JP2010104910A - S吸蔵触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温域と中高温域とが繰り返される実車における条件下において、高いS吸蔵能を発揮しうるS吸蔵触媒を提供する。
【解決手段】本発明のS吸蔵触媒は、排ガス上流側に配置された高温型S吸蔵部1と、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部2とからなる。このS吸蔵触媒において、250℃を超える中高温域では、低温型S吸蔵部2よりも高温型S吸蔵部1の方が高いS吸蔵能を発揮可能で、かつ、250℃以下の低温域では、高温型S吸蔵部1よりも低温型S吸蔵部2の方が高いS吸蔵能を発揮可能とされている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のS吸蔵触媒は、排ガス上流側に配置された高温型S吸蔵部1と、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部2とからなる。このS吸蔵触媒において、250℃を超える中高温域では、低温型S吸蔵部2よりも高温型S吸蔵部1の方が高いS吸蔵能を発揮可能で、かつ、250℃以下の低温域では、高温型S吸蔵部1よりも低温型S吸蔵部2の方が高いS吸蔵能を発揮可能とされている。
【選択図】図1
Description
本発明はS吸蔵触媒に関し、特に、リーンバーンエンジンから排出される排ガスを浄化する排ガス浄化装置に好適に利用できるS吸蔵触媒に関する。
従来、自動車の排ガス浄化触媒として、理論空燃比(ストイキ)の運転条件下において、排ガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化と窒素酸化物(NOx)の還元とを同時に行って浄化する三元触媒が用いられている。このような三元触媒としては、例えば、コーディエライト等からなる耐熱性基材にγ−アルミナ等からなる多孔質担体層を形成し、その多孔質担体層に白金(Pt)やロジウム(Rh)等の触媒貴金属を担持させたものが広く知られている。
一方、近年、地球環境保護の観点から、自動車等の内燃機関から排出される排ガス中の二酸化炭素(CO2)が問題とされ、その解決策として酸素過剰雰囲気において希薄燃焼させるいわゆるリーンバーンが有望視されている。このリーンバーンにおいては、燃料の使用量を低減できるため、その燃焼排ガスであるCO2の発生を抑制することができる。
ところで、排ガス浄化触媒の性能は、エンジンの設定空燃比(A/F)によって大きく左右される。すなわち、空燃比の大きいリーン側では、燃焼後の排ガス中の酸素量が多くなるため、酸化作用が活発になり、還元作用が不活発になる。このため、理論空燃比(ストイキ)において排ガス中のCO、HC及びNOxを効率的に浄化しうる従来の三元触媒では、酸素過剰となるリーン雰囲気下においては、NOxの還元除去に対して充分な浄化性能を示さない。したがって、酸素過剰雰囲気下においてもNOxを効率的に浄化しうる、リーンバーンエンジン用の排ガス浄化触媒が望まれていた。
このようなリーンバーンエンジン用の排ガス浄化触媒として、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属等よりなるNOx吸蔵材とPt等の触媒貴金属とを多孔質担体上に担持したNOx吸蔵還元型触媒が実用化されている。このリーンバーンエンジン用のNOx吸蔵還元型触媒は、三元触媒とは異なり、酸素過剰の排ガスであっても、NOxを効率良く吸蔵、還元して浄化する。すなわち、酸素過剰の燃料リーン条件で燃料を燃焼させる常時において、リーン雰囲気でNOx吸蔵材がNOxを吸蔵する一方、間欠的に燃料ストイキ〜リッチ条件とすることにより排ガスを還元雰囲気として、NOx吸蔵材からNOxを放出させ、それをHCやCO等の還元性成分と反応させて浄化する。なお、排ガス中のHCやCOは、貴金属触媒により酸化されるとともに、NOxの還元にも消費されるので、HC及びCOも効率良く浄化される。
ところが、排ガス中には、燃料中に含まれる硫黄(S)が燃焼することで生成したSO2が含まれる。このSO2は、高温の排ガス中で触媒貴金属により酸化されてSO3となる。そして、このSO3は、排ガス中に含まれる水蒸気により硫酸となる。こうして排ガス中にSO3や硫酸が生成すると、そのSO3や硫酸とNOx吸蔵材との反応により亜硫酸塩や硫酸塩が生成し、これによりNOx吸蔵材が被毒劣化する。このようにNOx吸蔵材が硫黄被毒(S被毒)により劣化すると、もはやNOxを吸蔵することができなくなり、耐久後のNOx浄化性能が低下してしまう。
そこで、排ガスからS成分を吸蔵するS吸蔵触媒をNOx吸蔵還元型触媒の前段に配設した排ガス浄化装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
この排ガス浄化装置におけるS吸蔵触媒は、アルミナよりなる担体上に、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属やカルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属よりなるS吸蔵材と、白金やパラジウム等の触媒貴金属とを担持したものである。このようなS吸蔵触媒によれば、排ガス中のS成分を吸蔵することができるので、このS吸蔵触媒をNOx吸蔵還元型触媒の前段に配設することで、NOx吸蔵還元型触媒のS被毒を抑制することができる。
また、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムのアルカリ土類金属やランタン化合物等のS吸蔵材におけるS吸蔵能は温度に依存することも知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2006−144624号公報
特開2006−514198号公報
特開平11−350945号公報
ところが、排ガス温度が250℃程度以下と低くなると、触媒貴金属によるSO2からSO3への転化反応が不十分となる。SO2はSO3よりも酸性度が低い。一方、アルカリ金属やアルカリ土類金属等よりなるS吸蔵材は、SO3よりも酸性度の低いSO2を吸蔵し難い。このため、S吸蔵触媒の流入ガス温度が低い場合、S吸蔵触媒によるS吸蔵性能が低下し、多くのSO2がS吸蔵触媒を素通りしてしまう。そうすると、NOx吸蔵還元型触媒のS被毒を効果的に抑制することができず、その結果、耐久後のNOx浄化性能が低下してしまう。
そこで、低温域で高いS吸蔵能を発揮するS吸蔵材と、中高温域で高いS吸蔵能を発揮するS吸蔵材とを混合して用いる手段が考えられる。しかし、低温域で高いS吸蔵能を発揮するS吸蔵材は、中高温域でも低温域と同様に高いS吸蔵能を発揮する。このため、S吸蔵触媒が中高温域でS成分を吸蔵すると、その後の低温域でそのS吸蔵触媒のS吸蔵能が低下してしまう。したがって、低温域と中高温域とが繰り返される実車における条件下において、吸蔵触媒のS吸蔵能を低温域では十分に発揮させることができない。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、低温域と中高温域とが繰り返される実車における条件下において、高いS吸蔵能を発揮しうるS吸蔵触媒を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決する本発明のS吸蔵触媒は、触媒担体と、該触媒担体に担持され排ガス中のSO2をSO3に酸化する触媒金属と、該触媒担体に担持され排ガス中の硫黄成分を吸蔵するS吸蔵材とを備えたS吸蔵触媒であって、排ガス上流側に配置された高温型S吸蔵部と、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部とからなり、250℃を超えかつ650℃以下の温度範囲が含まれる中高温域では、前記低温型S吸蔵部よりも前記高温型S吸蔵部の方が高いS吸蔵能を発揮可能で、かつ、20℃以上かつ250℃以下の温度範囲が含まれる低温域では、前記高温型S吸蔵部よりも前記低温型S吸蔵部の方が高いS吸蔵能を発揮可能となるように構成されていることを特徴とする。
中高温域においては、排ガス上流側に配置された高温型S吸蔵部に排ガス中のS成分が吸蔵される。このため、中高温域において、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部まで排ガス中のS成分が流出してしまうことを抑えることができる。したがって、中高温域において、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部が排ガス中のS成分を吸蔵することによって低温型S吸蔵部におけるS吸蔵能が低下してしまうことを抑えることができる。
よって、本発明のS吸蔵触媒によれば、低温域と中高温域とが繰り返される実車における条件下であっても、高いS吸蔵能を発揮させることが可能になる。
また、排ガス上流側に配置された本発明のS吸蔵触媒と、排ガス下流側に配置されたNOx吸蔵還元型触媒とを備えた排ガス浄化装置において、排ガス温度が低い場合でもNOx吸蔵還元型触媒のS被毒を良好に抑制することができる。したがって、このような排ガス浄化装置によれば、長期間にわたって、リーンバーンエンジンから排出される排ガス中のNOxを効率良く吸蔵、還元して浄化することが可能である。
以下、本発明のS吸蔵触媒の実施形態について詳しく説明する。なお、説明する実施形態は実施形態の一例にすぎず、本発明のS吸蔵触媒は、下記実施形態に限定されるものではない。本発明のS吸蔵触媒は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
(実施形態1)
実施形態1のS吸蔵触媒は、請求項1、2、3、4又は6に記載の発明を具現化したものである。
実施形態1のS吸蔵触媒は、請求項1、2、3、4又は6に記載の発明を具現化したものである。
本実施形態のS吸蔵触媒は、本発明のSOx吸蔵触媒をいわゆるモノリス型触媒に適用したもので、基材と、基材の表面に形成されたコート層よりなる触媒担体と、触媒担体に担持され排ガス中のSO2をSO3に酸化する触媒金属と、触媒担体に担持され排ガス中の硫黄(S)成分を吸蔵するS吸蔵材とを備えている。
基材としては、コージェライト等のセラミックス又は耐熱合金等からなるハニカム体を用いることができる。なお、基材の形状は、ストレートフロー型、フィルター型やその他の型のいずれであってもよい。
触媒担体は、多孔質の酸化物粉末を含むスラリーを基材の表面にウォッシュコートすることで該表面に層状に形成されている。この触媒担体は、基材の排ガス上流側の端から排ガス下流側の端に至るまで均一又は略均一な組成で形成されている。
触媒担体の種類としては特に限定されないが、触媒担体として、CeO2及びCeO2を含む複合酸化物のうちの少なくとも一方が含まれていることが好ましい。これらのCeO2やCeO2を含む複合酸化物はSOx吸蔵能が高い。触媒担体として、CeO2及びCeO2を含む複合酸化物のうちのどちらか一方のみを用いてもよいし、あるいは両者を混合して用いてもよい。
CeO2を含む複合酸化物としては特に限定されないが、CeO2と、Al2O3、ZrO2、ゼオライト、TiO2及びSiO2よりなる群から選ばれる少なくとも一種との複合酸化物を好ましい例として挙げることができる。
また、CeO2又はCeO2を含む複合酸化物には、Pr、La、Y及びNdから選ばれる少なくとも一種以上の助触媒が担持されていることが好ましい。CeO2又はCeO2を含む複合酸化物にこれらの助触媒が担持されていると、SOx吸蔵能がより高くなる。
CeO2及びCeO2を含む複合酸化物のうちの少なくとも一方のコート量は、例えばモノリス型触媒の場合、モノリス(ハニカム体)の体積1リットル当たり、50g以上とすることが好ましく、100g以上とすることがより好ましい。CeO2やCeO2のコート量が少なすぎると、SOx吸蔵能が低下する。一方、CeO2やCeO2を含む複合酸化物のコート量が多すぎると、圧損が上昇するため、CeO2及びCeO2を含む複合酸化物のうちの少なくとも一方のコート量は、300g以下とすることが好ましく、200g以下とすることがより好ましい。
さらに、触媒担体としてAl2O3も含まれていることが好ましい。Al2O3は比表面積が特に大きいので、触媒金属を担持させる触媒担体として特に好ましい。
触媒金属の種類は排ガス中のSO2をSO3に酸化することができれば特に限定されず、例えばPt、Pd、Rh、Fe、Ag及びAuから選ばれる少なくとも一種とすることができる。これらの中でも、特に酸化活性の高いPtを触媒金属として用いることが好ましい。
触媒金属の担持量は、例えばモノリス型触媒の場合、モノリス(ハニカム体)の体積1リットル当たり、0.1〜10g程度とすることができる。
ここに、本実施形態のS吸蔵触媒は、図1に模式的に示されるように、排ガス上流側に配置された高温型S吸蔵部1と、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部2とからなる。そして、本実施形態のS吸蔵触媒においては、250℃を超えかつ650℃以下の温度範囲が含まれる中高温域では、前記低温型S吸蔵部よりも前記高温型S吸蔵部の方が高いS吸蔵能を発揮可能で、かつ、20℃以上かつ250℃以下の温度範囲が含まれる低温域では、前記高温型S吸蔵部よりも前記低温型S吸蔵部の方が高いS吸蔵能を発揮可能となるように構成されている。
本実施形態のS吸蔵触媒において、このような構成は、高温型S吸蔵部1の部分にある触媒担体に担持されたS吸蔵材と、低温型S吸蔵部2の部分にある触媒担体に担持されたS吸蔵材とで、S吸蔵材の組成を異ならせることにより達成されている。
すなわち、排ガス上流側の高温型S吸蔵部1の部分にある触媒担体には、Mg、Ca、Sr、Ba及びLiから選ばれる少なくとも一種よりなる高温型S吸蔵材が担持されている。一方、排ガス下流側の低温型S吸蔵部2の部分にある触媒担体には、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種よりなる低温型S吸蔵材が担持されている。このNa、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種よりなる低温型S吸蔵材は、高温型S吸蔵部1の部分にある触媒担体には担持されていない。また、本実施形態のS吸蔵触媒では、低温型S吸蔵部2の部分にある触媒担体に、Mg、Ca、Sr、Ba及びLiから選ばれる少なくとも一種よりなる高温型S吸蔵材も担持されている。
ここに、排ガス下流側の低温型S吸蔵部2には、少なくとも低温型S吸蔵材が担持されていればよい。すなわち、低温型S吸蔵部2には、高温型S吸蔵材を担持させずに、低温型S吸蔵材のみを担持させてもよい。ただし、S吸蔵触媒全体におけるS吸蔵量(S吸蔵触媒が吸蔵することのできる最大S吸蔵量)を増大させる観点より、低温型S吸蔵部2に低温型S吸蔵材及び高温型S吸蔵材の双方を担持させることが好ましい。
S吸蔵触媒における高温型S吸蔵部1の長さ(L1)と低温型S吸蔵部2の長さ(L2)との比は、特に限定されないが、L1:L2=1:9〜1:1程度とすることができる。なお、ここでいう高温型S吸蔵部1及び低温型S吸蔵部2の長さは、排ガス流れ方向における長さのことである。
高温型S吸蔵部1における高温型S吸蔵材の担持量は、例えばモノリス型触媒の場合、モノリス(ハニカム体)の体積1リットル当たり、0.1〜0.5モルとすることが好ましく、0.2〜0.4モルとすることがより好ましい。高温型S吸蔵部1における高温型S吸蔵材の担持量が多すぎると、効果が飽和することに加え、基材を損傷する可能性がある。高温型S吸蔵部1における高温型S吸蔵材の担持量が少なすぎると、中高温域で十分なS吸蔵性能を確保することができない。
低温型S吸蔵部2における低温型S吸蔵材の担持量は、例えばモノリス型触媒の場合、モノリス(ハニカム体)の体積1リットル当たり、0.3〜1.0モルとすることが好ましく、0.5〜0.7モルとすることがより好ましい。低温型S吸蔵部2における低温型S吸蔵材の担持量が多すぎると、効果が飽和することに加え、基材を損傷する可能性がある。低温型S吸蔵部2における低温型S吸蔵材の担持量が少なすぎると、低温域で十分なS吸蔵性能を確保することができない。
低温側S吸蔵部2に高温型S吸蔵材を担持させる場合、低温型S吸蔵部2における高温型S吸蔵材の担持量は、例えばモノリス型触媒の場合、モノリス(ハニカム体)の体積1リットル当たり、0.1〜0.5モルとすることが好ましく、0.2〜0.4モルとすることがより好ましい。低温型S吸蔵部2における高温型S吸蔵材の担持量が多すぎると、効果が飽和することに加え、他成分量の低下による不具合が生じる可能性がある。低温型S吸蔵部2における高温型S吸蔵材の担持量が少なすぎると、低温型S吸蔵材とともに高温型S吸蔵材を低温型S吸蔵部2に担持させることによる効果が得られない。
なお、本実施形態のS吸蔵触媒には、必要に応じて他の成分を配合してもよい。
かかる構成を有する本実施形態のS吸蔵触媒では、中高温域においては、排ガス上流側に配置された高温型S吸蔵部1に排ガス中のS成分が確実に吸蔵される。このため、中高温域において、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部2まで排ガス中のS成分が流出してしまうことを抑えることができる。したがって、中高温域において、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部2が排ガス中のS成分を吸蔵することによって低温型S吸蔵部2におけるS吸蔵能が低下してしまうことを抑えることができる。
より具体的に説明すれば、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種、すなわち強塩基性のアルカリ金属よりなる低温型S吸蔵材は、排ガス中の酸性質のSOxと反応して硫酸塩を生成することで、排ガス中のS成分を吸蔵する。この強塩基性のアルカリ金属よりなる低温型S吸蔵材は、Mg、Ca、Sr、BaやLi等の高温型S吸蔵材と比較して、250℃以下の低温域でも比較的高いS吸蔵能を発揮する。このため、強塩基性のアルカリ金属よりなる低温型S吸蔵材を含む低温型S吸蔵部2は、250℃以下の低温域において、高温型S吸蔵部1よりも高いS吸蔵能を発揮する。
ところが、250℃を超える中高温域の排ガス中においては、S成分を吸蔵した低温型S吸蔵材がコート層の表面に移動して凝集してしまう。その結果、コート層の内部へのガス拡散が阻害され、コート層の内部に在るS吸蔵材の利用効率が低下する。この強塩基性のアルカリ金属よりなる低温型S吸蔵材の表面凝集は、S成分を吸蔵したアルカリ金属が250℃を超える中高温域まで加熱されることにより発生する。
このため、強塩基性のアルカリ金属よりなる低温型S吸蔵材と高温型S吸蔵材とが混在していると、高温型S吸蔵材が単独で存在する場合と比較して、コート層の利用効率が低下して250℃を超える中高温域でのS吸蔵能が低下する。また、250℃を超える中高温域で低温型S吸蔵材がS成分を吸蔵した後の低温域においても、強塩基性のアルカリ金属よりなる低温型S吸蔵材と高温型S吸蔵材とが混在する場合は、高温型S吸蔵材が単独で存在する場合と比較して、コート層の利用効率が低下してS吸蔵能が低下する。
その点、本実施形態のS吸蔵触媒では、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種よりなる低温型S吸蔵材が、排ガス下流側の低温型S吸蔵部2のみに担持され、排ガス上流側の高温型S吸蔵部1には担持されていない。また、排ガス上流側の高温型S吸蔵部1には、中高温域なら高いS吸蔵能を発揮する高温型S吸蔵材が担持されている。
このため、250℃を超える中高温域では、排ガス上流側の高温型S吸蔵部1で排ガス中のS成分を確実に吸蔵することができる。すなわち、排ガス上流側の高温型S吸蔵部1には、強塩基性のアルカリ金属よりなる低温型S吸蔵材が担持されていないので、アルカリ金属の表面凝集によるガス拡散阻害が起こらず、コート層内部に在る高温型S吸蔵材の利用効率が低下することもない。また、中高温域で、排ガス下流側の低温型S吸蔵部2まで排ガス中のS成分が流出することを抑えることができるため、排ガス下流側の低温型S吸蔵部2において、S成分を吸蔵したアルカリ金属の表面凝集が起こらない。このため、250℃を超える中高温域から250℃以下の低温域になった場合であっても、排ガス下流側の低温型S吸蔵部2において、コート層内部に在る低温型S吸蔵材の利用効率が低下することがない。
また、本実施形態のS吸蔵触媒では、触媒担体として、Pr、La、Y及びNdから選ばれる少なくとも一種以上の助触媒が担持されたCeO2やCeO2を含む複合酸化物が含まれている。これらのCeO2やCeO2を含む複合酸化物は、後述するように、250℃以下の低温域で比較的高いS吸蔵能を発揮する。
さらに、本実施形態のS吸蔵触媒では、排ガス下流側の低温型S吸蔵部2に、低温型S吸蔵材とともに高温型S吸蔵材も担持されている。このため、S吸蔵触媒全体におけるS吸蔵量が増大している。
よって、本実施形態のS吸蔵触媒によれば、低温域と中高温域とが繰り返される実車における条件下であっても、極めて高いS吸蔵能を発揮させることができる。
また、本実施形態のS吸蔵触媒は、本実施形態のS吸蔵触媒と、このS吸蔵触媒よりも排ガス下流側に配置されたNOx吸蔵還元型触媒とからなり、リーンバーンエンジンからの排ガス流路に配置される排ガス浄化装置に好適に利用することができる。
このような排ガス浄化装置によれば、低温域と中高温域とが繰り返される実車における条件下で、NOx吸蔵還元型触媒のS被毒を良好に抑制することができ、長期間にわたって、リーンバーンエンジンから排出される排ガス中のNOxを効率良く吸蔵、還元して浄化することが可能である。
(実施形態2)
実施形態2のS吸蔵触媒は、請求項1、2、6又は7に記載の発明を具現化したものである。
実施形態2のS吸蔵触媒は、請求項1、2、6又は7に記載の発明を具現化したものである。
本実施形態のS吸蔵触媒は、本発明のSOx吸蔵触媒をいわゆるモノリス型触媒に適用したもので、基材と、基材の表面に形成されたコート層よりなる触媒担体と、触媒担体に担持され排ガス中のSO2をSO3に酸化する触媒金属と、触媒担体に担持され排ガス中の硫黄(S)成分を吸蔵するS吸蔵材とを備えている。
基材としては、コージェライト等のセラミックス又は耐熱合金等からなるハニカム体を用いることができる。なお、基材の形状は、ストレートフロー型、フィルター型やその他の型のいずれであってもよい。
触媒担体は、多孔質の酸化物粉末を含むスラリーを基材の表面にウォッシュコートすることで該表面に層状に形成されている。この触媒担体は、基材の排ガス上流側の端から排ガス下流側の端に至るまで均一又は略均一な組成で形成されている。
触媒担体として、CeO2及びCeO2を含む複合酸化物のうちの少なくとも一方が含まれている。これらのCeO2やCeO2を含む複合酸化物は低温域でのSOx吸蔵能が高い。触媒担体として、CeO2及びCeO2を含む複合酸化物のうちのどちらか一方のみを用いてもよいし、あるいは両者を混合して用いてもよい。
CeO2を含む複合酸化物としては特に限定されないが、CeO2と、Al2O3、ZrO2、ゼオライト、TiO2及びSiO2よりなる群から選ばれる少なくとも一種との複合酸化物を好ましい例として挙げることができる。
また、CeO2又はCeO2を含む複合酸化物には、Pr、La、Y及びNdから選ばれる少なくとも一種以上の助触媒が担持されていることが好ましい。CeO2又はCeO2を含む複合酸化物にこれらの助触媒が担持されていると、SOx吸蔵能がより高くなる。
CeO2及びCeO2を含む複合酸化物のうちの少なくとも一方のコート量は、例えばモノリス型触媒の場合、モノリス(ハニカム体)の体積1リットル当たり、50g以上とすることが好ましく、100g以上とすることがより好ましい。CeO2やCeO2のコート量が少なすぎると、SOx吸蔵能が低下する。一方、CeO2やCeO2を含む複合酸化物のコート量が多すぎると、圧損が上昇するため、CeO2及びCeO2を含む複合酸化物のうちの少なくとも一方のコート量は、300g以下とすることが好ましく、200g以下とすることがより好ましい。
さらに、触媒担体としてAl2O3も含まれていることが好ましい。Al2O3は比表面積が特に大きいので、触媒金属を担持させる触媒担体として特に好ましい。
触媒金属の種類は排ガス中のSO2をSO3に酸化することができれば特に限定されず、例えばPt、Pd、Rh、Fe、Ag及びAuから選ばれる少なくとも一種とすることができる。これらの中でも、特に酸化活性の高いPtを触媒金属として用いることが好ましい。
触媒金属の担持量は、例えばモノリス型触媒の場合、モノリス(ハニカム体)の体積1リットル当たり、0.1〜10g程度とすることができる。
ここに、本実施形態のS吸蔵触媒は、実施形態1のS吸蔵触媒と同様、排ガス上流側に配置された高温型S吸蔵部1と、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部2とからなる。また、実施形態1のS吸蔵触媒と同様、250℃を超えかつ650℃以下の温度範囲が含まれる中高温域では、前記低温型S吸蔵部よりも前記高温型S吸蔵部の方が高いS吸蔵能を発揮可能で、かつ、20℃以上かつ250℃以下の温度範囲が含まれる低温域では、前記高温型S吸蔵部よりも前記低温型S吸蔵部の方が高いS吸蔵能を発揮可能となるように構成されている。
具体的には、排ガス上流側の高温型S吸蔵部1の部分にある触媒担体には、Mg、Ca、Sr、Ba及びLiから選ばれる少なくとも一種よりなる高温型S吸蔵材が担持されている。一方、排ガス下流側の低温型S吸蔵部2の部分にある触媒担体には、Mg、Ca、Sr、Ba及びLiから選ばれる少なくとも一種よりなる高温型S吸蔵材が担持されていない。
S吸蔵触媒における高温型S吸蔵部1の長さ(L1)と低温型S吸蔵部2の長さ(L2)との比は、特に限定されないが、L1:L2=1:9〜1:1程度とすることができる。なお、ここでいう高温型S吸蔵部1及び低温型S吸蔵部2の長さは、排ガス流れ方向におの長さのことである。
高温型S吸蔵部1における高温型S吸蔵材の担持量は、例えばモノリス型触媒の場合、モノリス(ハニカム体)の体積1リットル当たり、0.1〜0.5モルとすることが好ましく、0.2〜0.4モルとすることがより好ましい。高温型S吸蔵部1における高温型S吸蔵材の担持量が多すぎると、効果が飽和する。高温型S吸蔵部1における高温型S吸蔵材の担持量が少なすぎると、中高温域で十分なS吸蔵性能を確保することができない。
なお、本実施形態のS吸蔵触媒には、必要に応じて他の成分を配合してもよい。
かかる構成を有する本実施形態のS吸蔵触媒では、中高温域においては、排ガス上流側に配置された高温型S吸蔵部1に排ガス中のS成分が確実に吸蔵される。このため、中高温域において、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部2まで排ガス中のS成分が流出してしまうことを抑えることができる。したがって、中高温域において、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部2が排ガス中のS成分を吸蔵することによって低温型S吸蔵部2におけるS吸蔵能が低下してしまうことを抑えることができる。
より具体的には、本実施形態のS吸蔵触媒では、低温型S吸蔵部2におけるS吸蔵能が、アルカリ金属やアルカリ土類金属等によって発揮されるのではなく、触媒担体としてのCeO2やCeO2を含む複合酸化物によって発揮される。
また、排ガス下流側の低温型S吸蔵部2には、Mg、Ca、Sr、Ba及びLiから選ばれる少なくとも一種よりなる高温型S吸蔵材が担持されていない。このため、触媒表層のCeO2の密度が高くなり、低温型S吸蔵部2におけるSOx吸蔵能が向上する。したがって、250℃以下の低温域では、Mg、Ca、Sr、Ba及びLiから選ばれる少なくとも一種よりなる高温型S吸蔵材が担持されている高温型S吸蔵部1よりも、低温型S吸蔵部2の方が高いS吸蔵能を発揮する。
高温型S吸蔵部1は、Mg、Ca、Sr、Ba及びLiから選ばれる少なくとも一種よりなる高温型S吸蔵材が担持されている分だけ、250℃を超える中高温域で、低温型S吸蔵部2よりも高いS吸蔵能を発揮する。
また、本実施形態のS吸蔵触媒では、触媒担体としてのCeO2やCeO2を含む複合酸化物に、Pr、La、Y及びNdから選ばれる少なくとも一種以上の助触媒が担持されており、S吸蔵能がより高くなっている。
よって、本実施形態のS吸蔵触媒によれば、低温域と中高温域とが繰り返される実車における条件下であっても、極めて高いS吸蔵能を発揮させることができる。
(その他の実施形態)
なお、実施形態1、2では、1つのモノリス型触媒を用いて、その排ガス上流側を高温型S吸蔵部1とし、その排ガス下流側を低温型S吸蔵部2とする例について説明したが、2つのモノリス触媒を排ガス流路中に直列に配置するタンデム型として、排ガス上流側のモノリス触媒を高温型S吸蔵部1の構成を有するものとし、排ガス下流側のモノリス触媒を低温型S吸蔵部2の構成を有するものとしてもよい。
なお、実施形態1、2では、1つのモノリス型触媒を用いて、その排ガス上流側を高温型S吸蔵部1とし、その排ガス下流側を低温型S吸蔵部2とする例について説明したが、2つのモノリス触媒を排ガス流路中に直列に配置するタンデム型として、排ガス上流側のモノリス触媒を高温型S吸蔵部1の構成を有するものとし、排ガス下流側のモノリス触媒を低温型S吸蔵部2の構成を有するものとしてもよい。
また、実施形態1、2では、モノリス型触媒に本発明を適用する例について説明したが、ペレット型触媒に本発明を適用して触媒コンバータに組み込んでもよい。
上述した実施形態に基づいて、本発明に係るS吸蔵触媒及び排ガス浄化装置の一態様であるリーンバーンエンジン用の排ガス浄化装置を、実施例として作製した。
(実施例1)
前記実施形態1に準じて、実施例1のS吸蔵触媒を作成した。
前記実施形態1に準じて、実施例1のS吸蔵触媒を作成した。
まず、硝酸系白金水溶液にアルミナ粉末を浸漬してから、乾燥、焼成することにより、アルミナ粉末にPtを担持してなる、Pt担持アルミナ粉末を得た。
また、硝酸系白金水溶液にセリア粉末を浸漬してから、乾燥、焼成することにより、セリア粉末にPrを担持してなる、Pr担持セリア粉末を得た。
そして、前記Pt担持アルミナ粉末及び前記Pr担持セリア粉末を用いて所定のスラリーを調製した。そして、コージェライト製のハニカム体よりなる基材(径:φ30mm、長さ:L50mm)1の表面にスラリーをウォッシュコートし、焼成して、基材の表面に触媒コート層を形成した。
次に、触媒コート層が形成された基材のうち排ガス上流側に相当する一端側の半分を、硝酸バリウム溶液に浸漬し、余分な溶液を吹き払った後、500℃で2時間焼成して、基材の触媒コート層のうち排ガス上流側に相当する一端側の半分にBaを担持した。
その後さらに、基材のうち排ガス下流側に相当する他端側の半分を、バリウムとカリウムの混合溶液に浸漬し、余分な溶液を吹き払った後、250℃で1時間乾燥してから、500℃で2時間焼成して、基材の触媒コート層のうち排ガス下流側に相当する他端側の半分にBa及びKを担持した。
こうして、実施例1のS吸蔵触媒を得た。このS吸蔵触媒においては、排ガス上流側の高温S吸蔵部1に、高温型S吸蔵材としてのBaのみが担持されている。また、排ガス下流側の低温S吸蔵部2には、低温型S吸蔵材としてのKと、高温型S吸蔵材としてのBaとが担持されている。
実施例1のS吸蔵触媒における各成分の担持量は、ハニカム体の体積1リットル当たり、Pt:1g、アルミナ:100g、Pr/セリア:100g、Ba:0.5モルである。
(比較例1)
比較例1のS吸蔵触媒は、実施例1のS吸蔵触媒において、高温型S吸蔵部1を排ガス下流側にし、低温型S吸蔵部2を排ガス上流側に配置した。
比較例1のS吸蔵触媒は、実施例1のS吸蔵触媒において、高温型S吸蔵部1を排ガス下流側にし、低温型S吸蔵部2を排ガス上流側に配置した。
すなわち、比較例1のS吸蔵触媒においては、排ガス上流側に、低温型S吸蔵材としてのKと、高温型S吸蔵材としてのBaとが担持され、排ガス下流側にBaのみが担持されている。
その他の構成は、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
(比較例2)
比較例2のS吸蔵触媒においては、低温型S吸蔵材としてのKと、高温型S吸蔵材としてのBaとが触媒全体に一様に担持されている。
比較例2のS吸蔵触媒においては、低温型S吸蔵材としてのKと、高温型S吸蔵材としてのBaとが触媒全体に一様に担持されている。
その他の構成は、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
(比較例3)
比較例3のS吸蔵触媒においては、高温型S吸蔵材としてのBaが触媒全体に一様に担持されている。
比較例3のS吸蔵触媒においては、高温型S吸蔵材としてのBaが触媒全体に一様に担持されている。
その他の構成は、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
(実施例1及び比較例1〜3の性能評価)
実施例1及び比較例1〜3のS吸蔵触媒のSOx吸蔵量を、下記に示す評価試験により調べた。
実施例1及び比較例1〜3のS吸蔵触媒のSOx吸蔵量を、下記に示す評価試験により調べた。
まず、実施例1及び比較例1〜3のS吸蔵触媒に係る試験材を、電気炉にて600℃×50時間の条件で、熱劣化させた。
そして、各試験材について、リーン排ガスを模擬したリーン雰囲気のモデルガスにSO2を流入し、この中に試験材をおいて、3種類の温度条件にてSOx吸蔵量を調べた。なお、試験雰囲気のガス組成は、SO2:100ppm、NO:200ppm、C3H6:200ppm、O2:10%、CO2:10%、H2O:5%、N2:残部である。また、ガス流量は30リットル/minとした。
250℃定常の温度条件での結果を図2に、400℃定常の温度条件での結果を図3に示す。また、400℃×15min→250℃×15minの一単位を繰り返す、繰り返し複合パターン(400℃、250℃)の温度条件での結果を図4に示す。なお、これらの試験は、それぞれの条件でSが脱離し始めるまで実施した、そして、Sが脱離し始めた時点でのS吸蔵量を算出した。
これらの結果から明らかなように、低温域(250℃)と中高温域(400℃)とが繰り返される実車における条件に近い複合パターンの温度条件下で、実施例1のS吸蔵触媒が極めて高いS吸蔵能を発揮した。
(実施例2)
前記実施形態2に準じて、実施例2のS吸蔵触媒を作成した。
前記実施形態2に準じて、実施例2のS吸蔵触媒を作成した。
実施例1と同様にして、基材の表面に触媒コート層を形成した。
次に、触媒コート層が形成された基材のうち排ガス上流側に相当する一端側の半分を、全体を、硝酸バリウム溶液に浸漬し、余分な溶液を吹き払った後、500℃で2時間焼成して、基材の触媒コート層のうち排ガス上流側に相当する一端側の半分にBaを担持した。
こうして、実施例2のS吸蔵触媒を得た。このS吸蔵触媒においては、排ガス上流側の高温S吸蔵部1に、高温型S吸蔵材としてのBaのみが担持されている。また、排ガス下流側の低温S吸蔵部2には、低温型S吸蔵材としてのK及び高温型S吸蔵材としてのBaのいずれも担持されていない。
実施例2のS吸蔵触媒における各成分の担持量は、ハニカム体の体積1リットル当たり、Pt:1g、アルミナ:100g、Pr/セリア:100g、Ba:0.5モルである。
(比較例4)
比較例4のS吸蔵触媒は、実施例2のS吸蔵触媒において、高温型S吸蔵部1を排ガス下流側にし、低温型S吸蔵部2を排ガス上流側に配置した。
比較例4のS吸蔵触媒は、実施例2のS吸蔵触媒において、高温型S吸蔵部1を排ガス下流側にし、低温型S吸蔵部2を排ガス上流側に配置した。
すなわち、比較例1のS吸蔵触媒においては、高温型S吸蔵材としてのBaが触媒全体に一様に担持されている。
その他の構成は、実施例2と同様であるため、その説明を省略する。
(実施例2及び比較例4の性能評価)
実施例2及び比較例4のS吸蔵触媒SOx吸蔵量を、温度条件以外は前述した評価試験と同様の条件で調べた。
実施例2及び比較例4のS吸蔵触媒SOx吸蔵量を、温度条件以外は前述した評価試験と同様の条件で調べた。
100℃定常の温度条件での結果を図5に示す。また、500℃×15minと、300℃×15minとを繰り返す温度条件での結果を図6に示す。さらに、500℃×15min→300℃×15min→100℃×45minの一単位を繰り返す、繰り返し複合パターン(100℃、300℃、500℃)の温度条件での結果を図7に示す。なお、これらの試験は、それぞれの条件でSが脱離し始めるまで実施した、そして、Sが脱離し始めた時点でのS吸蔵量を算出した。
これらの結果から明らかなように、低温域(100℃)と中高温域(300℃、500℃)とが繰り返される実車における条件に近い複合パターンの温度条件下で、実施例2のS吸蔵触媒が極めて高いS吸蔵能を発揮した。
1…高温型S吸蔵部 2…低温型S吸蔵部
Claims (6)
- 触媒担体と、該触媒担体に担持され排ガス中のSO2をSO3に酸化する触媒金属と、該触媒担体に担持され排ガス中の硫黄成分を吸蔵するS吸蔵材とを備えたS吸蔵触媒であって、
排ガス上流側に配置された高温型S吸蔵部と、排ガス下流側に配置された低温型S吸蔵部とからなり、
250℃を超えかつ650℃以下の温度範囲が含まれる中高温域では、前記低温型S吸蔵部よりも前記高温型S吸蔵部の方が高いS吸蔵能を発揮可能で、かつ、20℃以上かつ250℃以下の温度範囲が含まれる低温域では、前記高温型S吸蔵部よりも前記低温型S吸蔵部の方が高いS吸蔵能を発揮可能となるように構成されていることを特徴とするS吸蔵触媒。 - 前記S吸蔵材として、Mg、Ca、Sr、Ba及びLiから選ばれる少なくとも一種よりなる高温型S吸蔵材と、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも一種よりなる低温型S吸蔵材とを含み、
前記低温型S吸蔵材が前記高温型S吸蔵部には担持されずに前記低温型S吸蔵部のみに担持され、かつ前記高温型S吸蔵材が少なくとも前記高温型S吸蔵部に担持されている請求項1に記載のS吸蔵触媒。 - 前記高温型S吸蔵材が前記低温型S吸蔵部にも担持されている請求項2に記載のS吸蔵触媒。
- 前記触媒担体として、CeO2とAl2O3、ZrO2、ゼオライト、TiO2及びSiO2よりなる群から選ばれる少なくとも一種との複合酸化物、並びにCeO2のうちの少なくとも一方を含む請求項1〜3のいずれか一つに記載のS吸蔵触媒。
- 前記触媒担体として、CeO2とAl2O3、ZrO2、ゼオライト、TiO2及びSiO2よりなる群から選ばれる少なくとも一種との複合酸化物、並びにCeO2のうちの少なくとも一方を含み、
前記S吸蔵材として、Mg、Ca、Sr、Ba及びLiから選ばれる少なくとも一種よりなる高温型S吸蔵材を含み、
前記高温型S吸蔵材が前記低温型S吸蔵部には担持されずに前記高温型S吸蔵部のみに担持されている請求項1に記載のS吸蔵触媒。 - 前記複合酸化物又はCeO2には、Pr、La、Y及びNdから選ばれる少なくとも一種の助触媒が担持されている請求項4又5に記載のS吸蔵触媒。
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