗率が減少する理由について、考察すると、図4は、銀粒子を用いた比較例1により得られた電気抵抗低減化未処理の凸状パターン層の断面のSEM写真であるが、銀粒子は粒子径の大小はあるが概ね独立しており、複数の粒子が融合することによって連結(、連接、或は連なるとも云う)して一体化していることはない。一方、図5は、80℃×90RH%で48時間の条件で高温湿熱処理した、実施例4の断面のSEM写真であるが、複数の粒子が融合して連結した経路を形成しているのが観察され、その経路を結ぶと、図6の実折れ線で示される。複数の粒子の連結経路は、例えば図7に示すように、A→B、C→D、E→D等の少なくともいずれかの方向に、直線状、折線状、及び/又は曲線状で1側端部から他の側端部まで連結した経路が1本以上存在していることが、体積抵抗率低減の点から、特に望ましいと考えられる。
なお、後述する実施例2の酸による処理では、図9に示すように、導電性粒子が融合した連結部の作る経路が1側端部から、他の側端部迄は、到達していないが、表面抵抗率で0.3Ω/□が達成されている。
このことから、複数の粒子が融合した連結部(「クラスター」ともいう。)は、好ましくは、その長さが凸状パターン層の線幅の1/2程度に連なった連結部(クラスター)があれば、必ずしも、その部位の断面写真では融合が確認できないが、1側端部から他の側端部まで連結した経路が他の断面の部位で存在している確率が高いと推測され、結果的に体積抵抗率ひいては表面抵抗率の低減が達成できているものと考えられる。なお、電気抵抗低減化処理未実施の凸状パターン層をアルコールで払拭試験をすると表面抵抗率が増大するが、実施後の凸状パターン層ではほとんど変化しないという現象が見られることからも、導電粒子間の強固な結合が形成されていることが推定され、前述のようなクラスター形成を裏付けていると考えられる。
高温湿熱処理、あるいは酸処理で粒子間の融合がなぜ起こり、体積抵抗率が低下するかについては、粒子表面が洗浄されることによる銀粒子同士の金属拡散の促進、水分あるいは酸による樹脂バインダの収縮、溶媒成分の減少、或は一旦溶解した金属が隣接する複数個の粒子表面間を包絡し、或は各粒子間の隙間を充填するような形態で再度固体化することなども考えられるが、真の理由は未だ確認できていない。
なお、図3に示すように、80℃で単に熱処理しただけでは、表面抵抗率は低下せず体積抵抗率は低減しないことが確認されている。また、酸処理した後に十分な乾燥をしないと抵抗率の減少率が小さいことも確認されている。
((酸処理))
(ii)酸処理とは、導電性組成物層を透明基材上に凸状パターン層として形成した後、酸と接触させることによって、凸状パターン層の体積抵抗率を低下させる処理をいう。酸処理に用いる酸としては、特に限定されず、種々の無機酸、有機酸から選択することができる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸などが挙げられ、有機酸としては、酢酸、クエン酸、蓚酸、プロピオン酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。これらは、強酸でも、弱酸でもよい。好ましくは酢酸、塩酸、硫酸、及びその水溶液であり、特に導電性粒子が銀の場合、より好ましくは塩酸、硫酸、及びその水溶液である。
酸処理の処理時間は数分以下で十分であり、処理時間をより長くしても、導電性の向上効果が高まらない場合や、導電性の向上効果が悪化する場合がある。酸による処理時間は、15秒〜60分であることが好ましく、より好ましくは15秒〜30分であり、さらに好ましくは15秒から2分であり、特に好ましくは15秒〜1分である。
酸処理の処理温度は、常温で十分である。高温で処理を行うと、酸の蒸気が発生して周辺の金属装置を劣化させる原因となったり、透明基材に熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合に、透明基材を白化させて透明性を損ねたりすることがあるため、好ましくない。好ましい処理温度は40℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下である。
酸で処理する方法は特に限定されず、例えば、酸や、酸の溶液の中に凸状パターン層を浸したり、酸や、酸の溶液を凸状パターン層上に塗布したり、酸や酸の水溶液の液を噴霧(吹付け)したり、或いは酸や、酸の溶液の蒸気を凸状パターン層にあてたりする方法が用いられる。これらの中でも、酸の溶液の中に凸状パターン層を浸したり、酸や、酸の溶液を凸状パターン層上に塗布したりするなど、凸状パターン層と酸の液体を接触させる方法が、導電性向上効果に優れるため好ましい。すなわち、酸の処理条件としては、40℃以下の温度で、酸の溶液の中に凸状パターン層を浸したり、酸や、酸の溶液を凸状パターン層上に塗布したりすることが好ましい。
酸の溶液を用いる場合、酸の濃度は、好ましくは10mol/L以下、より好ましくは5mol/L以下、さらに好ましくは1mol/L以下である。酸の溶液の濃度が高いと、作業性が低下し生産性が悪化する場合があったり、透明基材として熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合には、透明基材を白化させて透明性を損ねたりする場合があるため、好ましくない。また、酸の濃度が低すぎる場合にも、酸処理の効果が得られないため、好ましくは0.05mol/L以上、より好ましくは0.1mol/L以上が好ましい。
なお、酸の溶液を用いる場合は酸の残渣による悪影響が懸念されるため、処理後に水ですすぎ、乾燥工程が必要となる。尚、高温湿熱処理を採用し、温水や蒸気を用いる場合はすすぎ工程は省略できる。
(導電性粒子の粒子径の分布)
なお、使用する導電性粒子の粒子径の分布については、得られる凸状パターン層の電気抵抗を低くする為には、分布幅が狭く単一粒子径に近いよりも、図4の如く、相対的に大粒子径の粒子と相対的に小粒子径の粒子との混合系から成る方が良い。例えば、粒子径が0.01μm〜1μmの範囲の小粒子径粒子と粒子径5〜10μmの範囲の大粒子径粒子との混合系が好ましい。この様な混合系に於ける両粒子の混合比は、小粒子径粒子数:大粒子径粒子数=1:9〜9:1、特に、小粒子径粒子数:大粒子径粒子数=5:5〜9:1の範囲が好ましい。当然のことながら、凸状パターン層の線幅や厚みよりも大きな粒子が混入すると、印刷時に抜けやスジなどの不良が多発するため、大粒子径粒子の平均サイズ、あるいは最大粒子径はパターン設計により変わってくる。また、異なる平均粒子径を持つ複数種類の粒子を混合する以外に、ある程度の粒度分布を持った粒子を最初から用いても良い。
なお、導電性組成物中の導電性粒子の含有量は、導電性粒子の導電性や粒子の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電性組成物の固形分100質量部のうち、導電性粒子を40〜99質量部の範囲で含有させることができる。なお、本明細書にて平均粒子径というときは、粒度分布計、またはTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値を指している。
導電性粒子の粒子径を小粒子径粒子と大粒子径粒子との混合系にすると導電性組成物層(から成る凸状パターン層)の表面抵抗率が低下する理由としては、該混合系から成る凸状パターン層の断面を顕微鏡観察すると、大粒子径粒子の分布する間隙に小粒子径粒子が充填されて分布した形態が観察されることから推して、大粒子径粒子同士の接触が無い部分の間隙を、そこに介在する小粒子径粒子の接触によって補強し、導電性組成物層内に分散する大小粒子相互の電気的接触面積の総和が増大する為と考えられる。
また、凸状パターン層内に於ける導電性粒子の分布は、所望の特性や製造適性に応じて各種形態を選択可能であるが、特に好ましい形態としては、図4の如く、凸状パターン層の頂部近傍(透明基材から遠ざかる方向)においては、相対的に、粒子間の間隔が小さく、粒子数密度、即ち単位体積当りの粒子数が高く(密に)なり、一方、該凸状パターン層の底部近傍(透明基材に近付く方向)においては、相対的に、粒子間の間隔が大きく、粒子数密度が低く(疎或いは粗)になる分布が挙げられる。
この様な分布形態の場合は、電磁波シールド材を画像表示装置の画面に設置する汎用の使用形態、即ち、凸状パターン層側が画像表示装置側に向かい、透明基材1側が画像の観察者側に向かう向きで使用する場合において、観察者側に対峙する導電性粒子は、密度が粗の為、外来光(電灯光、日光等)を散乱させて、観察者の目に入る反射光、特に鏡面反射光を低減する。その結果、外来光存在下に於ける画像の白化、周囲の風景の映り込みを防止し、画像コントラストの低下を防止することが出来、好ましい。この効果をより一層有効に発現させる為には、導電性粒子形状としては、鱗片状よりも、多面体状、球状、又は回転楕円体状の形状を選択する方が、該凸状パターン層2の透明基材側表面に鏡面に近い面が形成され難い為、好ましい。又、導電性粒子形状としては、鱗片状の物を採用する場合は、凸状パターン層中の鱗片状導電性粒子の配向方向(例えば、該鱗片の一番広い面の法線方向として定義される)を乱雑(random)に分布するようにすると、鏡面反射が低減し、好ましい。尚、導電性粒子形状が多面体状、球状、又は回転楕円体状の形状の場合でも、其の配向方向を乱雑化することは、鏡面反射光の低減の点では好ましい。
且つ、同時に、画像表示装置側に対峙する導電性粒子は、緻密に集合し、各粒子間の電気的接触も良好になり、電気抵抗が下がり、電磁波シールド効果も高まる。尚、当然、この様に高密度に分布する導電性粒子は可視光線の反射率も高いが、導電性粒子は画像観察者の目に触れない側(観察者と反対側)の面に位置する為、画像コントラスト等の低下の心配はない。また、導電性粒子層が画像観察者側に位置するように設置して用いる場合は、必要に応じて、凸状パターン層2表面に、金属層3を介して黒化処理などを施せばよい。また、凸状パターン層の頂部近傍において粒子が緻密に存在するという構造は、例え導電性粒子の総添加量が同じであっても、導電性粒子が凸状パターン層中に均一な数密度で部分布する場合に比べて、凸状パターン層の表面抵抗がより低下する為、凸状パターン層表面に電解めっき法にて金属層を形成する際に、より短時間で同厚みの金属層を形成出来るという効果もある。
凸状パターン層中に於ける導電性粒子の密度分布を制御し、図4の如く、相対的に、底部近傍(透明基材に近付く方向)において分布が疎であり、また、凸状パターン層の頂部近傍において密である様にしたり、或いは底部近傍において粒子の配向方向が乱雑になり、且つ凸状パターン層の頂部において平行乃至略平行に配向させたりする為には、例えば、前記した特許文献4記載の「凹版印刷法」を利用して凸状パターン層を印刷形成する際に、版面凹部内に導電性組成物を充填済みの凹版の版面に、流動状態のプライマ層を塗布した後の透明基材を押圧する圧力を高めに設定すると共に、未硬化状態に於ける導電性組成物の粘度を低めに設定し、更に導電性組成物を凹版凹部内で固化させずに、版面から離型後固化させることが有効である。この他、これら導電性粒子の密度分布や配向状態は、導電性組成物のバインダ樹脂の種類、導電性粒子の材料と粒子径と粒子形状、バインダ樹脂と導電性粒子との配合比、及び該導電性組成物の版面への塗工条件や固化条件等に依存する。現実には、これら導電性粒子の密度分布や配向状態に影響する各種条件から実験的に、求める導電性粒子の密度分布及び配向に合致する条件を決定することになる。
なお、プライマ層には、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂などを使用でき、硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂を使用できるが、流動状態から固化状態への迅速な変化を制御できる点で、好ましくは電離放射線硬化性樹脂が使用される。
《金属層》
金属層3を凸状パターン層2の表面上に設けて、導電体層を凸状パターン層2と金属層3を含むものとすることによって、導電性組成物層からなる凸状パターン層2のみでは所望の導電性に不足する場合に、導電性を更に向上させることができる。金属層3は凸状パターン層2の表面にめっきにより形成される。めっきの方法としては電解めっき、無電解めっきなどの方法があるが、電解めっきは無電解めっきに比べて通電量を増やすことでめっき速度を数倍に上げることができ、生産性を著しく向上させることができるため好ましい。
電解めっきの場合、凸状パターン層2への給電は凸状パターン層2が形成された面に接触させた通電ロール等の電極から行われるが、凸状パターン層2が電解めっき可能な程度の導電性(例えば、0.8Ω/□以下)を有するので、電解めっきを問題なく行うことができる。
金属層3を構成する材料としては、導電性が高く容易にめっき可能な、銅、銀、金、クロム、ニッケル等を挙げることができる。金属層は凸状パターン層に比べると一般的に体積抵抗率が1桁以上小さいため、凸状パターン層単体で電磁波シールド性を確保する場合に比べて、必要な導電性材料の量を減らせるという利点がある。
なお、めっきは前工程とインラインで行っても良いし、インラインでなくオフラインでも良い。
《保護層、黒化層》
なお、金属層3を形成した後においては、必要に応じて、その金属層を黒化処理したり、保護層5を設けたり、してもよい。黒化処理は、例えば黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の処理を例示できるが必ずしもこれらの処理に限定されない。
また、保護層5は、凸状パターン層の凹凸を充填、表面平坦化を図る平坦化層として形成することができる他、表面平坦化はせずに、単に凸状パターン層表面を被覆し保護する層として形成することもできる。この様な保護層は、例えばアクリル系の紫外線硬化性樹脂を用いて形成することができる。凸状パターン層や金属層に使用する金属が銅などの錆びやすい金属の場合には防錆処理を行うことが好ましく、クロメート処理剤等の一般的な防錆剤を使用でき、また防錆処理は黒化処理や保護層形成と兼ねてもよい。
《その他の層:光学フィルタなど》
また、上記の様な電磁波シールド材は更にその表面、裏面、或いは表裏両面に各種の機能層を積層しても良い。機能層としては、光学フィルタ機能を実現する光学機能層、光学フィルタ機能以外のその他の機能を実現するその他機能層などであり、これらの機能層としては、従来公知のものをそのまま用いればよく光学フィルタ機能としては、、例えば近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、調色層、紫外線吸収層、特開2007−272161号公報等に記載の所謂薄膜ミクロルーバ層、反射防止層、及び防眩層を挙げることが出来る。又、その他機能層としては、耐衝撃層、帯電防止層、ハードコート層、及び防汚層等を挙げることができる。これらの各種機能層は複合することができる。機能層は単層で機能を発現するようにしても良く、複数の層で機能を発現するようにしても良い。単層の場合の例としてはハードコート機能、平坦化機能、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、紫外線吸収機能、調色機能、反射防止機能、防眩機能、耐衝撃機能、帯電防止機能、防汚機能などの1つあるいは複数の機能を発現させてもよく、複数層の場合は例えば平坦化層+反射防止層、防眩層+ハードコート層、近赤外線吸収層+ハードコート層などといった機能分担をさせることが可能である。
また、本発明による電磁波シールド材は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、更に上記した以外のその層を含んでもよい。例えば、凸状パターン層が積層された側とは反対側の透明基材の面に、ディスプレイ前面板などの被着体に貼り付ける為の粘着剤層やそのセパレータフィルム、光学フィルタなどである。
《用途》
本発明による電磁波シールド材は、各種用途に使用可能である。特に、テレビジョン受像装置、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、電子看板、遊戯機器等の表示部等に用いられるPDP、CRT、LCD、ELなどの各種画像表示装置の前面フィルタ用として好適であり、特にPDP用として好適である。又、その他、住宅、学校、病院、事務所、店舗等の建築物の窓、車輛、航空機、船舶等の乗物の窓、電子レンジ等の各種家電製品の窓等に於ける電磁波シールド用途にも使用可能である。
次に、本発明を実施例によって更に詳述する。
[実施例1]
(凸状パターン層の印刷形成)
導電性組成物を凹版印刷する凹版としては、線幅17μm、線ピッチ270μmの正方格子状のメッシュパターンが版深12μmで形成された凹版シリンダを用いた。また、透明基材には、片面に易接着処理済みの幅1000mmで厚さ100μmの連続帯状の2軸延伸透明ポリエチレンテレフタレー卜(PET)フィルム用いた。
一方、凹版には、導電性組成物として銀ペーストインキ(導電性粒子として平均粒径約1μmの銀粉末、バインダ樹脂として熱可塑性のアクリル系樹脂からなり、固形分約88.5%の導電性組成物よりなり、トルエンと酢酸エチルの1対1質量比の混合溶剤で稀釈)をピックアップロールにより版面にコーティングし、版面上の余分なインキはドクターブレードにより掻き取ってあり、掻き取った後の版面上に上記透明基材を供給し、該透明基材の易接着処理面側を版面に接触させた。
そして、未固化のプライマ層を有する透明基材が回転する版面に圧着されている間に紫外線照射によりプライマ層を硬化させ固化させた後、透明基材を版面から離版させて、次いでインキ溶剤を加熱乾燥して、透明基材上にプライマ層を介して導電性組成物層としての凸状パターン層を印刷形成した。なお、印刷は輪転方式で印刷速度は10m/minである。
なお、凸状パターン層の厚み(凸状パターン層非形成部のプライマ層面を基準面にして測定)は銀ペーストインキの溶剤乾燥による体積収縮等によって10μmとなった。また、断線や形状不良は見られなかった。
(電気抵抗低減化処理)
次いで、印刷後、気温80℃、相対湿度90%の雰囲気中で48時間放置する高温湿熱処理による、電気抵抗低減化処理を行った後、室温雰囲気(気温23℃、相対湿度50%)中に取り出した。
次いで、該低減化処理後の凸状パターン層の表面(電気)抵抗を測定した。測定は、室温雰囲気(気温23℃、相対湿度50%)中で実施した。表面抵抗率は処理前1.1Ω/□が処理後は0.5Ω/□となり、以降0.5Ω/□に保持された。
また、凸状パターン層の断面観察を行ったところ、図4で示す様に低減化処理前には銀粒子はほぼ独立粒子状であったが、低減化処理後には、図5で示す様に複数個の銀粒子が融合して連なったものが観察された。銀粒子が融合し連結した経路の長さは、図6の折れ線部の総和が14.1μmであり、線幅の1.7/2倍であった。
(金属層の電解めっき形成)
次に、硫酸銅めっき浴に浸漬して電解めっきを行い、凸状パターン層の表面に厚さ2μmの銅の金属層を形成して、電磁波シールド材を得た。電解めっきは、電気抵抗低減化処理によって、凸状パターン層の電気抵抗が低減している為、電解めっき速度は生産性の点で満足できるものであった。
[実施例2]
実施例1に於いて、電気抵抗低減化処理を酸処理に変更した他は、実施例1と同様にして電磁波シールド材を得た。すなわち、実施例1に於いて、処理前の凸状パターン層を希塩酸〔0.12mol/L〕で1分間処理し、水洗・乾燥したところ、表面抵抗率が1.0Ω/□から0.3Ω/□に低下した。
図8は、希塩酸処理後の断面写真であるが、実施例1の高温湿熱処理の場合とは若干異なる粒子の融合状態が観察され、図9は図8に於ける複数個の粒子が融合して連なった経路を示しており、略中央下半部の折れ線状の融合し連結した経路の長さは10.6μmであり、線幅約17μmの1.3/2の長さを有していた。
次に、実施例1同様に、凸状パターン層の表面上に金属層を電解めっきで形成して、電磁波シールド材を得た。凸状パターン層の電気抵抗が低下しているので、電解めっき速度は生産性の点で満足できるものであった。
[実施例3]
実施例1に於いて、電気抵抗低減化処理を温水浸漬処理(80℃温水6分間後、水洗・乾燥)に変更した他は、実施例1と同様にして電磁波シールド材を得た。処理後の表面抵抗率は処理前の1.1Ω/□から0.5Ω/□に低下した。金属層の電解めっき速度は良好であった。
[実施例4]
(凸状パターン層の印刷形成)
凹版として線幅18μm、線ピッチ270μmの正方格子状のメッシュパターンが版深10μmで形成された凹版シリンダを用い、銀ペーストインキとして略球形状から成り、粒子径0.1〜0.5μmの粒子と粒子径1〜3μmの粒子との混合系で平均粒子径1μmの銀粒子93質量部をアクリル系バインダ樹脂中4質量部に分散した組成物を用いた他は、実施例1と同様にして、透明基材上にプライマ層を介して凸状パターンを印刷形成した。なお、凸状パターン層の厚みは9μmである。また、断線や形状不良は見られなかった。
(電気抵抗低減化処理)
次いで、印刷後、実施例1同様の条件で、電気抵抗低減化処理、抵抗測定を行った。表面抵抗率は処理前の1.0Ω/□が処理後は0.45Ω/□に低下した。
(金属層の電解めっき形成)
次に、実施例1同様に、凸状パターン層の表面上に金属層を電解めっきで形成して、電磁波シールド材を得た。電気抵抗低減化処理によって、凸状パターン層の電気抵抗が低減しているので、電解めっき速度は生産性の点で満足できるものであった。
[比較例1]
実施例1に於いて、電気抵抗低減化処理が未処理の凸状パターン層を80℃の乾燥オーブン内に48時間静置したところ、表面抵抗率は1.1Ω/□のままであり、抵抗値変化は観察されなかった。
この凸状パターン層に対して、実施例1と同様の、めっき浴及び電圧で同厚みの金属層を形成したところ、実施例1に比べて電解めっきの所要時間は220%に増加(めっき速度が45%に減少)となった。
[比較例2]
実施例3において、電気抵抗低減化処理を行わなかった以外は、実施例3と同様にして、電磁波シールド材を得た。表面抵抗率1.0Ω/□の凸状パターン層に対して、実施例3同様の、めっき浴及び電圧で同厚みの金属層を形成したところ、実施例3に比べて電解めっきの所要時間は200%に増加(めっき速度が50%に減少)となった。
1 透明基材
2 凸状パターン層(導電性組成物層)
3 金属層
4 下地層
5 保護層
Ed 画像表示領域
Ee 接地領域
10 電磁波シールド材

Claims (2)

  1. 透明基材上に、導電性粒子とバインダ樹脂を含む導電性組成物でパターン状に形成された凸状パターン層、更に該凸状パターン層の表面に形成された金属層を有する、電磁波シールド材であって、
    凸状パターン層の内部で、複数の導電性粒子が部分的に融合している、電磁波シールド材。
  2. 前記凸状パターン層の横断面内において、複数の導電性粒子が部分的に融合し、連結した経路の長さが、凸状パターン層の線幅の1/2を超える経路を、少なくとも1以上有する、請求項1記載の電磁波シールド材。
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