JP5695100B2 - 光硬化性エラストマー組成物、ハードディスクドライブ用ガスケットおよびハードディスクドライブ - Google Patents

光硬化性エラストマー組成物、ハードディスクドライブ用ガスケットおよびハードディスクドライブ Download PDF

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本発明は、光硬化性エラストマー組成物、ハードディスクドライブ用ガスケットおよびハードディスクドライブに関するものである。
近年、コンピュータおよび録画機器等に用いられるハードディスクドライブ(以下、単に「HDD」ということがある。)には、防塵および水蒸気の侵入防止のために、ガスケットが用いられている。
ガスケットにおいて、水蒸気のバリア性(以下、単に「バリア性」ともいう。)を向上させるためには、ガスケットを硬くすることが最も容易な手法であるが、ガスケットは、接着または封止する対象の部材により圧縮されて使用されるため、耐久の観点から、柔軟性も必要となる。
紫外線硬化性のガスケット用材料としては、エポキシアクリレートおよびウレタンアクリレート等が挙げられる(例えば、特許文献1〜3)。
特開2010−260918号公報 特開2009−43295号公報 特開2009−221329号公報
しかしながら、エポキシアクリレートは、硬いためバリア性は良いが、柔軟性の点で改良の余地がある。また、ウレタンアクリレートは、柔軟性が良好なものもあるが、バリア性の点でさらなる改良の余地がある。
さらに、HDD用ガスケットにおいては、被着体(被着材ともいう。)同士を封止した後に被着体の接着を解除(剥離)し、その後同一のHDD用ガスケットを用いて再度被着体同士を封止することができる性質、いわゆるリワーク性も要求される。
本発明者らによれば、圧縮永久歪が大きい(悪い)と、接着を解除して同一のHDD用ガスケットを用いて再度接着するときに、接着または封止が不十分となり、十分なリワーク性を得られない場合があることが分かった。そのため、十分なリワーク性を確保するために、小さな(良好な)圧縮永久歪が必要である。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、光硬化性エラストマー組成物を硬化させたときに、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、圧縮永久歪が小さい光硬化性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、圧縮永久歪が小さいハードディスクドライブ用ガスケットを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、耐久性およびバリア性に優れ、かつ、圧縮永久歪が小さいことにより十分なリワーク性を有するハードディスクドライブを提供することを目的とする。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、(A)ポリイソプレン水添物、ポリブタジエン水添物、スチレン−ブタジエン共重合体水添物、および、エチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する単位を分子中に80%以上含む液状ポリマーと、(B)(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、および、マレイミド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を1分子中に2個以上有するポリマーと、(C)(メタ)アクリレートモノマーと、(D)光重合開始剤と、を含み、前記(A)成分と前記(B)成分の質量比率((A):(B))が、25:75〜75:25であり、かつ、前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の3成分の総量に対して、50質量%以下である、ことを特徴とする。
(A)成分である上記特定の液状ポリマーが、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の硬化物に優れた柔軟性とバリア性を付与し得る。
また、前記(A)成分と前記(B)成分の質量比率((A):(B))が、25:75〜75:25であることにより、当該光硬化性エラストマー組成物を硬化させたときに、優れた柔軟性とバリア性を確保しながら、小さい圧縮永久歪が得られる。
さらに、前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の3成分の総量に対して、50質量%以下であることにより、当該光硬化性エラストマー組成物を硬化させたときに、優れた成形性、および柔軟性を両立し得る。
本明細書において、「光硬化性」および「光重合」の「光」は、紫外線;可視光線;ならびにα線、β線、電子線、等の荷電粒子線、γ線等の電磁波、および高エネルギー粒子を含む電離放射線;を含み、特に紫外線が好ましく挙げられる。
本明細書において、「数平均分子量」は、特に断らない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される標準ポリスチレン換算の値で表される数平均分子量を意味する。
本明細書において、「ポリイソプレン水添物に由来する単位」とは、下式(I)、(II)または(III)で表される、ポリイソプレンの水添物を構成する単位を指す。
Figure 0005695100
本明細書において、「ポリブタジエン水添物に由来する単位」とは、下式(IV)または(V)で表される、ポリブタジエンの水添物を構成する単位を指す。
Figure 0005695100
本明細書において、「スチレン−ブタジエン共重合体水添物に由来する単位」とは、下式(VI)で表されるスチレン単位および上式(IV)で表されるポリブタジエン水添物を構成する単位のみによって構成され、これらがそれぞれ少なくとも1つ以上結合した単位を指す。
Figure 0005695100
本明細書において、「エチレン−プロピレン共重合体に由来する単位」とは、下式(VII)で表されるエチレン単位および下式(VIII)で表されるプロピレン単位のみによって構成され、これらがそれぞれ少なくとも1つ以上結合した単位を指す。
Figure 0005695100
本明細書において、(A)成分の液状ポリマーにおけるポリイソプレン水添物、ポリブタジエン水添物、スチレン−ブタジエン共重合体水添物、および、エチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する単位の割合、ならびに、(B)成分のポリマーにおけるポリイソプレン、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン共重合体、および、これらの水添物、ならびに、エチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する単位の割合は、NMRのピーク比を用いて求めることができる。
本明細書において、「液状」は、成形する温度、例えば室温(25℃)において、流動性を有することを意味する。
本明細書において、(メタ)アクリル基とは、アクリル基およびメタクリル基のうち少なくとも1種を意味する。また、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートのうち少なくとも1種を意味する。
本明細書において、アクリル基は(CH=CH−CO−)を意味し、メタクリル基は、(CH=C(CH)−CO−)を意味し、ビニル基は、(CH=CH−)を意味する。
本明細書において、「マレイミド基」とは、下式(IX)で表される一価の官能基を指す。
Figure 0005695100
本明細書において、ガスケットは、シール材、封止材、密封材またはパッキンと同義とする。また、本明細書において、ガスケットは、特に断りのない限り、固定用シール(静止用シール)と運動用シールの両方を含むものとする。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(B)成分が、ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびスチレン−ブタジエン共重合体、および、これらの水添物、ならびに、エチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する単位を分子中に80%以上含むポリマーであることが好ましい。斯かる(B)成分を用いることにより、光硬化性エラストマー組成物の硬化物について、さらに小さい圧縮永久歪が得られ、バリア性もより良好となる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物では、前記(C)成分が、炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、および、ジシクロペンタジエンから誘導される(メタ)アクリレート、からなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリレートであることが好ましい。斯かる(C)成分を用いることにより、より高い柔軟性およびバリア性を得ることが可能となる。また、相溶性と強靭性にも優れる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、(E)成分として、無機充填剤および有機充填剤から選択される少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。斯かる(E)成分を用いることにより、光硬化性エラストマー組成物に擬塑性が付与され、光硬化性エラストマー組成物の成形性が高まる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(E)成分が、フュームドシリカであることが好ましい。(E)成分として、フュームドシリカを用いることにより、優れた擬塑性をもたらすという利点がある。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、ハードディスクドライブ用ガスケット用として好適に用いられる。
本発明に係るハードディスクドライブ用ガスケットは、上記光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする。本発明に係るハードディスクドライブ用ガスケットは、上記光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことにより、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、圧縮永久歪が小さい。
本発明に係るハードディスクドライブは、上記ハードディスクドライブ用ガスケットを少なくとも一部に有することを特徴とする。本発明に係るハードディスクドライブは、上記ハードディスクドライブ用ガスケットを少なくとも一部に有することにより、耐久性およびバリア性に優れ、かつ、十分なリワーク性を有する。
本発明によれば、光硬化性エラストマー組成物を硬化させたときに、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、圧縮永久歪の小さい光硬化性エラストマー組成物を提供することができる。また、本発明によれば、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、圧縮永久歪が小さいハードディスクドライブ用ガスケットを提供することができる。さらに、本発明によれば、耐久性およびバリア性に優れ、かつ、十分なリワーク性を有するハードディスクドライブを提供することができる。
(光硬化性エラストマー組成物)
以下、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の好適な実施形態の一例を詳細に説明する。本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、(A)ポリイソプレン水添物、ポリブタジエン水添物、スチレン−ブタジエン共重合体水添物、および、エチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する単位を分子中に80%以上含む液状ポリマーと、(B)(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、および、マレイミド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を1分子中に2個以上有するポリマーと、(C)(メタ)アクリレートモノマーと、(D)光重合開始剤と、を含み、前記(A)成分と前記(B)成分の質量比率((A):(B))が、25:75〜75:25であり、かつ、前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の3成分の総量に対して、50質量%以下である、ことを特徴とする。
(A)成分である上記特定の液状ポリマーが、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の硬化物に優れた柔軟性とバリア性を付与し得る。
また、前記(A)成分と前記(B)成分の質量比率((A):(B))が、25:75〜75:25であることにより、当該光硬化性エラストマー組成物を硬化させたときに、優れた柔軟性とバリア性を確保しながら、小さい圧縮永久歪が得られる。
さらに、前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の3成分の総量に対して、50質量%以下であることにより、当該光硬化性エラストマー組成物を硬化させたときに、優れた成形性、および柔軟性を両立し得る。以下、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の(A)〜(C)成分および適宜含まれていてもよいその他の成分について説明する。
<(A)成分>
(A)成分は、ポリイソプレン水添物、ポリブタジエン水添物、スチレン−ブタジエン共重合体水添物、および、エチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する単位を分子中に80%以上含む液状ポリマーである。
(A)成分の分子中には、上記単位以外に、(A)成分の合成の際に用いられる変性剤等の成分が含まれていてもよい。(A)成分は、上記単位の量が80%以上であることにより、光硬化性エラストマー組成物を硬化させたときに、優れた柔軟性およびバリア性が発揮されやすくなる。
(A)成分は、ポリイソプレン水添物、ポリブタジエン水添物、スチレン−ブタジエン共重合体水添物、および、エチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する単位を分子中に80%以上含むため、通常、非反応性(非架橋性)の液状ポリマーである。当該(A)成分には(メタ)アクリル基等の反応性官能基が含まれないことが好ましいが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、(A)成分には、(メタ)アクリル基等の反応性官能基が含まれていてもよい。
上述したように(A)成分は、液状である。(A)成分が固体である場合、他の成分との混合が困難となる。
(A)成分の数平均分子量は、上記バリア性を発揮し得る範囲であれば特に制限はないが、光硬化性エラストマー組成物の粘度が適度で生産性が高まる観点では、50,000以下が好ましく、また、光硬化性エラストマー組成物の硬化物における硬化物表面への(A)成分のブリードアウト(移行)を抑制する観点からは、(A)成分の数平均分子量は、20,000以上が好ましいことから、20,000〜50,000がより好ましい。(A)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような(A)成分の市販品としては、例えば、株式会社三井化学製の商品名ルーカント(登録商標)HC−3000X(エチレン−プロピレン共重合体、数平均分子量3,000)、アルケマ社製の商品名KRASOL(登録商標)HLBH−P2000(ポリブタジエン水添物、数平均分子量2,000)およびHLBH−P3000(ポリブタジエン水添物、数平均分子量3,000)等が挙げられる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物では、(A)成分と後述する(B)成分の質量比率((A):(B))が、25:75〜75:25である。これにより、光硬化性エラストマー組成物を硬化させたときに、優れた柔軟性とバリア性を確保しながら、小さい圧縮永久歪が得られる。
(A)成分が炭化水素系の骨格による疎水性と、嵩高い(バルキーな)骨格とを有することにより、アモルファス性と排除体積の増大を両立し、水蒸気の拡散速度の低下による優れたバリア性を発揮する(ただし、(A)成分のみが独立して存在する場合に応力により流動して永久歪として残りやすいという性質がある)。一方、(B)成分が架橋により、応力を除荷した際に(B)成分自身のエントロピー弾性に従って形状を一定程度まで復元することにより、小さい圧縮永久歪を発揮する。そして、この(A)成分と(B)成分の質量比率が上記特定範囲であることにより、架橋密度と架橋の不均一性とが適度となる((B)成分の架橋構造の隙間に、(A)成分が取り込まれても、(A)成分が(B)成分のエントロピー弾性による復元に悪影響を及ぼさない)ことにより、優れた柔軟性とバリア性を確保しながら、小さい圧縮永久歪が得られる。
上記質量比率((A):(B))は、小さい圧縮永久歪を得る観点から、25:75〜50:50であることがより好ましい。
<(B)成分>
(B)成分は、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、および、マレイミド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を1分子中に2個以上有するポリマーである。(B)成分は、光硬化性エラストマー組成物の硬化物が圧縮永久歪を低減するのに寄与する。
(B)成分は、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、および、マレイミド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を1分子中に2個以上有する。反応性官能基がこれらであることにより、紫外線をはじめとする光活性が良好となるという利点がある。また、これらの反応性官能基を1分子中に2個以上有することにより、三次元架橋を形成し、圧縮永久歪みが小さくなるという利点がある。(B)成分の1分子中の反応性官能基の数は、2個以上であるが、2〜6個がより好ましい。
(B)成分の数平均分子量は、3,000以上20,000以下であることがより好ましい。この範囲であることにより、光硬化性エラストマー組成物の硬化物の硬度を適正に保ち、光硬化性エラストマー組成物の粘度を低く保つことができ、生産性が高まる。
(B)成分としては、例えば、株式会社クラレ製の商品名UC−102(メタクリル変性ポリイソプレン、数平均分子量17,000、側鎖に反応性官能基を2個有する)、UC−203(メタクリル変性ポリイソプレン、数平均分子量35,000、側鎖に反応性官能基を3個有する)、アルケマ社製の商品名CN−307(アクリル変性ポリブタジエン、数平均分子量3500、反応性官能基を2個有する)等が挙げられる。(B)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(B)成分が、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)およびスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、および、これらの水添物、ならびに、エチレン−プロピレン共重合体(EP)からなる群より選択される少なくとも1種に由来する単位を分子中に80%以上含むポリマーであることが好ましい。すなわち、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(B)成分が、ポリイソプレン、ポリイソプレン水添物、ポリブタジエン、ポリブタジエン水添物、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体水添物、またはエチレン−プロピレン共重合体に由来する単位を分子中に80%以上含むポリマーであることが好ましい。斯かる(B)成分を用いることにより、光硬化性エラストマー組成物の硬化物について、さらに小さい圧縮永久歪が得られ、バリア性もより良好となる。
この場合、(B)成分は、上記単位を分子中に80%以上含むポリマーであればよく、(B)成分の合成の際に用いられる変性剤等の成分が含まれていてもよく、末端が変性されたポリマーおよび上記単位以外の単位または繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ブロック共重合体)であってもよい。
このような(B)成分としては、例えば、株式会社クラレ製の商品名UC−102、UC−203、アルケマ社製の商品名CN−307等が挙げられる。
さらに、これらの中でも(B)成分が、水添物ではない(炭素−炭素不飽和結合を有する)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、および、エチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する単位を分子中に80%以上含むポリマーであることが好ましい。このような水添物ではないポリマーは、安価、入手が容易、低粘度、さらに合成プロセスを短縮可能という利点を有する。
このような炭素−炭素不飽和結合を有する(B)成分としては、例えば、株式会社クラレ製の商品名UC−102、UC−203、アルケマ社製の商品名CN−307等が挙げられる。
(B)成分の含有量は、上述した(A)成分との質量比率の範囲内で、用途、使用状態、要求される性能等に応じて適宜調節すればよい。
<(C)成分>
(C)成分の(メタ)アクリレートモノマーは、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物に光硬化性(成形性)を付与する働きに加え、粘度を調節する働きも有する。(C)成分としては、従来公知の光硬化性組成物に用いられている(メタ)アクリレートモノマーを用いることができる。(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(C)成分の(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリル基を1個以上有するモノマーであればよく、相溶性、柔軟性、強靭性およびバリア性をバランスよく向上させる観点から、(メタ)アクリル基を1個のみ有することがより好ましい。(C)成分の(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の用途、使用状態、要求される性能等に応じて適宜選択すればよいが、1,000未満であることが好ましい。これにより本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の粘度を低減する効果が高まる。
分子量が1000未満の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。この他、例えば、特許文献1〜3に記載の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(C)成分が、炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、および、ジシクロペンタジエンから誘導される(メタ)アクリレート、からなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリレートであることが好ましい。これにより、より高い柔軟性およびバリア性を得ることが可能となる。また、相溶性と強靭性にも優れる。
炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレートの炭素数は、6〜24がより好ましい。前記炭素数が5以下であると、極性が高くなり相分離を起こすおそれがあり、またバリア性が低下するおそれがあるからである。
炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレートの炭化水素部分は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
ジシクロペンタジエンから誘導される(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光硬化性エラストマー組成物における(C)成分の含有量は、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の3成分の総量に対して、50質量%以下であればよく、40質量%以下であることがより好ましい。前記(C)成分の含有量が50質量%を超えると、過度に硬度が高くなってシール性が悪化するおそれがあり、また圧縮永久歪が悪化するおそれがあるためである。また、(C)成分の含有量は、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の3成分の総量に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。前記(C)成分の含有量が1質量%未満であると、粘度が高すぎてディスペンスの際の十分な加工性が得られないおそれがあるためである。なお、前記(C)成分の含有量は、上記範囲内で用途、使用状態、要求される性能等に応じて適宜調節すればよい。
<(D)成分>
(D)成分の光重合開始剤は、光硬化性成分(例えば、上記(A)〜(C)成分)の光重合または硬化を開始ないし促進する働きを有する。
光重合開始剤としては、例えば、特許文献1〜3に記載のものなど、従来公知の光硬化性組成物に用いられているものを適宜選択して用いることができる。
(D)成分としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル系光重合開始剤;2,2−ジエトキシアセトフェノン、4’−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系光重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−ドデシル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアルキルフェノン系光重合開始剤;2−エチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン等のアントラキノン系光重合開始剤;アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等の分子内開裂型の光重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアントラキノン系光重合開始剤および2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン系光重合開始剤が好ましい。
(D)成分としては、この他、ベンゾフェノン/アミン系光重合開始剤、ミヒラーケトン/ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン/アミン系光重合開始剤等の水素引き抜き型の光重合開始剤を挙げることができる。
光重合開始剤のなかでも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製の商品名Irgacure(登録商標)184)が特に好ましい。
(D)成分の光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、光硬化性エラストマー組成物中の光硬化性成分の種類、含有量等に応じて適宜調節すればよい。光重合開始剤の含有量は、例えば、当該光硬化性成分(例えば、上記(A)〜(C)成分)の合計量100質量部に対して、通常、0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜3質量部である。また、上記光重合開始剤と共に、公知の光増感剤を併用してもよい。
前記光重合開始剤の含有量が0.1質量部未満であると、光重合の開始に寄与する効果が小さく、10質量部を超えると、深部硬化性の悪化のおそれ及び該開始剤が完全に溶解しないおそれがある上、コスト高になるためである。
<任意成分>
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて、(E)成分(無機充填剤、有機系チクソ性付与剤(揺変剤));カップリング剤;酸化防止剤(老化防止剤);光安定剤;カルボジイミド類(耐湿熱老防剤);ステアリン酸等の脂肪酸(滑剤);ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩(滑剤);ステアリン酸アマイド等の脂肪酸アミド(増稠剤);脂肪酸エステル(可塑剤);ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス等の内部離型剤;プロセスオイル等の軟化剤;着色剤;レベリング剤;溶媒;等を含有させることができる。
カップリング剤、酸化防止剤(老化防止剤)および光安定剤は、例えば、特許文献1〜2に記載のものが挙げられる。
以下、(E)成分について詳細に説明する。
<(E)成分>
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、(E)成分として、無機充填剤および有機充填剤から選択される少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。斯かる(E)成分を用いることにより、光硬化性エラストマー組成物に擬塑性が付与され、光硬化性エラストマー組成物の成形性が高まる。
無機充填剤としては、シリカ(SiO)、アルミナおよびチタニアおよびこれらの複合酸化物、層状酸化物;ならびに粘土鉱物等が挙げられる。これらの中でも、シリカがより好ましい。より具体的には、乾式法により微粉化したシリカ微粉末(例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル300)等が挙げられる。本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記無機充填剤が、フュームドシリカであることが好ましい。フュームドシリカを用いることにより、優れた擬塑性をもたらすという利点がある。フュームドシリカとしては、例えば、旭化成ワッカーシリコーン社製の商品名HDK N20等が挙げられる。
無機充填剤の平均粒径は、増粘性、擬塑性を付与する観点から、5〜50μmがより好ましく、5〜12μmがさらに好ましい。なお、無機充填材の平均粒径は、例えば、BET吸着またはSEMなどの方法により求めることができる。光硬化性エラストマー組成物が無機充填剤を含有する場合、その含有量は、適宜調節すればよく、光硬化性エラストマー組成物の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜15質量部である。
有機系充填剤(有機系チクソ性付与剤)としては、従来公知のものを用いてよく、例えば、水添ひまし油、アマイドワックスまたはこれらの混合物が挙げられる。具体例としては、特開2012−72204号公報に記載のものを挙げることができる。
<光硬化性エラストマー組成物の粘度>
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、温度50℃、剪断速度1.0s−1における粘度が1〜10,000Pa・sであることが好ましい。粘度が斯かる範囲であることにより、光硬化性エラストマー組成物は、適度の流動性を有し、ハンドリング性が良好であると共に、ガスケット等の所望のシール材の形状に合わせて、光硬化性エラストマー組成物の形状を保持することができ、それによりシール材の形状を保持することができる。光硬化性エラストマー組成物の粘度は、より好ましくは10〜2,000Pa・s、さらに好ましくは30〜1,000Pa・sである。
<<粘度測定方法>>
レオメーター「RS−600」(ハーケ社製)を用いて測定する。光硬化性エラストマー組成物を50℃に調整し、ギャップ0.2mmで、剪断速度を1〜10s−1の範囲で変えながら、剪断応力を測定し、剪断速度と応力の1/2乗をプロットしたキャソンプロットから最小二乗法による近似線を引き、1s−1における粘度を算出する。
<光硬化性エラストマー組成物の調製方法>
本発明の光硬化性エラストマー組成物の調製方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前記(A)〜(D)成分および前記任意成分を、温度調節可能な混練機(例えば、一軸押出機、二軸押出機、プラネタリーミキサー、二軸ミキサー、高剪断型ミキサー等)を用いて混練することにより、調製することができる。
<光硬化性エラストマー組成物の用途>
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、例えば、HDD用ガスケット;インクタンク用シール材;デスクトップ型、ノート型、タブレット型等の各種コンピュータ、携帯電話、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、電子ペーパーおよびプラズマディスプレイ等の各種表示装置、および、カメラ等の各種電子部品用シール材;自動車部品、水浄化装置、空気浄化装置、撹拌機、スピーカー、ポンプ等のシール材;防振装置、防水装置、ダンパー、土木および建築等の構造物用シール材;Oリング等のパッキン等の用途に用いることができる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、ハードディスクドライブ用ガスケット用として好適に用いられる。上述したように、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、圧縮永久歪を低減し得るためである。
(ハードディスクドライブ用ガスケット)
本発明に係るハードディスクドライブ用ガスケットは、上記光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする。すなわち、本発明に係るハードディスクドライブ用ガスケットは、上記光硬化性エラストマー組成物に、紫外線等の光を照射して硬化させた硬化物を少なくとも一部に含むハードディスクドライブ用ガスケットである。
本発明に係るハードディスクドライブ用ガスケットは、上記光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことにより、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、圧縮永久歪が小さい。
ガスケットの厚さは、用途により適宜調整することができるが、通常、0.1〜2mm程度である。
本発明に係るHDD用ガスケットは、当該HDD用ガスケットの柔軟性とバリア性を両立する観点から、柔軟性は、後述するJIS−A硬度が80以下であることが好ましく、20〜50であることがより好ましく、30〜50であることがさらに好ましい。
本発明に係るHDD用ガスケットのバリア性は、用途に応じて適宜調節することができる。
本発明に係るHDD用ガスケットのバリア性は、後述する透湿度が10以下であることが好ましい。
本発明に係るHDD用ガスケットの圧縮永久歪は、後述する圧縮永久歪が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
<ハードディスクドライブ用ガスケットの製造方法>
上記光硬化性エラストマー組成物を被着体に塗布し、光を照射して硬化させることにより、ハードディスクドライブ用ガスケットを製造することができる。
被着体は、用途に応じて適宜選択することができ、例えば、金属であってもよいし、硬質樹脂であってもよい。加工性等からは金属の被着体が好ましい。
被着体としての金属は、特に制限はなく、従来公知の被着体を用いることができる。例えば、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、マグネシウム板、マグネシウム合金板等を挙げることができる。また、マグネシウムを射出成形したものも用いることができる。
光硬化性エラストマー組成物を被着体に塗布する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。塗布は、例えば、光硬化性エラストマー組成物を必要に応じて温度調節し、所望の粘度に調整して、グラビアコート、ロールコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、スクリーンコート、ブレードコート、エアーナイフコート、ディッピング、ディスペンシング等により行うことができる。光硬化性エラストマー組成物を被着体に塗布し、必要に応じて成形した後、光照射することにより光硬化性エラストマー組成物を硬化させて、ハードディスクドライブ用ガスケットを得ることができる。
光硬化性エラストマー組成物を硬化させる光としては、紫外線、可視光線、ならびに、α線、β線等の荷電粒子線、γ線等の電磁波および高エネルギー粒子を含む電離放射線から適宜選択すればよい。斯かる光としては、操作性、生産性および経済性等の観点から、紫外線が好ましい。
紫外線源としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波方式エキシマランプ等を挙げることができる。
紫外線を照射する雰囲気としては、空気雰囲気でもよいし、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気または酸素濃度を低下させた雰囲気でもよい。斯かる雰囲気としては、不活性ガス雰囲気または酸素濃度を低下させた雰囲気が好ましい。照射雰囲気温度は、適宜調節すればよく、通常、10〜200℃とすることができる。
照射時間は、適宜調節すればよく、通常、好ましくは10秒〜60分である。積算光量は、適宜調節すればよく、通常、好ましくは1,000〜20,000mJ/cmである。
(ハードディスクドライブ)
本発明に係るハードディスクドライブは、上記ハードディスクドライブ用ガスケットを少なくとも一部に有することを特徴とする。
本発明に係るハードディスクドライブは、上記ハードディスクドライブ用ガスケットを少なくとも一部に有することにより、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、十分なリワーク性を有する。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
表1および2に示す処方で各成分を配合し(各成分における値は質量部を表す)、光硬化性エラストマー組成物を調製した。なお、表1および2におけるスチレン−ブタジエン共重合体水添物については、後述する方法により調製した。そして、以下の方法により、硬度(柔軟性)、透湿度(バリア性)および圧縮永久歪について測定、評価を行った。その結果を表1および2に示す。
<スチレン−ブタジエン共重合体水添物の調製>
アルゴン置換した7リットルの重合リアクターに、脱水精製したシクロヘキサン1.50kg、22.9質量%の1,3−ブタジエンモノマーのヘキサン溶液を2.00kg、20.0質量%のスチレンモノマーのシクロヘキサン溶液を0.765kg、1.6モル/リットルの2−2'−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンのヘキサン溶液を209.4ml添加した後、0.5モル/リットルのジリチウム重合開始剤を223.5ml添加して重合を開始させた。重合リアクターを50℃に昇温しながら、1.5時間重合を行った後、1モル/リットルのエチレンオキシドのシクロヘキサン溶液を220.4ml添加し、さらに2時間撹拌した後、50mlのイソプロピルアルコールを添加した。重合体のヘキサン溶液をイソプロピルアルコール中に沈殿させ、十分に乾燥させてスチレン−ブタジエン共重合体を得た。このスチレン−ブタジエン共重合体は両末端OH基スチレン−ブタジエン共重合体であり、スチレン分は25質量%であり、重量平均分子量は、7,100、分子量分布は1.25であった。かかるスチレン−ブタジエン共重合体各120gを、それぞれ、十分に脱水精製したヘキサン1 リットルに溶解した後、予め別容器で調整したナフテン酸ニッケル、トリエチルアルミニウム、ブタジエンが1:3:3(モル比)の触媒液を共重合体溶液中のブタジエン部1,000モルに対してニッケル1モルになるように仕込んだ。密閉反応容器に水素を27,580hPa(400psi)に加圧添加して、110℃にて4時間水添反応を行った。その後、3規定濃度の塩酸で触媒残渣を抽出分離し、さらに遠心分離をして触媒残渣を沈降分離した。その後、スチレン−ブタジエン共重合体水添物をイソプロピルアルコール中に沈殿させ、更に十分に乾燥を行い、スチレン−ブタジエン共重合体水添物を得た。
<硬度(柔軟性)>
光硬化性エラストマー組成物を厚さ約2mmに製膜し、これにメタルハライドランプを使用して光照射を行い硬化させ、シートを得た。光照射は、空気雰囲気下で照度約150mW/cm、積算光量約9000mJ/cmの条件で行った。このシートをさらに、空気雰囲気下120℃で4時間ベーキング処理した。
このシートについて、JIS K 6253に準拠して、タイプAデュロメータにより硬度を測定した。試験体として厚さが約2mmのシート3枚を積層した厚さが約6mmのものを用いた。なお、硬度は、小さい方が良好であり、A硬度は80以下が好ましい。
<透湿度(バリア性)>
厚さ約1mmのシートについて、JIS L 1099記載のA法の透湿カップを使用し、JIS Z 0208に準拠して、50℃、相対湿度90%の条件で測定した。なお、透湿度は、小さい方が良好であり、10[g/m・day]以下が好ましい。
<圧縮永久歪>
JIS K 6262に準拠して、2cm四方に裁断した厚み2mmのシートを5枚重ねて測定用サンプルとし、試験温度70℃の条件にて圧縮永久歪を測定した。なお、圧縮永久歪は、小さい方が良好であり、50%以下が好ましい。
Figure 0005695100
Figure 0005695100
(まとめ)
表1より実施例では、硬度(柔軟性)およびバリア性に優れ、かつ、圧縮永久歪が小さい光硬化性エラストマー組成物が得られた。
一方、表2の比較例では実施例に比べて、比較例2、4および5から、(A)成分が少ないまたは含まれないために(A):(B)の質量比が本発明の範囲から外れる場合にバリア性に劣ること、比較例1および6から、(B)成分が少ないまたは含まれないために、(A):(B)の質量比が本発明の範囲から外れる場合に圧縮永久歪が劣ることが分かる。特に、(A)成分が含まれない比較例5では、柔軟性及び圧縮永久歪も劣る結果となった。また、比較例7および8から、本発明の(A)成分および(B)成分に代えて、従来のウレタンアクリレート等を用いた場合に、良好な柔軟性、バリア性及び圧縮永久歪を並立できないことが分かり、比較例3から、(C)成分の割合が本発明の範囲から外れる場合に、柔軟性及び圧縮永久歪に劣ることが分かる。

Claims (7)

  1. (A)ポリイソプレン水添物、ポリブタジエン水添物、スチレン−ブタジエン共重合体水添物、および、エチレン−プロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種に由来する単位を分子中に80%以上含む液状ポリマーと、
    (B)(メタ)アクリル基を1分子中に2個以上有し、ポリイソプレンに由来する単位を分子中に80%以上含むポリマーと、
    (C)(メタ)アクリレートモノマーと、
    (D)光重合開始剤と、を含み、
    前記(A)成分と前記(B)成分の質量比率((A):(B))が、25:75〜75:25であり、かつ、
    前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分の3成分の総量に対して、1質量%以上50質量%以下である、ことを特徴とする、光硬化性エラストマー組成物。
  2. 前記(C)成分が、炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、および、ジシクロペンタジエンから誘導される(メタ)アクリレート、からなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリレートであることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性エラストマー組成物。
  3. (E)成分として、無機充填剤および有機充填剤から選択される少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性エラストマー組成物。
  4. 前記(E)成分が、フュームドシリカであることを特徴とする、請求項に記載の光硬化性エラストマー組成物。
  5. ハードディスクドライブ用ガスケット用であることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性エラストマー組成物。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載の光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする、ハードディスクドライブ用ガスケット。
  7. 請求項に記載のハードディスクドライブ用ガスケットを少なくとも一部に有することを特徴とする、ハードディスクドライブ。
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