JP5675863B2 - 光硬化性エラストマー組成物、シール材、ハードディスクドライブ用ガスケットおよび装置 - Google Patents

光硬化性エラストマー組成物、シール材、ハードディスクドライブ用ガスケットおよび装置 Download PDF

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Description

本発明は、光硬化性エラストマー組成物、シール材、ハードディスクドライブ用ガスケットおよび装置に関する。
現在、紫外線硬化性のシール材としては、いわゆるハードコート材が主流である。斯かるハードコート材の材料としては、ビスフェノールA型のエポキシ(メタ)アクリレートを主成分とする組成物が一般的である。この組成物は、ガス・水蒸気バリア性(以下、特に断らない限り、水蒸気バリア性を単に「バリア性」という)に優れる反面、硬化物は非常に硬い。したがって、柔軟性やフレキシブル性が求められる用途には使用できない。柔軟性が求められるシール材用途としては、例えば、フレキシブルディスプレイ関連の封止材またはパッキンのように曲げられる可能性のある材料や、ハードディスクドライブ(以下、単に「HDD」ということがある)用ガスケットのように高圧縮で用いられる部材等が挙げられる(例えば、特許文献1および2)。
一方、柔軟性のある紫外線硬化材料(以下、柔軟性のない紫外線硬化材料と明確に区別するため、「紫外線硬化エラストマー」という)としては、ポリエステルアクリレートおよびウレタンアクリレート等が挙げられる(例えば、特許文献1および2)。
特開2010−260918号公報 特開2009−43295号公報
近年のシール材の分野では、柔軟性のある紫外線硬化材料であって、ポリエステルアクリレートおよびウレタンアクリレート等の紫外線硬化エラストマーよりもバリア性の高い材料が望まれている。そこで、本発明者らが検討したところ、ポリイソブチレンのような液状ポリマーを光硬化性組成物に用いることで柔軟性とバリア性をさらに高めることができることを見出した。
しかし、当該液状ポリマーを含む光硬化性組成物を硬化させた場合、当該液状ポリマーがシール材(硬化物)表面にブリードアウトする(移行する)場合があることが分かった。この液状ポリマーは、柔軟性とバリア性を高める働きをするため、当該液状ポリマーがシール材(硬化物)中からブリードアウトにより減少してしまうと、シール材(硬化物)が割れやすくなる、および、バリア性が低下するという不具合が生じる。さらに、シール材として部材間を封止する場合に、ブリードアウトした液状ポリマーがその部材を汚染してしまうという不具合も生じる。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、光硬化性エラストマー組成物を硬化させたときに、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトを抑制し得る光硬化性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、(A)数平均分子量が5,000以上で、[CHC(CH]−単位を主とする液状ポリマーと、(B)(メタ)アクリレートモノマーと、(C)光重合開始剤と、を含み、前記(A)成分と前記(B)成分の質量比率((A):(B))が、10:90〜39:61であることを特徴とする。
(A)成分である上記特定の液状ポリマーが、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の硬化物に優れた柔軟性とバリア性を付与し得る。
また、前記(A)成分の数平均分子量が5,000以上であること、および、前記(A)成分と前記(B)成分の質量比率((A):(B))が、10:90〜39:61であることにより、当該光硬化性エラストマー組成物を硬化させた際に、優れた柔軟性を確保しながら、前記(A)成分のブリードアウトを抑制することができる。
本明細書において、「光硬化性」および「光重合」の「光」は、紫外線、可視光線ならびにα線、β線、電子線、等の荷電粒子線、γ線等の電磁波および高エネルギー粒子を含む電離放射線を含み、特に紫外線が好ましく挙げられる。
本明細書において、「数平均分子量」は、特に断らない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される標準ポリスチレン換算の値で表される数平均分子量を意味する。
本明細書において、(A)成分の液状ポリマーにおける−[CHC(CH]−単位の割合、ならびに、(D)成分のポリマーにおけるポリイソプレン由来の単位、ポリブタジエン由来の単位、スチレン−ブタジエン共重合体由来の単位、および、エチレン−プロピレン共重合体由来の単位、ならびに、これらの水添物由来の単位、の割合は、NMRのピーク比を用いて求めることができる。
本明細書において、「液状」は、成形する温度、例えば室温(25℃)において、流動性を有することを意味する。
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートのうち少なくとも1種を意味する。(メタ)アクリルは、アクリルおよびメタクリルのうち少なくとも1種を意味する。
本明細書において、ビニル基は、(CH=CH−)を意味し、アクリル基は、(CH=CHCO−)を意味し、メタクリル基は、(CH=C(CH)CO−)を意味する。
本明細書において、シール材は、封止材、密封材、ガスケットおよびパッキンを含む概念とする。また、本明細書において、シール材、ガスケットおよびパッキンは、特に断りのない限り、固定用シール(静止用シール)と運動用シールの両方を含むものとする。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、さらに(D)成分として、数平均分子量1,000以上で、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、および、マレイミド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を1分子中に2個以上有するポリマーを、前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、100質量部以下含むことが好ましい。
斯かる(D)成分を(A)成分と(B)成分の総量に対して特定量含有することにより、光硬化性エラストマー組成物の硬化物について、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトも抑制され、さらに、小さい(良好な)圧縮永久歪が得られる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(D)成分が、数平均分子量2,000以上で、ポリイソプレン由来の単位、ポリブタジエン由来の単位、スチレン−ブタジエン共重合体由来の単位、および、エチレン−プロピレン共重合体由来の単位、ならびに、これらの水添物由来の単位、からなる群より選択されるいずれかを主とするポリマーであることが好ましい。前記(D)成分が、斯かるポリマーであることにより、より優れた柔軟性とバリア性を得ることが可能となる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(B)成分が、1官能アクリレートであることが好ましい。前記(B)成分が、1官能アクリレートであることにより、当該光硬化性エラストマー組成物の粘度が低減し、塗布性および生産性が高まる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(B)成分が、炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、および、ジシクロペンタジエンから誘導される(メタ)アクリレート、からなる群より選択される少なくとも1種であることにより、より高い柔軟性およびバリア性を得ることが可能となる。また、相溶性と強靭性にも優れる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、シール材用として好適に用いられる。
本発明に係るシール材は、上記光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする。これにより、本発明に係るシール材は、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトも抑制される。
本発明に係るハードディスクドライブ用ガスケットは、上記(D)成分を前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、100質量部以下含む光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする。これにより、本発明に係るハードディスクドライブ用ガスケットは、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトも抑制され、さらに、小さい(良好な)圧縮永久歪が得られる。
本発明に係る装置は、上記シール材を少なくとも一部に有することを特徴とする。本発明に係る装置は、上記シール材を少なくとも一部に有することにより、耐久性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトも抑制される。
本発明によれば、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトを抑制し得る光硬化性エラストマー組成物を提供することができる。
(光硬化性エラストマー組成物)
以下、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の好適な実施形態の一例を詳細に説明する。本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、(A)数平均分子量が5,000以上で、−[CHC(CH]−単位を主とする液状ポリマーと、(B)(メタ)アクリレートモノマーと、(C)光重合開始剤と、を含み、前記(A)成分と前記(B)成分の質量比率((A):(B))が、10:90〜39:61であることを特徴とする。
(A)成分である上記特定の液状ポリマーが、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の硬化物に優れた柔軟性とバリア性を付与し得る。
また、前記(A)成分の数平均分子量が5,000以上であること、および、前記(A)成分と前記(B)成分の質量比率((A):(B))が、10:90〜39:61であることにより、当該光硬化性エラストマー組成物を硬化させた際に、優れた柔軟性を確保しながら、前記(A)成分のブリードアウトを抑制することができる。
以下、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の(A)〜(C)成分および適宜含まれていてもよいその他の成分について説明する。
<(A)成分>
(A)成分は、数平均分子量が5,000以上で、−[CHC(CH]−単位(ポリイソブチレン由来の単位)を主とする液状ポリマーである。
(A)成分の数平均分子量が5,000以上であることにより、当該(A)成分のブリードアウトが抑制されやすくなる。当該(A)成分の数平均分子量は、20,000〜60,000が好ましく、30,000〜40,000がさらに好ましい。(A)成分の数平均分子量が20,000以上であると、当該(A)成分のブリードアウトがより抑制されやすくなる。
(A)成分は、−[CHC(CH]−単位を主とする液状ポリマーである。(A)成分の分子中には、当該−[CHC(CH]−単位以外に、(A)成分の合成の際に用いられる変性剤等の成分が含まれていてもよい。すなわち、(A)成分は、−[CHC(CH]−単位を主とすればよく、末端が変性されたポリマーおよび−[CHC(CH]−単位以外の他の構成単位または繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ブロック共重合体)であってもよい。(A)成分は、−[CHC(CH]−単位を80質量%以上含むことが好ましい。(A)成分は、−[CHC(CH]−単位を主とすることにより、優れた柔軟性およびバリア性が発揮されやすくなる。
(A)成分は、−[CHC(CH]−単位を主とするため、通常、非反応性(非架橋性)の液状ポリマーである。上述したように、(A)成分は優れた柔軟性を発揮する作用を有するため、当該(A)成分には(メタ)アクリル基等の反応性官能基が含まれないことが好ましいが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、(A)成分には、(メタ)アクリル基等の反応性官能基が含まれていてもよい。
上述したように(A)成分は、液状である。(A)成分が固体である場合、他の成分との混合が困難となる。
(A)成分としては、市販の数平均分子量が5,000以上のポリイソブチレンを用いることができる。このような(A)成分の市販品としては、例えば、株式会社カネカ製の商品名エピオン(登録商標)200A(数平均分子量5,000)、400A(数平均分子量10,000)、600A(数平均分子量15,000)、JX日鉱日石エネルギー株式会社製の商品名テトラックス(登録商標)3T(数平均分子量30,000)、4T(数平均分子量40,000)、5T(数平均分子量50,000)および6T(数平均分子量60,000)等が挙げられる。
(A)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、(A)成分と後述する(B)成分の質量比率((A):(B))が、10:90〜39:61である。(A)成分の数平均分子量が5,000以上であること、および、(A)成分と後述する(B)成分の質量比率((A):(B))が、10:90〜39:61であることの2つにより、当該光硬化性エラストマー組成物を硬化させた際に、優れた柔軟性を確保しながら、前記(A)成分のブリードアウトを抑制することができる。
前記質量比率((A):(B))において、10:90以上で(A)成分が多いと、バリア性の点で有利である。また、前記質量比率((A):(B))において、30:70以上で(B)成分が多いと(A)成分のブリードアウトが抑制されやすくなる。
<(B)成分>
(B)成分の(メタ)アクリレートモノマーは、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物に光硬化性(成形性)を付与する働きに加え、粘度を調節する働きを有する。(B)成分としては、従来公知の光硬化性組成物に用いられている(メタ)アクリレートモノマーを用いることができる。(B)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(B)成分の(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリル基を1個以上有するモノマーであればよく、(メタ)アクリル基を1個のみ有することがより好ましい。(B)成分の(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の用途、使用状態、要求される性能等に応じて適宜選択すればよいが、1000未満であることが好ましい。これにより本発明に係る光硬化性エラストマー組成物の粘度を低減する効果が高まる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(B)成分が、1官能アクリレートであることが好ましい。前記(B)成分が、1官能アクリレートであることにより、当該光硬化性エラストマー組成物の粘度が低減し、塗布性および生産性が高まる。
1官能であって、分子量が1000未満の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
この他、例えば、特許文献1および2に記載の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(B)成分が、炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、および、ジシクロペンタジエンから誘導される(メタ)アクリレートのうち少なくとも1種であることが好ましい。これにより、より高い柔軟性およびバリア性を得ることが可能となる。また、相溶性と強靭性にも優れる。
炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレートの炭素数は、6〜24がより好ましい。炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレートの炭化水素部分は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル等が挙げられる。ジシクロペンタジエンから誘導される(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光硬化性エラストマー組成物における(B)成分の含有量は、上述した(A)成分との質量比率の範囲内で、用途、使用状態、要求される性能等に応じて適宜調節すればよい。光硬化性エラストマー組成物がさらに後述する(D)成分を含む場合、(B)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分および(D)成分の3成分の総量に対して、25〜55質量%であることが好ましい。斯かる範囲であることにより、光硬化性エラストマー組成物は、優れた成形性、柔軟性およびバリア性を発揮し得る。
<(C)成分>
(C)成分の光重合開始剤は、光硬化性成分の光重合または硬化を開始ないし促進する働きを有する。光重合開始剤としては、例えば、特許文献1〜2に記載のものなど、従来公知の光硬化性組成物に用いられているものを適宜選択して用いることができる。
(C)成分としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル系光重合開始剤;2,2−ジエトキシアセトフェノン、4’−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系光重合開始剤;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−ドデシル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2−エチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン等のアントラキノン系光重合開始剤;アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等の分子内開裂型の光重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアントラキノン系光重合開始剤および2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン系光重合開始剤が好ましい。
(C)成分としては、この他、ベンゾフェノン/アミン系光重合開始剤、ミヒラーケトン/ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン/アミン系光重合開始剤等の水素引き抜き型の光重合開始剤を挙げることができる。光重合開始剤のなかでも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製の商品名Irgacure(登録商標)184)が特に好ましい。
(C)成分の光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光重合開始剤の含有量は、光硬化性エラストマー組成物中の光硬化性成分の種類、含有量等に応じて適宜調節すればよい。光重合開始剤の含有量は、例えば、当該光硬化性成分(例えば、上記(A)成分、上記(B)成分および後述する(D)成分)の合計量100質量部に対して、通常、0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜3質量部である。また、上記光重合開始剤と共に、公知の光増感剤を併用してもよい。
<任意成分>
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて、後述する(D)成分、無機充填材;有機系チクソ性付与剤(揺変剤);カップリング剤;酸化防止剤(老化防止剤);光安定剤;カルボジイミド類(耐湿熱老防剤);ステアリン酸等の脂肪酸(滑剤);ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩(滑剤);ステアリン酸アマイド等の脂肪酸アミド(増稠剤);脂肪酸エステル(可塑剤);ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス等の内部離型剤;プロセスオイル等の軟化剤;着色剤;レベリング剤等;溶媒等を含有させることができる。
カップリング剤、酸化防止剤(老化防止剤)および光安定剤は、例えば、特許文献1〜2に記載のものが挙げられる。
以下、(D)成分、無機充填剤および有機系チクソ性付与剤について説明する。
<(D)成分>
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、さらに(D)成分として、数平均分子量1,000以上で、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、および、マレイミド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を1分子中に2個以上有するポリマーを、前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、100質量部以下含むことが好ましく、20〜85質量部含むことがより好ましい。斯かる(D)成分を(A)成分と(B)成分の総量に対して特定量含有することにより、光硬化性エラストマー組成物の硬化物について、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトも抑制され、さらに、小さい圧縮永久歪が得られる。
斯かる小さい圧縮永久歪が得られる光硬化性エラストマー組成物の用途は、シール材に広く適用できるが、特にHDD用ガスケットが好適である。
これは、HDD用ガスケットにおいては、被着体(被着材ともいう)同士を封止(シール)した後に被着体の封止を解除(剥離)し、その後再度、同一のガスケットを用いて被着体同士を封止することができる性質、いわゆるリワーク性が要求されるためである。
HDD用ガスケットでは、(i)外部からの埃や水蒸気の侵入を防ぐこと、および(ii)装置の内部に封入した不活性ガスの流出を防ぐこと、というシール性が要求される。HDD用ガスケットは、弾性体であり、2枚のカバーで挟み込まれて斯かるシール性を発揮する。しかし、このとき、HDD用ガスケットに十分な柔軟性が無ければ、上記カバーに追従することができず、埃や水蒸気の侵入を防ぐことができず、封入した不活性ガスも流出してしまう。また、HDD用ガスケットの材料自身のバリア性が低いと、当該材料中を水蒸気や不活性ガスが透過してしまう。さらに、上記材料の圧縮永久歪が大きい(悪い)と、接着を解除して同一のガスケットを用いて再度接着するときに、ガスケットが所定の寸法(高さ)まで復元しないため、所定の寸法でカバーを閉じたときに隙間を生じてしまい、封止が不十分となり、十分なリワーク性を得られない。これに対して、上述したように(D)成分を(A)成分と(B)成分の総量に対して特定量含有することにより、圧縮永久歪が小さくなり、十分なシール性が得られる。
(D)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、および、マレイミド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を1分子中に2個以上有する。反応性官能基がこれらであることにより、紫外線をはじめとする光活性が良好となる。また、これらの反応性官能基を1分子中に2個以上有することにより、三次元架橋を形成し、圧縮永久歪みが小さくなるという利点がある。(D)成分の1分子中の反応性官能基の数は、2個以上であるが、2〜6個がより好ましい。
(D)成分の数平均分子量は、1,000以上であるが、より好ましくは2,000〜20,000であり、さらに好ましくは3,000〜20,000である。(D)成分の数平均分子量が1,000以上であることにより、光硬化性エラストマー組成物の硬化物のバリア性を確保しながら柔軟性を高め、シール性も高めることができる。当該数平均分子量が3,000以上であることにより、より柔軟性が高まる。そして、当該数平均分子量が、20,000以下であることにより、光硬化性エラストマー組成物の粘度を低く保つことができ、生産性が高まる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、前記(D)成分が、数平均分子量2,000以上で、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、および、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、ならびに、これらの水添物、からなる群より選択されるいずれかを主とするポリマーであることが好ましい。前記(D)成分が、斯かるポリマーであることにより、より優れた柔軟性とバリア性を得ることが可能となる。
この場合、(D)成分は、上記構成単位を主とするポリマーであればよく、(D)成分の合成の際に用いられる変性剤等の成分が含まれていてもよく、末端が変性されたポリマーおよび上記構成単位以外の構成単位または繰り返し単位を含むポリマー(例えば、ブロック共重合体)であってもよい。(D)成分は、上記構成単位を80質量%以上含むことが好ましい。
このような(D)成分としては、例えば、株式会社クラレ製の商品名UC−102(メタクリル変性ポリイソプレン、数平均分子量17,000、側鎖に反応性官能基を2個有する)、アルケマ社製の商品名CN−307(ポリブタジエンジアクリレート、数平均分子量3500、反応性官能基を2個有する)、CN−9014、日本曹達株式会社製の商品名TEAI−1000(アクリル基を両末端に有する水添ポリブタジエンジアクリレート、数平均分子量2000)等が挙げられる。
さらに、これらの中でも(D)成分が、水添物ではない(炭素−炭素不飽和結合を有する)、ポリイソプレン由来の単位、ポリブタジエン由来の単位、スチレン−ブタジエン共重合体由来の単位、および、エチレン−プロピレン共重合体(EP)由来の単位、からなる群より選択されるいずれかを主とするポリマーであることが好ましい。このような水添物ではないポリマーは、安価、入手が容易、低粘度、さらに合成プロセスを短縮可能という利点を有する。
このような炭素−炭素不飽和結合を有する(D)成分としては、例えば、株式会社クラレ製の商品名UC−102、アルケマ社製の商品名CN−307等が挙げられる。
(D)成分の含有量は、前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、100質量部以下含むことが好ましく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、用途、使用状態、要求される性能等に応じて適宜調節すればよい。
(D)成分は、前記(A)成分と(D)成分の質量比率((A):(D))が、7:93〜75:25であることがより好ましい。斯かる範囲であることにより、光硬化性エラストマー組成物は、優れた柔軟性、バリア性および圧縮永久歪を発揮し得る。
<無機充填剤>
無機充填剤としては、シリカ(SiO)、アルミナ、チタニアおよびこれらの複合酸化物、層状酸化物;ならびに粘土鉱物等が挙げられる。これらの中でも、シリカが好ましい。
より具体的には、乾式法により微粉化したシリカ微粉末(例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル300)等が挙げられる。
無機充填剤の平均粒径は、増粘性、擬塑性を付与する観点から、5〜50μmがより好ましく、5〜12μmがさらに好ましい。なお、無機充填材の平均粒径は、例えば、BET吸着またはSEMなどの方法により求めることができる。
光硬化性エラストマー組成物が無機充填剤を含有する場合、その含有量は、適宜調節すればよく、光硬化性エラストマー組成物の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜15質量部である。
<有機系チクソ性付与剤>
有機系チクソ性付与剤(有機系充填剤)としては、従来公知のものを用いてよく、例えば、水添ひまし油、アマイドワックスまたはこれらの混合物が挙げられる。具体例としては、特開2012−72204号公報に記載のものを挙げることができる。
<光硬化性エラストマー組成物の粘度>
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、温度50℃、剪断速度1.0/秒における粘度が1〜10,000Pa・sであることが好ましい。粘度が斯かる範囲であることにより、光硬化性エラストマー組成物は、適度の流動性を有し、ハンドリング性が良好であると共に、ガスケット等の所望のシール材の形状に合わせて、光硬化性エラストマー組成物の形状を保持することができ、それによりシール材の形状を保持することができる。
光硬化性エラストマー組成物の粘度は、より好ましくは10〜2,000Pa・s、さらに好ましくは30〜1,000Pa・sである。
<<粘度測定方法>>
レオメーター「RS−600」(ハーケ社製)を用いて測定する。光硬化性エラストマー組成物を50℃に調整し、ギャップ0.2mmで、剪断速度を1〜10s−1の範囲で変えながら、剪断応力を測定し、剪断速度と応力の1/2乗をプロットしたキャソンプロットから最小二乗法による近似線を引き、1s−1における粘度を算出する。
<光硬化性エラストマー組成物の調製方法>
本発明の光硬化性エラストマー組成物の調製方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
例えば、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分および前記任意成分を、温度調節可能な混練機(例えば、一軸押出機、二軸押出機、プラネタリーミキサー、二軸ミキサー、高剪断型ミキサー等)を用いて混練することにより、調製することができる。
本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、シール材用として好適に用いられる。上述したように、本発明に係る光硬化性エラストマー組成物は、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトを抑制し得るためである。
(シール材)
本発明に係るシール材は、上記光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする。すなわち、本発明に係るシール材は、上記光硬化性エラストマー組成物に、紫外線等の光を照射して硬化させた硬化物を少なくとも一部に含むシール材である。本発明に係るシール材は、上記光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことにより、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトも抑制される。
本発明に係るシール材は、例えば、HDD用ガスケット;インクタンク用シール材;デスクトップ型、ノート型、タブレット型等の各種コンピュータ、携帯電話、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、電子ペーパーおよびプラズマディスプレイ等の各種表示装置、および、カメラ等の各種電子部品用シール材;自動車部品、水浄化装置、空気浄化装置、撹拌機、スピーカー、ポンプ等のシール材;防振装置、防水装置、ダンパー、土木および建築等の構造物用シール材;Oリング等のパッキン等の用途に用いることができる。
これらの中でも、本発明に係るシール材は、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトも抑制されることからHDD用ガスケットに好適に用いることができる。さらに、上述したように上記(D)成分を前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、100質量部以下含む光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたシール材では、柔軟性およびバリア性に優れ、ブリードアウトが抑制されることに加えて、圧縮永久歪も小さいため、HDD用ガスケット用途に特に好適に用いることができる。
シール材の厚さは、用途により適宜調整することができるが、通常、0.1〜2mm程度である。
<シール材付き部材の製造方法>
上記光硬化性エラストマー組成物を被着体に塗布し、光を照射して硬化させることにより、シール材付き部材を製造することができる。被着体としては、例えば、用途に応じて適宜選択することができる。後述するガスケットの場合、被着体は、金属であってもよいし、硬質樹脂であってもよい。加工性等から金属の被着体が好ましい。被着体としての金属は、特に制限はなく、従来公知の被着体を用いることができる。例えば、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、マグネシウム板、マグネシウム合金板等を挙げることができる。また、マグネシウムを射出成形したものも用いることができる。
光硬化性エラストマー組成物を被着体に塗布する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。塗布は、例えば、光硬化性エラストマー組成物を必要に応じて温度調節し、所望の粘度に調整して、グラビアコート、ロールコート、スピンコート、リバースコート、バーコート、スクリーンコート、ブレードコート、エアーナイフコート、ディッピング、ディスペンシング等により行うことができる。光硬化性エラストマー組成物を被着体に塗布し、必要に応じて成形した後、光照射することにより光硬化性エラストマー組成物を硬化させて、シール材付き部材を得ることができる。
光硬化性エラストマー組成物を硬化させる光としては、紫外線、ならびに、α線、β線等の荷電粒子線、γ線等の電磁波および高エネルギー粒子を含む電離放射線から適宜選択すればよい。斯かる光としては、操作性、生産性および経済性等の観点から、紫外線が好ましい。紫外線源としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波方式エキシマランプ等を挙げることができる。紫外線を照射する雰囲気としては、空気雰囲気でもよいし、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気または酸素濃度を低下させた雰囲気でもよい。斯かる雰囲気としては、不活性ガス雰囲気または酸素濃度を低下させた雰囲気が好ましい。
照射雰囲気温度は、適宜調節すればよく、通常、10〜200℃とすることができる。照射時間は、適宜調節すればよく、通常、好ましくは10秒〜60分である。積算光量は、適宜調節すればよく、通常、好ましくは1,000〜20,000mJ/cm2である。
(ハードディスクドライブ用ガスケット)
本発明に係るハードディスクドライブ用ガスケットは、上記(D)成分を前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、100質量部以下含む光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする。これにより、本発明に係るハードディスクドライブ用ガスケットは、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトも抑制され、さらに、小さい(良好な)圧縮永久歪が得られる。
本発明に係るHDD用ガスケットは、当該HDD用ガスケットの柔軟性とバリア性を両立する観点から、柔軟性は、後述するJIS−A硬度が85以下であることが好ましく、25〜70であることがより好ましく、30〜60であることがさらに好ましい。
本発明に係るHDD用ガスケットのバリア性は、用途に応じて適宜調節することができる。本発明に係るHDD用ガスケットのバリア性は、後述する透湿度が10以下であることが好ましい。
本発明に係るHDD用ガスケットの圧縮永久歪は、後述する圧縮永久歪試験の値が80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、30%以下がさらに好ましい。これにより高いリワーク性が得られる。
(装置)
本発明に係る装置は、上記シール材を少なくとも一部に有することを特徴とする。これにより、柔軟性およびバリア性に優れ、かつ、ブリードアウトも抑制される。
本発明に係る装置としては、例えば、HDD;デスクトップ型、ノート型、タブレット型等の各種コンピュータ;携帯電話;インクタンク;配管;液晶表示装置、有機ELディスプレイ、電子ペーパーおよびプラズマディスプレイ等の各種表示装置;カメラ;スピーカー;防振装置;防水装置;ダンパー;水浄化装置;空気浄化装置;撹拌機;ポンプ;自動車部品等が挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜18および比較例1〜17)
表1および2に示す処方で各成分を配合し(各成分における値は質量部を表す)、光硬化性エラストマー組成物を調製した。そして、以下の方法により、硬度(柔軟性)、透湿度(バリア性)、ブリードアウトおよび圧縮永久歪について測定、評価を行った。その結果を表1および2に示す。
実施例で用いた各成分を以下に示す。
ポリイソブチレンA((A)成分):株式会社カネカ製 エピオン(登録商標)200A(数平均分子量5,000)
ポリイソブチレンB((A)成分):株式会社カネカ製 エピオン(登録商標)400A(数平均分子量10,000)
ポリイソブチレンC((A)成分):株式会社カネカ製 エピオン(登録商標)600A(数平均分子量15,000)
ポリイソブチレンD((A)成分):JX日鉱日石エネルギー株式会社製 テトラックス(登録商標)3T(数平均分子量30,000)
ポリイソブチレンE((A)成分):JX日鉱日石エネルギー株式会社製 テトラックス(登録商標)4T(数平均分子量40,000)
なお、ポリイソブチレンA〜Eの−[CHC(CH]−単位の割合は99%以上。
モノマーA((B)成分):大阪有機化学工業株式会社製 IBXA(イソボルニルアクリレート、1官能アクリレートモノマー)
モノマーB((B)成分):共栄社化学株式会社製 ライトアクリレートL−A(ラウリルアクリレート、1官能アクリレートモノマー)
モノマーC((B)成分):日立化成工業株式会社製 FA−513AS(ジシクロペンタニルアクリレート、1官能アクリレートモノマー)
光重合開始剤((C)成分):BASF社製 Irgacure(登録商標)184
メタクリル変性ポリイソプレン((D)成分):株式会社クラレ製 UC−102(数平均分子量17,000、側鎖に反応性官能基を2個有する)
アクリル変性ポリブタジエン((D)成分):アルケマ社製 CN−307(数平均分子量3,500、反応性官能基を2個有する)
ウレタンアクリレート((D)成分):アルケマ社製 CN−9014
アクリル変性水添ポリブタジエン((D)成分):日本曹達株式会社製 TEAI−1000(数平均分子量2,000、アクリル基を両末端に有する)
ウレタンアクリレート:共栄社化学株式会社製 ライトタックPUA−KH32M
ビスフェノールA型エポキシアクリレート:アルケマ社製 CN104LC
<柔軟性(硬度)>
光硬化性エラストマー組成物を厚さ約2mmに製膜し、これにメタルハライドランプを使用して光照射を行い硬化させ、シートを得た。光照射は、空気雰囲気下で照度約150mW/cm、積算光量約9000mJ/cmの条件で行った。このシートをさらに、空気雰囲気下120℃で4時間ベーキング処理した。このシートについて、JIS K 6253に準拠して、タイプAデュロメータにより硬度を測定した。試験体として厚さが約2mmのシート3枚を積層した厚さが約6mmのものを用いた。なお、A硬度は、85以下が、良好であることを示す。
<バリア性(透湿度)>
厚さ約1mmのシートについて、JIS L 1099記載のA法の透湿カップを使用し、JIS Z 0208に準拠して、50℃相対湿度90%の条件で測定した。なお、透湿度は、小さい方が好ましく、10(g/m・day)以下が良好であることを示す。
<ブリードアウト抑制>
上記UV照射により得た硬化物(2mm厚シート)を5枚重ね、総厚10mmとし、剥離PETを表裏に挟んだ状態で25%歪に圧縮し、22時間放置後の剥離PETへのPIBの転写状況を触感にて判断した。
<<評価基準>>
◎:全くブリード無し(全く手に触れず)
○:ブリードは極小(剥離PETに僅かなタック性有)
×:ブリード有り(目視でも判断可能)
<圧縮永久歪>
JIS K 6262に準拠して、2cm四方に裁断した厚み2mmのシートを5枚重ねて測定用サンプルとし、試験温度70℃の条件にて圧縮永久歪を測定した。なお、圧縮永久歪は、小さい方が好ましく、80%以下が良好であることを示す。
Figure 0005675863
Figure 0005675863
実施例1〜5より、(A)成分の数平均分子量が高い実施例4および5では、(A)成分のブリードアウトがより抑制されていることが分かる。
実施例4,6および8より、(A)成分と(B)成分の質量比率((A):(B))において、(A)成分の比率が高くなるほど、バリア性が高くなる(透湿度の値が小さくなる)ことが分かる。また、実施例4,6および8より、(A)成分と(B)成分の質量比率((A):(B))において、(B)成分の比率が高くなるほど、(A)成分のブリードアウトが抑制されることが分かる。実施例5,7および9についても、バリア性とブリードアウトに関して、同様の傾向があることが分かる。
実施例8および12または実施例10および11より、(B)成分として、ジシクロペンタニルアクリレートを用いた実施例12よりも、イソボルニルアクリレートを用いた実施例8の場合に、柔軟性を高めることができることが分かる。
実施例13〜18より、(D)成分を用いた場合、圧縮永久歪を小さくすることができることが分かる。特に、(D)成分の含有量が多い実施例14では、(A)成分のブリードアウトが高度に抑制され、柔軟性に優れ、かつ、圧縮永久歪を極めて小さくすることができることが分かる。
しかし、比較例1〜14より、(A)成分と(B)成分の質量比率が特定範囲外である場合には、(A)成分のブリードアウトを抑制できないまたは成形性に劣ることが分かる。
そして、(A)成分に代えて、(D)成分を用いた比較例17や、従来の紫外線硬化性エラストマーであるウレタンアクリレートを用いた比較例15では、バリア性が大きく劣ることが分かる。また、柔軟性のない紫外線硬化材料を用いた比較例16では、柔軟性に劣ることが分かる。

Claims (9)

  1. (A)数平均分子量が5,000以上で、−[CHC(CH]−単位を主とする液状ポリマーと、
    (B)(メタ)アクリレートモノマーと、
    (C)光重合開始剤と、を含み、
    前記(A)成分と前記(B)成分の質量比率((A):(B))が、10:90〜39:61であることを特徴とする、光硬化性エラストマー組成物。
  2. さらに(D)成分として、数平均分子量1,000以上で、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、および、マレイミド基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を1分子中に2個以上有するポリマーを、前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して、100質量部以下含むことを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性エラストマー組成物。
  3. 前記(D)成分が、数平均分子量2,000以上で、ポリイソプレン由来の単位、ポリブタジエン由来の単位、スチレン−ブタジエン共重合体由来の単位、および、エチレン−プロピレン共重合体由来の単位、ならびに、これらの水添物由来の単位、からなる群より選択されるいずれかを主とするポリマーであることを特徴とする、請求項2に記載の光硬化性エラストマー組成物。
  4. 前記(B)成分が、1官能アクリレートであることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性エラストマー組成物。
  5. 前記(B)成分が、炭素数6以上の炭化水素(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、および、ジシクロペンタジエンから誘導される(メタ)アクリレート、からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性エラストマー組成物。
  6. シール材用であることを特徴とする、請求項1に記載の光硬化性エラストマー組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする、シール材。
  8. 請求項2に記載の光硬化性エラストマー組成物を少なくとも一部に用いたことを特徴とする、ハードディスクドライブ用ガスケット。
  9. 請求項7に記載のシール材を少なくとも一部に有することを特徴とする、装置。
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