JP2010106003A - 疾病抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 骨粗しょう症、変形性関節症、褥瘡などの種々の疾病の抑制に有効なペプチド分子の本体、とりわけ腸管での体内への吸収が容易なジペプチド、前記ジペプチドを必須のジペプチドとして含有するコラーゲンペプチドおよび前記ジペプチドを必須の有効成分として含有する疾病抑制剤を提供する。
【解決手段】 本発明にかかるコラーゲンペプチドは、Hyp−Glyの構造を有するジペプチドを必須のジペプチドとして含有することを特徴とする。本発明にかかるジペプチドは、Hyp−Glyの構造を有することを特徴とする。本発明にかかる疾病抑制剤は、Hyp−Glyの構造を有するジペプチドを必須の有効成分として含有することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、コラーゲンペプチド、ジペプチドおよび疾病抑制剤に関する。詳しくは、特定の構造を有するジペプチドを必須のジペプチドとして含有するコラーゲンペプチドと、新規な構造を有するジペプチド、前記ジペプチドを必須の有効成分とする、骨粗しょう症、変形性関節炎、褥瘡などの抑制(本発明において、「抑制」という用語は、症状の発症を抑制する「予防」としての意味と、発症した症状を抑制する「治療」としての意味の双方を含む。)に有効な疾病抑制剤に関する。
骨粗しょう症は、骨の絶対量の減少を生じているが骨の質的な変化を伴わない状態をいう。骨は絶えず吸収、形成されているものであり、吸収率と形成率に差を生じ、骨形成が負の平衡となれば骨粗しょうが起こる。骨の吸収は破骨細胞によって行われ、破骨細胞の分化および活性化が顕著であるほど、骨の吸収率は高くなる。一方、骨の形成は骨芽細胞によって行われ、骨芽細胞の分化および活性化が顕著であるほど、骨の形成率は高くなる。
変形性関節炎は、関節に慢性の退行性変化および増殖性変化が同時に起こり、関節の形態が変化する疾患である。関節軟骨が次第に磨耗または欠損し、骨が露出するようになる。関節軟骨は血管系が存在せず、特に関節摺動部軟骨細胞および肋軟骨組織の修復・再生は、血管が存在する骨組織と比較し困難である。特に、関節軟骨を支える骨組織が疎となると(骨粗しょう症)、関節部の機能に支障をきたし、結果として、変形性関節炎(Osteoarthritis)を発症する。
褥瘡は、長時間臥床している時に、骨の突出した部位の皮膚および軟部組織が、骨と病床との間で長時間の圧迫のために循環障害を起こし、壊死となった状態をいう。
上記のような症状に対するペプチドの効能としては、変形性関節炎に対する効能が報告されており、例えば、有効成分としてコラーゲンペプチド、グルコサミン塩を含み、pHが2〜5である関節強化飲料(特許文献1参照)、コラゲナーゼ酵素を用いてコラーゲン成分またはゼラチン成分を分解することにより得られる、アミノ酸配列がGly−X−Yのトリペプチドを有効成分とする慢性関節リウマチまたは変形関節症の改善剤(特許文献2参照)、コラーゲンおよびコラーゲンペプチドから選ばれた少なくとも1種と、アミノ糖と、ムコ多糖類およびウロン酸から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする経口関節障害治療剤または機能性食品(特許文献3参照)などが知られている。
特開2002−125638号公報 特開2002−255847号公報 特開2003−48850号公報
しかし、上記従来の技術は、変形性関節炎の予防ないし治療に、コラーゲンや、様々なペプチド分子の混合物であるコラーゲンペプチド、あるいは、特定のトリペプチドが有効であることを示すのみであり、変形性関節炎のみならず、骨粗しょう症、褥瘡なども含めた広い意味での疾病を予防ないし治療するのに有効なペプチド構造はこれまで知られていない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来とは視点を変え、骨粗しょう症、変形性関節症、褥瘡などの種々の疾病の抑制に有効なペプチド分子の本体、とりわけ、腸管での体内への吸収が容易で新規なジペプチドを探り出し、前記ジペプチドを必須の有効成分として含有する疾病抑制剤および前記ジペプチドを必須のジペプチドとして含有するコラーゲンペプチドを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、本願発明者が新規に見出したHyp−Glyの構造を有するジペプチドが、腸管での体内吸収が容易であり、かつ、疾病抑制剤の有効成分として働くこと、具体的には、例えば、破骨細胞の分化と活性化を抑制し、骨芽細胞の分化と活性化を亢進し、軟骨細胞の変性を抑制してその分化を調節することを見出し、骨粗しょう症、変形性関節症の抑制に有効であることを見出すとともに、このジペプチドが皮膚真皮中のトロポコラーゲン量を回復させ褥瘡をも抑制することを見出し、これらの事実を確認して、本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかるコラーゲンペプチドは、Hyp−Glyの構造を有するジペプチドを必須のジペプチドとして含有する、ことを特徴とする。
本発明にかかるジペプチドは、Hyp−Glyの構造を有する、ことを特徴とする。
本発明にかかる疾病抑制剤は、Hyp−Glyの構造を有するジペプチドを必須の有効成分として含有する、ことを特徴とする。
本発明によれば、骨粗しょう症、変形性関節症、褥瘡などの症状を有効に抑制することができる。
以下、本発明にかかるコラーゲンペプチド、ジペプチドおよび疾病抑制剤について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔ジペプチド、コラーゲンペプチド〕
本発明にかかるジペプチドは、Hyp−Glyの構造を有するものである。
本発明にかかるコラーゲンペプチドは、前記ジペプチドを必須のジペプチドとして含有するものである。例えば、後述するようにコラーゲンやゼラチンを酵素処理することにより得ることができる。
Hyp−Glyの構造を有するジペプチドは、ヒドロキシプロリン単位および/またはグリシン単位が化学修飾されていても良く、ヒドロキシプロリン単位については、水酸基が化学修飾されていても良い。
以上、本発明においては、「Hyp−Glyの構造を有するジペプチド」とは、化学修飾したものも化学修飾していないものも含む。また、以下では、「Hyp−Glyの構造を有するジペプチド」を単に「Hyp−Gly」と表記することがある(他のペプチドについても同様とする)。
Hyp−Glyが化学修飾されている場合、弱酸性から中性で溶解可能にでき、後述する他の有効成分との相溶性向上なども期待できる。具体的には、ヒドロキシプロリン残基の水酸基については、O−アセチル化などの化学修飾、グリシン残基のα−カルボキシル基については、エステル化、アミド化などの化学修飾が挙げられる。後述する他の有効成分の種類などに応じて、適切な化学修飾を選択すれば良い。
前記Hyp−Glyは、例えば、後述するように、コラーゲンやゼラチンを2段階に分けて酵素処理するか、アミノ酸から合成することにより得ることができ、化学修飾については、後述するような公知の手段が挙げられる。ただし、本発明にかかるジペプチドは、これらの方法以外の方法で得ても良く、例えば、下記2段階酵素処理法に代えて、1次酵素処理を省略した方法や、1次酵素処理および2次酵素処理を同時に行う方法であっても良いのである。
<コラーゲンまたはゼラチンの2段階酵素処理>
コラーゲンまたはゼラチンを一般的な方法で1次酵素処理した後に、2次酵素処理としてヒドロキシプロリダーゼ活性を有する酵素で反応させる2段階酵素処理によって、Hyp−Glyを含むコラーゲンペプチドを得ることができる。
この2段階酵素処理によれば、1次酵素処理によって、経口免疫寛容メカニズムを介した骨・軟骨組織の炎症緩和に有用な比較的分子量の大きなペプチドが生成し、2次酵素処理によって、例えば、x−Hyp−Glyの構造を有するペプチド(xはプロリン以外のアミノ酸残基を表す。)であれば、Hyp−Gly残基とx残基間のペプチド結合(Hypのアミノ基とxのカルボキシル基に由来するペプチド結合)が切断されてHyp−Glyが生成する。
前記コラーゲンとしては、特に限定するわけではないが、例えば、牛や豚などの哺乳動物由来のコラーゲンやサメや鯛などの魚類由来のコラーゲンが挙げられ、これらは、前記哺乳動物の骨、皮部分や前記魚類の骨、皮、鱗部分などから得ることができる。具体的には、前記骨、皮、鱗などに脱脂・脱灰処理、抽出処理などの従来公知の処理を施せば良い。
前記ゼラチンは、前記コラーゲンを熱水抽出などの従来公知の方法で処理することにより得ることができる。
前記コラーゲンやゼラチンの2段階酵素処理で用いる酵素としては、特に限定されないが、得られるジペプチドを特定保健用食品に利用する場合などを考慮すると、病原性微生物由来の酵素以外の酵素を用いることが好ましい。
1次酵素処理の処理条件としては、例えば、コラーゲンまたはゼラチン100重量部に対して酵素0.1〜5重量部用い、30〜65℃で1〜72時間処理することができる。
上記コラーゲンまたはゼラチンの1次酵素処理により得られるコラーゲンペプチドの平均分子量は、好ましくは200〜2000、より好ましくは200〜1800である。平均分子量が前記範囲にあれば、分子量の比較的大きなペプチドが充分に生成しているといえる。
1次酵素処理後に、必要に応じて酵素を失活させても良いが、この場合の失活温度としては、例えば、70〜100℃である。
前記1次酵素処理に用いる酵素としては、コラーゲンまたはゼラチンのペプチド結合を切断することが可能な酵素であれば、特に限定されないが、通常、タンパク質分解酵素あるいはプロテアーゼと呼ばれる酵素が用いられる。具体的には、例えば、コラゲナーゼ、チオールプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、メタルプロテアーゼなどが挙げられ、これらを単独で、あるいは複数組み合わせて用いることができる。前記チオールプロテアーゼとしては、植物由来のキモパパイン、パパイン、ブロメライン、フィシン、動物由来のカテプシン、カルシウム依存性プロテアーゼなどが知られている。また、前記セリンプロテアーゼとしては、トリプシン、カテプシンDなどが、前記酸性プロテアーゼとしては、ペプシン、キモトリプシンなどが知られている。
さらに、2次酵素処理では、例えば、酵素として、Aspergillus属由来のヒドロキシプロリダーゼ活性およびプロリラーゼ活性を有する酵素を用いた酵素反応がなされる。この反応により、1次酵素処理物には含まれていなかったHyp−Glyが生成する。
2次酵素処理の処理条件としては、例えば、1次酵素処理物100重量部に対して酵素0.01〜5重量部用い、30〜65℃で1〜72時間処理することができる。
上記2次酵素処理により得られるコラーゲンペプチドの平均分子量は、好ましくは200〜1500、より好ましくは200〜900である。この2次酵素処理は、Hyp−Glyの生成を主たる目的としており、1次酵素処理により得られるコラーゲンペプチドのうち、比較的大きなペプチドが過剰に加水分解されてしまわないように、前記平均分子量の範囲となるように2次酵素処理することが好ましい。
2次酵素処理後に酵素を失活させる必要があるが、失活温度としては、例えば、70〜100℃である。
前記2段階酵素処理により得られた加水分解物、もしくは、前記2段階酵素処理および発酵により得られた発酵生成物は、Hyp−Gly以外のアミノ酸やペプチド成分も含む混合物であるので、Hyp−Glyもしくはその塩を得る場合には、必要に応じて、分画・精製を行うようにしても良い。分画・精製の方法としては、特に制限はなく、例えば、限外濾過や、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーなどの各種液体クロマトグラフィーや、これらを組み合わせた方法などのような従来公知の方法にすれば良い。具体的には、例えば、以下のようにして分画・精製することができる。すなわち、まず、前記加水分解物あるいは発酵生産物の約2g/10mLをイオン交換カラム(例えば、DEAEトヨパール650Mカラム(東ソー社製)やSPトヨパール650Mカラム(東ソー社製)など)に2回に分けて負荷して、蒸留水で溶出されるボイドボリューム画分を回収する。次いで、回収した画分を前記イオン交換カラムとは逆のイオン交換基を有するカラム(例えば、SPトヨパール650Mカラム(東ソー社製)やDEAEトヨパール650Mカラム(東ソー社製)など)に負荷して、蒸留水で溶出されるボイドボリューム画分を回収する。次に、この画分をゲル濾過カラム(例えば、セファデックスLH−20カラム(ファルマシア社製)など)に負荷し、30%メタノール水溶液で溶出して化学合成品であるHyp−Glyが溶出する位置に相当する画分を回収する。本画分については、逆相カラム(例えば、μBondasphere 5μC18 300Åカラム(ウォーターズ社製)など)を装填した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、0.1%トリフルオロ酢酸を含む32%以下のアセトニトリル水溶液の直線濃度勾配により分画する。そして、回収したHyp−Gly画分を減圧乾固することにより、高純度のHyp−Glyを得ることができる。
<アミノ酸からの合成>
アミノ酸からHyp−Glyを合成することができる。
Hyp−Glyの合成法としては、一般的に、(1)固相合成法と(2)液相合成法(例えば、特開2003−183298号公報参照)があり、前者の場合は、さらに(A)Fmoc法と(B)Boc法の方法が知られているが、Hyp−Glyは、いずれの方法で合成してもよい。
固相法を一例として、以下に詳しく説明する。
ヒドロキシプロリンを担体ポリスチレンに固定し、アミノ基の保護としてFmoc基あるいはBoc基を使用する公知の固相合成法により合成することができる。すなわち、表面をアミノ基で修飾した直径0.1mm程度のポリスチレン高分子ゲルのビーズを固相として用い、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド(DIC)を用いた脱水反応によってFmoc(fluorenyl−methoxy−carbonyl)基でアミノ基を保護したヒドロキシプロリンにグリシンを結合(ペプチド結合)させた後、固相を溶媒でよく洗い、残ったグリシンなどを除去する。この後、固相に結合しているヒドロキシプロリン残基の保護基を除去(脱保護)することにより、Hyp−Glyを合成することができる。
<化学修飾>
Hyp−Glyは、化学修飾が施されているものであっても良い。化学修飾の具体的手段や処理条件は、通常のペプチドの化学修飾技術が適用される。
ヒドロキシプロリン残基の水酸基の化学修飾については、例えば、O−アセチル化は水溶媒中または非水溶媒中で無水酢酸を作用させることなどにより、行うことができる。
グリシン残基のα−カルボキシル基の化学修飾について、例えば、エステル化はメタノールへの懸濁後に乾燥塩化水素ガスを通気することなどにより、アミド化はカルボジイミドなどを作用させることにより、行うことができる。
化学修飾のその他の具体例として、特公昭62−44522号公報や特公平5−79046号公報等に記載の化学修飾技術が適用できる。
〔疾病抑制剤〕
本発明にかかる疾病抑制剤は、必須の有効成分としてHyp−Glyの構造を有するジペプチドを含む。疾病抑制剤としては、骨粗しょう症抑制剤、変形性関節炎抑制剤、褥瘡抑制剤などが好適に挙げられる。
本発明にかかる疾病抑制剤は、本発明にかかるジペプチドを有効成分として含むほか、本発明にかかるコラーゲンペプチドが含む本発明にかかるジペプチドを有効成分とするものであっても良い。そして、この場合においては、前記疾病抑制剤が、アミノ酸から化学合成したHyp−Glyや、コラーゲンやゼラチンの加水分解物であるコラーゲンペプチドから単離したHyp−Glyを含有する態様だけでなく、前記コラーゲンペプチドからHyp−Glyを単離せずにコラーゲンペプチドの形のまま含有する態様であってもよい。本発明にかかる疾病抑制剤は、このように、コラーゲンペプチドのまま含有させる形態も含めて、本発明にかかるジペプチドを有効成分とするものであり、これらのジペプチドを、コラーゲンペプチドの形で用いる場合を含めて併用することも可能である。
前記本発明にかかる疾病抑制剤全量に対し、前記Hyp−Glyを、0.001重量部以上の割合で配合することが好ましい。より好ましくは0.01重量部以上の割合で配合する。0.001重量部未満では本願発明の効果が充分に発現されないおそれがある。
さらに、本発明にかかる疾病抑制剤を患部に直接注入して用いる場合、前記Hyp−Glyの含量が1mmol/L以上であることが好ましい。
本発明にかかる疾病抑制剤は、Hyp−Glyを生理食塩水などで希釈したものであっても良く、充分に本発明の効果を得ることができるが、前記Hyp−Gly以外に、本発明の効果を害しない範囲で、適宜他の有効成分や製剤用の成分を含有させても良い。
前記他の有効成分としては、グルコサミンおよび/またはその塩、コンドロイチン硫酸などが挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、グルコサミンおよび/またはその塩は、Hyp−Glyによる疾病抑制効果を向上させる働きがあるため好ましい。
また、前記他の有効成分として、Hyp−Gly以外のペプチドやアミノ酸を含んでいても良く、例えば、比較的分子量の大きなペプチドは、慢性リウマチ性関節炎などに対して、経口免疫寛容メカニズムによる骨・軟骨組織の炎症を緩和するという効果を奏するので有用である。Hyp−Gly以外のペプチドやアミノ酸を含有させるためには、コラーゲンやゼラチンを加水分解してHyp−Glyを含有するコラーゲンペプチドを得た後、このコラーゲンペプチドを、Hyp−Glyを単離せずに、そのまま使用すればよい。
さらに、前記他の有効成分として、骨塩の沈着促進の目的で、カルシウムや糖転移ヘスペリジンなどを用いることができ、コラーゲンの合成・沈着促進などの目的でビタミンCなどを用いることもできる。
前記他の有効成分の配合量としては、疾病抑制剤全量に対して、0.001〜20重量部で用いることが好ましく、0.01〜20重量部の割合で用いることがより好ましい。特に、グルコサミンおよび/またはその塩の配合量を、疾病抑制剤全量に対して、5〜15重量部とすることが好ましい。5重量部未満ではHyp−Glyの効果を向上させる効果が充分に発揮されないおそれがあり、15重量部を超えると尿や糞中に排出され、過剰摂取となるおそれがある。
製剤化のための成分としては、例えば、結晶性セルロースなどの賦形剤などを用いることができ、その形態などに応じて適切な量を設定すれば良い。
本発明にかかる疾病抑制剤の使用形態としては、例えば、経口投与により摂取したり、患部へ直接注入したり、といった形態が挙げられる。Hyp−Glyは、腸管で迅速に吸収され、アミノ酸への分解もほとんど起こらないため、経口投与による摂取が好適である。
経口投与の場合には、Hyp−Glyと前記他の有効成分や製剤用の成分を混合したものを、従来公知の方法により、打錠成型によって錠剤としたり、その他、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥製剤などの任意の形態に調製することもできる。
患部へ直接注入する場合には、Hyp−Glyを生理食塩水などで希釈したものを用いるが、必要に応じて、さらに、前記他の有効成分を用いても良く、その濃度としては、上述の如く、Hyp−Glyの含量を1mmol/L以上とすることが好ましい。
本発明にかかる疾病抑制剤に必須の有効成分として含有されるジペプチドは、Hyp−Glyの構造を有するものであり、アミノ酸、Hyp−Gly以外の構造を有するジペプチド、Hyp−Glyに他のアミノ酸が結合したトリペプチド以上のペプチドなどとは異なる。前記Hyp−Glyの構造を有するジペプチドを含有させることで、優れた疾病抑制効果(骨粗しょう症、変形性関節炎、褥瘡などの症状の抑制効果)が発現される。
以上のことは、後述する実施例中の性能評価試験において、具体的に立証されている。
〔他のジペプチドとの併用〕
Hyp−Glyの疾病抑制効果は、他のジペプチドと併用することで相乗的に高めることができる場合がある。
例えば、Hyp−GlyとPro−Hypを併用することで、Hyp−Glyの疾病抑制効果を相乗的に高めることができる。
さらに、例えば、変形性関節炎などの疾病に対しては、Ala−Hypを併用することで、その効能を相乗的に高めることができる。
本発明にかかるコラーゲンペプチドとして、例えば、Hyp−GlyとPro−Hypをともに含有するコラーゲンペプチドを得るためには、基本的には、Hyp−Glyについて説明した2段階酵素処理法と同様の方法で、2次酵素処理で用いる酵素の種類のみを変更すればよい。このような酵素としては、例えば、Aspergillus属など由来のプロリダーゼ活性およびヒドロキシプロリダーゼ活性を有する酵素が挙げられる。
本発明にかかる疾病抑制剤において、Hyp−GlyとPro−Hypを併用する場合、両者の含有比率の好ましい範囲は、両者の合計を100重量%とするとき、Hyp−Glyが50〜90重量%、Pro−Hypが10〜50重量%である。
また、Hyp−Glyと他のジペプチドを併用する場合、前記本発明にかかる疾病抑制剤全量に対するジペプチドの配合割合は、例えば、ジペプチドの合計量が、0.001重量部以上の割合であることが好ましい。より好ましくは0.01重量部以上の割合で配合する。さらに、本発明にかかる疾病抑制剤を患部に直接注入して用いる場合、ジペプチドの合計含量が10μmol/L以上であることが好ましい。
他のジペプチドを併用することによる相乗効果について、本発明の疾病抑制剤が抑制し得る代表的な上記症状、すなわち、骨粗しょう症、変形性関節炎、褥瘡を例として、具体的に説明する。
骨粗しょう症は、前述のように、骨の吸収が破骨細胞によって行われ、破骨細胞の分化および活性化が顕著であるほど、骨の吸収率は高くなる一方で、骨の形成が骨芽細胞によって行われ、骨芽細胞の分化および活性化が顕著であるほど、骨の形成率は高くなる。したがって、破骨細胞の分化および活性化を抑制し、骨芽細胞の分化および活性化を亢進することで、骨粗しょう症を抑制することができる。そして、本発明者の知見によれば、Hyp−Gly、Pro−Hypは、破骨細胞、骨芽細胞の分化および活性化において、次のような働きを示す。
すなわち、まず、破骨細胞の分化および活性化のメカニズムについて説明すると、初めに、(i)複数の前駆破骨細胞が融合して多核巨細胞に分化する。この分化を触媒する酵素はTRAP(Tertaric Acid Resistant Acid Phosphatase:酒石酸耐性酸性リン酸エステル分解酵素)である。続いて、(ii)前記多核巨細胞(破骨細胞)が骨組織を溶解・分解する。前記メカニズムにおいて、Hyp−Glyは主として(i)を抑制し、Pro−Hypは(i)、(ii)の両方を抑制する。したがって、Hyp−Gly、Pro−Hypを併用することにより、これらが相乗的に作用して、より優れた効果を発揮することが示唆される。
また、骨芽細胞は、骨基質(I型コラーゲン)を合成・分泌し、この骨基質を、ALP(Alkaline Phosphatase:アルカリ性リン酸エステル分解酵素)が石灰化(Ca10(PO(OH):水酸化アパタイト)することにより、骨化を亢進する。このとき、Hyp−Glyが、前記ALP活性を亢進し、さらにPro−Hypを併用することで相乗効果によりHyp−Glyの亢進効果が促進され、それぞれのジペプチドを単独で用いるよりも優れた亢進効果を発現させることができる。
変形性関節炎は、(i)細胞増殖期、(ii)軟骨細胞分化/成熟期、(iii)肥大化軟骨細胞への分化(変性)期、(iv)石灰化およびこれを経たのちのアポトーシス(プログラム化された細胞死)の4期に順次分けられるが、(i)、(ii)においては、主としてPro−Hypが軟骨細胞への分化の亢進とその維持に寄与し、さらに(ii)ではHyp−Glyが前駆関節軟骨細胞の分化を調節し、肥大化軟骨細胞への分化(変性)を触媒し、かつ、特異マーカーでもあるALP(Alkaline Phosphatase:アルカリ性リン酸エステル分解酵素)の活性を抑制することにより、(iii)への移行を阻害する。ここで、本発明者の知見によれば、さらにAla−Hypを併用することで、(ii)におけるHyp−Glyの作用、すなわち、前駆関節軟骨細胞の分化の調節と、ALP活性の抑制が相乗的に高まる。このように、Hyp−Gly,Pro−Hypを併用し、さらに好ましくはAla−Hypをも併用することにより、相乗的に軟骨細胞の変性を抑制し、関節細胞の表現型を維持させることにより変形性関節症の抑制に寄与することが示唆される。
褥瘡の発症と治癒過程は、(i)炎症反応期、(ii)増殖期(肉芽形成期)、(iii)安定期の3期に順次分けられる。
すなわち、皮膚が損傷を受けると、(i)の炎症反応期において組織の断裂と血管の断裂が起こり、局所に出血するが、血液中の凝固因子などの作用と血管の収縮により止血する。ついで、リンパ球、単核球などが浸出液として血管から抜け出し、傷口へと移動する(細胞遊走)。ここで、Pro−Hypがリンパ球および単核球の細胞遊走を促進する機能を発揮する。単核球はマクロファージとなり、これがさらにさまざまな化学物質を放出して、次のシグナルの発生源となる。また、内因性コラゲナーゼ(例えば、MMP−13)により皮膚真皮中のコラーゲン線維が分解される。
つぎに、(ii)の増殖期において、マクロファージの活動で放出された化学物質や前述の内因性コラゲナーゼにより生じたコラーゲン分解断片ペプチド(例えば、Pro−HypとHyp−Gly)が刺激となり、線維芽細胞が呼び寄せられ、膠原線維(コラーゲン:トロポコラーゲンが主成分)が生成される。線維芽細胞、毛細血管、コラーゲンが共同作業を行い、傷口へ進出し、欠損面を埋め、創面を癒合する(肉芽組織形成)。ここで、Pro−HypとHyp−Glyの両者が相乗的にコラーゲン合成を亢進して肉芽組織形成を促進するが、特に(ii)の増殖期の初期過程で主にPro−Hypが生理機能を発揮し、後期過程で主にHyp−Glyが生理機能を発揮する。肉芽組織が形成されると、基底層以外の非増殖細胞が移動して一層の上皮細胞層を形成する。そして、この層の下に創縁から基底層の細胞が移動・増殖し、多層の上皮を形成した結果、上皮化が完成する。
最後に、(iii)の過程では、線維芽細胞の活性が平常に戻り、コラーゲンの生成が少なくなり、生成量と分解量がバランスを保ちながら定常状態に移行し、治癒を完成する。
本発明にかかるコラーゲンペプチドに含有されるジペプチドの上記のごとき働きは、後述する実施例中の性能評価試験における各種効果の実証からも示唆されている。
〔Pro−Hyp〕
上に述べたPro−Hypは、Hyp−Glyと併用する場合だけでなく、単独で用いた場合においても、骨粗しょう症、変形性関節炎、褥瘡などの症状を抑制する作用がある。
以下では、このPro−Hypについて、詳細に説明するが、Hyp−Glyに関しての上述の説明と重複する内容が多いため、主に相違点について説明することとする。
Pro−Hypは、プロリン単位および/またはヒドロキシプロリン単位が化学修飾されていても良く、特に、ヒドロキシプロリン単位については、カルボキシル基と水酸基のいずれか、または、両方が化学修飾されていても良い。
以上、本明細書において、「Pro−Hypの構造を有するジペプチド」、あるいは、これを略記して「Pro−Hyp」というとき、このものは化学修飾したものも化学修飾していないものも含む。
Pro−Hypが化学修飾されている場合、弱酸性から中性で溶解可能にでき、他の有効成分との相溶性向上なども期待できる。具体的には、プロリン残基のα−アミノ基については、ポリペプチジル化、スクシニル化、マレイル化、アセチル化、脱アミノ化、ベンゾイル化、アルキルスルホニル化、アリルスルホニル化、ジニトロフェニル化、トリニトロフェニル化、カルバミル化、フェニルカルバミル化、チオール化などの化学修飾、ヒドロキシプロリン残基のα−カルボキシル基については、エステル化、アミド化などの化学修飾、ヒドロキシプロリン残基の水酸基については、O−アセチル化などの化学修飾が挙げられる。他の有効成分の種類などに応じて、適切な化学修飾を選択すれば良い。
前記Pro−Hypを疾病抑制剤に配合する割合や、さらに、この疾病抑制剤を関節局部への注入用として用いる場合におけるPro−Hypの含量については、Hyp−Glyで述べた割合や含量と同様でよい。
前記Pro−Hypは、Hyp−Glyと同様に、例えば、コラーゲン、ゼラチンを2段階に分けて酵素処理するか、アミノ酸から合成することにより得ることができ、化学修飾については、後述するような公知の手段が挙げられる。
Pro−Hypを得るための酵素処理法としては、基本的には、Hyp−Glyについて説明した2段階酵素処理法と同様の方法で良いが、2次酵素処理には、例えば、Aspergillus属など由来のアミノペプチダーゼPおよびプロリダーゼ活性を有する酵素を用いるようにする。
Pro−Hypは、Hyp−Glyと同様に、アミノ酸から合成することができるが、この場合、上で説明したHyp−Glyの合成法において、単に、ヒドロキシプロリンに代えてプロリンを用い、グリシンに代えてヒドロキシプロリンを用いればよい。
先に述べたとおり、Pro−Hypは、化学修飾が施されているものであっても良い。化学修飾の具体的手段や処理条件は、通常のペプチドの化学修飾技術が適用される。
プロリン残基のα−アミノ基の化学修飾について、例えば、ポリペプチジル化はN−カルボン酸無水物などとの反応により、スクシニル化あるいはマレイル化はpH8付近で無水コハク酸あるいは無水マレイン酸などと反応させることにより、アセチル化は中性付近でN−ヒドロキシスクシンイミドアセテートなどと反応させることにより、脱アミノ化は亜硝酸などを作用させることにより、ベンゾイル化は塩化ベンゾイルまたは無水安息香酸などを作用させることにより、アルキルスルホニル化あるいはアリルスルホニル化はベンゼンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライド、メタンスルホニルクロライドなどと反応させることにより、ジニトロフェニル化あるいはトリニトロフェニル化は2,4−ジニトロフルオロベンゼン、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸などを作用させることにより、カルバミル化あるいはフェニルカルバミル化はシアン酸などを作用させることにより、チオール化はN−アセチルホモシスティンチオラクトン、S−アセチルメルカプトコハク酸無水物、チオパラコン酸、S−アセチルチオイタマル酸無水物などを作用させることにより、行うことができる。
ヒドロキシプロリン残基のα−カルボキシル基の化学修飾について、例えば、エステル化はメタノールへの懸濁後に乾燥塩化水素ガスを通気することなどにより、アミド化はカルボジイミドなどを作用させることにより、行うことができる。
ヒドロキシプロリン残基の水酸基の化学修飾については、例えば、O−アセチル化は水溶媒中または非水溶媒中で無水酢酸を作用させることなどにより、行うことができる。
化学修飾のその他の具体例として、特公昭62−44522号公報や特公平5−79046号公報等に記載の化学修飾技術が適用できる。
有効成分としてPro−Hypを含む疾病抑制剤の詳細については、有効成分としてHyp−Glyを含む疾病抑制剤に関して述べたことと共通するので、説明を省略する。
〔Ala−Hyp〕
上に述べたAla−Hypは、Hyp−Glyと併用する場合だけでなく、単独で用いた場合においても、変形性関節炎などの症状を抑制する作用がある。
以下では、このAla−Hypについて、詳細に説明するが、Hyp−GlyやPro−Hypに関しての上述の説明と重複する内容が多いため、主に相違点について説明することとする。
Ala−Hypは、アラニン単位および/またはヒドロキシプロリン単位が化学修飾されていても良く、特に、ヒドロキシプロリン単位については、カルボキシル基と水酸基のいずれか、または、両方が化学修飾されていても良い。
以上、本明細書において、「Ala−Hypの構造を有するジペプチド」、あるいは、これを略記して「Ala−Hyp」というとき、このものは化学修飾したものも化学修飾していないものも含む。
Ala−Hypが化学修飾されている場合、弱酸性から中性で溶解可能にでき、他の有効成分との相溶性向上なども期待できるが、基本的には、上述のPro−Hypと同様の化学修飾が可能である。すなわち、アラニン残基のα−アミノ基については、上述のPro−Hypにおけるプロリン残基のα−アミノ基と同様の化学修飾、ヒドロキシプロリン残基のα−アミノ基および水酸基については、上述のPro−Hypにおけるヒドロキシプロリン残基のα−アミノ基および水酸基と同様の化学修飾が可能である。他の有効成分の種類などに応じて、適切な化学修飾を選択すれば良い。
前記Ala−Hypを疾病抑制剤に配合する割合や、さらに、この疾病抑制剤を関節局部への注入用として用いる場合におけるAla−Hypの含量については、Hyp−Glyで述べた割合や含量と同様でよい。
前記Ala−Hypは、Hyp−Glyと同様に、例えば、コラーゲン、ゼラチンを2段階に分けて酵素処理するか、アミノ酸から合成することにより得ることができ、化学修飾については、後述するような公知の手段が挙げられる。
Ala−Hypを得るための酵素処理法としては、基本的には、Hyp−Glyについて説明した2段階酵素処理法と同様の方法で良いが、2次酵素処理には、例えば、Aspergillus属など由来のプロテイナーゼ活性およびヒドロキシプロリラーゼ活性を有する酵素を用いるようにする。
Ala−Hypは、Hyp−Glyと同様に、アミノ酸から合成することができるが、この場合、上で説明したHyp−Glyの合成法において、単に、ヒドロキシプロリンに代えてアラニンを用い、グリシンに代えてヒドロキシプロリンを用いればよい。
先に述べたとおり、Ala−Hypは、化学修飾が施されているものであっても良い。化学修飾の具体的手段や処理条件は、通常のペプチドの化学修飾技術が適用される。アラニン残基のα−アミノ基については、上述のPro−Hypにおけるプロリン残基のα−アミノ基と同様に、ヒドロキシプロリン残基のα−アミノ基および水酸基については、上述のPro−Hypにおけるヒドロキシプロリン残基のα−アミノ基および水酸基と同様にして化学修飾すれば良い。
有効成分としてAla−Hypを含む疾病抑制剤の詳細については、有効成分としてHyp−Glyを含む疾病抑制剤に関して述べたことと共通するので、説明を省略する。
以下に、本発明にかかるジペプチドまたはこれを含むコラーゲンペプチドの性能評価試験と、前記ジペプチドを有効成分とする疾病抑制剤の配合例によって、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「重量%」を「%」と記すことがある。

〔ジペプチド〕
<実施例1>
前述の固相法によりHyp−Glyを合成した。
すなわち、表面をアミノ基で修飾した直径0.1mm程度のポリスチレン高分子ゲルのビーズを固相として用い、縮合剤としてジイソプロピルカルボジイミド(DIC)10部を用いた脱水反応によってFmoc(fluorenyl−methoxy−carbonyl)基でアミノ基を保護したヒドロキシプロリン45部にグリシン45部を結合(ペプチド結合)させた後、固相を溶媒(エチルアルコール)でよく洗い、残ったグリシンなどを除去した。この後、固相に結合しているヒドロキシプロリン残基の保護基をトリフルオロ酢酸の温浸により除去(脱保護)することにより、Hyp−Glyを合成した。
このジペプチド合成には、Libertyペプチド合成システム(CEM社製)を使用した。
<実施例2>
実施例1のHyp−Gly、および、後述する参考例1−1のPro−Hypの1:1混合物(重量基準)を実施例2とした。
<実施例3>
実施例1のHyp−Gly、後述する参考例1−1のPro−Hyp、および、後述する参考例1−2のAla−Hypの1:1:1混合物(重量基準)を実施例3とした。
<参考例1−1>
上記Hyp−Glyの合成法において、ヒドロキシプロリンをプロリン、グリシンをヒドロキシプロリンに変更する以外は同様にして、Pro−Hypを合成し、これを参考例1−1とした。
<参考例1−2>
上記Hyp−Glyの合成法において、ヒドロキシプロリンをアラニン、グリシンをヒドロキシプロリンに変更する以外は同様にして、Ala−Hypを合成し、これを参考例1−2とした。
<比較例1>
上記Hyp−Glyの合成法において、ヒドロキシプロリンをロイシン、グリシンをヒドロキシプロリンに変更する以外は同様にして、Leu−Hypを合成し、これを比較例1とした。
<比較例2>
上記Hyp−Glyの合成法において、ヒドロキシプロリンをフェニルアラニン、グリシンをヒドロキシプロリンに変更する以外は同様にして、Phe−Hypを合成し、これを比較例2とした。
<比較例3>
上記Hyp−Glyの合成法において、ヒドロキシプロリンをセリン、グリシンをヒドロキシプロリンに変更する以外は同様にして、Ser−Hypを合成し、これを比較例3とした。
〔トリペプチド〕
<比較例4>
上記Hyp−Glyの合成法において、ヒドロキシプロリンをプロリン、グリシンを実施例1で合成したHyp−Glyに変更する以外は同様にして、Pro−Hyp−Glyを合成し、これを比較例4とした。
〔アミノ酸〕
<比較例5,6>
アミノ酸であるプロリンを比較例5、ヒドロキシプロリンを比較例6とした。

〔コラーゲンペプチド〕
<実施例4>
以下に示す方法に従って、Hyp−Glyを含有する豚皮由来のコラーゲンペプチド(PC)を得、これを実施例4とした。
豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを75℃の温水4Lに溶解させ、60℃に温度調節した後、1次反応として、黄色コウジカビ由来プロテアーゼ10gを添加し、pH5.0〜6.0、温度45〜55℃で120分間保持することにより酵素加水分解処理を行った。次いで、2次酵素反応として、これにヒドロキシプロリダーゼ活性を有するAspergillus oryzae抽出酵素を終濃度1.5%で添加し、これを可溶化した後、50℃で6時間反応させた。反応後、この反応液を10分間100℃に加熱処理し、その後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いて濾過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥し、豚皮由来のコラーゲンペプチド(PC)を得た。
このPCを、薄層クロマトグラフィー(TLC)に供した。すなわち、TLCプレート(商品名「Cellulose F」、メルク社製)に、水に可溶化したPCを、10μg滴下し(スポット原点)乾燥させた後、溶媒(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)で展開した。このプレートを風乾した後、イサチン−酢酸亜鉛発色液(イサチン1g,酢酸亜鉛1.5gをイソプロパノール100mLに加温して溶かし、冷却後酢酸1mLを加えて調整)を同プレートに噴霧することにより、上記で得られたPCの青色のスポットのRf値([スポット原点から発色スポットまでの距離]÷[スポット原点から溶媒展開フロントまでの距離])が、同一プレートにスポットした内部マーカーであるHyp−GlyとPro−Hypのうち、Hyp−Glyの青色スポットのRf値と一致すること、すなわち、このPCがHyp−Glyを含むことを確認した。
なお、アミノ酸配列が既知の豚皮由来のI型コラーゲン(重量(X)g)に含まれるHyp−Glyの配列の和(Y)をカウントし、下記式より該I型コラーゲン全体中の理論含有量を求めたところ、20.0重量%であった。
((Hyp−Glyの数(Y))×(Hyp−Glyの重量(分子量)))/(全配列の重量(X))
以上のことから、前記PCは、理論的に、Hyp−Glyを最大20.0重量%含むものである。
<実施例5>
魚鱗由来ゼラチンを用いたこと以外は、前記PCの製造と同様の操作により、Hyp−Glyを含有する魚鱗由来のコラーゲンペプチド(FC)を得、これを実施例5とした。
このFCを前記PCの場合と同様にTLCにより分析したところ、Hyp−Glyの存在が確認された。
なお、アミノ酸配列が既知の魚鱗由来のI型コラーゲン(重量(X)g)に含まれるHyp−Glyの配列の和(Y)をカウントし、下記式より該I型コラーゲン全体中の理論含有量を求めたところ、23.5重量%であった。
((Hyp−Glyの数(Y))×(Hyp−Glyの重量(分子量)))/(全配列の重量(X))
以上のことから、前記FCは、理論的に、Hyp−Glyを最大23.5重量%含むものである。
<実施例6>
以下に示す方法に従って、Hyp−Glyを含有する豚皮由来のコラーゲンペプチド(PC−CP)を得、これを実施例6とした。
豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)4Lに加温しながら溶解させたのち、40℃に冷却し、1次酵素反応として、1gのコラゲナーゼ(新田ゼラチン社製、Collagenase N2)を添加後、pH7.0〜7.8、40℃で24時間保持することにより酵素分解処理を行った。次いで2次酵素反応として、この反応液にヒドロキシプロリダーゼ活性を有するAspergillus niger抽出酵素を終濃度1.0%で添加し、これを可溶化した後、pH4.0、50℃で6時間反応させた。反応後、この反応液を10分間100℃に加熱処理し、その後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いて濾過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥し、PC−CPを得た。
また、このPC−CPを前記PCの場合と同様にTLCにより分析したところ、Hyp−Glyの存在が確認された。
なお、アミノ酸配列が既知の豚皮由来のI型コラーゲン(重量(X)g)に含まれるHyp−Glyの配列の和(Y)をカウントし、下記式より該I型コラーゲン全体中の理論含有量を求めたところ、20.0重量%であった。
((Hyp−Glyの数(Y))×(Hyp−Glyの重量(分子量)))/(全配列の重量(X))
以上のことから、前記PC−CPは、理論的に、Hyp−Glyを最大20.0重量%含むものである。
<実施例7>
以下に示す方法に従って、Hyp−GlyおよびPro−Hypを含有する豚皮由来のコラーゲンペプチド(PC−PH)を得、これを実施例7とした。
豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを75℃の温水4Lに溶解させ、60℃に温度調節した後、1次酵素反応として、黄色コウジカビ由来プロテアーゼ10gを添加し、pH5.0〜6.0、温度45〜55℃で120分間保持することにより酵素加水分解処理を行った。次いで、2次酵素反応として、これにプロリダーゼ活性およびヒドロキシプロリダーゼ活性を有するAspergillus niger抽出酵素を終濃度1.5%で添加し、これを可溶化した後、pH4.5〜5.5、温度45〜50℃で6時間反応させた。反応後、この反応液を10分間100℃に加熱処理し、その後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いて濾過し、得られた母液を120℃で3秒間高温殺菌処理した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥し、PC−PHを得た。
また、このPC−PHを前記PCの場合と同様にTLCにより分析したところ、PC−PHの青色スポットのRf値が、Hyp−GlyおよびPro−Hypの各青色スポットのRf値と一致し、PC−PHがHyp−GlyおよびPro−Hypをともに含有することが確認された。
<比較例7>
前記したPC−CPの製造における1次酵素反応のみを行って、Hyp−Gly、Pro−Hypのいずれも含有しないコラーゲンペプチド(PC−CP−Cont)を得、これを比較例7とした。
すなわち、豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)4Lに加温しながら溶解させたのち、40℃に冷却し、1次酵素反応として、1gのコラゲナーゼ(新田ゼラチン社製、Collagenase N2)を添加後、pH7.0〜7.8、40℃で24時間保持することにより酵素分解処理を行った。次いで、酵素加水分解処理で得られた溶液を10分間100℃に加熱処理し、その後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いて濾過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥し、PC−CP−Contを得た。
また、このPC−CP−Contを前記PCの場合と同様にTLCにより分析したところ、Hyp−Gly、Pro−Hypのいずれの存在も確認できなかった。

〔性能評価試験〕
上記実施例1〜7、参考例1−1,1−2、比較例1〜7にかかる各ジペプチド、トリペプチド、アミノ酸、コラーゲンペプチドを用いて行った各性能評価試験の詳細を以下に示す。
<評価試験1−1:破骨細胞の分化および活性化の抑制>
Kobayashi Y.らの破骨細胞分化培養法[J.Bone Miner.Metab.(2004)22:p.318−328]に準じて評価した。
すなわち、Hyp−Gly,Hyp−GlyおよびPro−Hypの1:1混合物を用い、それぞれをマウス初代骨髄細胞培養液に終濃度625μMとなるように添加し、培養から6日後にマーカー酵素である酒石酸耐性酸性リン酸エステル加水分解酵素(TRAP)の各抑制活性を調べた。同様にして、他のジペプチド(Pro−Hyp,Ala−Hyp,Leu−Hyp,Phe−Hyp,Ser−Hyp)、トリペプチド(Pro−Hyp−Gly)、アミノ酸(Pro,Hyp)を用いたときのTRAP抑制活性を調べた。さらに、対照として、ペプチド無添加(ブランク)のときのTRAP抑制活性も調べた。
また、さらに、各種ペプチド、アミノ酸による破骨細胞の分化および活性化の抑制度を、次のPitアッセイにより評価した。すなわち、破骨細胞を象芽片上で培養するPitアッセイは、Kakudo S,et al(1996).J.Bone Miner.Metab.14:129−136に準じて実施した。具体的には以下のとおりである。
若令マウス腸管骨由来の破骨細胞の前駆細胞と骨髄ストローマ細胞含有浮遊液を、10%DMSO存在下、−80℃で凍結保存して、成熟破骨細胞を死滅させた。
この細胞2.0×10を、象牙片をセットした96ウエルプレートの各ウエルに播きこみ、各被験ペプチドを培養液に添加して37℃、5%COで約1週間培養した。その後、シリコン製ラバーポリスマンで象牙片から細胞を除去した後、酸ヘマトキシリン溶液で象牙片を数分間染色した。この時、TRAP染色によりTRAP染色陽性多核巨細胞(破骨細胞)数を計測し、対照(ブランク)でのその細胞数に対する相対数を算出した。その後、顕微鏡下にて破骨細胞によるPit数(吸収窩の数)を計測し、ブランク(対照)に対する相対比によって各被験ペプチドの破骨細胞の活性抑制度を表示した。
結果を表1に示す。
Figure 2010106003
<評価試験1−2:骨芽細胞の分化および活性化の亢進>
骨芽細胞株MC3T3−E1培養液に、デキサメタゾン(終濃度1nmol/L)、β−グリセロリン酸(終濃度5mmol/L)、アスコルビン酸(終濃度100μg/mL)をそれぞれ加えた後、Hyp−Gly,Hyp−GlyおよびPro−Hypの1:1混合物を用い、これらを前記培養液に終濃度2.5mmol/Lとなるように添加し、培養から10日後に骨芽細胞の分化および石灰化のマーカー酵素であるアルカリフォスファターゼ(ALP)の各亢進活性を調べた。同様にして、他のジペプチド(Pro−Hyp,Ala−Hyp,Leu−Hyp,Phe−Hyp,Ser−Hyp)、トリペプチド(Pro−Hyp−Gly)、アミノ酸(Pro,Hyp)を用いたときのALP亢進活性を調べた。さらに、対照として、ペプチド無添加(ブランク)のときのALP亢進活性も調べた。結果を表2に示す。
Figure 2010106003
<評価試験1−3:軟骨細胞の変性の抑制>
Hyp−Gly,Hyp−GlyおよびPro−Hypの1:1混合物、Hyp−Gly,Pro−HypおよびAla−Hypの1:1:1混合物を用い、各ジペプチドを前駆軟骨細胞株ATDC5培養液に終濃度2.5mmol/Lとなるように添加し、培養から5日後に肥大化軟骨および石灰化のマーカー酵素であるアルカリフォスファターゼ(ALP)の各抑制活性を調べた。同様にして、他のジペプチド(Pro−Hyp,Ala−Hyp,Leu−Hyp,Phe−Hyp,Ser−Hyp)、トリペプチド(Pro−Hyp−Gly)、アミノ酸(Pro,Hyp)を用いたときのALP活性を調べた。さらに、対照として、ペプチド無添加(ブランク)のときのALP活性も調べた。結果を表3に示す。
Figure 2010106003
<評価試験1−4:皮膚真皮中のトロポコラーゲン量の回復>
ウィスター系雄ラット(140g)を、3日間、市販固形食(TypeMF、オリエンタル酵母社製)により予備飼育した後、カゼイン食に切り替え、3日後に皮膚創傷を発症させた。
前記皮膚創傷は、ラットの腹部に除毛処理を3日間施すことにより発症させるようにし、具体的には、ラットにネンブタール(4mg/0.08mL/100gBW)を腹腔内投与して麻酔した後、腹部(約3×5cm)に対しバリカンによる毛刈りを行った。さらに、市販の除毛剤(Epilat除毛クリーム、カネボウ社製)を塗付し、5分間放置した後、剃刀で丁寧に剃った。この処理は、皮膚試料の採取開始の3日前から1日1回、3日間連続して行った。
試験群を、カゼイン食群、Hyp−Gly群,(Hyp−Gly)+(Pro−Hyp)群(Hyp−GlyおよびPro−Hypの1:1混合物),PC群,FC群,PC−CP群,PC−PH群に分け、各群ごとに、除毛処理当日(除毛処理後0日目)、除毛処理から1日後、除毛処理から2日後、除毛処理から4日後における、皮膚創傷回復過程の皮膚コラーゲン量の推移(総コラーゲン量当たりの比率)を測定した。
各群の食餌組成を表4に示す。
Figure 2010106003
上記食餌組成でラットを飼育するようにし、飼育期間を通して食餌および水は自由摂取とした。
さらに、Hyp−Gly群,(Hyp−Gly)+(Pro−Hyp)群(Hyp−GlyおよびPro−Hypの1:1混合物),PC群,FC群,PC−CP群,PC−PH群では、食餌に配合した各Hyp−Gly,PC,FC,PC−CP,PC−PHと同一のものを10g精秤し、蒸留水20mLで保温溶解したものを各試験群のラットに1日1回正午にゾンデを用いて胃内投与した。
各群の皮膚創傷回復過程の皮膚コラーゲン量の推移(総コラーゲン量当たりの比率)の測定結果を表5に示す。
Figure 2010106003
ここで、皮膚可溶性コラーゲンの定量は、下記のようにして行った。
皮膚下の脂肪を可能な限り除去しながら処理皮膚と未処理皮膚をトリミングした。解剖用はさみで丹念に細切し、約0.2から0.3gを精秤し、14mL容遠沈管に採取した。これに冷0.45M塩化ナトリウム溶液4mLを加えてポリトロンホモゲナイザー(speed No4)で20秒間、氷冷しながらホモゲナイズした。さらに、冷0.45M塩化ナトリウム溶液2mLを加えて、冷蔵室内で回転撹拌機(TAITEC社製)を用いて24時間の抽出を行った。抽出液を冷却遠心機で20,000g、20分間遠心して上清液を採取し、中性塩可溶性コラーゲン画分とした。遠心残渣に冷0.5M酢酸を6mL加え、同様に24時間の抽出を行った。0.5M酢酸抽出液を冷却遠心機で20,000g、20分間遠心して上清液を採取し、酸可溶性コラーゲン画分とした。その遠心残渣は不溶性コラーゲン画分とした。
中性塩可溶性コラーゲン画分と酸可溶性コラーゲン画分の各5mLには同じ容積の濃塩酸5mLを加え、不溶性コラーゲン画分には濃塩酸1mLを加え60℃で5分間加温溶解させ、さらに6N塩酸2mLで3回洗浄しながらガラス製加水分解用試験管に移し、110℃で24時間、加水分解を行った。
そして、各コラーゲン画分の加水分解液中に含まれるヒドロキシプロリン量を比色定量することにより、各コラーゲン画分の定量を行い、これら各コラーゲン画分の総和に対する前記中性塩可溶性コラーゲン画分の相対比を算出した。
上記ヒドロキシプロリン量の比色定量は、Firschein and Shill法により行い、具体的には、以下のようにして行った。
試料溶液2mLに2−プロパノール2mLを加え、十分に撹拌した。ここに酸化剤であるクロラミンT液0.5mLを加えて正確に4分間放置した後、氷冷した。ここにp−ジメチルアミノベンズアルデヒド溶液5mLを加えて、十分に撹拌した後、沸騰水浴中で正確に2分間加熱した。その後、直ちに氷冷し、1時間放置した後、波長575nmで比色定量した。
なお、クロラミンT液は、クロラミンT(5g)を蒸留水50mLに溶解調整し、冷蔵保存しておき、使用直前に酢酸緩衝液(pH6.0)で1:4に希釈して用いた。また、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド溶液(エーリッヒ溶液)は、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド粉末20gに濃塩酸22mLを加えて沸騰水中で加熱溶解し、直ちに氷水中にて冷却し、2−プロパノール122mLを加えて撹拌溶解し調製した。
<評価試験1−5:腸管吸収性>
ウィスター系雄ラット(170g)を一晩絶食させて実験に供した。検体試料には、Hyp−Gly,Pro−Hyp,Ala−Hyp,Ser−Hypを各215nmol/10mL用い胃内投与した。
試験方法としては、ラットの心臓と門脈にカニューレを装着して1方向性灌流を行った。灌流液としては、NaCl 9.0g、5.75%KCl 8mL、10.55%KHPO 2mL、19%MgSO 2mL、NaHCO 2.73g、グルコース3.43g、水1255mLからなるクレブス−リンガー重炭酸液(KRB液,pH7.4)に、前記KRB液500mLに対して牛血清アルブミン10g、デキサメタゾン(0.123mg/mL)0.5mL、ノルアドレナリン(0.024mg/mL)0.5mLを加えたものを用いた。
門脈から採取された灌流試料溶液5.0mLに30%スルフォサリチル酸を0.5mL加え、激しく撹拌し、冷蔵庫で一晩放置した。この試料を3000rpmで10分間遠心分離し、除タンパク質を行った。遠心上澄液について、その0.5mL中のヒドロキシプロリン量を比色定量することにより、遊離型Hyp量を得た。
さらに、前記遠心上澄液3.0mLをネジ口試験管に秤取し、これに当量の濃塩酸を加え、110℃で24時間加水分解した。エバポレーターで濃縮乾固し、塩酸を除去し、5mLの蒸留水に溶解し、飽和水酸化リチウム溶液を数滴加えてpH5〜7に調整し、10mLに定容した。この溶液2mLについて、ヒドロキシプロリン量を比色定量することにより、総Hyp量を得た。加水分解後の総Hyp量から、加水分解前の遊離型Hyp量を差し引いて得られる値がペプチド態Hyp量となる。このペプチド態Hyp量から、検体試料の各ジペプチドがラット門脈灌流液中に吸収された定量値をまず確認した。
上記において、ヒドロキシプロリン量の比色定量は、評価試験1−4で具体的に説明したFirschein and Shill法により行った。
さらに、ラット門脈灌流液中に回収されたジペプチド、すなわち、腸管吸収された各Hyp−Gly,Pro−Hyp,Ala−Hyp,Ser−Hypの同定、定量を下記によるHPLC分析および質量分析(LC/MS/MS)を用いて行った。
(HPLC分析)
灌流液中のジペプチドの分析を逆相HPLC分析により行った。HPLC装置としては、送液ポンプ、デカッサ、オートサンプラ、カラムオープン、紫外部分光光度計、プリンター、システムコントローラーから構成される日本分光社製のLCSS−905システムを用いた。逆相カラムは、Nova Pak C18(3.9×150mm)を用いた。
0.1%TFA含有アセトニトリル−水系のリニアグラディエント移動層を用い、試料注入量は70μL、流速は1mL/minであった。
(LC/MS/MS分析)
HPLC装置としてはU980HPLC(日本分光社製)を用い、この装置はODS(C18)カラム(Mightysil RP−18,2×250mm、Kanto Chemical Co Ltd社製)を装着している。移動相溶媒としては、0.2%蟻酸含有アセトニトリル−水系とし、リニアグラディエントにより40分間で0%から40%アセトニトリルまで濃度を上昇させ、100%アセトニトリルで10分間洗浄を行った。試料注入量は10μLであり、カラム温度は40℃であった。
MS分析は、4チャンネルのMultiple Reaction Monitoring法によるQuattro LC質量分光光度計(Micromass,Manchester,UK)によるMS/MS方式で行った。すなわち、HPLCからの溶出液を[M+H]であるm/zとそのフラグメントイオン種のm/sでモニターした。Pro−Hypについては[M+H]m/z:229.1>132.1を、Ser−Hypについては[M+H]m/z:219.1>132.1を、Ala−Hypについては[M+H]m/z:203.1>132.1を、Hyp−Glyについては[M+H]m/z:189.1>86.1を、それぞれ用いてモニターした。
灌流液を最終濃度3%のスルフォサリチル酸処理し、除タンパク質を行った。上清液を凍結乾燥し、乾燥粉末10mgを蒸留水に溶解し、陽イオン交換樹脂カラム処理し、アンモニア溶出画分を得た。この画分の溶媒を除去し、蒸留水に溶解し、LC/MS/MS分析した。
結果は、表6に示すとおりであった。
Figure 2010106003
<評価試験1−6>
10週令のC57BL/6Jマウスに、下記表7に示す組成で各々飼料を経口摂取させた。
Figure 2010106003
この試験においては、表7中、Hyp−Gly添加群として、Hyp−Gly([Hyp−Gly]群)を用い、[(Hyp−Gly)+(Pro−Hyp)]添加群として、Hyp−GlyとPro−Hypの1:1混合物([(Hyp−Gly)+(Pro−Hyp)]群)を用いた。マウスを3週間後に屠殺し、各群の大腿骨・脛骨関節部のμCT(卓上型マイクロCTスキャナ SKYSCAN1172、SKYSCAN社製)像から関節腔の幅を測定し、非脱灰ヘマトキシリン染色切片からマトリクス構造評価および細胞状態を評価した。比較のために、表7中の(Pro+Hyp)添加群として、プロリンとヒドロキシプロリンの遊離アミノ酸混合物を用いた遊離アミノ酸混合物添加群([Pro+Hyp]群)を用いて、同様の操作、評価を行った。
結果を表8に示す。
Figure 2010106003
<評価試験1−7>
Hyp−Gly単独([Hyp−Gly]群)、Hyp−GlyとPro−Hypの1:1混合物([(Hyp−Gly)+(Pro−Hyp)]群)のそれぞれについて、終濃度5mmol/Lとなるように生理食塩水に可溶化したのち、濾過滅菌した。これらの溶液0.5mlを、10週令のC57BL/6Jマウスに上記表7の組成で飼料を3週間与えたC群に対して、その左大腿骨・脛骨関節腔に注射した。1週間後に屠殺し、左右の大腿骨−脛骨関節腔部の非脱灰マイヤーヘマトキシリン染色切片を作成し、病理評価した。同様にして、注射した後、3週間後に屠殺した場合についても、左右の大腿骨−脛骨関節腔部の非脱灰マイヤーヘマトキシリン染色切片を作成し、前記評価試験1−6でのN群の病理切片と比較して病理評価した。
結果を表9に示す。
Figure 2010106003
<性能評価試験の結果の考察>
上記結果に見るように、対照(ブランク)との比較から、Hyp−Glyが、破骨細胞の分化と活性化を抑制し(表1)、骨芽細胞の分化と活性化を亢進し(表2)、軟骨細胞の変性を抑制してその分化を調節し(表3)、皮膚真皮中のトロポコラーゲン量を回復させる(表5)ことが分かる。そして、その効果は、比較例にかかる他のペプチド、アミノ酸、トリペプチドよりも優れている。
また、Hyp−Glyは、Ser−Hyp,Ala−Hypと比較して、極めて迅速にかつ安定的に(アミノ酸に分解されずに)腸管吸収されることが分かる(表6)。
そして、表8,9に示す結果からは、本発明にかかるジペプチドであるHyp−Gly単独の場合またはPro−Hypとの併用の場合において、関節軟骨の変性を抑制したり、あるいは、関節軟骨の再生を促進したりすることが分かる。
さらに、Hyp−GlyとPro−Hypを併用した場合には、それぞれ単独の効果から期待される以上の効果が発揮されていることが分かり、その相乗効果が認められる(表1〜3,5)。特に、骨芽細胞の活性化の亢進(表2)、軟骨細胞の変性抑制(表3)においては、Hyp−Gly単独、Pro−Hyp単独のいずれよりも優れた効果を発揮している。
軟骨細胞の変性抑制(表3)については、Hyp−Gly、Pro−HypおよびAla−Hypの3者併用の場合が、他のいずれよりも優れた結果を示しており、Ala−Hypをも併用することによる顕著な相乗効果が認められる。
なお、Pro−Hypは、表1におけるプラスティックシャーレ上での評価や、表2の「ALPの相対値(%)」の評価では、Hyp−Glyのような顕著な効果は認められないが、表1における象牙片上での評価から、破骨細胞の分化および活性化を抑制することは明らかであり、したがって、骨粗しょう症の抑制に有効であることが分かる。さらに、Pro−Hypは、表3に見るように、軟骨細胞の変性を抑制する効果にも優れていることが分かる。
表3に示す結果からは、Ala−Hypが、単独で、軟骨細胞の変性抑制に有効であることも分かる。
また、Pro−Hypは、Hyp−Glyと同様に、Ser−Hyp,Ala−Hypと比較して、極めて迅速にかつ安定的に(アミノ酸に分解されずに)腸管吸収されることが分かる(表6)。

〔疾病抑制剤〕
上記に述べた本発明にかかるジペプチドまたはコラーゲンペプチドを用いて、本発明にかかる疾病抑制剤を得た。それらの配合例を以下に示す。
<実施例8〜13>
表10に示す配合で、各材料を混合し、賦形剤としての結晶性セルロースを、表10に記載の配合全体に対して10部の割合で用いて、常法により打錠成形することにより、経口用として用いうる、実施例8〜13にかかる疾病抑制剤を得た。なお、表10におけるHyp−Glyは実施例1、Pro−Hypは参考例1−1の合成ジペプチドであり、PC,FC,PC−CP,PC−PHはそれぞれ実施例4〜7、PC−CP−Contは比較例7のコラーゲンペプチドである。
Figure 2010106003
<実施例14>
上記実施例4のPCを用いてチュアブルタイプのタブレットを製造した。
具体的には、下記配合成分を混合し、打錠成型器を用いて、一粒0.8gのチュアブルタイプのタブレットを調製した。このチュアブルタイプのタブレットは、全量を100重量%としたとき、約10.0重量%のHyp−Glyを有効成分として含有するものであった。
PC 50.0kg
アスコルビン酸 10.0kg
ミクロカルマグS(エスケーフーヅ社製) 4.6kg
マビット(林原社製) 19.0kg
結晶セルロース 10.0kg
乳化剤 3.2kg
アスパルテーム 0.5kg
発酵乳パウダー 1.4kg
粉末香料 1.0kg
クエン酸 0.3kg
<実施例15>
実施例4のPCを用い、下記配合成分を混合して、100〜140mLのお湯に溶解させて飲用する粉末コンソメスープ(1袋6.0g)を調製した。この粉末コンソメスープは、全量を100重量%としたとき、約7.0重量%のHyp−Glyを有効成分として含有するものであった。
PC 35.0kg
チキンエキスパウダー 25.0kg
食塩 18.0kg
ブドウ糖 7.7kg
乳酸カルシウム 7.0kg
グルタミン酸ナトリウム 4.0kg
オニオンエキスパウダー 1.0kg
HVP 1.0kg
ビーフフレーバー 0.5kg
5’−リボヌクレオチド2ナトリウム 0.5kg
ホワイトペッパー 0.2kg
ターメリック 0.1kg
<実施例16>
実施例4のPCを用い、下記配合成分を混合して、100〜150mLの水に溶解させて飲用する粉末ジュース(1袋13.0g)を調製した。この粉末ジュースは、全量を100重量%としたとき、約8.0重量%のHyp−Glyを有効成分として含有するものであった。
PC 40.4kg
アスコルビン酸ナトリウム 1.2kg
エリスリトール 52.0kg
アセスルファムK 0.1kg
アスパルテーム 0.1kg
クエン酸ナトリウム 0.8kg
クエン酸(結晶) 4.6kg
マスカットフレーバー 0.8kg
<実施例17>
実施例4のPCを用い、下記配合成分に従い、精製水に他の配合成分を溶解し、pH3.5、B’×9.0%に調製したのち、110℃で30秒加熱殺菌処理を施し、10℃に冷却してから紙パックに無菌充填して、清涼飲料水(1パック125mL)を調製した。この清涼飲料水は、全量を100重量%としたとき、約0.5重量%のHyp−Glyを有効成分として含有するものであった。
PC 2.5kg
ビタミンミックスDN(BASFジャパン社製)0.1kg
エリスリトール 5.5kg
アセスルファムK 0.015kg
アスパルテーム 0.005kg
クエン酸 約0.6kg
フルーツミックスフレーバー 0.16L
ライチフレーバー 0.04L
精製水 残量(合計が100.0kgになるように設定)
<実施例18>
まず、下記配合成分のうちの精製水(B)に実施例4のPCおよびゼラチンを浸漬して30分間膨潤させたのち、80℃達温30分間加熱して完全に溶解させ、ゼラチン溶液とした。次に、下記配合成分のうちの精製水(A)にミルクオリゴ糖、粉末麦芽還元糖、エリスリトール、および難消化性デキストリンを溶解させ、煮詰めた後、アスパルテーム、前記ゼラチン溶液、予め精製水(A)の一部に溶解させたクエン酸(結晶)、ペパーミントフレーバー、ミントフレーバー、レモンフレーバー、およびベニバナ黄色素を添加し、B’×79〜81%に調製したのち脱泡し、スターチモールドに充填して室温で24時間乾燥させ、グミゼリー(1粒4g)を調製した。このグミゼリーは、全量を100重量%としたとき、約1.0重量%のHyp−Glyを有効成分として含有するものであった。
PC 5.0kg
ミルクオリゴ糖 41.0kg
粉末麦芽還元糖 31.0kg
エリスリトール 5.0kg
難消化性デキストリン 5.0kg
アスパルテーム 0.05kg
ゼラチン(APH250、新田ゼラチン社製) 7.0kg
クエン酸(結晶) 1.2kg
ペパーミントフレーバー 0.6L
ミントフレーバー 0.2L
レモンフレーバー 0.7L
ベニバナ黄色素 適量
精製水(A) 20.0L
精製水(B) 18.0L
<実施例19>
実施例1のHyp−Glyを滅菌済みの生理的食塩水で2.5mMの濃度となるよう可溶化することにより、患部への注入用として用いうる、実施例19にかかる疾病抑制剤を得た。

―Pro−Hypに関する参考データ―
以下では、参考として、Pro−Hypを含有するコラーゲンペプチドやPro−Hypの効果について示す。
まず、性能評価試験に用いたPro−Hypを含有するコラーゲンペプチドについて説明する。コラーゲンペプチドは、Pro−Hypを含む2種の豚皮由来のコラーゲンペプチド(以下では、それぞれを、「PC」、「PC−CA」と略記する。)、本発明にかかるPro−Hypを含む魚鱗由来のコラーゲンペプチド(以下では、「FC」と略記する。)と、比較のために、Hyp−GlyおよびPro−Hypを含まない2種の豚皮由来のコラーゲンペプチド(以下では、それぞれを、「PC−Cont」、「PC−CA−Cont」と略記する。)を準備した。
<PC>
豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを75℃の温水4kgに溶解させ、60℃に温度調整した後、1次酵素反応として、黄色コウジカビ由来プロテアーゼ10gを添加し、pH5.0〜6.0、温度45〜55℃で120分間保持することにより酵素加水分解処理を行った。次いで、2次酵素反応として、これにアミノペプチダーゼPおよびプロリダーゼ活性を有するAspergillus oryzae抽出酵素を終濃度0.5%で添加し、これを可溶化したのち、50℃で6時間反応させた。反応後、この反応液を10分間100℃に加熱処理し、その後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いて濾過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥し、PCを得た。
このPCを、薄層クロマトグラフィーに供した。すなわち、薄膜クロマトグラフィープレート(商品名「CelluloseF」、メルク社製)に、水に可溶化したPCを、10μg滴下したのち、溶媒(n−ブタノール:酢酸:水=4:1:2)で展開した。このプレートを風乾してイサチン・酢酸亜鉛試薬を噴霧したのち、青色のスポットによってN末端がProであるペプチドの存在を確認するとともに、上記で得られたPCの青色スポットのRf値([スポット原点から発色スポットまでの距離]÷[スポット原点から溶媒フロントまでの距離])が、同一プレートにスポットした内部マーカーであるHyp−GlyとPro−Hypのうち、Pro−Hypの各青色スポットのRf値と一致すること、すなわち、このPCがPro−Hypを含むことを確認した。
<FC>
魚鱗由来ゼラチンを用いたこと以外は、前記PCの製造と同様の操作により、FCを得た。
また、このFCを前記PCと同様に薄膜クロマトグラフィーにより分析したところ、Pro−Hypの存在が確認された。
<PC−CA>
豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを75℃の20mM tris−HCl緩衝液(pH7.5)4Lに加温しながら溶解させたのち、40℃に冷却し、1次酵素反応として、1gのコラゲナーゼ(新田ゼラチン社製、Collagenase N−2)を添加後、pH7.0〜7.8、40℃で24時間保持することにより酵素分解処理を行った。次いで2次酵素反応として、この反応液にアミノペプチダーゼPおよびプロリダーゼ活性を有するAspergillus niger抽出酵素を終濃度0.25%で添加、pH4.0、50℃で6時間反応させた。反応後、この反応液を10分間100℃に加温処理し、その後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いてろ過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理を施した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥し、PC−CAを得た。
前記乾燥重量2gのPC−CAを10mLの水に溶解させたものを、カラム(「DEAEトヨパール650M」、東ソー社製;16×650mm)に2回に分けて負荷して、蒸留水で溶出されるボイドボリューム画分を回収した。次いで、回収した画分をカラム(「SPトヨパール650M」、東ソー社製;16×650mm)に負荷し、蒸留水で溶出されるボイドボリューム画分を回収した。次に、この画分をカラム(「セファデックスLH−20」、ファルマシア社製;26×900mm)に負荷し、30%メタノール水溶液で溶出した。9mL/フラクションで分画し、化学合成品であるPro−Hypが溶出する位置に相当する画分を回収した。得られた画分をカラム(「μBondasphere 5μC18 300Å」、ウォーターズ社製;3.9×150mm)を用いたHPLCで、0.1%トリフルオロ酢酸を含む0〜32%以下のアセトニトリル水溶液の直線濃度勾配溶出(流速1mL/min、0〜32%の勾配を18分間で行う)により分画し、化学合成品であるPro−Hypが溶出する位置に相当する保持時間に溶出されるピーク部分を分取した。そして、分取液を減圧乾固することにより、白色粉末を得た。得られた白色粉末の構造を、エドマン法によるタンパク質構造解析装置(「プロテインシークエンサー491型」、アプライドバイオシステムズ社製)により解析したところ、Pro−Hypの存在が確認された。
<PC−Cont>
前記したPCの製造における1次酵素反応のみを行って、PC−Contを得た。
すなわち、豚皮由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを75℃の温水4kgに溶解させ、60℃に温度調整した後、黄色コウジカビ由来プロテアーゼ10gを添加し、pH5.0〜6.0、温度45〜55℃で120分保持することにより酵素加水分解処理を行った。次いで、酵素加水分解処理で得られた溶液を85℃で10分間加熱して酵素を失活させ、その後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いて濾過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理を施した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥することにより、粉末化したPC−Contを得た。
このPC−ContをPCと同様に薄膜クロマトグラフィーにより分析したところ、青色のスポットが確認されず、Hyp−Gly、Pro−Hypのいずれの存在も確認できなかった。
<PC−CA−Cont>
前記したPC−CAの製造における1次酵素反応のみを行って、PC−CA−Contを得た。
すなわち、豚皮コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを75℃の20mM tris−HCl緩衝液(pH7.5)4Lに加温しながら溶解させ40℃に冷却した後、1gのコラゲナーゼ(新田ゼラチン社製、Collagenase N−2)を添加後、pH7.0〜7.8、40℃で24時間保持することにより酵素分解処理を行った。次いで、酵素加水分解処理で得られた溶液を85℃で10分間加熱して酵素を失活させ、その後、活性炭と濾過助剤(珪藻土)とを用いてろ過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理を施した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥することにより、粉末化したPC−CA−Contを得た。
このPC−CA−ContをPCと同様に薄膜クロマトグラフィーにより分析したところ、青色のスポットが確認されず、Hyp−Gly、Pro−Hypのいずれの存在も確認できなかった。
<評価試験2−1>
前記PC(PC群)、FC(FC群)およびPC−CA(PC−CA群)を用い、各コラーゲンペプチドを前駆軟骨細胞株ATDC5培養液に終濃度0.1%となるように添加し、培養から5日後に肥大化軟骨および石灰化のマーカー酵素であるアルカリフォスファターゼ(ALP)の各抑制活性を調べた。比較のために、ペプチド無添加(N群)のときのALP抑制活性、終濃度0.1%のペプトン(Pe群)を用いたときのALP抑制活性、前記PC−Cont(PC−Cont群)、PC−CA−Cont(PC−CA−Cont群)を用いたときのALP抑制活性も調べた。結果を表11に示す。
Figure 2010106003
<評価試験2−2>
固相法により合成したジペプチドPro−Hyp(ピー・エッチ・ジャパン社製)([Pro−Hyp]群)を用い、添加量を2.5mMとし、比較として、ペプチド無添加(N群)、遊離アミノ酸であるグリシン(Gly群)、プロリン(Pro群)、ヒドロキシプロリン(Hyp群)、プロリンとヒドロキシプロリンの遊離アミノ酸混合物([Pro+Hyp]群)、グリシンとプロリンとヒドロキシプロリンの遊離アミノ酸混合物([Gly+Pro+Hyp]群)と、固相法により合成したトリペプチドPro−Hyp−Gly(ピー・エッチ・ジャパン社製)([Pro−Hyp−Gly]群)を用いたこと以外は、評価試験2−1と同様にして、ALPの抑制活性を調べた。結果を表12に示す。
Figure 2010106003
<評価試験2−3>
10週令のC57BL/6Jマウスに、表13に示す組成で各々飼料を経口摂取させた。この試験においては、表13中、コラーゲンペプチド添加群として、前記PC(PC群)、FC(FC群)およびPC−CA(PC−CA群)を用いるとともに、比較として、前記PC−Cont(PC−Cont群)、PC−CA−Cont(PC−CA−Cont群)を用いた。マウスを3週間後に屠殺したのち、各群の大腿骨・脛骨関節部の非脱灰ヘマトキシリン染色切片から、マトリクス構造評価および細胞状態を評価し、関節腔の幅を測定した。
結果を表14、表16に示す。表14に示す値(病理学的スコアー)は、表15に示す基準で各マウスの関節軟骨のマトリクス構造および細胞状態を評価し、それらの値を平均した値である。
Figure 2010106003
Figure 2010106003
Figure 2010106003
Figure 2010106003
さらに、前記N群、C群およびPC群について、CT装置(X線CTラシータ、ALOKA社製)による骨計測を行った。結果を表17に示す。
Figure 2010106003
<評価試験2−4>
10週令のC57BL/6Jマウスに、上記表13に示す組成で各々飼料を経口摂取させた。この試験においては、表13中、Pro−Hyp添加群として、化学合成試薬であるジペプチドPro−Hyp(BACHEM社製)([Pro−Hyp]群)を用いた。マウスを3週間後に屠殺し、各群の大腿骨・脛骨関節部のμCT(卓上型マイクロCTスキャナ SKYSCAN1172、SKYSCAN社製)像から関節腔の幅を測定し、非脱灰ヘマトキシリン染色切片からマトリクス構造評価および細胞状態を評価した。また、比較のために、表13中の(Pro+Hyp)添加群として、プロリンとヒドロキシプロリンの遊離アミノ酸混合物を用いた遊離アミノ酸混合物添加群([Pro+Hyp]群)を用いて、同様の操作、評価を行った。
結果を表18に示す。
Figure 2010106003
<評価試験2−5>
固相法により合成したジペプチドPro−Hyp(ピー・エッチ・ジャパン社製)([Pro−Hyp]群)を、終濃度5mmol/Lとなるように生理食塩水に可溶化したのち、濾過滅菌した。この溶液0.5mlを、10週令のC57BL/6Jマウスに上記表13の組成で飼料を3週間与えたC群に対して、その左大腿骨・脛骨関節腔に注射した。1週間後に屠殺し、左右の大腿骨−脛骨関節腔部の非脱灰マイヤーヘマトキシリン染色切片を作成し、病理評価した。同様にして、注射した後、3週間後に屠殺した場合についても、左右の大腿骨−脛骨関節腔部の非脱灰マイヤーヘマトキシリン染色切片を作成し、前記評価試験2−4でのN群の病理切片と比較して病理評価した。
結果を表19に示す。
Figure 2010106003
<性能評価試験の結果の考察>
Pro−Hypを含むPC、FC、PC−CAは、Hyp−GlyおよびPro−Hypのいずれも含まないPC−Cont、PC−CA−Contよりも、優れた関節軟骨再生促進効果を発現していることが、上記評価試験2−1、2−3の結果(表11、14および16)から分かる。
また、評価試験2−2、2−4では、合成ジペプチドであるPro−Hyp単独での優れた関節軟骨再生促進効果が示されており、他方、プロリン、ヒドロキシプロリン、グリシンやそれらの混合物およびPro−Hyp−Glyでは関節軟骨再生促進効果は認められない(表12、18)。
評価試験2−5においても、合成ジペプチドであるPro−Hyp単独での優れた関節軟骨再生促進効果が示されている(表19)。

〔疾病抑制剤〕
上記に述べたPro−Hypまたはこれを含有するコラーゲンペプチドを用いて、疾病抑制剤を得た。参考として、それらの配合例を以下に示す。
<参考例2−1〜2−3>
表20に示す配合で、各材料を混合し、賦形剤としての結晶性セルロースを、表20に記載の配合全体に対して10部の割合で用いて、常法により打錠成形することにより、経口用として用いうる、参考例2−1〜2−3にかかる疾病抑制剤を得た。なお、表20におけるPro−Hypは上記性能評価試験で使用したBACHEM社製の合成ジペプチドであり、PC、PC−Cont、PC−CA−Contは上記性能評価試験で使用した各コラーゲンペプチドである。
Figure 2010106003
<参考例2−4>
実施例14において、実施例4のHyp−Glyを含むコラーゲンペプチド(PC)に代えて、上記性能評価試験で使用したPro−Hypを含むコラーゲンペプチド(PC)を用いたこと以外は、実施例14と同様にして、一粒0.8gのチュアブルタイプのタブレットを調製した。このチュアブルタイプのタブレットは、全量を100重量%としたとき、約4.5重量%のPro−Hypを有効成分として含有するものであった。
なお、アミノ酸配列が既知の豚皮由来のI型コラーゲン(重量(X)g)に含まれるPro−Hypの配列の和(Y)をカウントし、下記式より該I型コラーゲン全体中の理論含有量を求めたところ、9.0重量%であった。
((Pro−Hypの数(Y))×(Pro−Hypの重量(分子量)))/(全配列の重量(X))
以上のことから、前記PCは、理論的に、Pro−Hypを最大9.0重量%含むものである。
下記参考例2−5〜2−8も、本参考例2−4と同様に、Pro−Hypを最大9.0重量%含む前記PCを各種用途に用いた場合の配合例である。
<参考例2−5>
実施例15において、実施例4のHyp−Glyを含むコラーゲンペプチド(PC)に代えて、上記性能評価試験で使用したPro−Hypを含むコラーゲンペプチド(PC)を用いたこと以外は、実施例15と同様にして、100〜140mLのお湯に溶解させて飲用する粉末コンソメスープ(1袋6.0g)を調製した。この粉末コンソメスープは、全量を100重量%としたとき、約3.2重量%のPro−Hypを有効成分として含有するものであった。
<参考例2−6>
実施例16において、実施例4のHyp−Glyを含むコラーゲンペプチド(PC)に代えて、上記性能評価試験で使用したPro−Hypを含むコラーゲンペプチド(PC)を用いたこと以外は、実施例16と同様にして、100〜150mLの水に溶解させて飲用する粉末ジュース(1袋13.0g)を調製した。この粉末ジュースは、全量を100重量%としたとき、約3.6重量%のPro−Hypを有効成分として含有するものであった。
<参考例2−7>
実施例17において、実施例4のHyp−Glyを含むコラーゲンペプチド(PC)に代えて、上記性能評価試験で使用したPro−Hypを含むコラーゲンペプチド(PC)を用いたこと以外は、実施例17と同様にして、清涼飲料水(1パック125mL)を調製した。この清涼飲料水は、全量を100重量%としたとき、約0.2重量%のPro−Hypを有効成分として含有するものであった。
<参考例2−8>
実施例18において、実施例4のHyp−Glyを含むコラーゲンペプチド(PC)に代えて、上記性能評価試験で使用したPro−Hypを含むコラーゲンペプチド(PC)を用いたこと以外は、実施例18と同様にして、グミゼリー(1粒4g)を調製した。このグミゼリーは、全量を100重量%としたとき、約0.45重量%のPro−Hypを有効成分として含有するものであった。
<参考例2−9>
表20に示す参考例2−1の配合において、PC−Cont、カルシウムおよびビタミンCを用いなかったこと以外は同様の配合で各材料を混合し、これを生理食塩水で5mmol/Lに希釈することにより、関節局所への注入用として用いうる、参考例2−9にかかる疾病抑制剤を得た。
本発明にかかるコラーゲンペプチドは、例えば、骨粗しょう症、変形性関節炎、褥瘡などの症状を予防ないし治療するための疾病抑制剤の有効成分となるジペプチドを含有しているので、このような効能を有する健康食品、医薬品などとして好適に使用することができる。

Claims (10)

  1. Hyp−Glyの構造を有するジペプチドを必須のジペプチドとして含有する、コラーゲンペプチド。
  2. Hyp−Glyの構造を有する、ジペプチド。
  3. Hyp−Glyの構造を有するジペプチドを必須の有効成分として含有する、疾病抑制剤。
  4. 前記有効成分となるジペプチドがコラーゲンペプチドとして含有されるものである、請求項3に記載の疾病抑制剤。
  5. 有効成分としてグルコサミンおよび/またはその塩も含む、請求項3または4に記載の疾病抑制剤。
  6. 骨粗しょう症抑制剤である、請求項3から5までのいずれかに記載の疾病抑制剤。
  7. 変形性関節炎抑制剤である、請求項3から5までのいずれかに記載の疾病抑制剤。
  8. 褥瘡抑制剤である、請求項3から5までのいずれかに記載の疾病抑制剤。
  9. 経口用である、請求項3から8までのいずれかに記載の疾病抑制剤。
  10. 関節局所への注入用である、請求項3から8までのいずれかに記載の疾病抑制剤。
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