JP2010108802A - 電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

電池用セパレータ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池出力を長期間に渡り得ることが可能な電池用セパレータ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】固体電解質電池は、負極20/固体電解質10/シート状の正極触媒50/水系電解質で構成されている。固体電解質10の正極触媒側表面には所定の凹凸形状が形成されており、シート状の正極触媒50はその凸部11に接するように配置されており、凹部12によって水系電解質が充填される空間60が形成されている。これにより、正極触媒と固体電解質表面との接触面積を適度に維持しつつ、LiOやLiOHが移動し易い空間を確保できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば金属/水電池や金属/空気電池に用いられる、電池用セパレータ及びその製造方法に関する。
金属負極と、正極に触媒と水系電解液を有する電池のような電池の一構成例として、金属/水セル、金属/空気セルの構成が知られている(特許文献1参照)。具体的には、負極(例えばリチウム金属)/固体電解質(セパレータ)/正極のような構成が知られており、更に正極は、活物質と電解質を兼ねる水系電解質と、これを還元分解する正極触媒とから構成される。
特表2007−513464号公報
ここで、正極の構成である固体電解質/正極触媒/水系電解質において、水系電解質側の固体電解質と正極触媒とが密着していると大きな電流を取り出すことができ、好ましい。これは、正極触媒と固体電解質表面との接触面積を大きくすることで反応面積が増大するためである。
しかし、一方リチウムイオン伝導性の観点からすると、正極で発生するLiOは難溶性であり、LiOHは濃度が高くなると析出物として固体電解質表面に堆積しやすい。この堆積は内部抵抗の増大となって、電池の出力を低下させる。このため、LiOやLiOHを効果的に排出することが望まれる。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、正極触媒と固体電解質表面との接触面積を適度に維持しつつ、LiOやLiOHが移動し易い空間を確保することで、電池出力を長期間に渡り得ることが可能な電池用セパレータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、少なくとも正極側の固体電解質表面に所定の凹凸形状を形成することで、上記の課題を同時に解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) イオン伝導性を有する固体電解質を含む電池用セパレータであって、
JIS B0631に規定された粗さモチーフの平均長さARが5μm以上2.5mm以下の凹凸形状が前記固体電解質の少なくとも一方の表面に形成されている電池用セパレータ。
(2) 前記粗さモチーフの平均深さRは、5μm以上2.5mm以下である(1)記載の電池用セパレータ。
(3) 前記凹凸形状は、幾何学的線模様に形成されている(1)又は(2)記載の電池用セパレータ。
(4) 前記幾何学的線模様は、複数の方向に延びる線が交差した模様を有する(3)記載の電池用セパレータ。
(5) 前記凹凸形状は、凹部及び/又は凸部の頂部が平坦な断面形状を有する(1)から(4)いずれか記載の電池用セパレータ。
(6) 前記凹凸形状は、凹部及び/又は凸部の頂部が湾曲及び/又は屈曲した断面形状を有する(1)から(5)いずれか記載の電池用セパレータ。
(7) 前記固体電解質は、金属イオンの伝導性を有する(1)から(6)いずれか記載の電池用セパレータ。
(8) 前記固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有し、Li1+x+y(Al,Ga)(Ti,Ge)2−xSi3−y12(式中、0≦x≦1、0≦y≦1)である結晶を含む(7)記載の電池用セパレータ。
(9) 前記固体電解質は、溶融ガラスを成形した後に熱処理することで前記結晶が析出されたものである(8)記載の電池用セパレータ。
(10) 前記固体電解質は、セラミックスグリーンシートが焼成されたものである(8)記載の電池用セパレータ。
(11) 前記固体電解質は、mol%表示で、
LiO:12〜18%、及び/又は、
Al+Ga:5〜10%、及び/又は、
TiO+GeO:35〜45%、及び/又は、
SiO:1〜10%、及び/又は、
:30〜40%
の各成分を含有する(8)から(10)いずれか記載の電池用セパレータ。
(12) (1)から(11)いずれか記載の電池用セパレータと、この電池用セパレータの前記凹凸形状が形成された一方の表面側に配置された正極と、前記電池用セパレータの他方の表面に配置された金属負極と、を備え、
前記正極は電解液及び触媒を含み、前記触媒は前記表面に配置されている固体電解質電池。
(13) 前記触媒はシート体に含まれ、このシート体は前記凹凸形状の凸部に接し且つ凹部から離間するように配置されている(12)記載の固体電解質電池。
(14) (1)から(11)いずれか記載の電池用セパレータの製造方法であって、
前記固体電解質の少なくとも一面を選択的に除去して前記凹凸形状を形成する工程を有する製造方法。
(15) (1)から(11)いずれか記載の電池用セパレータの製造方法であって、凹凸形状を有する型でセラミックスグリーンシートを型押したのち焼成することで前記凹凸形状を形成する工程を有する製造方法。
本発明によれば、正極触媒と固体電解質表面との接触面積を適度に維持しつつ、LiOやLiOHが移動し易い空間を確保することで、大きな電池出力を長期間に渡り得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<固体電解質電池の全体構成>
図1は本発明の一実施形態である固体電解質電池の構成を示す断面模式図であり、図2は本実施形態に係る電池用セパレータ(以下単にセパレータともいう)の幾何学的模様を示す平面図であり、図3は図2のセパレータ上に正極触媒シートが配置された状態でのX−X断面図であり、図4(a)(b)は図2における幾何学的模様の変形例であり、図5(a)から(d)は図3における凹凸断面形状の変形例であり、図6は本実施形態のセパレータの製造方法を示す一例である。
図1に示すように、この固体電解質電池100は、負極20、本発明の電池用セパレータを構成する固体電解質10、正極30が順次積層された構成となっている。そして、図3に示すように、正極は、固体電解質10側から順にシート状正極触媒50、水系電解質40で構成されており、シート状正極触媒50が固体電解質10の表面の凹凸形状上に配置されている。これによって、固体電解質10表面の凸部11にて正極触媒粒子51が接するとともに、凹部12にて空間60を形成している。なお、この実施形態においては、シート状正極触媒50は水系電解質40中に浸漬されており、空間60にも水系電解質40が満たされている。したがって、実際には水系電解質40は図示しない外装容器で覆われている。
<電池用セパレータの凹凸形状>
このように、本発明においては、固体電解質10の少なくとも正極側の表面に所定の凹凸形状11(12)が形成されていることが特徴である。具体的には、JIS B0631(ISO 12085)に規定された粗さモチーフの平均長さARが5μm以上2.5mm以下、好ましくは10μm以上2mm以下の凹凸形状が形成されている。もっとも好ましくは20μm以上1mm以下、粗さモチーフの平均深さRは、5μm以上2.5mm以下であり、好ましくは10μm以上1.5mm以下、もっとも好ましくは20μm以上1mm以下である。なお、後述する図2に示すように上記の凹凸形状は少なくとも1方向について凹凸があればよい。
なお、本願において粗さモチーフを採用したのは、表面粗さの基本パラメータである算術平均粗さ(Ra)、最大粗さ(RyまたはRmax)、十点平均粗さ(Rz)などでは、カットオフを設定しても、粗化処理で形成された凹凸が非常に微細な場合、それに埋もれてしまい適切に検出できない場合があるためである。
凹凸形状11(12)がこの範囲にあることによって、凸部11にて正極触媒粒子51との接触面積を維持できるとともに、凹部12内に充填された水系電解質40を利用してLiOやLiOHを効果的に排出することができ堆積を防止できる。特に、上記所定範囲の凹凸形状であれば、固体電解質表面に堆積した生成物が拡散(水溶液に溶解)し易く、また、幾何学的模様を形成することで電池反応生成物質の濃度差や電池内温度差によって生じる対流方向が一定方向へ制御されやすいので排出されやすい。
この実施形態においては、図2に示すように、凹凸形状11(12)は、平面視において直線上の凸部11と凹部12とが、幅方向(図2における横方向)に所定の間隔で交互に並ぶような幾何学模様を構成しているが(図2には凸部11のみで凹部12は図示していない)、これに限らない。例えば、図4(a)に示すように略直交する格子状に凸部11a、11bが設けられていてもよい。また、図4(b)に示すような略直交する格子状に更に斜めに凸部11cが設けられていてもよい。すなわち、本発明における幾何学的模様とは、所定の規則的な繰り返し模様であればよく、そのパターン形状を限定するものではない。
また、図3は、凹凸形状の断面視形状が全体として湾曲形状の例であるが、本発明はこれに限らず、任意の湾曲形状、屈曲形状の組合せであってもよく、更に、一部に平坦な直線部を有していてもよい。例えば、図5(a)に示すように、凸部11cの頂部が平坦であり、凹部12cが屈曲していてもよく、図5(b)に示すように、凸部11dが屈曲しており、凹部12dの頂部が平坦でもよく、図5(c)に示すように、凸部11e凹部12eともに屈曲しており頂部が平坦でもよく、図5(d)に示すように、凸部11f凹部12fともに屈曲のみで平坦部がないように構成されていてもよい。なお、平坦部が存在する場合、粗さモチーフにおける局部山頂は平坦部中央であり、粗さモチーフの山−山間の距離は、それぞれの平坦部の中央間の距離である。
<電池用セパレータの製造方法>
本発明の電池用セパレータを構成する固体電解質は特に限定されないが、リチウムイオン、アルミニウムイオン、ナトリウム、鉄、マグネシウムなどの金属イオン伝導性を有するものが好ましく、なかでもリチウムイオン伝導性を有するものが好ましい。
また、電池用セパレータの形態としても特に限定されないが、1)セラミックスグリーンシート(単にグリーンシートともいう)が焼成されたもの、2)溶融ガラスを成形した後に熱処理することで結晶が析出されたもの、が好ましく例示できる。
1)のグリーンシートとは、薄板状に成形されたガラス粉末、結晶(セラミックスまたはガラスセラミックス)粉末の未焼成体を指し、具体的には、ガラス粉末、結晶(セラミックスまたはガラスセラミックス)粉末と、有機バインダ、可塑剤、溶剤等との混合スラリーをドクターブレードやカレンダ法、スピンコートやディップコーティング等の塗布法、インクジェット、バブルジェット(登録商標)、及びオフセット等の印刷法、ダイコーター法、スプレー法等で薄板状に成形したものをいう。また、「グリーンシート」には、グリーンシート又はグリーンシートの焼成体に混合スラリーが塗布されたものも包含される。
以下、熱処理後にリチウムイオン伝導性を呈する酸化物ガラスの粉末、有機バインダ、可塑剤、及び溶剤等を含むスラリーを薄板状に成形したグリーンシートを一例として説明する。
(酸化物ガラスの粉末)
酸化物ガラスの粉末は、熱処理によってリチウムイオン伝導性を発現するガラスの粉末が好ましい。かかるガラスは酸化物基準のmol%表示で、
LiO:12〜18%、及び/又は、
Al+Ga:5〜10%、及び/又は、
TiO+GeO:35〜45%、及び/又は、
SiO:1〜10%、及び/又は、
:30〜40%
を含有するものであることがより好ましい。
このガラスは熱処理によりLi1+x+y(Ge1−yTi2ーxSi3−z12(式中、MはAl及びGaからなる群より選ばれる1種以上であり、0≦x≦0.8、0≦y≦1.0、0≦z≦0.6である)で示される結晶が析出してガラスセラミックスとなり、高いリチウムイオン伝導性を発現する。
ここで、ガラスセラミックスとは、ガラスを熱処理してガラス相を析出させることで得られる材料であり、具体的には非晶質固体及び結晶からなる。かかるガラスセラミックスは、イオン伝導を妨げる空孔や結晶粒界をほとんど有しないため、イオン伝導性及び化学的安定性に優れる点で好ましい。なお、ガラスセラミックスには、全ガラス相が結晶相に相転移した材料、つまり、材料中の結晶量(結晶化度)が100質量%のものも包含される。
また、上記のガラスセラミックス粉末を上記の酸化物ガラスと共にグリーンシートに含めてもよい。
酸化物ガラスの粉末は、高容量且つ高出力のリチウム電池を容易に製造できる点で、後述の焼成と同条件での熱処理後、25℃において1×10−4Scm−1以上のイオン伝導度を有することが好ましく、より好ましくは5×10−4Scm−1以上、最も好ましくは1×10−3Scm−1以上である。なお、リチウムイオン伝導性とは、リチウムイオン伝導度が25℃において1×10−8Scm−1以上の値を示す性質を指す。
(有機バインダ)
有機バインダとしては、プレス成形やラバープレス、押出成形、射出成形用の成形助剤として汎用されている市販のバインダが使用できる。具体的には、アクリル樹脂、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ブチルメタアクリレート、ビニル系の共重合物等が挙げられる。これらの他に、粒子の分散性を高める分散剤や、乾燥時の泡抜きを良好にするための界面活性剤等を適量添加することが好ましい。
(その他)
グリーンシートは、ガラスセラミックス粒子同士を結合する焼結助剤として機能するLi含有無機化合物を更に含んでいてもよい。中でも、LiPO、LiPO、LiI、LiN、LiO、Li、LiFは、焼結時に軟化し溶融して、酸化物ガラス粉末の隙間を充填する結果、酸化物ガラス粉末同士を強固に結合できる点で好ましい。
また、グリーンシートは、リチウムイオンの拡散を促進してリチウムイオン伝導性を向上できる点で、誘電性が高い絶縁性の結晶又はガラスを少量含有することが好ましい。例えば、BaTiO、SrTiO、Nb、LaTiOが挙げられる。
グリーンシートは、通常、以上の成分を混合して得られるスラリーを、離型処理が施されたPET等製の支持体上に薄板状に成形し、その後に薄フィルムを除去することで作製される。ただし、焼成後の固体電解質層の厚みを調節するために、支持体としてグリーンシートを用いてシート同士を重畳してもよいし、支持体として後述の固体電解質を用いてもよい。かかる成形は、前述のように、ドクターブレードやカレンダ法等の公知の方法で行えばよい。
一方、2)の薄板は、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスのバルク体を研磨して薄板にしたものである。この場合、上記1)と同様の組成を有する溶融ガラスを型に流し込み、放冷、アニールして、原ガラスの成形体を作製し、その後原ガラスを熱処理することによって結晶を析出させ、更に、これを研削・研磨することによって薄板状に加工することで得られる。
なお、上記の電池用セパレータ(固体電解質)の厚さは50μmから2mmであることが好ましい。
<凹凸形状の付与方法>
上記1)のグリーンシートに凹凸形状を付与する方法は特に限定されず、上記所定の粗さモチーフの凹凸形状が得られればよい。図6はその一例である。まず、凹凸形状81が形成された押型80を用意し、焼成前のグリーンシート70を対向させる(図6(a))。次に、押型にて押圧し(図6(b))、グリーンシート70に凹凸形状71を転写し(図6(c))、その後焼成することで(図6(d))凹凸形状11(12)を付与できる。
なお、これに限らず、後述する焼成工程後に研削・切削などでグリーンシート焼成後の固体電解質基板の少なくとも一面を選択的に除去して凹凸形状を形成してもよい。更にはリソグラフィーや選択的な蒸着法などの従来公知の方法によって凹凸形状を設けてもよい。
なお、上記2)の薄板の場合には、上記の選択的除去や、リソグラフィーや選択的な蒸着法などの従来公知の方法によって凹凸形状を設けることができる。
<焼成>
続いて、積層体を焼成する。この手順は、一般に、脱脂工程及び焼結工程を含む。これらの工程は、ガス炉、マイクロ波炉、電気炉等の中で、空気交換しつつ行うことが好ましい。
<電池用セパレータを用いた固体電解質電池>
図1及び図3に示すように、本実施形態の固体電解質電池100は、負極20/固体電解質10/正極30の基本構成となっており、負極20や水系電解質40は従来公知のものが使用でき特に限定されない。シート状正極触媒50は固体電解質10の表面に配置されているとともに、凹凸形状の凸部11に接し且つ凹部12から離間するように配置されている。具体的にはシート状正極触媒と凹部の距離はモチーフ深さ分だけ離間している。
シート状正極触媒50は、図3に示すように全体としてシート状をなしており、例えば、Ni、Pt、Pd、Ru、Auなどの正極触媒粒子51と結着材(図示せず)と水とを混合したスラリーを金属メッシュ上に塗布乾燥させることにより得ることができる。また、他に、塗布乾燥したものに金属メッシュを熱間プレスにより圧着することによっても得ることができる。シート厚は特に限定されないが、0.1mmから2mmであることが好ましい(複数毎重ねる場合には総厚を意味する)。また、正極触媒粒子51の平均粒径は好ましくは3nmから50μmである。この上記の粗さモチーフの凹凸形状が、正極触媒と固体電解質表面との接触面積を適度に維持しつつ、LiOやLiOHが移動し易い空間を確保でき、電池出力を長期間に渡り得ることが可能となる。
[実施例1]
[グリーンシートの作製(実施例)]
原料として、HPO、Al(PO、LiCO、SiO、及びTiOを用い、これらの原料を、酸化物換算のmol%で、PO533.8%、Al7.6%、LiO14.5%、SiO2.8%、TiO41.3%の組成になるように秤量し、均一に混合した。混合物を白金ポット内に入れ、電気炉中1450℃で3時間に亘り、撹拌を行いながら加熱溶解を行った。得られたガラス融液を流水中に滴下することで、フレーク状のガラスを得た。このガラスをジェットミルで粉砕することで、平均粒子径1.9μmのガラス粒子を得て、このガラス粒子をエタノールによる湿式ボールミルで微粉砕し、得たスラリーを噴霧乾燥することで、平均粒子径0.3μmのガラス微粒子を得た。
ガラス微粒子に、水に分散させたアクリル樹脂に分散剤を添加し、ボールミルで48時間に亘り撹拌することでスラリーを調製した。このスラリーにおけるガラス微粒子の含有量は65.5質量%であり、アクリル樹脂の含有量は13.5質量%であった。かかるスラリーを、ドクターブレード法で離型処理を施したPETフィルム上に厚み45μmで成形し、80℃にて一次乾燥を、更に95℃で二次乾燥を行うことで、シート状物を得た。PETフィルムを剥離した後のシート状物8枚を重畳し、等方加圧装置(CIP)を用いて196.1MPaにて10分間に亘り加圧を行うことで、緻密なグリーンシートを作製した。
なお、作製したグリーンシートの状況を確認するため、PETフィルムを剥離した後のシート状物8枚を重畳し、等方加圧装置(CIP)を用いて196.1MPaにて10分間に亘り加圧を行うことで、緻密なグリーンシートを作製した。グリーンシートを30mm角に切り出した。グリーンシートを480℃で2時間に亘り加熱した(脱脂)後、930℃まで急激に昇温し、930℃にて2時間保持した(焼結)後、室温まで自然冷却した。そして、焼成処理物をX線回折法で調べたところ、主結晶相がLi1+x+yAlTi2−xSi3−y12(式中、0≦x≦0.4、0<y≦0.6)であることが確認された。また、インピーダンス測定を行って求めたイオン伝導度は1.8×10−4Scm−1であった。
次に、図6に示す押型の方法によって、グリーンシートの正極側表面に図2に示すような凹凸形状を付与した。具体的には、PETフィルムを剥離した後のシート状物8枚を重畳し、押型と研磨SUS板に重畳したシート状物を挟み込み、等方加圧装置(CIP)を用いて196.1MPaにて10分間に亘り加圧を行うことで、緻密で片面に凹凸構造を転写させたグリーンシートを作製した。その後グリーンシートを30mm角に切り出し、480℃で2時間に亘り加熱した(脱脂)後、930℃まで急激に昇温し、930℃にて2時間保持した(焼結)後、室温まで自然冷却した(総厚さ0.31mm)。なお、測定器(テンコール社製 P−12)によって、JIS B0631に規定された粗さモチーフの平均長さAR及び粗さモチーフの平均深さRを測定したところ、それぞれ、AR365μm、R180μmであった。
[実施例2]
原料として日本化学工業株式会社製のHPO、Al(PO、LiCO、株式会社ニッチツ製のSiO、堺化学工業株式会社製のTiO、住友金属鉱山製のGeO、日本電工製のZrOを使用した。これらを酸化物換算の質量%でLiO成分を14.2%、Al成分を8.0%、SiO成分を1.0%、P成分を42.3%、GeO成分を18.1%、TiO成分を15.2%、ZrO成分を1.2%、となるように秤量して均一に混合した後に、白金ポットに入れ、電気炉中1350℃の温度で撹拌しながら3時間加熱・熔解してガラス融液を得た。その後、ガラス融液をポットに取り付けた白金製のパイプから加熱しながら、300℃に加熱したINCONEL600製(INCONELは登録商標)の金属の型に流し込んだ。その後ガラスの表面温度が600℃以下になるまで放冷し、その後550℃に加熱した電気炉中に入れ、室温まで徐冷することにより、熱的な歪を取り除いたガラスブロックを作製した。
その後、得られたガラスブロックを890℃にて12時間熱処理を行ない、結晶化処理を行なった。
上記のガラスセラミックスを25mm角、厚さ0.3mmtに切断・研削加工したのち、ガラスセラミックスの片面に溝加工を施した。その後、溝加工した面に、微細砥粒のサンドブラスト加工により溝の角を丸めた。実施例1と同様に粗さモチーフの平均長さAR及び粗さモチーフの平均深さRを測定したところ、それぞれ、厚さ0.24mmt、AR82μm、R55μmであった。
(比較例1)
実施例2と同様に作製したガラスセラミックスを25mm角、厚さ0.3mmtに切断・研削加工したのちに、ガラスセラミックスの片面に溝加工を施した。幅5mm、深さ0.1mmの溝を5mm間隔で形成させた。
(比較例2)
押型の凹凸形状を変更して実施例1と同様の型押を行ない、同じくJIS B0631に規定された粗さモチーフの平均長さAR及び粗さモチーフの平均深さRを測定したところ、それぞれ、AR2μm、R0.3μmであった。その後実施例と同様に焼成した。
[電池の作製]
以下の負極、負極保護層、シート状正極触媒、水系電解質を用意し、実施例及び比較例のグリーンシートに負極/負極保護層/固体電解質/シート状正極触媒/水系電解質の順に積層して固体電解質電池を作成した。シート状正極触媒は、Ni粉末90wt%とPTFE10wt%を水中で混合し、スラリーを作製した。そのスラリーをシート状に成型し、乾燥させた。シート状に成型した触媒にNiメッシュを乗せて、350℃の温度でホットプレスにて、Ni粉末とNiメッシュを圧着した。こうして作製した正極触媒を実施例1、2または比較例1、2で作製した固体電解質の加工した面に配置し、また、逆の面には有機電解液に浸したLi金属箔を配置させ、触媒側に水系電解液を1cc投入して、SUS304製セルに組み込むことによって固体電解質電池を作製した。
負極:Li金属箔 φ15mm 0.2mmt
負極保護層:EC(エチレンカーボネ―ト):DEC(ジエチルカーボネート)=1:1vol LiPF 1M
シート状正極触媒:φ15mm、Ni粉末(粒子径10から20μm)+Niメッシュ
水系電解質正極:1M LiOH水溶液
[試験例]
実施例1、2及び比較例1、2の固体電解質電池につき、室温にて放電電流密度0.5mA/cmの条件下で試験を行った。その結果は、Li金属の電気容量に対して、実施例1では97%、実施例2では100%、比較例1では41%、比較例2では53%であり、比較例1、2に比べて実施例1、2の電池の性能が良好であった。
本発明の一実施形態である固体電解質電池の構成を示す断面模式図である。 本実施形態に係る電池用セパレータの幾何学的模様を示す平面図である。 図2の電池用セパレータ上に正極触媒シートが配置された状態でのX−X断面図である。 図2における幾何学的模様の変形例である。 図3における断面凹凸形状の変形例である。 本実施形態の電池用セパレータの製造方法を示す一例である。
符号の説明
10 固体電解質(焼成後)
11 凸部
12 凹部
20 負極
30 正極
40 水系電解質
50 シート状正極触媒
51 正極触媒粒子
60 空間
70 グリーンシート(焼成前)
71 凹凸形状
80 押型
81 凹凸形状
100 固体電解質電池

Claims (15)

  1. イオン伝導性を有する固体電解質を含む電池用セパレータであって、
    JIS B0631に規定された粗さモチーフの平均長さARが5μm以上2.5mm以下の凹凸形状が前記固体電解質の少なくとも一方の表面に形成されている電池用セパレータ。
  2. 前記粗さモチーフの平均深さRは、5μm以上2.5mm以下である請求項1記載の電池用セパレータ。
  3. 前記凹凸形状は、幾何学的線模様に形成されている請求項1又は2記載の電池用セパレータ。
  4. 前記幾何学的線模様は、複数の方向に延びる線が交差した模様を有する請求項3記載の電池用セパレータ。
  5. 前記凹凸形状は、凹部及び/又は凸部の頂部が平坦な断面形状を有する請求項1から4いずれか記載の電池用セパレータ。
  6. 前記凹凸形状は、凹部及び/又は凸部の頂部が湾曲及び/又は屈曲した断面形状を有する請求項1から5いずれか記載の電池用セパレータ。
  7. 前記固体電解質は、金属イオンの伝導性を有する請求項1から6いずれか記載の電池用セパレータ。
  8. 前記固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有し、Li1+x+y(Al,Ga)(Ti,Ge)2−xSi3−y12(式中、0≦x≦1、0≦y≦1)である結晶を含む請求項7記載の電池用セパレータ。
  9. 前記固体電解質は、溶融ガラスを成形した後に熱処理することで前記結晶が析出されたものである請求項8記載の電池用セパレータ。
  10. 前記固体電解質は、セラミックスグリーンシートが焼成されたものである請求項8記載の電池用セパレータ。
  11. 前記固体電解質は、mol%表示で、
    LiO:12〜18%、及び/又は、
    Al+Ga:5〜10%、及び/又は、
    TiO+GeO:35〜45%、及び/又は、
    SiO:1〜10%、及び/又は、
    :30〜40%
    の各成分を含有する請求項8から10いずれか記載の電池用セパレータ。
  12. 請求項1から11いずれか記載の電池用セパレータと、この電池用セパレータの前記凹凸形状が形成された一方の表面側に配置された正極と、前記電池用セパレータの他方の表面に配置された金属負極と、を備え、
    前記正極は電解液及び触媒を含み、前記触媒は前記表面に配置されている固体電解質電池。
  13. 前記触媒はシート体に含まれ、このシート体は前記凹凸形状の凸部に接し且つ凹部から離間するように配置されている請求項12記載の固体電解質電池。
  14. 請求項1から11いずれか記載の電池用セパレータの製造方法であって、
    前記固体電解質の少なくとも一面を選択的に除去して前記凹凸形状を形成する工程を有する製造方法。
  15. 請求項1から11いずれか記載の電池用セパレータの製造方法であって、凹凸形状を有する型でセラミックスグリーンシートを型押したのち焼成することで前記凹凸形状を形成する工程を有する製造方法。
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