JP2010100257A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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【課題】より確実に通常操舵時における過剰アシストの発生を回避しつつ直進走行時における逆入力振動の発生を抑制し良好な操舵フィーリングを実現可能な電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】振動抑制制御部26は、アシスト勾配Ragに基づくアシスト勾配ゲインKagを演算するアシスト勾配ゲイン演算部30及び操舵角θsに基づく舵角ゲインKanを演算する舵角ゲイン演算部31とを備える。アシスト勾配ゲイン演算部30は、アシスト勾配Ragの値(絶対値)が大きいほど、より小さな値を有するアシスト勾配ゲインKagを演算し、舵角ゲイン演算部31は、操舵角θsの値(絶対値)が大きいほど、より小さな値を有する舵角ゲインKanを演算する。そして、振動抑制制御部26は、これらアシスト勾配ゲインKag及び舵角ゲインKanを操舵トルク微分値dτに基づき演算される基礎制御量εに乗ずることにより、振動抑制補償量Ivr*を演算する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とした電動パワーステアリング装置(EPS)がある。そして、こうしたEPSでは、その高い制御性を利用して、より優れた操舵フィーリングを実現すべく様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1には、操舵トルクの変化に対する基本アシスト成分の変化の割合(アシスト勾配)に基づいて、各種補償制御の特性を変更する構成が開示されている。即ち、通常、EPSは、ステアリングシャフトに設けられたトーションバーの捩れ角に基づき検出される操舵トルクに応じたアシスト力付与を実行するが、そのアシスト勾配が変化するということは、トーションバーのバネ定数が変化することに等しい。そして、上記構成は、こうした基本的な操舵特性の変化に合わせて、その各種補償制御の特性を最適化することにより、良好な操舵フィーリングの実現を図る構成となっている。
ところで、このようなアシスト勾配に基づく特性の変更が適用される補償制御の一つとして、路面等から転舵輪を通じた逆入力応力の印加により生ずる操舵系の振動(例えば、ラック軸やサスペンションの共振)を抑制するための振動抑制制御がある。
即ち、所謂フラッターやシミー等と呼ばれる上記転舵輪に対する逆入力応力の印加により引き起こされる振動(逆入力振動)は、例えば、直進状態時のような、その入力される操舵トルクの絶対値や変化量が小さく、操舵系に付与されるアシスト力が小さい場合、つまりアシスト勾配が比較的小さな場合に顕在化しやすい。また、振動抑制制御としては、操舵トルクの微分値に基づいて、その補償成分を演算する手法(トルク微分制御)が一般的であるが、アシスト勾配が大きくなる通常操舵時には過剰となりやすい傾向があり、所謂「抜け感」等の過剰アシストと感じるような状況を招くことによって、その良好な操舵フィーリングを損なうおそれがある。
そこで、アシスト勾配の値が大きいほど、その演算される補償成分が小さくなるように(より積極的には、アシスト勾配の値が比較的小さな状況にある場合に限定して補償成分が演算されるように)、当該振動抑制制御の特性を変更する。そして、これにより、通常操舵時における過剰アシストの発生を回避しつつ、効果的に直進走行時における逆入力振動の発生を抑制し、良好な操舵フィーリングを保っているのである。
特開2006−131191号公報
しかしながら、実際には、通常操舵時においても、例えば、レーンチェンジや切り返し操舵等、そのアシスト勾配が直進走行時のような小さな値をとる場合がある。例えば、図9に示すように、アシスト特性にヒステリシスが設定されている場合、ステアリング中立位置(ステアリング操作により生ずる舵角がゼロ、即ち操舵角θs=0)を跨いで所謂切り返し操舵を行なう状況においては、その操舵トルクτが「0」となる点P1,P2が存在する。即ち、上記従来技術では、直進状態のように操舵角θsがゼロ付近で維持されるとは限らない通常操舵時においても上記逆入力振動を抑制するための補償成分が演算され、操舵系に過剰なアシスト力が付与されることになる。その結果、操舵フィーリングの連続性が失われ、ひいては運転者に違和感を与えるという問題があり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、より確実に通常操舵時における過剰アシストの発生を回避しつつ、直進走行時における逆入力による振動の発生を抑制し、抜け感等のない良好な操舵フィーリングを実現することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータを駆動源として操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、操舵トルクに基づき前記操舵力補助装置に発生させるべき前記アシスト力の基礎成分を演算するとともに、転舵輪を通じた逆入力応力の印加により生ずる操舵系の振動を抑制するための前記補償制御を実行し、前記操舵トルクの変化に対する前記基礎成分の変化の割合であるアシスト勾配に基づいて、該アシスト勾配の値が大きいほど、その演算される補償成分が小さくなるように前記補償制御の特性を変更する電動パワーステアリング装置であって、前記制御手段は、前記ステアリング操作により生ずる舵角が大きいほど、その演算される前記補償成分が小さくなるように前記補償制御の特性を変更すること、を要旨とする。
即ち、転舵輪を通じた逆入力応力の印加により引き起こされる振動は、直進走行時のようなアシスト勾配が比較的小さな場合に顕在化しやすいが、通常操舵時においても、そのアシスト勾配が直進走行時のような小さな値をとる場合がある。
この点、上記構成のように、アシスト勾配が小さい場合のみならず、ステアリング操作により生ずる舵角が小さい場合、例えば車両が直進走行状態にあることを示すステアリング中立付近を示す場合に特化して、その演算される補償成分が小さくなるように補償制御の特性を変更することで、より確実に通常操舵時における過剰アシストの発生を回避することができる。その結果、こうした過剰なアシスト力付与により操舵フィーリングの連続性が失われ、ひいては運転者に違和感を与えるような事態の発生を効果的に防止することができる。
請求項2に記載の発明は、前記制御手段は、前記操舵トルクの微分値に基づいて前記補償制御を実行すること、を要旨とする。
即ち、その演算手法を問わず、補償成分の過剰は好ましいものではないが、特に、操舵トルク微分値に基づき演算される補償成分は、アシスト勾配が大きくなるほど、過剰アシストを招きやすい傾向がある。従って、上記のような構成について、請求項1の発明を適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
本発明によれば、より確実に通常操舵時における過剰アシストの発生を回避しつつ、直進走行時における逆入力による振動の発生を抑制し、抜け感等のない良好な操舵フィーリングを実現することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のEPS1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリングホイール(ステアリング)2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により転舵輪6の舵角が変更されるようになっている。
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、その駆動源であるモータ12がラック5と同軸に配置された所謂ラック型のEPSアクチュエータであり、モータ12が発生するアシストトルクは、ボールねじ機構(図示略)を介してラック5に伝達される。尚、本実施形態のモータ12は、ブラシレスモータであり、ECU11から三相(U,V,W)の駆動電力の供給を受けることにより回転する。そして、モータ制御装置としてのECU11は、このモータ12が発生するアシストトルクを制御することにより、操舵系に付与するアシスト力を制御する(パワーアシスト制御)。
本実施形態では、ECU11には、トルクセンサ14、車速センサ15、及び操舵角センサ16が接続されている。尚、本実施形態では、トルクセンサ14には、ステアリングシャフト3の途中に設けられたトーションバーの捻れ角を一対の角度センサ(レゾルバ)により検出する所謂ツインレゾルバ型トルクセンサが採用されている。そして、ECU11は、これらトルクセンサ14、車速センサ15、及び操舵角センサ16によりそれぞれ検出される操舵トルクτ(τ_na)及び車速V、並びに操舵角θsに基づいて、EPSアクチュエータ10の作動、即ちパワーアシスト制御を実行する。
次に、本実施形態のEPSの電気的構成について説明する。
図2は、本実施形態のEPSの制御ブロック図である。同図に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するモータ制御信号出力手段としてのマイコン17と、モータ制御信号に基づいてモータ12に三相の駆動電力を供給する駆動回路18とを備えている。
本実施形態では、ECU11には、モータ12に通電される実電流値Iを検出するための電流センサ20、及びモータ回転角θmを検出するための回転角センサ21が接続されている。そして、マイコン17は、上記各車両状態量、並びにこれら電流センサ20及び回転角センサ21の出力信号に基づき検出されたモータ12の実電流値I及びモータ回転角θmに基づいて、駆動回路18に出力するモータ制御信号を生成する。
詳述すると、マイコン17は、操舵系に付与するアシスト力の目標値、即ち目標アシスト力に対応した電流指令値Iq*を演算する電流指令値演算部22と、電流指令値演算部22により算出された電流指令値Iq*に基づいてモータ制御信号を出力するモータ制御信号出力部23とを備えている。
電流指令値演算部22が出力する電流指令値Iq*は、電流センサ20により検出された実電流値I、及び回転角センサ21により検出されたモータ回転角θmとともに、モータ制御信号出力部23に入力される。そして、モータ制御信号出力部23は、この目標アシスト力に対応する電流指令値Iq*に実電流値Iを追従させるべくフィードバック制御を実行することによりモータ制御信号を演算する。
具体的には、本実施形態では、モータ12には、三相(U,V,W)の駆動電力の供給により回転するブラシレスモータが用いられている。そして、モータ制御信号出力部23は、実電流値Iとして検出されたモータ12の相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q座標系のd,q軸電流値に変換(d/q変換)することにより、上記電流フィードバック制御を行う。
即ち、電流指令値Iq*は、q軸電流指令値としてモータ制御信号出力部23に入力され、モータ制御信号出力部23は、回転角センサ21により検出されたモータ回転角θmに基づいて相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q変換する。また、モータ制御信号出力部23は、そのd,q軸電流値及びq軸電流指令値に基づいてd,q軸電圧指令値を演算する。そして、そのd,q軸電圧指令値をd/q逆変換することにより相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を演算し、当該相電圧指令値に基づいてモータ制御信号を生成する。
そして、本実施形態のECU11は、上記のように生成されたモータ制御信号をマイコン17が駆動回路18に出力し、該駆動回路18がその当該モータ制御信号に基づく三相の駆動電力をモータ12に供給することにより、EPSアクチュエータ10の作動を制御する構成となっている。
次に、電流指令値演算部22による電流指令値演算の詳細について説明する。
本実施形態の電流指令値演算部22は、目標アシスト力を示す電流指令値Iq*の基礎成分である基本アシスト制御量Ias*を演算する基本アシスト制御部25と、その補償成分として、転舵輪6への逆入力応力の印加により生ずる操舵系の振動を抑制するための振動抑制補償量Ivr*を演算する振動抑制制御部26とを備えている。
本実施形態では、トルクセンサ14の出力する検出信号としての操舵トルクτ_naは、先ず、位相補償制御部27に入力される。そして基本アシスト制御部25には、この位相補償制御部27において位相補償処理が施された後の操舵トルクτ、及び車速Vが入力されるようになっている。
基本アシスト制御部25は、操舵トルクτの絶対値が大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きな絶対値を有する基本アシスト制御量Ias*を演算する(図3参照)。そして、特に操舵トルクτとの関係においては、当該操舵トルクτが大きいほど、その操舵トルクτの変化に対する基本アシスト制御量Ias*の変化の割合であるアシスト勾配Ragが大きくなるように設計されている。
ここで、本実施形態のマイコン17は、上記のように検出される操舵トルクτに応じて、その値が変化する上記アシスト勾配Ragに基づいて、その各補償制御の特性を変更する機能を有している(アシスト勾配補償制御)。
具体的には、本実施形態では、基本アシスト制御部25は、上記位相補償制御部27に対してアシスト勾配Ragを出力する。そして、本実施形態の位相補償制御部27は、その入力されるアシスト勾配Ragに基づいて、当該アシスト勾配Ragの上昇に応じてフィルタ特性のゲインが低減されるように、そのフィルタ定数を変更する構成となっている(図4参照)。
即ち、アシスト勾配Ragの変化は、ステアリングシャフト3の途中に設けられたトーションバーのバネ定数の変化と等価であり、アシスト勾配Ragが大きくなるほど、振動が発生しやすくなる傾向がある。しかしながら、このように位相補償制御の特性変更、詳しくは、その位相補償処理におけるフィルタ特性のゲインを低く抑えることで、こうしたアシスト勾配Ragの上昇に伴う振動の増大を抑制することが可能となっている。
一方、本実施形態では、振動抑制制御部26には、操舵トルクτの微分値(操舵トルク微分値dτ)が入力される。そして、振動抑制制御部26は、その操舵トルク微分値dτを基礎として、その振動抑制制御を実行する。即ち、アシスト力は、トーションバーの捩れを少なくする方向に付与されるものであるが、操舵トルク微分値dτに基づく補償成分は、その動きを強化する方向に作用する。つまり、転舵輪6への逆入力応力の印加による生じたトーションバーの捩れについても、これを打ち消す方向に作用する。そして、これにより、所謂フラッターやシミー等、転舵輪6に対する逆入力応力の印加に起因して操舵系に発生する振動を抑制することができるのである。
具体的には、本実施形態の振動抑制制御部26には、操舵トルク微分値dτに基づいて振動抑制補償量Ivr*の基礎となる基礎制御量εを演算する基礎制御量演算部28が設けられている。そして、この基礎制御量演算部28は、その入力される操舵トルク微分値dτ(の絶対値)が大きいほど、より大きな基礎制御量εを演算する(図5参照)。
また、本実施形態では、振動抑制制御部26には、操舵トルク微分値dτとともに、車速V、及び上記アシスト勾配Rag、並びに操舵角θsが入力されるようになっている。そして、振動抑制制御部26は、入力されるこれらの各状態量に基づいて、当該振動抑制制御部26の実行する振動抑制制御の特性を変更する。
詳述すると、振動抑制制御部26には、これらの各状態量にそれぞれ対応する車速ゲイン演算部29、アシスト勾配ゲイン演算部30、及び舵角ゲイン演算部31が設けられている。そして、振動抑制制御部26は、これら各ゲイン演算部において演算される車速ゲインKv、アシスト勾配ゲインKag、及び舵角ゲインKanを、乗算器32において上記基礎制御量εに乗じた値を振動抑制補償量Ivr*として出力する構成となっている。
具体的には、車速ゲイン演算部29は、車速が速くなるほど、より大きな値を有する車速ゲインKvを演算するように構成されている(図6参照)。また、図7に示すように、アシスト勾配ゲイン演算部30は、入力されるアシスト勾配Ragの値(絶対値)が大きいほど、より小さな値を有するアシスト勾配ゲインKag、即ち最終的に演算される補償成分としての振動抑制補償量Ivr*が小さくなるようなアシスト勾配ゲインKagを演算する。そして、図8に示すように、舵角ゲイン演算部31は、入力される操舵角θsの値(絶対値)が大きいほど、より小さな値を有する舵角ゲインKan、即ち最終的に演算される補償成分としての振動抑制補償量Ivr*が小さくなるような舵角ゲインKanを演算する。
より具体的には、アシスト勾配ゲイン演算部30は、入力されるアシスト勾配Ragの値(絶対値)が所定の閾値α以上の場合、アシスト勾配ゲインKagとして「0」を演算するように構成されている。そして、舵角ゲイン演算部31もまた、入力される操舵角θsの値(絶対値)がステアリング中立位置の近傍に設定された所定角θ0以上である場合には、その舵角ゲインKanとして「0」を演算するように構成されている。
即ち、転舵輪6に対する逆入力応力の印加により引き起こされる振動(逆入力振動)は、直進走行時のようなアシスト勾配Ragが比較的小さな場合に顕在化しやすく、また、操舵トルク微分値dτに基づき演算される基礎制御量εは、アシスト勾配Ragが大きくなるほど過剰となりやすい傾向がある。従って、上記のように、アシスト勾配Ragの値(絶対値)が大きいほど、その基礎制御量εに乗ずるアシスト勾配ゲインKagの値を小さなものとすることにより、通常操舵時における過剰アシストの発生を回避しつつ、効果的に直進走行時における逆入力振動の発生を抑制することができる。
しかしながら、上述のように、実際には、通常操舵時においても、そのアシスト勾配Ragが直進走行時のような小さな値をとる場合がある(図9参照)。そして、このような場合には、十分に低減されないままの状態で振動抑制補償量Ivr*が出力されることによって、操舵系に過剰なアシスト力が付与されることになり、その結果、操舵フィーリングの連続性が失われ、ひいては運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。
この点、上記のように、入力されるアシスト勾配Ragの値(絶対値)が大きいほど、その基礎制御量εに乗ずる舵角ゲインKanの値をより小さなものとし、更には操舵角θsの値がステアリング中立位置の近傍に設定された所定角θ0以上である場合には、その舵角ゲインKanを「0」とする。即ち、振動抑制補償量Ivr*の出力を、車両が直進走行状態にあることを示す状態、つまりステアリング2の舵角(操舵角θs)がステアリング中立付近にある場合に特化することで、より確実に通常操舵時における過剰アシストの発生を回避しつつ、直進走行時における逆入力振動の発生を抑制することができるのである。
図2に示すように、このようにして振動抑制制御部26により演算された振動抑制補償量Ivr*は、加算器33において基本アシスト制御量Ias*に重畳される。そして、電流指令値演算部22は、この加算器33において加算された値を、電流指令値Iq*としてモータ制御信号出力部23に出力する構成となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
○振動抑制制御部26は、アシスト勾配Ragに基づくアシスト勾配ゲインKagを演算するアシスト勾配ゲイン演算部30及び操舵角θsに基づく舵角ゲインKanを演算する舵角ゲイン演算部31とを備える。アシスト勾配ゲイン演算部30は、アシスト勾配Ragの値(絶対値)が大きいほど、より小さな値を有するアシスト勾配ゲインKagを演算し、舵角ゲイン演算部31は、操舵角θsの値(絶対値)が大きいほど、より小さな値を有する舵角ゲインKanを演算する。そして、振動抑制制御部26は、これらアシスト勾配ゲインKag及び舵角ゲインKanを操舵トルク微分値dτに基づき演算される基礎制御量εに乗ずることにより、振動抑制補償量Ivr*を演算する。
即ち、転舵輪6に対する逆入力応力の印加により引き起こされる振動(逆入力振動)は、直進走行時のようなアシスト勾配Ragが比較的小さな場合に顕在化しやすく、また、操舵トルク微分値dτに基づき演算される基礎制御量εは、アシスト勾配Ragが大きくなるほど過剰となりやすい傾向がある。さらに、通常操舵時においても、そのアシスト勾配Ragが直進走行時のような小さな値をとる場合がある。
この点、上記構成のように、アシスト勾配Ragが小さいのみならず、操舵角θsも小さい場合、即ち車両が直進走行状態にあることを示すステアリング2の舵角がステアリング中立付近にある場合に特化して振動抑制補償量Ivr*を出力することにより、より確実に通常操舵時における過剰アシストの発生を回避することができる。その結果、過剰なアシスト力付与により操舵フィーリングの連続性が失われ、ひいては運転者に抜け感等といった違和感を与えてしまうといった事態の発生を効果的に抑制することができるようになる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、基礎制御量演算部28は、操舵トルク微分値dτに基づいて振動抑制補償量Ivr*の基礎となる基礎制御量εを演算することとした。しかし、これに限らず、本発明は、操舵トルク微分値dτ以外を用いたその他の手法により、振動抑制制御を実行する構成に適用してもよい。
・本実施形態では、アシスト勾配ゲイン演算部30は、アシスト勾配Ragの値(絶対値)が大きいほど、より小さな値を有するアシスト勾配ゲインKagを演算し(図7参照)、舵角ゲイン演算部31は、入力される操舵角θsの値(絶対値)が大きいほど、より小さな値を有する舵角ゲインKanを演算する(図8参照)こととした。しかし、これに限らず、これらアシスト勾配ゲインKag及び舵角ゲインKanについては、必ずしもその対応する各図に示されるようなその対応するアシスト勾配Rag及び操舵角θsの変化に応じて連続的に変化するものでなくともよい。例えば、ステップ上に段階的に変化してもよく、また所定の閾値(例えば「α」や「θ0」)でオン/オフされる構成であってもよい。
電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。 本実施形態におけるEPSの制御ブロック図。 基本アシスト制御演算及びアシスト勾配の概要を示す説明図。 位相補償処理についてのアシスト勾配補償制御の態様を示す説明図。 操舵トルク微分値と基礎制御量との関係を示す説明図。 車速と車速ゲインとの関係を示す説明図。 アシスト勾配とアシスト勾配ゲインとの関係を示す説明図。 操舵角と舵角ゲインとの関係を示す説明図。 通常操舵時にアシスト勾配が小さな値をとる場合の一例を示す説明図。
符号の説明
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ステアリング、6…転舵輪、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、14…トルクセンサ、16…操舵角センサ、17…マイコン、18…駆動回路、22…電流指令値演算部、23…モータ制御信号出力部、25…基本アシスト制御部、26…振動抑制制御部、27…位相補償制御部、28…基礎制御量演算部、29…車速ゲイン演算部、30…アシスト勾配ゲイン演算部、31…舵角ゲイン演算部、32…乗算器、33…加算器、τ,τ_na…操舵トルク、V…車速、dτ…操舵トルク微分値、Rag…アシスト勾配、α…閾値、θs…操舵角、θ0…所定角、Iq*…電流指令値、Ias*…基本アシスト制御量、Ivr*…振動抑制補償量、ε…基礎制御量、Kag…アシスト勾配ゲイン、Kan…舵角ゲイン、Kv…車速ゲイン。

Claims (2)

  1. モータを駆動源として操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、操舵トルクに基づき前記操舵力補助装置に発生させるべき前記アシスト力の基礎成分を演算するとともに、転舵輪を通じた逆入力応力の印加により生ずる操舵系の振動を抑制するための補償制御を実行し、前記操舵トルクの変化に対する前記基礎成分の変化の割合であるアシスト勾配に基づいて、該アシスト勾配の値が大きいほど、その演算される補償成分が小さくなるように前記補償制御の特性を変更する電動パワーステアリング装置であって、
    前記制御手段は、前記ステアリング操作により生ずる舵角が大きいほど、その演算される前記補償成分が小さくなるように前記補償制御の特性を変更すること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記操舵トルクの微分値に基づいて前記補償制御を実行すること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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