JP2011077298A - ディスプレイ用フィルタ及びこれを用いた画像表示装置 - Google Patents

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哲也 小尻
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Abstract

【課題】パターンの線幅をより一層微細化しても低い電気抵抗とすることができ、電磁波シールド材の凸状パターン層形成側をディスプレイパネルに向けて設置したときに、外光及び画像光による画像の白化、画像コントラストの低下が防止できる電磁波シールド材を含むディスプレイ用フィルタ及びこれを用いた画像表示装置を提供する。
【解決手段】透明基材1と、該透明基材1上に形成されたプライマー層2と、該プライマー層2上に所定のパターンで形成された導電性組成物からなり、かつ、その表面が黒化処理された凸状パターン層3を有する電磁波シールド材であって、該導電性組成物は導電性粒子5とバインダー樹脂6を含み、該凸状パターン層3中の該導電性粒子5の分布が、相対的に、該プライマー層2近傍において疎であり、又該凸状パターンの頂部近傍において密であり、電磁波シールド材の凸状パターン層3形成側をディスプレイパネル側に向けて使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像表示装置(ディスプレイ)の前面に配置して、ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽するディスプレイ用フィルタ及びこれを用いた画像表示装置に関する。
テレビやパーソナルコンピュータのモニター等の画像表示装置(ディスプレイ装置ともいう)として、例えば、陰極線管(CRT)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置(LCD)、プラズマディスプレイ装置(PDP)、電場発光(EL)ディスプレイ装置等が知られている。これらのディスプレイ装置のうち、大画面ディスプレイ装置の分野で注目されているプラズマディスプレイ装置は、発光にプラズマ放電を利用するため、30MHz〜1GHz帯域の不要な電磁波が外部に漏洩して他の機器(例えば、遠隔制御機器、情報処理装置等)に影響を与えるおそれがある。そのため、プラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネルの前面側(観察者側)に、漏洩する電磁波をシールドするためのフィルム状の電磁波シールド材を設けるのが一般的である。
プラズマディスプレイの前面などに用いることができる電磁波シールド部材用材料としては、銀スパッタ薄膜、銅メッシュなどがあるが、銀スパッタ薄膜はコストが高く、また全面を被覆しているため可視光(線)透明性と電磁波遮蔽性との両立性に劣る。銅メッシュは開口部分があるため透明性は高いが、銅箔をフォトリソグラフィー法でエッチングしてメッシュ形状を作成するため、捨てる材料が多く低コスト化が難しかった。
一方、特許文献1には、導電性インキ組成物をメッシュパターンで透明基材に直接凹版印刷し、その透明基材上のメッシュパターンに金属層を電気めっきしてなる電磁波シールド材が提案されており、銅箔エッチング法などよりも経済性、生産性にすぐれた方法といえる。
しかしながら、導電性インキを転写する際、微細な凹版凹部内に充填された低流動性で高粘度の導電性インキは通常の凹版印刷方式では該凹部内に多く残留して、透明基材上に未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生したりする。それ故、十分な厚みがあり十分な電気伝導度のパターンを形成することが困難となり、十分な電磁波シールド性を得ることは困難であった。
そこで、本出願人は、凹版印刷により導電性材料組成物を透明基材上に転写し、導電性を有するパターンを形成してなる電磁波シールド材において、導電性材料組成物の転写不良に基づくパターンの断線、形状不良、転移率不足や低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を特許文献2で提案している。これは、凹部内に充填された導電性インキ組成物を、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が形成された透明基材と圧着することによって、プライマー層と凹部内の導電性インキとを空隙無く密着する圧着工程を経て、プライマー層を硬化し、透明基材を版面から剥がすことで、凹部内の導電性インキ組成物のほとんどを硬化したプライマー層上に転写するものである。
特開平11−174174号公報 WO2008/149969号パンフレット
しかしながら、特許文献2の新規な方法による電磁波シールド材においても、次のような課題がある。
(課題1)
最近の傾向として、高電磁波シールド性と高透明性との両立性を要求される各種利用分野、特に、ディスプレイ装置の画面前面用途の場合においては、より高透明のものを得る為には、パターンの線幅を、より一層微細化することが求められている。具体的には、線幅30μm以下、より好ましくは15〜20μm以下の細線化が求められてきている。
一方で、導電性粒子とバインダー樹脂を含む導電性組成物から成る凸状パターン層の線幅がこのように細くなると;
(1)一般に物体の電気抵抗Rは、其の長さL及び体積抵抗率ρに比例し、その断面積Sに反比例する。即ち、R=ρL/Sとなる。その為、同じ導電性組成物(ρ一定)で同じ平面視パターン形状(L一定)且つ同じ厚みのパターンを印刷形成する場合、線幅の減少に比例して断面積Sも減少し、導電パターン部分の電気抵抗Rは高くなる。これに伴い、電磁波シールド性の指標である、シールド部材としての表面抵抗率も増大する。
(2)印刷厚みを一定として、パターン線幅が狭くなり、線幅と導電性粒子径とが近づいてくると、同じ粒子径及び粒子形状の導電性粒子であっても、該細線パターンの単位断面積中における該導電性粒子同士が接触する部分の総面積の比率は低下する。その結果、幾何学的断面積SGEOに比べて、現実の電流通路となり得る導電性粒子(群)の有効総断面積SAVは低下し(SAV<SGEO)、導電パターン部分の電気抵抗Rは、線幅減少による幾何学的要因(断面積S)の影響以上に高くなるため、電磁波シールド材の表面抵抗率も線幅から単純計算した値以上に上昇してしまう。その結果、電磁波シールド性は低下する。この状況は、線幅を変えずに厚みを薄くした場合でも同様に生じるため、印刷厚みが薄くなり導電性粒子径と近づいた場合も、急激に表面抵抗率が増大するという結果となる。
勿論、該凸状パターン層上に、電解めっき等によって、低体積抵抗率の金属層を形成すれば、この電気抵抗の上昇分は相殺し得る。しかし、その場合は、工程数及び材料費の増加と歩留まりの低下を生じる為、好ましい形態とは言えない。
このように、従来においては、導電性材料組成物からなる凸状メッシュパターンにおいて、線幅を減少しても低い表面抵抗率(高い導電率)が達成できる凸状メッシュパターンの構成は提案されていない。
(課題2)
また、導電性粒子は一般に可視光線反射率も高い為、導電性組成物は可視光線反射率が高くなる。特に金属粒子はこの傾向が強く、中でも低抵抗化する為に通常採用される鱗片状の導電性粒子の場合、凸状パターン表面には大局的に見た場合に鏡面に近い面が形成される為、かかる反射は鏡面反射に近くなる。高可視光線反射率、中でも鏡面反射成分が多い場合、該凸状パターン表面は(透明基材側面及び透明基材とは反対側面の両面とも)電灯光、日光等の外光、或いはディスプレイ装置からの画像光を反射し、画面が白化したり、画像コントラストが低下したりする問題が生じる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、パターンの線幅を、より一層微細化、具体的には、線幅30μm以下、より好ましくは15〜20μm以下の細線化が求められている電磁波シールド材において、より低い表面抵抗率とすることができる構成であり、また、特に、電磁波シールド材の凸状パターン層形成側をディスプレイパネルに向けて設置したときに、外光及び画像光による画像の白化、画像コントラストの低下が防止できる電磁波シールド材を含むディスプレイ用フィルタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、電磁波シールド材を、その凸状パターン層を構成する導電性組成物が導電性粒子とバインダー樹脂を含み、該導電性粒子の分布が、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎に、又該凸状パターンの頂部近傍において密であるよう構成し、該凸状パターン層の表面を黒化処理した電磁波シールド材を含むディスプレイ用フィルタを電磁波シールド材の凸状パターン層形成側をディスプレイパネルに向けて設置することで解決しうることを見出した。本発明はかかる知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電性組成物からなり、かつ、その表面が黒化処理された凸状パターン層を有する電磁波シールド材であって、
該導電性組成物は導電性粒子とバインダー樹脂を含んで成り、該凸状パターン層中の該導電性粒子の分布が、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、又該凸状パターンの頂部近傍において密である電磁波シールド材を含むディスプレイ用フィルタであり、電磁波シールド材の凸状パターン層形成側をディスプレイパネル側に向けて使用するディスプレイ用フィルタ、
(2)上記(1)に記載の電磁波シールド材を含むディスプレイ用フィルタを、
該電磁波シールド材の凸状パターン層形成側をディスプレイパネル側に向けてディスプレイパネルに設置した画像表示装置、
を提供するものである。
本発明により得られるディスプレイ用フィルタは、凸状パターン層の表面が黒化処理された電磁波シールド材の凸状パターン層形成側をディスプレイパネル側に向けて使用するものであるため、ディスプレイパネルからの画像光の凸状パターン層での散乱が黒化層によって効果的に防止され、ディスプレイ画像の黒レベルが向上し、明室コントラストが向上するという効果を奏する。
また、電磁波シールド材の凸状パターン層を構成する導電性組成物が導電性粒子とバインダー樹脂を含み、該導電性粒子の分布が、相対的に、該プライマー層近傍(すなわち画像観察者側)において分布が疎であり、外光の鏡面反射を防ぐため、外光による画像の白化、画像コントラストの低下を防止できる。
さらに、該凸状パターンの導電性粒子の分布が頂部近傍において密であるよう構成したため、ここで集中的に各導電性粒子同士の電気的接触が確保されるので、限られた導電性粒子の添加量であるにもかかわらず、該パターンの線幅を微細化した場合においても、高い電磁波シールド性を示すという効果を奏する。
本発明における電磁波シールド材の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のディスプレイ用フィルタをディスプレイパネルに設置する第1実施態様を示す模式図である。 本発明のディスプレイ用フィルタをディスプレイパネルに設置する第2実施態様を示す模式図である。
本発明は、特定の構成の電磁波シールド材を含むディスプレイ用フィルタを、電磁波シールド材の凸状パターン層形成側をディスプレイパネル側に向けて使用するものである。
以下に、電磁波シールド材、ディスプレイ用フィルタ、ディスプレイパネルへの設置態様など、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[電磁波シールド材]
図1は、本発明における電磁波シールド材の一例を示す模式的な断面図である。本発明における電磁波シールド材は、透明基材1と、透明基材1上に形成されたプライマー層2と、プライマー層2上にメッシュ形状に代表される所定のパターンで形成された導電性組成物からなる凸パターン層3とを有し、凸状パターン層3上に形成された黒化層4を有する。
以下、本発明の構成を詳しく説明する。
(透明基材)
透明基材1は、可視光線領域での透明性(光透過性)、耐熱性、機械的強度等の要求物性を考慮して、公知の材料及び厚みを適宜選択すればよく、生産性に優れるロール・トゥ・ロールでの連続加工適性を考慮すると、フレキシブルな樹脂フィルム(乃至シート)が好ましい。なお、ロール・トゥ・ロールとは、巻取(ロール)から巻き出して供給し、適宜加工を施し、その後、巻取に巻き取って保管する加工方式をいう。
樹脂フィルム乃至シートの樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール−テレフタール酸共重合体、エチレングリコール−テレフタール酸−イソフタール酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリプロピレン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド(PI)系樹脂等である。なかでも、ポリエチレンテレフタレートはその2軸延伸フィルムが耐熱性、機械的強度、光透過性、コスト等の点で好ましい透明基材である。
透明基材の厚みは基本的には特に制限はなく用途等に応じ適宜選択し、フレキシブルな樹脂フィルムを利用する場合、例えば12〜500μm、好ましくは25〜200μm程度である。
また、以下に述べるプライマー層2との密着性を確保するために、透明基材表面に別途密着性改善のための表面処理や、易接着層、下地層などが設けられていてもよい。
(プライマー層)
プライマー層2は、その主目的が凸状パターン層3の印刷形成時に、版から被印刷物(透明基材)へのインキ(導電性組成物)転移性を向上させ、転移後の導電性組成物と被印刷物との密着性を向上させるための層である。すなわち、透明基材及び凸状パターン層の双方に密着性が良く、また開口部(凸状パターン層非形成部)の光透過性確保のために透明な層でもある。
更に、このプライマー層2は、流動性を保持できる状態で透明基材1上に設けられ、凹版印刷時の凹版に接触している間に液状から固化させる層として形成される層であり、最終的な電磁波シールド材が形成されたときに固化している層である。
かかるプライマー層を構成する材料としては、本来特に限定はないが、本発明では、未硬化状態において液状(流動性)の電離放射線重合性化合物を含む電離放射線硬化性組成物を塗工、硬化(固体化)してなる層が好適に用いられる。以下、この材料を中心に詳述する。
該電離放射線重合性化合物としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーが用いられる。
かかるモノマーとしては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
また、かかるプレポリマー(乃至オリゴマー)としては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオール系プレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
電離放射線として、紫外線、又は可視光線を採用する場合には、通常は、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系等の化合物が、又カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加する。
なお、電離放射線としては、紫外線、又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線、各種イオン線等の荷電粒子線を用いることもできる。
当該電離放射線硬化性組成物は、溶剤を含んでもよいが、その場合塗布後に乾燥工程が必要となるため、コストを考えれば溶剤を含まないタイプ(ノンソルベントタイプ乃至無溶剤型)であることが好ましい。外観改善や塗工適性改善などのために溶剤を添加する場合には乾燥が必要となるが、溶剤の添加量が数%程度の量であるならば、硬化後に乾燥させてもよい。残留溶剤量はなるべく少ない方が好ましいが、物性、耐久性に影響が無ければ完全にゼロでなくてもよい。
プライマー層2の厚さ(凸状パターン層3の非形成部の厚み)は特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm〜100μm程度となるように形成される。また、プライマー層2の厚さは、通常は、凸状パターン層3とプライマー層2との合計値(総厚。凸状パターン層3の頂部と透明基材1の表面との高度差)の1〜50%程度である。
(導電性組成物からなる凸状パターン層)
本発明における電磁波シールド材は、導電性組成物からなる凸状パターン層3が、プライマー層2上に所定のパターンで設けられたものである。該パターン形状としてはメッシュ(網目乃至格子)形状が代表的なものであるが、その他、ストライプ(平行線群乃至縞模様)形状、螺旋形状等も用いられる。メッシュ形状の場合、単位格子形状は、正3角形、不等辺3角形等の3角形、正方形、長方形、台形、菱形等の4角形、6角形、8角形等の多角形、円、楕円等が用いられる。また、モアレを軽減する目的で、ランダム網目状、または擬似ランダム網目状のパターンなども使用可能である。その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5〜50μmとすることができ、線間ピッチは100〜500μmとすることができる。開口率(電磁波シールドパターンの全面積中における開口部の合計面積の占める比率)は、通常、50〜95%程度である。またメッシュの電磁波シールドパターンとは別に、その周辺部の全周又はその一部にそれと導通を保ちつつ隣接した全ベタ等の接地パターンが設けられる場合もある。
なお、線幅は、より高透明のものを得る為により一層微細化することが求められている。この観点から、30μm以下、特に20μm以下とすることが好ましい。
また、凸状パターン層3の厚さは、その凸状パターン層3の抵抗値によっても異なるが、電磁波シールド性能と該凸状パターン層上への他部材の接着適性との兼ね合いから、その中央部(突起パターンの頂部)での測定において、通常、2μm以上50μm以下であり、好ましくは、5μm以上20μm以下である。
この凸状パターン層3は、導電性粒子とバインダー樹脂を含む導電性組成物(導電性インキ或いは導電性ペースト)を、後述する凹版印刷法によりプライマー層2上に形成することで得ることができる。
導電性組成物を構成する導電性粒子5としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、錫、アルミニウムなどの低抵抗率金属の粒子、或は芯材粒子としての高抵抗率金属粒子、樹脂粒子、非金属無機粒子等の表面が金や銀などの低抵抗率金属で被覆された粒子、黒鉛粒子、導電性高分子粒子、導電性セラミックス粒子等を挙げることができる。
導電性粒子の形状は、正多面体状、截頭多面体状等の各種の多面体状、球状、回転楕円体状、鱗片状、円盤状、樹枝状、繊維状等から選ぶことができる。特に、多面体状、球状、又は回転楕円体状が好ましい。これらの材料や形状は適宜混合して用いてもよい。
導電性粒子の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、好ましくは、平均粒子径が0.01〜10μm程度のものを用いることができる。得られる凸状パターン層の電気抵抗を低く(好ましくは、表面抵抗率が0.8Ω/□以下)して良好な電磁波シールド性を得る為には、平均粒子径は小さい方が好ましく、この観点からは平均粒子径0.1〜1μmが好ましい。また、粒子径の分布については、得られる凸状パターンの電気抵抗を低くする為には、分布幅が狭く単一粒子径に近いよりも、相対的に大粒子径の粒子と相対的に小粒子径の粒子との混合系からなる方がよい。
導電性組成物中の導電性粒子の含有量は、導電性粒子の導電性や粒子の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電性組成物の固形分100質量部のうち、導電性粒子を40〜99質量部の範囲で含有させることができる。なお、本明細書において、平均粒子径というときは、粒度分布計、またはTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値を指している。
本発明の電磁波シールド材の凸状パターン層内における導電性粒子5の分布は、該凸状パターン層の頂部近傍(プライマー層から遠ざかる方向)においては、相対的に、粒子間の間隔が小さく、粒子数密度、即ち単位体積当りの粒子数が高く(密に)なり、一方、該凸状パターン層の底部近傍(プライマー層に近付く方向)においては、相対的に、粒子間の間隔が大きく、粒子数密度が低く(疎に)なる分布である。
かかる分布であるため、電磁波シールド材を該凸状パターン層側が画像表示装置側に向かい、該透明基材側が画像の観察者側に向かう向きで使用する本発明において、観察者側に対峙する該導電性粒子は、密度が疎の為、外来光(電灯光、日光等)を散乱させて、観察者の目に入る反射光、特に鏡面反射光を低減する。その結果、外来光存在下における画像の白化、周囲の風景の映り込みを防止し、画像コントラストの低下を防止することが出来、好ましい。この効果をより一層有効に発現させる為には、該導電性粒子形状としては、鱗片状よりも、多面体状、球状、又は回転楕円体状の形状を選択する方が、該凸状パターン層のプライマー層側表面に鏡面に近い面が形成され難い為、好ましい。また、該導電性粒子形状として鱗片状の物を採用する場合は、該凸状パターン層中の鱗片状導電性粒子の配向方向(例えば、該鱗片の一番広い面の法線方向として定義される)を乱雑(random)に分布するようにすると、鏡面反射が低減し、好ましい。なお、該導電性粒子形状が多面体状、球状、又は回転楕円体状の形状の場合でも、その配向方向を乱雑化することは、鏡面反射光の低減の点では好ましい。
且つ、同時に、画像表示装置側に対峙する該導電性粒子は、緻密に集合し、各粒子間の電気的接触も良好になり、電気抵抗が下がり、電磁波シールド効果も高まる。
凸状パターン層中における導電性粒子5の密度分布を制御し、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、凸状パターンの頂部近傍において密である様にしたり、或いは該プライマー層近傍において粒子の配向方向が乱雑になり、且つ該凸状パターン層の頂部において平行乃至略平行に配向せしめる為には、例えば、後述の如くの凹版印刷法を応用した本発明の電磁波シールド材の製造方法において、版面凹部内に充填された導電性組成物上面の凹みに、透明基材上の流動状態のプライマー層を押圧する圧力を高めに設定すると共に、未硬化状態における該導電性組成物の粘度を低めに設定し、更に該導電性組成物を凹版凹部内で固化させずに、版面から離型後固化せしめることが有効である。
その他、これら導電性粒子5の密度分布や配向状態は、導電性組成物のバインンダー樹脂6の種類、導電性粒子の材料と粒子径と粒子形状、バインダー樹脂と導電性粒子との配合比、及び該導電性組成物の塗工条件や固化条件等に依存する。現実には、これら導電性粒子の密度分布や配向状態に影響する各種条件から実験的に、求める導電性粒子の密度分布及び配向に合致する条件を決定することになる。
導電性組成物を構成するバインダー樹脂6としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマーの材料として前記した物を挙げることができ、これらを1種単独で、或いは2種以上混合して用いる熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂を挙げることができ、これらを1種単独で、或いは2種以上混合して用いる。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。導電性ペーストとして用いる溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤の中から適宜選択して使用できる。溶剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
(導電性組成物からなる凸状パターン層の形成方法)
所定のパターンの導電性組成物からなる凸状パターン層3を形成するには、導電性組成物を次のように凹版印刷する。
例えば、凹版の凹部のみにドクターブレードなどを利用して導電性組成物を充填し、これに液状プライマー層を片面に形成済みの透明基材を、該プライマー層が凹版に接する向きで加圧ローラで圧着するなどして該プライマー層を接触させて、接触している状態でプライマー層を液状から固体状に固化させた後、透明基材を凹版から離して離版させることで、透明基材上の固化したプライマー層上に導電性組成物を転移させて、印刷することができる。
印刷後、つまり離版後、まだ液状である凸状パターン層3に対しては、乾燥操作、加熱操作、冷却操作、化学反応操作などを適宜行い、固化せしめて導電性の導電パターン層3を完成させる。例えば、乾燥操作は、導電性組成物中の溶剤など不要な揮発成分を除去するため、加熱操作は、該乾燥や導電性組成物の熱硬化などの必要な化学反応を促進させるため、冷却操作は、加熱熔融した熱可塑性樹脂の導電性組成物やプライマー層の固化促進のため、化学反応操作は、加熱によらない電離放射線照射などのその他の手段による導電性組成物やプライマー層の化学反応を進行させるために行う。
また、導電性組成物は、版上で半硬化固化させ離版後に完全硬化させてもよい。
また、導電性組成物の固化は凹版接触中に行ってもよい。版接触中に導電性組成物を固化させるときは、凹版は導電性組成物に対しても賦形型として機能し、プライマー層も含めて凹版は完全な賦形型として用いることになる。この際、導電性組成物の固化方法はプライマー層で採用する固化方法と同じ方法でもよく、異なる方法でもよい。ただし、例えば電離放射線照射など同じ方法を採用すれば、プライマー層と導電性組成物とを版面上で同時に硬化可能な為、装置・工程的に簡素化でき、また類似の化学反応を採用すれば密着性の点でも有利である。
一般に、凹版印刷では、導電性組成物を版面に供給し、ドクターブレード等で余剰の該組成物を掻き取って版凹部に該組成物を充填する際、充填された該組成物の表面に凹みが発生する。この凹みは、該組成物中の溶剤乾燥による体積收縮、掻き取り時の該組成物のレオロジー的挙動等に起因するものと考えられる。該凹部の為、透明基材との密着不良、透明基材上への該組成物の転移率低下という不具合を生じていた。
一方、本発明では、このようにして印刷することで、凹版凹部内に充填された導電性組成物の上部に窪み(凹み)が生じても、液状で流動性のプライマー層を介して印刷するので、印刷中にプライマー層を該窪みに流し込み隙間なく密着させた状態にでき、その後、プライマー層を固化させてから透明基材を凹版から離すので、透明基材上に固化したプライマー層2を介して所定パターンの導電パターン層3を、細線でも、転移不足による断線や形状不良、インキ密着性不足などの印刷不良の発生なく形成できる。凹版印刷工程において、かくの如く凹版凹部内に充填されたインキの表面に生じる窪みをプライマー層が流入、充填する結果、得られた本発明の光学フィルタは、プライマー層の厚みが、前記導電パターン層が形成されている部分の厚みTAが、前記導電パターン層が形成されていない部分の厚みTBよりも厚くなる。勿論、このような、本発明特有のプライマー層の厚みにおける導電パターン層形成との関係が得られる方法であれば、上記の特定の凹版印刷方法以外の方法によってもよい。
導電性組成物を凹版凹部内から該プライマー層を介して透明基材上に転写させて凸状パターン層とした後、更に、(i)水分存在下、且つ比較的高温下にて処理するか、或いは(ii)酸に接触させることによって、該凸状パターンの体積抵抗率、更には表面抵抗率が低下し、電磁波シールド性能が向上する。
(i)の水分存在下での電気抵抗低減化処理工程においては、転写(凹版印刷)工程後、該電磁波シールド材を水分と接触した状態の下で室温よりも高温状態に適宜時間放置するものである。水分接触下の条件としては、水蒸気を含む空気中への放置、水滴の吹付け(噴霧)、或いは液体の水中への浸漬の何れでも良い。水蒸気を含む空気中への放置の場合、放置する空気(雰囲気)の相対湿度は70%RH以上、好ましくは85%以上とする。かかる高温状態の温度(水蒸気を含む空気中への放置の場合は雰囲気温度、水中浸漬の場合は水温)は摂氏30℃以上、好ましくは60℃以上である。但し、余り高温になると樹脂バインダーや透明基材の変質、変更を生じることになる為、通常の材料の場合、120℃以下とする。処理時間は、48時間程度とするのがよい。
かかる高温湿熱処理によって、凸状パターン全体の表面抵抗率は処理前の80〜50%程度に減少する。
本発明において、酸による処理とは、導電性組成物を凹版凹部内から該プライマー層を介して透明基材上に転写させて凸状パターン層とした後、酸と接触させることによって、凸状パターンの体積抵抗率を低下させる処理をいう。
酸としては、特に限定されず、種々の無機酸、有機酸から選択することができ、好ましくは酢酸、塩酸、硫酸、およびその水溶液であり、より好ましくは塩酸、硫酸、およびその水溶液である。
酸による処理時間は数分以下で十分であり、好ましくは15秒から2分であり、さらに好ましくは15秒〜1分である。
酸の処理温度は、常温で十分であり、好ましくは40℃以下であり、より好ましくは30℃以下であり、さらに好ましくは25℃以下である。
酸で処理する方法は特に限定されないが、酸の溶液の中への凸状パターン層の浸漬、酸の液滴の吹付け(噴霧)、酸や、酸の溶液の凸状パターン層上への塗布など、凸状パターン層と酸の液体を接触させる方法が、導電性向上効果に優れるため好ましい。
酸の濃度は、好ましくは10mol/L以下であり、より好ましくは5mol/L以下であり、さらに好ましくは1mol/L以下である。また、酸の濃度が低すぎる場合にも、酸による処理の効果が得られないため、好ましくは0.05mol/L以上、より好ましくは0.1mol/L以上であることが好ましい。
酸処理によって、体積抵抗率は該処理を行う前に比べて、80〜50%の値に低減する。
なお、酸の溶液を用いる場合は酸の残渣による悪影響が懸念されるため、処理後にすすぎ、乾燥工程が必要となる。温水や蒸気を用いる場合はすすぎ工程は省略できる。
高温湿熱処理、あるいは酸による処理によって凸状パターン層の体積抵抗率、更には表面抵抗率が低下する理由は、斯かる処理によって、隣接する導電性粒子が融合して連結した構造(クラスター)を形成する為である。高温湿熱処理或いは酸による処理で導電粒子間の融合がなぜ起こるかについては、粒子表面が洗浄されることによる銀粒子同士の金属拡散の促進、水分あるいは酸による樹脂バインダーの収縮、溶媒成分の減少、或いは一旦溶解した金属が隣接する複数個の粒子表面間を包絡し、或は各粒子間の隙間を充填するような形態で再度固体化することなども考えられるが、真の理由は未だ確認できていない。
(金属層)
本発明における電磁波シールド材は、導電性組成物からなる凸状パターン層3のみでは所望の導電性に不足する場合に、導電性を更に向上せしめるために、金属層を、必要に応じ形成することができ、凸状パターン層3上にめっきにより形成される。めっきの方法としては電解めっき、無電解めっきなどの方法があるが、電解めっきは無電解めっきに比べて通電量を増やすことでめっき速度を数倍に上げることができ、生産性を著しく向上させることができるため好ましい。
電解めっきの場合、凸状パターン層3への給電は凸状パターン層3が形成された面に接触させた通電ロール等の電極から行われるが、凸状パターン層3が電解めっき可能な程度の導電性(例えば、100Ω/□以下)を有するので、電解めっきを問題なく行うことができる。金属層を構成する材料としては、導電性が高く容易にめっき可能な、銅、銀、金、クロム、ニッケル等を挙げることができる。
金属層は凸状パターン層3に比べると一般的に体積抵抗率が1桁以上小さいため、凸状パターン層単体で電磁波シールド性を確保する場合に比べて、必要な導電性材料の量を減らせるという利点がある。
(黒化処理)
本発明で用いる電磁波シールド材は、凸状パターン層形成側をディスプレイパネル側に向けて使用されるが、画像光の凸状パターン層形成面での散乱を防止して画像コントラストを向上させるため、導電性組成物からなる凸状パターン層3の表面は黒化処理されている。すなわち、金属層がない場合には直接凸状パターン層3上に、又は必要に応じて金属層が形成された場合にはその金属層上に、施される。
この黒化処理とは、基本的に可視光線の反射率を下げるための処理のことであり、完全な黒色を狙うものではなく、凸状パターン層3の表面に独立した層(黒化層4)を形成する処理、あるいは、凸状パターン層3の表面を粗面化したり、染色・着色等により、少なくとも最表面を黒色化(低反射率化)したものを包含する。具体的には、凸状パターン層3上に、例えば黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の処理を例示できる。なお、金属めっきによる黒化処理は、導電率を併せて向上させることができるので、上記の金属層を兼ねることができる。
また、染色・着色をする方法としては、転写工程後の電磁波シールドフィルムを、化学反応、染色、着色イオンの浸透、又は着色顔料の浸透によって樹脂を着色し得る着色用処理液中に所定時間浸漬或いは塗布した後、水又は有機溶剤で導電体粒子表面上に残留する処理液を洗浄し、乾燥し、凸状パターン層の樹脂バインダーを着色する方法が挙げられる。着色用処理液としては、塩化第二鉄水溶液、硫酸銅等の電解質溶液、各種の染料、各種の顔料を含む溶液乃至は組成物を好適に用いることができる。
黒化処理表面の色調は、完全な黒色の他、灰色、褐色、紺色、臙脂色、深緑色、濃紫色等の低明度の有彩色又は無彩色であればよい。
〔ディスプレイ用フィルタ〕
こうして得られた電磁波シールド材は、単品で、或いは各種の機能層を積層したものをディスプレイ用フィルタとして、その凸状パターン層形成側をディスプレイパネル側に向けてディスプレイパネルの前面に設置される。
機能層としては、従来公知のものが用いられ、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、調色層、紫外線吸収層、反射防止層、防眩層、特開2007−272161号公報等記載の所謂薄膜ミクロルーバ層などの光学機能層、耐衝撃層、帯電防止層、ハードコート層、防汚層、抗菌層、防黴層などのその他機能層を挙げることができる。
ディスプレイ用フィルタのディスプレイパネルへの設置の仕方としては、粘着剤を用いた直貼りであっても、一定のギャップを設けて治具で固定するものであってもよい。
本発明において、ディスプレイ用フィルタをディスプレイパネル7へ設置する第1の好ましい実施態様は、図2に示すような一定のギャップを設けて設置する態様である。
ここで用いるディスプレイ用フィルタは、上記した特定の構成の電磁波シールド材8の透明基材(フィルム)の観察者側表面と保護板としてのガラス基板9とを接着剤により接着したものである。接着剤層10は、近赤外線吸収剤、ネオン光吸収剤、調色剤などを含有していることが好ましい。接着剤としては、アクリル系樹脂、ゴム等からなる粘着剤が代表的なものであるが、その他、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等からなる2液硬化型(或いは熱硬化型)接着剤等を用いることもできる。
本発明における、ディスプレイ用フィルタをディスプレイパネル7へ設置する第2の好ましい実施態様は、図3に示すように電磁波シールド材8の凸状パターン層の凹凸を埋めてその表面を平坦化する平坦化層11を設けたものを、ディスプレイパネル7へ直貼りする態様である。
平坦化層は、凸状パターン層の凹部内の空気が十分に置換されずに気泡が残留して画像光が散乱することを防止するための層であり、電離放射線硬化性樹脂等が好適に用いられる。なお、図3においては平坦化層11がディスプレイ用フィルタとしての電磁波シールド材8をディスプレイパネル7に接着する為の接着剤層も兼ねているが、勿論、接着剤層を別層として平坦化層11とディスプレイパネル7との間に介在させてもよい。
ここで用いるディスプレイ用フィルタは、上記した特定の構成の電磁波シールド材の透明基材(フィルム)を含むディスプレイ用フィルタの観察者側表面上に、反射防止層が設けられたものであってよい。また、平坦化層中には近赤外線吸収剤、ネオン光吸収剤、調色剤などを含有していてよい。
〔用途〕
本発明のディスプレイ用フィルタは、各種用途に使用可能である。特に、各種の、テレビジョン受像装置、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、遊戯機器、電算機器、電話機、電飾看板(証明広告板)等の表示部等に用いられるPDP、CRT、LCD、ELなどの画像表示装置の前面フィルタ用として好適であり、特にPDP用として好適である。また、その他、住宅、学校、病院、事務所、店舗等の建築物の窓、車輛、航空機、船舶等の乗物の窓、電子レンジ等の各種家電製品の窓等の電磁波遮蔽用途にも使用可能である。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
実施例1
〔凸状パターン層の作製〕
先ず、片面にメラミン樹脂系の易接着層が形成された幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着層面にプライマー層用の紫外線硬化性樹脂組成物を厚さ5μmとなるように塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバースコート法を採用し、紫外線硬化性樹脂組成物としては、エポキシアクリレートプレポリマー35重量部、ウレタンアクリレートプレポリマー12重量部、フェノキシエチルアクリレートからなる単官能アクリレートモノマー44重量部、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレートからなる3官能アクリレートモノマー9重量部、さらに光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア184)3重量部添加したものを使用した。
次に、プライマー層が形成されたPETフィルムを転写工程を行う凹版ロールに供するが、それに先だって、開口部の線幅が20μmで線ピッチが300μm、版深20μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版ロールの版面に、導電性組成物をピックアップロールで塗布し、ドクターブレードで凹部内以外の導電性組成物を掻き取って凹部内のみに導電性組成物を充填させた。凹部に充填された導電性組成物の表面には凹部が生じていた。導電性組成物を凹部内に充填させた状態の凹版ロールと、ニップロールとの間に、未硬化で液状のプライマー層が形成されたPETフィルムを供給し、凹版ロールに対するニップロールの押圧力(付勢力)によって、プライマー層を凹部内に存在する導電性組成物の凹みに流入させ、導電性組成物とプライマー層とを隙間なく密着させると共に、該プライマーの一部を凹部内の該導電性組成物内に浸透せしめた。なお、用いた導電性組成物は、以下の組成の銀ペーストを用いた。
導電性粉末として平均粒径約2μmの鱗片状銀粉末93重量部、バインダー樹脂として熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂7重量部、溶剤としてブチルカルビトールアセテート25重量部を配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性組成物を作製した。
次いで行われる転写工程は以下の通りである。先ず、プライマー層が形成されたPETフィルムを、そのプライマー層が凹版ロールの版面側に対向した状態で、凹版ロールとニップロールとの間に挟む。その凹版ロールとニップロールとの間でPETフィルムのプライマー層は版面に押し付けられる。プライマー層は流動性を有しているので、版面に押し付けられたプライマー層は、導電性組成物が充填した凹部内にも流入し、凹部内表面に生じた導電性組成物の凹みを充填する。
その後、さらに凹版ロールが回転して高圧水銀灯からなるUVランプによって紫外線が照射され、紫外線硬化性樹脂組成物からなるプライマー層が硬化する。プライマー層の硬化により、凹版ロールの凹部内の導電性組成物はプライマー層に密着し、その後、出口側のニップロールによってフィルムが凹版ロールから剥離され、プライマー層上には導電性組成物層が転写形成される。このようにして得られた転写フィルムを、110℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させて固化せしめ、プライマー層上にメッシュパターンからなる凸状パターン層を形成した。このときの凸状パターン層が存在するパターン部分の厚さ(凸状パターン層が形成されているメッシュパターン部分とそれ以外の部分との厚さの差)は約19μmで、版の深さの95%の厚さで転移しており、版の凹部内の銀ペーストが高い転移率で転移していた。転移後の凹部内を観察したところ、ペーストの版残りは見られず、また、メッシュパターンの断線や形状不良も見られなかった。
凸状パターン層の断面を電子顕微鏡で拡大撮影して観察した結果、凸状パターン層中の導電性粒子(銀粒子)の分布は、該凸状パターン層の頂部に行くほど密になり、逆にプライマー層側に行くほど疎になる様な疎密で分布していることが認められた。また、凸状パターン層中の導電性粒子がプライマー層との界面において上下に不規則に乱雑分布して該界面を構成することが認められた。
〔金属層及び黒化層の形成〕
上記で得られた電磁波シールド材(電磁波シールドフィルタ)を硫酸銅めっき液に浸漬し、凸状パターン層を陰極として、銅板を陽極として、2A/dm2の電流を流して電解銅めっきを行った。銅めっき膜は、その凸状パターン上に選択的に、厚さ2μmで形成して金属層とした。
次いで、黒化処理メッキ浴として、硫酸ニッケルアンモニウム水溶液と硫酸亜鉛水溶液とチオ硫酸ナトリウム水溶液との混合水溶液を用意し、この混合水溶液中に該電磁波シールド材を浸漬し、電解メッキを行って、該凸状パターン層上にニッケル−亜鉛合金からなる黒化層を形成した。
こうして黒化処理された凸状パターン層が得られた。
〔平坦化層の形成〕
ウレタンアクリレートプレポリマー 80質量部とペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 20質量部を混合した組成物に、光重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184」]3質量部、MIBK200質量部を混合し均一化した紫外線硬化性樹脂からなるコーティング剤を、ダイコーターにより上記で得られた黒化処理された凸状パターン層上に直接間欠塗布し、80℃で乾燥した。その後、高圧水銀灯により照射線量200mJ/cm2で紫外線照射を行うことにより硬化させて平坦化層を形成した。得られた平坦化層の厚みはメッシュ層込みで20μmであった。
以上により、実施例1の電磁波シールド材を得た。
実施例2
実施例1において、凸状パターンの線ピッチを250μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例2の電磁波シールド材を得た。
〔反射率の測定〕
以上で得られた電磁波シールド材を、その凸状パターン層側(黒化層側)を画面に対向させて画像表示装置の前面に装着した場合における、外光及び画像光の該凸状パターン層での光反射、更には該凸状パターン層と画面間の多重反射に起因する観察画像の白濁の度合いを客観的にシミュレーションして比較、評価する為に以下の測定を実施した。
なお、下記において、白色板は、全面白色画像を表示した際の(最も画面の発光が明るい場合の)画像表示装置の画面を近似するものである。また、各種反射率、特に拡散光反射率は、観察者が観察した際の画面の白化(白濁)即ち画像コントラスト低下の程度を近似するものである。
上記の黒化処理された凸状パターン層を紫外線硬化樹脂で平坦化した電磁波シールド材を該凸状パターン層が形成されていないもう一方の表面と厚さ20μmのアクリル系粘着剤層を介して厚さ3mmのガラス板に貼合した。そして、反射色度a*:−0.33、b*:3.32の白色板上で、ガラス面から入射し、(入射)ガラス板→粘着剤層→電磁波シールド材→白色板→電磁波シールド材→粘着剤層→ガラス板(出射)、の経路で出射する光についての反射率を測定した。反射率の測定はJIS Z8722に準拠して全光線反射率及び拡散光線反射率を測定した。全光線反射率(%)は、分光測色計(例えば、コニカミノルタセンシング株式会社製、CM−3600d)を反射モードに設定し、光源は標準の光D65、視野2°を用いて、検出器を、反射光のうち、拡散反射光と鏡面反射光の両方を総合した全反射光の(積分)強度を測定するようなSCIモードに設定して、Y値(3刺激値XYZのY)を測定した。また、拡散光線反射率(%)は、同様に分光測色計を用いて、光源及び視野は同じくして、鏡面反射光を光トラップで吸収遮断することによって、検出器が反射光のうち拡散反射光のみの(積分)強度を測定するようなSCEモードに設定して、Y値(3刺激値XYZのY)を測定した。
比較例1
前記実施例1と同様の方法で凸状パターン層を作製し、黒化層を形成せず、平坦化層を形成し、実施例と同様の方法で反射率を測定した。
比較例2
前記実施例2と同様の方法で凸状パターン層を作製し、黒化層を形成せず、平坦化層を形成し、実施例と同様の方法で反射率を測定した。
〔評価結果〕
以上で得られた各実施例及び各比較例の反射率の測定結果を表1に示す。これらの結果より、ディスプレイ用フィルタとして使用した場合において、凸状パターン層上に黒化層のある実施例1(乃至実施例2)の電磁波シールド材は、凸状パターン層上に黒化層のない比較例1(乃至比較例2)の電磁波シールド材に比べて、全光線反射率及び拡散光線反射率ともに4%前後低下する。
これは、各実施例の凸状パターン層上に黒化層のある各実施例の電磁波シールド材は外光存在下において画面の白化更には画像コントラストの低下が少ないものと評価される。
Figure 2011077298
1 透明基材
2 プライマー層
3 凸状パターン層
4 黒化層
5 導電性粒子
6 樹脂バインダー
7 ディスプレイパネル
8 電磁波シールド材
9 ガラス基板
10 接着剤層
11 平坦化層

Claims (2)

  1. 透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電性組成物からなり、かつ、その表面が黒化処理された凸状パターン層を有する電磁波シールド材であって、
    該導電性組成物は導電性粒子とバインダー樹脂を含んで成り、該凸状パターン層中の該導電性粒子の分布が、相対的に、該プライマー層近傍において分布が疎であり、又該凸状パターンの頂部近傍において密である電磁波シールド材を含むディスプレイ用フィルタであり、電磁波シールド材の凸状パターン層形成側をディスプレイパネル側に向けて使用するディスプレイ用フィルタ。
  2. 請求項1に記載の電磁波シールド材を含むディスプレイ用フィルタを、
    該電磁波シールド材の凸状パターン層形成側をディスプレイパネル側に向けてディスプレイパネルに設置した画像表示装置。
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