JP2010106121A - 光硬化性組成物の硬化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光硬化性液状樹脂、(メタ)アクリレートモノマー、光重合開始剤、融点が70〜150℃であるアミド化合物、及びチクソ剤を含有する光硬化性組成物の硬化物の製造方法において、該光硬化性組成物を硬化させた後に、該アミド化合物又は該チクソ剤の融点よりも25℃低い温度以上で熱処理することを特徴とする硬化物の製造方法である。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1には、木工合板、家具、楽器などの木工製品の表面加工用のポリエーテルポリオール系光硬化性樹脂が開示されている。しかし、ポリエーテルポリオールは親水性が高く水蒸気透過性が大きいために水蒸気バリア性が要求されるシール材やガスケット材などへの使用は不適当である。また、特許文献2には、木工塗料用ポリエステルポリオール系光硬化性組成物が開示されている。しかしながら、ポリエステルポリオールは高温高湿環境下ではポリエステル主鎖が加水分解劣化を受けるため、高温高湿環境にさらされるシール材、特にガスケット材などへの使用は不適当である。
ところで、ハードディスクなどの電子部品は、最終検査において、不良品が発生した場合はガスケットなどによりシールされた部品のカバーをはずして不良部品を交換する、いわゆるリワークをする必要がある。このとき、ガスケットなどのシール材がちぎれてしまうとカバーが再使用できなくなってしまう。電子部品の製造工程における製造歩留まりは、約半分を占めており、リワークにおけるガスケットなどのシール材の再利用が大きな課題となっているため、リワーク性を高めるために樹脂組成物の硬化物の粘着性(タッキネス)を低減させること、硬化物に適度な硬度を付与することが望まれている。
ハードディスクなどの電子部品に用いられるガスケットなどの材料として、光硬化性の水添もしくは非水添液状ポリイソプレン又は光硬化性の水添もしくは非水添液状ポリブタジエンの利用が期待されている(例えば、特許文献3〜6)。しかし、リワーク性を高めるために粘着性(タッキネス)を低減させ、かつ適度な硬度を付与するという観点での開発がなされていないのが実情である。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.光硬化性液状樹脂、(メタ)アクリレートモノマー、光重合開始剤、融点が70〜150℃であるアミド化合物、及びチクソ剤を含有する光硬化性組成物の硬化物の製造方法において、該光硬化性組成物を硬化させた後に、該アミド化合物又は該チクソ剤の融点よりも25℃低い温度以上で熱処理することを特徴とする硬化物の製造方法。
2.上記1に記載の製造方法により製造された光硬化性組成物の硬化物。
3.上記2に記載の硬化物からなる電子部品用ガスケット材。
本発明にかかる光硬化性組成物は、光硬化性液状樹脂、(メタ)アクリレートモノマー、光重合開始剤、融点が70〜150℃であるアミド化合物、及びチクソ剤を必須成分として含有する組成物である。まず、光硬化性組成物を構成する各成分について、以下に詳説する。
本発明にかかる光硬化性液状樹脂は、光硬化性不飽和炭化水素基を含有する液状樹脂であれば特に制限はないが、後述する光硬化性液状樹脂の好ましい製造方法により得られる、水添(共)重合体ポリオールの末端に、光硬化性不飽和炭化水素基を導入した樹脂であることが好ましい。ここで、(共)重合体とは、「重合体又は共重合体」のことをいう。
このような光硬化性液状樹脂の好ましい製造方法は、工程(A)飽和炭化水素系溶媒中で、ジリチウム開始剤により共役ジエン系単量体、又は共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル系単量体を重合して、好ましくは重量平均分子量5,000〜40,000及び分子量分布3.0以下の性状を有する共役ジエン系重合体又は共役ジエン/芳香族ビニル系共重合体(以下、単に(共)重合体ということがある。)を製造する工程と、工程(B)前記(共)重合体とアルキレンオキシドとを反応させて、共役ジエン系重合体ポリオール又は共役ジエン/芳香族ビニル系共重合体ポリオール(以下、単に(共)重合体ポリオールということがある。)を製造する工程と、工程(C)前記(共)重合体ポリオールに水素添加反応し、水添共役ジエン系重合体ポリオール又は水添共役ジエン/芳香族ビニル系共重合体ポリオール(以下、単に水添(共)重合体ポリオールということがある。)を製造する工程と、工程(D)前記水添(共)重合体ポリオールと光硬化性不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させる工程とを含むものである。
工程(A)は、飽和炭化水素系溶媒中で、ジリチウム開始剤により共役ジエン系単量体、又は共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル系単量体を重合して、好ましくは重量平均分子量5,000〜40,000及び分子量分布3.0以下の性状を有する(共)重合体を製造する工程である。
また、芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン又はパラメチルスチレンが硬化後のゴム物性の点で好ましい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジリチウム開始剤としては、特に限定されず公知のものを用いることができる。例えば、特許文献4には、モノリチウム化合物を第3級アミンの存在下に、二置換ビニル又はアルケニル基含有芳香族炭化水素と反応させてジリチウム開始剤を製造する方法が記載されている。
また、上記二置換ビニル又はアルケニル基含有芳香族炭化水素としては、例えば、1,3−(ジイソプロペニル)ベンゼン、1,4−(ジイソプロペニル)ベンゼン、1,3−ビス(1−エチルエテニル)ベンゼン、1,4−ビス(1−エチルエテニル)ベンゼンなどが好ましく挙げられる。
本発明にかかる光硬化性組成物のような液状の材料は、ディスペンサー塗布を行う場合が多く、材料粘度のばらつきは、塗布後の寸法のばらつきにつながるので、粘度の安定化は重要である。なお、重量平均分子量が5000以上の場合、分子量分布2以下の狭い(共)重合体を得やすい。また、所望により、ランダマイザーの存在下にアニオン重合をさせてもよい。
工程(B)は、前記工程(A)で得られた(共)重合体とアルキレンオキシドとを反応させて、(共)重合体ポリオールを製造する工程であり、リビングアニオンである重合体末端とアルキレンオキシドとを当量反応させることにより両末端に水酸基を有する(共)重合体ポリオールが得られる工程である。
工程(C)は、前記工程(B)で得られた(共)重合体ポリオールを水素添加反応して、水添(共)重合体ポリオールを製造する工程である。この水素添加反応は、有機溶媒中、水素加圧下で水添触媒の存在下で、(共)重合体ポリオールに水素添加して行われる。
水添触媒は、パラジウム−カーボン、還元ニッケル、ロジウム系などの不均一系触媒:または、ナフテン酸ニッケル、オクタン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物あるいはナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルトなどの有機コバルト化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物もしくはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムのような有機リチウム化合物を組み合せた均一触媒が使用できる。共触媒として、テトラハイドロフラン、エチレグリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル化合物を用いてもよい。
かかる遷移金属化合物としては、トリス(アセチルアセトナート)コバルト、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル 、トリス(アセチルアセトナート)鉄、トリス(アセチルアセトナート)クロム、トリス(アセチルアセトナート)マンガン、ビス(アセチルアセトナート)マンガン、トリス(アセチルアセトナート)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナート)コバルト、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロチタン、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム、ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジクロライド、ビス(2−ヘキサノエート)ニッケル 、ビス(2−ヘキサノエート)コバルト、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラエトキシドなどが挙げられる。これらのなかでも、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、トリス(アセチルアセトナート)コバルトが高い水添活性の面から好ましい。
また、チーグラー系水添触媒に用いられるアルキルアルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキクロリドなどが挙げられる。これらのなかでも、トリイソブチルアルミニウム 、トリエチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドが水添活性の面から好ましく、トリイソブチルアルミニウムが最も好ましい。
工程(D)は、前記水添(共)重合体ポリオールと光硬化性不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させる工程であり、水添(共)重合体ポリオールの末端に光硬化性不飽和炭化水素基を導入した光硬化性液状樹脂が得られる工程である。
上記の本発明に係る水添(共)重合体ポリオールに、光硬化性不飽和炭化水素基含有化合物を反応させて、該水添(共)重合体ポリオールの末端に光硬化性不飽和炭化水素基を導入するためには、光硬化性不飽和炭化水素基がアクリロイル基又はメタクリロイル基であることが好ましい。ここで、光硬化性不飽和炭化水素基含有化合物としては、アクリロイルイソシアネートやメタクリロイルイソシアネートが好ましく、これらとの反応により、上記の水添(共)重合体ポリオールは(メタ)アクリレート化される。
アクリロイルイソシアネートとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられ、メタクリロイルイソシアネートとしては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーは、硬化前の光硬化性組成物の粘度を低減するばかりでなく、該組成物の硬化物の諸物性も改良するものである。すなわち、接着強度の向上、硬度の低減化、Eb(伸び)及びTb(破断強度)の向上などを図ることができる。この(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子量が1,000未満のものが好ましく、150〜600のものがより好ましい。
これらのうち、本発明においては、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート及びイソボルニルアクリレートが好ましい。
光重合開始剤としては、分子内開裂型として、ベンゾイン誘導体類、ベンジルケタール類[例えば、「イルガキュア651(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]、α−ヒドロキシアセトフェノン類[例えば、「ダロキュア1173(商品名)」、「イルガキュア184(商品名)」、「イルガキュア127(商品名)」:いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]、α−アミノアセトフェノン類[例えば、「イルガキュア907(商品名)」、「イルガキュア369(商品名)」:いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]、α−アミノアセトフェノン類とチオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)との併用、アシルホスフィンオキサイド類[例えば、「イルガキュア819(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]などが挙げられ、水素引き抜き型として、ベンゾフェノン類とアミンの併用、チオキサントンとアミンの併用などが挙げられる。また、分子内開裂型と水素引き抜き型を併用してもよい。なかでもオリゴマー化したα−ヒドロキシアセトフェノン及びアクリレート化したベンゾフェノン類が好ましい。より具体的には、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン][例えば、「ESACURE KIP150(商品名)」など:Lamberti S.p.A製]、アクリル化ベンゾフェノン[例えば、「Ebecryl P136(商品名)」など:ダイセル・ユー・シー・ビー(株)製]、イミドアクリレートなどが挙げられる。
融点が70〜150℃であるアミド化合物は、光硬化性組成物を硬化する際にブリードすることで、本発明にかかる光硬化性組成物の硬化物の粘着性(タッキネス)を低減するものである。本願発明において、融点が70℃未満であると、硬化物の使用温度域において溶融ブリードしてしまい、べとつきが生じてしまう場合があり、150℃よりも高いと、配合の際に、該アミド化合物の分散のために高温をかける必要が生じ、硬化する際にブリードさせるために高温をかける必要があるため、ポリマーへの熱による物性への影響(熱劣化)が懸念される場合があるため、融点70〜150℃のアミド化合物を採用するものである。
融点が70〜150℃であるアミド化合物としては、例えば炭素数4〜25の飽和又は不飽和のアミド化合物などから選ぶことができ、具体的には、酪酸アミド(融点:115℃)、イソ酪酸アミド(融点:128℃)、バレルアミド(融点:105℃)、ヘキサンアミド(融点:100℃)、オクタンアミド(融点:105℃)、デカンアミド(融点:98℃)、ラウリン酸アミド(融点:99℃)、パルミチン酸アミド(融点:106℃)、オレイン酸アミド(融点:70℃)、ステアリン酸アミド(融点:100℃)、エルカ酸アミド(融点:80℃)、ベヘン酸アミド(融点:111℃)などが挙げられる。なかでも、光硬化性組成物の一般的な熱処理温度(60〜100℃程度)や光硬化性組成物の耐熱性を考慮すると、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミドが好ましい。
本発明にかかる光硬化性組成物は、リワーク性を向上させる観点から、チクソ剤を含有することを要する。チクソ剤としては、無機チクソ剤や有機チクソ剤が挙げられ、無機チクソ剤としては無機充填剤が好ましく挙げられ、有機チクソ剤としては有機増粘剤が好ましく挙げられる。
無機充填剤としては、シリカ(SiO2)、アルミナ、チタニア及び粘度鉱物などが挙げられ、なかでもシリカ粉末、疎水処理したシリカ粉末又はこれらの混合物が好ましい。より具体的には、乾式法により微粉化したシリカ微粉末[例えば、「アエロジル300(商品名)」:日本アエロジル(株)製]、このシリカ微粉末をトリメチルジシラザンで変性した微粉末[例えば、「アエロジルRX300(商品名)」:日本アエロジル(株)製]及び上記シリカ微粉末をポリジメチルシロキサンで変性した微粉末[例えば、「アエロジルRY300(商品名)」:日本アエロジル(株)製]などが挙げられる。
無機充填剤の平均粒径は、増粘性、チクソトロピーの付与の観点から、5〜50μmが好ましく、5〜12μmがより好ましい。
本発明の光硬化性組成物に配合される無機充填剤量は、光硬化性液状樹脂及び(メタ)アクリレートモノマーの合計100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜7質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。
本発明の光硬化性組成物に配合される有機増粘剤量は、光硬化性液状樹脂及び(メタ)アクリレートモノマーの合計100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜7質量部、さらに好ましくは1〜5質量部である。なお、無機充填剤、及び有機増粘剤は、上記のなかから1種あるいは2種以上を選択して使用することができ、無機充填剤と有機増粘剤との併用をすることもできるが、有機増粘剤が好ましく用いられる。
本発明にかかる光硬化性組成物においては、上記(メタ)アクリレートモノマーに加えて、又はその代替として、末端(メタ)アクリレートオリゴマーを配合することができる。この末端(メタ)アクリレートオリゴマーを配合することにより、光硬化性組成物の粘度を調節することができ、また、物理的には、硬度の低下、Eb(伸び)及びTb(破断強度)の向上などを図ることができる。なお、末端(メタ)アクリレートオリゴマーとは、片末端又は両末端にアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するオリゴマーをいう。末端(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、透湿性、耐候性及び耐熱性の点から、炭化水素系のオリゴマー、すなわち、水添オリゴマー、末端(メタ)アクリレート水添オリゴマーが好ましい。末端(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、好ましくは5,000〜40,000である。重量平均分子量がこの範囲であると、液体原料として取扱いが容易であり、かつ硬化物が低硬度であるという利点がある。
本発明にかかる光硬化性組成物に配合される末端(メタ)アクリレートオリゴマー量は、光硬化性液状樹脂及び(メタ)アクリレートモノマーの合計100質量部に対し、30〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは40〜90質量部である。なお、所望により、(メタ)アクリレートモノマーと末端(メタ)アクリレートオリゴマーを相互に置換してもよい。
本発明の光硬化性組成物に配合される安定化剤量は、光硬化性液状樹脂及び(メタ)アクリレートモノマーの合計100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量部、さらに好ましくは0.5〜2質量部である。
本発明の光硬化性組成物の硬化物は、上記の光硬化性液状樹脂、(メタ)アクリレートモノマー、光重合開始剤、融点が70〜150℃であるアミド化合物、及びチクソ剤を含有する光硬化性組成物を硬化させた後に、該アミド化合物の融点よりも25℃低い温度(アミド化合物の融点−25℃)以上の温度で熱処理することにより製造される。
熱処理時間は、熱処理の温度によって異なるので一概にはいえないが、30分〜12時間程度であり、1〜10時間が好ましく、1〜5時間がより好ましい。
また、上記硬化物の透湿度が40g/m2・24h以下であると、ガスケットなどのシール材としての機能が十分に発揮されるので好ましい。特に好ましくは15g/m2・24h以下である。
被着体としては、例えば、硬質樹脂からなるものも使用することができるが、加工性などの観点から金属製のものが好ましい。金属としては特に制限はなく、例えば、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、マグネシウム板、マグネシウム合金板などのなかから、適宜選択して用いることができる。また、マグネシウムを射出成形したものも用いることができる。耐食性の点から、無電解ニッケルめっき処理を施した金属が好適である。この無電解ニッケルめっき処理方法としては、従来金属素材に適用されている公知の方法、例えば硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、乳酸、プロピオン酸などを適当な割合で含有するpH4.0〜5.0程度で、かつ温度85〜95℃程度の水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴中に、金属板を浸漬する方法などを用いることができる。
なお、重量平均分子量、分子量分布、透湿度、硬度及び耐熱性は、下記の方法に従って測定した。
(1)重量平均分子量及び分子量分布
GPC法(Gel Permeation Chromatography)を用い、ポリスチレン換算により、製造例で得られた(共)重合体ポリオールの重量平均分子量、及び分子量分布を得た。
(2)硬度
JIS K6253:2006に準拠し、タイプAデュロメータにより硬化物の硬度を測定した。試験体として厚さが約1mmのシート6枚を積層した厚さが約6mmのものを用いた。
(3)粘着性(タッキネス)
厚さ約1mmの硬化後の光硬化性組成物のシートを作製し、タックメーターによりタキネスを測定し、下記の基準で評価を行った。測定したタッキネス(単位gf)を、下記の基準で評価した。なお、タッキネスが小さいほど、粘着性が低減するので、リワーク性が向上することを示す。
○ タッキネス≦200
△ 200<タッキネス≦400
× 400<タッキネス
充分に脱水精製したシクロヘキサン溶媒中に、1,3−(ジイソプロペニル)ベンゼン1モルを添加した後、トリエチルアミン2モル、sec−ブチルリチウム2モルを順次添加し、50℃で2時間撹拌して、ジリチウム重合開始剤を調製した。
アルゴン置換した7リットルの重合リアクターに、脱水精製したシクロヘキサン1.90kg、22.9質量%の1,3−ブタジエンモノマーのヘキサン溶液を2.00kg、20.0質量%のスチレンモノマーのシクロヘキサン溶液を0.765kg、1.6モル/リットルの2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンのヘキサン溶液を130.4ml添加した後、0.5モル/リットルのジリチウム重合開始剤を108.0ml添加して重合を開始させた。
重合リアクターを50℃に昇温しながら、1.5時間重合を行った後、1モル/リットルのエチレンオキシドのシクロヘキサン溶液を108.0ml添加し、さらに2時間撹拌した後、50mlのイソプロピルアルコールを添加した。共重合体のヘキサン溶液をイソプロピルアルコール中に沈殿させ、十分に乾燥させて共重合体ポリオールを得た。この共重合体ポリオールは両末端OH基スチレン−ブタジエン共重合体であり、スチレン分は25質量%であり、重量平均分子量は14,500、分子量分布は1.20であった。
十分に乾燥した水添共重合体ポリオール100gを、それぞれ、シクロヘキサンに溶解させ、40℃に保ち十分に撹拌しながら2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(「カレンズAOI(商品名)」:昭和電工(株)製)をゆっくり滴下した後、さらに4時間撹拌を行い、イソプロピルアルコールに沈殿させ乾燥させた。2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの添加量は、2.49gであった。以上のようにして、水添重合体ポリオールから光硬化性液状樹脂であるアクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体を得た。
上記製造例で得られた光硬化性液状樹脂を用い、第1表に示す配合処方により、プラネタリーミキサーにて80〜100℃の温度範囲で混練し、実施例1〜8及び比較例1〜3の光硬化性組成物を得た。得られた光硬化性組成物を用いて、上記の測定方法に規定した形状に製膜し、これに活性エネルギー線を照射して硬化した後、第1表に示す温度で1時間の熱処理を行って硬化物を得た。活性エネルギー線の光源には、メタルハライドランプを使用し、空気雰囲気下で照度約160mW/cm2(波長320〜390nm)、積算光量約9,000mJ/cm2の条件で、紫外線の照射を行った。得られた硬化物について、上記の方法で硬度、粘着性、及び粒の残留を評価した。結果を第1表に示す。
*1,製造例により得られたアクリロイル基含有水添スチレン−ブタジエン共重合体
*2,イソボルニルアクリレート、「IBXA(商品名)」:大阪有機化学工業(株)
*3,「イルガキュア369(商品名)」:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
*4,「P−10(商品名)」:日本油脂(株)製
*5,「S−10(商品名)」:日本油脂(株)製
*6,水添ひまし油、「レオシン(商品名)」:ウェルバーエリス(株)製,融点:82〜90℃
*7,「A−S−A T1800(商品名)」:伊藤製油(株)製,融点:120℃
Claims (16)
- 光硬化性液状樹脂、(メタ)アクリレートモノマー、光重合開始剤、融点が70〜150℃であるアミド化合物、及びチクソ剤を含有する光硬化性組成物の硬化物の製造方法において、該光硬化性組成物を硬化させた後に、該アミド化合物又は該チクソ剤の融点よりも25℃低い温度以上で熱処理することを特徴とする硬化物の製造方法。
- 前記熱処理の温度が、該アミド化合物及び該チクソ剤の融点よりも25℃低い温度以上である請求項1に記載の硬化物の製造方法。
- 前記熱処理の温度が、前記アミド化合物の融点以上である請求項1に記載の硬化物の製造方法。
- 前記光硬化性液状樹脂が、水添(共)重合体ポリオールの末端に、光硬化性不飽和炭化水素基を導入したものである請求項1〜3のいずれかに記載の硬化物の製造方法。
- 前記水添(共)重合体ポリオールが、共役ジエン系単量体、又は共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル系単量体が重合してなる(共)重合体とアルキレンオキシドとを反応させて得られた(共)重合体ポリオールに水素添加反応して得られるものである請求項4に記載の硬化物の製造方法。
- 前記(共)重合体が、ジリチウム開始剤の存在下で重合したものである請求項5に記載の硬化物の製造方法。
- 前記共役ジエン系単量体が、1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンである請求項5又は6に記載の硬化物の製造方法。
- 前記芳香族ビニル系単量体が、スチレン、α−メチルスチレン及び/又はパラメチルスチレンである請求項5〜7のいずれかに記載の硬化物の製造方法。
- 前記光硬化性不飽和炭化水素基が、アクリロイル基又はメタクリロイル基である請求項4〜8のいずれかに記載の硬化物の製造方法。
- 前記アミド化合物が、エルカ酸アミド又はステアリン酸アミドである請求項1〜9のいずれかに記載の硬化物の製造方法。
- 光硬化性組成物中のアミド化合物の含有量が0.25〜8質量%である請求項1〜10のいずれかに記載の硬化物の製造方法。
- 光硬化性組成物中のアミド化合物とチクソ剤との合計含有量が1〜20質量%である請求項1〜11のいずれかに記載の硬化物の製造方法。
- 前記チクソ剤が、有機チクソ剤である請求項1〜12のいずれかに記載の硬化物の製造方法。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法により製造された光硬化性組成物の硬化物。
- 前記硬化物の硬度(JIS K6253:2006に準拠)が60°以下である請求項14に記載の硬化物。
- 請求項14又は15に記載の硬化物からなる電子部品用ガスケット材。
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