JP2010107518A - 角速度センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、検出部の故障診断のために、振動子上に駆動部と検出部とは別の新たな手段を設けることなしに、シンプルな構成、かつ、小型で高精度な検出部の故障診断が可能な角速度センサを提供することを目的とするものである。
【解決手段】外部から故障診断を実施するためのチェック信号aが端子54に入力されるとアンプ45の増幅度が減少し、同時にAGC回路43の働きによりアンプ44の増幅度が逆に増加することで、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した一対の駆動電極の一方には小さな駆動信号が、他方には大きな駆動信号が印加されるように構成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、故障診断機能を備えた角速度センサに関するものである。
従来この種の角速度センサとしては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがあった。図9、図10は前記特許文献1に記載された従来の角速度センサを示している。図9は角速度センサの振動子を示す斜視図、図10は同側面図である。
図9、図10において、101はエリンバー等からなる正3角柱状の振動体、102は振動体101に屈曲振動を励起するための駆動部としての両面に電極が形成された圧電体、103、104は振動体101の長手方向の軸周りに角速度Ωが印加された時の屈曲振動の変化として検出するための検出部としての両面に電極が形成された圧電体、105、106は振動体101の長手方向の中央部を境に圧電体103、104とは反対側に設けられ、振動体101の長手方向の軸周りに角速度Ωが印加された時に働くコリオリ力と同じ向きに振動体101を屈曲振動させるための疑似コリオリ力発生部としての両面に電極が形成された圧電体である。
特開平11−101644号公報
しかしながら前述した従来の角速度センサにおいては、検出部の故障診断のために振動体101上に駆動部としての圧電体102や検出部としての圧電体103、104とは別の特別な圧電体105、106を設けなければならないという問題があった。
本発明は検出部の故障診断のために、振動子上に駆動部と検出部とは別の新たな手段を設けることなしに、シンプルな構成、かつ、小型で高精度な検出部の故障診断が可能な角速度センサを提供することを目的とする。
この目的を達成する為に、本発明の請求項1に記載の発明は、互いに垂直なX軸とY軸とZ軸とで定義される空間において、X軸方向及びZ軸方向に変位するように構成された少なくとも2つのアームとこのアームを連結する少なくとも1つの基部とを有した弾性材料からなる振動子と、この振動子をX軸方向とZ軸方向に励振することが可能なように振動子上の少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上の中心線を境に離間して設けられた2つの電極を有する駆動部と、駆動部に振動子をX軸方向に励振するための駆動信号を供給するための第1の駆動回路と、駆動部に振動子をX軸方向とZ軸方向に励振するための駆動信号を供給するための第2の駆動回路と、Z軸方向に振動する振動子の撓みを検出するために振動子上に設けられた検出部と、第1の駆動回路より駆動部に駆動信号が供給され、かつ、Y軸周りに角速度が入力された時の検出部より出力される信号を増幅し、検波することにより、角速度信号が出力される角速度検出回路と、第2の駆動回路より駆動部に駆動信号が供給された時の検出部より出力される信号を増幅し、検波することにより、検出部の故障診断が可能となる信号が出力される自己診断回路とを備えた角速度センサであって、検出部の故障診断を行わない場合は、駆動部が有する少なくとも2つの電極は、第1の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がない駆動信号が印加されるように構成され、検出部の故障診断を行う場合は、駆動部が有する少なくとも2つの電極は、第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されるように構成された角速度センサであり、検出部の故障診断のために、振動子上に駆動部と検出部とは別の新たな手段を設けることなしに、シンプルな構成、かつ、小型で高精度な検出部の故障診断が可能であるという作用効果を奏する。
また、振動子は少なくとも2つのアームとこのアームを連結する少なくとも1つの基部とを有した弾性材料からなる音叉型振動子であり、駆動部はこの音叉型振動子の少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上の中心線を境に少なくとも上部電極が離間するように設けられた圧電膜であり、さらに検出部は前記音叉型振動子の少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上に設けられ、両面に電極を有した圧電膜であり、X軸方向に音叉振動するように前記離間した各上部電極に第1の駆動回路より互いに位相が逆の駆動信号が印加され、また、X軸方向に音叉振動するとともにZ軸方向にも振動するように前記離間した各上部電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されるように構成された請求項1に記載の角速度センサとすることにより、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した各上部電極に第1の駆動回路より駆動信号が印加された場合は、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向への音叉振動しか起こらないが、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した各上部電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されると、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなり、その結果相殺されないため、X軸方向に音叉振動すると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動も起こり、このZ軸方向への撓みに基づいて、駆動部とは独立に設けられた検出部としての圧電膜上の電極に電荷が誘起される。この信号を自己診断回路により増幅し、検波することで、駆動部とは兼用でない検出部の独立した故障診断が可能となる信号が出力できるという作用効果を奏する。
また、振動子は少なくとも2つのアームとこのアームを連結する少なくとも1つの基部とを有した弾性材料からなる音叉型振動子であり、駆動部はこの音叉型振動子の少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上の中心線を境に離間するように設けられ、上面、下面にそれぞれ電極を有した一対の圧電膜であり、さらに検出部は前記音叉型振動子の少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上に設けられ、両面に電極を有した圧電膜であり、X軸方向に音叉振動するように前記離間した各上面の電極に第1の駆動回路より互いに位相が逆の駆動信号が印加され、また、X軸方向に音叉振動するとともにZ軸方向にも振動するように前記離間した各上面の電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されるように構成された請求項1に記載の角速度センサとすることにより、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した一対の圧電膜の各上面の電極に第1の駆動回路より駆動信号が印加された場合は、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向への音叉振動しか起こらないが、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した一対の圧電膜の各上面の電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されると、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなり、その結果相殺されないため、X軸方向に音叉振動すると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動も起こり、このZ軸方向への撓みに基づいて、駆動部とは独立に設けられた検出部としての圧電膜上の電極に電荷が誘起される。この信号を自己診断回路により増幅し、検波することで、駆動部とは兼用でない検出部の独立した故障診断が可能となる信号が出力できるばかりか、音叉型振動子のアームの中心線を境に駆動部が分離されて設けられているため、X軸方向とZ軸方向へより高精度な振動を発生させることができるという作用効果を奏する。
また、振動子は少なくとも2つのアームとこのアームを連結する少なくとも1つの基部とを有した弾性材料からなる音叉型振動子であり、駆動部はこの音叉型振動子の2つのアームに設けられ、前記各々のアームの主面上の中心線を境に少なくとも上部電極が離間し、かつ、少なくとも前記各々のアーム間で前記上部電極の面積に差が設けられた第1、第2の圧電膜であり、さらに検出部は前記音叉型振動子の少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上に設けられ、両面に電極を有した圧電膜であり、X軸方向に音叉振動するように前記第1、第2の圧電膜上にそれぞれ設けられた前記離間した各上部電極に第1の駆動回路より互いに位相が逆の駆動信号が印加され、また、X軸方向に音叉振動するとともにZ軸方向にも振動するように前記第1、第2の圧電膜上にそれぞれ設けられた前記離間した各上部電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されるように構成された請求項1に記載の角速度センサとすることにより、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した各上部電極に第1の駆動回路より駆動信号が印加された場合は、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向への音叉振動しか起こらないが、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した各上部電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されると、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなるばかりか、一方のアームと他方のアームで上部電極の面積に差があり、不釣り合いの度合いが一方のアームと他方のアームで異なるため、結果として、X軸方向に音叉振動すると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動も起こり、このZ軸方向への撓みに基づいて、駆動部とは独立に設けられた検出部としての圧電膜上の電極に電荷が誘起される。この信号を自己診断回路により増幅し、検波することで、駆動部とは兼用でない検出部の独立した故障診断が可能となる信号が出力できるという作用効果を奏する。
また、振動子は少なくとも2つのアームとこのアームを連結する少なくとも1つの基部とを有した弾性材料からなる音叉型振動子であり、駆動部はこの音叉型振動子の2つのアームに設けられ、前記各々のアームの主面上の中心線を境に離間するように設けられ、上面、下面にそれぞれ電極を有し、かつ、少なくとも前記各々のアーム間で前記上面の電極の面積に差が設けられた各一対の圧電膜であり、さらに検出部は前記音叉型振動子の少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上に設けられ、両面に電極を有した圧電膜であり、X軸方向に音叉振動するように前記各一対の圧電膜上にそれぞれ設けられた前記離間した各上面の電極に第1の駆動回路より互いに位相が逆の駆動信号が印加され、また、X軸方向に音叉振動するとともにZ軸方向にも振動するように前記各一対の圧電膜上にそれぞれ設けられた前記離間した各上面の電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されるように構成された請求項1に記載の角速度センサとすることにより、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した各上面の電極に第1の駆動回路より駆動信号が印加された場合は、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向への音叉振動しか起こらないが、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した各上面の電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されると、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなるばかりか、一方のアームと他方のアームで上面の電極の面積に差があり、不釣り合いの度合いが一方のアームと他方のアームで異なるため、結果として、X軸方向に音叉振動すると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動も起こり、このZ軸方向への撓みに基づいて、駆動部とは独立に設けられた検出部としての圧電膜上の電極に電荷が誘起される。この信号を自己診断回路により増幅し、検波することで、駆動部とは兼用でない検出部の独立した故障診断が可能となる信号が出力できるばかりか、音叉型振動子のアームの中心線を境に駆動部が分離されて設けられているため、X軸方向とZ軸方向へより高精度な振動を発生させることができるという作用効果を奏する。
また、振動子は少なくとも2つのアームとこのアームを連結する少なくとも1つの基部とを有した弾性材料からなる音叉型振動子であり、駆動部はこの音叉型振動子の2つのアームに設けられ、前記各々のアームの主面上の中心線を境に少なくとも上部電極が離間し、かつ、少なくとも前記各々のアーム間で前記上部電極のY軸方向における位置に差を有した第1、第2の圧電膜であり、さらに検出部は前記音叉型振動子の少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上に設けられ、両面に電極を有した圧電膜であり、X軸方向に音叉振動するように前記第1、第2の圧電膜上にそれぞれ設けられた前記離間した各上部電極に第1の駆動回路より互いに位相が逆の駆動信号が印加され、また、X軸方向に音叉振動するとともにZ軸方向にも振動するように前記第1、第2の圧電膜上にそれぞれ設けられた前記離間した各上部電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されるように構成された請求項1に記載の角速度センサとすることにより、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した各上部電極に第1の駆動回路より駆動信号が印加された場合は、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向への音叉振動しか起こらないが、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した各上部電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されると、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなるばかりか、一方のアームと他方のアームで上部電極のY軸方向における位置に差があり、不釣り合いの度合いが一方のアームと他方のアームで異なるため、結果として、X軸方向に音叉振動すると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動も起こり、このZ軸方向への撓みに基づいて、駆動部とは独立に設けられた検出部としての圧電膜上の電極に電荷が誘起される。この信号を自己診断回路により増幅し、検波することで、駆動部とは兼用でない検出部の独立した故障診断が可能となる信号が出力できるという作用効果を奏する。
また、振動子は少なくとも2つのアームとこのアームを連結する少なくとも1つの基部とを有した弾性材料からなる音叉型振動子であり、駆動部はこの音叉型振動子の2つのアームに設けられ、前記各々のアームの主面上の中心線を境に離間するように設けられ、上面、下面にそれぞれ電極を有し、かつ、少なくとも前記各々のアーム間で前記上面の電極のY軸方向における位置に差を有した各一対の圧電膜であり、さらに検出部は前記音叉型振動子の少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上に設けられ、両面に電極を有した圧電膜であり、X軸方向に音叉振動するように前記各一対の圧電膜上にそれぞれ設けられた前記離間した各上面の電極に第1の駆動回路より互いに位相が逆の駆動信号が印加され、また、X軸方向に音叉振動するとともにZ軸方向にも振動するように前記各一対の圧電膜上にそれぞれ設けられた前記離間した各上面の電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されるように構成された請求項1に記載の角速度センサとすることにより、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した各上面の電極に第1の駆動回路より駆動信号が印加された場合は、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向への音叉振動しか起こらないが、音叉型振動子のアームの中心線を境に離間した各上面の電極に第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されると、アームの中心線を境にアームの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなるばかりか、一方のアームと他方のアームで上面の電極のY軸方向における位置に差があり、不釣り合いの度合いが一方のアームと他方のアームで異なるため、結果として、X軸方向に音叉振動すると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動も起こり、このZ軸方向への撓みに基づいて、駆動部とは独立に設けられた検出部としての圧電膜上の電極に電荷が誘起される。この信号を自己診断回路により増幅し、検波することで、駆動部とは兼用でない検出部の独立した故障診断が可能となる信号が出力できるばかりか、音叉型振動子のアームの中心線を境に駆動部が分離されて設けられているため、X軸方向とZ軸方向へより高精度な振動を発生させることができるという作用効果を奏する。
また、角速度検出回路は、自己診断回路の機能も兼ね備えた一つの回路のみである請求項1に記載の角速度センサとすることにより、よりシンプルな構成にすることができるという作用効果を奏する。
また、さらに、故障診断を実施するために外部からのチェック信号が入力されるチェック端子を備え、第2の駆動回路内にチェック端子からの出力信号に応じて駆動信号に振幅の差を発生させるための手段が設けられた角速度センサとすることにより、外部から任意の時間に故障診断ができるという作用効果を奏する。
検出部の故障診断のために、振動子上に駆動部と検出部とは別の新たな手段を設けることなしに、シンプルな構成、かつ、小型で高精度な検出部の故障診断が可能である。
本発明の実施の形態1における角速度センサの分解斜視図 同角速度センサの音叉型振動子の構成図 同振動子のA−A断面図 同角速度センサの回路のブロック図 同回路における各部の信号状態及び同振動子のアームの振動状態を示す波形図 故障診断時の駆動信号の振幅の差と自己診断回路の出力信号との関係を説明する図 本発明の実施の形態2における角速度センサの音叉型振動子の斜視図 本発明の実施の形態3における角速度センサの音叉型振動子の斜視図 従来の角速度センサの振動子を示す斜視図 同側面図
以下に本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における角速度センサの分解斜視図、図2は同角速度センサの音叉型振動子の構成図、図3は同振動子のA−A断面図、図4は同角速度センサの回路のブロック図、図5は同回路における各部の信号状態及び同振動子のアームの振動状態を示す波形図、図6は故障診断時の駆動信号の振幅の差と自己診断回路の出力信号との関係を説明する図である。
図1において、1は基本骨格がシリコン等の弾性材料からなる音叉型振動子、2は回路としてのICチップ、3は音叉型振動子1とICチップ2が収納されるセラミック製のパッケージ、4はパッケージ3を封止するための蓋、7は蓋4により封止されたパッケージ3とチップ部品5と端子6等の導体とともに樹脂で一体成型されたホルダー、8はホルダー7を覆うケースである。
図2、図3において、10a、10bは音叉型振動子1のアーム、18は音叉型振動子1の支持部、30、31はアーム10a、10bの各々の中心線、32、33はアーム10a、10bの各々の主面、11c、12cは中心線30を境に互いに離間した主面32上に設けられた下面の電極、11b、12bは下面の電極11c、12c上にそれぞれ設けられたPZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜、11a、12aは圧電膜11b、12b上にそれぞれ設けられた駆動電極としての上面の電極、13c、14cは中心線31を境に互いに離間した主面33上に設けられた下面の電極、13b、14bは下面の電極13c、14c上にそれぞれ設けられたPZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜、13a、14aは圧電膜13b、14b上にそれぞれ設けられた駆動電極としての上面の電極、17はアーム10a、10bがX軸方向に音叉振動する振幅をモニターするために主面32、33に跨るように設けられたモニター電極、19、20、21、22、23は上面の電極11a、12a、13a、14a、モニター電極17にそれぞれつながるパッド電極、15a、16aは検出部を構成する上面の電極である。
駆動部は、上述したようにアーム10a上に設けられた上面の電極11a、圧電膜11
bと下面の電極11cから構成された部分と上面の電極12a、圧電膜12bと下面の電極12cから構成された部分とからなる一対の構成である。同様に、アーム10b上にも一対の構成で形成されている。また、駆動部はアーム10a上の中心線30に対して略対称に構成されると同時に、音叉型振動子1の対称軸を中心に左右にアーム10a、10b間においても略対称に構成されている。
検出部は、アーム10aの主面32上に設けられた下面の電極(図示せず)、この下面の電極上に設けられたPZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)とこの圧電膜上に設けられた上面の電極15aから構成されている。同様に、アーム10bの主面33上にも下面の電極(図示せず)、この下面の電極上に設けられたPZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)とこの圧電膜上に設けられた上面の電極16aから構成された検出部が存在する。また、検出部は、音叉型振動子1の対称軸を中心に左右のアーム10a、10b間においても略対称に構成されている。
同様に、モニター電極17の下にもPZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)と下面の電極(図示せず)が設けられている。
図4において、40はパッド電極23に接続される端子、41は端子40を経由してモニター電極17に発生した電荷が入力されるカレントアンプ、42はカレントアンプ41の出力を整流平滑する全波整流器、43はカレントアンプ41の出力と全波整流器42の出力が入力されアーム10a、10bがX軸方向に音叉振動する振幅を所定値になるように駆動信号の振幅を制御するためのAGC回路、44はAGC回路43の出力が入力され上面の電極11aに駆動信号(例えば、プラス信号)を供給するためのアンプ、45はアンプ44の出力を反転し上面の電極12aにアンプ44から出力された駆動信号と位相が逆(例えば、マイナス信号)で振幅が同じ駆動信号を供給するためのアンプ、46はアンプ44の出力を反転し上面の電極14aにアンプ44から出力された駆動信号と位相が逆(例えば、マイナス信号)で振幅が同じ駆動信号を供給するためのアンプ、47はアンプ46の出力をさらに反転し上面の電極13aにアンプ46から出力された駆動信号と位相が逆(例えば、プラス信号)で振幅が同じ駆動信号を供給するためのアンプ、50、51、52、53はパッド電極20、19、22、21にそれぞれ接続される端子、54は故障診断を実施するために外部からのチェック信号が入力され、このチェック信号に応じてアンプ45、47の増幅度を変化させるための制御信号が供給される端子、60、61は上面の電極15a、16aにそれぞれ接続される端子、62、63は端子60、61を経由して上面の電極15a、16aにそれぞれ発生した電荷が入力されるカレントアンプ、64はカレントアンプ62、63の出力を差動増幅するための差動アンプ、65は差動アンプ64の出力を位相シフトするための位相器、66は位相器65の出力をカレントアンプ41の出力信号を用いて同期検波するための同期検波器、67は同期検波器66の出力を濾波するためのローパスフィルタ、68はローパスフィルタ67の出力を外部に供給するための端子である。
まず最初に、本実施の形態の角速度センサにおける通常の角速度検出を行う時の動作について説明する。
上述したように通常の角速度検出を行うモードにおいては、端子54に故障診断を実施するためのチェック信号が外部から供給されないため、アンプ45、47の増幅度を変化させるための制御信号が供給されることはない。したがって、上面の電極11a、12a、13a、14aに入力される駆動信号の振幅はすべて同じである。また、上面の電極11aの駆動信号の位相(プラス)と上面の電極12aの駆動信号の位相(マイナス)とは逆、さらに上面の電極13aの駆動信号の位相(プラス)と上面の電極14aの駆動信号の位相(マイナス)とは逆である。これにより、例えばアーム10aの中心線30を境に圧電膜11bがY軸方向に縮むとアーム10aをX軸方向(外向き)に曲げようとする力が発生すると同時にZ軸方向(紙面に向かって手前)にも曲げようとする力が発生する。また、アーム10aの中心線30を境に圧電膜12bはY軸方向に伸びるため、アーム10aをX軸方向(外向き)に曲げようとする力が発生すると同時にZ軸方向(紙面に向かって奥)にも曲げようとする力が発生する。その結果、アーム10aの中心線30を境にアーム10aの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向(外向き)への振動しか起こらない。同様の原理に基づき、アーム10bの中心線31を境にアーム10bの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向(外向き)への振動しか起こらない。この音叉振動状態の時のX軸方向へのアーム10a、10bの振動変位eの波形の位相は、音叉型振動子1が共振振動をしているため、図5に示すように駆動信号cの位相と90°異なる。すなわち、駆動信号cの振幅が最大の時、アーム10a、10bの振動変位eは、ゼロとなる。また、Z軸方向へのアーム10a、10bの振動変位fは、図5に示すように発生しない。このように、アーム10a、10bはXY面内のみで安定した音叉振動を行うことが十分に理解できる。
上述のようなXY面内のみで安定した音叉振動をしている状態でY軸周りに角速度Ωが印加されると、上面の電極15aから例えばプラスの電荷が発生し、上面の電極16aから大きさが同じでマイナスの電荷が発生する。これらの電荷を上述の回路で処理することにより、印加された角速度Ωの大きさに応じた出力信号が端子68から出力される。
次に、本実施の形態の角速度センサにおける故障診断を実施する時の動作について説明する。
故障診断を実施するために、端子54にチェック信号aが外部から供給される(図5に示す)と、アンプ45、47の増幅度を変化させるための制御信号が供給される。この制御信号により、例えばアンプ45、47の増幅度が同時に減少させられると、上面の電極12aに印加される駆動信号dの振幅(図5に示す)は、減少する。同様に、上面の電極13aに印加される駆動信号の振幅も減少する。この時、AGC回路43の働きにより、アーム10a、10bのX軸方向に音叉振動する振幅が所定値になるように、上面の電極11aに印加される駆動信号cの振幅(図5に示す)は、増加する。同様に、上面の電極14aに印加される駆動信号の振幅も増加する。
すなわち、上面の電極11aに印加される駆動信号の位相(プラス)と上面の電極12aに印加される駆動信号の位相(マイナス)が逆のまま、上面の電極11aに印加される駆動信号の振幅と上面の電極12aに印加される駆動信号の振幅との間に差が生じる。
したがって、アーム10aの中心線30を境に圧電膜11bがY軸方向に縮む力が、アーム10aの中心線30を境に圧電膜12bがY軸方向に伸びる力を超えるため、アーム10aの中心線30を境にアーム10aの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなり、その結果この力は相殺されず、アーム10aをX軸方向(外向き)へ振動させると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動のように、紙面に向かって手前にも曲げようとする力が発生する。同様のことは、アーム10bでも発生している。すなわち、アーム10bの中心線31を境に圧電膜14bがY軸方向に伸びる力が、アーム10bの中心線31を境に圧電膜13bがY軸方向に縮む力を超えるため、アーム10bの中心線31を境にアーム10bの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなり、その結果この力は相殺されず、アーム10bをX軸方向(外向き)へ振動させると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動のように、紙面に向かって奥にも曲げようとする力が発生する。これらのアーム10a、10bをZ軸方向
へ曲げようとする力により、Z軸方向へのアーム10a、10bの振動変位fは図5に示すようになる。このZ軸方向へのアーム10a、10bの振動変位fの波形の位相は、駆動信号cの波形の位相と同相になる。何故ならば、アーム10a、10bの幅と厚みを適宜コントロールすることにより、X軸方向への共振周波数とZ軸方向への共振周波数が異なるように設計されているため、アーム10a、10bをX軸方向への共振周波数で駆動する時、アーム10a、10bのZ軸方向への振動はX軸方向への共振周波数では、共振せず、非共振となる。その結果、駆動信号cの振幅が最大の時、アーム10a、10bの振動変位fも最大となる。さらに、このアーム10a、10bのZ軸方向への振動変位fの波形の位相は、Y軸周りに角速度Ωが印加された時に、アーム10a、10bがZ軸方向へ振動変位する時の波形の位相と同じになる。したがって、このアーム10a、10bのZ軸方向への振動変位fに基づく上面の電極15a、16aに発生する電荷をカレントアンプ62、63に入力し、カレントアンプ62、63からの出力をそれぞれ差動アンプ64に入力し、差動増幅し、差動アンプ64からの出力を位相器65を通して出力した出力波形gは、図5に示すようになる。この出力波形gは、あたかも実際にY軸周りに角速度Ωが印加された時の出力波形と同じである。この出力波形gをカレントアンプ41からの出力信号(モニター信号)を用いて、同期検波器66により同期検波した後の信号波形hは、図5に示すようになる。この信号波形hをローパスフィルタ67を通した出力iは、図5に示すようにΔVとなる。この出力i=ΔVが端子68から外部に供給される。
端子54にチェック信号が外部から供給された時の上面の電極12aに印加される駆動信号dの振幅をDM、上面の電極11aに印加される駆動信号cの振幅をDPと定義すると、(DP−DM)と出力iには一定の関係{i=k(DP−DM)、kは関数}がある(図6参照)。図6において、横軸は(DP−DM)、縦軸は出力iである。図6に示すように、DP−DM=αまでは、出力iが線形で、DP−DM=αの時、出力i=ΔVとなる。
上述したように、実際に印加された角速度Ωを検出するための角速度検出回路を用いて、端子54に外部から供給されたチェック信号aに従って、検出部の故障診断が可能な信号を出力することができる。すなわち、この例では、角速度検出回路が自己診断回路を兼ねる。
本実施の形態においては、検出部の故障診断のために、振動子上に駆動部と検出部とは別の新たな手段を設けることなしに、シンプルな構成、かつ、小型で高精度な検出部の故障診断が可能である。また、駆動部と検出部が独立に振動子上に設けられているため、駆動部とは兼用でない検出部の独立した故障診断が可能となる信号が出力できる。
また、本実施の形態においては、駆動部を両アームに設けた例について説明したが、駆動部は少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上に設けられていればよい。同様に、検出部に関しても、少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上に設けられていればよい。
また、本実施の形態においては、1つのアーム上で中心線を境に駆動部をそれぞれ独立させて設けた例について説明したが、少なくとも上部の電極がアーム上の中心線を境に離間されて設けられていればよい。
また、本実施の形態においては、端子54に外部からチェック信号aが供給できる構成になっているため、外部から任意の時間に故障診断を行うことができる。
また、本実施の形態においては、角速度検出回路が自己診断回路を兼ねる構成について説明したが、当然、角速度検出回路と自己診断回路をそれぞれ独立して設けることは可能
である。
また、本実施の形態においては、端子68から故障診断が可能となる信号が出力iとして得られるが、さらに、端子68の後段にこの出力iを判定する回路を角速度センサ内に内蔵させる構成も可能である。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2における角速度センサの音叉型振動子の斜視図である。本実施の形態2において、実施の形態1において述べた構成と同一構成部分には同一番号を付して詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
図7において、70a、71a、72a、73aは駆動電極としての上面の電極、74は上面の電極70a、72aにそれぞれつながるパッド電極、75は上面の電極71a、73aにそれぞれつながるパッド電極である。
図7において、アーム10aの主面32上の中心線30を境に左側に下面の電極(図示せず)、PZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)と上面の電極70aが設けられ、中心線30を境に右側に略対称に下面の電極(図示せず)、PZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)と上面の電極71aが設けられている。
また、アーム10bの主面33上の中心線31を境に左側に下面の電極(図示せず)、PZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)と上面の電極73aが設けられ、中心線31を境に右側に略対称に下面の電極(図示せず)、PZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)と上面の電極72aが設けられている。ただし、実施の形態1の構成と異なり、駆動部は音叉型振動子1の対称軸を中心に左右のアーム10a、10bで対称ではなく、アーム10b上の駆動部の面積の方がアーム10a上の駆動部の面積より大きく構成されている。
また、パッド電極74は図4に示す端子51とつながり、パッド電極75は図4に示す端子50とつながっている。ただし、実施の形態1の構成と異なり、図4に示す端子52、53を用いる必要がないため、アンプ46、47も不要となり、回路構成がよりシンプルになる。
以下、本実施の形態の角速度センサにおける通常の角速度検出を行う時の動作について簡略に説明する。
通常の角速度検出を行うモードにおいては、実施の形態1と同様に、端子54に故障診断を実施するためのチェック信号aが外部から供給されないため、アンプ45の増幅度を変化させるための制御信号が供給されることはない。したがって、上面の電極70a、71a、72a、73aに入力される駆動信号の振幅はすべて同じである。
また、上面の電極70aの駆動信号の位相(プラス)と上面の電極71aの駆動信号の位相(マイナス)とは逆、さらに上面の電極72aの駆動信号の位相(プラス)と上面の電極73aの駆動信号の位相(マイナス)とは逆である。したがって、アーム10aの中心線30を境にアーム10aの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向(外向き)への振動しか起こらない。同様の原理に基づき、アーム10bの中心線31を境にアーム10bの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向(外向き)への振動しか起こらない。結果として、実施の形態1と同じように、アーム10a、10
bはXY面内のみで安定した音叉振動を行う。これにより、実施の形態1と同様に、Y軸周りに印加された角速度Ωの大きさに応じた出力信号が端子68から出力される。
次に、本実施の形態の角速度センサにおける故障診断を実施する時の動作について説明する。
故障診断を実施するために、実施の形態1と同様に、端子54にチェック信号aが外部から供給されると、アンプ45の増幅度を変化させるための制御信号が供給される。この制御信号により、例えばアンプ45の増幅度が減少させられると、上面の電極71a、73aに印加される駆動信号の振幅は、減少する。この時、AGC回路43の働きにより、アーム10a、10bのX軸方向に音叉振動する振幅が所定値になるように、上面の電極70a、72aに印加される駆動信号の振幅は、増加する。
すなわち、上面の電極70aに印加される駆動信号の位相(プラス)と上面の電極71aに印加される駆動信号の位相(マイナス)が逆のまま、上面の電極70aに印加される駆動信号の振幅が上面の電極71aに印加される駆動信号の振幅より大きくなり、駆動信号の振幅に差が生じる。
したがって、アーム10aの中心線30を境に左側の圧電膜がY軸方向に縮む力が、アーム10aの中心線30を境に右側の圧電膜がY軸方向に伸びる力を超えるため、アーム10aの中心線30を境にアーム10aの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなり、その結果この力は相殺されず、アーム10aをX軸方向(外向き)へ振動させると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動のように、紙面に向かって手前にも曲げようとする力が発生する。同様のことは、アーム10bでも発生している。すなわち、アーム10bの中心線31を境に右側の圧電膜がY軸方向に縮む力が、アーム10bの中心線31を境に左側の圧電膜がY軸方向に伸びる力を超えるため、アーム10bの中心線31を境にアーム10bの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなり、その結果この力は相殺されず、アーム10bをX軸方向(外向き)へ振動させると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動のように、紙面に向かって手前にも曲げようとする力が発生する。但し、実施の形態1の場合と異なり、アーム10a、10bともに紙面に向かって手前に曲げようとする力が発生するが、アーム10b側の駆動部の面積の方がアーム10a側の駆動部の面積より大きいため、アーム10b側の曲げようとする力の大きさがアーム10a側の曲げようとする力の大きさを超える(すなわち、差分の力が発生する)ため、結果としてこの差分の力に基づきアーム10aは、矢印76(紙面に向かって奥)の方に回転し、アーム10bは、矢印77(紙面に向かって手前に)の方に回転する。
したがって、実施の形態1の場合と同様に、このアーム10a、10bのZ軸方向への振動変位に基づく上面の電極15a、16aに発生する電荷を実際に印加された角速度Ωを検出するための角速度検出回路を用いて、検出部の故障診断を可能とする信号を端子68から出力することができる。
本実施の形態においては、検出部の故障診断のために、振動子上に駆動部と検出部とは別の新たな手段を設けることなしに、シンプルな構成、かつ、小型で高精度な検出部の故障診断が可能である。また、駆動部と検出部が独立に振動子上に設けられているため、駆動部とは兼用でない検出部の独立した故障診断が可能となる信号が出力できる。
また、本実施の形態においては、検出部を両アームに設けた例について説明したが、検出部は少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上に設けられていればよい。
また、本実施の形態においては、1つのアーム上で中心線を境に駆動部をそれぞれ独立させて設けた例について説明したが、少なくとも上部の電極がアーム上の中心線を境に離間させて設けられていればよい。
また、本実施の形態においては、端子54に外部からチェック信号aが供給できる構成になっているため、外部から任意の時間に故障診断を行うことができる。
また、本実施の形態においては、角速度検出回路が自己診断回路を兼ねる構成について説明したが、当然、角速度検出回路と自己診断回路をそれぞれ独立して設けることは可能である。
また、本実施の形態においては、端子68から故障診断が可能となる信号が出力iとして得られるが、さらに、端子68の後段にこの出力iを判定する回路を角速度センサ内に内蔵させる構成も可能である。
(実施の形態3)
図8は本発明の実施の形態3における角速度センサの音叉型振動子の斜視図である。本実施の形態3において、実施の形態1、2において述べた構成と同一構成部分には同一番号を付して詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
図8において、80a、81a、82a、83aは駆動電極としての上面の電極である。上面の電極80a、82aはそれぞれパッド電極74につながり、上面の電極81a、83aはそれぞれパッド電極75につながっている。
図8において、アーム10aの主面32上の中心線30を境に左側に下面の電極(図示せず)、PZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)と上面の電極80aが設けられ、中心線30を境に右側に略対称に下面の電極(図示せず)、PZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)と上面の電極81aが設けられている。
また、アーム10bの主面33上の中心線31を境に左側に下面の電極(図示せず)、PZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)と上面の電極83aが設けられ、中心線31を境に右側に略対称に下面の電極(図示せず)、PZTからなる膜面に垂直方向に分極処理された圧電膜(図示せず)と上面の電極82aが設けられている。ただし、実施の形態1、2の構成とも異なり、駆動部は音叉型振動子1の対称軸を中心に左右のアーム10a、10bで対称ではなく、アーム10a上の駆動部のY軸方向の位置がアーム10b上の駆動部のY軸方向の位置より、アーム10aのより先端側に配設され、かつ、アーム10a上の駆動部の面積とアーム10b上の駆動部の面積は略同じである。
また、パッド電極74は図4に示す端子51とつながり、パッド電極75は図4に示す端子50とつながっている。ただし、実施の形態1の構成と異なり、図4に示す端子52、53を用いる必要がないため、アンプ46、47も不要となり、回路構成がよりシンプルになる。
以下、本実施の形態の角速度センサにおける通常の角速度検出を行う時の動作について簡略に説明する。
通常の角速度検出を行うモードにおいては、実施の形態1と同様に、端子54に故障診
断を実施するためのチェック信号aが外部から供給されないため、アンプ45の増幅度を変化させるための制御信号が供給されることはない。したがって、上面の電極80a、81a、82a、83aに入力される駆動信号の振幅はすべて同じである。
また、上面の電極80aの駆動信号の位相(プラス)と上面の電極81aの駆動信号の位相(マイナス)とは逆、さらに上面の電極82aの駆動信号の位相(プラス)と上面の電極83aの駆動信号の位相(マイナス)とは逆である。したがって、アーム10aの中心線30を境にアーム10aの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向(外向き)への振動しか起こらない。同様の原理に基づき、アーム10bの中心線31を境にアーム10bの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合い、相殺されてしまうため、X軸方向(外向き)への振動しか起こらない。結果として、実施の形態1と同じように、アーム10a、10bはXY面内のみで安定した音叉振動を行う。これにより、実施の形態1と同様に、Y軸周りに印加された角速度Ωの大きさに応じた出力信号が端子68から出力される。
次に、本実施の形態の角速度センサにおける故障診断を実施する時の動作について説明する。
故障診断を実施するために、実施の形態1と同様に、端子54にチェック信号aが外部から供給されると、アンプ45の増幅度を変化させるための制御信号が供給される。この制御信号により、例えばアンプ45の増幅度が減少させられると、上面の電極81a、83aに印加される駆動信号の振幅は、減少する。この時、AGC回路43の働きにより、アーム10a、10bのX軸方向に音叉振動する振幅が所定値になるように、上面の電極80a、82aに印加される駆動信号の振幅は、増加する。
すなわち、上面の電極80aに印加される駆動信号の位相(プラス)と上面の電極81aに印加される駆動信号の位相(マイナス)が逆のまま、上面の電極80aに印加される駆動信号の振幅が上面の電極81aに印加される駆動信号の振幅より大きくなり、駆動信号の振幅に差が生じる。
したがって、アーム10aの中心線30を境に左側の圧電膜がY軸方向に縮む力が、アーム10aの中心線30を境に右側の圧電膜がY軸方向に伸びる力を超えるため、アーム10aの中心線30を境にアーム10aの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなり、その結果この力は相殺されず、アーム10aをX軸方向(外向き)へ振動させると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動のように、紙面に向かって手前にも曲げようとする力が発生する。同様のことは、アーム10bでも発生している。すなわち、アーム10bの中心線31を境に右側の圧電膜がY軸方向に縮む力が、アーム10bの中心線31を境に左側の圧電膜がY軸方向に伸びる力を超えるため、アーム10bの中心線31を境にアーム10bの左右の部分をZ軸方向に互いに逆に撓ませようとする力が釣り合わなくなり、その結果この力は相殺されず、アーム10bをX軸方向(外向き)へ振動させると同時にあたかも角速度が印加された時のコリオリ力に基づくようなZ軸方向への撓み振動のように、紙面に向かって手前にも曲げようとする力が発生する。但し、実施の形態1、2の場合とそれぞれ異なり、アーム10a、10bともに紙面に向かって手前に曲げる力が発生はするが、アーム10a上の駆動部のY軸方向の位置がアーム10b上の駆動部のY軸方向の位置より、アーム10aのより先端側に配設されているため、アーム10bの方がアーム10aより、より大きく曲がろうとする(すなわち、差分の力が発生する)ため、結果としてこの差分の力に基づきアーム10aは、矢印86(紙面に向かって奥)の方に回転し、アーム10bは、矢印87(紙面に向かって手前に)の方に回転する。
したがって、実施の形態1の場合と同様に、このアーム10a、10bのZ軸方向への振動変位に基づく上面の電極15a、16aに発生する電荷を実際に印加された角速度Ωを検出するための角速度検出回路を用いて、検出部の故障診断を可能とする信号を端子68から出力することができる。
本実施の形態においては、検出部の故障診断のために、振動子上に駆動部と検出部とは別の新たな手段を設けることなしに、シンプルな構成、かつ、小型で高精度な検出部の故障診断が可能である。また、駆動部と検出部が独立に振動子上に設けられているため、駆動部とは兼用でない検出部の独立した故障診断が可能となる信号が出力できる。
また、本実施の形態においては、検出部を両アームに設けた例について説明したが、検出部は少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上に設けられていればよい。
また、本実施の形態においては、1つのアーム上で中心線を境に駆動部をそれぞれ独立させて設けた例について説明したが、少なくとも上部の電極がアーム上の中心線を境に離間されて設けられていればよい。
また、本実施の形態においては、端子54に外部からチェック信号aが供給できる構成になっているため、外部から任意の時間に故障診断を行うことができる。
また、本実施の形態においては、角速度検出回路が自己診断回路を兼ねる構成について説明したが、当然、角速度検出回路と自己診断回路をそれぞれ独立して設けることは可能である。
また、本実施の形態においては、端子68から故障診断が可能となる信号が出力iとして得られるが、さらに、端子68の後段にこの出力iを判定する回路を角速度センサ内に内蔵させる構成も可能である。
また、本実施の形態1、2、3においては、音叉型振動子として非圧電材料からなるシリコンの例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばダイヤモンド、溶融石英、アルミナ、GaAs等を用いることも可能である。また、水晶、LiTaO3
、LiNbO3等の圧電材料を用いることも可能である。
また、本実施の形態1、2、3においては、振動子として音叉型振動子について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば棒状の振動子等、様々な形状のものを用いることも可能である。
本発明の角速度センサは、検出部の故障診断のために、振動子上に駆動部と検出部とは別の新たな手段を設けることなしに、シンプルな構成、かつ、小型で高精度な検出部の故障診断が可能な角速度センサとして有用である。
1 音叉型振動子
2 ICチップ
3 パッケージ
4 蓋
5 チップ部品
6 端子
7 ホルダー
8 ケース
10a、10b アーム
11a、12a、13a、14a、15a、16a 上面の電極
11b、12b、13b、14b 圧電膜
11c、12c、13c、14c 下面の電極
17 モニター電極
18 支持部
19、20、21、22、23、74、75 パッド電極
30、31 中心線
32、33 主面
40、50、51、52、53、54、60、61、68 端子
41、62、63 カレントアンプ
42 全波整流回路
43 AGC回路
44、45、46、47 アンプ
64 差動アンプ
65 位相器
66 同期検波器
67 ローパスフィルタ
70a、71a、72a、73a 上面の電極
76、77 回転する方向を示す矢印
80a、81a、82a、83a 上面の電極
86、87 回転する方向を示す矢印

Claims (3)

  1. 互いに垂直なX軸とY軸とZ軸とで定義される空間において、X軸方向及びZ軸方向に変位するように構成された少なくとも2つのアームとこのアームを連結する少なくとも1つの基部とを有した弾性材料からなる振動子と、この振動子をX軸方向とZ軸方向に励振することが可能なように前記振動子上の少なくとも1つのアームの少なくとも1つの主面上の中心線を境に離間して設けられた2つの電極を有する駆動部と、前記駆動部に前記振動子をX軸方向に励振するための駆動信号を供給するための第1の駆動回路と、前記駆動部に前記振動子をX軸方向とZ軸方向に励振するための駆動信号を供給するための第2の駆動回路と、Z軸方向に振動する前記振動子の撓みを検出するために前記振動子上に設けられた検出部と、前記第1の駆動回路より前記駆動部に駆動信号が供給され、かつ、Y軸周りに角速度が入力された時の前記検出部より出力される信号を増幅し、検波することにより、角速度信号が出力される角速度検出回路と、前記第2の駆動回路より前記駆動部に駆動信号が供給された時の前記検出部より出力される信号を増幅し、検波することにより、前記検出部の故障診断が可能となる信号が出力される自己診断回路とを備えた角速度センサであって、前記検出部の故障診断を行わない場合は、前記駆動部が有する少なくとも2つの電極は、前記第1の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がない駆動信号が印加されるように構成され、前記検出部の故障診断を行う場合は、前記駆動部が有する少なくとも2つの電極は、前記第2の駆動回路より互いに位相が逆で、かつ、振幅に差がある駆動信号が印加されるように構成された角速度センサ。
  2. 前記振動子は非圧電材料からなり、前記駆動部は前記2つの電極と前記振動子との間にそれぞれ圧電膜及び下面の電極を設けた請求項1に記載の角速度センサ。
  3. 前記振動子は圧電材料からなる請求項1に記載の角速度センサ。
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